事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その87 「孤狼の血」 柚月裕子著 KADOKAWA

2016-08-25 | 日本の警察

その86「法医昆虫学捜査官シリーズ」はこちら

文壇で一、二を争う美貌の作家(山形在住)が放つ、破天荒な刑事と暴力団の抗争の物語。

もちろん背景には現実の広島抗争があって、緻密に取材されているのがわかる。ただ、笠原和夫がねっとりと「仁義なき戦い」で描いたような、男のだらしなさ、嫉妬というような側面よりも、パワーバランスこそが肝要だと開きなおる刑事のヒーローぶりが前面に。

この、パワーバランス云々とくればやはり笠原=深作の「県警対組織暴力」が思い浮かぶし、映画化するとすれば菅原文太しか主役はありえない。

あの映画の主人公の末路を柚月が意識していなかったはずはないが、まさかそこに「新宿鮫」パターンまで持ちこむとは。もうちょっと主人公ふたりに人間味(こく)があるとうれしかったかも。最後の年表はさすが。

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うまい店ピンポイント2016夏休みVOL.11 かめちゃん&ガスト

2016-08-24 | 食・レシピ

VOL.10「丸亀製麺」はこちら

さあ夏休みシリーズは最終回。今年もいろいろあったなあ(ありすぎ)。

酒田のラーメン情勢もいろいろとあって、この一年だけでも

・風林火山の進出(つまりは優勝軒の閉店)

・銀竹(つらら)、和み屋、花やらぁめん2ndの開店

太陽軒の閉店

・ほんとに池田屋は閉店してたんだ

癒庵がらみのお店が駅前の元東急インビルに出店

……わたしが知らないだけで他にもいろいろあったんでしょうね。客の側にもいろいろあって、わたしの起点が転勤とともに移動。で、その異動とともに学区の太陽軒が閉店したと(T_T)

前任校で、出前してくれてた桃花苑が遊佐にお引っ越ししたのよりもショック。今年の最終回は前任校の学区に。「侍」が満員だったので「かめちゃん」へ。ここはもう、居酒屋の余技の域をこえてます。それ以上に、例によって焼酎やウィスキーのボトルに囲まれてラーメンをいただくとそれだけでうれしいです(なんでだ)。



ガストは山形市で妻とふたり。何年ぶりだろうガスト。ドリンクバーなんて単語も久しぶり。平日のお昼過ぎに、みんな何やってんだと思ったけど、じゃあお前は何なんだってことですわね。カロリーオフのバニラアイスはなかなかけっこうでしたよ。上品なお豆腐を食べてるみたい(笑)。背脂とお豆腐の夏でした。

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「三の隣は五号室」長島有著 中央公論新社

2016-08-23 | 本と雑誌

祝谷崎潤一郎賞受賞!選考委員は筒井康隆、池澤夏樹、桐野夏生、川上弘美、堀江敏幸。一昨年の受賞作が、あの、奥泉光の「東京自叙伝」ですからこの賞の狂いっぷりはすごい。

読みながら、お出かけの時間がせまっているのにあまりの面白さにやめられなくなる。1966年から2016年にいたる、第一藤岡荘5号室の物語。この、奇妙な間取りのアパートには50年間に13代の店子が入る。

それぞれ、居住年が名前のあとに出てくるし、その名前がちゃんと何代目なのかわかるようになっている(まるで四谷さんとか五代くんとかのめぞん一刻みたい……長島はブルボン小林名義でマンガ評論家でもあるので意識したに決まっていますが)。

読み終えて切なくなる。

この五十年は戦争があったわけでもなく、ひたすらに経済に翻弄された時代。そんな、血塗られてはいないけれども高揚もなかった50年が、今まさに歴史になろうとしているのだと。

特に、70年代末から80年代初めまでの、自分が何者になるのかもわからず、ただ東京に“居住していただけ”だったわたしには、この書はとてもせつない。ついに「ぼくは落ち着きがない」を超えた長島の最高傑作。

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うまい店ピンポイント2016夏休みVOL.10 丸亀製麺

2016-08-22 | 食・レシピ

 

VOL.09「桂林」はこちら

あぢあぢあぢ。

こんなに暑くても山形の夏休みは終わってしまう(その代わりに春休みが長いっす)。

あまりに暑いので、安易に職場の近くの丸亀製麺へ。でもわたし、ここに入るの初めてです。こんなに讃岐うどんが好きなのに。

だってめんどくさそうじゃない?スタバほどではないにしろ(笑)、どんなルールなのかよくわからない。そういえば学生時代に吉野家に入るのも最初は敷居が高かったなあ。松屋の食券システムにもようやく慣れたので、丸亀もいけるでしょ。

