極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

スマート・トラュシュボックス・システム

2016年06月30日 | デジタル革命渦論

 

 

 

      沖縄は日本国のひとつの県という意味ではひとつの地方自治体にすぎないが、日本
      国の原像(のひとつ)だという意味では、時間の軸に埋め込まれた日本国全体にほ
      かならないと、わたしはそう考えている。

             「コメと基地:情況との対話 第34回」 サンサーラ 1996.01   

 

                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 



Wings for Life WorldRun 2016 - Takashima, JAPAN  May 8, 2016



SunPower Holds World Record for Most Efficient Rooftop Solar Panel, Again June 27, 2016

● シリコン系太陽電池変換効率を さらに更新 24.1% 

27日、米サンパワー(SunPower)はシリコン系太陽光パネルの変換効率で、研究開発レベルとしてこ
れまでの世界最高記録を上回る24.1%を達成した。
今回の成果は、研究開発レベルで平均効率25%
の太陽電池セルを用い、同社が市販している「X-シリーズ」の構造で製作したパネルで実現した。
太陽
光パネルの面積は1万1310平方センチメートル(開口領域)、出力は27.5ワット。米エネルギー
省(DOE)の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が評価した結果、24.1%の変換効率を記
録。
従来のシリコン系太陽光パネルの変換効率の最高記録は、パナソニックが3月に発表していた23.
8%。サンパワーは、今回この記録を0.3ポイント上回る。
サンパワーとしては2月に22.8%の変
換効率を達成している。
同社は、今回、どのような技術によって変換効率の最高記録を達成したのかの
詳細は公表していない。

  

 

● スマート・トラュシュボックス・システムはどこまで進化するか?

29日、ハウステンボス(長崎県佐世保市)と日本システムウエア(NSW東京都渋谷区)は、太陽電池
と通信機を備えた「スマートゴミ箱」を、ハウステンボスリゾート内に実験的に導入すると発表。実証
的に導入したゴミ箱は、米BigBelly Solar社の製品で、日本システムウエアが日本市場における代理店と
なっている。太陽電池で発電した電力でゴミを圧縮するとともに、センサによりゴミの蓄積状況を把握
し、リアルタイムで情報を発信する。こうして集めた運用データを分析し、ゴミの収集頻度や人員配置、
ゴミ箱配置の最適化など、収集作業を効率化してコスト削減を目指す。

ハウステンボスでは、メインスタッフにロボットを配した「変なホテル」など、先進的な技術を活用し
ている。今回の実証プロジェクトの結果をもとに、将来的には「わくわくするゴミ箱」の独自開発も計
画している。また、
日本システムウエアは、機器の提供と検証環境の構築を担当する。実証実験を通じて、ス
マートシティのモデルケースとしてノウハウの蓄積を目指す。 

IoT技術を活用し「わくわくするゴミ箱」

   May 31, 2016 
                                                                US9352887B2

 

   

【帝國のロングマーチ Ⅹ】   

    

● 折々の読書  『China 2049』31    

                              秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     


                                           マイケル・ピルズベリー 著
                                                野中香方子 訳    

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピル
ズベリーが自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざ
る秘密戦略「100年マラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及
も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、
職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。 
    

 【目次】

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣) 
  

     

    第6章 中国のメッセージポリス    
 

                                 樹上開花-樹上に花を開す

                                『兵法三十六計』第二十九計    

     中国批判者の処罰

  その対極にいるのは、中国に言わせれば「悪者」、つまり中国に対して懐疑的、あるいはあからさ
 まに批判する西洋の人々だ。このリストには議員、左派と右派のさまざ
まな専門家、人権団体、労働
 組合、その他の多くメンバーが含まれる。左派には俳優
のリチャード・ギアや、中国に対して強硬な
 姿勢をとるナンシー・ペロシ議員などの
人権擁護派がいる。右派には、合衆国の保守タカ派や、ドナ
 ルド・トランプなどの保
護貿易論者がいる。彼らのことを中国政府は「締め出し」、機会があればい
 つでも追い
払おうとしている。中国のビザを拒否されたり、情報や中国当局へのアクセスを断たれた
 りする人もいる。中国と英語の両方で、彼らの学識や考え方を傷つけるための記
事やブログが推奨さ
 れ、創作される場合もある。アメリカの政治組織に通じた中国の
専門家はよくわたしにこう言った。
 中国を疑うアメリカの左右両派の「大連合一は、
当初、中国にとって悪夢のようなシナリオだったが、
 その後、これらのさまざまな集
団は、中国の長期的戦略を気にかける以ヒに、互いを嫌っていること
 がわかった。

  中国を研究する学者たちはかねてより、中国に関して最も正しいことを述べているのは、中国へ
 の入国ビザ発行を拒まれている学者、記者、著者だと知っていた,ビザ
発行を拒否されていないの
 は、意識的にであれ半ば無意識にであれ、中国との接触を
保つために妥協している人々だ。彼らは
 ダライ・ラマを賞賛したり台湾問題に言及し
たりして中国政府を怒らせるのは避けようとする。そ
 れに関して、「学同上のどのよう
な見方が不適格と見なされるかについて中国が明言することはな
 い」と、ワシント
ン・ポストは2013年に報じた。
 「その結果が一睡の自己検閲であり、アメリカの学者たちは、中国を怒らせそうなテ-マに触れな
 いよう、自主規制している(注41)」

  The Chinese Revolution of 1949

  アメリカで最も尊敬を受けている中国研究者の一人、ペリー・リンクは、18年間、中国への入
 国を拒まれている。理由は、中国政府の希望通りに書くことを拒否したからだ。リンクは言う。
 「アメリカの市民が支払うことになる代償は極めて大きいが、人々はそれに気づいていない(中略)
 欺蝸は組織的に進められており、アメリカの中国学者の間では、隠喩や間接的表現によって中国政
 府の要求を満たすことが常態化している。例えば、『台湾の独立』という言い回しはせず、「両岸
 関係史』と呼ぶ。投獄されているノーベル平和賞受賞者、劉暁波について言及はせず(中略)19
 49年については通常、『解放運動』という.召集が使われる(注42)」
 学界はその隠喩の意味を理解しているが、と彼は続ける,
 「しかし、学者がこの隠喩を一般市民に向けて書いたり話したりすると、市民は、1
949年は解
 放運動の年であり、台湾の独立は大した問題でなく、ノーベル賞受賞者の投獄は語るに値しない、
 と思い込んでしまうだろう(注43)」

    かつてわたしは学問の世界での「飴と鞭]作戦を、身をもって知った。1980年代から90年
 代にかけて、わたしは、中国への武器販売と米中の協力を強く後押しする人物と見なされており、
 中国ではいつも歓迎された。大学関係者や研究者向けのビザでの入国を認められており、中国のシ
 ンクタンク、教授、軍当局者、政府職員などとの接触を許されていた。しかし、2006年9月、
 状況は一変した。わたしが中国に疑念を抱くようになったことが、ウォール・ストリートージャー
 ナルで取り上げられた。その記事は、次のような見出しで始まった。

 「有力な国防総省顧問でかつては親中派だったマイケル・ピルズベリーは、アメリカ人の多くは中
 国を誤解し、経済的繁栄を目指す本質的に穏やかな国家と見なしている、と言う。そして、そのよ
 うなアメリカ人を代表する国務省の役人、CIAのメンバー、多くの投資家、中国研究家の大半を
 ひとまとめにして、『パンダ・ハガー』(パンダを抱っこする者)と非難する。ピルズベリーは、
 自らの使命は国防省が同じ罠に落ちないようにすることだ、と語る(注44)」
  その記事の中でわたしは、「中国政府はアメリカを避けられない敵と見なし、相応の計画を練っ
 ている,だから、わたしたちは警戒を怠ってはならない」と述べた,また、ほかの場所でこう述べ
 た, 「少なくとも、自分たちは中国の考え方を理解する用意ができていないことを知るべきだ,
 さらに、これからアメリカは中国に立ち向かうことになるが、それはアメリカの歴史上、最も厳し
 い挑戦になるであろうことも覚悟しておかなければならない(注45)」

  言うまでもなく、このわたしの主張は、中国政府にとって好ましいものではなかった。
  たちまちわたしは、中国政府の不興を買った。中国の将軍や学者とのつながりは断たれた。後で
 わかったのだが、アメリカ国内の中国支持者(わたしが「パンダ・ハガ-」と呼んだ人々)が中国
 の内通者に、わたしと中国のつながりを断つよう求めたそうだ。以前なら簡単に下りていた研究者
 用のビザが下りなくなり、中国へ入国するには、アメリカ政府の外交文書が必要になった。わたし
 の交友関係は注意深く監視されるようになり、中国にいる「友人」の何人かは、わたしと話そうと
 しなくなった。アメリカでは、わたしの学問上の業績や、中国に関する警告に対して、いわれない
 誹訪中陽が繰り返された。

  そのような状況が数年続いた。ところが、2013年、何かが変わった。二度と認められないと
 思っていた研究者用ビザでの入国が許可されたのだ。6年ぶりのことだった,それだけでなく、人
 民解放軍の何人もの将官から、ランチやディナーに招待されるようになった。さらには、北京で開
 かれる、南シナ海を巡る「ウィン・ウィン(両者に有利な)シナリオ」に関する委員会の議長を務
 めるよう依頼された。その会議の間、数年問会っていなかった中国の役人が何人も、挨拶しにやっ
 てきた。人民解放軍の2名の将官は、あなたは1970年代から80年代にかけて、中国に多大な貢
 献(「人貢献」)をした、もう一度そうしてほしい、と言った。
 「驚いたよ一と、わたしはアメリカに戻ってから、中国亡命者の友人のひとりに言った。

 「なぜ、こんなことになったと思う?」
 「いくつか質問をしてもいいか?」と、彼は行った。
「自分の著書(本書のこと)について、誰かとEメールで話し合ったことがある?」
 軽く頭をひねって、わたしは「ある」と答えた。
 「それだよ」と彼。

  中国のプロパガンダ作戦では、「落とす」ことができない、あるいは、矯正できないアメリカ人
 はいない、と考えられている。「悪者」も、十分に圧力をかけ、誘惑すれば、また「良い人」にな
 ると肢らは考えている。そのためわたしに対しても、親切にして中国との接点を増やしてやれば、
 本書の論調はいくらか和らぐだろうと、期待したらしい。
  中国の指導者は、自分たちのイメージを良くするためなら、躊躇なく、より攻撃的な方法にも走
 る,仏教の僧侶は、チベットに対する中国の攻撃を西側に伝える数少ない情報源になっているが、
 常に中国当局に監脱されており、僧院は当局による手入れに脅かされている(川州)。同様の広範
 な情報操作が、外国の報道機関に対して進められている,現在、アメリカでは、700名以上の中
 国人ジャーナリストが働いていると数名のアナリストは概算する。その多くは、中国に有利な考え
 方を広める「宣伝員」か、反中国派らしき人を監視する諜報部員だと考えられている(注47)。

  国際メディア支援センター(Ccntcr for lntcrnational Mcdia Assistancc) による最新の研究では、
 「中国のメディア規制は、国際組織のルポルタージュと運営に深刻に影響を与えはじめている」こ
 とが明らかになっている(旧訓)。その報告書は、特に、国が西洋メディアに対して進めている4
 つの作戦に光をあてる。2013年11月5日、ニュースサイトのビジネス・インサイダーが報告
 したように、それは以下の4つである,

 ・直接行動
  中国内外における、中国人外交官、地元の役人、治安部隊、監督機関による直接行動。ニュース
 の収集を妨害し、望ましくない内容の報道を差し止め、規制が及ばない海外メディアは処罰する。

 ・経済的「飴」と「鞭」
  メディア所有者と中国の国外にあるその支局に自己検閲をさせるために、経済的な「飴」と「鞭」
 を利用する。間接的な圧力 代理人(広告主、諜報機関、外国政府)を介して間接的な圧力をかけ
 る。それらは、中国政府に批判的な内容の刊行物を差し止め、処罰する行動をとる。

 ・サイバー攻撃や暴行

  党本部が指揮しているのを悟られない形で、党の目的に沿うサイバー攻撃や暴行を指揮する(注
 49)。



41Fred Hiatt、“Chinese Leaders Control Media、 Academics to Shape thc Perception of China, ” Washinton
            Post, Nov 17, 2013 
,以下のサイトで入手可能,
            https://www.washingtonpost.com/opinions/fred-hiatt-chinese-leaders-control-media-academics-to-shape-
            the-perception-of-china/2013/11/17/1f26816e-4e06-11e3-9890-a1e0997fb0c0_story.html

42.43 Do ↑
44Neil King Jr., "Inside Pentagon: A Scholar Shapes views of China, ”Wall Street JJournal, Setember 8,2005,
           
以下のサイトで入手可能。http://www.wsj.com/articles/SB112613947626134749.   
45. Do ↑ 
46. "
UN Experts Warn of Scvere Restrictions on Tibctan Monasteries in China,”UN News Centre,Nove 1,
     2011,
以下のサイトで入手可能。http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=40269#.V3TENe7r2po
47. "Q&A: Paui Mooney on Reporting in China,” Bob Dietz,Committee to Protect Journalists,CPJ Blog,Nove
            12, 2013
,以下のサイトで人手可能。
   https://cpj.org/blog/2013/11/qa-paul-mooney-on-reporting-in-china.php
48. Harrison Jacobs, “Chinese Censorship Is Spreading All Ovcr the World,”  Business Insider. November 5. 2013
      以下のサイトで入手可能。
      http://www.businessinsider.com/chinese-censorship-is-spreading-all-over-the-world-2013-11
49. Do ↑

                                                                            この項つづく
 

 

 

 

 

 

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沈まぬ赤ヘル!

2016年06月29日 | 新弥生時代

 

 

 

           僕は、前の世代の人たちを『戦争になったのはおまえらがだらしなかったからだ』と
           いうことで片付けてきたきらいがある。本当はそんなことで防げるようなことじゃな
           い。もっと深く掘り下げて考えないと防げるものじゃないですね。抜かっていました。
           転向問題や戦争責任をずいぶんいいかげんなところでやっていたと、ここ数年しきり
           にします。

                             「
戦争中と似てきてる(こんにち話)」新潟日報 2003.01.13                             

 

                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

 

【3DP&CNF工学・考】

簡単に言うと最近は時間がなくスリーディープリンタの実践コースがほぼ一ヶ月手つかず状態。かとい
って負荷をかけ過ぎると右眼底部偏頭痛が始まる。そんなことがあり予定が大幅に狂っている。そんなこ
とがあり、『イントロダクションX』(2016.06.20)で取り上げたセルロース(植物繊維解繊物)とその
他の樹脂(例えば、フェノール樹脂など)の複合植物繊維解繊物とスリーディープリンタのについて考え
てみる。まず、最新特許事例を参考し、次にどのような分野に応用展開できるか考えてみる。「特開201
6-113595 複合材料、成形体、及びこれらの製造方法」(下図ダブクリ参照)では、植物繊維解繊物とフ
ェノール樹脂との複合材料とその成形体1――セルロース成分とリグニン成分とを含み複合材料中のセル
ロース成分の含有量が15~30質量%である――の複合樹脂を製造するにあたり、(1)まず、フェノ
ール樹脂を溶媒に溶解し樹脂溶液を植物繊維解繊物の多孔体に含浸し、(2)次いで、多孔体中の溶媒を
蒸発させ、(3)さらに成形体1の製造で、フェノール樹脂の硬化温度以上の温度で成形を行う。

  JP 2016-113595 A 2016.6.23

こうすることで、セルロース成分の含有量を少なくしても高い弾性率を示し、フェノール樹脂と植物繊維
解繊物との
複合材料とその成形体、さらにこれらの製造方法について提案している。

●フェノール樹脂とは、フェノール樹脂としては、ノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、フェノールア
 ラルキル樹脂、レゾール型フェノール樹脂等を用いることができる。
●複合材とは、必要に応じて、従来の熱硬化性樹脂に使用される各種添加剤を含有できる。具体的には、
 例えば硬化剤(硬化触媒)、離型剤、植物繊維解繊物とフェノール樹脂との界面を強化させるためのカ
 ップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、無機フィラー等を含有することができる。
●成形体とは、複合材料を成形し複合材料中のフェノール樹脂を硬化させ得られる。成形体の製造法は、
 フェノール樹脂が含浸されたシート状多孔体の複合材料を加熱圧縮法(圧縮成形)があり、シート状複
 合材料の積層体成形に、例えば、圧縮成形を行う場合には、好ましくは1MPa~200MPaの圧縮
 条件下で成形を行い、また、圧縮成形時には、120℃~200℃の加熱温度行う。加熱圧縮時間は例
 えば1 分~48時間とされる。




また、実施例として、(1)まず、パルプを機械的に解繊し、リグニンの含有量が22質量%、ヘミセル
ロースの含有量が25質量%、セルロースの含有量が53質量%であり、平均繊維長が30μm、平均繊
維幅が50nmの植物繊維解繊物を用いて。(2)次いで、植物繊維解繊物を水に分散させて、植物繊維
解繊物の含有量が0.2質量%の水スラリーを作製。(3)次に、保留粒子径サイズが4A(JIS P
3801規格)である紙フィルターを配置したブフナーロート(直径150mm)を用いて水スラリー1L
をろ過し、植物繊維解繊物からなるシート状の多孔体を作製。(5)その後、多孔体を温度80℃で24
時間真空乾燥している。

次に、(1)数平均分子量3000のレゾール型のフェノール樹脂のメタノール溶液に、多孔体を浸漬させた。メタノー
ル溶液中のフェノール樹脂の濃度は10質量%。(2)次いで、多孔体を浸漬したフェノール樹脂のメタノール溶液を
減圧下で24時間静置させる、シート状の多孔体中へのフェノール樹脂の含浸。減圧は、アスピレータを用いた連続
吸引。(3)次いで、フェノール樹脂が含浸されたシート状の多孔体をフェノール樹脂の硬化温度未満の温度で乾燥、
これで複合材料として、フェノール樹脂を含浸したシート状の多孔体を得る。質量の増加分より求められるフェノール
樹脂の含浸量は51質量%であり、シート状の多孔体中のセルロースの含有量は26重量%である。



以上のような工程イメージし、スリーディープリンタとその方式を考える。この場合、シートフィルムの
積層化タイプには、スロットノズルでことたりるが、大型の建材、例えば、メガフロートなどは大口径の
ノズルから吐出させノズル位置を精密操作させれ、また、細かい加工には、小型ノズルを併用進行すれば、
残りは、複合材の乾燥法とその所要時間ということになる。また、精密部品(ボルト、ナット、蝶番、ア
ンカー)を成型しておき、先ほどの積層フィルム部品などの組み立て部品に使えば、軽くて、強靱なメガ
フロートか製造でき、これを海洋発電(海流・潮流・波力・風力)向けのプラットフォームで形成できる。
ここで、「オールバイオマスシステム」事業開発構想は完結する。昨夜に続いて4つめの後続事業開発と
なる。

  ● オールバイオマスシステム完結論


 

 

【ジャジーな風に吹かれて:エロール・ガーナー】

●『コンサート・バイ・ザ・シー』

エロール・ルイ・ガーナー(Erroll Louis Garner , 1921年06月15日-1977年01月02日)は米国はペンシルベ
ニア州ピッツバーグ出身のジャズピアニストの作曲家。兄のリントン・ガーナーもジャズピアニスト。
楽好きの両親の影響で3歳よりピアノを弾き始め、ジャズやクラシックのレコードを手当たり次第に聴き
ピアノの演奏法を独学で習得するが、楽譜が読めなかったことや左利きだったことが彼の独特な音楽的感
性と技術を育てた。54年に「ミスティ」(Misty)を発表し評判をとる。後に作詞家のジョニー・バーク
(Johnny Burke) により歌詞がつけられ、59年にジョニー・マティスによって歌われ大ヒットし、ジャズ
バラードのスタンダードナンバーとなる。55年にカリフォルニア州カーメルでのライブを音源としたア
ルバム、「コンサート・バイ・ザ・シー(Concert by the Sea)」や「コントラスツ(Contrasts)」を発表し
大ヒットを記録。その後も数多くの作品を作り、精力的に演奏活動を続け、77年1月2日55歳で死去。

 Look at me
 I'm as helpless as a kitten up a tree
 And I feel like I'm clinging to a cloud
 I can't understand
 I get misty, just holding your hand

 Walk my way
 And a thousand violins begin to play
 Or it might be the sound of your hello
 That music I hear
 I get misty the moment you're near

 You can say that you're leading me on
 But it's just what I want you to do
 Don't you notice how hopelessly I'm lost
 That's why I'm following you

 On my own
 Would I wander through this wonderland alone
 Never knowing my right foot from my left
 My hat from my glove
 I'm too misty and too much in love

                                    Misty 

                      

ブラインドフォールド・テストという座興で、名を伏せてレコードを聴かせ、演奏者を答えさせると、誰
も間違えないピアニストがいる。それがガーナーだったと言われているほど、右手の旋律ラインと左手の
バンプとが微妙にズレ聴こえる"ビハインド・ザ・ビート"となる独特の奏法による。音楽大学出身者が占
められる現在のジャズ界かでは、こうした型破な演奏家を輩出は希とされる。エロール・ガーナーが、そ
の持ち味のすべてを発揮し、“ビハインド・ザ・ビート”と呼ばれる唯一無二のリズム、ハッピーでスイ
ンギーなピアノ・タッチ網羅された「ティーチ・ミー・トゥナイト」、「枯葉」、「イッツ・オールライ
ト・ウィズ・ミー」といった名曲に映え、観客の熱狂的な反応、ガーナーのユーモラスなMCも聴きどこ
ろのライブ・コンサート・アルバム、『コンサート・バイ・ザ・シー』は55年10月13日、コロンビ
ア・レコードからリリースされる。

大人数での演奏を頑なに嫌い、ソロか少人数での演奏(コンボ、主にトリオ)を演奏スタイルとする。演
奏中はそれ自体を楽しむようにユーモラスな表情で、時折ピアノを弾きながら観客に笑顔を振りまき喜ば
せる。また、
演奏中にぶつぶつとつぶやくが、これは楽譜の読めない彼が音階の記憶の一部を口に出して
それを自身で聞いて確認したり思い出していたためである。これだけの高い評価を得ているガーナーだが
コアなジャズファンやビバップ色の強いジャズミュージシャンからの評価は低いといわれるが。日本人ジ
ャズピアニスト、上原ひろみは小学生のころからオスカー・ピーターソンとともにガーナーに熱中してい
る。



Erroll Garner’s ‘Concert by the Sea’ Gets a New Sound Sept. 16, 2005, The New York Times

   ● 広島32年ぶりの11連勝!

