3104丁目の哀愁と感傷の記録

日々生きてます。自分なりに。感じた事を徒然に書きます。素直に。そんな人間の記録。
since 2008.4.4

屋久島リベンジ④ ~白谷雲水峡編~

2013-08-05 21:04:48 | 
20130805


ようやく屋久島日記も終わろうとしている…

屋久島日記3日目。

昨日に、日本が誇る自然遺産である縄文杉をしかとこの目に焼き付けた。
疲労は溜まっていたような気がするが、この日も歩き回る気満々であった。

さて2日目は…
ここしかないでしょう。

屋久島に来る前からずっと夢見ていた場所である。


本日は白谷雲水峡である。むしろこっちの方が楽しみだったかもしれない。

昨日と同じように注文しておいた登山弁当を受け取る。
この日は縄文杉登山と違い、3時起きなんてことはなかったので、朝ご飯は食べていくことができた。

しかし、様子がおかしい…
外を見ると…

雨ふっとる…


しかもシトシトと降っているのではなくて、いわゆるザーザー降りである。
宿から出るのをためらうほど強く雨が降っていた。

あわててザックのカバーをレンタルする。

しかし、降水で有名な屋久島である。こんなこともあろうかと、レインウェアもしっかりと用意してきたのだ。
しかも白谷雲水峡はちょっとくらい雨降っていたほうが、しっとりとして綺麗そうじゃないか!
などと自分を合理化させつつ、雨の中バスに乗り込む。

宿の前から出ている同じバス停だが、昨日の屋久杉自然館行きのバスではなくて、
白谷雲水峡行きというバスも出ていて、そのまま入り口までバスで行くことができるのだ。

バス停でバスを待っていることもできないくらい雨が強かったので、バスが来るのを見てからダッシュ。

バスに乗ると何か所か停車するものの、30分ほどで白谷雲水峡の入り口に到着する。
その間、どんどん山道を登っていくのだが、雲は行かないほうがいいですよって言っているような厚い雲。
先ほどのザーザー降りに比べたらシトシト降りになっては来ていたが、
山道をぐんぐん登るにつれて、霧がどんどん濃くなり、周りが見えないという状況。

で、入り口に到着。

入り口には少し高台になっている喫煙所がある。
そこでレインウェアを着用し、準備を整える。
その時には雨はだいぶ止んでいたので、少し安心したのもつかの間…

入り口の受付に行き、入場を告げると、衝撃の返答が返ってきた。

白谷雲水峡は、4つのコースが存在する。

①弥生杉コース…所要時間1時間弱。白谷雲水峡のコースの最初の5分の1くらい。さつき吊り橋まで。

②楠川歩道コース…所要時間1時間40分。白谷雲水峡の半分くらいまで。

③原生林コース…所要時間3時間。奥まで行くメインコースからは外れるが、たくさんの有名な屋久杉を見ることができるコース。

④太鼓岩往復コース…所要時間5時間。白谷雲水峡のもっとも奥まで行く一番有名なメインコース。
ここにかの有名なもののけひめの舞台となった場所と言われる“苔むす森”や、最後の最後の展望台?である太鼓岩をめぐるコース。

本日は、さつき吊り橋の川が大雨のために相当量増水しているため、①の弥生杉コースまでしか行くことができない、とのことであった。

白谷雲水峡に来たからには、絶対にもののけの森に行きたかった。そして太鼓岩からの景色を眺めたかった。

しかし、弥生杉コースはかなりゆっくりと回っても1時間もかからない。

弥生杉コースまでしか立ち入ることができないがそれでもいいか、とのこと。

まあ、せっかく来たのにまったくの手ぶらで帰るのもそれはそれでもったいない。

ということでしぶしぶ納得して入った。俺は寄付金ということでお金を払ったが、これは任意みたい。
けどこれでこの環境が少しでも長続きするなら払うべきだと思うけどね。立ち入ろうとしているわけだし。

歩道は雨できらめいていて、涼しくとてつもなくマイナスイオンを浴びている気がするが、
残念ながら俺の気持ちはもののけの森を見れなくなってしまったことで気分は下がりっぱなしだった。

