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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

高橋太郎によるアスペクト研究小史

2022-03-08 02:04:15 | コラムと名言

◎高橋太郎によるアスペクト研究小史

 金田一春彦編『日本語動詞のアスペクト』を紹介している。本日以降、同書の巻末に置かれている、高橋太郎執筆「解説 日本語動詞のアスペクト研究小史」(三二九~三六〇ページ)を紹介してゆきたい。高橋太郎(一九二七~二〇〇六)は言語学者で、この「研究小史」を発表した当時は、国立国語研究所員。
 本日、紹介するのは、同小史のうちの「もくじ」と「はじめに」である。

  〔もくじ〕
 はじめに 
 松下大三郎1901「日本俗語文典」,1924「標準日本文法」など 
 三矢重松1908「高等日本文法」など 
 春日政治1918「尋常小学国語読本の語法研究」 
 小林好日1927「国語国文法要義」1941「国語学の諸問題」
 佐久間鼎1936「現代日本語の表現と語法」
 宮田幸一1948 (1943)「日本語文法の輪郭」など 
 金田一春彦1950 (1947)「国語動詞の一分類」,1955 (1953)「日本語動詞のテンスとアスペクト」
 三上章1953「現代語法序説」,風間力三1955 「『てゐる』のいひ方」など
 鈴木重幸1957「日本語の動詞のすがた(アスペクト)について――~スルの形と~シテイルの形」,1958「日本語の動詞のとき(テンス)とすがた(アスペクト)――~シタと~シテイタ」
 楳垣実1958a「『時』の考え方・表わし方」,b「『相』の考え方・表わし方」,c「『様態』と『動作態』」など
 藤井正1966 「『動詞+ている』の意味」 
 教科研国語部会1963「文法教育」,明星学園国語部1968「にっぽんご 4の上」
 森田良行1968a 「『行く・来る』の用法」,寺村秀夫1969「活用語尾・助動詞・補助動詞とアスペクト⑴」,会津洋1973「アスペクト的観点による日・仏語動詞の対比考察」など
 野村雅昭1969「近代語における既然態の表現について」など 
 高橋太郎1969「すがたともくろみ」 
 吉川武時1973 (1971)「現代日本語動詞のアスペクトの研究」 
 SUGITA Emiko 1971 “Tense and aspect of verbs in adnominal clauses in Japanese”など  
 まとめ
 文献(おねがい)

 は じ め に
 この小史は,松下大三郎1901「日本俗語文典」からはじめる。
 それ以前にも,あつかいはともかく,日本語動詞のアスペクトに関係した記述がなかったわけではない。佐藤良雄1962「文典用語の相互影響――特に動詞過去の用語について――」によれば,「国文典における『完了』という語の出現」は三土忠造1898「中等国文典」で,松下1901の3年まえである。もっとずっとさかのぼれば「ロドリゲス大文典」1604(土井忠生1955三省堂)は,「あげてござった」「読うでござった」を,「コイヤード日本語文典」1632(大塚高信1934坂口書房)は,「あげてござる」「あげてござった」 などの形式をすでにとりあげている。
 本格的な研究史を編さんするためには,外国人学者の研究や国学のながれなども,みわたさなければならない。また,諸外国における諸言語のアスペクト研究や一般文法論の影響についても考察し,世界のアスペクト研究の歴史のなかでこれを位置づけなければならない。しかし,これらのしごとは筆者のちからのおよぶところでないので,今回の解説では,これらにふれるのをさしひかえる。

「はじめに」のところに、三土忠造(みつち・ちゅうぞう)の名前が出てくる。この名前は、むしろ政治家として知られている。三土忠造(一八七一~一九四八)は、香川県尋常師範学校を卒業し、小学校教員となったあと、東京師範学校を主席で卒業した。その後、政治家となり、文部大臣、大蔵大臣等を歴任した。国立国会図書館には、三土忠造著・芳賀矢一閲、冨山房発行『中等国文典』の各版が架蔵されている。それらの奥付によって、同書の初版が、一八九八年(明治三一)に発行されたことが確認できる。

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