東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも解ける東大大学院入試問題(87)

2015-01-14 13:02:46 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日に続いて冬晴れの良い天気になりました。明日は雨で気温も上がらず寒くなるようですが、明後日からは少し暖かくなるようです。

さて、今回は平成24年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「A、B、C、D、E、Fの6名が円形のテーブルに座る。テーブルは6等分されていて、テーブルの真ん中に回転する円盤が置かれている。この円盤も矢印で6等分されていて、矢印の各方向に0から5までの数字が下の図のように書かれている。円盤を回して、止まったときの各方向の数字が自分の点になる。これを5回繰り返し、合計点で最高点であった者を勝ちとする。図は1回目を回し終えたときの様子で、Cが5点を取ってリードしている。続いて2回目の後でD一人がリードし、5回目が終わった時A一人が勝った。各競技者の最終得点はそれぞれ何点か?」


▲問題図

この問題のポイントは、各人の座っている位置と矢印の数字の位置が変わらないということです。例えば、1点取った人の向かい側の人は4点取るということで、この関係を利用して最終的にAが一人勝つ条件を調べれば解けそうです。そこで、その関係を表1にまとめておきましょう。


▲表1.各人が取り得る得点の関係

それでは1、2回目の試行結果を調べていきましょう。

1回目でCが5点取ってリードしたのですが、そのときDは4点取っています。

2回目が終わった時点で、Dが一人リードするためには、Dは5点取る必要があり、このため他の人の取った得点が判ります。

2回目までの途中結果を表2に示します。(表で / の左の数がその回に取った得点、右の数が合計点です)


▲表2.2回目までの途中結果

このゲームでは、3、4、5回目の試行でAが高得点を取って一人が勝つのですから、2回目の終わった時点で得点差の大きいDやC、Eなどを逆転しなければなりません。そこで、表1を修正して、Aと他の人との得点差を示す表3を作ります。


▲表3.Aと他の人との得点差

これで準備完了です。まず、AとDは2回目終了時点で8点差あるので、Aは3~5回目でDに対して9点差以上上回ることが必要です。

そのためには、表3の左にある①から⑥の試行のうち、条件に合う組み合わせを( , , )で表すと、それは、
(④,④,③)(+9)←(AのDに対する得点差)
(④,④,④)(+15)
(④,④,⑤)(+13)
(④,④,⑥)(+11)
(④,⑤,⑥)(+9)
(⑤,⑤,⑤)(+9)
と6通りの場合があります。

同様にCを逆転するためには、6点差をひっくり返す必要があるので、Aは3~5回目でCに対して7点差以上上回ることが必要です。これを前と同じように表すと、
(⑤,④,④)(+8)←(AのCに対する得点差)
(⑤,④,⑥)(+8)
(⑤,⑤,④)(+10)
(⑤,⑤,⑤)(+12)
(⑤,⑤,⑥)(+10)
(⑤,⑥,⑥)(+8)
と6通りの場合があります。

さらにEを逆転するためには、6点差をひっくり返す必要があるので、Aは3~5回目でEに対して7点差以上上回ることが必要です。これを前と同じように表すと、
(④,④,③)(+10)←(AのEに対する得点差)
(④,④,④)(+12)
(④,④,⑤)(+10)
(④,③,⑤)(+8)
(④,③,③)(+8)
(④,⑤,⑤)(+8)
と6通りの場合があります。

以上の3つのグループの組合せのなかで共通するものが、AがD、C、Eに勝つ試行の組合せになり、それは(④,④,⑤)だけです。

そこで、この場合の各人の得点を調べると、表4にあるように、
A:15点、B:14点、C:13点、D:10点、E:11点、F:12点
となり、A一人が勝つことが確認できたので、これが答えになります。


▲表4.最終結果


数学・算数に限ったことではありませんが、特に数学・算数の問題では、図表を活用することが大切です。面倒臭がらず図表を書いて問題に立ち向かいましょう。