クリミア半島で大規模な停電が発生し、ロシアが非常事態を宣言している。
クリミアは、ウクライナから電力供給を受けているが、高圧送電線2基が破壊されていると言う。ウクライナの人口は約200万人で、190万人が影響を受けているという。これは深刻だ。予備の発電機で電力を供給しているようだが、予備の発電機は往々にして動かない可能性がある。予備だと定期的な検査・保守がおこなわれないのは、容易に想像でききる。また停電で燃料供給にも支障をきたすだろう。
クリミアは、電力だけでなく、実は水の供給もクリミアから受けている。例えばクリミア北部の水道施設や用水路が破壊されると水の供給に重大な影響を与える事になる。流石に水が無いところに住めないので、クリミアからの人口流出が加速する事も懸念される。既にクリミアでは灌漑システムが十分に機能しておらず、農業生産が減っている。
しかし、ウクライナは逆にロシアから電力を輸入している。今年の夏にロシアからの電力輸入を再開したのだ。ロシアの電力会社「InterRAO」社は、ウクライナの「ウクルインテルエネルホ社」へ売電している。卸価格は900フリブナ/MWh。ウクライナの火力発電のコストは、95コペイカ/kwでロシアから買ったほうが経済的なのだと言う。
もし今回の送電線破壊がウクライナ民族派の仕業だとすると、ロシアがウクライナへの電力供給を中止する事も想定される。それでなくてもウクライナの電力システムは不安定なのに~クリミアもロシア併合後、ハイパーインフレに襲われており42%以上だと言う。世界最悪だ。生鮮食料品などは、ロシアからの海上輸送に頼っており、これに停電では市民の苦境はいかなるものか…
最近『ブラッド・ランド』と言う本を読んだが、ウクライナ、ベラルーシ、バルト3国、ポーランドは、ボルシェビキがソビエト政権を樹立してから、ドイツ第三帝国崩壊の1945年まで約1400万人が虐殺されたことを詳細に書かれている。この地は文字通り地に塗られており、ロシアに対する恨み・憎しみが無くなる事は無いだろうことが良く理解できる。