あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

芸大美術館から、東京国立博物館へ

2008-06-12 16:10:56 | アート鑑賞記録
東京国立博物館に行く前に、
芸大美術館で開催中の「バウハウス・デッサウ展」を覗くことにした。

パンフレットの出来がとても魅力的だったので。
1919年にドイツで誕生した造形芸術学校。
33年、ナチスの台頭と共に閉校となるが、
世界中にデザインや建築に影響を与えた学校。

工芸デザインの学校の足跡。
質実剛健、シンプル、直線と曲線、
伝統との決別、新しい色の構築

などなど、楽しい現物との対面ではあったけれど、
竹橋の工芸館で展覧されたら、
どんなだったろうかとか、
も一つ食いつきが薄い、さらりとした展覧で、
パンフレットの出来からちょっと離れてようで、
ちょっと残念。
環境、背景の景色が薄かったようだ。

カリガリ博士の映像とか、当時の映像が散らばって、
壁面いっぱいのバウハウスカラーとか、
もっと、がっつりプレゼンをしてくれたら良かったのに。
デザインとか、建築とかの現場が好きなので、
それなりに楽しめたけれど。

その隣で、「芸大コレクション展」が同時開催されていて、
そちらに入るといきなり、
我らが曽我簫白の「群仙図屏風」が待ち受けていた。
おっと、こんなところに!
東京美術学校の優等生の絵も並ぶ。
杉全 直の「たかげた」
これには、たまげた。
日本にも、こんなにキッチュなシュールを描いた人がいたのかと。
この2作で、私は超ご機嫌。

バウハウス関連の作品も展示され、
工芸の大御所達の作品も、ちらり。
芸大の彫刻の先生をされた、
菊池一雄生誕100年を記念して、
ブロンズ像が十数点紹介されていた。

「たかげた」はテンション上がりますね~
元気になりました。

そうして、同じキャンパス内の陳列館で、
「スロベニアの建築家ヨージェ・プレチク
 ウィーン、プラハ、リュブリャーナにおける創造の軌跡」
という建築家の紹介があり、
せっかくなので、見ることにした。

これは、また楽しいプチ展覧だけれど、
見応えがあった。
彼の紹介映像があって、モノクロで、音楽も仰々しいのがかえって面白く、
最近は映像もしっかり見ることをしないと、
もったいないものだと思った。

家具工房に生まれ、ウィーン美術アカデミーに学び、
プラハ応用美術学校の教授となる。
その後、プラハ城の修復建築。
敬虔な宗教者でもあった彼は、鉄筋コンクリートの教会を建てた。
新しくも重厚で、堅実、尚エレガントなデザインの写真に
うっとりした。1900年から、30年代まで、
集合住宅、プラハ城、聖ミハエル教会、大学図書館、
などなど、近代工芸と、建築の新しい時代を作った人のようだった。
この展覧は、意外な大きなおまけだった。

その後、気分良く芸大を後にし、東博へ、移動したのだった。

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2 コメント

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Unknown (oki)
2008-06-13 21:49:54
芸大美術館のバウハウスは産経主催ですからねー。
広告はおどろおどろしく、カタログは異様に変形でちょっと内容も普通の展覧会と離れていましたね。
ここから東博に行かれるとほっとすることでしょう。
さていよいよ明日から「コロー」も始まりますし、東博は「対決」ですか、春から夏へと変わりゆきますねー。
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oki さま (あべまつ)
2008-06-13 23:05:55
こんばんは。

芸大美術館の企画は、もの凄く感じる時と、
ふわ~っと終わっちゃう時があるのですが、
気のせいでしょうか?
芸大美コレクションが良かったから、
カタログ見るのを忘れちゃいました~

特別展が始まる前の東博が好きなんです。
西洋美術館は常設も充実ですよね。

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