フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

特別講演会を開く

2005-11-30 12:57:59 | research
昨日は科研グループ主催、JALT共催で「日本語教育の教室談話と会話分析」という題目で特別講演会を開催しました。昨年の12月に行ったAmy Ohta先生(Washington University)に引き続き、2回目になります。今回は、G.Kasper先生(Hawai University at Manoa)と西阪仰先生(明治学院大学)にお話をお願いし、3時間30分にわたる講演となりました。

Kasper先生は小柄で、赤くて短い髪で、よくうごく目がとにかくやさしい先生という印象。先生はFaerchとのコミュニケーション・ストラテジー研究から始まって、語用論、そして現在は会話分析による言語習得研究を行っています。私にとっては何よりもコミュニケーション・ストラテジーの論文が興味深いわけですが、意外に心理言語的な分野の研究が蓄積されず、社会言語学が強くなっていったことと先生の関心の推移というのは関係があるのかもしれないと思いながら、会話分析概論を拝聴していました。

西阪先生は若々しい青年のようで、物腰も柔らかく、それは柔軟で創造的な研究態度をも表しているような印象。具体的な会話例の検討をしてくださいました。時間が足りなくなって教室談話については少ししか分析ができなかったのですが、さすがに良い点を突いていると感心しました。

先生は頻繁に会場の参加者の意見を聞いていましたが、会話分析がじつは会話に関する複数研究者のダイアローグの中から解釈の可能性を拾い出し、ありうべきメカニズムを探し出す作業なのだということを目の当たりに見せてくれたように思います。会話分析の対象はほぼ母語場面であり、研究者もまた規範を共有していることが多いのですが、直感を共同作業の中に持ち込むことで間主観性を確保する必要があるのだろうと思います。会話分析の人は否定しますが、ここにさらにフォローアップ・インタビューを付け加えるともっと共同作業の次元が広がるだろうとは思うのですが。

終了後、コアのメンバーにザトラウスキー先生も加わって遅い夕食に向かいました。ここでも面白い話題で盛り上がったのですが、それはまたいつかということに。ぼくは咳がなかなか取れないのですが、ザトラウスキー先生から咳止めの飴を2個もいただいてしまいました。
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