丹波の出自のすごさはこちら。
さて今回は初体験篇。
俳優丹波哲郎というより、大金持ちのボンボンの日常。
-ちなみに初体験とかは覚えてます?
丹波:僕の初体験は、もうずーっとあとよ。十七歳くらいだから……
-それは同じ学校の……
丹波:いやいやいや。これはね、ミツという我が家の女中。僕が今でいうと満十六歳かな。中学四年だと思ったな。昔のことだから、パンティというのを穿いてないんだ。勿論ブラジャーなんかしてないんだ。
-ズロースみたいなのも穿いてないんですか。
丹波:いやいや、何も穿いていない。あの腰巻だもん。和服だから、洋服じゃないんだから。
-和服は昔だと一切そういう下着とかつけない。
丹波:下着はつけない。で、着物の裾を端折っているのよ。端折って洗濯したり、物をたたんだり、前掛けしてる場合には、思いっきり端折っちゃってる。そういう格好のまんまたらいを両足でもって挟むから、股が開くわけだよね。でも、もっと見えるのは着物をたたむときなんだよ。
-それをジーッと見てるんですか。
丹波:ジーッと見てるわけにはいかないんだね。チラチラと。だから、寝っ転がるんだよ。
……丹波節全開(笑)。聞き手のダーティ工藤も、さすがアダルトビデオ監督らしい突っ込みである。その後丹波は中央大に進学し(これも相当に怪しい入り方なのだが)、学徒動員で召集される。配属されたのは立川の航空隊。ここは落ちこぼれの吹きだまりだったとか。
-立川では巨人軍の川上哲治さんや芥川比呂志さんもご一緒だったそうですが。
丹波:川上哲治は見習士官。見習士官の二十人くらいのなかにいた。それが士官としてくだらないことをやってんだ。川上哲治は野球においてはスターだけど俺は野球をあんまり知らないから。でも、間もなく全員嫌いになったね。川上を好きだなんていう奴は我々の仲間では一人もいない。威張るのはいいんですよ、軍隊のなかだからね。まあ嫌われたね、徹底的に。情のない士官だったから。
……期せずしてすごい戦後史になっている。そして、いよいよ演劇の世界へ突入する。
【エスパーのお父さん篇に続きます】
ここで豆知識。
「007は二度死ぬ」で、英語力などの関係からボンドガール浜美枝が一度キャンセルされそうになったのを、東宝が突っぱねたとか。ほぉ。やるなー東宝。