ほどなく弥生杉に到着。まあ立派だったが、昨日縄文杉を見てしまっていたからか、感動は薄かった。

その後さつき吊り橋に到着。で下を見ると…

これ以上は立ち入らないほうがいいなってくらいの川の流れであった。
激流。とてつもない量の水がごうごうと轟音をとどろかせながら下ってい行く。

岩途中の帰り道では岩の坂を下る。そして入り口に戻ってきた。40分くらいかな…


しかし、どうしてもあきらめがつかなくて、入り口のスタッフに、今日これから天気が良くなったら、奥まで入れる可能性はあるのかと聞いてみた。
立ち入り禁止が解除される時間もわからないし、これから解除されるかどうかも分からない。
何せ、自然が相手だから、とのこと。それはそうだ。

ここでひたすら待っていてもしょうがないので、一度宿に戻った。
入り口でお金を払った人にはパンフレットが貰えた。そこにここの入り口の電話番号が書かれていた。
わずかな望みを天気に託す。
少しでも可能性があるなら、それに賭けたい。電話番号を大事に持って帰る。

宿についてシャワーを浴びていると比較的天気が良くなってきた。晴れとまではいかないが、雨は止んだ。
雲水峡の中で食べることができなかった登山弁当を宿で食べる。


そして望みを託し、電話をする…




答えは…




なんと立ち入り禁止は解除されたとのこと!
条件はあった。

コースから外れる原生林コースは未だ水量が減らず、立ち入り禁止のままになっていた。

しかし、もっとも奥まで行ける太鼓岩コースに行くことはできるとのこと。

昨日屋久杉は散々見たし、この際、もののけの森と太鼓岩を見ることができるのなら万々歳である。

ただ、また急に雨が降ったりして、川の水量が上がった時点で立ち入り禁止になるよ、とも言っていた。


よし、善は急げである。

速攻で準備をし、飛び出すように出発。
バスに乗って30分、再び白谷雲水峡の入り口に。


念願だった太鼓岩コースに心躍らせながら奥へと進んでいく。

やはり雨が降った直後だからか、足場は悪かったが、草木がしっとりとしていてとても気持ちがいい。
歩いているだけで健康になりそうな光景である。
何より、俺の気分が先ほどとは全く違った。

岩には序盤の段階で苔が蒸していて、一面モスグリーン。これがとても美しい。
辺りはうっそうとした森なので薄暗かったが、途中に大きな切り株があり、そこに座るとちょうどそこに光が差し込みとてもきれいだった。


途中小川を渡るのだが、水量も流れも激しくなく、難なくわたることができた。
ここが一番の心配どころだったからね。ここ渡っちゃえばもう奥まで行くことができるだろう。

モスグリーンに染まるごつごつとした岩を流れる小川は、今にもヤックルが降りてきそうな光景であった。

くぐり杉を抜け、苔色に染まった歩道を歩き続けると、ようやくそれはあった。

今はもののけの森という看板はすべて撤去され、“苔むす森”という名前になっている。
その理由は、映画もののけ姫のモデルになったということで一躍有名になってしまい、観光客が激増し、環境の劣化が著しいとのこと。

その景色は圧巻であった。
本当に一面緑色に森が染まっている景色は圧倒的。

しばらく景色を眺めていた。


ここでゴールでもよかったのだが、ここまで来たら最後まで行ってしまおう、ということで最後の目的地太鼓岩へと向かう。
地図を見ると苔むす森から太鼓岩までは近いように思えたが、実際に向かってみると、道は急こう配だし、意外と時間がかかってここが一番疲れた。
太鼓岩までの道は結構迷いやすく、ピンクの目印が木にくくりつけてある。これがなかったら絶対に遭難するな…

ヘロヘロになりながらもようやく太鼓岩に到着。
いや~ここまで来れてよかった… 一時はどうなることかと思ったけど。

天気はあいにくの曇り空だったが、それでも展望台としては申し分なく、屋久島の山々を見下ろすことができた。
ガイドブックとかでよく見る、横にある枯た白い木?も見ることができた。