 

 

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表面か界面か

2016年06月28日 | デジタル革命渦論

 

 

 

                     人を動かすのは自由な意志の力だけ。
                    それ以外の名目で人を従わせるのは愚かなこと。

                                              「13歳は二度あるか」 だいわ文庫


                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 



Nishikori Beats Groth To Reach Wimbledon 2016 Opener Highlights
 
【表面か界面か】

世界ランキング6位の第5シード錦織圭が、同124位のサミュエル・グロートを下し初戦を突破した
テレビ中継を観戦しながら、ローン、アンツーカ、オールラウンドなどのコート面の違いでテニスボー
ルの弾み方が異なり試合運びも変化するのだと、光と表面の関係を考えることになる。というのも、

こ一週間ほど、しょうむないことに、あるいは、些細なことに悩んでいた。それは『超薄膜レンズの衝
撃』(2016.06.07)の件で、「メタサーフェス:metasurface」を「超界面」と意訳したのは正しかった
のかということ。一般的には「界面:interface」は、ある均一な液体や固体の相が他の均一な相と接して
いる境界をさし、この「他の均一な相」が気体もしくは真空であるとき、界面を特に表面(surface)と
よぶが(例外もある)、お互いが完全に混ざり合うことはしない(混ざり合うと界面でなくなるとされ
る。従って、1つは、光学領域だけでなく他の学問の領域も包括するということにおいて「界面」で

り、2つめは、光学領域でありながら、気体もしくは真空だけでなく、気体でない透明な媒体(液体・

固体)でプラブモニック共鳴を阻害しないもと仮定し「界面」を選択。しかし、現実にはそのような屈
折率を操作できる「人工物質」による構成事例がない。従って、ここは「メタサーフェス」というカタ
カナ言葉を追認する妥協が現実的だということになるが、今後もわたしは「超界面」と呼称することに
する(カッコイイ~ ^^;。)。

 


US8848273B2 Amplitude, phase and polarization plate for photonics

ところが、先回、掲載した、ハーバード大学工学応用科学のジョン・ポールソンらの研究グループによ
る酸化チタン誘電体ナノアンテナのメタレンズ実証実験で、 ぐっと現実味が増す(上図特許ダブクリ)。
研の田中拓男は、レンズではなく、光子(フォトン)をの補足フィルム(=反射防止薄膜)として、
太陽電池(エネル
ギー変換デバイス)の表面に接合することを提案している(上/上図)。これをハー
バード大学の研究とドッキン
グし屈折率を操作すれば直射光だけでなく放射拡散光もエネルギー変換で
きる。つまり、長さにしてサブミクロン
(500ナノメートル)前後のV字型、十字型、Y字型、L字
型のプラズモニックアンテナのランダム配列設計すれば全波長(紫外線~赤外)が利用でき後は光電変
換素子材料設計だけとなり、追尾型でなく定置型太陽電池パネルとして発電量を倍増できるではないか
と考える。勿論、「プラズモニックアンテナ配列フィルム」をプリンタブル生産すれば、既存のパネル
をすべてリニュアルできれば、発電量は倍増し、太陽光の占める割合が20%と仮定すれば40%とな
る。また、新しく敷設する30%超の高効率シリコン系などに組み合わせると発電量も飛躍的する。そ
うすればエネルギー問題はケリがつき、オールソーラーシステムは実現し、わたしの3つめの事業開発
は完結する。こんな幸せな人生を与えてくれた「奇跡」に深く感謝する他ない。



【符号の説明】

2 光軸  3 光電変換素子  11、12、13、14、15、16 集光型太陽光発電装置  21、
22、23、24、25、26 集光レンズ  31 第1レンズ部 31a、31b、31c、31d、
31e、31f 入射領域  31a'、31b'、31c'、31d'、31e'、31f' 照射領域 
32 第2レンズ部  32a、32b、32c、32d 入射領域 32a'、32b'、32c'、32d'
照射領域  33 第3レンズ部  33a、33b 入射領域  33a'、33b' 照射領域  34
第4レンズ部  34a、34b 入射領域 34a'、34b' 照射領域  35 透過部  35a、
35b 入射領域  35a'、35b' 照射領域  Li1、Li2、Li3、Li4 入射光  Lo1、
Lo2、Lo3、Lo4 出射光


さりながら、ほいさっさ。「3次元プラズモックアンテナアレー」のレンズ機能はどうするかという自
問が残る。そこで今回はシャープの「開2015-207570 集光型太陽光発電装置」(上図ダブクリ参照)を
事例として、集光型太陽電池への応用を考えてみよう。

まず、ここでの集光型太陽電池の設計課題は、集光レンズ921(下図参照)は、光電変換素子903
の中央上部に搭載され
、集光レンズ921で太陽光である入射光Liを屈折させて出射光Loを光電変
換素子903に照射する。この際の光学設計としては、設計波長を例えば500nmに設定した場合
光軸902にほぼ平行に集光レンズ921に入射した500ナノメートルの光が、いずれの領域におい
ても屈折し、光電変換素子903の中心に集光するように設計するが、
図42に示した光学設計の場合、
集光レンズ921のいずれの位置に照射光も光電変換素子903の中心に集光し、受光光量が中央に集
中しその結果、変換する電流や温度の分布が素子中心で特に高い不均一なものになる。このように光が
過度に集中した場合、光電変換素子903の長期信頼性の低下や、集光型太陽電池の電気的特性のうち

曲線因子FF(Filll Factor)の低下を招くという課題がある。

図1及び図2は、本発明の集光型太陽光発電装置の構成を説明する概要図であり、図1に太陽光の入射
面側か
ら見た平面図、図2に図1のA-A'線断面図を示す。集光型太陽光発電装置11は、集光レンズ
21及び光電変換素子3からなり、大きさは数10メリから数百ミリ。 光電変換素子3は、レシーバ基
板に搭載。保持プレートは、レシーバ基板を保持し、集光レンズ21と対向。モジュールフレームは、
集光レンズ21の光軸2上に光電変換素子3を配置し、集光レンズ21と保持プレートとを保持する。
このような構成で、光電変換素子3の受光面の中心における法線が集光の光軸2に一致する。

集光レンズ21は、光電変換素子3の中央上部に搭載、集光レンズ21で太陽光を屈折させて光電変換
素子3に照射する。実施形態1では、集光レンズ21は、薄肉化による軽量化とび材料コストの低減、
集光倍率の向上、成型の加工性を考慮して、複数のリング状のプリズムを略同心円状に配置したフレネ
ルレンズである。この集光レンズ21を直径2R21の円形に形成し、モジュールフレームに保持する。
実施形態1では、集光レンズ21の全域が、固有の光学設計に基づき、第1レンズ部31で構成。第1
の半径値から第2の半径値までの領域が集光レンズ21で構成し、図1に示す第1の半径値が0(対称
中心)、第2の半径値がR21(集光レンズ21の半径)である。

光電変換素子3の外形サイズは、集光型太陽電池のひとつの目的であり、光電変換素子材料の削減の観
点から、できるだけ小さくする必要があり、数ミリら20ミリ程度のものを使用する。形状は、円形、
正方形、長方形、六角形など特に問わないが、製造効率から、正方形、長方形などの角型がよく用いら
れ、光電変換素子3は、図1に示すように正方形とし、外形サイズすなわち一辺の長さが2P3のもの
を用いる。その受光面も2P3角である
図2は実施形態1で、集光レンズ21の第1レンズ部31に
入射した第1の波長の光が第1レンズ部31を経て光電変換素子3に照射する経路を示す図である。

光学設計の基準となる第1の波長は、光電変換素子3の吸収波長、つまり光電変換可能な波長の範囲に
基づいて設定。吸収波長範囲のうち最短波長近傍であることが好ましい。第1レンズ部31の各リング
状プリズムに入射した第1の波長の入射光Li1は、第1レンズ部31により屈折し、第1レンズ部
31の出射光Lo1として出射する。そして、第1レンズ部31の出射光Lo1は、光軸2上の集光レ
ンズ21と光電変換素子3との間に焦点を有し、かつ光電変換素子3の受光面に内接する円周上(リン
グ状)に照射する。

図3は、実施形態1の第1レンズ部31による第1の波長の光の照射箇所を模式的に示す図(下図参照)
である。(a)は第1レンズ部31へ第1の波長の光が入射した領域を示し、(b)は(a)で入射し
た第1の波長の光が光電変換素子3に照射する領域を示す。いずれも太陽光の入射面側から見た平面図
である。実際には集光レンズ21の全領域に全太陽光、つまり太陽光に含まれるすべての波長の光が入
射するが、ここでは、光学設計の説明のために、設計波長である第1の波長の光に着目し、第1レンズ
部31の一領域に入射した場合に、その光が光電変換素子3のどの領域に照射するかを示す。



上図2で説明した、A-A'線断面の第1の波長の光の照射状況は、図3に示す直線状の入射領域31a
と点状の照射領域31a'に相当。つまり、第1レンズ部31の入射領域31aに入射した入射光Li1が、
出射光Lo1として第1レンズ部31から出射し、いずれも光電変換素子3の照射領域31a'に照射す
ることに相当する。集光レンズ21の光学機能は中心に対して回転対称なので、扇形状の入射領域31b
への入射光Li1は出射光Lo1となって円弧状の照射領域31b'に照射する。これらを第1レンズ部
31全面に適用すると、第1レンズ部31への入射光Li1が第1レンズ部31にて屈折され、出射光
Lo1がいずれも光軸2上の集光レンズ21と光電変換素子3との間に焦点を有し、光電変換素子3の
受光面に内接する円周上(リング状)に照射する。

ここで、設計で得られる効果と第1の波長の設定について説明すると、まず、図42(上図)に示した
従来技術の光学設計の場合、設計波長の光は集光レンズ921のいずれの位置に照射した光も光電変換
素子903の中心に集光するので、受光光量が中央に集中する。これに対し、設計波長である第1の波
長の光は光電変換素子3の受光面の周辺部となる内接円の円周上(リング状)に照射するため、光電変
換素子3の受光面での受光光量が、中央に集中した従来技術に比べると平面方向に平均化する。

集光レンズ21に用いる光学材料はいずれも屈折率に分散を有することが知られ、レンズ材料の屈折率が波長
により異なより色収差が発生し、その結果、光電変換素子3の照射位置もその波長によって変化。具体的には、
設計波長よりも短波長の光の場合、屈折率が高いため、より屈折角が大きい方向に照射する。逆に長波長の光
の場合、屈折率が低いため、より屈折角が小さい方向に照射する。集光レンズ21の材料にシリコーンを用いる
とシリコーンも分散しこの傾向をもつ。

つまり、光学設計の場合、設計波長の光は、光電変換素子3の受光面に内接する円周上(リング状)に
照射し、設計波長よりも短い波長の光は、より屈折角が大きい方向、つまり内接円よりも外側に照射す
。従って、それらの光は、光電変換素子3の受光面の外側にる場合があり、特に内接円と受光面の接
点付近では、内接円の外側が受光面の外側となり光の損失になる。これに対して設計波長よりも長い波
長の光は内接円よりも内側に照射するので損失しない。そこで、設計波長を第1の波長、すなわち光電
変換素子3の吸収波長範囲の最短波長近傍に設定し、光電変換素子3で変換できる波長範囲内の光を、
受光面の外に損失することなく概ね受光できる。つまり、光電変換素子3で利用できる波長範囲内の光
を受光面に無駄なく照射し、かつ平面方向に平均化して受光できる。

なお、従来技術では図43で示すように、設計波長以外の光はその波長が離れるにつれ、色収差により
受光面中心よりも外側にずれていく。短波長側は屈折角の大きい方向に、長波長側は屈折角の小さい方
向に、受光面中心から互いに逆方向にずれるため、長短両側の波長の光が無駄なく、できる限り受光面
内に照射するために、一般的に設計波長は光電変換素子3の吸収波長範囲の両端を避けた中央域に設定
する。
いずれの技術でも色収差による各波長の照射位置のずれは避けられず、設計波長の照射位置を基
準に生じるものであり、設計波長の光が受光面中心に集光する従来技術に比べて、上述のように受光面
内接円周上に照射する方が、受光面中心の光の過度の集中を抑制し、平面方向に平均化して受光できる。


【実施例1】

入射光はAM(エアマス)1.5の太陽光をシミュレートし、集光レンズ21は、波長500ナノメー
トルにおける屈折率が約1.41のシリコーンを用いたフレネルレンズとする。各波長における屈折率に
ついても実際のシリコーン材料の屈折率を用いた。集光レンズ21は円形で、その直径2R21は170
ミリ。光電変換素子3の受光面は一辺8ミリの正方形、集光レンズと光電変換素子3の間の距離を250
ミリ。光電変換素子3の受光面は正方形で、対角線の交点をその中心とする。
光電変換素子3はSi単
結晶の単一接合型光電変換素子を使用し、その吸収波長や屈折率などの各光学定数を用いる。具体的な
吸収波長範囲は、300~1200ナノ程度。設計波長として第1の波長は吸収波長範囲を考慮し390
ナノとする。集光レンズ21は、半径値r=0~85ミリまでの全域が第1レンズ部31である。

つまり、第1の半径値が0ミリ、第2の半径値が85ミリである。光学設計は第1レンズ部31に入射
した第1の波長の光が光電変換素子3の受光面の中心を中心とする直径7ミリの円周上つまりリング状
に照射する。この照射領域は、光電変換素子3の受光面の内接円と同心円となる。照射領域を光電変換
素子3の内接円(直径8ミリ)よりも若干小さくした理由は、素子受光面の極最縁部では機能や寸法精
度などの理由により素子の受光機能が低下する場合があること、素子の寸法精度、レンズ光軸の設計精
度・調整精度などの理由により照射領域が受光面から外れる場合があることなどのマージンを考慮。

この時のマージンは半径値で0.5ミリとするが、素子のサイズや品質によって数ミリまで適宜自由に
設計してもよい。光電変換素子3の受光面が受ける光の平面均一性の観点からは、半径が大きい、つま
りマージンが小さい方が望ましく、光電変換素子3の機能や寸法精度、レンズ光軸の設計精度・調整精
度の観点からは、半径が小さい、つまりマージンが大きい方が望ましい。両方の観点を考慮して設計す
ればよい。
第1レンズ部31の設計波長を390ナノとした理由は、実施例1の構成で最もよい特性を
示す波長を選んだ結果である。具体的には光電変換素子3の光電変換効率が高く、かつ光強度の面内分
布がより均一な条件である。

以上の条件で、集光レンズ21に入射した太陽光が設計通りに屈折され、光電変換素子3に照射された
状態をシミュレーションする。加えて、光学定数を考慮して光電変換素子3の各平面座標に対する光強
度分布を算出し、それをもとに光電変換された電流密度を算出する


〔比較例1〕

比較例1については、集光レンズ21と同サイズの円形状の集光レンズ921について、従来技術とし
て図42に示した光学設計とした。具体的には設計波長を600ナノ、集光レンズ921の全域に入射
した600ナノの光がすべて光電変換素子3の受光面の中心に集光するよう設計。つまり、集光レンズ
921のr=0~85mmまで、つまり全域において600ナノの光の焦点距離が250ナノである。
集光レンズ921以外については実施例1と共通構成とする。
集光レンズ921の設計波長を600ナ
ノとした理由は、従来の光学設計で最もよい特性を示す波長を選ぶ。具体的には、実施例1の場合と同
じく、光電変換素子3の光電変換効率が高く、かつ光強度の面内分布がより均一な条件。
以上の条件で
計算した結果をもとに実施例1および比較例1を比較する。
図4に、実施例1の集光型太陽電池の、光
電変換素子3上に集光された光による電流密度分布を示す。図5に同じく比較例1の結果を示す。さら
に図6(下図)には、これらの計算結果から光電変換の重要な特性値である、光電変換素子3の短絡電
流値Isc、受光面内で電流密度が最も高くなる値(すなわち最大電流密度)を示す。短絡電流値は、
光電変換素子3の電流密度の総計である。光電変換素子3を短絡することで得られる電流値であり、光
電変換により発生した発生電流を抵抗損失なく観測したことに相当する。

 JP 2015-207570 A 2015.11.19

詳細は、クリックしたページを参照していただくとして、少しくどく書いたのは、3次元プラズモニックアンテナアレイ

が、フレネルレンズと比べ、よりコンパクトで、いかに自在に設計できるかをイメージしてしていただけ
ればと考え掲載する。レンズの離散化という『デジタル革命渦論』の基本特性(わたしがシャドウマスク
製造システムから学んだ経験を集約し抽出したもの)に一致するものであり、その具体的事例として提示
する。さらに、ここで提案した「2つのデジタル集光システム」が実現すれば「核融合利用工学」とし
ての「オールソーラーシステム」はこの先に待ちかまえている動乱リスクを回避するツールとして貢献
するであろうと思うのであります。

                                          


● 日本の電源構成、「太陽光は約12%、政府想定より大きく増える」、ブルームバーグが予測

2016.06.13 日経テクノロジー




 

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HEY BULLDOG

2016年06月26日 | 時事書評

 

  
 

 

                                     少年院送りにすべきは親と学校の先生だ("酒鬼薔薇事件"をめぐって)

                                                                     『超「20世紀論」上 』  2000.09  アスキ-
                         

                                           
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

                 

 


スーパープレミアム   ザ・ビートルズ フェス!

【ビートルズ来日50周年】

NHKのBSプレミアム「来日50周年、ビートルズの軌跡をたどる」を録画し再生する。戦後、世界中の音楽・
カルチャーシーンに影響を与えた「ザ・ビートルズ」(あるいは、ジョージ・マーチン、ブライアン・エプスタ
イン)は、リバプールからロンドンを結ぶ英国に神が遣わした"天使"でもある。それほどまで彼らが奏でる音楽
の数々に世界中の若者達を熱狂させたカルチャーインパクトの"質量"を超えることはないと確信させる。細かな
ことを言えば、現在のメデイアテクノロジー(伝播手段)が格段に進化しても、いや正確に言えば、それを考慮
し、モーツァルトを代表する
クラッシック音楽などは社会構造を考慮し補正した上(蓄音機などのメディアなし
の口コミと)や人口などを含め補正した上で、62年から70年の8年間の"インパク質量"は最高水準だと考え
たが、そんことはどうでも良いこと。墨子にとっては「非楽」で不純でしかない。関係ないか、話は逸れた。



 

 Sheepdog, standing in the rain
  Bullfrog, doing it again
  Some kind of happiness is
  Measured out in miles
  What makes you think you're
  Something special when you smile

 Childlike no one understands
  Jackknife in your sweaty hands
  Some kind of innocence is
  Measured out in years
  You don't know what it's like
  To listen to your fears

 You can talk to ....   

 雨の中の 牧羊犬
 雨の中の 牛蛙
 幸福をマイルで量り
 そこで思うこと
 笑顔でいられる特別なこと

 だれもわからない子供のように
 汗まみれの手にジャックナイフ
 無知を時間で量り
 何ものかわからずに
 不安に苛まれる

 ※ リフレイン

 話してごらん...

 ヘイ、ブルドッグ...


                                           
Hey Bulldog” 
                                   Music&Word: Lennon-McCartneu 
                                         Produce:George Martin
 

この曲はレノン=マッカートニーの作品、69年1月に発表された英国盤公式オリジナル・アルバム『イエロー・
サブマリン』(ビートルズのアニメーション映画のサウンドトラックアルバム)に収録され、レコーディング中、
ポール・マッカートニーの即興的な犬が吠声を挿入されている。
もともと「Hey Bullfrog」と書かれていた歌詞が
曲の途中で「Hey Bulldog」へと変わりそのまま曲名になる。
この曲はレディ・マドンナ――レノン=マッカート
ニーの作品だが実質的にはマッカートニーの作った楽曲である。リードヴォーカルはポール・マッカートニー。
エルヴィス・プレスリーばりのバリトンで歌う。イントロのピアノは、56年の英国産ジャズの曲「Bad Penny
Blues
」(ハンフリー・リッテルトン(Humphrey Lyttelton)作曲・演奏)を引用されている――のプロモーションフ
ィルムを撮る最中に録音、しかし、ギターリフは『ラヴ』に収録されている「レディ・マドンナ」にも使われて
いるが、ポールが時間を節約のためにスタジオで曲作りもやるべきと提案し、既に構想中の2、3個のフレーズ
を曲に挿入した曲だとジョンレノンが話すほど即興性の強い曲である。ビートルズのエンジニア、ジェフ・エメ
リックがこの曲はメンバー全体が熱意を持って取り組んだ最後の曲だと述懐するように、メンバーの解散の遠縁
の作品として位置付ける。尚、楽曲の演奏構成は、ジョン・レノンが、リード・ヴォーカル, ピアノ、ポール・
マッカートニーが、ベース, バッキング(ハーモニー)・ヴォーカル, タンバリン、ジョージ・ハリスンは、 リ
ード・ギター、リンゴ・スターは、ドラムスを担当。

「来日50周年、ビートルズの軌跡をたどる」の出演者の森高千里がこの曲のドラムのリンゴスター演奏術の難
しさに気付かされたというエピソードやOKAMOTO'Sによるカバー演奏などに刺激され取り上げてみた。歌詞の訳は
第1曲目のみ。時空間で揺れ動き、葛藤する女性(あるいは男性)の心の救済(あるいは慈愛)として意訳する。

Lady Madonna

 

 

【投票する政党がない!】

24日、英国のEU離脱が国民投票できまったとたん、米国の次期大統領候補のドナルド・トランプ候補が、早
速、スコットランドのターンベリーでEUU離脱(ブレグジット)の賛否を問う国民投票で離脱派が勝利したこ
とを「素晴らしいことだ。イギリス国民は国を取り戻したと話す(「THE HUFFINGTON POST」2016.06.26)。
それによると彼は、国民の感情――(1)移民(ムスリム系)排除と(2)グローバリゼーションからの主権を
取り戻す――という2つの感情は、彼の考えがよく反映されて(一致)していると、また、「イギリスポンドの
貨幣価値が下がると自分のビジネスは儲かる」と自ら所有するゴルフ場で報道陣に語ったという。しかし、「経
済的混乱を理由にEU離脱支持者側に強い支持を示している。長期的に見ると、今回のEU離脱を支持する国民投
票が、多くの人が予想するようにイギリス国内の経済的低迷や失業率の停滞を引き起こせば、トランプは自らの
間違いに気がつくかもしれない」と同紙は付け加えている。
 



「不況と言われるゴルフ界」を救うのは、こういう人物かもしれない?!

