フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

接触場面を語る

2005-11-20 00:03:30 | visiting hunan uni
10月31日のお昼は日本語科に関わる先生方との食事となり、湘江の向こう側に広がる中心街のホテルに行きました。日本人の先生も3名、M先生を始めたくさんの湖南大の先生などテーブルが2つありました。

私の隣の席には湖南大を引退して近くの大学にいらっしゃるという周先生です。周先生は、話を聞いていると、じつは湖南だけでなく中国の日本語教育を築いた第一人者であることがわかりました。先生は文化大革命の前から北京大学で日本語を学ぶこととなり(それも小さい頃から周囲に日本人がいたのだそうです)、文化大革命がまだ終わっていない1970年代前半に日本語の教科書を出版するなど、多くの業績をお持ちなのです。ちょっと驚いたのですが、まあいろいろ聞いておこうと上のような話を聞いていました。先生は今も漢字を共有する中国人だからもっと中国人に即した日本語教育方法があるのではないかと話されていました。そう、これは考えても良い事柄だと思います。

その後、出てきたすっぽん鍋料理をすすめられたので、どの部分をたべるべきかと聞いたところ、箸で取ってくれたのは脚でした。先にはちゃんと爪がのぞいています。私はこれまで基本的に内臓系や皮系などに関心を持つことなくミート(しかも脂肪もだめ)だけを食べる人でしたが、中国の日本語教育の第一人者のおすすめですから、これは食べなければと覚悟を決めました。どこが賞味すべき所かというと脚の皮と肉の間の半透明なジェラチン状の部分なのですね。美味というよりは栄養があるということなのかな。とにかく爪の手前までは食べたのでした。

午後はM先生とそれから学生さんのR君とで湖南省博物館に眠る貴婦人を見学しました。R君はそこのボランティアの説明員の資格を持つ人で、英語も堪能で、ほんとうによく説明をしてくれました。夕方、3人で餃子を食べ、それから湖南大に戻って7時から講演会に臨みます。

演台のうえには赤い横断幕が張られて、「熱烈歓迎 千葉大学○○教授」とあります。「熱烈歓迎」というのは私はそれまで単に慣用句であって、それほど熱烈でなくてもこういう言い方をするのだろうと思っていたのです。しかし、湖南の3日で考えを変えざるを得なくなりました。たぶん、型どおりの熱烈歓迎もあるのでしょうが、お客さんに対しては基本的に中国では本当に「熱烈」なのです。気持ちはとても熱いし、その熱さはきっと熱烈歓迎予算として具体化されているのだろうとも思います。

とにかくそこで「接触場面と日本語教育」という題目にして、いつも千葉大学でやっている授業の一部をお話ししたのでした。もしかしたらこのときが少なくとも湖南で「接触場面」という言葉が伝えられた初めての時だったかもしれません。
コメント
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