風が強くてめちゃくちゃ怖かったのだが、ぎりぎりまで先端へ行ってみる。
そしてそこに座ってみた。

気持ちいい。景色は最高だ。


… さて帰ろうかという頃になって雷がゴロゴロとなり始めた。山での雷は本当に危険である。

惨事にならないうちに早めの下山を試みるが… どんどん雲は黒くなり始め…

帰り道の苔むす森を通り過ぎたあたりで、急にザーーーーーーっとまるで突風が吹いたかのような音がし始めた。

一瞬それが雨の音なのかわからなかったが、気づいた時にはすでに手遅れなほどの強い雨であった。

そして一瞬で辺りが真っ暗になった。
加えて、雨の音が強すぎで、ザーーーーという轟音のほかに何も聞こえない。

初めて山の中で怖いと思った。
ここまで恐怖を感じたのは初めてであった。
山の恐ろしさを知った。

あわててレインウェアを着ようとしたがそれすら間に合わないくらいの大雨だったので一瞬でびしょ濡れになった。
雷も絶えずゴロゴロなっている。

もうここまで来たら来ても着なくても同じである。
そのままレインウェアを着ないでびしょびしょに濡れたまま大急ぎで下山。
一言もしゃべらず、ただただひたすら急いで下山。
途中の川も増水して帰れなくなって取り残されてしまうんじゃないかという不安もあったが、ここは何とか通過することができた。

この時間は相当辛かった。

何とか生きて生還することができた。
ようやく入り口に戻り、先ほどの喫煙所でびしょ濡れの服を脱ぐ。
しかし下の替えはなく、下着もびしょびしょの状態。ズボンは足にひっついてとても冷たい。
寒くて仕方ない。このままでは絶対に風邪をひく。

バスを待って乗車。そのバスの中もご丁寧に冷房が効いていて、体を丸めて耐える。

宿に戻ったら速攻濡れに濡れた服を脱ぎ棄て、大浴場に。
これほどまでに気持ちがいい風呂を久しぶりに味わった気がする。

宿には靴の乾燥機が取り付けてあり、靴下までぐしょぐしょになった靴を突っ込み乾燥させる。
一回100円だった気がするが、3、4回やった気がする。


富士山の後の風呂と同じくらい気持ちがよかった、屋久島3日目であった。


その後とは食事をして、洗濯タイム。なんと宿にはコインランドリーがついていることが判明した。

雨でぐしょぐしょになった洗濯物を入れようとするが、考えていることは皆同じようで、一向に空かない。

結局洗濯が終わったのが1時くらいになってしまった。
それから乾燥機に入れたんだけど全然かわいてねーし…


4日目。東京に戻る朝。

この日は帰りの飛行機が11時くらいったので、ちょっとだけどこかに行こうかと計画していたが、結局どこにも行けなかった。
だらっと起きて飯を食ったらいい時間であった。

洗濯物は何とか乾いていた。馬鹿でかく思いザックを担いで東京まで帰る体力が残っていなかったので、
必要最低限のものだけ残し、後は宅急便で郵送してしまった。

手ぶらで何とも楽になった。

かなり余裕を持たせて宿を出発。
宮之浦から何度も乗った自然館行きのバスで空港へと向かう。あぁ、これでとうとう屋久島ともお別れか…
最高の3日間だったな。

自然を体中で感じることができた3日間であった。

こんど行くときは海のほうも少し攻めてみたいな。ウミガメとかをぜひ見てみたい。

屋久島リベンジ③ ~世界遺産・縄文杉編~

2013-08-04 20:56:13 | 
20130804

屋久島2日目

いよいよこの日は縄文杉に会いに行く。

なんとまさかの3時起きである。

この位の時間に起きないとバスがないのである。
しかも一本しかなく、これを逃したら縄文杉登山に行くことはできない。

おそらく早朝に出発し、午後の5時くらいには下山しないと、真っ暗になってしまい、戻ってこれなくなってしまうのだろう。
前日の夜に準備は一通り済ませていたので、眠気以外は比較的順調に進んだ。

昨日の段階で注文していた登山弁当を、宿のフロントで受け取る。
この弁当を受け取る辺りからわくわくする気持ちが高まってくる。潰されたりこぼれたりしないように注意しながらザックに詰め込む。

縄文杉登山では登山届というものを提出することが義務付けられている。
記入しておいた登山届も提出し、準備万端。
バス停は宿の目の前にあり、まずはここから「屋久杉自然館」という場所まで行かなければならない。

