昨日で東日本大震災から12年。
干支でいう、ちょうど「ひと回り」。
それだけの時間を経ても、まだまだ解決しなくてはいけない問題が多いことこの上ない。
特に、福島県には原発のことがあるから、震災のほかに人災と言える被害の影響が多く残っている。
なかでも浜通りの方はひどい被害を被った。
その地域に、Jヴィレッジ…日本サッカーのナショナルトレーニングセンターがあった。
だが、被災によって、そこも、全面閉鎖され、国が管理する原発事故の対応拠点となっていたこともあった。
部分的に再開されたのは2018年7月28日からで、同年9月8日には新しい全天候型練習場の利用が始まったが、この建物は、実は東京電力が原子力発電所立地地域の地域振興事業の一つとして総工費130億円を投じて建設し、福島県に寄付した施設だったとは、あまりよく知られていなかった。
そんな立派な施設がありながら、福島県には有力なサッカーチームがなかった。
だが、現在J3には福島ユナイテッドFC、J2にはいわきFCというクラブがある。
特に、あの大震災の後でどんどん大きくなり力を伸ばしてきたのが、浜通りのいわきFCだ。
設立されたのは、大震災の翌年2012年。
2013年に「一般社団法人いわきスポーツクラブ」を設立し法人化した、いち地方のサッカークラブに過ぎなかった。
それが、順調に進化を遂げてきた。
2015年 福島県社会人サッカーリーグ3部東ブロック
2016年 福島県社会人サッカーリーグ2部
2017年 福島県社会人サッカーリーグ1部
2018年 東北社会人サッカーリーグ2部南
2019年 東北社会人サッカーリーグ1部
2021年 日本フットボールリーグ(JFL)
2022年 J3リーグ
2023年 J2リーグ
それぞれのカテゴリーでほとんど優勝しながら上がってきた。
とんとん拍子の出世である。
だが、ここまで来るのには、しっかりしたビジョンを持ち強化を続けてきたからだ。
そのことについては、去年ここで書いたこともある。
また、理念については、クラブのHPを見てもらうとよくわかるが、しっかりしている。
昨季J3に上がると、すぐにJ3優勝を果たしたいわきFC。
ここまで順調に進んできたが、今季昇格したJ2では3試合戦って1引き分け2敗と、なかなか勝てずにいた。
第4節は、同じ東北の雄、ベガルタ仙台とのアウェイ戦だった。
3月12日にベガルタ仙台といわきFCの一戦が組まれるということは、やはり同じ被災県どうしの戦い。
ここには、込められた意味があると感じていた。
東日本大震災からの“復興応援試合”だ。
震災発生から12年と1日が経過した日に、スポーツの試合ができるというのは、平穏な日常生活ができている象徴だ。
いい試合を期待した。
今日のその一戦は注目され、NHK-BS1でも放送があった。
期待したように熱い試合となった。
ベガルタ仙台のホームでの戦いだったが、いわきが堂々の戦いを見せ、1-0で仙台を破って、J2初勝利を挙げた。
2季前にはJ1にいた仙台に、2季前にはJFL所属だったいわきが勝ったのである。
素晴らしい躍進ぶりだ。
いわきFCのホームタウンは、いわき市だけでなく、双葉郡広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村、浪江町など、特に原発関連で大きな被害を受けた浜通りの自治体名が並ぶ。
いわきFCの活躍は、地域の人々にとって、きっとこれからも大きな希望の灯となるに違いない。
J2でのさらなる大暴れを期待したいと思うし、そう願っている。