午後から雨が降る、という予報を信じて、午前中に走りに出た。
走りに出るなら、先日、一度熊出没のニュースはあったが、走り慣れたところを走りたいと思った。
例年なら10月下旬に咲く花を見たかった。
今年は気温が高いのでひょっとしたら今頃咲いているのではないか、と考えた。
走って行くと、確かに湿地地帯の何か所かに咲いていた。
一時期絶滅危惧種にも指定されていたという、オオニガナの花。
ここにも何度か書いたことがある。
いくつか見かけたが、なかにはひょろっと伸びて、人間の子どもくらいの草丈の高さにまでなっているのもあった。
よかった。
やはりオオニガナの花、咲いていたよ。
こんなに秋が進んでから咲く野草の花としても珍しいよなあと思いながら、会えたこと、見られたことに満足した。
走っている周囲の木々の紅葉も、さすがに11月、進んできたなあと思いながら走りを続けていた。
すると、ポツリ、ポツリ…。
あららら…。
なんと、予報より早く雨が降り出してしまったよ。
まずいなあ。でも、このくらいならまあ大して濡れないだろう。
まずは、家まで約3km半を、早く帰ろう。
そう思って道路に出て走っていたら、降り方が急に激しくなってきた。
完全にザアザア雨。
あっという間に、着ていた長袖ランニングシャツは、びしょびしょになってしまった。
あーあ、と思ったけれども、降り出した雨の中を走るのは嫌いではない。
大会に出ているときに雨に降られたこともあるし、時には雪に降られながら走ったこともある。
面白いもので、雨が降っているときに走り出そうとは思わない。
だけど、走っているときに雨が降り出しても、走るのをやめようとは思わない。
どうせ汗をかいているのだから、雨で濡れたって構いやしない。
どうやら落雷の危険性は低そうだ。
今日は気温だってそんなに低くはないから、このまま濡れてあと3km走って行こう。
そう思っていたときだった。
私が走る歩道に、白い車が寄ってきて窓が開き、声をかけてきた。
「乗っていかない?」
声をかけてくれたのは、高校時代の同級生C男さん。
半年ぶりくらいの再会だったが、こんなびしょびしょの体で乗っては座席が濡れるし、なにより自分は雨を気にせず走っていたから、走り続けたかった。
「ありがとう。でも、このまま走るから大丈夫。すみません。」
そう言って、乗せてもらうことを拒んで走り続けた私であった。
ごめんね、C男さん。
ところが、雨に負けずに走っていたら、天の神様は「こしゃくな奴め」と思ったのか、その直後からさらに強い土砂降りの雨をお降らせになった。
歩道も、あっという間に水たまりが浮いて、そこに大きな雨粒がぴしゃんぴしゃんとはねていた。
風も横なぐりに吹いていて、とんでもない条件の中のRUNになってしまった。
非常に過酷な降り方は、幸いその数分後に少し弱まったが、ずうっと雨は続いていた。
家に帰り着いたときには、ほっとした。
思っていたよりもスピードが出てしまったから、時間がたってから急に疲れてきた。
雨中RUN。
キャップからシューズまで全身ずぶ濡れとなってしまったが、なんだか日常と違う走りは楽しかった。
ピッチピッチ、チャプチャプ、ランランRUN、…ってか!?
(おあとがよろしいようで…。)