でもうちの奥さんはダメらしい。うしろのお客さんに突き動かされるようにオーダーし、突き動かされるように食べ、そして出て行くというルールが。

娘は虚心に「おいしいじゃない丸亀」と不思議がっている。となりの銀行の正面でタバコを吸っていたら(なんて迷惑な客)、見たことがあるクルマがやってきて丸亀に駐車。出て来たのは息子夫婦だった。

行ってないのおれだけじゃん!

ということでチャリを日陰に置き、入口へ。わりにすいている時間帯だったのでOK。冷たいおうどんをオーダーし、あれ?おれはお揚げが食べたいのにどこでオーダーを?

しまった。最初にきつねと言わなければならないのでした。まあ、次はそれで。並んでいたら、前任校の元校長がポンとケツを叩いていく。そうか、近所にこういう店があるって幸せなことだったんだなあ。いっしょにオーダーしたおむすびもすごくおいしいです。人気納得。

VOL.11「かめちゃん&ガスト」につづく

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真田丸 第三十三回「動乱」

2016-08-21 | 大河ドラマ

第三十二回「応酬」はこちら

前回の視聴率は15.8%と予想よりも下がった。お盆の定例であると同時に、リオオリンピックが影響しているんでしょう。他の番組も軒並み下がっている。

4年に一度の、あの祝祭に勝つのはなかなか。女子レスリングの軽量級の金メダリストが、インタビューで上唇をぴくぴくさせながら答えているのを見て、ああ人間が本気で泣くのをこらえるときって、確かにこうだよなあと感動。これにフィクションが勝つのはしんどい。

でも今回はフィクショナルに突っ走った回。史実はどうあれ、三谷幸喜が造型した石田三成(山本耕史)なら、こうせざるをえなかったであろう展開が描かれている。

もはや1599年のお話なのだから関ヶ原前夜。専横がいちじるしい家康に三成は危機感をおぼえ、政治的には前回で圧倒されたものだからテロに走る。しかし人望のなさ(とお腹の弱さ)は決定的で、豊臣恩顧の大名たちが次々に徳川についてしまう。

伏見の徳川屋敷が、宇喜多(だっけか)の屋敷と隣り合わせで、お互いが不穏な動きを見せる……ってこれは歴然と黒澤明の「椿三十郎」じゃないですか(笑)。紅い椿や白い椿が流れる川が間に流れている……わけはないです。

勢いにのる徳川と、追いつめられる石田。こういう構図にだけはするなと主張した大谷吉継の懸念したとおりの展開になってしまう。こういうにっちもさっちもいかない状態になると薄笑いをうかべる昌幸の出番。

まるで学級会のようになってしまう(みんないちいち名乗るのがおかしい。挙手まではしませんが)軍議の場を、不満げな加藤清正(新井浩文)を蹴散らして昌幸がイニシアチブを握る。

「あれは、さみしい男なんじゃ」

と秀吉が予言したように、佐吉(石田三成)は孤立していく。義は三成にある。それは確かだけれど、お味方するのがあの人とあの人とあの人では(笑)。

本来であれば前田利家がそこをうまくまとめるはずだったのに、もう彼に命は残されていない。思えば椿三十郎における伊藤雄之助の家老が、みずからを

「乗った人より、馬が丸顔」

と笑わせて三十郎(三船敏郎)の放浪を不可避のものだと描いたような“いい意味での年寄り”はいなくなった。あとは激突あるのみ。今回は16%台後半と読みました。

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「HERO」 (2015 東宝=フジテレビ)

2016-08-20 | 芸能ネタ

十年ほど前に、いきなりキムタクの魅力にめざめ、彼の作品ばかり見ていたことがある。ひさしぶりにその病が再発し、このお盆は「HERO」のセカンド・シーズンと映画版(2015)をたっぷり見ていました。

ますます、よくなってます木村拓哉。渋味を増している。一時期、ちょっと容色が衰えたかな、と思ったときもあったけど、なぜか復活しています。よほど摂生しているんだなあ。

