◎この戦争下で観るべき映画
連日、戦争の報道に接している。この戦争下で観るべき映画を選んでみた。
第一に、『博士の異常な愛情』(コロンビア、一九六四)である。これは、核戦争の危機をリアルに描いた映画である。
核戦争の危機が迫る中で、アメリカ合衆国のマフリー大統領(ピーター・セラーズ)とタージドソン将軍(ジョージ・C・スコット)が、衝突する場面がある。これは、一九六二年のキューバ危機の際に、ケネディ大統領とルメイ将軍、パワー将軍との間で起きた衝突を再現したものといわれる。映画の結末は述べないが、おそらく、これ以上に怖い戦争映画はない。
第二に、『インナー・サークル 映写技師は見ていた』(コロンビア、一九九一)である。ロシア出身のアンドレイ・コンチャロフスキー監督が、スターリン体制下のソ連の内幕を描いている。観ているうちに、背筋が凍りつく。
アメリカ映画だが、ソ連崩壊直後の一九九一年に、モスクワで撮影されている。最後、スターリンの葬儀に群衆が殺到するシーンが凄かった。何年か前に、ソニーピクチャーズ発売のVHSで鑑賞したが、今ではDVDも出ているもよう。
第三には、『ヒトラー~最期の12日間~』(ドイツ、二〇〇四)である。ベルリンが陥落し、ヒトラー総督が自殺したことによって、ナチスドイツは崩壊した。なぜドイツは、それ以前に、降伏しなかったのか、なぜヒトラーは、最後まで権力を奪われなかったのか。独裁政治というものの恐ろしさが実感できる映画である。