真っ暗な中、バス停の前で逃すまいとバスを待つ。なんていったって逃したら行けないからね。

ほどなくしてバスは来た。客は我々のみ。
運転手のオッチャンはやたらハイだった。

しばらく真っ暗な屋久島の道をバスで移動。景色なんて全く見えない。まだ4時だからね。

途中オッチャンがバスを停め、我々に話しかけ始めた。
なんとこの日は種子島の宇宙センターでロケットが打ち上げられる日だったのだ。
しかも我々がバスに乗っている時間にちょうど打ち上げられるとのこと。

オッチャンはそのことを告げ、打ち上げが見えるスポットにバスを停め、デジカメで撮影準備をし始めた。
テンションがやたら高く、はしゃいでいる。
こういうゆるい感じがとてもローカルっぽくて楽しい。
ロケットは真っ暗な空を、まばゆい光を放ちながら突き抜けていった。
偶然いいものが見れた。

その後1時間弱バスに揺られ、少し空が白んできたころ、屋久杉自然館に到着。
さらにここからバスを乗り継ぎ、「荒川登山口」まで行かなければならない。
ここがいわゆる縄文杉登山の入り口である。

この荒川登山口までのバスは、先ほどの道とは違い、うねうねと山道を行く。
極度の眠気もあり、うとうとするのだが、遠心力が強すぎて振り回され、寝るどころじゃない。

30分位、バスに振り回され、登山口に着いたのは6時ごろ。
ようやく空は明るくなっていた。

準備運動を軽く済ませ、朝食。
朝食は、先ほど宿でもらった登山弁当である。意外と食欲はあり、ペロリと平らげた。
端っこで一服を済ませ、いざ出発! 昨日携帯灰皿も購入し、万全である。

縄文杉までは片道5時間の道のりである。


やはり世界遺産である屋久島、その中でも特に人気がある縄文杉。
登山客が非常に多かった。
我々は人ごみが究極的に嫌いなので、少し時間をずらし、人が少なくなってから出発。

登山の序盤はひたすらトロッコ道という、かつてトロッコが走っていたという線路の上をひたすら歩く。
登山のように傾斜がある道を進むわけではないが、この道がひたすら3時間くらい続くので、結構疲れる。

途中、景色が開けたり、
両脇に何もない橋を通ったりと、歩いてるだけでも刺激的であった。

ガイドブックで読んだ情報でヤクシカに遭遇することもあるとおいうことだったので、ぜひ見てみたいと思っていたが、
そんな心配は無用だった。
ヤクシカには何匹も出会った。
しかも人懐こく、結構近づいても逃げない。
普通のシカに比べると小柄でかわいらしい。天敵があまりいないからであろうか。

3時間くらいひたすら歩き、途中休憩所を見つける。
この位になってくるとアブが周りをブンブン嫌な音を立てて飛び回っていても平然としていられるようになっていた。

トイレを済ませ、一服を済ませ、湧水を思いっきり頭から浴びる。
キンキンに冷えた水がとても気持ちがいい。
この時点でシャツ絞れる位汗だくだからね。

後半の2時間は登山道。傾斜が激しい道を登っていく。

途中、“翁杉”を見た。以前の台風で倒木してしまい、今はその亡骸を残している。
気の中はすでに死んでいたというが、縄文杉ももう長くはないのだろうか…

次に立ち寄ったのは、“ウィルソン杉”。
ハートマークで有名な木の洞窟である。
写真を撮ったら、ポストカードになってもおかしくないようなショットが撮れた。
何とも神秘的な空間であった。

途中座り込んで、登山弁当を食らう。
体を動かしているので腹は減っており、何とも美味しかった。

その後、“大王杉”、“夫婦杉”を見て行って、体力的にもピークに達したころ…


やっと会えたよ。
君に会うために片道5時間かかった…


目の前にはあの縄文杉が。

思っていたよりもデカい。何より太い。

そして真っ白な見た目からは、それがすでに杉には全く見えなかった。
何か違う種類の木にしか見えない。
確かに7000年の迫力があった。これまで屋久杉を何十本も通り過ぎてきたが、彼らなんて赤ちゃん、せいぜい青年くらいだろう。
おじいちゃんのどーーん!とした圧倒的な存在感に心打たれた。
っていうか、本当にあれがこれまで見てきた屋久杉と同じ種類なのか…
やつらも7000年も経てばあんな風になるのか…