しかし、トランプのこれまでのネットやテレビからの情報から判断すると、彼の見識や教養というものがいっこ
うに見えてこず、彼の「情報操作術」の巧みさ?と「強欲・傲慢」のイメージしか印象に残らず、彼には失礼だ
が「中国の文化大革命」での「頭が悪いが腕っぷしの強い」政治派閥の頭目としか映らず、要するに「無教養」
「アホ丸出し」。英米流金融資本主義+住宅資本主義(=グローバリズム)の双生児、つまるとことろ「トラン
次期大統領候補-共同体主義-孤立主義=強欲」という等式が即興で浮かぶのである(申し訳ないが。何か彼
の優れた見識があれば教えて欲しい)。確かに、オバマ大統領やIMF(世界銀行)、EUの理想主義の行き過
ぎた金融政策、市場万能主義、平和主義は混乱や抑圧を生んだが、全世界が最大級の動乱期に突入していること
を深く洞察すれば、唯一の外交政策は、孤立主義ではなく、「共生と贈与」を必要とする時代であることが理解
できるはず。「信頼を築くは難しく、不信は生じ易し」なのであろう。話は逸れた。参議院選挙、夏の陣。
 

 
正直に言えば、先回の衆議院選挙もそうだったのだが、投票すべき政党、候補者が決まらない。わたし(たち)
がこだわるのは次の7項目である。

1.二大政党制はどうする(二院制の参議院では優先度は低下するが)?
2.マニフェストの定着は?
3.政治資金規制法の改正は?
4.非暴力的平和政策の促進は?
5.失われた30年にしないための財政政策の推進は?
6.地方分権の促進は?
7.原発政策の国民投票の是非は?

1は、現行の小選挙区制を見直し野党が結束しないとどうにもならない。2は、民主党が消費税導入という約束
違反し、その後も増税・緊縮政策を続けていきている。3は、現政権は「反動」している以上、野党が結束しな
ければ果たせない。4は、国連による「刀狩り」政策の推進のための関連する「憲法と法律」の見直しと国民の
合意形成。5は、国債を「借金」とする見方を改め、「信用創造のツール」とする見方に変え、デフレ脱却を果
たす。6は、応益税の消費税を自治体に全面移譲し、逆累進性法人税を導入(安全と社会保障は応能税の所得税
と法人税
に特化)。7は、国民合意を前提として早期実施、これは野党が結束しなければ動かない。


蛇足(いや、特筆)だが、7は、エネルギー省を新設し「最終的には、再生エネルギー百パーセントをめざす」
機能的組織に改組、初代担当大臣は民間から公募、任命する。実現すれば、不肖このわたくしも応募する意思あ
り。応募資格は「チャレンジャーであること」を明記する。そこで、「独立・自主」の精神を加えて考えていく
と、消去法で2つの党の名前が残こる。さて、どうしようか。

                                               以上





  

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ジカとデングの共通の敵

2016年06月25日 | 時事書評

   

    

        借金を支払うために自分は小説家になったんだと公然と言っている文学者が出てきた。
        いわゆる文学なるものが重大な転換期に遭遇しているとしか僕には思えないんです


         

                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

 

Dengue virus sero-cross-reactivity drives antibody-dependent enhancement of infection with zika virus

● ジカとデングの共通の敵を見つける


23日、欧州の研究チームが、ジカウイルスを攻撃する抗体を発見。脳損傷を引き起こすジカウイルスに対する
予防ワクチンの開発に向けた道を開く。同
研究チームによると、免疫系の抗体は、培養皿内のヒト細胞に感染し
たジカウイルスを「効果的に無力化」する。また、ジカウイルスと近縁のデングウイルスにも有効に作用する。
この発見は、ジカ熱とデング熱の両方の感染症に対する「万能ワクチンの開発につながる可能性がある」と研究
チームみている。
ジカウイルスを攻撃する分子は、デングウイルスに感染したことがある人々から採取され、デ
ング熱抗体として作られる。

  Zika virus

英科学誌ネイチャー(Nature)と英科学誌「ネイチャー・イムノロジー(Nature Immunology)」への共同執筆者
のフェリックス・レイは、この抗体は、ジカウイルスに感染する危険にさらされ妊婦を守るために利用できる可
能があると述べる。また、
今回の研究では、デングウイルスとジカウイルスは非常に近い近縁関係にあるため、
デングウイルス抗体の一部が、ジカウイルスをもかなり強力に無力化できるという予想外の成果があったと付け
加え、しかし、
実用的なワクチン完成には時間がかかりそうだとも。特に、臨床試験を実施するために、やるべ
きことがまだ数多くあることはその通りだろう。そもそも、
デングとジカは、どちらもネッタイシマカが媒介するウイ
ルス。ジカに有効な薬剤ないが、ブラジルの風土病のデングには有効なワクチンがあるといことが今回の知見に至った。
直近のリオ五輪開催までに間に合わないが、いずれ有効性が実証されるだろう。

● 韓国のフレキスブル1マイクロメートル化合物半導体太陽電池

鉛筆に巻き1付けられるほど薄くて曲げられる太陽電池を韓国の光州科学技術院の研究者が厚さ1マイクロメート
ルの太陽
電池を開発する。その製法は、薄型太陽電池をヒ化ガリウム半導体をフレキシブル基板上に直接印刷す
ることでセルを形成。170℃の温度で圧力をかけ、一時的にフォトレジストの表面の層を溶かして一時的な接
着剤とし、そこに電極を接着する。テスト結果では、従来の分厚い太陽電池と同等の発電効率を示すことができ
たという(「限界厚み」と定義できるかも)。さらに、曲げ具合としては、1.4ミリメートルの半径の円形のも
のを包み込める。この技術用途としては、薄型太陽電池の製品化が進み、メガネフレームなどにセルを形成する
ことで大きな電池が不要なスマートグラスなどが考えられる。

何度も記載するが、「ゼロ廃棄物工学システム」という環境条件を満たせば、すでに「オール太陽電池システム」
完成するそれも早期に可能だと言うことの1つとしてこの開発成果はウエルカムである。

Ultra-thin flexible GaAs photovoltaics in vertical forms printed on metal surfaces without interlayer adhesives



Last California Plant to Close as Nuclear Power Struggles

● PG&E:2025年までに原発を廃止

21日、米国カリフォルニア州のエネルギー事業大手であるPacific Gas & Electric(PG&E)社は、省エネルギー、
再生可能エネルギー、蓄電池への投資を州が義務付ける水準よりも増加させる一方、同社が保有する原子力発電

所を25年までに段階的に縮小、廃止することを公表。 PG&E社の発表は同州におけるエネルギーの情勢を反映
するものとし、労働や環境などの団体との共同提案される。同社はサンフランシスコやシリコンバレーなどカリ
フォルニア州北部をサービス供給地域としており、同州中部にあるサンルイスオビスポ(San Luis Obispo)郡ア
ビラ・ビーチ(Avila Beach)に原子炉2基を持つ「ディアブロ・キャニオン(Diablo Canyon)原子力発電所」を
保有、運営する。カリフォルニア州は全米でも環境に対する取り組みに極めて積極的な地域で、ディアブロ・キ
ャニオン原発の電力に対する必要性が大幅に減少するとの認識を示する。今回発表された共同提案の下、同社は
米原子力規制委員会(NRC)による運転許認可が失効する時点でディアブロ・キャニオン原発の運転を終了させ
ると見込まれる。同社によると、同原発の運転許認可は1号基が24年11月2日、2号基が25年8月26日
にそれぞれ失効する。同社と関係団体は、同原発を停止するまでの間に温室効果ガスを発生しないクリーンな電
源によって同原発を置き換えていくとする。

カルフォルニア州は日本と同様に活断層王国。当然といえば当然でしょう。



Diablo Canyon Power Plant



● フェンネルシードルパウダー日記

最近、定着しつつあるのが、納豆へふりかけること。納豆菌に絡め取られるのと同時に、納豆臭さが完全に消え
ねばねばは口に残るものの、清涼感が付加されこれはおすすめだ。勿論、醤油や麺つゆやマスタードを加えるの
だが、これは大正解だと思う。




   

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アジサイとザクロ

2016年06月24日 | 滋賀のパワースポット

 

   

    

        自民党が負ければ負けるほどいいとは思っていますが、私はしかし、選挙の結果には何の
        興味もありません。選挙などというものとは離れたところで考えてきたからです。民主党
        が何を言おうが、何の関係もない。共産党とか社民党が何を言おうが、どうなろうが、そ
        れも関係ありません。

                            「大衆の選択」( 現代思想 2009.10.01)


 

                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

            

 

                  

● アジサイとザクロ:水ヵ浜

水曜日の正午前、いまにも雨が降りそうな中、近江八幡のシャーレにランチに向かう。平時のため訪れるひとも
さほど多くなくゆったと、彼女はレモンスカッシュとホットサンド、わたしはいつものトマトジュースとドライ
カレーを注文、干しぶどうが入っていない分少しものたらなかったが、対岸の比良山系はかすみ見えないが、そ
れはそれなりに、黒田清輝の「湖畔」のような関西風に言うまったりとした絶好の時空間にひたる。山荘風のレ
ストランの周りは紫陽花も見事だが、柘榴の花が満開で見事、見頃。

ところで、ザクロはイランの国花だが、原産地は様々あり、新王国時代にエジプトに伝わり、ギリシア時代には
ヨーロッパに広く伝わったとされる。東方への伝来は、前漢の武帝の命を受けた張騫が西域から帰国した際に、
パルティアからザクロ(安石榴あるいは塗林)を持ち帰ったとする記述が『証類本草』(1091年-1093年)以降
の書物に見られ、3世紀頃の伝来したされる。9月になればザクロが撓わに実っていることだろう。マスターが
アヒルの捕獲準備。アヒルの寿命は5~20年とされるが、グースのように長生きができず、話せば長くなるが、
4歳になれば捕獲し入れ替えするというのだが腑に落ちずにいると(北京ダック?)、その時、雛のアヒルはい
じめに遭うのだと彼がそう話す。そこで、そんなエピソードを思いだし一首、




            雨空の柘榴の花ぞ佇むは 三十幾歳の紫陽花ならん



このように、謎賭のような感謝の歌を残すこととなった。



● アインシュタインの宿題を解いた日本人:川村静児東大教授

百年におよぶ壮大な探し物についに決着がつく。これはレーザーと鏡を使って、時空のさざ波「重力波」を直接
観測の成功による。この観測は、地球から約13億光年の彼方で、2つのブラックホールが互いに渦を巻くよう
に回転し衝突したときに発生――ブラックホールこの1つは太陽の36倍の質量を持ち、もう1つは29倍の質
量を持っていた――した時の重力波で、宇宙に広がり昨年9月14日、地球上に設置された観測所で測定された。

1916年にアインシュタインにより初めて予言された重力波は、一般相対性理論の中でもとりわけ奇妙な現象
で、ブラックホールの衝突、中性子星の合体、恒星の爆発など、時空を伸び縮みさせるほどの激しい高エネルギ
ー現象によって発生するもので、アインシュタインの最後の宿題とされていた。空間がゆがむといっても、極め
て僅かな変化。先週、観測が発表された重力波は、物の大きさを10のマイナス22乗分の1。重力波が地球に
届いたときに、原子1個分にも満たないゆがみしか生じない。とにかく極めて小さなゆがみだ。そんな僅かな変
化を捉えた今回の重力波観測で、ノーベル賞に匹敵する川村静児東京大学教授が貢献している。ここでは測定原
理は割愛するが、彼はLIGOのOSEM装置の設計を担当する。LIGOのような精密な施設では、僅かな振
動さえ観測の妨げとなる。LIGO全体で400個の内蔵センサが振動を捉え、それを打ち消す力を発生させる。


例えば、原因不明の信号、ノイズの除去が課題となるが、地球上に数限りなくあり、1000キロ離れた海岸で
波が起こすかすかな揺れや、月の引力の地面に生じる僅かなゆがみなど一つ一つ突き詰めていくのだが、観測装
置のパイプ端のレーザー反射鏡がその震動源であることを突き止める。これはワイヤーでつるし、何重にも防振
対策を施し、ノイズは生じないものとされていたが、防振対策の装置自体のかすかな揺れ――髪の毛1本よりは
るかに小さい振動を突き止め、観測精度を1000倍も向上させ今回の重力波観測にたどりつく。

 

      FY-30PM5 

● DIY日誌: 換気扇の油汚れ

昨日は、急に換気扇の回転が重い、普段と違った音がするということで、急遽、雨がやんでから台所用換気扇を
点検、油
汚れ落としの作業に入る。事前に彼女が準備していた部材(手袋・新聞紙・鏝(コテ)・マジックリー
ン・過炭酸ソーダ(アルミなど化学反応するものには使用不可)・キッチンペーパー)を使い行うが結局、6時
間かけても完全に落とし切れず、やむなく夕食前に設置し試運転させ、軽快な回転音で重い感じがなくなりOK
(合格)を頂く。それにしも、どろどろ、お好み焼きのコテで粗取りすれど「コッテ・コッテ状態」。これにク
エン酸や重炭酸ソーダなどがあれば少しは変わったかもしれないが基本的にはたいした違いはないだろう判断す
る。要するに汚れ具合により、現場を沢山経験しないと「マイスター級(?)の仕事」は無理。



でも、面白いね。重度の汚れ落としをいかに手早く、短時間で、完璧に落とすかの匠を身につければ仕事はいく
らでもありそうだが、クーラーなどの家庭什器類、清掃専用業者に頼めばそれで済みそうで、面倒くさがりの私
の手には負えないが、面白い。



● 黒モノ家電:世界初「蚊取空清」

経営再建中のシャープを買収する台湾の鴻海精密工業は22日、台湾北部の新北市の本社で株主総会を開き、シ
ャープの次期社長に内定している戴正呉グループ副総裁は、全世界で7千人規模の人員を削減する可能性がある
と明らかにしたばかりだが、そのシャープが、蚊を誘い、吸引、接着(フィルム)除去する清浄機を世界で販売
開始する。殺虫剤を使わず糊に接着させ除去する方式だ。同社の空気清浄機を愛用している手前、経営問題は横
におくとして、これは面白い。使ってみてどうだったか、使用者に話を聞いてみたいものだ



● 英国民、EU離脱を選択!

英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票は、開票作業が行われ、BBC放送によれば、離脱支持票
が過半数に達する見通しとなった。これはグローバリズムによる格差拡大に加え、米国一国支配体制の収縮、中
東・北アフリカ諸国の不安定化→大規模難民移動が加わり。これに「地球温暖化」→「大規模気候変動」による
不安定化も加わる。今回の動きは、全世界動乱期の1つの前触れに過ぎない。これは決して他人事でないはずだ。
 

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高度医療社会の此岸:キラーストレス

2016年06月22日 | 医療健康術

 

   

 

               日本語の詩は、情緒に訴える方が分かりやすい。島崎藤村以降の叙情的な近代詩の
               流れが変わったのは朔太郎の出現で、情緒のよさで通り抜けてしまう空疎なところ
               を性的な比喩でふさいだ。それが、(忌野)清志郎にもある。

                 朔太郎に通ずる「エロ」と「比喩」」/毎日新聞 2009.05.18

                                          
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

【キラーストレスと高度医療社会】

これまで漠然と“体に悪い”と語られてきたストレスが、ひとの命を奪う可能性があることが、最先端の研究に
より具体的に解明されてきている。
脳科学や分子生理学などの研究が突き止めたのは、いわば「キラーストレス」
とでも呼ぶべきストレスの存在(Stress : Silent killer)。 ひとの体に「ストレス反応の暴走」を引き起こし、脳
細胞や血管を破壊して、ひとを死に追い込むというメカニズムがある。
“病の実態”が解明され、私たちがリス
クを食い止め、ストレスに対処する方法も解明されつつある。NHKは、
ストレスが体にどんなことを引き起こ
すのか、そのリスクからどうやって体を守るのかの2回連続のシリーズで取り上げる。

● コルチゾール vs. マインドフルネス

シリーズの第1回「あなたを蝕むストレスの正体―こうして命は守れ―」では、人類の「出エジプト時代」――
人類のアフリカ発祥説には、2百万年のホモ・エレクトスのそれと、それよりずっと後の約20万年前とする説
がある――を経て徐々に生物の頂点に立つに至り、それまでの生存環境は激変。それまで活発に活発に活動して
いた生理機能――ここでは扁桃体。恐怖や不安を感じた時に活動する場所。ここから体全体に反応が広がってい
き、ストレスホルモンには、心拍数を増やしたり、血液を固まりやすくする働きがあり、さらに、自律神経に働
きかけ血管を収縮し血
圧を上昇させ、危険を感じたり怪我することを想定して体が反応、血を固まらせたり、血
圧を上昇させ全身
の血の巡りを良くし瞬時に反応できるように身構える――は衰退していくが、外敵の脅威が弱
まわると 副腎皮質で
生産されるステロイドホルモンの1つで、主にストレスと低血糖に反応して分泌されるコル
チゾール
が、他のホルモンと同様、人間の
恒常性(バランスのとれた状態)を維持する機能は休眠状態におかれる。

  Activating Transcription Factor 3/Wikigenes

外部からの身体的な圧力――カナダの内分泌学者ハンス・セリエの学説の、生体が細菌感染、薬物中毒、外傷、
火傷、寒冷、精神緊張など、物理的、心理的な非特異刺激――に当面したとき、その刺激に無関係な一連の個体
防衛反応が現れるストレスで、この原因であるストレッサー下垂体前葉(扁桃体)→副腎皮質の内分泌系により、
ストレス反応を生じ、生体が環境適応ための現象で、汎適応症候群と名づけられ、警告反応、抵抗期、疲労困憊
期3段階で進行。この反応が過度になるとストレス潰瘍や様々な病的状態を引き起こし暴走する。

その事例として、
(1)複数のストレスがかかるとストレスホルモンが止めどなく体に溢れストレスホルモンが
蓄積される。蓄積されたホルモンは様々な悪影響を引き起こしす。例えば、
心拍数増加で血圧が上昇し、脳血管が
破裂し脳卒中に至る。 また、(2)「ATF3伝子」は免疫に関わる遺伝子で、この遺伝子が働いていない場合、がん
の生存率が上がり、。逆に、「ATF3遺伝子」が働いている人にはがんでの死亡率が上昇する。ところが、強いストレスを受
けると、免疫細胞はがん細胞を壊し増殖を防ぐが、この遺伝子が働くと、免疫細胞はがんへの攻撃をやめる。さら
(3)歯茎の出血などで血管内に住み着くことが分かっているが、通常は細菌が住み着いても悪さはしないが、ス
トレスホルモンが血液中に流れると、血液の中の鉄分が乖離し、細菌が鉄分を栄養にし大増殖。血管壁を破り大出血を起
こし、大動脈などの重要な血管で起これば、大出血により突然死に至る。それ以外にも(4)アレルギー、じんま疹(
5)胃炎(6)胃潰瘍・十二指腸潰瘍(7)心筋梗塞(8)糖尿病(9)
鬱病(10)血栓症(11)認知症など。

 Five tips to help manage stress

このシリーズは特に注目するのは、私たちの命を奪う可能性のあるいわば「キラーストレス」とでも呼ぶストレ
スの存在である。キラーストレスと体の関係に迫り、どうすればストレスによる死を未然に防ぐ事ができるのか
探る。その1つは、下記の「ライフイベントストレスチェック表」で自己診断を行うことである。つぎに(1)
ストレス回避する(2)息が少し上がる程度のウォーキングなどの有酸素運動を30分、週3回運動する:運動
は自律神経の興奮を抑え、ストレス反応の暴走を抑える脳の構造――延髄の神経細胞の突起の数を減らし扁桃体
で受けたストレスを自律神経に伝わりにくくする――に変える(3)大声で笑う(4)同伴者(相談手、支援者)
をえる(5)瞑想:メディテイション(マインドフルネス)↓

● マインドフルネスストレス低減法/サキ・サントレリ・マサチューセッツ教授

  • 体を揺すって体がまっすぐになる位置を探す
  • 肩の力を抜く
  • 目を軽く閉じる
  • 顔の力も抜く
  • 呼吸に意識を向ける(呼吸の長さを意識でコントロールしない)
  • 自然に入って出て行く呼吸だけをただ見守る
  • 息が入ってくると「膨らみ膨らみ」出て行くと「縮み縮み」と心で唱える
  • 体がしたいように呼吸をさせてあげる
  • その呼吸を観察(2分位)
  • だんだん湧いてくる雑念を考えない
  • 今いる部屋の空気の動きや、部屋の広さなど空間に意識を広げる(7分位)
  • だいたい10分位で目を開けて終わる

  NHK スペシャル 脳と心

 Meditation/Wikipedia

● 心の迷走・複雑化するストレス

第2回「ストレスから脳を守れ――最新科学で迫る対処法――」では、、最新科学によってその効果が裏付けら
れた
誰にでも出来る画期的なストレス対策を紹介する。鬱(うつ)病を引き起こすキラーストレス。学校や大企
業、刑務所で使われ始める「マインドフルネス」。このトレーニングでは脳の機能まで変えるという。また宇宙
飛行士の古川聡を迎える。鬱病のメカニズムは、他のストレスホルモン(コルチゾール)の異常分泌による「
ラーストレス症候群」は異なり、(1)コルチゾールは、最終的に脳で吸収され→(2)コルチゾールの脳への
吸収が高まり→(3)脳細胞の一部を破壊→(4)発症罹患、することである。アリゾナ州
立大学(シェリルコ
ンラ
ッド教授)では、ネズミの実験でストレスを与え続けることで脳の海馬が破壊される事を突き止めた。海馬
は記憶や感情を
制御している。脳にあふれた「コルチゾール」が原因となり、海馬の神経細胞にダメージを与え
ていることが明らかにされる。
 

さらに、ブルースマキューアンロックフェラー教授は、「マインドワンダリング(心の迷走)」と呼ばれ、過去
や未来を想像し情緒不安に陥いりそれが原因で心を蝕まれることもあると指摘。


また、熊野宏昭早稲田大学教授は、ストレスには(1)頑張る」ストレス:仕事のノルマに追われ続け、心臓血
管系など「体」の反応(アドレナリンが
出る)、(2)「我慢するストレス:嫌な上司と毎日… 落ち込み・不
安など「心」の反応(コルチゾールが出る)という2種類がある指摘。

さらに、友田明美福井大学教授は、子供の頃強いストレスに晒された人は、脳の扁桃体が大きくなり、小さなス
レスでも過剰反応し、些細な刺激で反応する特徴を持つように、その他にも、遺伝(体質)、生活習慣、考え
方のくせなど
の要因があると指摘する。

● ストレスコーピング(ストレス評価)ってなに?