作品についてはいろいろと言いたいこともある。児玉清の不在はやはり痛いし、脚本の福田靖さんが自ら講演でばらしたように、松たか子抜きの「HERO」は本来ありえない。

だから北川景子に向かって雨宮(松)と同じような接し方をしているのを見ると、キムタクもしんどいんだろうなと察せられる。映画版に松が復帰したときには、「どっちのファンにも気を使わなきゃいけないんだろうな」と観客の方がハラハラ(笑)。

ストーリーはおなじみ時代劇パターン。中卒の検事が正義をまっとうすることで検察自体を変えていくという貴種流離譚であり、ファンタジーでもある。そこを絵空事にしないためには、木村拓哉のふてた演技が絶対に必要だったわけで、その意味でやはり彼は芸能界の宝なのである。

TV版のオープニングを思い起こしてほしい。あの傲岸なまでのカメラ目線を、いったい他の誰がきっちり実現できるか。

SMAPの解散で世間は騒然。これだけの人気グループだし、利権もからむだろうからビジネス的にも大きい話。騒がれるのは当然だ。でもわたしは前回の騒ぎのときと同じように、木村拓哉だけが存続を主張した裏には、工藤静香(の背後の人)もからんださまざまな思惑があるのだろうと愚考するけれど。

しかしわたしからすれば、ソロとなった木村拓哉にはむしろ期待が大きい。がんばってねキムタク。こういうおじさんからの応援がいちばん迷惑だろうけれども。

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明細書を見ろ!2016年8月号 学校事務全国大会報告。

2016-08-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2016年7月号「空飛ぶ秘書室」はこちら

旅費をいただいて、8月2日から5日まで2泊4日(一日は日帰りしました)で山形市で行われた学校事務の全国大会に参加してきました。少しは復命を。

・大会前日は資料の袋詰めや会場のセッティング。山形ビッグウイングはたいそう広く、パイプ椅子を2000並べるだけでクラクラする。そんな作業なのだからと短パンTシャツで行ったら、「明日はそんなかっこじゃ来るなよ。知事も来るんだからな」と怒られた。そんなのわかってるって。

・開会式では来賓を先導。いちおう副実行委員長(肝臓&お笑い担当)だからちゃんとスーツ着てます。それはそれで笑われた。おれにどうしろと。でも、こんなガタイでスーツを着こみ、ネームタグを下げて知事や山形市長を先導してると、こりゃどうみてもSP

・この日の午後に組閣が行われたので、遠藤利明議員の秘書を、ギリギリで「オリンピック・パラリンピック担当相代理」として紹介できた。

・初日夜のレセプションには全国の地酒が集まった。山形は「十四代」を何本か用意。「いいか!地元の人間は十四代飲んじゃだめだぞ!」と警告していたのに、当のわたしの目が十四代から離れない(飲んでませんてば)。

・二次会に向かう途中で山口県の事務職員と会い、いっしょに飲むことになった。長州と庄内藩の合コン。

「やっぱりあれですか、長州の暴走族は、奇兵隊とか名のってるんですか」

「そんなわけないでしょ」

・二日目の夜に全国の若手たちと飲んでいたら、山形市長も参加して「山形市は『チーム学校』の先進市になります!」と気勢をあげていた。次の日、ビッグウイングに出店していた業者たちが、庭の方を見て

「あの撮影を俺たち見ちゃいけないのかな」

と話している。撮影?

なんと山形市長が着流し姿に扇子をもって登場。なななななんだ。お付きの人に知り合いがいたので

「こちらの市長は、芸風が変わったの?

と訊くと

「いやあ、山形市長ってビッグウイングの理事長でもあるもんですから、プロモーションヴィデオを撮ってたんですよ、国際会議を誘致するために。だから浴衣着て、台詞はみんな英語」

そうだったのかあ、あれは浴衣だったのか。さすが東大弁論部出身ですね。よくわからないけど。

・二日目の二次会は群馬と大阪の参加者と飲んでました。おつまみは芋煮と玉こんにゃくと枝豆。季節感めちゃめちゃだけどヤマガタっぽい。

「山形って暑いでしょ?」

「いやいやいや、夜は涼しいやないか」

「うちは、館林があるからなあ」

なるほど、なるほど。

うーん、やはり全国大会ともなるとお勉強になる……ってやってることはビッグウイングのエレベーターに何十回も乗り、あたふたしていただけ(そして酒を飲んでいただけ)。どうもすみません。

画像は「シン・ゴジラ」(2016 東宝)

