はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

墓場鬼太郎 #06「水神様」感想

2008-03-01 23:11:18 | 水木しげる
・墓場鬼太郎 第6話「水神様」
(脚本/成田良美、演出/石黒 育、作画監督/清水昌之・曾我篤史)


 今回は、Aパートは原作のとぼけた味わい、Bパートは水神様の「怖さ」がそれぞれ上手く描かれており、「一話で二度おいしい」感じだった。


 まず、Aパート冒頭の「家賃二倍に値上げ」で異様にシリアスな顔をする水木からして面白すぎる。
 そして、ずっと楽しみにしていた鬼太郎の「ぼろい!」もいい感じだった。借金取り立ての勘定をしている場面を観ていて、「そろそろ来るぞ」とワクワクしてまっていたが、野沢さんの演技は十分に期待に応えてくれた。
 演技と言えば、本話でのねずみ男は、これまでと比べると「ゲゲゲ」第1作・第2作に近い感じの声になっていたように感じた。「ゲゲゲ」の方で好きだった「ンーフッフッフー」と言う特徴的な笑い声を再び聴けたのも、嬉しいところだ。
 また、物の怪とのやりとりもテンポ良く進んでおり、原作準拠の会話は聴いていて心地よい。鬼太郎のハチマキの日の丸は「め し」に変えられていたが、これはこれでとぼけた味わいがよく出ている。

 続くBパートは、水神様の襲来で一気に大スペクタクルとなった。
 今のテレビアニメで水神様に人間が溶かされる場面を描けるのか心配していたのだが、大空ひばりも警視総監もしっかりと溶けており、満足した。個人的好みを言えば、「足跡の怪」並みにグロく溶かして欲しかったところだが、水神様の怖さは十分に描けていたから、まあいいだろう。
 そして、Bパートで特に印象的だったのは、原作ではいつの間にかいなくなった水木に退場の場面が与えられていた事だ。それも、水神に捕らえられようとしている水木を、鬼太郎があっさり「じゃあ」と見捨ててしまうのだからインパクト満点だ。一応金蔓なのだから少しは助けようとするのかと思ったら、完全に自分の命重視なところが「墓場」の鬼太郎らしい。
 また、水木の最期も実にあっさりと水神に溶かされており、序盤で命からがら地獄からかえってきた事を考えると非常に哀れだが、このような人命の軽さも原作の味が出ていたと思う。


 ところで、個人的に「鬼太郎と水神」の話に初めて接したのは、アニメ「ゲゲゲ」第2作の「地獄の水」だった。
 この話でも、容赦なく多くの人達が水神に溶かされて犠牲になっており、人死にの多い「ゲゲゲ」第2作の中でも怖い話として小さい頃から印象に残っていた。
 「墓場」では、よりによって鬼太郎が水神様の被害を引き起こしてしまうところ、初めて原作を読んだ時に衝撃を受けた部分だった。アニメ「ゲゲゲ」の「地獄の水」と、今回の「水神様」で、まったく性格の異なる鬼太郎を両方とも野沢さんが演じているのだから、凄い事だ。

 さて、このまま行くと次回はニセ鬼太郎も退場か。水木をあっさり殺したのだから、こちらも同様だろう。ニセ鬼太郎の最期が楽しみだ。

墓場鬼太郎 #04-05 感想

2008-03-01 22:54:01 | 水木しげる
 最近、「墓場鬼太郎」を放送当日に観られない。
 東海テレビでは木曜深夜に放映されているので、最初のうちは金曜日の夜に録画を観ていたのだが、2月に入ってから忙しくなり、特に金曜日は帰宅した後ぐったりしてしまう。「墓場」はじっくりと観たい作品なので、疲れている時には30分間気力と体力がもたないのだ。
 そんな訳で、第4話以降は土曜日か、事によっては日曜日に「ゲゲゲの鬼太郎」第5作と続けて観る状況になってしまっている。どうやら3月一杯まで忙しそうなので、最終話まで週末に観るスタイルは続きそうだ。

 前振りが長くなってしまったが、遅まきながら第4話・第5話の感想を書いた。本作については、全話の感想を書くつもりだ。



・墓場鬼太郎 第4話「寝子」
(脚本/高橋郁子、演出/中村哲治、作画監督/袴田裕二・窪 秀巳)


 前話の吸血木に続いて、今回は原作から寝子に絞って話が再構成されている。
 もちろん、今回は寝子にたくさんセリフがあったわけが、悪くはなかったと思う。普段声優の仕事をしていない芸能人がアニメに出演すると、「声」として聴けるレベルでない人も多いが、中川翔子はアニメレギュラーの経験があるだけに、きちんと聴ける「声」になっていた。

 ストーリーの構成については第5話の感想で詳しく触れるが、本話限定では、自分が幽霊族である事を打ちあける鬼太郎や、「君にメロロン」を歌う寝子の場面が印象的だった。「君にメロロン」は、アニメ版の寝子の持ち歌としてなかなかいい曲だと思った。さすがにmegrockが手がけているだけあって、アイドルソングとしてもアニメソングとしてもしっかりツボを押さえた歌になっている。
 また、ニセ鬼太郎が寝子と川に身投げするところでは、異常なまでの強引さと必死さが笑えた。自殺するならもっと落ち着けと突っ込みたくなってしまった場面だ。




・墓場鬼太郎 第5話「ニセ鬼太郎」
(脚本/高橋郁子、絵コンテ/地岡公俊、演出/羽多野浩平・地岡公俊、作画監督/橋本敬史・窪 秀巳)


 前話で飛ばされた部分や特に説明されなかった場面を、ニセ鬼太郎とねずみ男の回想で補完したのは面白い構成だった。アニメ版「墓場鬼太郎」は原作と比べて各話の独立性が高くなっているが、この2話分に関しては合わせて前後編で一つの話として観るべきだろう。

 今回は、チャンチャンコを奪われた鬼太郎に「ただの子供だ」と言い放ったり、地獄のニセ鬼太郎に「わしゃお前の親父じゃない」など、「ゲゲゲ」では絶対に観られない厳しくて怖い目玉親父がしっかりと描かれていたのがよかった。声はいつもの目玉親父と変わらないだけに、余計に怖さが感じられる。
 また、一体どう描くのだろうかと興味津々だった、ねずみ男の「黄金の実弾」についても、テレビ放送で可能な限り原作の味を残したと思われる会話が聞けたのでよかった。最後の放屁はアニメオリジナルだが、これもねずみ男らしい。

 そして、本話のクライマックスは寝子とニセ鬼太郎との対面。ここでは、対面前にニセ鬼太郎が寝子の恨みを恐れている描写が念入りで、迫力があった。さらに、地獄に残る決心を語る寝子の場面は原作以上にもの悲しいものだった。
 ただ、原作を読んでいると、ニセ鬼太郎がこの後どのような運命をたどるか知ってしまっているので、寝子が「ニセ鬼太郎さんには将来があるわ」と言う場面では、つい「どうせこいつはあっさり死ぬんだし、寝子さんが戻った方がいいんのでは…」と思ってしまった。本話については、原作の知識なしで観た方が、より泣ける作品に感じられたのではないだろうか。
 それはそれとしても、2話分合わせて原作と構成が違うだけに、かえって新鮮に観られて面白かった。