関西方面の某住宅団地である。沢の中と背後の山腹斜面に貼り付いている。おそらく 50年前には、猪と狸ぐらいしか住んでいなかっただろう。産業資本を集約することで、効 率的経済運営を図った結果、人間の住処も集約されてしまった。しかもこんな山の中に。 とは言え、大阪神戸いずれも一時間以内の通勤距離であるから、当時としては恵まれた 環境であった。
今後の日本は、団塊の世代の大量退職、少子高齢化、人口減少時代を迎える。20年 後30年後に、この窓の明かりは幾つ残っているだろうか。そうなったとき、この沢の中の 生活はスラムと化してしまわないだろうか。残るのは、動くに動けない年寄りと貧乏人だ け。
その時その時の経済効率のみを追求すれば、結局この様な町が出来てしまう。都市計 画とは、50年後100年後を見越して建てるべきものである。都市の有り様は、国家の顔で あり、国民の品格を表すものと考えます。