・*・ etoile ・*・

🎬映画 🎨美術展 ⛸フィギュアスケート 🎵ミュージカル 🐈猫

【cinema】『64 ロクヨン 後編』

2016-08-07 23:48:42 | cinema

2016.6.17 『64 ロクヨン 後編』鑑賞@TOHOシネマズ日本橋

 

前編がおもしろくて、しかもあんな終わり方だったので続きが見たくてたまらなくなり、翌週早速行ってきた~ って、見てから一カ月以上経ってしまったけど(o´ェ`o)ゞ

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「ロクヨン事件を模倣した誘拐事件が発生。報道を規制したいが、地元記者クラブだけでなく、全国の記者から不満の声が上がる。刑事部は非協力的で、三上らは対応に苦慮する。そんな中、誘拐事件は意外な方向へ展開する・・・」という感じかな。ホントに意外な方向で、犯人に関してはある程度予想していたものの、なるほどそう来るか感じで、見ている間はドキドキしておもしろかっただけど、こうして見てから時間が経って、冷静になってみるとちょっと思うところがあったり・・・

 

諸事情により見てから一カ月以上経ってしまい記憶が曖昧 なので覚えている部分のみ書こうと思う。前述したとおり冷静になったらアレ?と思う部分もあるので、その辺りのことを書きたいと思う。まぁ、どうでもいいと思うけど、一応断り書きとして書いておく

 

冒頭、チラシにある川沿いの公園のようなところにポツンとある電話ボックスから始まる。ロクヨン被害者遺族の雨宮芳夫(永瀬正敏)がどこかに電話をかけている。電話の向こうから切羽詰まったD県警広報官三上義信(佐藤浩市)の妻美那子(夏川結衣)の声。「あゆみ?!」と呼びかけるのは前編に出てきたあのシーン。あの時の無言電話を家出した娘からだと、藁をもすがる思いで信じている。でも、実は雨宮だった 雨宮が前編で態度を変えて、長官の訪問を受けることにしたのは、三上もまた娘の帰りを待つ父親であることが分かっていたからだったのね。この感じは切なくて良かった。そして、雨宮が電話ボックスから電話をかけていた理由は後に明らかになる。これは結構衝撃的だった。

 

場面変わって県警。前編が終わった場面。誘拐事件が発生した。犯人はサトウと名乗り、丸越デパートの一番大きなスーツケースに現金2,000万円を用意するよう要求。それを聞いた三上の顔色が変わる。「ロクヨンか?!」 そう、犯人の要求はロクヨン事件と全く同じだった。おもしろくなってきたぞ!と思ったのだけど、意外にもここから三上たち広報室メンバーが、刑事たちと全国から集まってきた記者たちとの板挟みになる場面が続く。ロクヨン事件当時は刑事だった三上だけど、現在は広報官なのだから、彼が事件に関わるのはこういう形。なので、そういう場面が描かれるのは当然なのだけど、ちょっと長い 現在の誘拐事件もさることながら、知りたいのはロクヨン事件の真相なので・・・ 

 

こういう場合の警察の記者会見というものが、通常どういう手続きをとるものなのか不明だし、県警の中での捜査一課と二課の位置づけもよく分からない。ただ記者会見に二課長の落合(柄本佑)が出て来た事に対して、記者たちが不満だったことや、三上が記者たちをなだめるために一課長を出すと言っていることなどから、捜査のメインは一課なのかなと思う。って、常識? とにかく、出席した二課長が完全に知識不足でグダグダだったため、記者たちの怒りが爆発! 確かにいくら伏せておきたいとはいえ、被害者の名前も知らずに会見に臨むのはどうかと思うし、だったらもう少し上手く立ち回れよとも思うのだけど、記者たち、特に東京の記者たちの上から目線には見ている側も不快。自分がそもそも新聞とかテレビを信用していないせいもあるかもしれないけれど、読者の知る権利をふりかざして何でも根ほり葉ほりするものどうかと思う。まぁ、それが彼らの仕事ではあるのだけど・・・

 

