あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

平家物語画帖 諸行無常のミニアチュール ・根津美術館

2012-10-05 23:42:46 | 日本美術
 今根津美術館で「平家物語画帖」展が開催中で
 2日から、後期(10月2日~21日)の展示替えがされたばかり。
 根津美術館の情報はこちら
 前期の展示ですが、
 呆れるほど細かな美しい画面に魅了されてきました。

 今年は大河ドラマで平清盛が放映中とあって、
 登場人物のキャスティングがかぶってそれがまた楽しみの一つとなりました。
 それにしても扇面の型に密度の高いミニアチュールな世界が
 凝縮されていて、つい最近完成したのでは?と思う位の
 色鮮やかなことに目を奪われました。

 これはもう、一見にしかずとしか云いようがありません。

 画帖は
 忠盛の殿上から始まります。 
 御簾の奥には鳥羽上皇が見えます。

 忠盛は歌人としても名高かったようです。
 清盛が愛した白拍子「祇王」とのシーンも見られました。

 鹿ヶ谷の事件には雷神が現れ雷鳴轟いていました。
 俊寛も現れました。
 鬼界島に流された俊寛の下に厳島神社の卒塔婆が流れ着くのです。
 あわれ、俊寛。
 俊寛の可愛がった有王が鬼界島に来るも23日後に俊寛は亡くなってしまうのです。
 高倉天皇のラブロマンスもあります。
 小督という女性に惹かれています。
 白河院も祇園女御に思いを掛けています。
 後に忠盛は白河院からその祇園女御を賜るのです。
 義仲も登場しています。
 巴御前も描かれています。
 首実検では実盛は白髪染めしていたとか。
 頼朝の愛馬、生食(いけずき)が主題となる画題があって
 興味をそそられました。
 平氏の追討を狙い、範頼、義経が三種の神器を取りかえす
 クライマックスも見えました。
 
 一つ一つ追いかけていたら
 大変な事になります。
 そういうときの助けに図録があります。
 その日は山種にお散歩を狙っていたので、
 荷物を考えて回避ましたが、あれは一つあると
 大きな手引きとなることでしょう。

 関連した作品も展示されていて、
 平家琵琶 銘 和国
 源平合戦図屏風
 厳島切 無量義経断簡 これは平頼盛筆とのこと。

 また、禅僧の枯淡あふれる名筆も掛けられています。
 古筆をもう少し親しめるようになりたいものです。
 
 2階の能面コーナーは平家物語関連のもの。
 お能でも平家物語の題材は良く使われ今も愛され続けています。
 この源氏、平氏の物語は今もなお人間の営みに
 深く関わっていることを知らされますし、
 美しい男女の面相も一見の価値ありです。
 日本における平家物語の燦然と輝く存在感に
 今一度感銘することとなりました。

 茶器コーナーは銘がおちば、初瀬川、虫、菊などで 
 秋の風を感じさせる取り合わせとなっていて、
 侘び寂び度満載でした。
 美濃の黒織部茶碗の重厚感ある前衛作が気になりました。
 下界の暑さはどこ吹く風と
 根津美にはすっかり秋支度整っています。

 後期、21日までの会期中にぜひ、都心の秋を愛でることも
 良い時期かと思います。
 今年の紅葉は如何なこととなるでしょう。
 おまけ


二階の展示フロアから階下をみたところ。
 

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