あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

日本ファッションの未来性 ・東京都現代美術館

2012-09-26 21:28:29 | 美術展
私事ですけれど、
ずっと服飾業界の販売を仕事としてきました。
森英恵の店に立っていたり、
コシノヒロコの服も販売したことがあったり。
ブランドショップの出始めの時代です。
洋服が大好きでディスプレイも
楽しかったし、お客様とのやり取りも刺激的でした。
ずっとその魅力にとらわれてキレイな世界にいたかったものです。
友達もよく通ってくれました。
そんな青春があるものだから、
ぜひ見に行きたかった展覧会、
「日本ファッションの未来性」に
やっと行ってきました。


陰翳礼讃
平面性
伝統と革新
日常にひそむ物語

各セクションに特徴的な作品がトルソーを彩ってます。
川久保玲や、山本耀司たちのモノクロの迫力と繊細な造形は
今も尚斬新で新しいまま全く古く感じません。
ヨーロッパでは美しいボディラインがすべての始まり、
そんなファッション界において
日本からそれを無視したような平面な布使いでそれもボロみたいな
洋服がぞろぞろ登場して、それもモデルさんたちのメイクは
具合の悪い人のようなブラック系のシャドー。
どれだけパリのコレクションのショーで驚かれたか、
と想像します。

それまでのオートクチュールの新作発表からはかけ離れすぎ、
異色すぎました。
酷評もあったことでしょう。
「当時の痛烈なアンチテーゼでした」とパンフに書かれているのも
実感として納得できます。

それからというもの、日本のデザイナーの存在が俄然注目されてきました。

三宅一生はテキスタイル、デザインに革命を起こしたと思うぐらいの
斬新な発想で人々に驚かれました。
「プリーツ プリーズ」の登場です。

そして、どんどん手法は進化し
素材への挑戦も続きます。
杉本博司さんの展覧会「ハダカから被服へ」
にも取り上げられた作品と出くわします。
川久保玲のアクリルニットのドレス。
大きく膨らんだ巨大なリボンを腰に背負ったような形の
ベビーピンクのドレス。
 杉本氏は「ベビーピンクは裏切り感に満ちている。」
と評して策士を讃えてあの和綴本に書かれています。

タイムリーなのは、
相当体重を増やしてしまったレディガガの衣装を作っている
 舘鼻則孝のスパンコールの全身タイツ。
歩くことを拒否したようなとんでもなヒールもありました。
あぁ、今の彼女はこれが着られないだろうな~と思いつつ
拝見したのでした。

最終章では
アニメとのコラボ、サブカルチャーとしてのスタイルとして
カイカイキキのプリントも紹介されます。
最後に2000年以降デビューしたデザイナー作品群。
様々なストーリーが集約されて、さぁこれから私たちの目指す
被服とはどんな形になっていくのでしょうか?

また、ブティックの片隅に立って、お客様と色々服を通して
楽しいお話しをしてみたいなぁと妄想しましたが、
現実には遠い事となりました。

展覧には、服飾を学んでいるようなオシャレに一言ありそうな
若い方たちがいて、嬉しく思いました。

10月8日までの開催です。
日本のデザイナーたちの足跡がたどれます。

秋風とともに、今年は何を着ましょうか?

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