あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

尼門跡寺院の世界 ・東京藝術大学大学美術館

2009-05-20 12:10:50 | 日本美術
現在、尼門跡寺は京都奈良で13のお寺が残っているそうだ。
私の行ったことのあるお寺は、
法隆寺のすぐ近くの中宮寺。
杜若の美しい庭とお風呂が残されている法華寺。
山本御流の家元、円照寺。
お人形で有名な宝鏡寺。

他のお寺とはまだご縁がない。
でも、皇女達の過ごしてきた信仰と
身分に相応しい御所の文化が今でも
継承されていることを
中世日本研究所の外国人女性達が
ぜひにと企画された本展覧会。

慎ましくも、品のよい艶やかさと
質のよい身の回り生活道具、
寺院を荘厳するも仏具等々を
花びらが舞い散る散華のように見ることができた。

会場に入って驚いたのが、
私の大好きな法華寺の十一面観音さま。
勿論ご本尊は秘仏のため、ご開帳の時しか
拝むことはできない。
芸大にやってきたのは、「ご分身」

世の中で一番美しい光背をもつ十一面観音さま、
そう思っている。
蓮の葉を何本もひらひらとさせ、後ろからお守りする。
その姿に一目会いたかった若い頃を思い出す。
あぁ、お懐かしや。嬉しや。
それだけで今回は満足。

他に。

さおがけ地蔵
竿に小さなお厨子ごとかけて祈りを捧げた。
その一つ一つの作の丁寧で、愛おしいこと。
これを拝見できたことがなにより嬉しい。

阿修羅が上野に来ているせいか、
光明皇后さまの威徳も展示されていた。
らい患者を看護した有名なお話の一場面。

めっちゃかわいい、御守犬もなつかし。
我が家のどこかにも大切にしまわれている。

各お寺の尼像のお姿。
身につけられた袈裟。
自分の分身、血、皮膚、爪で書かれたお経。

日々の生活で、楽しまれた優しい遊び道具達の
可愛らしさ、いとおしさ。
源氏物語や、百人一首、花鳥風月の世界が
カルタや絵巻、草紙になって皇女たちの生活に
潤いをもたらしてきた。

仏法双六、これは楽し。
一つ進んでまた戻り、願わくは稀代の素晴らしい
御仏に。

山村御流という華道を奈良にいた頃に
ちょこっと教えて頂いた。
その師匠に連れられて円照寺を拝観した。
花を活ける、花の寺の行事の日、だったように思う。

時々東京でもデパートでその流派の華展が開かれるが、
家元の活ける花は
実に質素で、鄙びていて、可憐。
使われる花器が半端じゃない。
古瓦、竹籠、須恵器のような土もの。
骨董屋さん垂涎ものばかり。
この私が活けました!という自己主張とかけ離れている。
それにびっくりしたことをまた、思い出した。
10代お家元は昭和天皇の御妹君。
今もご健在か?

世の中、女性達の活躍甚だしい。
そんな現代に、この様な門跡の足跡と、
今現在のあり方を見つめる、殿方にとっても
よい企画だと思うし、
もっと沢山の方に見て欲しいと思った。

興味深い記事を見つけました。
こちら

展示替えもあるようだし、また、覗きに行きたいと
思っている。

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4 コメント

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尼門跡寺院 (とら)
2009-05-20 19:59:52
TBありがとうございました。
まだまだ知らない世界があるので驚きました。
むくつけき男性とやんごとなき女性の距離は・・・ですから、仕方ないのかもしれませんが。
返信する
とら さま (あべまつ)
2009-05-20 22:31:18
こんばんは。

信仰という形を尼門跡ならではの
目にも優しい表現を見ました。
慈愛を貫く力強さも感じられました。
殿方とは願う先が違うのでしょうか・・・?
光源氏も手を出せない世界。

珍しい企画に拍手です。
返信する
Unknown (一村雨)
2009-05-21 18:58:03
私もいきなりの法華寺の十一面観音に
驚きました。
本当にあの蓮の光背はステキですよね。
ご分身の御顔は実物よりも恐い気がしました。
返信する
一村雨 さま (あべまつ)
2009-05-21 21:11:04
こんばんは。

実はご分身しかまだお目にかかれてなくて、
実物は、光明皇后さまのお顔を映したとも言われているとか?いつか拝見したいと思っています。蓮の光背は本当に優雅です。
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