あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

マティスの時代 ・ブリヂストン美術館

2009-06-25 22:35:52 | 美術展
2階に着いたエレベーターが開くと
彫刻の並木道。
仏像を見て育った日本人が
まるで心臓を得たようになまめく表情をそなえた
彫像にさぞ驚いたことだろう。
ロダンはその先端だった。

左の第1、右の2室がメインの「マティスの時代」展示室。
下の受付で、今回の特別企画用の小さなハンドブックが手渡された。
それがとても充実。
こういうサービスができることが
美術館の存在を大きくする。
字がちっちゃいのが難点、ではあるけれど。
西洋画に疎い私には、とても参考になった。

ハンドブックから。
マティスは今までの既成概念に挑戦を挑み続け
20世紀の前衛の先導者となった。
マティスと交友のあった、福島繁太郎が日本に
招来した作品を含めたブリヂストン所蔵を中心とした構成。
福島氏の高い見識と良質なコレクションは
多くの人々に感嘆されてきた。
色彩の画家、マティスとその周辺で活躍した
ルオー、マルケ、ディフィ、ブラック、
ミロやホフマン、ポロックなどから
20世紀に生まれた、新しい造形を紹介する。
(あべまつ要約)

なかでもセザンヌの「鉢と牛乳入れ」が
日本にセザンヌが受け入れられたことがとてもよく理解できた。
岸田劉生のリンゴがここから生まれたのではないかと。
西洋画、というジャンルの色表現の挑戦。
光りと物体を取り入れるための色。
そのことをとても印象付けられた。
マティスは、明るい。軽やか。
ギュウスターブ・モローの教室で学んでいたとは。
新しき絵画を開拓した張本人達の
若く、エネルギッシュな活動に、
ちょっと羨ましい気持ちにもなった。
単純な切り絵のような線と少ない色で
軽快に形と色で作られた「ジャズ」はお気に入りだ。
「私は一枚の絵を見るとき、
 何が描かれているかは忘れてしまう。
 大切なのは線と形と色だけである。」アンリ・マティス
その一言はとても説得力がある。
企画展は7月5日まで。

これからの展示は、コレクション展示
印象派から抽象絵画まで130点!!

両親達が若かった頃、憧れた西洋画家たちの
名品揃い。
モネの「黄昏」の前の椅子に座り、しばし堪能。
母は、「睡蓮の池」の前に腰掛けた。

日本の近代画家達の作品も沢山。
安井曾太郎の小さな絵が6点。
文藝春秋の昭和26年方の表紙絵を飾ったもの。
小品ならではのいとおしさがあった。
関根正二の赤い少年がいて、嬉しかった。

モダンアート巨匠達
ルソー、ピカソ、ビュッフェ、モディリアーニ、
キリコ、カンディンスキー、レジェ
等々が並んで、元気が出る。

そして近代も。
白髪一雄、ザオ・ウーキー
そして、おや、見たことがあるエスニックな香り。
エミリー・ウングワレーと覚えていたが、
エミリー・カーム・ウンワリィ
後で調べたら、やはり同人物で、読み方の違いだった。
2008年に新規購入したそうだ。
コレクションは今も尚充実中なのだ。

7月11日からは夏の企画「うみのいろ うみのかたち」が始まる。
東京駅に近く、洋館の部屋に飾られているような展示で、
とても充足感と質の高いコレクションと出会える、
さすがブリヂストンと思う美術館だった。

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6 コメント

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Unknown (すぴか)
2009-06-26 00:07:03
こんばんは。
ブリヂストンはいつ行ってもいいですね。
何度見てもいい絵、ほんとなつかしい
西洋名画です。
お母さんといらっしゃるなんてすてきです。
うちの娘など一緒に行こうとは言ってくれないです。
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Unknown (遊行七恵)
2009-06-26 12:48:39
こんにちは
やっぱりブリヂストンはいいです。
飽きた、なんてこと言えません。
遅くまで開いてくれているし。

母は家が一番と言う人なので、近所であろうと出たがりません。
それで随分年長のお友達と一緒にでかけるようになり、教養も身につきましたが、ちょっとナマイキに育った、と言われております(笑)。
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すぴか さま (あべまつ)
2009-06-26 22:02:51
こんばんは。

ブリヂストンはちょっとしたオアシス、ですよね。
常々は日本美術に埋没していますが、
時々はいいモンだなぁと思ったのでした。
母達の青春も一緒にいるようだし。

母娘で趣味傾向がまったく違うので、それもまた面白いものです。
お嬢さんを一度お誘いしてみたらいかがですか?ご一緒してくれるかもしれませんよ~♪
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遊行 さま (あべまつ)
2009-06-26 22:07:36
こんばんは。

西洋画のコレクションの中にその時代の日本画家も存在してくれていて、それが嬉しく思うところです。本拠地も一度訪ねたいものです。

我が母は、出たがりやさん。
外に出ることが大好きなのです。
なので、こんな娘が・・・
私よりずっと、ミーハー路線ですけれど。
ウォホン!
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Unknown (もか)
2009-06-29 12:32:42
お母様と美術館、よくご一緒に行かれるのですね~、仲良し母娘さん、羨ましいです!

私も先週行きました、独りでしたけれども…。
モネ、安井曾太郎…目にとまった作品が同じで、なんだか嬉しいです♪
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もか さま (あべまつ)
2009-06-29 21:51:26
こんばんは。

母は東京に出てくると美術館にアタシと行けると思って期待しているようです。
時々だから、お利口に期待に応えております♪

本当なら鑑賞は一人の方がぎゅっと感じられます。もかさんが目にとまったものを私も見ていた、それって、ドキッとしますね。
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