15年間日本のショービジネスをひっぱったシリーズの完結編。異論がおありですか?でもね……
・トレンディドラマと刑事ドラマの融合に成功
・ネットを番宣に活用して成功した最初の作品
・日本の官僚システムの欠陥をあからさまにすると同時に、その補完まで担い
・大衆憎悪をこれだけ描きながらその大衆に支持され
・テレビ局が映画を作ることを“当然のこと”にして
・多くのコメディアンや新劇人に違うタイプの役を提供
・お台場というマイナーだった土地をフジテレビとともに観光地に押し上げ
・実写映画の到達点として170億の興収という目標を打ち立て
……えーともっとありますか。それほどに、「踊る大捜査線」という存在は大きかった。だからこそ、批判もされてきたし、わたしもいちゃもんつけてきました。
オープニングはまんま「なくもんか」。阿部サダヲのあの喜劇をそのまんまもってきたかと。あっちはハムカツ屋でこっちは唐揚げ屋だけどね。
「俊ちゃん」「すみれ」と呼び合う青島(織田裕二)と恩田(深津絵里)が、観客の『こうであってほしい二人』を体現していておかしい。
もちろん唐揚げ屋夫婦は捜査活動の一環。でも、逮捕のあとに「撤収!」と看板が取り外されるくだりは、おだやかな展開はこれで終わりですよという宣言。例によって寅さんパターンの幸福は血なまぐさい事件によって転調を余儀なくされる。
で、リズム&ポリスが派手に流れるタイトル。今までになくかっこいい。15年の歴史、そして今回の事件の背景にある場面を散りばめるので、この作品から「踊る」を見始める観客(いるはずです)への解説として見逃せない。
特に今回は音と編集にかなり凝っているし、最初の5分ぐらいは見逃しても……なんて考えちゃだめですよ。あああやっぱり一回で終わろうなんて考えたわたしが甘かった。以下次号。