岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」27号:相聞5首

2022年01月13日 15時00分05秒 | 岩田亨の作品紹介
・うつむきてため息をつく汝(なれ)にしてわれは言葉なく佇むのみぞ

 知り人がため息をつきうつむいていた。何か人に言えない悩みがあるらしい。僕は、無言で見守るだけだった。

・寝室の壁にもたれてもの思う由衣の背中に秋の日が差す

 由衣が誰なのかは問題ではない。知り人が深刻なさまでうつむいていた。彼女の背中には、秋の日が静かに差していた。

・山門の開かぬ扉に身を寄せてうつむく汝(なれ)は何を思うや

 寺の山門に身を寄せながら、考え事をしている人がいた。何を考えていたのだろう。

・散り続く紅葉を両手に受けながら笑みを隠さぬ由衣は美し

 二首目の人物。悩み・考え事があろうものを、散る紅葉を両手に受けながら、無邪気に遊ぶ姿は忘れがたい。

・柿の実がたわわにみのる枝のした吹き来る風がことに冷たし

 説明はいらんだろう。秋は寂しい。別れの季節でもある。







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