初代ゴジラのスーツ・アクターが酒田出身の中島春雄さん(中島精肉店の人)なのは有名。それがついにCGの時代となり、モーションキャプチャーで演じたのが野村萬斎とは。それにしても大傑作。「新・ゴジラ」にして「真・ゴジラ」、そして「神・ゴジラ」だ。もう一回見よう。

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うまい店ピンポイント2016夏休みVOL.09 桂林

2016-08-17 | 食・レシピ

VOL.08「桃花苑&三日月軒駅東店&癒庵&三日月軒高砂店」はこちら

今日も都合があって山形市。台風7号の影響で新幹線がストップするなど、先日の三津屋のときのような予感が。うちの家族(正確にいうとわたしの娘)が行くと天候が……嵐を呼ぶ女なのか。

でも思ったより雨も風もひどくなくてホッ。

ということで行きつけの桂林で海老ラーメン。妻は海老やきそば。娘は五目チャーハン。今年は山形市にとにかく金を落としたなあ。数年ぶりにガストにまで入ってますもの。

ちなみに、娘は某企業の役員面接に臨んだのだが、その前の小論文の課題は

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」(信長)



「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」(家康)

のあいだにオリジナルをつくれというものだったそうだ。

娘の回答は

「鳴かぬなら それでもいいや ホトトギス」

さすがおれの娘だ(笑)。これで娘を採用するというなら、この企業はシャレがわかるなあ。

VOL.10「丸亀製麺」につづく

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「小説王」 早見和真著 小学館

2016-08-16 | 本と雑誌

誰だって自分の業界がいちばん変わっていると思っている。医者には医者の、学校の先生には先生の、会社員には会社員の誇りがあり、他には言えないような苦渋もある。それはもちろん学校事務職員だって同じことだ。

だから小説をものしようとすれば、まずは自分のよく知っている世界を書け、とは小説指南の第一歩。

しかし、この「小説王」は、作家と編集者が火だるまになりながら傑作をものにする過程を、まさしく小説というツールで描かなければならないわけだから、作者にとって二重三重にしんどく、そして読者にとって味わい深い。

本来であればひたすら私小説的になるところを、思いきり娯楽として成立させ、そして最後に泣かせてみせる。なんか、小説の王道とはこの作品のようなものなのかな、と。

表紙のイラストは、編集者が血のにじむような努力の果てに傑作劇画を求めていく、あの故土田世紀の「編集王」から採られています。このアイデアはすばらしい。

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シン・ゴジラを味わうPART3

2016-08-15 | 邦画

PART2はこちら

「シン・ゴジラ」で描かれているのは、3.11におけるフクシマ第一原発の事故がなかった世界。そして、ゴジラという存在がまだ認知されていない世界だ。あの怪物は、だからまったく未知の生物で、放射能対策も手探りで行われる。

この、ゴジラがそれまで存在しなかった設定はオリジナルの「ゴジラ」以来だという。

60年も前のあの作品においては、まだ戦災の記憶も鮮明なので、半鐘は鳴るわ大八車は……な世界はおなじみのもの。しかも核の恐怖は、水爆実験などでなおリアルなものだった。

そして新世紀。

またしてもわたしたちは放射能の脅威におびえる生活を余儀なくされている。二転三転する政府の発表、拡声器から流れる避難誘導など、わたしたちはまたあの時代をくりかえしている。

その意味でこの映画は「新・ゴジラ」であると同時に「真・ゴジラ」なのだと思う(もちろん神・ゴジラでもある)。

にしても、この作品におけるイメージの奔流はすばらしい。最初の水蒸気爆発、コミカルといっていい幼生ゴジラの造型、水生生物が都下の川を遡上するのだから当然のように吹き飛ぶ無数の船、巨神兵そのものにゴジラが進化する経過、エネルギーを一気に放出することで破壊される東京……

“いちばん最初に見るゴジラ”がこの作品である子どもも多いはず。彼らにこの複雑な構成は理解できただろうか。

庵野はそんなことはまったく心配していないだろう。わたしも子どもなら、“はたらくくるま”の大活躍と、でんしゃの突撃に狂喜するはずだ。だいたい、わたしだってこのストーリーを完全に理解したものだか(笑)。

怒涛の展開をクールダウンさせるために、おそらくは日本でいちばん体温が低そうな男優ふたり(長谷川博己竹野内豊)を狂言回しにしたあたりの計算もすばらしい。おれ、もう一回観ようかなあ。

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