フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

岳麓書院探訪

2005-11-23 00:51:20 | visiting hunan uni
翌日は11月。朝から午前中いっぱい授業を見せて頂き(日本人の先生の中級の授業も見学させてもらいましたが、よく学生を掌握している良い授業でした)、それから日本語学部が入っている外国語学院(日本の大学で言う学部)の学院長や英語学の先生方との昼食会に英語で臨みました。それから先生たちに連れられて、湖南大学の中に立つ岳麓書院を訪ねました。

ここは朱子学の祖、朱熹(日本では朱子)が教鞭を取った世界最古の大学施設だそうです。1976年で創立1000年となったということで、その後に江沢民が「千年学府」と名付け、門のところのそんな看板が掲げられています。当時、朱熹ともう一人の教師が演壇の椅子に並んですわって教えたということで、椅子が二脚置かれていました。その先生二人の話を生徒たちは中庭の石の上に座って聞いていたのです。教師2名によるダイアローグが思索の基本となっていたことは面白いですね。千葉大の日本語教育学ゼミも、ネウストプニー先生がいらっしゃった時から伝統で2名の先生が入ってやっています。学生の立場からはわかりませんが、私には新しい視点が生まれることが多々あり、とても貴重な時間だと思っています。

朱熹が書いたものかわかりませんが、建物の柱には学問を励ます言葉が掲示されています。1つには、学問は十分に議論をしたあと、一人で山に登り、清浄な大気の中で内省することにより深まる、といった言葉がありました。何という励ましの言葉でしょう。朱子学のことも、朱熹のことも、私にはわかりませんが、その教えていた場所を訪ねると、彼がとてもバランスの良い大常識人であり合理的な思考の持ち主だったように思います。

なお、岳麓書院は1000年学府だと言っても、建物まで1000年前のまま残っているわけではありません。戦争のとき、岳麓山に立てこもった中国軍に対して、日本軍は砲火を浴びせ、1日で赤い山肌にしてしまったそうです。岳麓書院もそのときすべて消失しています。

門を出る前に古代楽器による演奏の部屋に入り、銅鐸、笛などの音楽を聞かせてもらいました。最後には「北国の春」まで演奏してくれたものでした。
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