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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

美濃部達吉先生を追憶する(1948年7月)

2022-07-02 02:40:46 | コラムと名言

◎美濃部達吉先生を追憶する(1948年7月)

 部屋の片付けをしていたところ、『国家学会雑誌』の第六二巻第七号が出てきた。一九四八年(昭和二三)七月一日発行で、「特輯 美濃部先生の追憶」と銘打たれている。
 表紙は、目次を兼ねていて、次のようになっている。

   特輯 美濃部先生の追憶

行政上の争訟        東京大学名誉教授 故美濃部達吉
美濃部先生の業績        東京大学教授  宮沢 俊義
美濃部先生と新憲法       東北大学教授  柳瀬 良幹
美濃部先生の比較法的硏究    東京大学教授  鵜飼 信成
美濃部先生の行政争訟論     東京大学教授  田中 二郎

国家学会雑誌    第六十二巻/第 七 号

 冒頭の「行政上の争訟」は、美濃部達吉の「遺稿」である。
これらの文章のうち、まず、田中二郎の「美濃部先生の行政争訟論」を紹介してみたい。かなり長いので、何回かに分けて紹介する。なお、その一部を、割愛する可能性がある。

 美濃部先生の行政争訟論  田 中 二 郎

         
 美濃部先生は、新憲法の制定後、いちはやく、新憲法概論を、次いで新憲法逐条解説と新憲法の基本原理とを公にされ、最後に日本国憲法原論を出され、新憲法の理論的体系を明らかにされた。そして、それに引続いて、日本国憲法原論の姉妹篇ともいうべき行政法の執筆にとりかゝられた。ところが、その稿の半ばにも達しないうちに、遂に病にたおれられた。先生の行政法は、行政上の争訟の極く最初の部分で終つている。新憲法の下における行政法の理論的体系は遂に未完成に終ったのであるが、その中の行政争訟論が先生の絶筆となったのである。本誌の巻頭を飾つているのが、それである。
 先生の書き残されたのは、行政上の争訟に関する極く一少部分の説明に過ぎないので、どういう構想の下にそれを体系づけようとされていたか、必ずしも明らかでない。新らしく行政事件訴訟特例法が制定され、漸く行政争訟制度が形をととのえようとするに至つた今日、まず先生の整然たる体系的考察に接することができれば、学界にとつてはもとより、実際の実務家にとつてもどれほど有益であつたろうかを考えると、かような極めて狭い一面からだけでも、今更ながら、先生の逝去を悼み先生の偉大な存在を偲ぶ情切なるものがある。ただ、先生は、新憲法の下における行政争訟制度の基本原則については、新憲法に関する著書の中に、若干触れられているほか、別に新憲法の下における行政争訟について、比較的簡単ではあるが、二三の論文を執筆されている。新憲法と行政裁判(自治研究二三巻一〇号一頁以下)、憲法に於ける行政争訟(法律タイムズ九号一〇頁以下)、新憲法に於ける行政と司法(法律時報二〇巻四号)がこれである。これらの著書論文を通して、先生の行政争訟論の極く大体の輪廓を察知することができる。
 ここでは、行政争訟に関する主な論点について、これらの著書論文に現われた先生の見解を紹介するとともに、それに対する若干の感想を書き加えることとしたい。 【以下、次回】

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