WALKER’S 

歩く男の日日

24日目 ビジネス旅館小松~玉屋旅館

2017-07-22 | 17年四国の旅


 小松の朝食は6時から、今日は本当の山登りの日、雨はまだ降っていませんがいつ降り出してもおかしくない、午後からは本降りになるようです、横峰寺に登る日は5割くらいの確率でこういう天気だったような気がします、瀬戸内とはいえ西日本一の屏風が背後に控えているとこういう天気が多くなるのかと思ったりもします。出がけに靴の寅さんこと田尾さんに名刺をいただいて見送られます、田尾さんからはサイズが合えばぼくの靴をあげるのにと何度も言われました、お遍路靴はパテント契約が切れてもう何年も前から製造されていなくて、在庫もいっぽ一歩堂さんが全部引き受けて、それも売り切れてしまい現在は入手することはできません、2万円以上する高級本皮のシューズで一度試してみたかったというのはありますが、重量が少しあってぼくのような歩きにはちょっと向かないかもしれません、田尾さんによると、雨の日でも完全に雨水をシャットアウト、7巡くらいしてもまだ使えるのだということでした、ぼくの今の靴はミズノのウェーブプロムナード1万円弱ですが、4000kmほど歩いて、もうこれで本番は引退というところです。ちなみに、お遍路から帰られた田尾さんはブログで自分の靴をもらってくれる人を募集していました、興味のある方は「靴の寅さん、ブログ」で検索してみてください。
 小松を6時53分に出発、宿で教えてくれる近道(日本語の地図にはないが英語の地図には赤線があります)で登る、そのために昨日のうちに香園寺のお参りをすませました。この道は初めてではありません、一度横峰寺からハイウェイオアシスまでこの道で下ってきました、オアシスからは香園寺の方に行ったので、小松から高速を抜けたところまでは初めての道になります。
 前回下った印象では大きめの砂利の多い道でかなり苦労した印象です、大洲の手前の鳥坂峠の下りと同じような印象、登りでは下りほど嫌な感じはありませんが、登りやすいとまでは言い難いです。



 9時01分、60番札所横峰寺に到着、思わぬ花ざかりで一瞬立ち止まる、これだけの盛りに来たのは初めてかもしれません。宿から119分でした。
 意外なことに境内には歩きの人が6人ほどいました、向こうの宿だとしこくや、しかない、向こうからでもこの時間に来るのは結構大変、登り口の遍路小屋で野宿したか、
 納経所の前で休憩していたらご夫婦がやって来て見るからに歩きなので不審に思って尋ねたら、バスで上がってきたそうです、区切りの今日が初日ということでした、


 この雨なのでてっきり無理かと思えば、くっきり石鎚の威容を拝むことができました。少し遅れて来た先のご夫婦も感激されていました。今日の宿は小松、であと2回で結願、今回は善通寺あたりまでということでした。それでは最後のためにと宿案内を手渡します。


 9時50分、星ガ森からモエ坂を下り始めます、


 下り始めて6分、

 先ずは虎杖を目指せばいいようで、


 田辺恵司さんの遍路札、

 草刈りのお接待のお願いです、お願いだけでなくこういう鋏まで設置するなんてすごい手間と労力、しかも本来の遍路道をはずれたこんな所に、番外、別格の道だからこそ荒れやすいのだ、ということのようですが。


 下り始めて11分、星ガ森からは800mほどだから、そんなに速くもない。


 下り始めて24分、ちょっと崩れたところ、


 通せんぼのロープ、


 下り始めて33分、橋を渡る、


 下り始めて43分、星ガ森から2.8kmだから時速は3.9kmというところです、あと200mで下りは終了のようです。


 星ガ森から46分、下りはここまでか、



 星ガ森から45分でモエ坂終了、時速は3.9kmでした。橋を渡れば、登り山道の入口が待っています。


 黒川道の登り口です。


 こちらにも先ほどと同じ注意書きがありますが、黒川道を行きます。ネットで見た情報では、少し注意すれば行けないことはないという、風に受け取られるリポートがあったし、それ以降も簡単な書き込みでしたが歩けそうだというニュアンスのものも見ていました。本当のところはどうなのか、自分で歩く以外に確かめようがありません。


 登り口にある距離表示、地図では4寺間かかると書いてあります。


 序盤はすごく歩きやすい緩やかな山道、まだ3分、


 さらに1分だから撮影する余裕はある、雨もまだ小雨、傘をささなくてもいいくらい。


 さらに11分、まだきれいな登りやすい山道、


 道しるべもあって、かつては全ての人がこの道で登った、


 登り口から25分。




 さらに3分。


 さらに1分、最初の頃とは明らかに様子が違ってきています。


 さらに3分、出たぁ、横の崖が崩れて完全に道をふさいでいる、でもこんなのはやさしい方です、この程度のがいくら続いてもほとんど問題ないと言えるのですが、全く予想を遙かに超えるものがこのあと次々現れることになります。