緒方克彦JAXA宇宙航空医師総括医長は、(1)あらかじめストレスがかかった時の気晴らしをリストアップ…音
を聞く、読書など些細な事でも良く、なるべく数多くリストアップする。(2)ストレスが掛かるたびに…気晴
らしリストの中から何か実行する。気晴らしが成功したか判断し不成功の場合はさらに気晴らしを実行することを心がける
と良いと指摘、岡本泰昌広島大学准教授は、自分のストレスをしっかり認知して対策を行うと、前頭葉が活性化
し扁桃体の活動を抑制することがわかったと話す。

・具体的な気晴らしリスト

木に触れる/歌をうたう/空を見る/ステーキの写真を眺める/肌触りの良いタオル/女性誌を見る/お気に入
りのTシャツを着る/
自分へのラブレター/炭酸水/身だしなみを揃える/歯磨き/睡眠/愚痴っても良いんです
叱っている上司のほくろを数える/「やってらんねーな!」と心でつぶやく/やることリストを手帳にメモ/
今日の昼を考える/宝くじがあたったと妄想/7億円で何をするか妄想/空を見て雲の動きを観察/鶏の唐揚げ
でビールを飲む/
古い映画を見る/猫の匂いをかぐ/土日の少しだけの寝坊/墓参り/初恋を思いだす/三国志
を頭のなかでたどる/イチロー選手なら今どうする?と考える/雨音を聞く・・・気晴らしのチャンネルを増や
し、自分のストレスを認知する。


昔は、猛獣や有害な生物などが現れた時、ストレス反応起こしたが、現代は人間関係や通勤ラッシュのストレス
など常に複数のストレスに晒され、あるいは、「マインドワンダリング(心の迷走)」と呼ばれる過去
や未来の
不安からストレス反応が誘因される心療内科的側面を、過剰生産、過当競争を伴う高度消費・情報社会の構
造的
側面を特徴とした病理であるとわたし(たち)は考える。
 

 

● 今夜の一曲:ヒーリング音楽「水の詩」

肉親も含め)との記憶が突然フラッシュバックし、突然、悲嘆の世界に入ったすることを経験することが多いよ
うにも思う。「あの時、もっと・・・すれば良かったのに」と。そういえば、今朝は小学6年生の記憶がよみが
える――何の授業か担任教師が黒板に書いた文字を書き写しているのだが、いちいち、ノートを見ながら書き写
すのは面倒だから、黒板をみながら、鉛筆をもつ右手だけを動かし、、一度もノートを見ることなく書き写すこ
とをし始めた授業シーンである。今風にいえば速記であり、ブラインドタッチのタイピング(打ち込み)という
ことになるのだが、こんなことを突然実行する生徒は唯一私だけだが、岡本という同級生が算盤の暗算が得意で
クラスのテスト平均点を計算するのに浜田という担任が彼を呼んでは計算させていたったことも追想する。そう
いえば、後ろの掲示番には、ほとんど毎日というほど、わたしの絵画や研究報告絵などがが掲示されていたこと
よみがえる。まぁ~こんな思い出なら落ち込まないのだが、どちらかというと悲嘆が多く落ち込んでしまう。

そんなとき、死んでしまいと思うこともしばしばで、これではいけないと、心の迷走にブレーキをかけるべく、
出来る限り、いま取り組んでいる「ゴール」の実現のことを考える、あるいは気分転換するように心がけている
のだが思ったより効果は上がっていないと、これまた自己評価している自分がいる。

                                               

 

 

 

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イントロダクション X

2016年06月20日 | ネオコンバーテック


 
  

   

        会社を定年になって、男女の性が介在しないままにもうひと山もふた山も時間が続いていく。
            老齢化
社会と言うか超老齢化社会です。ひと昔前だったら、盆栽いじって孫の守をしていり
       ゃいいじゃねえか
ということだったんだろうが、そんな条件ないよね。大変だな、見当つか
       ねえな、という問題が消費社
会のなかでせりあがっている。

                                     「海を流れる河」  岩波書店 2009.04


                                         
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

 

 【おしまいの断片・考 Ⅲ】 

   イントロダクション


                                          テス・ギャラガー
                                           村上春樹 訳 

   本書の最後のセクションは、自分の病状がどんどん悪化し、死へと向かっているということを彼がだんだ
 ん自覚していく過程を扱っている。前にも述べた『GRAVY』の中で、自分が以前にほとんど死にかけて
 いたとレう記憶を語ることによって(1976年から77年にかけて彼はアルコール中毒のためにもう少し
 で命を落とすところだったのだ)、レイは今ここにある死の持つ破滅的な意味を、べつのものに置き換えて
 いる。要するに、彼はきたるべき自分の死を、かつての死からの脱出のあかしとして捉えたのである。そし
 て、自分は十年に渡る実り多き歳月を余分の恩恵として与えてもらったのだと考えてみれば、死というもの
 もまた違った様相を帯びてくるものではないかという境地に彼は達したわけだ。それでもやはり、このセク
 ションの導入の役割を果たしているチェーホフの二つのパッセージ(『虫のしらせ』と『雀の夜』)は彼の
  内心のパニックを示している。『医者は言った』における事実そのままの描写や、『目覚めよ』における死
 の「予行演習」と並んで、そこには『プロポーズ』の挑むような姿勢もあり、また最後のお別れのリハーサ
 ルとしての二扁の詩『いらない』『大枝の向こうに』もある。レイが死んでから三週間後のことだが、彼の
 最後の校正(私たちがアラスカに最後の旅行をする前に彼はそれを済ませておいた)を原稿に書き込んでレ
 るときに、私ははっと気づいたのだ。レイの亡くなる前夜、私が無意識のうちに、『いらない』に記されて
 いるのとまったく同じ行動をとったのだということに。いつもなら「おやすみ」の指示を意味した三つのキ
 スは、レイがそのまま目を覚まさないという可能性を含んでいた。「大丈夫よ」と私は言った、「ゆっくり
 お休みなさい」そしてしばらくして「愛してるわ」と。「僕も愛しているよ」と彼はそれに対して言った。
 「君ももうゆっくりお休み」それっきり彼はもう二度と目を覚まさなかった。そして翌朝の六時二十分、彼
 は息を引き取った。

  セルフ・ポートレイトとも言うべき『残光』の中で、「気取って」斜にくわえられた煙草は、これが最後
 の一瞥にしてしまった状況を茶化しているかのように見える。この作品ではカーヴァーは、もっと能力のな
 い作家だったら、ここから哀しくも剌のある小さな帝国を切り出していったのかもしれないところを、彼に
 してはぎりぎりまでアイロニーの地点に接近している。最後の詩である『おしまいの断片』の中ではその声
 はより高められたコーダを獲得している。生きる努力、書く努力の核心は、慈しみ愛されたいという求めの
 中にあったのだし、そしてその求めを自分に叶えてやっていいんだという気持ちは――「自らを愛されるも
 のと呼ぶこと」そしてまたもっと進んで「自らをこの世界にあって愛されるものと感じること」――これで
 なんとか達成されたのだという認知が、そこにはある。アルコール中毒から立ちなおった人間にとって、こ
 の自己認識や、そして自らの心の中に育ませたより普遍的な愛の心は、決して小さな達成ではない。彼は自
 分が恩寵を受け、祝福されたのだということを承知していた。そしてまた自分は書くことによって、自分自
 身や作品の中で描いてきた人々が置かれていた往々にして苛酷な世界を遥かに超えたところに到達すること
 ができたし、そしてまた自分の書いたものを通してワーキング・クラスの生活が文学の一部に組み込まれる
 ことになったのだ、ということも承知していた。彼のタイプライターのそばには、こう書かれた紙片が置い
 てあった。「こんな思いつきに一人酔っているのを許してほしい、でも僕はいま実にこう恩ったのだ。僕が
 書く詩はどれもみんな『幸せ』という題で呼ばれるべきだと」そして彼は、その早すぎる自らの死を決して
 承服しなかったにもかかわらず、長い夏の夕暮れに、我々が二人の作家として、愛する者同士として、また
 助け合う人間同士としてともに過ごした人生について語り合うあいだ、その感謝の念に満ちた静けさをいつ
 も変わることなく維持しつづけた。

  六月の半ばまでには彼の最後の本も出来上がり、私はそのためのタイトルも見つけていた。タイトルは初
 期の詩である『仕事を探そう』の中からとった。タイトルについてあれこれ討議はしなかった。何も言わな
 くても、私たちには、それが正しいものであることがわかっていた。結婚式のあとで我々は信じられないよ
 うな素晴らしい贈り物を受け取っていて、それが我々のタイトルの選択に影響を及ぼしていたのだと思う。
 二人の友人であった画家のアルフレード・アレギンは大作にかかりきりになっていたのだが、その絵につい
 てのミステリアスで興味しんしんの情報は、彼の奥さんであり、やはり画家のスーザン・ライトルの口から
 時折、我々のもとにもたらされていた。我々の結婚披露宴の前日に、アルフレードとスーザンが車の屋根に
 絵をくくりつけてやってきた。私たちの居間の壁にかけてみると、それは勢いの良い、様式化された滝に向
 かって宙を飛んでいる何匹もの鮭を描いた絵であることがわかった。空にはレイが「幽霊鮭」と呼ぶところ
 のものが、雲のかたちに組み込まれて、本物の鮭とは逆の方向に向かって進んでいた。背景の岩にもまた、
 前歴史的な眼が埋めこまれ、生命が宿っていた。

  毎朝、私たちはその絵の前でコーヒーを飲んだ。レイはよくそこに日がな一日座り込んで、一人で瞑想に
 耽っていたものだった。今それをみると、彼独特の鮮やかな生命力は、私たちの家のすぐ下を流れる川で年
 ごとに繰り広げられていた、あの歳月のひと巡りのページェントの中に埋めこまれているように私には思え
 る。その絵の中では魚は上流へと向かっている。必死の形相で水面から宙に飛び上がり、光に向けて果てる
 ことなく身を曲げている。そして彼らの頭上には幽霊鮭たちが、逆流に妨げられることもなく、苦闘からも
 解放されて、のんびりと浮かんでいる。

  二人にとっての最後のフィッシング旅行となったアラスカ行きでは、本の完成を祝って、そして私たち自
 身を祝って、レイと私はペリエのグラスをあげて乾杯をした。完成できるかどうかおおいに危ぶまれたこの
 本を、私たちはなんとか二人で仕上げることができたのだ。本の最後の仕上げにかかっているとても大事な
 時期に、ちょうど何人かの長逗留の来客があり、またレイの息子がドイツから訪ねてきていた。それでも我
 々は、一日を細切れにして仕事をつづけ、ようやく完成へと持ち込むことができた。「本ができたことを彼
 らには黙っていよう」とレイは私に言った。彼らというのは来客たちのことである。「君にここにいてもら
 いたい」そしてその本が、病魔の襲来までの-結局それが最後の襲来になったわけだが――何日かの貴重な
 午前中を私たち二人だけで水入らずで過ごすための口実となった。来客が帰ったあとで、私たちは片っ端か
 ら電話をかけてまわり、なんとかしてロシア旅行の段取りをつけようとした。チェーホフの墓参りをしよう、
 ドストエフスキーとトルストイの家を訪ねようと。私はアフマトーヴァに関連したいくつかの場所を見つけ
 たかった。

 現実となることはなかったにせよ、その最後の日々に立てたそんな旅行計画は、私たちの気持ちを盛り上げ
 てくれる夢の旅に他ならなかった。レイが病院に収容されたあとで、私たちは二人でそのことを話した。も
 し実現していたら、これは素晴らしい旅になっていたのにね、と。「私は行くわよ。あなたのぶんまで行く
 わ」と私は言った。「君より先に僕が行くさ」と彼は言ってにやっと笑った、「僕の方が身軽だからね」八
 月の二日にレイがポート・エソジェルスの家で息を引き取ったあと、何週聞にもわたってレイの死を悼む手
 紙や葉書が世界じゅうから文字どおり山のように寄せられた。そこに書かれたことがらに私の胸はしばしば
 激しく揺さぶられた。彼らとレイとの出会い(それがほんの短い出会いであっても)、彼がロにしたこと、
 彼の行ったちょっとした親切、私が彼に出会う以前の彼の物語。新聞の追悼記事も全国から私のもとに送ら
 れてきた。そしてある日、ロンドンからの小包を開けると、「サンデー・タイムズ」の追悼記事が出てきた。
 そこには 上着のポケットに両手をつっこんだレイの写真が掲載され、その上の見出しにはただひとことこ
 う書いてあった、「アメリカン・チェーホフ」と。「ザ・ガムアィアン」の方には所有形が使ってあった、
 「アメリカズ・チェーホフ」。私はレイと二人で一緒にそれを見ているような気がした。そして彼にもこれ
 はちゃんと通じているんだと身のうちに感じた。まさに叙勲ともいうべきそのどちらの見出しを実際に前に
 したとしても、レイは謙遜に身をちもこませつつも、それでもやはり無上の幸福に浸ったことだろう。

  最後に、レイが自分の詩作を、小説の執筆に飽きたときにときどき休憩がわりに戻ってくる単なる趣味と
 か気晴らしという風に見なしてはいなかったということに是非触れておきたい。詩は魂の必要な行き場であ
 ったのだ。彼が詩作を通してたどり着いた真実は、彼が初期に敬愛していたウィリアムズさえもが想像しえ
 なかったほどの、技巧の放棄を物語っていた。彼はミゥオシュの『詩学?』の中の数行を読んで、それに感
 じ入ったものである。


  私はいつももっと広々としたフォームを求めてきた。
  詩とか散文とかいったせせこましい区別から自由になって、
  作者や読者を崇高なる苦悩の前に栖すことなく、
  私たちが互いに理解しあえるようなフォーム。
  詩のいちばん根本の部分には野卑な何かがある。
  自分の中にそんなものが存在していたなんて知らなかったものが出てくる。
  私たちは目をみはる。まるで虎がそこから飛び出してきて、
  光の中に立って、尾をさっとうち振っているみたいに。


  レイは虎を隠れ場所から追い立てるために、自分の詩作を利用した。それに加えて、彼は自分の執筆生活
 を、読者に製品を提供するためのものだという風には見なしていなかった。
  そして時折彼は、短篇小説を書くようにという外部からのプレッシャーがあるとわざとそれを無視した。
 彼はなんといっても短篇小説の書き手として名をなしていたし、出版のことを考えても読者のことを考えて
 もそこがいちばん「おいしい」分野であったにもかかわらずだ。
 彼はそんなことは気にもしなかった。彼はミルドレッド・アンド・ハロルド・シュトラウス文学賞――これ
 は散文の作家のみを対象とする賞である――を与えられたとき、彼はすぐに机の前に座って二冊の詩集を完
 成させた。彼は「キャリアを築いていく」ことなど考えもし 心なかった。彼は天職を生きていたのであっ
 て、それゆえに、詩であれ散文であれ、彼の書くものはみんな内なる声に結びついていた。そしてその声は
 時を追うごとに、何の仲介もなしに主題を語ることをますます強く求めるようになっていった。そして詩こ
 そが、もっとも良くそれを可能ならしめるフォームだったのである。

  晩年のレイがあまりにも多くの時間を詩作に当てたことで、レイの小説は好きだが詩の方はどうもという
 人々は、あるいは彼がどうかしてしまったのではないかと思いたくなるかもしれない。しかしそれでは、レ
 イの詩がこの情念を失った時代に向けて差し出している見事に新鮮なるものを、見逃すことになるだろう。
 この国においては、詩人の貢献に対しての評価は、小説作家にふんだんに向けられるそれに比べて大きく立
 ち遅れているから、レイの詩人としてのインパクトが正当に評価されるまでには、まだ少しの歳月が必要と
 されそうである。今までのところ、彼の詩作についてのいちばん鋭い評論は「ミシガン・クォータリー・レ
 ヴュー」1988年春号)に掲載されたグレグ・クズマのものだろう。レイは短篇小説を再生させる上で大
 きな貢献をなしたわけだが、それに負けず劣らず、彼自身のやり方で、詩というものがどのような形を取り
 うるかということを問いなおす上でも大きく貢献したのだと言うことができるだろう。何はともあれ、彼は
 その最後の十年間を通じて、これを書きたいと自分が思うものを書き、自分がこう生きたいと思う人生を生
 きた、それだけは確かだ。

  彼の人生における同伴者として私は、彼がその旅路を通して詩を育みつづけることに対して自分かいさ
 さかなりとも手助けできたことを、とても嬉しく思っている。彼のあまりにも早すぎる旅立ちにおいて、彼
 がそこからそれこそ貪るように引き出していた慰めと生気のことを思えばなおさらのこと。

今回で「イントロダクション」は終了することになる。「レイは虎を隠れ場所から追い立てるために、自分の詩
作を利用した」とテス・ギャラガーが作風を解説する件で、何て、浅はかな理解しかできていなかったのかと、
極度な眼精疲労中で読み進めるなかで混乱し自責し、これまでワレットにしまってきた紙幣のように一篇、一篇
を放蕩、散財するのは惜しいと、かすみ目状態で読み返している自分がいる。
  
                                          この項つづく




【イントロダクション X:再エネ電動飛行機時代】
 



NASA claims progress on hybrid plane engine

● 電動飛行機、NASAが開発へ 

米航空宇宙局(NASA)は17日、化石燃料を使わない次世代の電動飛行機「X―57」(通称・マクスウェ
ル)の開発に乗り出すと発表した。従来の飛行機より大幅にエネルギー効率がよく、騒音や二酸化炭素の排出も
劇的に減らせるとしている。来年中にも試験機の打ち上げを目指す。NASAは、今後10年をめどに燃費や安
全性を大幅に高めた次世代飛行機を開発する計画を進め、X―57はその中核の一つ。細長く伸びた左右の主翼
に取り付けた計14個の電動モーターでプロペラを回して飛行する。19年には、9人乗りの小型機の実現を目
指す。乗用車のエンジンの約5倍の出力が必要で、高性能モーターなどの開発が焦点になる。NASAによると、
電動飛行機はエンジンを使う従来機と比べ、高速で飛ぶときにも効率よくエネルギーを使えることから、高速飛
行と省エネを両立できるという。運航コストは従来機の6割ほどに抑えられるとみている。通称のマクスウェル
は、電磁気学を確立した英物理学者にちなんだ。ボールデン長官はワシントンであった講演で、「新しい航空時
代を切り開く第一歩となる」などと述べる。

NASA Announces New Electric Airplane

欧州航空防衛大手エアバス・グループとドイツの総合電機大手シーメンスは4月、航空機にも利用可能な電気も
しくはハイブリッド型エンジンの開発に共同で計200人のエンジニアを充てる計画を発表した。ハイブリッド
型はトヨタ自動車のプリウスに搭載されているのと似たものが想定されている。尚、化石燃料に頼らない飛行機
の話題では、太陽電池を動力源にした「ソーラー・インパルス」が今年4月、太平洋上空を2日半かけて飛び、
米カリフォル
ニア州内に無事着陸していた。同機の飛行速度は時速30~40マイル(時速約48~約64キロ)。
一方、X―57の場合は
時速175マイル(時速約282キロ)に達すると予想されている。ここでも、再エネ
百パーセントのイントロダクションは、欧米が選考している。

 





【イントロダクション X:再エネ素材CNF時代】


※ 京都大学 矢野浩之教授


先日、いつものバーバーショップ『多美理容室』で床屋談義していると、鉄より5倍強くて、5倍軽い夢の素
といわれるセルロースナノファイバー(CNF)が話題に上る。というより、マスターが偉く感心して話して

れるので、どこまで、実用化してきているのかネットサーフしてみる。もっとも、このブログでも掲載している

が(『武闘依存症の行方』2013.01.21など)、この分野の研究で世界をリードしているの日本だが昨年9月29
日には、森林分野のノーベル賞といわれる「マルクス・バーレンベリ賞」を磯貝明東大教授ら日本人研究者3人
が受賞。特定の酸化反応を使い、木材繊維を20分の1以下のエネルギーでナノレベルまでほぐす方法――N-
オキシル化合物によるセルロースの表面酸化反応を利用し、最大繊維径1000ナノメートル以下で数平均繊維
径が2~150ナノで、セルロースの水酸基の一部がカルボキシル基およびアルデヒド基からなる群から選ばれ
る少なくとも1つの官能基に酸化され、またセルロースI型結晶構造を有する微細セルロース繊維(「特開2008-
001728  微細セルロース繊維 」)など――を発見したことが評価されている。

