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【国立天文台】 8月1日、""2019年6月の太陽活動 ; 太陽観測科学プロジェクト ””

2019-08-01 22:55:39 | 🚀🛰宇宙 ; 人類のロマンと挑戦、国立天文台、JAXA、NAS各国・宇宙開発…

 

① ""2019年6月の太陽活動 ; 太陽観測科学プロジェクト ””

 2019年8月1日|太陽観測科学プロジェクト

 

 

 

 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。

 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。 → 2019年の黒点相対数

6月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 

☀ 6月の三鷹の黒点観測日数は13日間にとどまりましたが、このうち無黒点日は11日、月平均黒点相対数は、全球で1.69、北半球が1.69、南半球が0.00 でした (白色光画像の6月のデータベースカレンダー)。三鷹では、5月19日から36日間に渡り連続して、観測日には無黒点でした。三鷹で6月に観測された黒点群は、全て第24太陽活動周期に属する短命なものでした。これらの傾向はSILSO (Sunspot Index and Longterm Solar Observations) の全世界集計を用いて観測欠損日なく見てもほぼ同じでした。

 フレアの発生数で見ても6月は低調で、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)によるクラス分けにてCクラス以上のフレアは発生せず、Bクラスまで下げてもB2.2のフレアが1例起きたのみでした。5月前半には、太陽極小期としては珍しく活発なフレアの活動を見せましたが、その後すっかり静かになってしまった様です。太陽の磁気活動は、引き続き2017年の終わりから続く極小期の水準を維持しています。

 この様に静かな太陽が続くと、その前に太陽表面に現れた活動領域が時間と共に崩壊していく様子がよく見えます。この様な例として、5月に特に活発であった二つの活動領域 (NOAA 12740と12741) が崩壊する様子を国立天文台三鷹太陽フレア望遠鏡搭載の複数の観測装置のデータを用いて紹介します(図1図2図3)。それぞれ、図の左側が5月10日の太陽像 (図1a, 図2a, 図3a)、一方で図の右側はそこから太陽の自転一周後の6月6日の太陽像です(図1b, 図2b, 図3b)。太陽の自転一周分の時間が経つと、光球及びその少し上を観測しているG-bandでは黒点が消失しているのですが (図1)、その上空の彩層では活動領域の残骸が周辺に広がったプラージュやダークフィラメントとして確認できます (図2)。足元の光球面磁場分布を見ても、強く収束していた磁極群が、バラバラになりながら広がっていることがわかります (図3)。静穏な太陽がこのまま続けば、7月にはこれらの痕跡も目立たなくなるでしょう。 ================================ ※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。) ※2 GOES: Geostationary Operational Enviromental Satellite (米国 NOAAの地球環境観測衛星。地球に降り注ぐ軟X線の総フラックスも常時モニターしている。) ================================

 

 

図1. (a:左側) 5月に長命でフレアが特に活発だった活動領域 NOAA 12741と12740 を含むG-band太陽全面像、(b:右側) 図1aの、太陽の自転一周後の様子を同じ観測波長で観測したもの (太陽フレア望遠鏡 G-band撮像装置): 像の上が太陽の北、右が太陽の西。

 

図2. (a:左側) 図1aと近い時刻でのHα線太陽全面像、(b:右側) 図2aの、太陽の自転一周後の様子を同じ観測波長で観測したもの (太陽フレア望遠鏡 Hα線撮像装置): Hα中心波長フィルター像 (FWHM 0.25 Å)。

 

 

図3. (a:左側) 図1aとほぼ同時刻の太陽光球視線方向磁場マップ、(b:右側) 図3aと同様だが、太陽の自転一周後の様子を観測したもの (Fe I 1.6 μm Stokes V/I map; 太陽フレア望遠鏡 赤外偏光分光観測装置)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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