東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも解ける東大大学院入試問題(98)

2015-01-25 12:32:41 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

風がなく陽射しがあるので日向は暖かく過ごしやすい日になりました。しかし、明日から天気は下り坂で、週の後半は寒さが厳しくなるようです。受験生の皆さんは暖かくして頑張ってください。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「(n+2)!-n!が11^6で割り切れるような最小の自然数nを求めよ。」
です。 (11^6 は11の6乗を表します)

“!”(階乗)は高校で勉強する記号で、n!は、1からnまでの掛け算、つまり、
n!=n・(n-1)・(n-2)・・・・2・1
のことです。

すると、問題のなかの式は、
(n+2)!-n!=(n+2)(n+1)n!-n!
         =n1((n+2)(n+1)-1)
         =n!(n^2+3n+1)      
となり、n!(n^2+3n+1)が11^6で割り切れるような最小の自然数nを求めるということになります。

仮に、n^2+3n+1の因数に11がない場合、n!が11^6の倍数、つまり、因数として6個の11を持つことになります。

そこでまず、n!が11の因数を6個持ち、かつ、nが最小の自然数になる場合を調べます。

11は素数なので、n!が因数として11を6個持つのは、11、22、33、44、55、66を因数として持つ場合で、nが最小の自然数になるのは、n=66の場合です。

したがって、n!(n^2+3n+1)が11^6で割り切れる最小の自然数nは、n≦66であることが判りました。

次に、n^2+3n+1の因数に11がある場合を調べます。

まず、n≦66から、
n^2+3n+1≦66^2+3・66+1
       =4555
       <11^4
となり、仮に、n^2+3n+1に因数として11があったとしても、それは最大3個になります。

そこで、n^2+3n+1に因数として11が3個ある場合、すなわち、
n^2+3n+1=m・11^3
       =1331m  (mは自然数)   (1)
と表される場合を調べます。

この場合、n!にある因数11は3個(11、22、33の3個)になるので、
34≦n≦43     (2)
となります。

そこで、(1)(2)から、
1259≦1331m≦1979
となり、
m=1
となります。

これを(1)に代入すると、
n^2+3n+1=1331
で、これを整理して、
n^2+3n-1330=0    (3)
となります。

つまり、このnの2次方程式が自然数の解を持てば、n^2+3n+1は因数として11を3個持つことになります。

実際に(3)を解の公式を使って解くと、
n=(-3±√(3^2-4・(-1330))/2
 =(-3±73)/2
 =-38、35
で、n≧1なので、n=35となります。

すなわち、nが35のとき、n!は、11、22、33という3個の11の倍数を持ち、n^2+3n+1 は、1331=11^3 と因数11を3個持つので、n!(n^2+3n+1)は因数として11を6個、つまり、11^6で割り切れることになります。

以上より、求める答えはn=35となります。


もっとスマートな解法がありそうな気もするので考えてみます。興味のある方は考えてみてください。