 登り口から39分、こういう倒木も全く問題ない、写真を撮る余裕があるくらいだから、これからはカメラを出す余裕すらなくなってきます。


 登り口から47分で、3分の1登ったことになりますが、もちろんこのペースで最後まで行けるはずはありません、でもこれで、ちょっと油断安心はしたかもしれません。


 さらに7分、道がなくなった箇所、ほとんどそのまま放置。


 荒れ放題の急坂、


 登り口から1時間12分、右は急斜面の谷底、お飾り程度のロープに頼らないと先へ進めない、これでもまだレベル★。


 登り口から1時間35分、中間地点です、距離では、でも実際はそうではなかった。


 よくわかんないと思いますが、大きな岩の方に向かってロープが張られています、道らしいものはなく、ロープのあるところが道だと思うしかない。


 手ぶれが激しくてすみません、それくらい内心も動揺しています、道しるべもこれだけ傾くくらいの道の荒れようです。


 先ほどの中間地点から500mを丸30分かかりました、本当に危うい箇所は撮影できずただ必死にもがきながら迷いながら前に進んできました。


 この500mも30分近くかかりました、登り口から2時間33分、この1kmはそれまでの倍の時間がかかったことになります。
 撮影できないほどすごい崖や斜面、ロープを両手で握らないと谷底へ落ちていきそうなところ、四つんばいでよじ登る滑りやすい急斜面、四方を見回しても道が見あたらなくて途方に暮れるような所、いつ遭難してもおかしくないような所が次々出現してきました、500mおきのこの距離表示以外には道しるべは全くといってもいいほどありません、黄色いロープが張られているのを何とかより所にして、道を探しながら登るという感じになっています。


 間違ってはいないと確認できて一安心、本当に道なき道をいくつも越えてきていて本当にあっているのかと確信が持てないし、そんなことを気にする余裕すら持てないでどろどろになって進めるところをただ進んでいるという感じです。


 先ほどの距離表示から37分かかっています、3kmからここまでの1.5kmの間が地獄の崖登りだったということのようです、ひどい崖の所は撮影する余裕がなかったので、この間のどのあたりにどんな崖があったのかきっちり覚えてはいませんが、ここまで辿り着けたことが本当に不思議なくらい、遭難してても全然おかしくなかったと、はっきり言えます。


 さらに15分ほどでスキー場のリフトが見えました、もうこれで危ない道はなくなったと確信、命拾いしたと本当に安堵したところです。ここで登り口から3時間20分。


 あの道しるべは。


 今宮道と黒川道の合流ポイントでした、リフトから3分の所です。


 スキー場の前を通る。


 今宮道との合流ポイントから4分、奥前神寺、へんろ地図では黒川道はこの前を通らない、早めに今宮道に合流してしまったようです、でもそれらしいみちはなかったような。


 奥前神寺から6分、ロープウェイの駅から成就社まで思った以上にかかるようです。


 合流ポイントから17分、1kmほどの道程をこの時間なので、結構な急坂でした、でもこれまでのがれ場の連続に比べればやさしいやさしい。


 成就社の鳥居の中に3つの旅館があります。


 右が玉屋旅館です、14時27分、黒川道の登り口から3時間48分、雨の中、あれだけのがれ場の中でもがいて休憩時間も含めてのこの時間はなかなかのものだといえますが、もうこりごり、いかにネットの情報がいい加減なものか、パーソナルなものか、言い換えれば自分勝手なものか、思い知りました、情報はたぶん普通の登山者のものだったと思いますが、お遍路さんは金剛杖を持っているからあのロープに頼らざるを得ないところはほとんど無理です、両手を使わないと絶対進めないような所もありましたから金剛杖を持っていてはどうにもならないし、遍路シールや矢印に頼るのが普通になっているお遍路さんにとってあまりに手がかりがなさ過ぎる、道らしきものさえ見あたらないところが普通にあります、7割以上の確率で遭難するのではないかと思えます、登り口にあんな注意書きをするくらいなら通行止めの柵やロープを設置すべきです、そうすればぼくのようにあやふやな情報で冒険して危険な目に遭う人が半分以上防ぐことができるはず、絶対そうすべきです、歯長峠の登り口に通せんぼのロープがありますが、あの道の5倍以上は危険な状態なのですから、
 英語の地図には黒川道はありません、黒線も名前もその痕跡すらありません、日本語のへんろ地図も同じようにすべきです、歩けない危険な道はその情報を抹殺することこそお遍路さんのためになることです。


 ぼくは12年くらい前、神峯寺の山道で立松さんとすれ違って声をかけてもらったことがあります。


 15時前に着いたのに、お風呂もすぐ用意してくれました、全身ずぶ濡れ、洗濯もお手伝いの男性がしてくれました、食事も十分でした、同宿は登山の女性が一人でした。

  Unknown (トトロ)2017-07-24 12:44:22  無事踏破は1日にして成らず。
  間違わないでルートファインディング出来たのも、経験による感?
  「今宮道」は当時の表参道、今も毎日郵便はこのルート徒歩で配達されています。「立螺の会 山本様」法螺を持って。横峰寺へはバイク、この道昼前からピストンです