保津川下りの翌日、博多経由、高速バスで長崎へ入った。博多からバスを選んだのは、JR西日本が宣伝に努めている「長崎新幹線」の部分開通ではバスと所要時間が変わらず、
荷物を抱えての階段上り下りが無いバスの方が楽なうえ、運賃もはるかにバスが安いからだ。 なぜJR西日本はゴリ押ししたのか? 首を捻るばかり。
移動した夕刻、大学時代の友・M君と宿で落合い、翌朝は「原爆資料館」から。広島の平和記念資料館より一回り小ぶりな建物。被害の有様を展示する内容はヒロシマと変わらないが、ひとつ気づいた広島との違いは、出口近くにある『アメリカによる原爆投下の正当化』に関するインタヴュー映像や発言を並列するコーナーだ。
<落とさねば日本本土での戦闘は必至で、結果として原爆は日米双方の人命を救ったのだ>という聞きなれたアメリカ側の主張のあと、人道的糾弾のメッセージも流す。
且つ、投下は戦後を見据えた対ソ連戦略でもあったという指摘も忘れていない。 広島にも同様の展示が今はあるのかもしれないが、8年前の記憶には無い。
資料館を出て爆心地に立つ慰霊塔に手を合わせた。路面電車(長崎電気軌道)で出島へ。M君は私より更に以前の記憶なので、出島の展示が派手になっていると驚いた様子。
私も同感で、観光地化が鼻に着く。人手が増え始めた出島を嫌い、再び路面電車で大浦天主堂前下車、グラバー園へ。ここは出島ほど俗化が感じられず、明るい陽光に映える洋館群と長崎湾を楽しめた。
グラバーはじめ、幕末から明治にかかる戦乱を支えた武器商人たちの逸話は、やはり長崎を舞台とする坂本龍馬の暗躍に結び付く。というわけで、高知出身のM君が行ったことのない亀山社中記念館へ。ここは市内の東に広がる丘陵にあり、登坂はかなり堪える。「今日はここからスタートすべきだったな」と二人でこぼしながら竜馬達が滞在したという民家に辿り着く。バンドを「海援隊」と名付けるほど竜馬にほれ込んだ武田鉄矢が寄贈した書画や竜馬の全身写真にまつわる逸話を窓口の女性が嬉しそうに語る。彼女の年恰好からみて、TVドラマ『金八先生』に熱狂した世代か。
私は竜馬の妻・お龍が竜馬にも弾いて聞かせたという月琴(げっきん)が、依然と変わらず床の間に飾られているのに安堵。8年前は月琴の演奏CDが流され、独特の優し気な音色が気に入ったので私は1枚買った。今も演奏は聞こえるがCDの販売はしていない。実に寂しい限り。改めてCDジャケットに添えられた説明書きを読むと楽しい。
永田斉子(せいこ)さんが録音に用いた楽器は清朝そのままの様式を守り明治に造られた2棹であり、当時の楽器も演奏曲も今や本家中国には残っていないと書かれている。
中国は辛亥革命で清朝までの古い王朝文化の大半を投げ捨てた。日本の維新も同じだが、あとから復旧できないものも少なくない。月琴は其の一例。CDをかけながら解説を読めば読むほど、此の稀有な楽器を通して往時の雰囲気が立ち上がる。 興味をもたれる方には是非購入をお勧めしたい。 < つづく >
荷物を抱えての階段上り下りが無いバスの方が楽なうえ、運賃もはるかにバスが安いからだ。 なぜJR西日本はゴリ押ししたのか? 首を捻るばかり。
移動した夕刻、大学時代の友・M君と宿で落合い、翌朝は「原爆資料館」から。広島の平和記念資料館より一回り小ぶりな建物。被害の有様を展示する内容はヒロシマと変わらないが、ひとつ気づいた広島との違いは、出口近くにある『アメリカによる原爆投下の正当化』に関するインタヴュー映像や発言を並列するコーナーだ。
<落とさねば日本本土での戦闘は必至で、結果として原爆は日米双方の人命を救ったのだ>という聞きなれたアメリカ側の主張のあと、人道的糾弾のメッセージも流す。
且つ、投下は戦後を見据えた対ソ連戦略でもあったという指摘も忘れていない。 広島にも同様の展示が今はあるのかもしれないが、8年前の記憶には無い。
資料館を出て爆心地に立つ慰霊塔に手を合わせた。路面電車(長崎電気軌道)で出島へ。M君は私より更に以前の記憶なので、出島の展示が派手になっていると驚いた様子。
私も同感で、観光地化が鼻に着く。人手が増え始めた出島を嫌い、再び路面電車で大浦天主堂前下車、グラバー園へ。ここは出島ほど俗化が感じられず、明るい陽光に映える洋館群と長崎湾を楽しめた。
グラバーはじめ、幕末から明治にかかる戦乱を支えた武器商人たちの逸話は、やはり長崎を舞台とする坂本龍馬の暗躍に結び付く。というわけで、高知出身のM君が行ったことのない亀山社中記念館へ。ここは市内の東に広がる丘陵にあり、登坂はかなり堪える。「今日はここからスタートすべきだったな」と二人でこぼしながら竜馬達が滞在したという民家に辿り着く。バンドを「海援隊」と名付けるほど竜馬にほれ込んだ武田鉄矢が寄贈した書画や竜馬の全身写真にまつわる逸話を窓口の女性が嬉しそうに語る。彼女の年恰好からみて、TVドラマ『金八先生』に熱狂した世代か。
私は竜馬の妻・お龍が竜馬にも弾いて聞かせたという月琴(げっきん)が、依然と変わらず床の間に飾られているのに安堵。8年前は月琴の演奏CDが流され、独特の優し気な音色が気に入ったので私は1枚買った。今も演奏は聞こえるがCDの販売はしていない。実に寂しい限り。改めてCDジャケットに添えられた説明書きを読むと楽しい。
永田斉子(せいこ)さんが録音に用いた楽器は清朝そのままの様式を守り明治に造られた2棹であり、当時の楽器も演奏曲も今や本家中国には残っていないと書かれている。
中国は辛亥革命で清朝までの古い王朝文化の大半を投げ捨てた。日本の維新も同じだが、あとから復旧できないものも少なくない。月琴は其の一例。CDをかけながら解説を読めば読むほど、此の稀有な楽器を通して往時の雰囲気が立ち上がる。 興味をもたれる方には是非購入をお勧めしたい。 < つづく >
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