娘とは、軽いリュックを背負って、近くのスーパーへよく買い物に行く。
車で行くのは簡単だが、トレーニングを兼ねてということで、わざと回り道をして歩数を稼いでいる。
買い物をする際には、チラシをよく見た妻が買うものを書いたメモを持っていく。
また、娘がそれを見て買うのも、日常化へのトレーニングの1つだと考え、私は娘の買い物を補助している。
すべてかごに入れた後、レジで支払いをするのは私の役となる。
少し前のことだが、こんなことがあった。
その日も、同様に、メモを見て買い物を済ませた。
ただ、レジで商品の金額を1つ1つ声を出して確認している店員さんの声を聞いて、私は「あれっ?」と思ったのだ。
安売りの徳用チョコの袋を2種類買ったのだが、1種類が値引きされていなかったのだ。
そこで、私は、店員さんに「このチョコ、安売りのはずなのに、値段が違います。値引きされていません。」と申し出た。
今日の特売品であることを確認するために、店員さんは、少し役職が上なのかなという店員さんを呼んだ。
新たに来た店員さんたちは、二人で何度か確かめてみたが、機械を通すと、その袋は金額が高く打ち出される。
「どうやら、消費期限内ではあるけれど少し古い袋が混じっていたようで、金額が違っていたようです。」ということだった。
そして、「クレジットカードでのお買い物でしたが、データは変更できないので、差額を現金でお返ししてもいいですか?」と言うので、「はい、いいですよ。」と答えた。
さっき駆けつけた店員は、今度は、自動支払機を操作して現金を返金できるようにしようとした。
ところが、新しい自動支払機はなかなかうまく操作できない。
「お客さん、すみません。サービスカウンターへ行って、現金を持ってきますので少し待ってください。」と言って、サービスカウンターの担当者に説明するために、チョコの袋を持って走って行った。
私は、思わず娘と顔を見合わせ、首をすくめた。
少しした後、件の店員さんが、戻って来た。
「お客さん、ご迷惑をおかけしました。何度も何度もすみませんでした。」
そう言って、私に差額の小銭を渡し、何度も謝った。
「いやあ、機械が悪いんだからしようがありませんよ。かえって、いろいろとありがとうございました。」
と、私は店員をなぐさめ、現金を財布に入れて立ち去ろうとした。
その時、娘が言った。
「チョコは…?」
ん?
そうだ。差額は受け取ったが、肝心のチョコの袋はもらっていなかった。
店員さんは、「あらー、本当だ。申し訳ありません。」と言って、またサービスカウンターまで走って行って、チョコの袋を持って来た。
差額も大事だが、買ったはずのチョコが手元にないのでは、買い物にならない。
笑ってしまった。
普通に仕事をして働いている店員さんたちより、付き添いでついてきている私より、病気になった影響で短期記憶に難がある娘が、一番しっかりしていた。
まったく、どっちが記憶障害をもっているんだろうねえ…。
「お前のおかげで助かったよ。」
何度も苦笑いをしながら娘に感謝した私であった。
車で行くのは簡単だが、トレーニングを兼ねてということで、わざと回り道をして歩数を稼いでいる。
買い物をする際には、チラシをよく見た妻が買うものを書いたメモを持っていく。
また、娘がそれを見て買うのも、日常化へのトレーニングの1つだと考え、私は娘の買い物を補助している。
すべてかごに入れた後、レジで支払いをするのは私の役となる。
少し前のことだが、こんなことがあった。
その日も、同様に、メモを見て買い物を済ませた。
ただ、レジで商品の金額を1つ1つ声を出して確認している店員さんの声を聞いて、私は「あれっ?」と思ったのだ。
安売りの徳用チョコの袋を2種類買ったのだが、1種類が値引きされていなかったのだ。
そこで、私は、店員さんに「このチョコ、安売りのはずなのに、値段が違います。値引きされていません。」と申し出た。
今日の特売品であることを確認するために、店員さんは、少し役職が上なのかなという店員さんを呼んだ。
新たに来た店員さんたちは、二人で何度か確かめてみたが、機械を通すと、その袋は金額が高く打ち出される。
「どうやら、消費期限内ではあるけれど少し古い袋が混じっていたようで、金額が違っていたようです。」ということだった。
そして、「クレジットカードでのお買い物でしたが、データは変更できないので、差額を現金でお返ししてもいいですか?」と言うので、「はい、いいですよ。」と答えた。
さっき駆けつけた店員は、今度は、自動支払機を操作して現金を返金できるようにしようとした。
ところが、新しい自動支払機はなかなかうまく操作できない。
「お客さん、すみません。サービスカウンターへ行って、現金を持ってきますので少し待ってください。」と言って、サービスカウンターの担当者に説明するために、チョコの袋を持って走って行った。
私は、思わず娘と顔を見合わせ、首をすくめた。
少しした後、件の店員さんが、戻って来た。
「お客さん、ご迷惑をおかけしました。何度も何度もすみませんでした。」
そう言って、私に差額の小銭を渡し、何度も謝った。
「いやあ、機械が悪いんだからしようがありませんよ。かえって、いろいろとありがとうございました。」
と、私は店員をなぐさめ、現金を財布に入れて立ち去ろうとした。
その時、娘が言った。
「チョコは…?」
ん?
そうだ。差額は受け取ったが、肝心のチョコの袋はもらっていなかった。
店員さんは、「あらー、本当だ。申し訳ありません。」と言って、またサービスカウンターまで走って行って、チョコの袋を持って来た。
差額も大事だが、買ったはずのチョコが手元にないのでは、買い物にならない。
笑ってしまった。
普通に仕事をして働いている店員さんたちより、付き添いでついてきている私より、病気になった影響で短期記憶に難がある娘が、一番しっかりしていた。
まったく、どっちが記憶障害をもっているんだろうねえ…。
「お前のおかげで助かったよ。」
何度も苦笑いをしながら娘に感謝した私であった。