金榮山徳正寺住職のトラ・バスの香り

阿弥陀さまとクルマとSTARDUST REVUEをこよなく愛する住職がつぶやく日常

長い上り坂

2015年04月06日 19時34分20秒 | 日々あれこれ
どうぞ先に・・・


「ご院さん、関西の方では墓仕舞い、葬式・・・
 そんなことの特集番組ばかりです。」
そう言われるこのご門徒も墓仕舞い。

「無縁墓にはできませんから・・・」

こういうご門徒はまだ有難い。
過疎村の山のいたるところには
草木が生えそこが墓であったのかさえ分からなくなっているところも・・・
この先祖につながるお方がどこかにはおられるのでしょうけど
「生きる」ことの大変さに今があるのでしょう。

そんな状況の過疎寺院、大変です。
笑いばなしではなく、
そう遠くない将来に寺仕舞いなんて状況になってくるのでしょう。
否、そんなところも多いわけで・・・
でも、寺は無くなれどもご門徒はおられるはず。
寺も合併して僅かなご門徒を守っていかなくてはならないでしょう。

あるご門徒はこちらから嫁ぎ先の地にお里の墓を移されました。
不慣れな地でありますがそちらにお参りさせていただきました。

山深いところにある墓地。
勿論、雪駄で行っているコイツを案じてくださる、
「ご院さん、それで大丈夫ですか?」
「大丈夫で~す!」
「ご院さん、結構上なのでどうぞ先に上がっていてください。
 直ぐに追いかけていきますから。」
「では、先にボツボツ上がって行きます。」

シ~ンと静まりかえった山の中。
細い道ではありますが墓地までコンクリで舗装されています。
ゆっくりと一人、
その坂を階段を間々に踏みしめながら上がって行きます。

真っ直ぐに伸びた杉並木・・・
間には竹も伸びてます。

雨上がりでしたので空気も澄んでいるように感じます。

花粉のことも考えず
大きく深呼吸、何度も何度も・・・
清々しい気持ちで
知らず知らずのうちに着いていました。

墓石もきれいに磨かれ
御名号もきれいに浮かびます。

ここなら集合墓地のように墓の整理もされることもなくず~っとある。
たとえ無縁墓になろうとここにある。
そんな気持ちを仰る。

ん~・・・

墓や遺骨に執着することもないのですが
やっぱり大切な方々の遺骨となるとこの空間も愛しくなります。

話しをしたいと思えども
時間的にも空間的にも合わずに話にならない。
話そうとすることすらも疲れて、もういいや・・・
近くにおれども
心の通わなくなる冷たさ・・・

何のために一緒にいるのか・・・

ため息こぼれる歯痒いしんどさ。

度々に参っては語りかければいいのです。
あれも、これも・・・
つぶやいたらいいんです・・・

そして、ひとしきりつぶやいたら
御名号を拝みながらお念仏申させていただきましょう。

ナマンダブ、ナマンダブ・・・

そうして振り返ってみたら結構長い坂上ってきてました。
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