事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

きれいな手で。

2007-09-17 | ニュース

藤島・一家殺傷 義理の息子を逮捕

殺人容疑 家族の将来悲観?
藤島町藤島の自宅で6日未明、無職天羽一郎さん(87)ら家族4人を殺傷したとして鶴岡署は同日、殺人容疑などで、元小学校校長で一郎さんの義理の息子(65)を逮捕した。調べに対し、息子は「家族の将来が不安だった」などと供述、自分で手首などをカッターナイフで切っていることから、将来を悲観して無理心中を図ろうとしたとみられる。

Kanp3 一方、司法解剖の結果、殺害された一郎さんと妻のまつ子さん(82)の死因は脳挫傷と判明。二人の傷口や息子の供述などから、円形状の鈍器で頭部を殴打したのが致命傷になったとみられ、自宅から類似する木製品などを押収した。首を締められて酸欠状態になり、意識不明のまま治療を受けていた息子の二女の詠子さん(30)は意識を取り戻したという。

調べによると、息子は同日午前2時45分頃、一郎さん夫妻の首をひも状のもので絞めた上、鈍器で頭を殴るなどして殺害し、長女の貴子さん(32)と詠子さんも同様に殺害しようとした疑い。貴子さんは殴られてけがをしたが、一階南側居間のサッシ戸を割って逃げ、隣家に助けを求めた。

息子は田川地区の小中学校で教員生活を送り1996年、羽黒町内の小学校長を最後に退職、すぐに藤島町内の文化施設の初代館長となり、去年8月末で退職した。数年前に脳梗塞を患い、館長を辞職した翌月から精神科に通院。詠子さんは数年前から精神的に不安定な状態が続いていたという。ことし10月上旬には息子の妻(59)がくも膜下出血で入院している。

事件前、息子は知人に「高齢の両親がいるが妻も自分も体調がよくない。娘のことも心配だ」と漏らし、特に妻の入院以降はふさぎ込むことが多かったらしい。
2001年12月7日付山形新聞朝刊

Im002334 新聞記者とは神の如き職業である。事件の翌日にはその背景から容疑者の通院歴、娘の精神状態までを調べ上げ、おまけに全県下にそれを知らしめてくれるのだ。ありがたいことである。しかも“人権に配慮し”て肝心の容疑者の名前だけは出さないわけだ。まったく、神様もびっくりの慈悲深さである。

……皮肉はとにかく、この「義理の息子」は、詳しくは書けないが私の同僚だった人だ。田川の学校(もうバレバレだが)に新採で入ったとき、「あー、やっと酒田の人が来てくれた。」と喜んでくれた人だったのである。その学校では、酒田出身者は彼と私だけだった。
「田川の人と合わせていくのはたいへんだよ」確かに。

 彼は確か酒田から田川に婿に入ったはず。まことに如才ない人で(このあたりが酒田人らしい)、共産党系の活動家たちとゴリゴリの反動校長(保守系の雑誌に『日本人は褌をしめているのが……』などと投稿するような人物だった)の壮絶なバトルの場だった職員室でも、組合員でありながら管理職のウケもいいという際どいスタンスに立っていた。校長になった、という話を飽海に私が異動してから聞いたとき、さもありなん、と思った憶えがある。

 きれい好きな人でもあり、「スティックタイプのノリはないかな、ホリさん」とリクエストされたことがある。
「私はね、手を汚すのが大っきらいなんだ。」彼が言うと、若手の女教師たちが「やっぱりねー」とか呟き合っていた。

 その夜、彼はその清潔な手を、どんな思いで血まみれにしたのだろう……。

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2 コメント

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今更ですが、たまたまさっき見たのでコメントしま... (よしぶん)
2007-11-15 21:35:07
今更ですが、たまたまさっき見たのでコメントしました。
私がその「田川の学校」に入学した年に彼はその最後の年でした。
普段の姿は忘れましたが、キレるともの凄く怖かったイメージがあります。
木琴のマレットって、とても痛い!と初めて知ったのもあの年です。
数年後、就職したときの同期が彼の長女だったので、あの記事を見たときにはかなりショックでした。
そうか。親子ともに面識があったんだなあ。 (hori hiroshi)
2007-11-16 06:13:59
そうか。親子ともに面識があったんだなあ。
あの田川の学校が(当時からボロボロだったのに)、閉校した今でもそのまま立っているのには…………うれしかった(笑)。ひょっとしてオレが定年を迎えるまでそのまんまなのかも。だとしたら退職後にまた訪れてみよう。←発想がすでに後ろ向きです。

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