日銀の専門家と話す機会が有った。色々な質問をする中で、はっきり分かったことは、日銀はデフレを克服し、弱インフレにする気など毛頭ないということ。日銀にとって、その独立性は長い歴史を刻んで勝ち得た悲願の達成目標だった。それを今手にした状況で、政府が何と言おうが、日本が沈もうが、独自の判断で、独自の路線を進むことは何も変えがたい権利であり、喜びであり、誇りなのだ。
デフレが何が悪いかと言って、物価をはじめ全ての価値が下がって行くのだから、企業の投資マインドは冷え込む。ビジネスとは投資だ。デフレが進む中では、余程収益率が高く確実性のある場合を除いて、投資しないほうが良いに決まっている。急激なインフレは困るが、弱インフレは 成長社会で見られる現象、成長のあかし。就職が無く、自殺者が増え続ける社会と、弱インフレで成長する社会(多少の格差は生じる)とどちらが良いか?
日銀の専門家と話を聞いていて、日銀がその気になれば弱インフレに持って行くのは難しい話ではないと感じた。しかし、日銀はインフレを極端に嫌う。同じようなことは教育にもある。例えば日本の英語教育は「英語もどき」、あるいは「英語屁理屈」とも言うべきもので、いくら頑張っても聞き取りも喋ることもかなわない。片や、中国や韓国では学生などが英語はペラペラ。
英語のできない日本人は世界からどんどん取り残される。ビジネスから締め出される。何故、日本の英語教育で英語が喋れないのか?それは、英語の喋れない教師が教えているから。恐らく大半の英語教師はCNNのニュースの殆どが理解できないだろう。英語を喋るには幼い時からネイティブが喋るのを聞き、日常生活の中で慣れ親しむこと。しかし、英語教育の改革は容易ではない。数万人の英語教師の職がかかっている。受験産業の既得権、もっと言えば、大元の文部科学省の既得権がかかっている。
話を進めてゆくと、結局のところ、官僚の既得権に行きつく。つまり、日本を支配しているエリート官僚=東大法学部の卒業生は、現在の教育システムの勝者であり、現在の教育システムを改革すると、自分たちの地位を保っている土台が崩れ、尊敬も失われ、既得権も失われていくからだ。間違いだらけの教育システムだが、これを維持させることが東大卒エリート官僚の既得権を維持させる。
日本の教育(知識偏重)は発展途上国向けであり、未来に向けても改革は官僚の必死の抵抗で進まない。これによって、日本の未来は確実に失われる。
日本人が優れるのは「まじめさ」、「物作りマインド」、「知識レベルの高さ」、「創意工夫」である。ところが、どう見ても日本人より劣っている中国人(もう、でたらめ)に負け続けている。現在の日本人に無いものは、「マクロの視点」、「論理性」、「良い意味での狡さ」、「勇気」だと思う。
実は、アメリカや中国が展開するビジネスは、いかさまありのプロの世界。日本はプラザ合意以降アメリカから徹底的に富を搾り取られ続けている。日本は今でも、アメリカの植民地(実質的に日本を支配している)であり、日本人は太らせて搾り取るべき家畜(目には見えないが柔らかい柵が設けられている)なのだ。一方で、韓国と中国から技術ノウハウを含めて貴重な宝を取られ続けている。
例えば、中国から見ると日本はノウハウと工場と金を持ってきてくれている。おまけに製造の教育をし、中国発のビジネス拡大までしてくれる。サムソン電子など韓国企業は優れた日本企業の技術者を3年間高給で雇い、ノウハウを吸収し尽くして捨てる。サムソン電子は今でも関東に日本の技術を吸収するための拠点を持っている。
ま、日本は将来の中国の世界制覇=中国共産党の一党支配の手助けをしているのだ。中国のGDPは2050年に世界一=日本の7倍になり(アジア開発銀行の予想から)、軍事力は自衛隊の10倍以上となり、中国はアメリカに代わって日本を支配する。アメリカは軍事力で完全に中国に凌駕されるので、逆らうことができない。
私は日本の発展を長い間、考え続けているのだが、どの方向で検討しても、現状の政治体制、社会システムでは難しいというのが今のところの結論である。しかし、政府が気づき、やる気になれば、簡単に解決できるのではあるが。