7000年って… 7000年前は日本はどんな感じで何があったんだろう。
こいつは7000年前からここにて、7000年間ずっとここで時間の流れを見続けていたのか…
そう考えると悠久の時間を感じる。
人知れずこの屋久島の山奥で、こいつは一体何を見てきたんだろうな。

縄文杉には展望デッキが2か所設置されているのだが、片方のデッキは閉鎖されていた。
よりよく見えるほうだったので残念だったが、その理由は、倒木の危険があるため。
現在、縄文杉は修復作業等が行われているらしいが、もしかしたら縄文杉ももう長くはないのかもしれない…
今ここで見ることができてよかったのかも。
見た目は翁杉と同じくらい真っ白だからな…

記念撮影を済ませ、帰り道へ。
帰り道はめっちゃ飛ばした。

途中のトイレ休憩ぐらいしか休憩せず、後はひたすらすっ飛ばして帰った。
なんか中途半端にちょくちょく休んだりすると逆に疲れそうだし、そもそももう目的を果たしたし。
景色は行きに十分楽しんだし。


行きは5時間かかったが、4時間弱で登山口まで到着。

また荒川登山口戻って、寄付をする。屋久杉のストラップをもらうことができた。

屋久杉自然館までのバスもあまり待つことはなく、スムーズに乗ることができた。
行きはグロッキーだった山間バスも、帰りは爆睡。

屋久杉自然館から宿までのバスは結構待った、30分位かな。
自然館のレストランなんかもすでに閉まっていたのが残念。
飲み物とアイスはぎりぎり買わせてくれた。

その間、飲み物を飲んだり、アイスを食ったりしながら、登山の行程と、やり切った自分に浸っていた。

宿に戻ったら真っ先に風呂。マジで気持ちいい。

その後はちょっと早い飯。マジで美味い。

たばこを吸いに外に出ると、星がきれいに見えていた。

この日は本当にやり切った感で一杯であった。
俺は確かにこの目で縄文杉を見た。


明日はいよいよ、もののけ姫の舞台となった“白谷雲水峡”である。


屋久島リベンジ② ~屋久島ぐっると一周編~

2013-08-03 20:44:28 | 
20130803

屋久島1日目。

寝不足感甚だしい中、のそのそと浜松町のホテルを後にする。
モノレールで羽田空港に向かう。モノレールでは座ることができたため、ゆっくりと景色を見ながら移動する。
だだっ広い平原に工事中の場所が多く見える。
空港の周辺である。あと10年もすればホテルが立ち並んでいるのであろう。

今回の屋久島旅行に関しては並大抵ではないほどの思い入れがあった。
なんせ去年断腸の思いで行けなかった場所である。
空港は一体どんな感じなんだろうか。
街並みはどんな感じなんだろうか。
そして屋久杉登山道、白谷雲水峡はどんな感じなんだろうか。
一年間待って、ようやく実際に屋久島に降り立つことができる。

まずは鹿児島空港まで2時間程度のフライト。
寝てたような気がする。よく覚えていない。

トランジットで屋久島空港へ。
この時間は結構待たされた気がする。よく覚えていない。
覚えているのは、ゲートが開くと、小さいバスの中に押し込められ、
ジェット機とはほど遠い、セスナ機くらいの小さい飛行機の前につれてこられたことだ。
さすが、屋久島。これで行くのか。

そしていよいよ屋久島空港へ。
飛行機を降りると、まだあのだだっ広い空間。
スコットランド、カンボジアに引き続き、実際に飛行機から降りて、歩いて空港の建物まで行くスタイル。
このスタイルがとても好きだ。その土地に着いたって気がする。

天気も快晴で申し分ない。
真夏の快晴だったので暑いくらいであった。

空港の建物に入る。びっくりするくらいの簡易式の空港であった。
まずは一服するために外へ。
真っ青な空がとても気持ちがいい。
エネオスの向こうには雄大な山々が広がっていた。

