あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

琵琶湖をめぐる近江路の神と仏 名宝展 ・三井記念美術館

2012-09-18 12:19:01 | 日本美術

 まずは三井記念美術館のサイトをご紹介します。

 こちら

使われているチラシの画像がこちらです。


今回の展覧は三井記念美術館だけで巡回がないということ。
琵琶湖周辺の仏様がお盆や神無月にご不在では当地は寂しいことでしょう。
しかし、東人にとって何とも有り難いチャンス到来です。
連日の灼熱での日々に心のオアシスとなってくれることでしょう。

作品リストを見て驚くのはクオリティが高く、ほとんどが重文、国宝が3点。
琵琶湖周辺の文化遺産が多いことに気付かされることになります。

展示室1に入ると、可愛らしい誕生仏に迎えられます。
大きな水盤の中に片手を上げて立っているお姿が印象的だが、
これは若干腰が引けて後ろから支えてもらわないと自立出来ない様子。
なで肩で太めの腕、指先の愛らしさに眼を奪われます。
国宝のすかし柄の美しい華籠(神照寺)
国宝の金銅経箱(延暦寺)の繊細な線の細やかさに
工芸美の粋を見ます。

それにしても圧巻は展示室4の仏像群の登場です。
これは本当に有り難い事です。
琵琶湖に点在する平安の仏様さまたちが20体一堂に会しているわけです。

白眉は十一面観音さま4体がずらり並ぶところ。
千手観音、地蔵菩薩、薬師如来、不動明王、帝釈天、毘沙門天。
中でも快慶の大日如来坐像(石山寺)
快慶の弟子、栄快の作地蔵菩薩立像(長命寺)には
いやおうなく吸い寄せられます。
小振りながらも美しい吉祥天立像(園城寺・三井寺)にも注目しました。

仏様の後に現れたのが、
何とも素朴なお顔立ちの男神坐像、女神坐像。
ことに着物の袖を口元にそっと置いた仕草の可愛らしい女神坐像には
思わず、かわいい~と口走ってしまいます。
画像は
同時期に開催されている写真パネル展のパンフレットから。
23日まで三井ビルの入り口エントランスに展示されています。
寿福滋(じゅふくしげる)さんの作品。
他にも近江路の情緒あふれる景色や仏様の写真と出会えますので、
ぜひお立ち寄りすることお勧めします。



いつもなら茶道具の逸品を紹介する如庵はお休み中で、
広重による「近江八景」が電飾写真が飾られています。

神像仏の背面には「桑実寺縁起」土佐光茂による美しい絵巻が丸ごと展示されています。
上巻下巻を差し替えするけれど、巻頭から巻末まで見渡せます。
大和絵の繊細な色使い、丁寧な線の表現にウットリします。
また、紺紙金字妙法蓮華経10巻。
巻物を右から左へ物語を鑑賞できるように案内されます。

展示室7には曼荼羅図、釈迦来迎図などが展示され、
2次元で仏の世界を表現する、その巧みさ、その描き込みの質量に目が釘付けです。
ここの展示室が一番展示替えも多いので、
三井のサイトでチェックされることをお勧めします。
国宝の「六道絵」は前、中、後期に分けての展示です。
(前期は畜生道図、中期は説話図、後期は地獄図)

それにしてもレベルの高い展覧会です。
展示品はほぼ平安、鎌倉のもので、江戸のものは一つもありません。
大河平清盛の時代、このような神仏に人々の苦しみ、哀しみを
救済されてきた歴史を思えば、
近年の天変地異や人々のささくれた心に
安寧を願う気持ちは少しも変わらないのではないかと思ったのでした。
どうかこの平成の世においても救いの手をさしのべて下さるようにと
手を合わせます。

11月25日までの会期、その後なんとも早すぎる告知ですが、
「ゆくとしくるとし」を開催するとのこと。
季節はまだまだ夏を引きずっている状態なのに、
暦は着々と進んでいるようです。

追記:
 昨夜ブログUpした記事が今朝になって消えてしまっていて
 驚き慌てて書き直しました。昨夜の記事とは別物となってしまいましたが、
 おおよそはなぞる事が出来たかと思います。
 iPhoneアプリとの連携の未経験が招いたおっちょこちょいな結果ですので、
 ご理解の程よろしくお願い致します。

おまけ

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