あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

2016年いけばな協会展に参加してきました。

2016-03-19 15:28:31 | 

 新宿高島屋で開催された2016年いけばな協会展に
 今年も出品する機会を頂きました。

 会期は2日から7日まででしたが、
 1期の2日、3日、の展示期間に出品することとなりました。

 花の命は短くて、出品作品は2日で次の作品と入れ替わります。
 出品者の数もその分多い、という事です。

 また、学んでいる、草月流ばかりではなく、多くの流派が参加します。
 それが一番の特徴です。

 去年は愚息の大学受験、ご縁のある夫人が入院し、病状悪化の事態となりました。
 同時期に北海道の祖母の病状の変化があって、いつ北海道に飛ぶのか、
 弟と一緒に行こうと相談していました。
 そんな心配事が重なり、どのようになるのかと不安を抱えていました。
 
 幸い、愚息の大学進学が決まり、祖母も持ちこたえ、
 入院中の夫人も少し安定して無事に花展に参加することができたのでした。
 そんなことがあって、花を沢山使って、お祝い花のような作品としました。

 今年はそんな不安から解放され、もう少し落ち着いて取り組めるかと思っていました。
 ところが、関わっているボランティア活動がとても
 忙しく準備することが多く、バタバタと日々を過ごしていたので、
 正直、真っ直ぐ花に打ち込めるかわからない状況でした。

 とはいえ、準備は進めなくてはなりません。

 花器は、去年見送った夫人の遺品を使おうと当初から考えていました。
 夫人が亡くなって、ほぼ一年の時が過ぎたので、
 去年からの思いをその花器に託そうと思ったのです。
 夫人とも親交のあった方の作品です。

 花の色は夫人の好きな黄色、を使おうと思いました。

 すっかり静かになった夫人宅の佇まいを思いつつ、
 ミモザがお好きだったことを懐かしく思い出しました。

 ミモザは花材として展示するにはちょっと痛みやすい性格があるので
 躊躇しました。
 そこで花屋さんで愛らしい 黄色のラナンキュラスを見つけました。
 花の中心が緑の珍しい種類でした。

 春は枝物が元気です。
 新芽を抱えて芽吹きの時を迎えています。
 小豆柳を使おうと思って、下準備しましたが
 主たる線にするにはちょっと優しすぎて量を増やすことも考えましたが、
 会場の展示は少し高さがあってもいいので、
 振りの大きなしだれ柳を主役にしようと決めました。

 花器のサイズが小ぶりなので、しだれ柳を固定することが難しく、
 添え木を使用してなんとか止まる場所を見つけました。
 
 降り注ぐ緑の春雨に黄色と緑の葉が元気にしてくれる、
 そんな雰囲気を出したいと思いました。

 花材を決めるにあたって、
 我が家でも下活けをしてみたり、
 小豆柳の線を整えたり、花器とも段々慣れてきました。
 
 こうして、少しずつ花展の準備をしてきました。

 作品を展示するまでの過程が大変ですが、
 それも含めての展示です。
 展示する前日がいけこみ、作品を作る日です。
 会場入り前に花店に寄って、注文した花材を引き取りに行きます。
 花材が足りない状況は危険なので、使う材料のほぼ2,3倍、と教わっています。
 生ものなので、どんな状態の花材が来るのか、手に入れてみないとわからないのです。
 
 新宿高島屋会場内の展示するブース前には種々の花材が持ち込まれ、
 これからどんな作品となっていくのか、壮観な眺めです。
 決められた時間内に作品を仕上げねばなりません。
 パワフルに熱気を放ちながら沢山の花人が集合する、
 その雰囲気に飲まれないよう、平常心で向かうことは
 なかなかうまくいくものではありません。
 
 流派の家元クラスのいけこみを拝見したいと常々思っていますが
 なかなかそのチャンスの恵まれません。
 自作のいけこみに振り回され、なかなか他の方々の
 作業を見学する余裕がないのです。

 あっという間に花の御殿のような景色に変わっていくのは
 現場に居る者しか味わえないものでしょう。

 3時過ぎに会場入りし、作品の完成は約2時間後。
 実際のいけこみをしている時間は1時間ぐらいでしょう。
 荷物の整理、花材の準備、水切り、花器のセット、
 いけこみが終われば、花材の後片付け、周りを綺麗に
 掃除し、自分の名札と、花材のメモを受付に提出して終了です。

 この作業をバタバタせずにスムーズに動けるようになるまでは
 やはり場数の体験が重要なのだと思います。
 準備がきちんとしていれば現場で慌てることも少なくなってきます。
 
 また、朝の花の手入れも重要で、
 開場する前に花器の水の取り替え、花材の点検
 くたびれている花は取り替えて、瑞々しさを大切にします。
 
 朝の手入れも開場前8時過ぎには会場入りします。
 その作業がご覧頂く方への責任だと先生自らの行動で
 手本を見せて下さいます。
 私の先生は花展がある度に早朝に会場入りします。
 そういうものだと、教えられます。
 私も一緒に参加した仲間も2日間朝早く手入れに励みました。

 お陰様で、今回も無事に花材が元気を保ったまま、綺麗な状態で
 展示することができました。
 
 拙作をご紹介します。
 しだれ柳、小豆柳、ラナンキュラス、グロリオーサ(黄)、
 タニワタリ(葉)、ゴッド(葉)



 同時に草月流、勅使河原茜家元の絢爛な作品もご紹介します。
 角度によって、こんなに表情が違って見えます。







 また、拙作をご覧になりにお運び頂きましたみなさまに
 この場を借りて御礼申し上げます。

 高校時代の旧友が大学卒業ぶりに訪ねてくれたことも
 大きな喜びとなりました。
 花展があると、久しぶりの友人達と逢うことができる、それも
 大きな楽しみの一つです。
 2日目は朝の手入れから、最後のあげばな、(花を片付けること)
 次の方へ綺麗に場所を渡すことが仕事なので一日中
 新宿高島屋にいる状態なのですが、そんなことも一向に苦になりません。

 今回は同じ教室の方が初出品するということがあって、
 お手伝いすることもあり、会期全体の参加仲間と大変ながらも
 楽しい一時をご一緒できたのも収穫でした。

 来年も参加できるのか、わかりませんが、チャンスをいただけるのであれば
 チャレンジしたいと思います。 

 2日目の拙作



 会場内、同じブースの雰囲気。



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