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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

東電の株主総会に思う

2011年07月02日 22時22分44秒 | 思考空間

 私が電力会社本店にいたころ、株主総会前になると、課長以上の特別管理職に招集がかかり、会場の前の席から隙間なく座らされ、異議なしの練習もした。誰も私語を交わすことなく、身じろぎもせず異様な風景。株主総会本チャンでは当然、一般株主が到着した時は、黒っぽい背広を着た集団が殆どの席を埋め尽くしている。殆ど座り席が残っていない。圧倒され、気の弱い人は出てゆく。発言は難しいから事実上締め出されることになる。

 本来、株主総会は開かれた場であるべきだが、言われるままに出席しつつもこれで果たしてよいのかと思った特別管理職は多かったと思う。本来電力マンは大変まじめである。しかし、この疑問は殆どの場合、語られることが無い。特に上席ほどこの種の意思表明は永久に封じ込め、飲み込んでてしまうのだ。そのような人でないと出世できないのも事実だ。

 東京電力の株主総会で、原子力反対の議題は悉く否決され、テレビで知った人たちの驚きの声が上がったが、これにはトリックが有る。個人株主の多くはタンス保管で、資産株としてあるいは配当をあてに、年金などで購入した株だが、株主総会のはがきを返信しない人も多い。返信しても議題を読み議題の一つ一つに○×をつける人は殆どいない。うちの母も、返信したことが無い。

 これらの人々の株を議長は白紙委任とみなすわけだ。法律的な解釈でも認められている。(当社のような小さな会社でも、乗っ取り派が欠席者を白紙委任としたのを私が異議を申し立て、本人の意思を確認させて取り戻したことが有った)従って、どんな議題であっても、東電においては株主総会で承認されてしまう仕掛けだ。本来は、強い意志で白紙委任を表明したものでなければ、無効とするべきだろう。民主主義の悪用だ。

 ただし、私は原子力発電所の建設、停止中の原子力発電所の再稼働には条件付きで賛成である。条件とは、情報をオープンにし、開かれた場で安全性について議論し、課題は全て徹底的に解決すること。実のところ、電力会社の社員でさえ、本当に安全かどうか十分理解しているわけではない。与えられた対話マニュアルを受け売りしているだけだ。

 電力会社では、特に課長以上になると、デリケートな問題に関してはアンタッチャブル。議論さえできない。下手な発言をしていると見事に飛ばされるか潰される。原子力の問題は特にデリケートだ。監督官庁である経済産業省からの強い指導が有ると察しているから、異論ははさめない。

 私が原子力発電に賛成する理由は、原子力に代わるべき強力で現実的なパワーは無いからだ。2回目以降の石油ショックで石油価格が暴騰しかけた時、これを抑制したのは原子力発電所の増加だった。日本の商社が石油を買い控えた。自然ネルギーだけで発展・膨張する人類社会のニーズを賄えると考える専門家は少ない。今後の発展を目指すアメリカ、中国、インドの動きを見れば分かる。

 自然エネルギーは積極的に推進すべきであるが、発電と需要のマッチングが出来ないので、安定した大容量発電は欠かせない。化石燃料に頼れば、CO2の問題は解消できない。また、自然エネルギーは小規模分散型で、地域別にバッテリーとの併用が必要になる。バッテリーの効率は70%程度で、大きなエネルギーロスがあり、バッテリーの寿命は短い。

 何よりも、人類が未来において、遭遇するであろう危険はとても原子力どころではない。いつか人類は地球を捨てて火星に移る日が来る。確かに今回の福島発電所では問題が山ほど露出することになったが、教訓でもあり、良い反省の場を与えてもらった。貴重な試練の場を真剣に受け止めて解決することが求められる。日本人の叡智を集めて課題を克服してゆけば、安全性は格段に向上すると考える。我々は屈せず、困難なハードルを乗り越えて前進しなければならない。

 追記。実のところ、「情報が開示されたら」との仮定はきれいごとで、全ての情報が開示されることは無いだろう。電力会社だけを責めるのも酷というもの。

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