実用化動向では、製紙関連企業では、日本製紙クレシアからCNFのシートを挟み込んだ大人用紙おむつを1日
に発売しているし、王子ホールディングスは13年にCNFの透明シートを三菱化学と共同開発するなど事例が
徐々に増えてきている。もっとも、CNFは夢の素材といわれる分、技術的課題も多く、樹脂とCNFをなじま
せることは、水と油を混ぜるようなもので、また、現在の製造コストは1キロあたり数千~1万円と、炭素繊維
の3000円程度より高いが、価格は量産効果で一気に下がる可能性がある。実際、20年ごろには1000円
程度まで下がるとの予測があるほか、潜在的には500円以下に抑えられると言われるが、『スマートキャンテ
ィ構想』(ドライマウスからスマートキャンティ」2015.02.06)あるいは『ゼロ廃棄物工学の此岸:木質バイオ
マス粘土革命』([木質バイオマス粘土革命」2016.05.20)としてブログ掲載しているように三次元プリンターな
どを使い、自動車、飛行機、船舶、メガフロート、ハウジング、橋梁、タンクなどコンクリート・鉄鋼 との代替
できそうだ。エレベーターなどのワイヤー・宇宙エレベータへの用途も含め限りなく展開できそうである。こん
なおいしい話はめったにない。

  


 ● 今夜の一品

また、1つ世界を席巻す雲丹醤油という「調味料」が誕生している。液体・パウダー・固形とバイオーションは
様々。寿司、パスタ、刺身、スープ、ラーメン、うどんと醤油・味噌料理のレシピに広がりをあたえる。

 

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大賀蓮のポジティブエナジー

2016年06月19日 | 滋賀のパワースポット

 

    

   

    近ごろ、アメリカにくっついていれば安全だと考える人が増えているようだけれど、問題外だね。
    それこそ戦無派の弱点で、小泉もまさに戦無派なわけだけど、なぜ戦無派がそうなってしまった
    かといえば、戦争は怖くて嫌だなと思っていたリベラリストたちが戦争中の歴史を偽造したから
    です。つまり、共産党が流布した戦争史観の過ちです。
       
                    「吉本隆明が吠えた!:戦中派にして戦後思想界の巨人が
                     狂牛病問題を“一刀両断”」月刊サーカス  2005.6.10

                                          
                               Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 



● お風呂の防カビ剤を切り替える

銀イオンの煙が、天井から換気扇の裏まですみずみに行き渡り、浴室全体に潜む黒カビ原因菌をまるごと除菌し、
黒カビをモトから抑えカビ発生を防ぐということでライオン株式会社の「ルック おふろの防カビくん煙剤」を使
っていたが完全に取り切ることができす(抑制には役立っているのかもしれないが)、今回は、アース製薬株式会
社の「アースレッド お風呂の防カビ剤」を購入し昨日、防カビ燻煙を行う。前者は銀イオンにより生理代謝を封
じ込める方法。今回は、イソプロピルメチルフェノールの殺菌力を使う(効果は下図特許事例を参照)。


特開2016-069368  屋内の除菌方法

ところで、イソプロピルメチルフェノールは美容成分ではなく、殺菌作用のある成分です。一部の化粧品に含まれ
ているものの、多くの場合は防カビ剤、殺菌剤、防腐剤といった役割を持つ添加物として配合されるのが普通。た
だ、殺菌作用によって顔ニキビの原因となるアクネ菌を抑えられる上、抗真菌作用(防カビ作用)があることで背
中ニキビの主原因となるマラセチア菌までも殺傷することができるために、ニキビケア化粧品に主成分の1つとし
て配合されたり、歯磨き剤にも配合されひとの健康リスクは低いとされており、日本では大阪化成株式会社のみが
製造している(
その他の成分は特許で明示されているので参照されたし)。

使用回数は、前者は1~2ヶ月/回。後者も同周期となっている。これもちょとした面白い実証実験となりそうだ。



※ 関連特許「特開2010-280577  燻煙剤組成物及び燻煙装置」 ライオン株式会社

● 大賀蓮のポジティブエナジー

 

Bronze bell-shaped vessel Museum (Yasu City Museum of Japanese History)

日曜もいつものように作業をはじめ、つぎの作業に移るとき、数種類のファイルホルダーがハードディスクから消
えているのに気がつき、原因を調べていくが分からず再構築しなければならないと考えるとどっと疲れる。そんな
ふうに気落ちし作業をつづけるのも無駄!ということで、野洲の「弥生の森歴史公園」の大賀ハス鑑賞に雨が心配
だという彼女を連れ出し湖岸道路→県道324号→国道8号→「銅鐸博物館」に到着する。

2千年以上前の種子から発芽した古代のハス「大賀ハス」は、大賀ハスは51年、植物学者の故大賀一郎博士が千
葉市の検見川遺跡で種子を発見し、発芽したことから命名される。早咲きが特徴で、6月中旬から1カ月間が見頃。
今年は例年並の12日朝に初開花し桃色で大きさは約20センチ。この古代ハスの発芽に成功した大賀一郎は、

満州鉄道中央研究所植物班主任として古ハスの実の研究に従事、27年「南滿州普蘭店附近の泥炭地に埋没し今尚
生存せる古蓮實に関する研究」で東大理学博士。満州事変にいたる一連の軍部行動への抗議として退社。51年

東京大学検見川総合運動場内の落合遺跡で、今から二千年以上前の古代のハスの実を発見。同年5月に古代ハスの
実が発芽、翌年開花に成功、このとき大賀ハスと名付ける。
 



デジカメ撮影(Sony Super SteadyShot DST T-100)

上の写真のハスの花冠の右/下の花弁端部の付着物は、一見すると花弁の瑕疵?あるいは汚れ付着にみえるが、そ
の正体は蜘蛛なのだ。






Yayoi Forest Historical Park Map

9時にでて帰宅したのが11時の約2時間。満開ではなく5分咲きであったが、大変美しい花を堪能できた。が、
いらいら感も収まり、原因はこれの解析になるが、これも大賀蓮と琵琶湖のパワーなのか?  前向きに切り替え考
えていくに成功する(それでも疲れのひどさは改善されていないが)。ここは「自律的なキルケゴール」として最
前線に復帰することを誓約する。




【ジャジーな風に吹かれて:ポール・ブレイ】 



If I Loved You - Paul Bley



"Open、to love"  BCM

ポール・ブレイ(Paul Bley、32年11月10日 - 16年1月3日)は、カナダのピアニスト。60年代のフリー・
ジャズ・ムーブメントに貢献したことで知られる。トリオでの演奏の革新性と影響力の大きさが特徴。カナダ、モ
ントリオールに生まれる。ブレイの両親は、ルーマニアからのユダヤ人移民であった母ベティ・マーコヴィッチと
、刺繍工場を所有していた父ジョー・ブレイである。ブレイは長期にわたりアメリカ合衆国に居住していた。彼の
音楽はメロディが流れていくように聞こえる「和声付け」と「余白」の両方を強く感じさせる特徴とされる。

ところで、カナダのモントリオールは2人の偉大なジャズ・ピアニストを輩出した。メインストリーム至流派)の
オスカー・ピーターソンとインプロヴァイザー(即興演奏家)のブレイである。ブレイは、8歳のとき父親の不義
の子であることを知り、バイオリンを投げ捨てピアノの走る。18歳でニューヨークに出て以来、音楽を続けるが、
伴侶により表現形態が変化して行く。最初の伴侶カーラ・プレイ時代にはニュー・ジャズの渦中にいたが、2番目
の伴侶アネ。ト・ピーコ″クとはいち早くシンセサイザー・ショーを手掛け、やがてヴィジュアル・アーチストの
キャロル・ゴスと映像との共同作業を試みる。

  If We May

94年にリリースされた『If We May(邦題:言い訳しないで)』のライツ・ノーツ(富澤えいち)で、彼の音楽性
コハダにたとえている。曰く「寿司ネタとしては有名だが、そのほかの料理の素材としてはほとんど用いられない。
その理由は、“煮ても焼いても食えない”からだ。
さらに、この小魚は、小骨を取って一塩し、酢で洗う(締める)
など手間がかかるため、口にするまでには“職人の技”なるものが必要とされる。それだけに、繊細な“仕事”が
なされたコハダは、江戸前にぎりのなかでも別格扱いをされるほどのネタとなる。
ところが、元来が“ひかりもの”
の類いであることから、偏見をもって嫌われることがままある(中略)
“くさや”や“鮒鮨”のような“熾烈さ”
は似合わないし、ゲテモノ的な粗暴さとも趣を異にする。
手際よく下ろされ、脂具合を見極めた塩、そして酢。そ
こまで神経が行き渡り仕上げられた、一握りのシャリのうえの芸術品こそ、彼のピアノにふさわしい」と。哀悼の
意を表している。
、2016年1月3日、享年83。
                                                合唱

    

 

 

 

 

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オーダーメイドネット通販時代

2016年06月17日 | デジタル革命渦論

 

    

   

     ふつうの国民の社会生活の危機を無視しては、どんな金融政策も成り立たない。これが世界の
     先進的な地域が突入している現実の姿だ。日本国の内部では、ほとんど聞こえないほど、か細
     い声で残念だが、国際的には心ある経済学者、エコノミストたちが、もう口が酸っぱくなるほ
     ど警告を発してきている。それは普通の国民一般の沈黙の代価なのだと思う。

                  「吉本隆明TVを読む:普通の生活 無視するな」2008.08.27

 

                                          
                               Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012  

 

● 米陸軍、基地内メガソーラーで、エネルギー安全保障強化
 
今年6月上旬、米国ジョージア州西部にある米軍最大の歩兵部隊駐屯地フォートベニング(Fort Benning)基地に連
系出力30メガワット(パネル容量42メガワットのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が運転開始(日経テク
ノロジー 2016.06.15)。それによると、米陸軍機関は25年までに1ギガワットの再生可能エネルギーを導入する
目標を掲げており、今回のメガソーラーはその実現に向けた取り組みの一つ。エネルギー確保と、その安全保障の
強化は、陸軍本来のミッションを達成する能力と効率を高めるために欠かせない要素。そのため再エネは、陸軍の
エネルギー安全保障戦略において重要な位置付けにある。陸軍エネルギーイニシアチブオフィス(OEI)が現在、
開発中の大規模な再エネプロジェクトは、すでに「1ギガワットゴール」の30%以上を占める。

つまり。米国防総省は、エネルギーコストの削減に加え、海外からの輸入燃料への依存度を減らすことで、エネル
ギーの安全保障と持続可能性を高めるという任務を担い、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4つの軍を配下に抱える国
防総省は、25年までに太陽光発電を含め出力3ギガワットもの再生可能エネルギーの導入計画を掲げる。因みに、
14年度時点で、1130以上の再生可能エネルギーに関するプロジェクトを進め。地熱発電が発電量では全体の
約50%を占める。さらに、14年に陸軍が60メガワットのバイオマスをフォートドラム(Fort Drum)基地に導
入したことにより、バイオマスの割合が21%までに高まった。次に太陽光発電が11%を占める。太陽光は、米
国内の基地に645のシステムを設置し発電している。

 民間企業と連携/再エネ主体マイクログリッド構築

● 再生可能エネルギーに力を入れている理由は?

米国防総省が再生可能エネルギーに力を入れているのは、安全保障を高めるという戦略的な理由から、基地内に分
散型発電所を設置することにより、老朽化する送・配電線インフラ、そして遠隔の発電所に頼ることなく、災害時
でも電力を確保できる。さらに、電力を長期契約で調達することで、エネルギー市場の変動リスクも削減できる。
これは、インサーネット、インターネットの開発理由と同じである。安全保障強化だけでもメリットがある上に、
経費が削減できるメリットもある。例えば、
Sempra社はカリフォルニア州内の計14カ所の海軍と海兵隊基地に、
同社が現在、アリゾナ州に建設中の「Mesquite Solar 3」(パネル出力210メガワット/連系出力150メガワット
)から電力を供給。年間発電電力量は一般家庭約10万軒分の使用電力量に相当し、14カ所で消費する電力量の
3分の1を賄う。
このメガソーラーは同社が開発・運営する。65万枚の太陽光パネルを使用し、16年末までに
建設が完了する予定。電力購入契約の不詳だが、海軍では25年間にわたり9000万~4億ドルの電気料金を削
減する効果があると予想する。

このように、どのプロジェクトにおいても、陸軍は発電設備を所有しないものの、分散型のメガソーラーを基地内に導入してマ
イクログリッドを構築することで、電力会社の系統に異常が起きたり、災害や緊急事態が発生したりした場合でも、電源喪失
のリスクを軽減できるシステムが構築されるということである、情報の核戦争時のリスク対策にインターネットが開発されたよ
うに、エネルギ-のリスク対策として分散型の太陽光発電のグリッドシステムが建設されている。流石に手早い。、

● 再エネ百パーセント時代:ヒートポンプ+バイオマスでシイタケの菌床栽培

岩手県久慈市で地域エネルギーを活用した新しい取り組みが始まっている。シイタケの菌床栽培に必要なエネルギ
ーを木質バイオマスのボイラーで熱供給。菌床の殺菌や栽培ハウスの暖房に活用し、ヒートポンプチラーで冷房す
る。その事例事例が「㈲越戸きのこ園」。越戸きのこ園は、03年に有限会社として設立するが、温度管理が重要
で、冬は暖房、燃料には灯油を使い、もともと、夏は涼しいのでハウスに冷房は必要かなかったところ、5年ぐら
い前から時々、気温上昇しシイタケの品質が悪くなる。その対策に一部のハウスにエアコンを導入。シイタケには
菌床栽培と原木栽培の2つの方法があるが、同園は菌床栽培。ハウスの数は60棟。従業員60人、売上高は約6
億円。

● ヒートポンプで農業用ハウスを冷暖房

シイタケ菌床栽培の工程は、(1)菌床は広葉樹を粉砕しチッブを作り、米ぬか、ふすま、水をまぜ培地を作る。
(2)これを樹脂製の袋にいれ殺菌、(3)クリーンルームで菌を植え付け菌床ブロックをつくりハウス培養する,
菌床ブロックは年間約60万個使用。 ヒートポンプチラーを東芝と共同実験で「空気熱利用方式」実証試験を行
う。これは、ヒートポンプチラ一で冷温水を作り、地中に埋設したパイプでハウスに送る。ハウスの天井にファン
コイルユニットを設置し、冬は温水、夏は冷水を供給、送風することでハウス内の温度管理を行う。シイタケの菌
床栽培の温度管理は複雑で、多隊でナーバスな環境。菌床ブロックはハウスに入れて約4カ月間培養。その後、物
理的な刺激を与えてシイタケを発生させ収穫。発生は1個の菌床で5~6回行う。つまり収穫か5、6回ある。

管理温度は、培養初期
は20℃、培養後期は25℃。1回目の発生は10℃、5回目は15℃など。しかもシイタ
ケは年問を通じて60棟の
のハウスは通年出荷にあわせて生育環境を変え、 「シイタケの生育段階をみながら必
要なら冷房、暖房を入れ、ハウスの状態チェックを毎日2、3回チェックする。 

事業は順調に拡大したが、灯油価格は上昇傾向にありできるだけエネルギーコストを抑え暖房にかかるーコスト削
減する必要があったため、大規模園芸団地約5万平方メートルに、マルヒ製材、越戸きのこ園、東芝などが出資し
久慈バイオマスエネルギーを設立、熱供給施設は16年春に完成、間伐材、廃菌床などの木質バイオマス燃料に団
地内に蒸気、温水、冷水の供給し、ハウスの暖房に使う熱供給パイプやファンコイルユニットなどを冷房と暖房用
で使えば、設備コストが抑えられる「空気熱利用のヒートポンプチラー」を導入。団地内のハウス60棟の冷房は
ヒートポンプチラー8ユニット設置、エアコンはエネルギーの総合効率としてはチラーとほぼ同じだが、同じエリ
アに60棟分のエアコンを設置すると、エアコンのインバーターからの高調波発生対策が必要となりコストアップ
要因となる。同園の暖房用エネルギーは、原油換算で年間332万5000キロリットル。ただし燃料は水質バイ
オマスなのでカーボニュートラルとなり二酸化炭素排出量はゼロ。その削減量は年間841トン。因みにヒートポ
ンプチラーには水冷式もあるが、空気熱利用方式が、37%の省エネとなる。

このように次世代の農園経営と地域経済活性、人為的温暖化対策のプロトタイプを久慈にみることができる。また、
「IoT時代」を担う農園事例をみることができる。これも面白い。

 ● 今夜の一品

● 幸福な出会い:ふわっと足を包む革靴 

ハードなデスクワークをしていると、内風呂から上がりタオルで身体を拭lているときが一番幸福に感じるひとと
きだ。そういうに考えると次に思い出されるのは靴だ。革靴だけでなくスニーカー、登山靴など履き物はすべてに
共通する。いま履いている室内ウオーキングシューズの左の中足骨(左側)が局所的に圧迫し痛句感じる。買って
しばらく気付かなかったが、途中で気付くが耐えられる範囲なので放置しているが気分よくない。後進国で量産し
た安いものは品質が悪い。かといってオーダーメイドとなると高価だで手が出ない。そんな時、比較的廉価なオー
ダメイドの「八幡靴」(近江八幡市地域で作られる革靴――型に中底を取り付け製甲をつり込んでから表底を貼り
付け、一度靴型を抜いて、表底と中底、製甲を一緒に縫いつけ(中縫い)し。もう一度靴型を入れ、かかとを取り
付けコバ仕上げ(磨き)を行うことで、履くと足をつつみ込む感じがし、そりかえりが良いフィット感が味わえる)
の評判を知る(京都新聞「3Dプリンターで伝統の靴づくり 近江八幡」2016.01.31)。価格を考えるプチ贅沢と
も本物志向とも言えるが、品質を考えるとオーダーメイドでフィットすれば長く使うことになり価格はそれほど気
にならない。



ところで、八幡靴は手縫いの革靴で、同市を拠点に活動した米国出身の建築家、ヴォーリズも愛用した。品質の高
さで知られ、50年ごろには約60の業者が製造していたが、合成ゴムや人工皮革、大量生産品の普及により次第
に減少。伝統的な技術で八幡靴をつくるのは1軒のみで、の製造・販売を手がける「リバーフィールド」(直訳す
れば川原とでもなるが)、ベテラン職人3人と若手3人が伝統の技術を守り、インターネットや宅配便で足型や試
作品をやりとりしながら、遠隔地の注文にも対応しているという。この会社は京都市のベンチャー企業と協力し、
レーザースキャナーで採寸した注文者の足の3次元データから3Dプリンターで型を作る仕組みを開発。足型は金
具をつける強度が必要なため、内部の構造などに工夫を重ねる。

靴のデザインやサイズ別にある既製の型と、3Dプリンターで作る注文者の足型の二つを使い、注文者の足に合わ
せた靴をつくる。3
Dプリンターを使うと、専門業者に外注し早くて1週間ほどかかる足型の製作期間が数日にな
る。また費用も大幅に削減でき、一般的に安くても10万~15万円する販売価格が7万円~程度まで引き下げる
ことがかのうとなったろいう。そういえば、3Dスキャナーで足形をとり、このブログで靴のオーダーメイド通販
システムを提案掲載したことがあったが、早くもそれを実現したというベンチャーな話になるが、靴だけでなく、
衣服、鞄や装飾品、雑貨品などのこれからの通販の事業プラットフォーム(BtoC型)として拡大していきそうだ。

 
● 3Dプリント自動運転ミニバス「Olli」試運転

3DPといえば、自動運転車の米新興メーカーが16日、米コンピューター大手IBMのスーパーコンピューター
「ワトソン(Watson)」を活用する電気自動車を公開している。「Olli」は配車アプリのウーバー(Uber)のように
利用客が携帯アプリで交通手段を確保するオンデマンド方式を念頭に開発されている。車両は「マイクロファクト
リー」で、数時間内に「印刷」することができるというのだから生産性はきわめて高い。これなら、東日本震災で
復興中の「三陸海岸沿いアクアポリ」専用の職住シャトルバスとして即納できそうだ。ただし、プライマリーバラ
ンス原理主義の石頭官僚を排除し、「復興国債」で支援していく政治手腕を必要としているが、こうなると、給電
方法などの周辺施設などスマート化(ものIT)も推進していく必要がある。そうなると、車も、車種別のオーダー
メイド通販も可能となる。これは面白い事例だ。すぐには購入する予定はないが「八幡靴」お覚えておこう。
 

 ● 今夜の一曲

 

Help! - The Beatles (Vintage Jazz Cover)

レノン=マッカートニーの作品。。リード・ヴォーカルはジョン・レノンで、実質的にはジョンの作品である。軽
快なサウンドと解りやすい失恋ソング風の歌詞とはうらはらに、ジョン自身の悲痛なメッセージ・ソングという一
面も持っている。この曲が発表された当時ビートルズのメンバーは加熱する人気に自己を見失いかけていて、ジョ
ンは後に「僕らは豚のように暴飲暴食し肥え太っていく己自身に失望していたという
。助けを求めて叫んでいたん
だ」と語った。映画ではオープニングとエンディング前で使用されている。邪宗・カイリ教の教祖クラングが「ヘ
ルプ!」を歌い演奏するビートルズのフィルム映像を眺めながらダーツを投げつけるシーンである(Wikipedia)。

ビートルズが来日し今年で50年だという。半世紀になるのか?!実に懐かしい。 ところで、今夜も、HELP!と
悲鳴を上げたいほど疲れきっている。ウィスキーボトルも空になった。明日は気分転換に散髪するっか。

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超界面工学の此岸

2016年06月16日 | ネオコンバーテック

 

    

   

       日本のいわゆる知識人たちは、奈良朝以降のことでもってしか、「日本国」や「日本人」
       のことを考えないんです。それは、当然、「おかしい」ということになるわけです。

 