完全な個人旅行フリープランのため、これから何をするか、全く予定がない。
とりあえず動こうということで、足が必要になる。

レンタカーの電話番号に片っ端から電話を掛けるが、いずれも一杯で貸せないとのこと。
もう諦めようとした10件目、ようやく一番小さい車を貸してくれるところがあった。
スズキレンタリース。借りるオフィスは空港から20分ほど離れた宮之浦にある。

そこまでの移動はバス。
バスが車で少し時間があったので、空港の近くにあったインフォメーションセンターに立ち寄る。

明日の天気を確認し、明日縄文杉を見に行くことに決めた。
荒川登山道行きのバスの往復チケットを購入する。なんかいよいよ旅が始まった感じで楽しい。

バスに乗り込み、しばらくは車窓の景色を楽しむ。降りる場所は“宮浦小学校前”という場所。
降りてスズキレンタリースまでどういったらいいかとガイドブックを開こうとした瞬間、後ろから、
“スズキレンタリース行きたいの? そうしたらこう行って、こう行って、こう行けばいいよ!”
とバスの運転手がわざわざドアを開けて教えてくれた。
なんて優しいんだ…というか何でおれがスズキレンタリースに行こうとしていることがわかったんだ…
まさか…やつはエスパー…?
なんてことを思っていたら、なんと俺が持っていたガイドブックの裏表紙にスズキレンタリースの広告が載っていて、
それを見ていた俺を見て、ご丁寧に教えてくれたのだ。なんて親切なんだろう…

スズキレンタリースには無事到着し、赤いフィッツを借りることができた。
車を運転するのは久しぶりで不安はあったがまあ、大丈夫だろう。
大通りに出てみると、車の数は少なく、天気もいいので何とも運転しやすい。
絶好のドライブ日和である。
車を走らせるとすぐに腹が減ってきた。

よし、昼飯にしよう。

せっかく屋久島に来たんだから、屋久島の特産品を食したいものだ。
屋久島で有名でまず食べたいものが…
トビウオである。

宮之浦にある食事処に入り、メニューを見るとトビウオの天するとらの定食があった。
即決。

加えて、磯の味がかおる“亀の手”なるものを見つけた。
これも興味本位で注文した。なんかの番組で見たことがあったような… とにかくおいしいって言ってた記憶がある。

運ばれてきた天ぷらは骨や羽(?)の部分までからっからに揚がっていて何とも美味しかった。
サクサクの衣の中は白身魚で、米が進む。

そしてなんといっても亀の手。
これを世界で最初に食べようと思った人間は相当に勇気があると思う。それほどにグロテスクなものが運ばれてきた。
まさに亀の手のようなどす黒い、貝のような、いやフジツボのようなものの塩茹で。
店員が食べ方を説明してくれた。
先っぽの爪のようになっている部分を力技でばきっと割って、そこからどす黒い周りの皮をくるくると剥いていく。

するとこれまたグロテスクなピンクとも紫ともつかない貝のようなものが飛び出してきて、それにかぶりつくのだ。

恐る恐る食べてみると…

めちゃくちゃ旨い。
これはもう半端じゃなく旨かった。
かぶりつきまくって20本くらい食べた。

食事処の下の一階がお土産屋になっていたので、明日の登山用に携帯灰皿などを購入。
お土産を買うにはまだ早い。だってまだ屋久島について2時間くらいだし。

腹も満たされ、再び車を走らせる。とりあえず屋久島を車で一周してみよう。宮之浦から西に向かって一周しようと試みる。


しばらく車を進めると、東シナ海展望所という場所を発見。
車を停められる場所があったので、そこでしばし景色を眺めた。
そこまでも青い海と、青い空。絶景かな。

再度車を進めると、屋久島灯台の看板を発見。
車を止める駐車場っぽいところがあったので、そこに車を止め、灯台に向かう。

そのわずか15分程度の歩きで、屋久島の洗礼を受けることになった。

常にアブのブーーーーーンというあのいやな低音がまとわりつく。
目の前を黒いアブがぶんぶんと飛び交い、顔や腕にはすぐ虫が止まる。
たかが蝶々が目の前を通過するだけでびっくりする。
だってめちゃくちゃでかい。飛び方も、パタパタという感じではなく、ワッサワッサという感じ。
モスラのようだ。
しかし歩けども歩けどもつかない。もしかしたらあれは駐車場じゃなかったんじゃないか…
引き返す時もまたあの虫たちの洗礼を受けなければならないと思うとゲンナリした。

