あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

細川家の至宝 内覧会 ・東京国立博物館

2010-04-25 23:23:37 | 日本美術
月曜日は公共施設がほぼ休館日なので、
上野は静かかと思いきや、
桜の名残もあってか、沢山の人々でにぎわっていた。

その中で東博に吸い込まれる一陣の人の流れ。

「細川家の至宝 珠玉の永青文庫コレクション」展の
内覧会へ吸い込まれていく。
いささかご年配のそれも品の良い方々が目立ったような。

場内は熱気でむんむん。
関係者のご挨拶、テープカットに続いて、
ようやく会場内へとなだれ込む。

最初は大勢の方をやり過ごし、
ぐるり場内を見渡す程度に一巡した。
第一会場は、細川家伝来の品々。
さすが武門だ。
具足の美しいところが立ち並ぶ。
様々な書状、能面、茶道具、

第二会場は護立氏のコレクション。
白隠の乞食大燈像がガツンとお出向え。
こんなに白隠が列挙しているとは驚きだ。
そして、名刀。
近代絵画と西洋絵画コレクション。
ラストに東洋美術コレクションが堂々と
勇壮に末尾を飾っていた。

明治期のコレクションブームの中で、
ひときわ重厚な趣のある収集は
永青文庫を立ち上げた、
細川護立の存在が絶大だったことを
証明するかのようであった。

日本美術を見ていて、今でもその歴史の流れの中に
私達は生きていると実感することがあるが、
細川家の歴史は、なんと鎌倉時代からの武門の名家。
到底下々の知るところではないにしても、
戦乱の細川忠興、ガラシャの名は有名だし、
当代の殿のことならば、もう少し知っている。
熊本県知事を経て、日本新党を立ち上げ、
後に細川政権の党首、総理大臣になった殿であり、
失脚後は晴耕雨読の世界に入り、
奈良の陶芸家、辻史郎氏に弟子入りし轆轤をまわして4年。
あれよあれよと絶品のお茶碗を作る陶芸家となられた。
骨董と白洲正子氏をかじった人ならば
必ず出てくる細川護立は殿の祖父である。
場内にはその護煕氏がラフなスタイルで
こともなげにふらりと色んな方と歓談されていた。
世が世なら、とてもお近づきできる方ではないのに。

永青文庫は、目白の奥深い森のなかでこぢんまりと建っている。
コレクションの華やかさとは離れて、
私立の小さな図書館を目指したような姿で、
その佇まいからして重厚さはなく、
むしろ親しい気持ちにさせてくれる。
護立氏が設立し、
細川家七百年の文化財を所蔵している。

その中の選りすぐりの品々が
今東博平成館に列挙しているということだ。

内覧会の楽しみはその会場内にいる方々も
鑑賞に値するということで、
当代細川家の護煕氏、奥方はもちろんのこと、
地図を見ていると髭の山下裕二先生がいたり、
陶磁器を見ていると
白洲正子氏のお孫さん、イケメン白洲信哉氏が現れたり。

なにしろ幅の広い仏像から陶磁器近代絵画まで楽しめる。
白隠ファンには垂涎の機会でもある。

徳川家の所蔵とは又一味も二味も違う、
文武両道のエリートコレクションを堪能できる
またとないチャンスだと思った。

会期はまだある。
もう一度ならずとも再訪して
一つ一つとしっかり向き合ってきたい。

展示替えがあるので、注意してください。
6月6日まで。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
特別観賞会に行きました (サヨ)
2010-05-01 00:17:56
ツイッターからお邪魔しました。@sayo1756です。内覧会のレポありがとうございました。私も白洲正子さんのファンで、NHKの「知るを楽しむ」のナビゲーターが細川護熙氏だったのがきっかけで永青文庫にも時々行くようになりました。緑が多くていい雰囲気ですよね。行く度にサロンの棚に護熙氏の作品が増えているのも楽しいです。(最初の頃は護立氏が使ってらしたウエッジウッドのティーカップとかが飾ってありましたよね。)私も後期にもう一度ゆっくり観たいと思っています。
返信する
サヨ さま (あべまつ)
2010-05-01 21:20:18
こんばんは。
こちらにもようこそ!

永青文庫は上野で大々的に展覧会をしているににもかかわらず、いつもの展示をしているところが凄いところですね。
白洲正子ファンならば細川家とも縁が深くなりますが、殿と姫の話はとても興味深かいものでした。また殿のお茶碗でお抹茶が頂きたくなりました。これからもどうぞヨロシクデス♪
東博では工芸品の出展が少ないのが残念です。

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