                                          
                               Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012       
                                    


【超界面工学の此岸:人工電磁】 

June 2, 2016

 Metalens works in the visible spectrum, sees smaller than a wavelength of light

例の「超薄膜レンズの衝撃-メタレンズ」(『超薄膜レンズの衝撃』2016.06.07)で、翻訳作業がどっと増え、疲
労と混乱が尾を引く。まず、言葉の混乱。”Metasurface”日本語では「メタサーフェス」と表記され、Wikipwdiaで
は ”Electromagnetic_metasurface”  ――任意の補助波長厚みと電磁気特性をもつ人工薄板材料の種類に包含されるが
天然素材を利用する3次元空間の構成パラメータ(独立変数項)と言うより、「特定の境界条件を介し電磁波の挙
動を調整する人工物質(メタマテリアル:Metamaterial)」で2次元的特徴として仕切られる。従って、その定義
も、(1)補助波長周期性を有する1次元と2次元プラズモニックアレイ――光の波長より小さな磁気共振器を3
次元的に配列・集積化し、光には個々の共振器は見えない集団的な電子の振動(プラズモン)が、電場,磁場を作
り出す機構(プラズモニック・メタマテリアル)――を扱う、操作波長に比較し無視できる程度の厚さに、このメ
タサーフェス(単位セル構成要素の近接場光増幅
)」は入射光の振幅と位相の両方に劇的な変化を強制する不連続
の界面であり、(2)その周波長サイズに比べ、微小な構造単位を繰り返し配列させて認識できものであり、(3)
この薄膜メタサーフェスは天然素材では発生せず、その初期事例として、回折限界を超える薄膜金属スーパーレン
ズ(Metalenses)を挙げ定義される。



しかし、当初、メタサーフェスがそのようなものとは最初は了解できず、「超界面」として受け取り、(1)自動
車ボディに使う「超撥水」などを取り扱う物理化学的側面、(2)あるいは、スーパーアーミンング酵母のような
タンパク修飾や遺伝子改変といった細胞・生物工学的側面、(3)「ムーアの法則」で代表される半導体微細加工
寸法のさらなるシュリンク(縮小)にみられるナノテクノロジーを包含するネオコンバーテック的側面と考えてい
たが、「メタマテリアル」(人工材料・素材・物質)なる用語にぶち当たることになり、頭の中を整頓する必要に
迫られる。有り体に言えばこのような「人工物質」はいまや数え切れないほど多く存在するのだが、このような
"超物質"の中にあっても「自然界にない光学特性を示す人工物質であるメタマテリアルは,製作の困難さから光の
波長における製作例は少ない、一方リソグラフィ技術の進展により、平面的な金属構造を容易に製作でき、特に金
属ナノ構造で生じるプラズモン共鳴などの応答を自在制御し、極薄の光学素子形成の研究開発が進展してきている」
(岩見健太郎東京農工大学准教授)状況にある。

  Artificial media with unusual electromagnetic properties

● メタマテリアルとは

67年、ロシアの科学者ヴィクトル・ヴェセラゴは負の屈折率を持つ物質が存在するのではないかと考える。普通
の物質は正の屈折率をもつので光を下図の①のように屈折させる、負の屈折率を持つ物質は光を②のように「く」
の字型に屈折させる。もし、このような 物質があれば、光学の常識を超えて、光を自由に操ることができるよう
になるが、そのような物質は見つからずにいた。
その後、米カリフォルニア大学のデビッド・R・スミスにより、
00年頃、人工誘電体と人工磁性体の単位素子を組み合わせた「左手系」メタマテリアルの構成に初めて成功する。



メタマテリアルは、微小な構造単位を繰り返し配列させた人工的な構造物で、光に対し均質な物質として振る舞う。
このようのに光の磁場の波と相互作用する人工物質として電磁メタマテリアルが登場で、さまざまな屈折率を持つ
物体が作れるようになった。「メタ」とは「超越した」という意味であり、「電磁メタマテリアル」は、「従来の
光学の常識を超越した物質」という意味。その実現には、光の波長よりも小さなナノスケールのコイルを物質中に
無数に必要ない。光を用いて金属をナノスケールで3次元に加工する技術や、ダストプラズマが自己組織化する性
質を利用したナノレベルの微粒子アセンブリー技術による、散逸構造生成される電磁メタマテリアルが必要である。

02年、ジョン・ペンドリー教授たちが「もし屈折率が負の物質があれば、無限に小さなものを光で観察できる」
と主張する論文の発表が契機となり、光の波長よりも小さな構造の情報を持った光、近接場光を増幅すれば、従来
の光学顕微鏡の限界を超えた、光の波長以下のサイズの物体を見ることが可能である主張。光学や短波長の電磁波
において特徴的な性質を示し、分解能の限界や回折限界の突破が可能とされ、超高分解能レンズ、光ファイバー、
バンドパスフィルタ、新種のレンズ・アンテナ、透明化技術(光学迷彩)などへの応用、また、CGの画像を電磁
メタマテリアル上に表示する技術が、コンピュータ支援外科などの分野を中心に発展。マイクロ波制御技術や波長
限界を超えた分解能をもつ「スーパーレンズ」の開発と、それに伴う半導体製造技術の微細化、光ファイバー、光
通信、光ディスク、遮蔽装置、光学迷彩などに応用、また、07年には米国防高等研究計画局(DARPA)がメタ
マテリアルの発展形である「アシンメトリック・マテリアル」(asymmetric material)により、姿の隠蔽・実弾から
の保護と内部からの攻撃を両立できる技術開発が報じられる。

● メタマテリアルの応用と作成方法

(1)スーパーレンズ(2)光クローキング(3)マイクロ波メタマテリアルの作成方法(4)可視メタマテリア
  ルの作成方法

● メタマテリアルからメタサーフェスへ

人工電磁的超界面(metasurfaces)の研究は、その初期の1902年、 ロバート・ウィリアム・ウッドが、サブ波
長の金属格子の反射スペクトルが暗い領域があることを発見。 この珍しい現象は「ウッドの異常」という名前と
表面プラズモンポラリトン(SPP)の発見につながる。特定電磁波が、金属表面で励起した後、別の重要な現象レ
ビ・チビタの関係、サブ波長(1/2λ、1/4λ)の厚さの薄膜は、電磁境界条件の劇的変化をもたらすと主張。
一般的に、このようなメタサーフェス(metasurfaces)は、このようないくつかの周波数選択性表面として、マイク
ロ波スペクトルの伝統的な概念(FSS)、インピーダンスシート、さらにはオーミックシートを包含する。 表皮深
さは、高導電性金属の非常小さい、マイクロ波領域で、厚さは、(例えば、波長の1/1000)動作波長よりもはるか
に小さい。 近年、超広帯域のように、完璧な吸収コヒーレント現象として実証。 結果は、0.3ナノメートルの厚
さのフィルムは高周波、マイクロ波全体の電磁波、さらにはテラヘルツ周波数を吸収する驚く特徴をもち、
光学用
途では、反射防止コーティング:単純なメタサーフェスがあり、その他に(1)プラズモン(2)幾何学的位相、
(3)インピーダンスシートなどのメタサーフェスが考えられている。以下、上記関連分野の特徴・作製・応用の
項目を掲載と近日の講習会事例、さらには特許事例を掲載する。

● メタサーフェスのと特徴的な光応答

(1)ナノホール配列と異常透過
(2)
ナノスリットアレイの光透過
(3)ナノ粒子・ナノロッドの光応答
(4)プラズモニックナノアンテナ
(5)プラズモン共鳴アンテナ共鳴
(6)電磁誘起透明化

● メタサーフェスの設計・製作法

(1)電磁場シミュレーション(FDTD法RCWACOMSOL
(2)リソグラフィとリフトオフ
(3)トップダウン加工法
(4)ボトムアップ加工法


● メタサーフェスの応用

(1)メタサーフェス光学素子:レンズ、プラズモン収束レンズ、偏光子と逆偏光透過、光アイソレータ、位相子・
               波長板、ベクトルビーム生成、ホログラフィ
(2)可変メタサーフェ:
透過強度変調、カラーフィルタ、可変レンズ、位相変調器 

 

● 特許事例:特開2016-051911 金属スリットアレー

【背景】

誘電率・透磁率がともに負の媒質に光が入射すると、負の屈折が起こることがベセラゴにより示され、透磁率およ
び誘電率が負になる人工的な構造が提案された。この透磁率および誘電率が負になる人工的な構造は、原子より十
分大きく光波長のスケールより小さい構造物の集合体からなり、メタマテリアルといわれている。負屈折媒質であ
るメタマテリアルを用いると、平面構造とされた完全レンズを作成することができる。完全レンズでは、回折限界
を超えた微細なものまで観察可能であり、近接場(エバネッセント波)まで忠実に再現できる。

メタマテリアルは、最近注目されているテラヘルツ電磁波用のレンズに適用することができる。テラヘルツ電磁波
は、周波数が0.1~10THz(波長が30μm~3000μm)の電磁波とされており、波長が遠赤外~ミリ
波領域とほぼ一致し、「光」と「ミリ波」に挟まれた周波数領域に存在している。このため、テラヘルツ電磁波は、
光と同様に高い空間分解能でものを見分ける能力と、ミリ波と同様の物質を透過する能力を併せ持っている。テラ
ヘルツ波帯はこれまで未開拓電磁波であったが、この周波数帯の電磁波の特徴を生かした時間領域分光、イメージ
ング及びトモグラフィーによる材料のキャラクタリゼーションへの応用などが検討されてきている。テラヘルツ電
磁波の発生は、物質透過性と直進性を兼ね備えるためX線に替わる安全かつ革新的なイメージングや、数100Gbps級
の超高速無線通信を可能である。

特に、テラヘルツイメージングは、X線に代わる安全、安心かつ高精度な可視化技術の1つとして大きな魅力をも
つ。回折限界を突破した近接場によるテラヘルツナノイメージングや、1.4THzで分解能400nm(1波長
/540)が得られることが報告されている。また、共鳴トンネルダイオードを用いた0.3THzでのイメージ
ングも報告されている。メタマテリアルは負の屈折率n=-1に設計することができ、エバネッセント成分となる
近接場光を離れた場所で復元し、回折限界を超えた平板完全レンズを実現できる。

このようなメタマテリアルの一例としては、カットを持つ大小二つのリングを組合せた負の透磁率を示す分割リン
グ共振器と、負の誘電率を示す金属ワイヤーとからなる単位セルをマトリクス状に並べたメタマテリアルが知られ
ている。この場合、大小二つのリングのカットの位置は、例えば逆の位置とされるがこれに限られるものではない。
この単位セルを、勾配屈折率を有するように1つの軸に沿って配置するようにして負の屈折を実現できる。


ところで、金属板を所定間隔離隔して平行に配置した金属平行平板においては、カットオフ周波数以下の周波数
において負の誘電率を示す。また、誘電体共振器は共振周波数の近傍において負の透磁率を示すことが知られて
いる。そこで、金属平行平板内に円板状の誘電体共振器を装荷して、金属平行平板により負の誘電率を、誘電体共
振器により負の透磁率を実現する。これにより、円板状の誘電体共振器を装荷した金属平行平板では、所定の周波
数において負の屈折が実現され、TEモードの電磁波が伝播するようになる。


誘電体共振器が共振周波数において負の透磁率を示すように、分割リング共振器も共振周波数の近傍において負の
透磁率を示す。そして、分割リング共振器と金属ワイヤーとからなる単位セルによりメタマテリアルを実現するこ
とは行われていた。また、金属平行平板と誘電体共振器とを組み合わせることは行われていた。従来は実現されて
いなかったマイクロコイルを平行平板内に装荷した金属スリットアレーによりメタマテリアルを実現を目的とする。

 特開2016-051911 金属スリットアレー 国立大学法人茨城大学

【概要】

上記目的を達成に、請求項1にかかる発明は、金属製の平板状とされた上壁と、該上壁に所定間隔を持って対面す
るよう配置された金属製の平板状とされた下壁とからなる平行平板と、該平行平板内に装荷されたマイクロコイル
とからなる単位アレーを備え、該単位アレーが、同じ平面内に所定間隔で複数配置されて金属スリットアレーが構
成されており、前記平行平板による誘電率が負の誘電率を呈するテラヘルツ波帯の周波数において、前記マイクロ
コイルによる透磁率が負となることを最も主要な特徴としている。また、請求項2にかかる発明は、請求項1にか
かる発明において、前記周波数の波長をλとしたときに、前記上壁と前記下壁の一辺の長さが約
0.06λ~約
0.07λとされていることを主要な特徴としている。

請求項1,2にかかる発明によれば、金属製の平板状とされた上壁と、該上壁に所定間隔を持って対面するよう配
置された金属製の平板状とされた下壁とからなる平行平板と、該平行平板内に装荷されたマイクロコイルとから単
位アレーが構成され、該単位アレーが、同じ平面内に所定間隔で複数配置されて金属スリットアレーが構成される。
そして、平行平板による誘電率が負の誘電率を呈するテラヘルツ波帯の周波数において、マイクロコイルによる透
磁率が負となることから、金属スリットアレーがメタマテリアルとして機能するようになる。これにより、本発明
にかかる金属スリットアレーは、負の屈折率を実現することができる。

金属製の矩形状とされた上壁金属板11および下壁金属板12が対向配置されて平行平板を構成している。上壁金
属板11と下壁金属板12との間には1つの金属製のマイクロコイル10が配置されて単位アレー1が構成されて
いる。この単位アレー1を、平面内に所定間隔で配置することで金属スリットアレーを構成する。金属スリットア
レーでは、平行平板による誘電率が負の誘電率を呈するテラヘルツ波帯の周波数において、マイクロコイル10に
よる透磁率が負となることから、金属スリットアレーがメタマテリアルとして機能する(上
図1ダブクリ参照)。

以上、大急ぎで、新しい事業分野開発のための素描を試みてみた。ここまでの作業で2つ確認しておこう。その1
つは、「メタマテリアル」「メタサーフェス」を『超界面工学』に包括し各論を仮想展開し事業開発を素描してい
くため事業対象が相当大きくなるということである。つぎに2つめは、具体的な事業開発対象は、あくまでも、「
メタレンズ」と「量子ドット・ナノスケール光電(熱電)変換素子」との結合した変換効率40%超のオメガ集光
型太陽電池の設計とその製造方法である。

 

 

 

  ● 今夜の一枚

イチロー、ピート・ローズの大リーガー記録4257安打を破る。サンディエゴ、ペトコパークでおこなわれたパ
ドレス戦に「1番・ライト」で先発出場。第5打席にパドレスの守護神、ロドニーからツーベースヒット。一気に
4257本目を打ち記録を更新。ここから打撃鬼才伝説イチローが誕生する。おめでとう。

 

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帝國のロングマーチ Ⅸ

2016年06月13日 | 世界歴史回廊

    

    
              国民国家というのは歴史的産物であり、決して普遍的なものじゃないですよ。現に
              EU(欧州連合)はすでに通貨を統一するなどして、国民国家の枠を超えようとして
             いるじゃないですか。         

  

                                         

                                Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012  

 

【帝國のロングマーチ Ⅸ】  

   

● 折々の読書  『China 2049』30    


                                  秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     


                                                    マイケル・ピルズベリー 著
                                                    野中香方子 訳   

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピルズベリーが
自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マ
ラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十
年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容と
なっている。 
   

 【目次】

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣) 
 

    

    第6章 中国のメッセージポリス    
 

                                   樹上開花-樹上に花を開す

                                  『兵法三十六計』第二十九計    

  中国政府が国内のメディアに通達した公式な手引きが強調するのは、「レッド・チーム」のメンバー、つま
 り、中国政府の描写によれば、「中国と親しく]「中国のPR
における良い助手」になれるアメリカ人を支援
 しなくてはならない、ということだ
(注18)。中国政府はアメリカで「良い助手」をたくさん見つけていた(
 注19)。彼らは
中国へ招待され、さまざまな指導者や学者との面会を許され、メディアで賞賛され、いくつか
 の事例では、仕牡の契約や投資の機会を与えられる。対談の相手は、アダ
ム・スミスやトマス・ジェフアーソ
 ンについて情熱的に語り、外国政府や国内の反体
制者から強い圧力や批判を受けたら中国はひとたまりもない、
 と嘆いてみせる。言い
たいことははっきりしている,中国は脅威ではない,中国が平和的に成長し、大国に
 るのをアメリカは支援すべきである、ということだ,

  北京の官僚は、アメリカのある腫の中国専門家を、中国政府の代弁者として重視している,そのことはわた
 しもよく知っている。というのも、わたし自身、かつてはレ
ッド・チームのひとりだったからだ,もっとも、
 その言葉ができるずっと前のこと
だ。一時、わたしたちはチームの他のメンバーとほぼ面識があり、全員を集
 めても、
標準的なホールがかろうじて埋まる程度の人数しかいなかった。現在も中国は比較的容易に、アメリ
 カ人の議論や著作物を監視し、誰が仲間で、誰がそうでないかを決め
ている。そして中国の指導者は、十分な
 数の学者に影響を及ぼすことができれば、そ
の人々の見解は、中国政府に詳しい専門家を探している他の学者、
 アナリスト、政策立案者、記者に広まることをよく知っている。

  Professor Ross Terrill on China

  中国は多くの方法を用いて、アメリカの思想や意見の中心部に到達している。ハーバードの歴史家、ロス・
 テリルはそのプロセスを詳述する。

 「中国とのピジネスで成功しているアメリカ人と、中国を研究するアメリカの機関は共存関係にある。中国に
 すばらしいコネを持つビジネスマンは大金を持っており、中
国での調査資金を必要とするシンクタンクにとっ
 て、寄付の申し出を辞退するのは難
しい(注20)。
  中国の企業はアメリカのシンクタンクや大学に多額の寄付をし、中国政府の見解を支持する中国政策研究を
 資金面で支えるようになった。それは、共産党政治局が糸を
引く巧みな情報操作の一環であり、マラソンの勝
 利に大きく影響するはずだ。

  協カ者をさらに増やすため、2004年、中国政府はさらに巧妙な作戦を開始する。それは財界中に孔子学
 院を設立しはじめたことだ。中国政府がその組織をいかに
重脱しているかは、国務院副総理で、女性で初めて
 中央政治局のメンバーとなった
延東をトップに据えたことを見ればわかる。孔子は、親切で充足している中
 国のイメ
ージを伝えるには完璧な象徴だ。西洋人が「孔子学院」という名を開いて思い浮かべるのは、賢明な
 格言で知られる、思慮深く温和な哲学者、孔子である,

  Epoch Times Oct, 1, 2015

  公式には、その国の人々に中国語と文化を学ぶ場を提供しており、しばしば地元の大学と協力 している。
 しかし、彼らは中国の歴史の上塗りも行ってお
り、中国は孔子を文化理解の案内人と見なす平和主義の幸福な
 国だ、というイメージ
を外国人に植え付けようとしている。学院では、孫武の『孫子』を、非暴力を説く物
 として再解釈することが奨励される。学生は、誠実で尊敬すべき行動をとる幸福な
孔子一門や文化的哭雄の物
 語を大いに楽しむ。平和主義と誠実さが、中国文化の軸と
して強調される。中国政府のウェブサイトの広告に
 よると、学院は「中国と世界の
国々との友好と協力を強化する架け橋であり、世界中で熱烈に歓迎されている
 (注21)


  過去10年間に、学院は世界中の350の大学で歓迎され、その中にはスタンフオード大学、コロンビア大
 学、ペンシルヴァニア大学も含まれる(注22)。中国がアメリ
カヘの接近を重視している証拠に、世界の孔子
 学院の五分の一はアメリカにある(注23)。
他の国より4倍も多い(注24)。「財政難の大学の運営者にとっ
 て、学院は天の助けのようなものだろう」と、201
2年、ニューヨーク・タイムズは報じた。
 「教科書と北京で訓練を受けた語学教師が無料で提供されるだけでなく、管理者の給料や公的イベントの資金
 も中国側がもってくれる(注25)のだから」

 Criticisms of Confucius Institutes 孔子学院批判 /Wikipedia

    大学は数十万ドルを受け取り、さまざまなブログラムに必要なら、さらに多くの資
金が提供される。その資
  金はすべて「漢辧(訳注*国家対外漢語教学指導小組か公室)」から
出資されるが、ある出版物によれば、漢
  辧は「教育大臣が統括する中国政府の一部門」で(注26)、劉延東を長とし、12の省庁と委員会に属する上
 級官僚が管理運営している。「率直に言って、漢聯は外国人を教育するための党が経営する組織だ」と、ネー
 ション誌の記事は解説している(注27)。

  2011年、中国政府の英字新聞チャイナ・デイリーは、ニューヨーク・タイムズに2ページの広告を載せ、
 学院の利点を大げさに宣伝し、学院は「総力をあげて、外国人学習者の要求を満たし、多文化主義の発展に貢
 献する」と主張したその広告によれば、学院は「文化とコミュニケーションに関するプログラム作成に集中し、
 イデオロギーに関する内容は避ける」としている(注28)。これは、真実ではない。
  マウント・ホリヨーク大学の中国文学教授、ジョナサン・ジッブマンは、こう警告する。
 「孔子学院は、わたしたちが欲する商品、つまり中国語学習の機会を売り歩くことによって、アメリカの学会
 に中国政府を強引に持ち込んでいる(注29)」
  同様に、マイアミ大学のある教授は、「中国の気前の良さは条件つき」だということに気づく。
 「ダライ・ラマについて語ったり、ダライ・ラマを大学に招待したりするのは厳禁だ。チベット、台湾、中国
 の軍備増強、中国の指導者内での派閥争いべて、触れてはならない話題だ(注30)」

  これらはブルームバーグーニュースが報じたように、「中国政府と密接な関係にある北京の組幟が、スタン
 フォード大学に、孔子学院の設立資金と教授の給与として400万ドルの支援を申し出たとき、一つの警告が
 付されていた。教授はチベットのようなデリケートな問題について語ってはならないというものだ(注31)」。
 シドニー大学は、オーストラリアで最も評価の高い大学の一つだが、中国との結びつきと、孔子学院のための
 資金供給が断たれることを恐れ、予定されていたダライ・ラマの訪問をキャンセルし、厳しい批判を受けた(
 注32)。