最初から車で行けばよかった。
対向車が来たら絶対にすれ違えない道を通って灯台に到着。

灯台は青い空に真っ白な灯台がとても栄えていて、きれいだった。

屋久島灯台を後にし、車を進めると、西部林道という道に入っていった。

この道がすごい。本当に山道だ。

対向車が来るたび、車を止めないというけないほどの細い道。
日の光も入らないようなうっそうとした森の中をグネグネと走っていく。

しかもここは本当に林道なので、動物がいたるところに出没する。
一番よく見かけたのは屋久島の固有種、ヤクジカ。

我が物顔で道路に悠々と飛び出してくる。

こちらをじっと見つめる顔がとてもかわいい。

ガイドブックにヤクジカのことが書いてあって、見れたらいいな、なんて思っていたが、そんなことは忘れるくらいに
あちこちで見ることができた。

次にいたのはサル。サルも結構いて、そこらじゅうで毛づくろいをしている。


この道を運転するのは結構疲れた。
山道というのと、なんか陰からシカが飛び出してきそうな気がして常に意識しながら車を進めた。
けど、もとはと言えばこの道は彼らのものなんだもんな…

長い林道を抜けると、見つけたのは屋久島有数の滝、大川の滝。
大川の滝と書いて、“おおこのたき”と読む。

これは想像していたより迫力があった。やはり滝などの自然は写真で見るより生で見るほうがよっぽど感じるものがあるようだ。
しかも結構滝壺のほうまで行くことができて、いい写真を撮ることができた。
メッチャ暑かったので、滝壺にダイブしたいくらいだったが、あれまで我慢…
車に戻るとアブが車の周りに取り巻いていて怖かった。奴らは熱に反応するらしい。


そしていよいよ車は本日、俺が最も行きたかった場所へ。
ここは一年前にも絶対に行こうと思っていた場所。

平内海中温泉である。

階段の上に車を止め、タオルをもって突入。



駐車場には一台原付が止まっており、“原付で日本一周中”と書いてあった。
面白そうな奴が先客である。

ここは混浴であり、水着着用禁止である。
ということはこんな真昼間に入ることは相当に勇気がある行為になる。
奥さんと一緒に行ったんだけど、奥さんは待っていることにした。
まあ、俺は入る気まんまんだったし、先に入っていたのは男だったから余裕だったけど。
女性は結構きついかもね。
こんな時男は楽だね。男に生まれてよかったと思う瞬間かもしれない。

そして、俺が最後の一枚を脱いで全裸になろうとしたその時…

なんと家族連れが普通に入ってきたのである。
普通にってのは、服を着て、足湯なんかしてやがる。
それはやっちゃいけないことだろ…

家族連れには中学生くらい?の年頃の娘さんもいて、俺が丸出しで見せつけてやってもよかったんだけど、
それはさすがにできなかったし、ルールを守っている俺がこそこそと岩陰に隠れるハメになった。

あれはやっちゃいけない行為だと思う。ってかよくできるな、ああいう無神経なことが。
だから看板にあんなにはっきりと明記してあるんだろう。それが守れないなら入ってくるべきじゃない。
俺ももっとゆっくり入りたかったし、何より俺の奥さんが待っていたのだ。
奥さんはここのルールを守って待っているのに対して、その気持ちに堂々と踏み込むような真似をされて腹が立った。
ああいう大人にはならないようにしないと。

さっさと帰れよって雰囲気と目で伝え続けた。

やっと消えてくれて、堂々と全裸になり、温泉につかる。さっきまで岩場の隅にいたから普通に海中で結構冷たかったんだよ。

ようやく、温まれると思ったが、そんなに温かくはない。ぬるま湯って感じかな。
けど目の前が普通に海で、波と一緒に入ってくる海水が気持ちいい。
そして目の前は大海原なので、ロケーションは最高である。
加えて、家族連れが帰った後は、俺一人だけ。
この最高の景色の温泉を独り占めである。

