(微惑星の形成)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/32/d376ddc9a61293300c6c23d8bb25f81b.jpg)
① ""微惑星の形成""
動画・2017年5月 9日
太陽のような星が誕生するとき、その周りには星を取り巻く「原始惑星系円盤」とよばれるガス円盤を形成します。原始惑星系円盤にはミクロンサイズ程度の固体微粒子(ダスト)が含まれており、ダストの集積を経て惑星が形成されます。
この途中でできる数キロメートル程度の天体を「微惑星」とよびます。この微惑星はダスト間の重力の影響で形成されたという説があります。この説に基づいた微惑星形成過程の数値シミュレーションを映像化しました。
② ダストが作る縞模様:重力不安定
中心星の重力やダスト同士の衝突、さらに円盤を構成しているガスとダストの摩擦の影響で、ダストは薄い層に集まります。この層が薄くなるほどダストが密集するので、ダスト同士にはたらく重力の影響が強まります。
周囲よりも濃くダストが集まった部分は、さらに周りのダストを引きつけるため、円盤には縞模様ができます。この現象を「重力不安定」と呼びます。 この縞模様の部分ではダストの集積がいっそう速まり、ダストは塊となって天体を作り出します。これが微惑星です。
この微惑星が周囲のダストをさらに集めていくので、円盤の縞模様は時間とともに消えていきます。この計算では約10キロメートルのほどの微惑星ができ上がりました。この後は、微惑星同士が衝突を繰り返し、惑星へと進化していきます。
➡ youtubeで、微惑星の形成でサーチして下さい。3分7秒のシミュレーションの
動画ですが、こうして微惑星が作られていくという過程が判る一押しの動画です。
天文や宇宙好きには見逃せないレベルのものです。
③ 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト成果報告書
""重力不安定による微惑星形成のN体シミュレーション""
道越秀吾(国立天文台)
利用カテゴリGRAPE-A
現在の惑星形成理論では、微惑星は惑星形成の基本要素であり、微惑星が合体成長して、
地球型惑星やガス惑星のコアになると考えられている。しかし、微惑星の形成過程は、よ
く分かっていない。
微惑星形成の1つの説は重力不安定モデルである。ダストが中心星の重力によって、徐々
に中心面に沈殿し、高密度ダスト層ができる。充分に高密度になるとダスト層が重力不安
定になる。その結果、ダスト層は分裂し、キロメートルの微惑星が形成される。
ダスト層の重力不安定の線形解析は、行なわれているが[1]、重力不安定の非線
形段階は、まだよく理解されていない。我々は、N 体シミュレーションによって、重力不安定による微惑星形成を調べてきた[2, 3]。特にこの研究では、層流ガスからの摩擦力の効果について調べた[4]。
摩擦力を考慮しない場合の線形解析の結果によると、不安定性は、Toomre のQ 値に
よって特徴付けられる。Q < 1 のとき、自己重力的に不安定である。一方、ガス摩擦の効
果を考慮した場合、ダスト層は、Q 値が1 よりも大きい場合でも不安定であり、成長時間
が著しく長い[4]。
計算の初期段階では、重力不安定であったとしても、その成長時間が、ダストの沈殿や、
速度分散の減少のタイムスケールよりも長い。したがって、重力不安定が発展するよりも
早くディスクが薄くなる。充分にダスト層が薄くなったとき、重力不安定のタイムスケー
ルが早くなり不安定が卓越しはじめる。その結果ダスト層の分裂が始まる。
重力不安定が卓越したあとの時間進化は、3 つの段階に分けられる。ウェイク構造の形
成、微惑星の種の形成、そして微惑星の種の衝突成長である。
図1 の右上の図は、微惑星形成の初期段階である。非軸対称な密度構造があらわれてい
るのがわかる。この構造は、土星のリングで知られた構造であり、ウェイク構造と呼ばれ、
重力不安定によって形成される。
次に左下の図にあるように、ウェイク構造の高密度部分が、小さな塊に分裂する。これ
が微惑星の種となる。その後、微惑星の種の衝突合体によってすばやく成長する。最終的
には、大きな微惑星が形成され、計算領域内のほとんどの粒子は、大きな微惑星によって
吸収される。
※ 図はコピー出来ませんでした。
この成果報告書の凡太郎の理解の程度は、次のようなものです。
「チリも積もれば山となる」の発展形で、
➡「チリ(宇宙塵)も集まれば微惑星になる。」(笑)