  ワシントンD.C.の孔子学院を訪れたわたしは、そのカリキュラムに、五つの「儒教の教典」の、「望ま
 しくない」五つ目の経書が含まれていたのを見て驚いた。それは『春秋左氏伝』で、戦国時代の五つの覇権国
 の隆盛と凋落が記されている。カナダの教授、テリー・ラ
ッセルが務める大学は、中国の資金援助による孔子
 学院の設立を断った。ラッセルはこう述べている。
 「孔子学院はプロパガンダの道具であり、大学という枠組みを利用したPR活動にすぎない(注33)」
  孔子学院の大学に対する要求を正確に知るのは難しい。というのも、交渉の大半は秘密裏に行われているか
 らだ。ネーション誌の記者は、合意文書の一部を人手したと主張する。それは次のようなものだ。
 「合意に至る二者は、この同意を秘密とし、いずれからも書面による承認はなく、いずれも公表、暴露、周知
 をしない。また、もう一方から知り得た資料や情報を第三者
が公表、暴露、周知することを認めない。ただし、
 その合意意のもとで義務を果たすた
めに公表、周知が必要な場合を除く(注34)」

  批評家たちは、孔予学院は中国に関する学問を検閲する手段となるだけでなく、「産業、軍事スパイ活動や、
 海外の中国人に対する監視、台湾勢力への妨害」の隠れ蓑に
なる恐れがある、と警告する(注35)。スウェー
 デンでは、ストックホルム大学の数名
の職員が、北欧孔子学院との関係を断つことを大学に要求したが、その
 理由は「スト
ックホルムの中国大使館は孔子学院を利用して、政治的監視や密かな宣伝を行い、また、法輪功
 などのデリケートな問題に関する研究を禁じようとしている」というもの
だった(注36)。カナダ、マニトバ
 大学の教授は、学院は雇用した中国人教授に、「
こで学習する中国人学生の活動を監視させる」つもりだと
 いう懸念を表明した(注37
)。 

  中国政府は学院の広がりを誇りとし、中国がアメリカに肩を並べつつある証拠だとして大いに自画自賛して
 いる,人民日報は2011年にこんな自慢をした。
「なぜ今、中国にこれほど多くの注目が集まっているのだ
 ろう? それは、その力が
増大する一方であるからだ……われわれと世界や西洋との関係は以前とは異なる。
 も
はやわれわれは、彼らが優しく慈愛をもって見守る対象ではない。われわれは徐々に力を増し、彼らと対等
 になろうとしているのだ(注38)」

  西洋から批判された時によくやるように、中国の指導者は、孔子学院を批判する人々を戦争挑発者、あるい
 は有害な時代錯誤者として退ける。「孔子学院の急激な成長
を快く思わない者もいる」と、2012年に英国
 の中国大使は述べた。

 「彼らは、時代遅れの『冷戦』時代の考え方にしがみついている(注39)」
  孔子学院は、大学のキャンパスでの成功に勢いづき、現在、世界中の高等学校や初等学校に同様の手法で勢
 力を拡大している。オーストラリアでは、中国の「言語と文
化」の学習を促すため、地元の学校に20万ドル以
 上の援助を申し出た。その融資は条
件付きだった。天安門の虐殺問題や人権問題などについて議論することを
 学生たちに
許可しないのが「最も望ましい」というのだ(注40)。学生はその代わりに、中国政府が認める見
 方だけに関心を持つのがよい,中国は全世界との調和を求める平和的な国
家である、と,

 
Focus on China: BIG Science in a BIG Country


ここまで読み続けて、この長征は、ロシアマルクス主義の一国社会主義理念崩壊後の「漢民族帝國主義?」に変質
したロングマーチというのが相応しいのじゃないかとの思いを強める。そして、その先は?ブログで既に掲載して
きた通りになるのでは。と、今夜はそのことに触れず読み進めて行こう。


注18.China's Propaganda and Influence Operations, Its Intelligence Activities That Tharget the United States, and the 
          Resulting Impacts on U.S. National Security: Hearing Before the U.S-China Economic and Security Review Commission,
    111th Cong. 88(Apr. 30, 2009)、statment of  Dr. Jacqueline Newmyer, president and CEO, Long-Term Strategy Group,
    Cambrige、MA, 以下のサイトで入手可能。 
          http://origin.www.uscc.gov/sites/default/files/transcripts/4.30.09HearingTranscript,pdf. 2009年2月、Reference  News(
           Cankao Xi
aoxi)の記事より引用、American Open Source Center 翻訳によるニューマイヤーの言葉。
注19.Friedberg,Content for Supremacy, 194-95.
注20.  Chaina's Propagandea and Influence Opreretion, Its Intelligence Activites That Target the United States, and the Resulting
           Impacts on US National Security: Hearing, Before the US-China Economic and Security Review Commission, 11 th
           Cong, 67 (Apr.30,2009),statement of Dr. Ross Terill,associate in research,John K. Fairbank Centcr for Chincse
           Studics, Harvard univcrsity,Cambridge. MA, 以下のサイトで入手可能。
           http://origin.www.uscc.gov/sites/default/files/transcripts/4.30.09HearingTrans.pdf.
注21.Confucius lnstitutc/Classroom wcbsitc, 以下のサイトで入手可能。http://cnglish.hanban.org/nodcj0971.htm.
注22   D.D.Guttcnplan, “Critics Worry About lnfluencc of Chinese lnstitutes on US Campuscs," New York Times, March 4,
           2012,以下のサイトで入手可能。
           http://www.nytimcs.conl/2012/03/05/us/critics-worry-about-infuence-of-chinese-institutes-on-us-campuses.html?pagewanted=all&_r=0.
注23.  “China’s Confucius lnstitutes: Rectification of Statues,”Economist, January 20, 2011, 以下のサイトで入手可能。
    http://wwwecononlist.com/blogs/asiaview/2011/01/china%E2%80%99s_confuciusinstitutcs.
注24.  DanicI Goldcn,“China Says NO Talking Tibct as Confucius Funds U.S.Universitics,”Bloombcrg Ncws Scrvice,
           Novcmbcr l,2011,以下のサイトで入手可能。
           http://www.bloombcrg.com/ncws/2011-11-01/china-says-no-talking-tibet-as-confucius-funds-u-s-universities.html.
注25.  Guttenplan,“Critics Worry About lnnucncc of Chincsc lnstitutes on U.S・ Campuses.”
注26.  Josh Dehaas,“Talks End Bctwccn Confucius lnstitutes and U Manitoba,”Mαclean's June 21, 2011,以下のサイト
           で入手可能。
    http://www.maclcans.ca/education/uniandcollege/talks-end-between-confucius-institutes-and-u-manitoba/.
注27.  MarshaII Sahlins/‘China U.,"jVαΓf0,7,0ctober 29, 2013,以下のサイトで人手可能。
           http://xnvw.thenation.com/article/176888/china-u.
注28.  Golden,“China Says No Talking Tibet as Confucius Funds U.S.Universities.”
注29.  Do ↑
注30.  Guttenplan, "Critics Worry About Influence of Chinese Institutes on U.S. Campuscs."
注31.  Golden,"China Says No Talking Tibet as Confucius Funds U.S.Universities. ”実際、チベット問題は孔子学院のウェ
           
ブサイトでは一切言及されない。それについては次のウェプサイトで入手可能。
    http://ealc.stanford.edu/confucius_jnstitute/  2013年1月10日、スタンフォード大学国際部(Omcc of lntcmational Affairs)
    によるインタビューを受けて、王斑教授は次のように述べた。「過去2年間、漢榊や北京大学などの人々と意見が異
    なった時にはいつでも、チャオ教授とザラー学部長とわたしは北京へ赴き、じかに会って交渉した。その時には、学
    院の運営についてスタンフォード大学が決定権を持っていたことを彼らに思い出させた。結果的にその状況はわた
    したちにとって都合が良かった(略)」。スタンフォード大学の孔子学院については、以下のサイトで入手可能。
    https://oia.stanford.edu/node/14779. David WiseTiger Trap : America's Secret Spy War with China (Boston,MA:
           Houghton Mimin Harcourt, 2011),同書14章も参照。

※ 脚注で書けなかった項目(番)は後日適宜掲載。

                                                                   この項つづく
 

 

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突然な I Will Follow Him

2016年06月12日 | デジタル革命渦論

 

    

   
        戦争というものは、勝っても負けても、民衆にとっては得なことは何もない、何も
        あとに残らないよ、というのが僕の実感なんです。「戦争自体がダメなんだ」とい
        うこと──日本国の憲法第9条は、その理想に近づきうる憲法だということです。


                                  

                                             Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012  



● 水の素晴らしさを発信する物語:映画『マザー・レイク』公開中

 

【ストップ・ザ・温暖化:へーリオスの快走 Ⅰ】



Perovskite Solar Cells Surpass 20% Efficiency

● ペロブスカイト変換効率20%超:ハイブリッドで30%超も視野に

ペロブスカイト太陽電池のセル変換効率の最高値は韓国化学研究所(KRICT)と韓国の蔚山科学技術大学校(UNIST)
が開発したセルの22.11%、セル面積は0.1平方センチメートルと非常に小さかった。今回は、SDカード大
と比較的大きな寸法のセルで初めてセル変換効率が20%を超える
(日経テクノロジ- 2016.06.10)。 セルを
開発したのは、色素増感型太陽電池の開発で知られるEPFL Laboratory of Photonics and Interfaces、Professor
of Physical ChemistryのMichael Graetzel氏の研究チーム。Graetzel氏らは今回、まずは光吸収層となるペロブ
スカイトのインクをガラス基板上にスピンコート法で塗布→次に「Vacuum Flash」と呼ぶプロセスで、真空に引
きながらインクの結晶化を進めた。これによって、余分な成分が除去され、結晶化のための種の形成が促される
のだとする。結果、高品質なペロブスカイト結晶を得ることに成功したという。

Graetzel氏は、ペロブスカイト太陽電池を既存のSi系太陽電池と組み合わせたタンデム構造にすることで、変換
効率は30%を超えると予想する。そうした太陽電池の理論効率は44%と高いと話す。



● 世界的に加速する電力費逓減:太陽光発電の課題 系統への投資不足

太陽光発電の導入量は、国ごとに大きく異なるものの、共通している状況がある。太陽光の発電コストが低下し、
家庭用電力料金と競合可能になった。世界のほとんどの地域で、太陽光の発電コストが、1
キロワット時当たり
0.2米ドル(21円)以下の水準に達している。REN21の年次報告書「The Renewables 2016 Global Status
Report(GSR2016)」によれば、このような状況が極端に現れているのがオーストラリア。
同国では15年に太陽
光を新たに0.9ギガワット導入。これは世界第7位の規模。15年年末の累計導入量は5.1ギガワット。これ
は人口1人当たり、太陽電池モジュール1枚に相当(総人口2400万人)。
オーストラリアでは主に住宅の屋
根置き用途として太陽光の導入が進み、16年初頭には16%(6分の1)の住宅に設置済。
総発電量に占める
太陽光の比率はまだ低いものの、大きな変化が生じている。人口の大半が集まる東部オーストラリアでは、電力
需要(系統に由来する電力需要)が、09年から顕著に下がっている理由の一部は太陽光発電。同国では電力需
要が午後に突出(super peak)。これが太陽光によりほとんど目立たなくなった。ところで、各国に共通する1
つは太陽光が化石燃料に対して、十分な競争力を持っていること、もう1つは系統への投資不足のため、十分な
能力を発揮できないことである(スマートジャパン 2016.06.09)。

● マレーシアにおける都市交通システムのスマート化を目指す

NEDO(産総研)は、マレーシアのプトラジャヤ市において、重量の制約上これまでEV化は困難とされていた大型
の2階建て(ダブルデッカー)EVバスシステムの実証を世界に先駆けて実施すると発表。
今回の実証は、15年度
から実施している同市とのEVバスシステム実証事業の中で新たに開始するもの。同市の都市交通システムの効率
向上によるスマート化を図るとともに、都市交通パッケージ事業の広域展開を目指す(NEDO 2016.06.06)。



● 圏外でもスマホがつながる技術、震災時に活用へ

構造計画研究所と東北大学は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2016」で、「スマホdeリレー」を
展示。スマホdeリレーとは、スマートフォン(スマホ)同士の通信を使い、通信インフラがない場所でもスマホ
同士でリレーして、ローカルネットワークを構築する技術。災害など緊急時の情報通信、旅行や登山でのトラン
シーバー的な役割が期待されている
構造計画研究所がアプリケーション、東北大学がアルゴリズム部分を開発。
端末間の直接通信を可能にする規格「Wi-Fi Direct」活用し、通信相手や接続/切断のタイミングを決定する独
自の接続制御技術とDTN(Delay/Disruption-Tolerant Networking)を融合することで、効率の良いマルチホッ
プリレー通信の実現を目指す。新しい自律的トランシーバーのようで、また、「アドホックなキルケゴール」な
情報通信システム」のようで、実現すれば防災システムが強化されて面白い。

   

  

● 突然な I Will Follow Him

めずらしく、早朝から数種類のアオジ、アカハラ、セグロセキレイなどの小鳥のさえずりが心地よく響いていた。
朝食を終えしばらくテレビを流しいつものように作業していたら、彼女が掃きだしのガラスを叩くので、開けて
みると、おびえた様子で蛇がいるから見てくれというので庭に出て探すが見つからず「見つけたら臆せず尻尾を
掴み振り回し地面に打ち付け、もし、顎が角張っていたら毒蛇の可能性があるから、そのときは僕を呼びなさい
」という台詞を残し部屋に戻り一件落着。昼食はそばを彼女の一押し「ヤマサざるそば専科」のつゆで頂き、夕
食は、豚バラ山椒ジェノベーゼ添えパスタを頂き、ようも、飽きずにやれるものだと感心しつつ作業の残りを続
けていると、ペギー・リーの「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」を口ずさみながら「この歌、よく歌っていたの
よ」とキッチンで喋っいる。「あぁ~、それなら学校の行き帰りのアーケドでよく流れていたよ」と返事し、昔
を思い出し記憶をたぐり寄せるようにユーチューブする。ペギーだけでなく、リッキー・ネルソンもカーバーす
るがこちらは、「アイ・ウィル・フォロー・ユー」である。そういえば、後どのぐらい、きみといっしょにいら
れるのかなぁと、独り言のようにつぶやいた。



 

 

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ビートルズ・ラブ・ソングス Ⅲ

2016年06月11日 | 時事書評

 

    


  


               踊りなんて、(誰も)見てくれなきゃ何の意味で踊ってるんだ、ということに
               なっちゃうんだけど、ほんとうに大切なのは、踊ってる人そのものです。
           

 

                                  

                                             Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012  

  

 

【ビートルズ・ラブ・ソングス Ⅲ】

 ● エニー・タイム・アット・オール 

この極は64年に発表された英国盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』の
B面1曲目に収録された楽曲。レノン=マッカートニーの作。実質的にはジョン・レノンの作品。レコーディン
グに
入った時点では未完成であったためレコーディング中に完成されたという。冒頭の「バン」というドラム音
はリンゴ・
スターによる、スネア・ドラムとバス・ドラムを同時に叩き出した音が印象的な仕上がりとなり、続
くタイトル・コ
ールは最初にジョン・レノンが、続くリフレンはポール・マッカートニーが歌っている。ジョン・
レノンは後年、セカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』A面1曲目の「イット・ウォント・ビー・ロング」
に感化して作曲したと語っているという。米国盤『サムシング・ニュー』のモノラル盤ヴァージョンでは間奏の
ピアノが遅れてフェード・インしているとか(Wikipedia)。「どんな時も/どんな時も/どんな時だって/君が
するべきことは/電話だけ/そしたら僕は君の元へ行く/誰か屍すべき人が必要なら/ただ僕の目を見てみなよ
/そしたら僕は君の元へ/君を楽しませるよ/君が辛くて/悲しい気持ちなら/僕も本当に共感するだろう/悲
しんでねいで/今夜僕に電話してきてよ/太陽が霞んでしまっても/僕がそれを輝かせるよ・・・」と歌い世界
の女性たちを魅了していたっけ。 ^^;


The Beatles - "Something New" Full Album

 

 【おしまいの断片・考 Ⅱ】 

   ひとつくらい

   空か興奮の色に染まったその朝、一刻も早く机に向かいたくて

   早いうちから彼は目を覚ました。トーストと卵を食べ、煙草をふかし

   コーヒーを飲みながら、これからとりかかる仕事についてずっと考えていた。

   森を通り技ける険しい道のり。風が空の雲を

   吹き飛ばし、窓の外の彼にわずかに残った本の葉を

   ぱたぱたとふるわせた。彼らに残されているのはあと数日。

   数日ののちには、本の葉は消えてしまう。モこにはひとつの詩があるな、たぶん。

   そのことを考えてみなくては。彼は机の前に

   座り、長いあいだ迷っていたのだが、やがてひとつの

   決断をした。それは結局、その目に彼がなした

   もっとも重要な決断であった。彼の欠陥だらけの人生が彼のために用意した

   何ものか。彼は詩の収められた紙ばさみをわぎに押しやった。

   とくにその中のひとつの詩は、寝つかれぬ夜を過ごしたあとでも、彼の心をまだ

   しっかりとつかんでいたのだけれど(でも結局のところ、ひとつくらい増えても

   減っても、なんていうことないだろう。どうせまだしばらく日にちはかかる

   んだものな)。彼の前には手つかずの一日が広がっていた。

   まずは周辺を整理しておいた方がいいな。現実の用事をいくつか片づけて

   しまおう。長いあいだほったらかしにしていた家の雑用もすませて

   おこう。さあやるぞ。その日一日、彼は必死に働いた。

   そこには愛憎乱れる感情が入り込み、憐れみの心が少し(ほんの少し)あり、

   仲間意識があり、絶望と喜びさえあった。

   彼の人生の遥か彼方にいる人々とか、これまでに会ったこともなければ

   これから会うこともないであろう人々に向かって手紙を書いていると、

   そして「イエス」とか「ノオ」とか「ことと次第によって」とか返事をし

   許諾の、拒絶の理由をいちいち説明していると、時折憤怒の念が勢いよく
  
   燃え上がったが、それもやがてすうっと消えていった。こんなことって

   果たして大事なのかな? 何かそこに意味があるのかな?

   大事な場合もあるにはある。彼は電話を受け、電話をかけた。おかけで

   追加の電話をかける必要ができてしまった。誰々さんに電話をかけると、

   すみません今は話せないんです。明日こちらからかけますから、という答えが返ってきた。

   日が落ちる頃にはもうくたべた、一目かけてまっとうな労働に似た

   ようなことをしたという手応え(でももちろんそいつは錯覚)を感じつつ

   一服して目録を作り、もし物事をおろそかにしたくなかったなら、

   そしてもうこれ以上手紙を書きたくなかったら

   ――書きたくなかった――明朝かけなくてはならない

   二、三の電話をメモした。そうこうするうちに、

   やれやれこんなこともううんざりだな、と彼はふと思った。でもとにかく最後まで

   やっちまおう。数週間前から延ばし延ばしにしていた手紙の返事をひとつ

   書いてしまうのだ。それから彼はふと顔を上げた。外はもう暗い。

   風はやんだ。木々も――今ではもうしんとしている。木の葉はあらかた

   もぎとられてしまった。でもこれでようやく、一件落着。

   彼が目をそらしつづけている詩の紙ばさみをべつにすればという

   ことだが。彼はとうとう紙ばさみを引き出しに入れて、目につかない

   ようにする。うん、これでよし。引き出しの中なら安全だし、その気になれば

   すぐに取り出せる。すべては明日だ。今日できることは洗いざらいすませた。

   あと何人かに電話しなくちゃならないし、

   よくわからない誰かから電話がかかってくるはずだ。電話のおかけで

   短い手紙を何通が書くことになった。

   でもやれやれ、やっと片づいた。これでなんとか森の中からは技け出せた。

   お疲れさま。これで枕を高くして寝られるというものだ。

   やらなくてぱとずっと気になっていたことなのだ。彼の義務感は満たされる。

   彼は誰をも失望させなかった。

   でも整頓された机に向かっているそのときに

   朝のうち書こうとしていた詩の記憶がさわさわと

   彼の心を悩ませた。それにもうひとつそこには、置き去りに

   してしまった詩かあるのだ。

   大事なのはそいつじゃないか。それ以外のあれこれなんて実に

   取るにもたりないことだ。なのにこの男は一日じゅう電話でべらべら

   お喋りをしたり、阿呆な手紙を書いたりしていて、そのあいだ

   ずっと彼の詩は投げ出され、放りだされ、見捨てられ――

   それどころじゃない、試みられてさえいない。この男には詩なんてもったいないぞ。

   こんなやつに仮にも詩心と名のつくものが宿ってよいものか。

       この男の詩が、もしこれ以上この世に生み出されるとしたら、

   そんなもの鼠にでも食われてしかるべきだな。
                                    Once more

 

   イントロダクション


                                          テス・ギャラガー
                                           村上春樹 訳 

  チェーホフの文章をそこに加えるようにしようと我々はきめていた。チェーホフの小説は我々の精神のサ
 ヴァイヴァルにはあまりにも不可欠なものだったので、ちょうどミウォシュがホイットマソの詩を自分の本
 に入れたときのように、チェーホフは我々にとって共に進む仲間のように思えたのだ。あたかも、レイが終
 生チェーホフの作品を深く敬愛していたからこそ、その大胆なばかりの愛によって、彼の作品を取り上げる
 許可を勝ち得たかのようでもあった。

  ある夜に私はレイと二人で、ある作曲家がテレビでインタヴューされるのを見ていた。その作曲家はチャ
 イコフスキーがあるときベートーヴェンのいくつかの楽節をまるごと自分の作品に流用して使ったことを話
 した。そのことで誰かに詰問されたとき、チャイコフスキーは臆することなくこう言った。「私にはそうす
 る権利がある。私は彼を愛しているのだから」と。レイはそのやりとりをメモした。この「愛すればこそ権
 利がある」というくだりは、自分の作品とチェーホフをかくも大胆に結びつけてしまおうという彼の決定に
 大きな影響を及ぼしたと私は思っている。それらチェーホフのパッセージは、レイの詩を彼の短篇小説に結
 びつけることにもなった。

 彼の最後の短篇集はチェーホフに捧げられた『使い走り』という短篇で終わって
いるからだ。選ばれたチェ
 ーホフの文章は、レイの原稿の中に実にこのうえなく自然に落ち着いたように見
えた。それらは響きの上か
 らも、情感の上からも、それまでにレイが書いてきた詩にうまく調和を与え、ま
たそれを増幅させていた。
 折に触れてレイは、チェーホフの引用を通して、自分自身に向かって、また他者
に向かって、敗北に終わる
 しかない状況の中でがんばりつづけるという厳しい仕事を遂行するすべを伝える
ことを可能にしたり(『下
 流に』)、あるいは癌との持久戦において相手に取り込まれてしまわないために
自分の中にかくしとおすし
 かなかった恐怖の存在をはっきりと言葉にして認めることができた(『虫のしら
せ』『雀の夜』)。