全裸であるからかもしれないが、開放感がやたらすごかった。

ちなみに料金は100円。
屋久島の全行程でここが一番印象に残っている。実は。

平内海中温泉は屋久島の真南に位置する。

平内海中温泉を後にしたのは3時くらい。
レンタカーは17時に返却だったので、東に車を進め、残り半周に入る。

途中コンビニにより、たばこ買ったり、消毒液かったり(温泉で足を切った)、アイス食べたりして、
レンタリース近くのスーパーで車の中を整理して、時間ぴったしに返却。
車の中にはペットボトルやら、着替えた服やらが散乱していた。
ちなみに俺は平内海中温泉からズボンを海水で濡らしてしまっていたため、下は海パン。
水着持って来ておいてよかった…
屋久島ではレンタカーを返す時に“満タン証明書”というのをスタンドでもらって、提出しなければならない。

レンタリースから宿まではレンタリースの人が送ってくれた。
近くて10分ほどで宿に着いた。

宿について、着替え、まずは風呂…
さっき入ったばかりだろ…って思うかもしれないが、なんていっても海水だからね。
大浴場最高…

そして飯。
旅行中の夕飯は早い。7時に夕飯なんて日常では考えられない。
動き回っていたため、相当に空腹であった。
ばくばくと平らげた。

そしていよいよ明日は縄文杉に会いに行く。

縄文杉に会いに行くためには… 明日は3時起きである。

宿の目の前から屋久島自然館行きのバスが出ていた。
バス停と時間を入念に確認し、わくわくする気持ちを抑えつつ、この日は流石に早めに寝た。
3時起きだからね…



屋久島リベンジ① ~出発編~

2013-08-02 20:40:40 | 
20130802

これを書いているのはもう夜風の涼しさを感じる秋の夜長。
ずいぶん遅くなってしまったのだが、今年の夏の旅について記す。

毎年夏には海外に行っているが、今回は行くところが既に決まっていた。
しかも一年前から決まっていた。

過去の日記を読んだ人はわかるかもしれないが、去年どうしても行きたかった場所だ。

しかし、俺が一週間前に全治一か月の肉離れを起こしてしまい、泣く泣く断念したところである。
あの時は本当にショックで、世界が終わったかのような絶望感を味わった。

そして、一年越しのリベンジを果たした。これでまた行けなかったなんてことになったらもう一生いけないような気がした。
とは言え、旅行中も怪我の連続で、つくづく相性が悪いことがわかった。

出発の朝。

向かう飛行機はめちゃくちゃ早く、(6時半発位)地元駅からだと始発で行っても間に合わないことが判明した。
ということで急遽、前日に浜松町のホテルを予約する。
前日は仕事であったため、荷物をパンパンに詰め込んだバックパックを職場に持ち込む。
当日は五時ぐらいには上がる予定だったのだが、九時まで仕事があることが急遽判明…

登山用の靴下を購入していなかったため、仕事終わってから買おうと思っていたのだが、仕事の途中で抜け出し、
最寄りのマルイで何とか見つけて購入することができた。どれだけそのまま帰ってやろうかと思ったことか。

出発の少し前、原宿のコロンビアショップで登山靴を購入していた。
慣らしのためにこの日はその靴を履いていたのだが、この日一日ですでにくるぶしが痛くてたまらない。
不安なことこの上ない。

仕事も無事に終わり、馬鹿でかいバックパックを担ぎ、京浜東北線に乗り込み、浜松町にはほどなくして到着。

じゃらんで当日に急遽予約したホテルで少し不安だったが、迷いながら到着したホテルはめちゃくちゃ豪華なものであった。

晩御飯を探しに、近くのコンビニへふらふらと向かう。
すぐ近くには東京タワーが見える。いつものオレンジ色のライトアップではなく、ブルーに輝いていた。
増上寺の門の近くのファミリーマートでアルコールと食事を購入し、ホテルに持ち込む。ってこれはアウトかな…

この日は金曜ロードショーで“ラピュタ”が放送されていた。
ムスカ大佐の明言を聞きながら飯を食らう。スンドゥブチゲご飯がやたらとうまかった。


次の日は五時起き…早起きにもかかわらず、いつも通り夜更かしをして眠りについた。


屋久島一日目編に続く。