静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

☆ 2015.12.24 ≪ ちびまる子ちゃん ≫ ”広東語は香港自立性の象徴” に気づかず反感を買う愚かさ

2015-12-24 09:31:17 | トーク・ネットTalk Net
 ☆ 木語 不思議な香港少女=金子秀敏 http://mainichi.jp/articles/20151224/ddm/003/070/093000c
・ 何を取り上げて、何を云っている記事なのか? 
   その趣旨は、日本製人気映画「ちびまる子ちゃん」に登場する<香港から来た少女シニー>が、香港人の使う広東語ではなく、大陸で統一された標準中国語=北京語を
  用いていることに香港人が母語と香港文化を傷つけた、と怒っているというのである。
・ 昨年、香港の民主化を認めない中国に抗議して、大学生や高校生を中心に大規模な「雨傘運動」が起きた。デモは鎮圧されたが、その後も若者たちの間では
  「ウィー・アー・ホンコン(我々は香港)」というアイデンティティーが高まっている。その核心に広東語の文化がある。雨傘運動の集会で若者たちは広東語の歌をうたい、
  携帯で広東語でメッセージを発信した。
    ⇒ ここには日本人が犯しやすい数多くのエラーと不注意、意識の遅れが揃っていることにお気づきだろうか?  何故なら・・・・・
【1】 英領香港がPRC(中華人民共和国)に返還される際、北京政府は『1国2制度』を国際的にも公言し、約束した。然し、その後、じわじわと自治権を狭める施策を進めており、
    香港に住み続ける人々の反感を買っている。だが、無論、耳を貸す気はサラサラないように見える。それは日本でもしばしば報道されている。
【2】 こういう難しい政治状況に生きる人々にとり、自分たちの言葉である広東語を使わない登場人物は、単に「あれっ、おかしいな」では済まない。広東語は文化と誇りの
    源泉であり、単なる一地方語・方言ではないのだ。そこが製作者或は関わったスタッフの誰ひとり配慮が及ばなかった、そこが問題なのである。
* 日本では江戸弁を基礎に≪標準語≫を明治初年に政府が制定し、学校教育を通じて方言撲滅に力を注いできた。戦後の通信技術とくにテレヴィジョン発達が其の普及に大きな効果をもたらした。一方では、地方文化を大切にしようとの気運、そして東京一極集中への違和感/危機感も手伝い、地元局では方言を用いた番組制作は細々ながら続いている。京ことば、大阪弁の隆盛がその好例である。 一方、中央官庁

* こういう現状ながら、外国における方言の持つ意味合いに注意を払う習慣は日本人全般にあるか?  といえば、無いに等しいだろう。よほど其の土地に住んだか、何かのゆかりが有る人でないと、言語と文化の結びつきに繊細な神経は育ちにくい。とりわけ、明治以来、何でもかんでも東京中心で国を運営してきた我々だ。この中央/地方意識>に露骨な差別意識さえ伴う国だから、敏感な政治状況に居る外国に神経を使うことは恥ずかしながら、できていない。

 確かに、北京語ひとつで翻訳を済ませておけば広東語版を創るコストは不要になり、製作者は商業的に助かっただろう。だが、そういう意識が迂闊に出てしまうことを日本人は深く反省せねばなるまい。 幾許かの費用は浮いただろうが、替わりに日本への不信感/失望を買ったのだ。幾らアニメ作品そのものが優れていようとも、長期的には愛されず、影響力など残せない。 その方がどれほど重大な損失か、言うまでもないだろう。
コメント
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