この二課長グダグダぶりを披露⇒記者激怒は何度か繰り返される。どうやら、こういう際にいかに情報を引き出せるかについては、地元の記者クラブと県警との関係によるところが大きいらしく、他県(主に東京)の記者たちの怒りは、秋川(瑛太)たち地元記者クラブに向けられたりもする。この辺りはなかなか興味深かった。でも長い。原作未読なので、この辺りのことがどう描かれているのか分からないけれど、記者 vs 県警的な部分も見せたいのだろうとは思う。でも、長い ニ課長はとうとう倒れてしまうけれど、対策を講じる三上達に自分はまだやれる、まだ粘れると言うのは、ちょっと見直したけれど、やっぱり長い そして自分もしつこい(笑)

 

さて、一方の誘拐事件について。被害者は県内でスポーツ用品店を営む目崎正人(緒方直人)の娘で高校生の歌澄(萩原みのり)。ロクヨンの模倣なのであれば、妹の早紀(渡邊空美)の方が年齢が近いのに、何故犯人は素行の悪い姉を選んだのか? その辺りのこともあり、秋川が狂言なのではないかと追及するシーンがあったりする。それくらい、ちょっと粗い誘拐事件でもある。この辺りについては犯人が分かると納得する仕組みとなっている。 

 

ちょっと順番を忘れてしまったけれど、わりと早い段階で雨宮が目崎早紀と接触しているシーンが入る。車の助手席に早紀を乗せ、目崎のスポーツ用品店を見つめている。紙袋を早紀に差し出し、父親に渡すように言う。明らかに様子がおかしい。激しく嗚咽し始める。紙袋の中に入っているのは、14年前のあの日翔子(平田風果)が持っていた正月飾り。見ている側としては、雨宮と目崎の間に何かがあることが分かる。というかコレ・・・

 

うーん。まぁ、もうすでに断り書きにも書いているので、記憶が曖昧な部分があるため詳細は書かず、いきなり確信に行っちゃおうかな。この見せ方だと早い段階で目崎が何者であるかは分かってしまうと思うし。要するに目崎正人がロクヨンの犯人であるということ。これ自分は前編のポスターで犯人分かってしまった。だって主要人物ばかりが載っている中に緒方直人がいるのに、前編で登場しないのだもの。となると後編で登場してくるわけで、だったらもう犯人しかないでしょう。


これね

 

ただ、雨宮が目崎が犯人であることを突き止めた理由が切ない。冒頭のあのシーン。雨宮は電話帳の1ページ目から順に電話をかけ続けていたのだった。犯人の声を聞いたのは雨宮のみ。その記憶を頼りに、たった1人で犯人を捜していた。そういえば、前編で仏壇の前に電話帳が映っていたような・・・ 前編で最初に三上が訪ねた時には、ボサボサ頭で生気のなかった雨宮が、次に訪ねた時には髪を切り、髭をそりスッキリした姿で、吹っ切れたような顔をしていたのは、犯人を見つけたからであり、復讐を誓っていたからなのだと気づくと、その辺りの伏線の貼り方にグッと来る。永瀬正敏の演技もスゴイ。

 

ただまぁ、登場時には誘拐被害者の父であり、緒方直人も被害者しばらくはそのように演じている。ロクヨン事件を模倣しているわけだから、身代金受け渡しの手順も同じ。なので、その間必死の形相で車を走らせる目崎を映しているし、刑事たちも彼の車がスムーズに通れるように、信号機を操作したりといろいろバックアップしている。当然ながら車で後を追っている。その中に無線機などの機械類を搭載したトラックがある。外面的には配達トラックにしか見えない。このトラックには捜査一課の松岡(三浦友和)らが乗っているのだけど、記者たちの不満を抑えきれなくなった三上が同乗し、実況中継することになったのだった。実際にこういう対策が取られているのかは不明だけど、原作者の横山秀夫さんって確か元記者なんだよね? だからあるのかも? 

 

犯人から目崎の携帯に次々指示が入ってくる。これ目崎自身は自分が14年前に指示した内容と同じであることに気づいたのかな? それとも必死で気づかなかったのかしら? その辺りちょっと自分的に疑問だったのだけど・・・ すると、何と犯人が使用していたヘリウムガスが切れてしまったようで、地声が聴こえてくる。特徴のある声。見ている側にもハッキリと分かる。幸田(吉岡秀隆)の声。この役に吉岡秀隆が配役されたのって、やっぱり声に特徴があるからかしら? ロクヨンの犯人が被害者の父の目崎ならば、今回の誘拐の犯人は雨宮だと考えられる。当然そう予想していたら、いきなりの幸田出現でビックリ。これって警察は知っていたのかな? 驚いてるのは三上のみなので、おとり捜査的な?とか思ったのだけど、その場合は現在は一般人である幸田ではなく、刑事を使うだろうし、後に幸田は自首しているので違うか(o´ェ`o)ゞ でもまぁ、雨宮と幸田が共犯であるということは間違いない。

