「戦後日本と三島由紀夫の残した物」2006年平成18年ⅡⅭⅢⅩⅠ

　村上『ねじ巻き鳥クロニクル』三部作、歴史に目を向けた作品群です。
ノモンハン事件、戦争、それを体験した老人が登場します。
しかしそこにつながる日本という軸（過去から現在に至る）が見当たりません。
三島が226事件という鉱脈によってつながって日本というあり方を取り返したような、
歴史につながる基軸を持ち得ていないのが村上の難しいところでしょう。これは今の日本文学の状況でもありえます。
ポストヒストリカルというべきか、歴史後の世界に突入してしまう傾向にあります。
もう一度「歴史とは何か」をどう回復していくかが問われるでしょう。

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