事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「どちらかが彼女を殺した」&「私が彼を殺した」東野圭吾著 講談社文庫

2013-09-02 | ミステリ

Kagakyoichiroimg01 「これ、親からあずかって来ましたー」

生徒がわたしの留守に事務室に荷物を。親というのはわたしの元同僚だ。入っていたのは東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」と「私が彼を殺した」の文庫本。どういうこと?その文庫本にはこのミステリを解くヒントのような紙もはさんである。これってなんかの挑戦状なのか(笑)

というのも、この二冊は加賀恭一郎シリーズで「犯人が最後まで明かされない」ことで有名だからだ。おーし受けて立つぞ。おれも一応ミステリ読んで四十年以上のベテランだし。最初はタイトルからもお分かりのように容疑者がふたりの「どちらかが~」。

………………?あれれ、全然わかんないぞ。犯人が右利きなのか左利きなのかがキーであることは想像できても。うーん、巻末に袋とじ解説があるのでくやしいけれど……それでもよくわからない(笑)。もっとくやしいけれどヒントの紙を読んで……現場にはふたつの薬袋が存在し、みっつのパターンが列挙してある。あ、ここからネタバレです。

◆薬袋がふたつとも左手で切られていた場合

◆ひとつが右手、ひとつが左手で切られていた場合

◆ふたつとも右手で切られていた場合

……それぞれの可能性が列挙してある。ふむ。でも右利き、左利きの人がいつも同じ開け方をするだろうか。まあそれでもなんとか納得はする。

では「私が彼を殺した」の方はどうだろうか。容疑者は三人。薬のカプセルの数を説明するために加賀はその数に対応した十円玉を用意し……おいおいそうくるのかよ。こちらの方が“この人でなければ犯人ではありえない”のでミステリとしては上だろうか。

ただ、どちらも加賀恭一郎刑事が無謬の名探偵であることが前提になっていて……あ、ミステリとはまさしくそういうものでしたね。

ノベルスで刊行されたときはヒントなしなので版元に問い合わせが殺到したとか。おそらくはゲーム攻略でネットが大活躍している現状に、こりゃミステリでもいけるとサービス精神旺盛な東野は考えたのでしょう。読んだ後もしばらく楽しめるし。

でもベストセラー作家となったいま、同じパターンを加賀恭一郎シリーズでやったら版元の回線はパンクするだろうなあ。

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫) どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:1999-05-14

私が彼を殺した (講談社文庫) 私が彼を殺した (講談社文庫)
価格:¥ 730(税込)
発売日:2002-03-15


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