阿部ブログ

日々思うこと

世界最大の京葉シーバース

2012年03月18日 | 日記
昭和41年6月、京葉臨海工業地帯に立地する極東石油工業㈱をはじめとする石油精製4社(出光興産㈱、富士石油㈱、丸善石油㈱(現コスモ石油㈱))は、原油タンカーの巨大化の趨勢に対処するために十分な水深を有する海上バースの設置が必要であると結論。タンカーなど大型船舶の東京湾における航行安全の問題などを考慮し、4社共同で海上バースを設置する事で意見が一致。

この4社合意を受けて海上バースの建設協議会を設置し、共同バース建設の経済性等の検討を行い、国土交通省、経済産業省、千葉県など行政機関とも摺り合わせと調整をしつつバースの規模、位置、建設時期、工法等の具体的検討が行われた。

昭和41年11月には、極東石油など4社の代表が会合し、海上バース建設、管理に当たるための新会社設立が決定され、昭和42年2月10日「京葉シーバース㈱」(所在地:千葉県袖ケ浦市長浦拓1-1-18)が設立。

4社共同の海上シーバースは、昭和43年7月31日完成。8月11日に初めてのタンカー「飛燕丸」が着桟。

参考までに京葉シーバース着桟時の基準がある。着桟時の条件については、バースに接近する着桟速度を毎秒10センチで船の重心位置とバース中心線のずれを表す偏心距離を15メートル以下。バース法線と船側線のなす着桟角度を0度から6度までで、進入する船首尾方向の速度ベクトルとバース法線とのなす進入角度を0度から12度までの各範囲と定められている。
日出前及び日没後の着桟は原則として行わない。

また着桟時の制限条件については、風速毎秒13メートル以上、波高1メートル以上、視界不良時、電気嵐(所謂「雷」)が発生しているか、または接近しつつあるとき、また京葉バースの運用責任者がその時の気象条件から船舶を着桟させることが危険とみなすとき、千葉港長の命令があった場合には着桟させない。
それと着桟舷については、東バースは左舷着桟、西バースは右舷着桟としている。

また、着桟速度は、進入角度が0度から15度の範囲で計測できる超音波船舶接岸速度計を各外側ブレスティングドルフィンに設置し、表示された速度を京葉シーバース側からトランシーバー及び着桟スピード信号灯により着桟する油送船の船長に連絡。

因みにこの海上バースを建設したのは鹿島建設。

京葉シーバースは、千葉県市原市袖ヶ浦沖合8キロの東京湾に浮かぶ細長い桟橋で、積載重量トン20万トン級タンカーを、西バースと東バースの両バースに2隻同時着桟させる事が可能なドルフィン式で、規模は全長470m、幅50m、水深20.5mであり、毎秒70mの風速に耐える構造。これは世界最大。

京葉シーバースは、水深20.5mの水域に、直径0.6~1.5mの大小255本の鋼管杭を海底下支持層60mまで打ち込み、直径120センチ(48インチ)の3本のパイプラインで4製油所に送っている。

しかし何故、4製油所に送るのに3本のパイプライン?
出光興産と富士石油にはそれぞれ1本のパイプラインがあり、もう一本は極東石油に向かい、同製油所からコスモ石油向けに分岐する。
ので、京葉シーバースからのパイプラインは3本。

この京葉シーバースから出るパイプラインは「特別移送配管」と行政用語では呼ばれ、年1回パイプの状態を調査し千葉県の消防局に報告する。勿論、海底のパイプラインの状態も潜水士の視認により状態確認を行っていると言う。

昨年8月21日に、この京葉シーバーすに世界最大のLNG船「エネルギーホライズン号141」(136G/T、LOA=300m、LNG積載量/175,000㎥)が着桟。

世界最大の「エネルギーホライズン号141」は東京ガスが自社運航管理する液化天然ガス船で、これで6隻目。同船は9月2日就航後、オーストラリアのガス田と日本(京葉シーバース)を年15往復し、年120万トンのLNGを運搬する。凄い

東京ガスの「エネルギーホライズン号141」は、東京湾横断道路東水路に達するまでに速力を調整し、同東水路中央第3号灯浮標を通過するころ針路を京葉シーバースの沖合に向けつつ水先人乗船位置に至り、水先案内人が乗船後その教導により、京葉シーバース南端から1海里ばかりのところで5隻の引船を左舷側に係止し、世界最大のLNG船の速力を約3ノットまでに減速しつつ、京葉シーバースの100メートルないし150メートル沖合でバース法線に平行になるように進行し、一端京葉シーバース沖合に達して停止したのち、引船に押させて着桟速度を毎秒10センチ以下に保ち、同時に着桟角度を6度以内におさめ、さらに偏心距離が約15メートル以内におさまるようにして着桟した。

今回は石油精製プラントの視察をさせて頂いたが、次回は是非とも世界最大の京葉シーバースを視察したいものだ。

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