  私のアレンジしたものを二人で検討して、本は最終的には六つのセクションに分かれることになった。本
 書の最初のセクションには、以前に出版された旧作が収められている。それらは、さまざまな理由によって、
 最近の作品と一緒に並ぶ機会のなかった一群の詩である。それによってレイは、ちょうど自分の作品にチェ
 ーホフの時代を持ち込み、根づかせたのと同じように、自らのかつての人生をもそこに運び入れたわけだ。
 そしておそらくそれらを想像力を介してとりこむことで、彼は双方の人生を変容させたのだろう。そういう
 点においては、ミウォシュの『到達されざる大地』の中の、彼がしるしをつけたパッセージがレイの密かな
 目的を説明しているかもしれない。


  カール・ヤスパースの弟子であるジャンヌが、私に自由の哲学というものを教えてくれた。それは今現
  在、今日なされているひとつの選択は、過去に向けて自らを投射し、我々の過去の行動を変化させるこ
  とになるのだと認識することによって成立している。


  詩であれ小説であれ、レイの書くものにはひとつの強い衝動がある。それは、いまだに心をかき立てる過
 去の光景や人物を再訪することであり、そこから解放されるとまではいわずとも、少なくともその状況の効
 果的な分析を引き出すことである。本書における初期の恋愛詩は暗い要素をうっすらとほのめかしているが、
 その要素はもっとあとの『奇跡』『不埓な鰻』あるいは『目覚めよ』といった作品においてより明確に現実
 化することになる。かつての詩や、『象』や『コンパートメント』に現れた抑圧するものとしての息子は、
 『私の息子の古い写真について』に再び現れる。その傷はいまだ生々しいが、それでも詩の最後には「もっ
 と先になれば、我々はうまくやっていけるさ」という回復の認知がある。『ささやかだけれど、役にたつこ
 と』で胸苦しいまでに追求された「死んだ子供」というテーマは、詩『レモネード』の中に再び現れてくる。
 その詩の中では、父親に言いつけられてレモネードの入った魔法瓶を取りにいった男の子が川で溺れて死ぬ
 ことになる。

  ふたつめのセクションでは、アイデンティティーの喪失を扱ったトマス・トランシュトレマーの『名前
 という詩に着想を得た一群の詩が紹介されている。おそらくこれらの詩はそれぞれの「疾患」によって、あ
 るいはまた荒らぶれたもの、異形なるものが吹き出し、我々をもう後戻りすることのできない不条理の領域
 へと運びこんでいくその方式によって、性格づけられることになるだろう。『親密さ』において言語的攻撃
 をかける女性は、『奇跡』において肉体的攻撃をかける女性に出会うことになる。彼の最初の結婚生活を扱
  った詩において、飲酒はあいかわらず崩壊の儀式に結びついている。そして彼はそれが引き起こした深い傷
  痕を、まるでつい昨日起こったことのようにひとつひとつ列挙した。

 

 I feel sleepy during the car and drive into the trees at the side of the road.
 Curl me in the back seat and sleep. How long? Hours. The darkness could fall.

 Suddenly I'm awake and do not recognize me. Wide awake, but it does not help.
 Where am I? Who am I? I'm something that wakes up in a rear seat, twisting
 around in panic as a cat in a sack. Who?

 At last my life back. My name is like an angel. Outside the walls blowing
  a trumpet (as in Leonorauvertyren) and saving steps will quickly quickly down
 the stairs too long. That's me! That's me!

 But impossible to forget the fifteen-second fight in oblivion hell, a few meters
  from the main road where traffic passes by with the lights turned on.
 

 

                      Tomas Tranströmer – "The name"



  第Ⅲ部に含まれた『キッチン』(これは『サマー・スティールヘッド』の世界を思い出させる)では、少
 年期のイノセソスが出し抜けに断ち切られることになる。『ちょうざめ』や『もうひとつのミステリー』の
 ような、わけのわからないものが、まったくわけのわからないままに放置されることになる詩もある。『サ
 スペンダー』におけるワーキング・クラスの家庭における暴力性は、農民たちの生活や、少年たちの感受性
 の破壊ぶりを扱ったチェーホフの文章に呼応している。

  第Ⅳ部の冒頭に収められた『一八八〇年、クラクフに戻る』においてミウォシュが問いかける回答困難な
 問いは――「勝ったり、負けたり、そんなことはノもし世界が私たちを結局 忘れてしまうのなら、いった
 い何だというのだ?」――記憶とは自分のそのまま委託された 作ものなのだという詩人の意識に、まっこ
 うから挑みかかる。そしていうまでもないことだが、自らの死に直面したレイの頭には、自分の書いたもの
 が肉体の死を超えて生き残ったときに、そこに含まれた自分の記憶も果たしてまた重要なものとして存続す
 るのだろうか、という自問もあった。ひとりの芸術家のオブセッションなりしるしなりは、たとえ断片的な
 ものであれ断続的なものであれ、それが誰か他の人間に必要とされているかどうかに関係なく、欠くことの
 できぬものとして存在するのだということを彼の詩は静かに示している。またそれと同時に『ひとつくらい
 とか『メモでふくらんだ彼のバスロトフのポケット』といった詩は、創作の持つ気まぐれな側面をユーモラ
 スに明かして見せる。そして何らかの意味のあるものはすべからく、このようないわば「盲撃ち」のプロセ
 スによって蓄積されていくのだというまさに驚嘆すべき事実を我々に知らしめてくれる。

 このセクションにはまた、レイと文学人 生との最初の触れ合いを散文体で記録したものが収められている。
 彼は配達係としてある家に荷物を届けにいくのだが、そこでひとりの老人から「ポエトリー」という雑誌を
 貰うことになる。『使い走り』と同じように、ここに描かれているのは、きわめて特別な物事を明るく照ら
 しだすごくありきたりの瞬間である。ひとつの手からひとりの若い青年、将来作家になる青年に手渡された
 一冊の雑誌は、詩を読んだり書いたりすることが立派な営みであると信じられているひとつの世界の存在を
 彼に教えることになる。それは彼にとっては驚き以外の何ものでもなかった。

  『不埓な鰻』における騎士道の時代と現代との併置は、これまでに『爰について語るときに我々の語るこ
 と』や、あるいはもっと最近の『フラックバード・パイ』においても我々が目にしてきたところのものであ
 る。このような対位法によって、現代の素材に新鮮なバーバリズムを纏わせることが可能になっているよう
 に見える。第V部の冒頭にあるローウェルからの引用(「しかし、何がおこったかを語ってもいいじゃない
 か」)の光の下で、我々はあかあかと容赦なくあばきたてられた「真実なるもの」の偏執的なマグネティズ
 ムを、その罠と暴力性を、しっかり覗き込むことになるのだ。

  同じセクションに収められた『夏の霧』は、レイがこの詩をちょっと読んでみてくれないかと私に手渡し
 たときにロにした言葉のために、私にとってはいっそう特別な意味を持つものとなっている。レイはそのと
 き私にこう言った。こんな事情のせいで僕には、君が僕のために今してくれていることのお返しを君に対し
 てしてあげられなくて、そのことについてはほんとうに済まないと思っているんだよ、と。「それで、僕は
 この詩の中でちょっとしたことを試してみたんだ」と彼は言った。「うまくいっているかどうか、自分では
 よくわからないんだけどね」彼がそこで試みたのは、やがてくるであろう私自身の孤独に対抗するひとつの
 贈り物として、私の死を想定し、彼がそのときに感じるであろう哀しみを想像することだった。この詩が書
 かれた時期には、彼自身の死が私たちニ人にとって――彼の詩の中の言葉を借りれば「途方もない哀しみ」
 となっていたのだという事実を考えれば、これはひとしお感動的である。


      の霧

   眠って、数時間のあいだすべてを忘れてしまうこと……
   七月の霧笛を耳にして目覚めること。
   重い心をいだいて窓の外に目をむけ、梨の本にかかった
   霧を見ること。交差点の流れを緩慢にし、まるで
   健康なからだを蝕んでいく病のようにあたり一帯をつつんでいる
   霧を。彼女が生きることをやめたあとも生きつづけること……
   ライトをつけた自動車がゆっくりと通りすぎていく。そして時計は
   五日前に逆戻りする。電話が何度も何度も鳴って、僕をこちらの世界につれ戻し、
   あの人の死のニュースを僕にもたらした。彼女は何気なく家を出ていった。
   マーケットで罷いっぱいのキイチゴを買って、その
   帰りを待っていたのに。(今日この目から僕はこれまでとは
   ちがった生きかたをするつもりだ。たとえばもう二度と、
   朝の五時にかかってきた電話に答えたりはすまい。でもわかってはいても、それでも
   やはり僕はつい受話器をとって、その運命的な言葉をロにしてしまったのだ、
    「もしもし」。これからはベルなんかずっと鳴らしっぱなしにしておくぞ)
   でもなにぱともあれ、僕はあの人の葬儀に出なくてはならない。今日、それも
   数時間のうちに葬儀がある。でも葬列がこの霧の中を墓地までのそのそと
   進んでいくというのは、なんだか空恐ろしいし、滑稽だ。町の人間はみんな
   どうせライトを対して運転するし、観光客だって……
   この霧が午後の三時までには消えてしまいますように!
   晴れあがった空の下であの人を葬ることができますように。陽光をなにより
   彼女ぱだいじにしていたのだから。だれだって知っている。この暗い仮面劇に
   あの人が加わっているのは、ただたんに選択権がなかったせいだということを。
   選択する力を彼女は失った! きっとそんなことに本人は我慢ならない
   はずだ! 四月にスイートピーを植えようと決意することを愛し、
   まだ蔓ののびる前からせっせと支柱の用意をしていた
   あの人には。


書くことと頭で了解することの間でこれほど手間取るというか、詳細まで深く理解することへの難しさを思い

知らされる。従って、このテーマを終えるまで相当時間が必要だと反省する。

                                          この項つづく                                    

   ● レイも愛した渓流釣り

● 舛添都知事のミカタ

女性って、枝葉末節になぜもこだわるのかなと思う。ご主人が亡くなられていくばくも経ずして生前の悪態を
突く
シーンにしばしば出会ってきた。今朝も、桝添都知事の不正出費疑惑について彼女は許されないと強い口
調でまくし立てるので、確かにそうだけれど、一通り弁明しているようだし許してあげたらどうなのだと言う
が彼女は?「聞いとらん!」。そんこともあり、ANNの『正義のミカタ』の放送でもこの問題を取り上げて
いた。某政治評論家が解説していたが、コメンテイターの高橋洋一嘉悦大学教授が、米国の政治家の支出科目
は、ネガティブ・ルールで禁止科目を決めており、それと適用すると違法となるが、日本では株投資の支出は
禁止されているが「違法」ではない。米国などの先進例を参考に政治資金規正法を改正すれば問題ない。改
に反対する政治家を選挙民がリーコールすれば良くなると指摘
。夏の参議院選挙は、野党がそろって国民に
案すればこの件は落着する
。これが正道であろう。

    


 

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おしまいの断片・考

2016年06月09日 | 時事書評

 

    

  

           世界的な作家といわれ、社会的な地位や発言力をもつことよりも、
           自分が接する家族と、文句なしに円満に気持ちよく生きられたら、
                    そのほうがはるかにいいことなのではないか、
                    そんなふうにぼくは思うのです。

 

                                  

                                             Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012  

 

【おしまいの断片・考Ⅰ】




    プロポーズ


   私は彼女に申し入れ、それから彼女は私に申し入れる。我々はお互いの頼みを

   受け入れる。かけひきはない。十一年近く一緒に暮らしたから相手の胸の

   うちは痛いほどよくわかっている。のばしのばしにしてきたことも、ようやく

   機が然した。今なら筋が通る。我々は薔薇の咲き乱れた庭園にでも

   いるべきだ。あるいは少なくとも海に突き出した

   美しい崖の上にでも。しかし

   我々はカウチの上にいる。読みかけの本を膝に置いたまま、あるいは

   古いベティー・デイヴィスの映画

   妖艶な白黒画面の中で繰り広げられるのを前に(背景の暖炉では炎が

   まがまがしく踊り、彼女は可愛らしい銃身の短い回転拳銃を手に大理石の

   階段を登っていく。かつての愛人を消す

   ために。男にプレゼントされた毛皮のコートを彼女は肩にだらりと羽織っている。ああ

   美しき、生死をかけた関係。かくも世界で

   真実たること)、よくうとうと眠ってしまうその

   カウチに。

   数日前に、ちょっとしたことが判明した。

   自分たちのためにあると思い込んでいた将来の歳月がほんとうはないのだと

   いうことが。医者は最後には、私があとに残していくはずの「なきがら」の話

   まで持ち出した。我々が涙と暗濃の帳の中に入ってしまうのをなんとか

   防ごうとして。「でもこの人は自分の人生を愛しているんです」という声を

   私は聞いた。彼女の声。若い医者は間髪を入れずに応じる。「わかっています。

   あなたはこれからそういった七つの段階を通り技けねばなりません。しかし最後は

   受容に終わります」

   そのあとで、我々はこれまでに入ったことのないカフエでランチを

   食べた。彼女はパストラミを、私はス-プを注文した。たくさんの

   人々がそこでランチを食べていた。幸いなことに知った顔は

   見えなかった。我々は計画を立てなくてはならなかった。時間はまるで万力の

   ように我々を締めあげ、永続的なるもののために場所をあけさせるべくぐいぐいと

   希望をしぼりだしていた。フ氷続的」という言葉を思うと私は大声で叫びだしたく

   なった。「おい、ここにはエジプト人でもいるのか?」と。

   家に戻ると我々は互いにすがりあい、愁嘆場もなく

   誤魔化しもなく、その意味をとことん突き詰めることにした。こうなって

   しまったからには、隠し立てをするのは愚かだ。馬鹿げた無意味な

   ことだ。いったいどれくらいの人聞かここまでたどりつくのか? ふと私はそう

   思った。ここからお祝いまではそんなに

   遠い距離じゃない。みんなで集まって、それぞれの友達を達れてきて

   シャソペソやらペリエやらを

   回したりして。「リノだ」と私は言った。「リノに行って結婚しようぜ」

   リノではね、と私は彼女に言う、結婚

   再婚なんでもござれ、二十四時間営業、休みなしなんだよ。猶予期間なんて

   ゼロ。「誓います」「誓います」それでおしまい。牧師に

   十ドル余分に払ったら、たぶんどこかで

   立会人だって調達してきてくれる。彼女もその手の話は

   いっぱい聞いた。離婚したあと結婚指輪をトラッキー川に

   投げ捨てて、十分後には別の相手と手に手をとってしずしずと祭壇に

   向かうらしい。彼女だってこの前の結婚指輪をアイリッシュ海に投げ捨てたんじゃ

   なかったのか? でも彼女は賛成する。リノはまさにうってつけの

   場所。彼女は私がバースで買ってやった緑のコットソ・ドレスを持っている。

   それをクリーニングに出す。

   これで準備完了。まるで正しい解答をきっちり見つけたみたいな

   感じだ。希望というものが消滅したあとに

   何か残されるかという質問に対する解答を。フェルト張りテーブルの上を

   転がるさいころのくぐもった音、かたかたかたというルーレットの回転音、

   
スロット機械が夜の奥へとじゃらじゃら鳴り響き、そしてもうコ斐の、もう

   一度のチャンス。そして我々の予約したそのスイート。

                                       Proposal



   イントロダクション


                                          テス・ギャラガー
                                           村上春樹 訳 

  その途方に暮れてしまうような日々に、少しでも本の執筆に専念するためにも、私たちは肺癌の再発のこ
 とは一切誰にも言わないでおこうと決めた。訪問客の相手をしたり、あるい
は知合いのひとりひとりに涙な
 がらの別れの挨拶をしたりするよりは、自分たちがやりたい
物事に意識を集中させたかったのだ。我々がや
 ろうと決めたひとつは、一緒に住んだ11年
の日々を、6月17日にネバダ州リノで結婚式をあげて祝おう
 ということだった。レイが安ピカ式」と呼んだその結婚式は、市役所の筋向かいにあるハート・オブ・
リノ
 教会でおこなわれた。教会の窓には、金色の小さな電球をちりばめた巨大なハートが飾られていた。SHE
 HABA ESPANOL(スペイン語話します)という看板も出ていた。式のあとで我々はギャソブルを
 やりにカジノに行った。そこで私はルーレットをやり、なんということか三日間負け知らずで勝ちつづけた
 のである。

  家に戻るとレイは『フロポーズ』という詩を書いた。この詩はその時期の切迫性を如実に伝えている。そ
 れは邪念なしに生きられる人生の、あるいは人生を暫定的なもの以上に拡大するために我々が頼る希望とい
 うクッションを抜きに生きられる人生の、剥ぎ出しの感覚である。結婚したことによって、我々は新しい場
 所に錨をおろすことになった。まるで今日この日に大きな慰めを得るために、賢明にも、今の今までこの祝
 い事をずっと保留しておいたのだというように思えた。そしておそらくまた、まるでカフカが書くところの
 「陽気で無内容な旅」から得られるような、朧の底が技けてしまいそうな壮大な大笑いを、もう一度経験す
 るために。

  この時期にまた、レイは『GRAVY』を書いている。この詩のアイデアは二人でファソ・デ・フカ海峡
 に面するヴェランダに座って、来し方行く末についてあれこれ話をしているときに出てきた。「私に出会う
 前の、あなたがもう少しで死ぬところだったときのことを前に話してくれたわよね?」と私は彼に言った。
 「あのときにあなたが死んでいても不思議はなかったし、そうなっていたら、あなたに会うことだってかっ
 た。こういう何もかもが起こりはしなかったのよね」私たちは、自分たちが与えられたものにあらためて驚
 きつつ静かにそこに座っていた。「本当にこれはグレイヴィーだったね」とレイは言った。「まさにグレイ
 ヴィーだ」(「グレイヴィー」の意味については448ページを参照)

  レイが本書のために書きためてぎた詩の多くは、この前年(1987年)の夏の7月から8月の終わりに
 かけて草稿が書かれたものである。それからおおよそ1年後に、この6月に、完成した詩が十分な数たまっ
 たので、私がそれらの詩をいくつかのセクションに分類し、本のかたちにしていくことになった。私はそれ
 までもレイの詩集に関しては、あるいは彼の小説の多くに関しても、同じような作業をしていた。原稿の順
 番を決めるために私は、かなり原始的な方法を取る。すべてのページを居間の床にばらまき、四つんばいに
 なって部屋の中を追って読んでまわり、この作品の次にはどの作品がくればいいかと見当をつけていくので
 ある。直観と物語と情感によって、それは進められる。



元気なときは「死」を身近に考えることがあっても、入院しなければならないほど、調子が悪い、具合が悪い時
や、途轍もなく落ち込んだとしても、回復すれば、嘘のように遠離ってしまうが、死に至る病だと医者から告知
されればどうなるか、それをレイを通し考えてみたいと記載しはじめた。癌による死を考えながら「沈黙の20
16年」が頭を過ぎる。


                                           この項つづく

  US 8848273b2

Aberration-Free Ultrathin Flat Lenses and Axicons at Telecom Wavelengths
Based on Plasmonic Metasurfaces


【デグサマニーの返礼 Ⅰ:安価かつ環境に優しい共融系二次電池】



昨夜の「超薄膜レンズの衝撃-メタレンズ」の騒動は今朝も続くことになる。というのも、件の研究室での開発
の経緯について調べる必要があるが、やるべき作業が手つかずに放置されているのでそれに時間を当てるつもり
にいたが、産総研の「安価かつ環境に優しい共融系二次電池の開発」が目につき、結果こちらの作業を優先させ、
つぎに、メタレンズの知財調査、その後、残件(三次元プリンタでの試作)に移るということで、明後日に変更
する。

さて、「安価かつ環境に優しい共融系二次電池の開発」は、中国の研究グループと三菱自動車工業株式会社との
共同研究。2種類の固体物質を共融点組成で混合することで凝固温度が大幅に低下させ――三塩化鉄六水和物 と
尿素とを共融点組成で混合――液体化させこれを正極側の活物質に用い。正極側の電解液を別途必要とせず、ま
た固体で問題になる構造劣化が生じない点が利点となる。これを金属リチウムの負極と組み合わせると、電圧が
約3.4ボルト、正極側の体積容量(共融系液体の体積当たりの容量)141ミリアンペア/立方センチメートル
の二次電池として動作させ実験を行い、ほぼ理論通りの結果を得る。但し、3回目(3サイクル目)の充放電特
性測定結果、温度が高い場合は理論容量の97%まで放電電流量が得られたが、温度の低い場合は60%にとど
まりおり改善が必要であるという(下図参照)。


また、一定電流密度で、3時間放電と.3時間充電とを繰り返した充放電試験の最初の20サイクルの測定では、
下図(縦軸は充放電時の電池の電圧、横軸は時間経過を示し、黒線/25℃、赤線/40℃のように。電池容量
に比べ、ほぼ変化のない繰り返し特性が得られ、温度が低い場合の充電時(上側)と放電時(下側)の電圧差は、
が40℃より大きくなっており、上図と同様、この電池は温度の低い側に課題があることが見て取れる。ただし、
試作段階の電池としては繰り返しの充放電動作が安定しており、正極の活物質が液体であることの利点が現れて
いるものと期待している。


なぜ、注目したかというと、レアアースを使用することなく安価な三塩化鉄六水和物と尿素で電解液を使わない
ことと、三塩化鉄を過去に取り扱ってきたので興味を惹くことになる。大規模な太陽光発電システムには、この
ような「レドックスフロー電池」は、苛性ソーダ製造工程から大量に排出される塩素を利用することができるの
で有利だと考える。これは、「デクサマニーからヘーリオスへの返礼」の一つとして参考にさせてもらった次第。

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