 

この間に被害者は無事に保護されている。実は素行の悪い長女は、ただ家に帰らずにふらふらしていただけで、実際は誘拐事件など起こっていなかったのだった。たしか保護ではなくて補導されただけだった気がする。目崎の次女との車の中での雨宮の号泣、そして誘拐はなかったという事実は、子供を誘拐され殺された雨宮の心情が伝わり心が痛い。

 

松岡ら刑事たちは何故か娘が無事であることを目崎に伝えない。ホームセンターに警官たちが駆けつけたため、ヘリウムガスを買足せなかった幸田は、必死に声を作って目崎を誘導している。必死の形相で車を走らせる目崎。どう考えてもおかしい。何故無事だと伝えてやらないんだと訴える三上。誰も無反応。ここでCMでもおなじみ、伊集院光氏が毎回佐藤浩市に叱られている気がするとラジオで語っていたあのセリフ「刑事はそんなことも分かんねーのか」となるわけなのですが、松岡は意外なことを言う。我々はロクヨンの捜査をしている的なことを、違う言い方で言っていたのだけど、この時点で気づいていなかったのは三上のみ。見ている側としては分かっていたので、そんなにビックリしなかったためか、せっかくの佐藤浩市の熱演むなしく、あのセリフがあまり生かされていなくてガッカリ(´・ω・`) だって、ロクヨンの捜査をしてくれないと困るし(笑)

 

さて、これで目崎がロクヨン犯人であることが確定したわけで、しかも松岡たちは目崎を逮捕しようとしていることが分かる。こうなってくると目崎を見る目も変わる。目崎も今では子を思う親なので、取り乱して車を走らせる姿には同情するところもあるのだけど、彼が14年前に雨宮翔子を殺害した時点では、今回の被害者(じゃないけど)は生まれていたわけで、すでに父親であった目崎が人の子供を殺したことに対して、見ている側にも怒りがこみ上げ、捜査方法として正しいのかは別として、このくらいの報いは受けて当然だと思ったりする。

 

この車での誘導シーンはどこまで続くのだろう?と思っていると、指定先の喫茶店に雨宮が現れる。そのことで全てを察する目崎。たしか証拠となる書類的なものを一斗缶の中で燃やし、喫茶店にいた客たちが野次馬となり、雨宮と共にその姿を見守っていた気がするのだけど、何だったっけ? 忘れてしまった 一度は取り乱すものの、警察には決定的な証拠がないと悟った目崎は、一瞬にして表情を変える。この緒方直人の演技は素晴らしい たしか証拠のメモを食べてしまったよね? この辺りもなかなか見応えがあった。

 

目崎は取り調べを受けるけれど、もちろん全否定。決定的な証拠がない以上、目崎の自供しか決め手がないわけで、結局釈放することとなってしまう。どうやらラストは原作と違うらしいので、どこから映画オリジナルなのかは不明だけど、ここから三上がとんでもない行動に出る。目崎に対して今度は次女を誘拐したと言うのだった。あえて次女がいる場所はボカして伝えると、目崎は自分が遺体を遺棄したあの廃車置き場に迷わず向かう。この行動が目崎がロクヨンの犯人であることを実証しているというのだけど、果たしてこれで裁判で勝てるものなのかな? 犯人しか知りえない情報だったんだっけ? でも、新聞やテレビで報道されていたら? そういう意味で記者たちの主張というのも分からなくはないけれど、何でも報道すればいいというものもないと思ったりする。

 

三上は目崎をボコボコに殴り、川に追いつめてまでボコ殴りするのだけど、刑事ではない三上のこの行動は許されないことだと思うので、若干のやり過ぎにちょっと白けてしまったり。イヤ、映画としては三上の活躍場面を増やす必要があったのだと思うし、ロクヨン犯人逮捕の場面に何としても三上を立ち合わせる必要があったのだと思うけれど、ちょっと強引だったような・・・ 原作を変えるのもありだと思うし、広報官としての役割を越えてしまうのもありだと思うけれど、例えば自分の子供も行方不明で心配している親なのであれば、幼い子供に父親が大人たちにボコボコにされ、逮捕されるところを見せるべきではないのでは? そういう、映画的な盛り上げのために、やや強引だった部分は気になったりした。

