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この本と目があったので、ともかく連れて帰ってきた。
だいぶ前、名古屋で、「高丘親王航海記」のお芝居を観た。
既に澁澤氏は霊界の人となっていたが、
龍子夫人と知り合いを通してご挨拶することが出来た。
あれは、澁澤龍彦へのオマージュ。
四谷シモン氏もいたし、
巌谷國士氏も見えた。
あの時、それがどれくらいの意味を持つ物なのか、
まるでわからなかった私に、今となって、その恐ろしさに気が付くのだった。
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そして、この本が私の手の中に。
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白洲正子さんの「かくれ里」などの編集スタッフに、
夫人の龍子さんがいた影響もあって、
結婚以来、こもりがちだった、龍彦氏を引っ張り出して、
日本を巡るようになったのだそうだ。
本は、今や時の人となった、若冲と縁の深い石峰寺から始まる。
あれだけ世界中の怪奇な話を集めた人なのに、
日本を語っていることに、驚く。
高丘親王を取り上げたのは、自身が多分、
もう命が終わることを予知していたのだろうけれど、
この親王は、865年、天竺へ向かうお話だ。
世界中の様々な物語の集約として、
もう一度、高丘親王と旅をしようと思う。
さて、本は、
観音をめぐり、太平記をたどり、信長や、佐々木道誉を旅し、地獄絵を覗く。
天王親王の寺、文学者との語り、浄土の世界へ誘われ、
ついには古道を歩いて、高丘親王の寺高野山で終わるのだ。
何も考えずに、若かった時から、手当たり次第に手にしてきた本の点が
時を経て、次第に根を張って、あちこちとつながり、
それがつまりは私の色となっている。
白洲正子が太い幹となり、つながる様々な枝が煌めいてくる。
三島も、澁澤も谷崎も、江戸川乱歩、夢野久作、寺山修二、川端康成、
青山二郎、柳宗悦、シュールな人々。
ニヒルな笑いの中に、底なしの孤独と暮らす、その人の美の探究、
バカバカしいほどのストイックなしつこい真面目な生き様。
そこに、一筋縄ではいかない真実が見えてきそうだ。
このような人たちの残したものの、なんという力。
その力に触れることができる幸せ。
それこそが私の原動力となっているのだ。
神と、自然と、エロス、そこから、誰もが呪縛され、解放されたいのだ。
いや、呪縛されていることを承知して、癒されたいのだ。
ち、ち、ちょっと、重いお話、お付き合い感謝。
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五十を迎えてから澁澤が日本回帰し始め、昭和初期の風俗も含んだ回想記『狐のだんぶくろ』あたりから本格的になったなーと思います。
高丘親王が上梓されてしばらくした頃、美輪明宏のコンサートのチラシに、なかにし礼が親王(澁澤)へのオマージュを書いていました。
今でも大事にしています。
それは、スゴイ経験をされたと思います。
私は既に妖怪の住む世界の親王となってからでした。
海外の文化にはまった人が日本に戻って、
深く歴史と神々と共になるのは、
日本の神様がこれと思う人を選んで、
たぶん琵琶湖あたりから引っ張るのでしょう。
生きる妖怪、美輪明宏は死んでいく気がしません。
不死の薬ででも飲んで、
「そして船は行く」になるのだろうと思っています。
今ちょうど白洲正子さんの「西国巡礼」を読んでいました。白州さんと澁澤さんの関係は知らなくて、
しばらく澁澤さんから離れていましたので、とてもうれしいです。
私も美術館めぐり大好き、いつもブログ散歩して参考にさせてもらってます。
ありがとうございました。
私の拙い本の感想で、お礼を言って頂けるなんて、恐縮です。コロナブックスですから、写真が多いので、
文章としてはもの足らないかも知れませんが、
澁澤氏の高貴な臭いにやられます。
まだまだ知らないことだらけで、恥ずかしいことばかりですが、恥をさらしても、楽しく生きる方法は結構沢山あることを今頃、知ったような気がしてます。
またお気軽にお立ち寄り下さいまし~。