ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

卒業の日に訪ねて

2018-03-23 19:16:44 | 「育」業


3月23日金曜日。
当地周辺では、特別な事情がない限り、今日が小学校の卒業式。

昨年3月まで勤務していたところから案内状はもらっていたが、どうしたものかと迷っているうちに締め切りを過ぎてしまった。
あやまりながら出席の連絡をした。

久しぶりにかつての出勤ルートを車で進む。
1年もたつのに、懐かしいというより、当たり前の感じで体が勝手にハンドルを回す。
今日は、あいにくの雨だ。
せっかくの晴れの日なのになあ…。

1年前まで勤めていたということで、一緒に勤めていた職員とも何人かと会う。
だから、足を止めて話をした。
ただし、今日はほとんどの人が自分のすべき仕事をもっているから、話せた人はそんなに多くはなかったが。

式場となっている体育館に続く廊下には、卒業生たる6年生たちが列となって並んで待っていた。
その横を通ろうとすると、私の姿を見つけて「おおー。」とか「うわあー。」とか声を出して笑ってくれた。
すてきなほほえみだ。
今日の巣立ちの日にふさわしい、輝きのあるほほえみだ。
そして、進学する中学校の制服に身をくるんだ彼らの、なんと大きくなったこと。
普通の大人と変わらない背丈に成長していて頼もしい体つきになっていた。
笑って歓声を上げてくれる彼らに対して、思わず片手を上げてハイタッチしながら歩いてしまった。
こちらも、最高の笑顔で応えながら。

式場の体育館に入ると、入場を見守ってくれる在校生の子どもたちの目がこちらに注がれていた。
子どもたちの中には、何人も手を振ってくれる子がいた。
「久しぶりだね。ぼくは元気だよ。」
「わたしは、ここにいるよ。」
とでもいう気持ちを表しているかのようだ。
手を振る子どもの顔って、どうしてこんなに可愛らしくいとおしいのだろう。
なるべくたくさんの子どもたちの顔をみながら、案内された席に着いた。

さっきまでの笑顔は忘れたように、緊張した面持ちで入場する卒業生たち。
歩む方向を変える時の動きのぎこちなさが初々しい。

式は淡々と進んだ。
壇上に進み、呼名を受け、返事をし、卒業証書を受け取る。
壇上に立った一人一人の姿に、かつてかかわっていた時の様々な思い出がよぎる。
過ぎてしまえば、どれもこれも笑い話に過ぎなくなっていることがうれしい。
そのためにした苦労なら、した甲斐があったというものだ。

外は相変わらずの寒い雨が降っている。
体育館は芯から冷える。
しかし、卒業生たちの、緊張感に包まれながらも凛々しいその姿を見ていると、心が温かくなる気がした。

そして、式はクライマックスへ。
卒業生と在校生が向かい合って、別れの言葉を交わし合う。
一人で言う言葉は満場に聞こえるように。
皆で言う言葉は声を合わせてそろうように。
言葉の合間には、在校生の合唱があり、卒業生だけの合唱がある。
言葉も、歌も、いい声だった。
ピアノ伴奏をした子どもたちも、ミスなく弾き通した。

卒業生退場。
卒業生たちは、まだかたい表情で、しかしやり終えて一部ほっとした顔で、堂々と退場していった。

私たちも退場。
案内されながら式場を出て行く。
またたくさんの子たちと手を振り合いながら。

さようなら。
こうして皆がそろっている時に会いに来ることは、もうないだろう。
どうか、皆、元気で。
1年1年、大きくなっていくんだよ。
そして、今日の6年生のように、数年後それぞれここを巣立っていくんだ。
元気でね…。


迷ったけれども、やはり今日は参加してよかった。
自分に手を振ってくれる子たちがいた。
かかわっていた子たちのたくましい成長ぶりを見ることができた。

皆、焦らなくていいから、一歩ずつゆっくり未来に向かって進んでほしい。
祈りを込めるようにそんな願いをつぶやきながら、式場を後にしたのだった。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 太平洋側で降雪の日に春を見... | トップ | 花見RUNのシーズン到来 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

「育」業」カテゴリの最新記事