あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

東大寺大仏展 ・東京国立博物館

2010-11-06 23:30:44 | 日本美術
それでも、あの東大寺のお宝が長旅と様々な困難を経て
この上野までお出ましいただいているのだから、
ありがたいお話である。

まさかあの大仏様の重い腰を上げての大移動は
夢のまた夢であるが、東大寺を代表するものが
続々と運ばれてきている。

注目は八角燈籠の展示。
東大寺のあのだだっ広いところでこそ、その存在は大きくなく
溶け込んでいるものだが、
この平成館の中でどんなサイズとなっていることか。

また、この展覧のタイミングに合わせたような
ビッグニュースが飛び込んできた。

光明皇后が大仏建立のために大仏の足元に
聖武天皇ご所用の太刀2本(2口というのが正しい数え方?)
を収めていたことがX線解析でわかったとのこと。
正倉院御物から行方知れずだったものが
現代の平成のこの今、発見されることがあるなんて、
と驚かされた。

さぁ、どんな展覧となっていますことやら。


第一章 東大寺のはじまり 前身寺院と東大寺建立

まずは出土された瓦の展示。
素朴な土の瓦に優しい形が象られ、屋根として
中の物を守ってきた。
資料的なコーナー。

第二章 大仏造立

西大門勅額 
これが素晴らしかった。
額の周りに四天王と菩薩様を頂き、
額の文字を高らかに歌う。

ぐるり回ると
異国人のエキゾチックなご面相の
10面の伎楽面。
法隆寺館にはない、たっぷりとした
悠々たる存在感。
いいお顔だ。

そして八角燈籠を見下ろしながらスロープを降りると
みんなは~い、よく来たね、と手を上げる誕生釈迦仏立像。
ちっちゃいから余計に可愛い。

小さなお宝も展示。
水晶合子の中には真珠の玉が4個のもの、
8個のものがあり、愛らしいサイズと
透明の輝きだった。

舞台真ん中に八角燈籠が鎮座まします。
こんなに大きな燈籠だっとは、驚きだった。

八角燈籠の両サイドには
良弁僧正坐像、
快慶作の僧形八幡神坐像

実存感のある、厳しいお顔だ。

もちろん、お経もある。
どれも光明皇后御願、とある。
様々なことを苦しい時にお願いし、祈りを捧げ、
ご自身も献身的に人々のために活躍された方だという。

第2会場では
バーチャルシアターで東大寺にお参りできる。
12分ほどの映像だが、
天井まで取り込んだ演出もなかなか面白かった。
海外からのお客様用にイヤホンガイドがあるのかな?
大仏に救われ、癒され、守られているという感覚は
あの大きさがあったればこそ、だろうとも思った。

奈良の若草山は少し色付いてきただろうか。
鹿たちは、丸くなって座っているだろうか。
おせんべいをもらいに鼻先をつついているだろうか。

第三章 天平の至宝

天平のみほとけたちは、なんといっても
お姿が美しい。
ご尊顔の見目麗しいことはももちろん、
姿形、衣装、冠、持物 光背 どれもが
バランスよく美しく荘厳されている。

その中でも二月堂のご本尊の光背、
また二月堂の真ん中で威光を輝かせる
不空羂索観音菩薩様の光背が
場内いっぱいに光を放っていた。
観音菩薩様ご本人がいらっしゃらないにもかかわらず、
あの神々しさにしばし見惚れていた。

テレビサイズの映像紹介では、
不空羂索観音菩薩様の頭上を飾る
宝冠が取り上げられていた。
二月堂の中では絶対確認できない細かな部分が
こういう形で見ることが可能なのはありがたい。

そして、ありがたいことに
11月2日から21日までの間、正倉院宝物を
拝むことができる。
奈良の熱狂をおすそ分け。

人参を入れた袋やら、
桂心を入れた袋やら、
斑犀如意をいれる箱やら、
お宝の脇役の存在が興味深かった。

第四章 重源と公慶

リアルな重源上人のお姿。
快慶作の端正な美しさの香る阿弥陀如来、地蔵菩薩を
うっとり拝む。

最後に現れし仏様が
三井記念館で人気者となったアフロヘアーの
五劫思惟阿弥陀如来様。
うぉ~こちらでもお目にかかれるとは~

阿修羅のような熱狂は生まれなかったにせよ、
この上野で東大寺の別院のような
荘厳された平成館は
なかなかにして現代的勧進にふさわしいところだと
恐れ入ったのでした。

平成館の入り口横では絞り染め元祖の展示もあり、
ぜひそこもチェックしたいところ。
28日まで。
「三纈」サンケチが拝めます。
辻が花染めの元祖ともお目にかかれます。

来週13日にはせんとくんも上京とか。

気になるサイトはこちら
ブログアップすると、プレゼントもあるって!!
ツイッターもありますって。
今はこういう情報源も大事なことね。

奈良にはいけない事情のある人も、
こうして江戸の上野で
ありがたく光明皇后の御遠忌を記念できるわけだ。
人々は救い、癒され、守られて安寧を得る、
そういう世界を今こそ願っているのかもしれない。

後期もまたぜひ訪ねてみたいと思った。
とはいえ、やっぱり奈良に行きたくなります!

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