琴欧州は2mを超える身長で、ファイターとは思えないような美しいマスク。成績不振が続いていたが、負けが込み、残念な引退発表となった。欧米人にしては珍しく泣いていた。
私は昨年春ぐらいだったか、琴欧州関に手紙を送った。それは、ツッパリを研究して戦いを有利に進めるべきとするものだった。琴欧州の取り組みを見ると、背の低い相手に対し、かがみ込みバランスを崩してまわしを取りに行く。
何しろ琴欧州関は手が長いのだから、これを活かさない手は無かった。自分の有利な姿勢で、バンバン張り手や喉わなどを繰り出す。相手の姿勢を崩し、自分が有利になった段階で組んでも良いし、そのまま土俵外まで突き出しても良い。
もし、ツッパリ、張り手、喉わなどを先に繰り出したら、琴欧州の圧倒的に長い手の攻撃を受けると対処できない。相手にとってまるでミサイルを射込まれるようなもの。琴欧州の独壇場となった可能性は有る。
その後取り組みを確認していたが、ツッパリどころか、よろよろと前かがみにまわしを取りに行き、非常に不安定そのもので、カモになっていた。白鳳など背の高い相手には良い相撲が取れたが小さい団子型の関取には苦戦した。
多分親方などが、伝統的な相撲の戦い方を指導してきたに違いない。全てが間違いではないが、圧倒的に長身のものが饅頭型で重心の低い相手とどう戦うかについて経験もノウハウも無かっただろう。
多分バルトも、同じような悩みを抱えていた。相撲は日本の国技だから、ああすべき、こうすべきという、べき論が多い。琴欧州ほどやさしくてまじめで素直だと、指導されるがままになる。
指導する側は何でも言う事を聞いてくれるので、気持ち良いが勝てるかどうかは別物。指導するなら、勝負にこだわるべきで、責任も有った。ツッパリ、張り手、喉わなどは研究して欲しかった。
彼の顔は最後まで美しかった。勝負師にはなれなかったのか。2通目の手紙を書こうかと考えていた矢先で、実に残念だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます