阿部ブログ

日々思うこと

中国の資源戦略 ~レアアース、チタン、バナジウム~

2011年12月21日 | 日記
中国の国家国土資源部は、レアアース・鉄鉱国家計画鉱区を指定している。

「レアアース・鉄鉱国家計画鉱区」は11か所。この11鉱区の合計の面積は 2,500km2、レアアース埋蔵量は760千トン(推定)。この11鉱区以外にも四川省攀西地区をレアアース国家計画鉱区を設立する計画があるようだが手元に情報は無い。この攀西地区・攀枝花と白馬の未開発部分と周辺地域にバナジウ&ムチタン磁鉄鉱が存在しており、その予想埋蔵量は136億トンで面積は約460平方キロメートル、年産能力は1683万トン(推定)。

 ①竜南重レアアース第一計画鉱区
 ②竜南重レアアース第二計画鉱区
 ③尋烏軽レアアース計画鉱区
 ④定南中レアアース計画鉱区
 ⑤コウ県(北)中レアアース計画鉱区
 ⑥コウ県(中)重レアアース計画鉱区
 ⑦コウ県(南)中レアアース計画鉱区
 ⑧安遠中・重レアアース計画鉱区
 ⑨信豊(北)中レアアース計画鉱区
 ⑩信豊(南)中・重レアアース計画鉱区
 ⑪全南中レアアース計画鉱区、である。

レアアースは勿論の事、チタンとバナジウム資源の資源保護が目的。特に鉄鉱資源は、中国にとって特に重要な鉱物であり、同鉱物の輸入に対する依存度が高まり依存度もついに50%を超えている。この為、中国政府は国内の鉄鉱資源の探査にに注力する。この為の鉄鉱国家計画鉱区設立であり、鉄鋼採掘管理を厳密にしつつ長期的計画を策定し粛粛と執行する方針。

中国が圧倒的に優位性を誇る鉱物資源には、

①イオン吸着鉱:
この鉱物から得られるレアアースで、特にカン州の中・重希土類は、世界でもカン州からしか産出ない元素があるため、極めて重要。

②バナジウム・チタン磁鉄鉱:
攀枝花・西昌両地区は、バナジウムチタン磁鉄鉱資源が集中する世界的にも特異な地域。この地域のバナジウムチタン磁鉄鉱は推定96億トンで、その内バナジウム資源埋蔵量は1861万トン、チタン資源埋蔵量は約6億1800万トンである。

今回の中国政府の動きは、資源開発及び採掘による森林破壊から、土壌汚染、採掘残渣や廃棄物による環境破壊が広範囲に及んでいる背景があるが、従来の開発は生産は行わない方針であり、日本企業において必要な資源の安定的な調達確保は今後難しくなる。この為、海底資源などの開発を促進する必要がある。

レアアースはともかく、チタンとバナジウムも厳重管理対象資源となった今、資源代替と脱中国を加速せねばならない。