円は歴史的な独歩高、国内の製造業は雪崩のように海外に移転し、大学生の就職は日増しに困難になり、自殺者はますます増える傾向にある。円高は決して悪いことではない。問題は円高に適切に対応できていないことで、結果として円高は災難となっている。
現在、円はドルやユーロに対してだけでなく、アジア通貨に対しても高くなっており、輸出が命の日本をますます窮状に追い込んでいる。円はどの辺まで上がるのか?1ドル50円とも言われるが、65円ぐらいにはなりえる。為替介入にも限界があるからだ。
それだけ、日本の窮状は極まる。この対応を求められる最大のプレイヤーは日銀であるが、実質的に何もしていない。量的緩和を実施したと言うが、リーマンブラザース破たん以降で、ドルが2.5倍、ポンドが3倍の通貨量に緩和したのに対して、円は1.1倍と言われる。中国は日本と同じ経済規模ながら5倍程度の通貨を発行している。
同時に、日銀はデフレ対策に対して、消極的だ。日銀担当者と電話で話す機会が有ったが、日銀はデフレ対策する気はない。日本政府が大借金をさらに膨らます中、最大の経済対策は経済成長であるが、デフレはその芽を確実に摘む。
世界の発展国の成長に関する最大の戦略は、為替なのだ。そして、為替戦略の最も有効な手段は、量的緩和である。特に、アメリカと中国の場合は、政府が札の印刷所を持っているようなもので、無限の利益を生み出す。量的緩和ごっこと言われようが、何と言われようが緩和しなくてはならないが、日銀は殆どやっていない。
急激な円高で政府は追い込まれて、大規模な為替介入(4兆円など)をやらざるをえない。為替介入は緊急策であり、おまけに協調介入でなくては効果も限定される。先進国の策としてはアンフェアーとみられ、ヨーロッパなどから非難されやすい。片やFRBの量的緩和は無制限とも言えるものだが、何故か、非難されていない。
日銀が緩和しないおかげで、世界中の利益=日本の不利益という形で、世界中の為替ひずみを日本が殆ど引き受けている。日本が円高を甘受しているから、アメリカ、中国、韓国は助かっている。
日銀にとっては日本がどうなろうが知った事ではない。日銀の利益、自己利益優先。デフレを続けるのも、実は、年金や給料の目減りを防ぐためと思われる、デフレを続けると元々高い年金の価値が上がる。
社会のモラルが下がり、企業倒産が日常化し、自殺者が増え続け、犯罪が増加するのは経済が悪化しているからだが、どれもこれも、よくよく考えると、日銀が量的緩和をせず、デフレを継続(口ではデフレ退治と言いながら、実はごまかしつつ何もしない)しているからだ。
改めて言う。日銀は諸悪の根源だ。