東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも解ける東大大学院入試問題(91)

2015-01-18 12:22:44 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

近くの地域センターで餅つきがあるようで臼などが置いてありました。底冷えする寒い日ですが、餅つきすれば直ぐに温まるでしょうから、今日は餅つき日和でしょう。

さて、今回は平成23年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「1から9まで書かれたカードがN枚ずつ、合計9N枚ある。ただしNは1以上の整数である。任意に2枚抜き出したカードに書かれた数字の合計が10になる確率を求めよ。」
です。

確率の問題です。場合の数・確率の問題は樹形図を描いて対応できますが、本問ではカードの枚数が9N枚と変数になっているので、樹形図に描ききることができません。そのため“・・・”などを使って表すのですが、今回は、確率の加法・乗法定理を使いましょう。

まず、1から9までの数字で2つの組合せが10になる組合せは、1と9、2と8、3と7、4と6、5と5、6と4、7と3、8と2、9と1です。

ここで注意したいのは、5と5の組合せで、例えば、N=1の場合、抜き出した2枚のカードの両方に5が書かれていることはないということです。

と言うことで、N=1とN≧2に場合分けして調べていきましょう。

(1)N=1の場合
例えば、1枚目のカードが1のとき2枚目のカードが9であれば、和が10になります。さらに、和が10となる組合せは8通りあるので、求める確率は、
(1/9・1/8)・8=1/9
です。

(2)N≧2の場合
1枚目のカードが1である確率は、
N/9N=1/9
で、
2枚目のカードが9である確率は、
N/(9N-1)
です。

つまり、1枚目カードが1で2枚目カードが9である確率は、
1/9・N/(9N-1)=N/9(9N-1)
になります。

1枚目と2枚目のカードの数字が、2と8、3と7、4と6、6と4、7と3、8と2、9と1の場合も同様なので、5以外の数字で、1枚目と2枚目のカードの数字の和が10となる確率は、
N/9(9N-1)・8=8N/9(9N-1)   (1)   
となります。

一方、1枚目のカードが5である確率は、
N/9N=1/9
で、
2枚目のカードも5である確率は、
(N-1)/(9N-1)
です。

つまり、1枚目と2枚目のカードが両方5である確率は、
1/9・(N-1)/(9N-1)=(N-1)/9(9N-1)  (2)
となります。

以上より、求める確率は(1)と(2)の和なので、
8N/9(9N-1)+(N-1)/9(9N-1)
=(9N-1)/9(9N-1)
=1/9
となります。

以上の結果をまとめると、N=1の場合でも、N≧2の場合でも、求める確率は1/9となります。

蛇足になりますが、(1)(2)を変形してそれらの極限を調べると、Nが大きくなると、5以外の数字で、1枚目と2枚目のカードの数字の和が10になる確率は小さくなり、1枚目と2枚目のカードの数字が両方5で和が10になる確率は大きくなることが判ります。

さらに、それらの和は、Nに依存せず、1/9と一定というのですから面白いものです。

今年の都立高校入試の大問1の小問7は、「資料の整理」から出題されるのか、「場合の数・確率」から出題されるのか判りませんが、これらの単元に自信のない受験生はしっかり見直ししておきましょう。