 

ただまぁ、見ている間はドキドキして盛り上がっていたことは間違いない。佐藤浩市と緒方直人の演技も良くて、見応えはあった。何故殺した?との問いに、俺に分かるかと答える目崎。そこに殺害シーンが被り、見ている側としてはとても辛い。目崎は多額の借金があったらしい。理由はギャンブルだったっけ? 身代金で借金を清算したらしい。目崎の次女が、お父さん時々うなされている的なことを言っていたので、目崎としても罪の意識はあったのでしょうけれど、当然許されることではない。何故殺したのか理由を知りたかったけど、衝動的にやってしまったということなのか? 自分の娘と重なることはなかったのか? 殺人犯の気持ちなど理解できるものでないのかも?

 

そういえば、何故記者の秋川が同行してたんだっけ? 何かを察知して自分の判断で着いて来たのだっけ? 秋川は三上が暴力を振るったことに関して記事にしている。三上の処分に関しては、同期の二渡(仲村トオル)が守る的な発言をしていたけれど、結局どうなったのかは不明なまま終わったよね? 雨宮はその後姿を消しており、幸田は家族に見守られながら自首する姿が映し出される。

 

地元で行われるどんど焼き。夫婦で出かける三上。引きこもりがちだった美那子は誘拐事件の捜査に協力したことで、外に出られるようになったらしい。そこに雨宮が現れる。明日、自首するつもりだと言う。実際誘拐は行っていないし、どういう罪に問われるのか不明だけど、情状酌量もあるでしょうし、罪を償ってこそ復讐になる気がする。その頃、三上の家で電話が鳴っている。娘からか?と思わせて映画は終わる。この部分も映画オリジナルなのかは不明だけど、希望の持てるラストは良かったと思う。ベタだけど(笑)

 

キャストはかなり豪華。でも、前編の記事にも書いたとおり、顔見世的な感じでの出演も多く、レビューにしきれない部分もあるし、一体誰をピックアップすればいいのか悩む。ということで、主要な3名に限定させていただく。目崎の緒方直人は久々に演技しているところを見た。以前は特別上手いとも思っていなっかったけれど、今回とても良かった。特に一瞬で人格が変わるところ。初めは失礼ながら吉岡秀隆と同じく声に特徴があるから配役されたのかなと思っていて、おそらくそういう部分もあるとは思うけれど、この豹変するシーンはホントにすごかった。雨宮役の永瀬正敏が素晴らしい。前編でのボサボサ頭で生気のない姿もすごかったけれど、その後の急にサッパリしたところは、後編で種明かしされるわけで、そのさじ加減も良かったと思う。そして、やっぱりあの車の中でのシーンが圧巻。鼻水を垂らしながらの熱演は、雨宮の複雑な思いが伝わり泣けた。実行しないで良かったと心から思わせる。

 

前編の記事にも書いたけれど、この役おそらく佐藤浩市ではイケメン過ぎるのでしょう。でも娘との関係を除けば、不細工の設定が生かされる場面もなかったのでOK。全体的に怒鳴っていたりするシーンが多く、熱い演技が多かったけれど、県警トップに直談判しに行くシーンなどよりも、赤間にイヤミを言われて憤りつつこらえている演技にグッときた

 

とにかく豪華キャストで見応えあり。全編見終わってみると、前後編に分ける必要あったかな?と思ったりもするけれど、こういうお祭り的な作品があるのもワクワクしていいかも。どこか寒々とした風景も良かった。特に雨宮が電話をかけ続けた電話ボックスの感じとか。もちろん、そういう誰も来ないような場所を選んだという設定なのでしょうけれど、こんな場所で1人で自分なりの闘いをしていたのかと思うと切ない。

 

書くのが遅れに遅れたので、もうとっくに上映終わってしまったよね なので劇場鑑賞のオススメはしようもないのだけど、DVD出たら前後編続けて見てみたら見応えあるんじゃないかな? まぁ、キャッチコピーにあるように映画史上に残る傑作とは思わないけど・・・ 佐藤浩市ファンの方必見だと思います!( ・Θ・)ゞピヨッ 

 

『64 ロクヨン 前編/後編』Official site


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【event】「第32回 市川市民... | トップ | 【Googleのロゴ】Dooldeフル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

cinema」カテゴリの最新記事