極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

MIS型半導体装置の製造方法 ②

2024年01月31日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 
 黒の革命

 

世界一のダイヤモンド産出国へ ④

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0030】なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層2
2の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないことが
好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。
【0031】 ゲート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造
では、ゲート絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層
22との界面にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため
、キャリア伝導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート
絶縁体層(ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、
より好ましくはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発
明の構造では、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。この
ため、キャリア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。
-----------------------------------------------------------------------
【参考】
MIS構造とは金属-絶縁体-半導体(
metal-insulator-semiconductor)からな
る3層構造である。
MIS構造 (MIS structure
【半導体工学】金属-絶縁体-半導体構造とは (MIS構造,MOS構造)
------------------------------------------------------------------------

【0037】 <製造方法>
【0062】 1.基板の準備
【0063】 2.アライメントマークの作製
レーザーリソグラフィにより、アライメントマークをダイヤモンド基板31上に
形成した(図示なし)。 ここで、アライメントマークの形成工程を以下に示す。
最初に、ダイヤモンド基板31の表面に下層レジストPMGI-SF6S(Mi
crochem製)をスピンコートし、180℃で5分ベークした。その後、フ
ォトレジストAZ-5214E(メルクパフォーマンスマテリアルズ製)をスピ
ンコートし、110℃で2分ベークした。 次に、高速マスクレス露光装置(ナ
ノシステムソリューションズ製、DL-1000/NC2P)を用いて、アライ
メントマークパターンを描画した。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム
)2.38%で合計150秒現像した後、純水で合計120秒洗浄し、その後
窒素ブローを行った。
【0064】 しかる後、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTi、厚さ1
5nmのPt、厚さ60nmのAuおよび厚さ25nmのPtを順次蒸着した。
その後、80℃設定のウォーターバスで加熱したNMP中に試料を漬け、リフト
オフを行った。 最後に、アセトンとIPAでダイヤモンド基板31をリンスし
た後、窒素ブローを行ってダイヤモンド基板31の所定の場所にアライメント
マークを形成した。
【0065】
3.オーミック電極の作製
ダイヤモンド表面に電子線レジストgL-2000DR2.0(Gluon L
ab製)をダイヤモンド基板31上にスピンコートし、180℃で5分ベークし
た。 その後、エスペーサー300Z(昭和電工製)をスピンコートし、100
kV電子線描画装置(エリオニクス製、ELS-7000)を用いて、オーミッ
ク電極のパターンを描画した。描画後、エスペーサー除去のため純水で60秒洗
浄し、その後窒素ブローを行った。そしてキシレンで60秒現像し、IPAで
60秒洗浄した後、窒素ブローを行ってダイヤモンド基板31上にレジストパタ
ーン51を形成した(図8(a)、図11(a))。


図11.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0066】 次に、電子銃型蒸着装置によって、厚さ5nmのTiからなる導電膜
35aおよび厚さ5nmのPtからなる導電膜36aを順次蒸着した(図8(
b)、図11(b))。 その後、80℃設定のウォーターバスで加熱したNM
P中に試料を漬け、リフトオフを行った。アセトンとIPAでリンスした後、窒
素ブローを行った。 しかる後、MPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5
200-S)内においてH2雰囲気(H2流量500sccm、圧力80Torr)
で35分間アニールを行い、ダイヤモンドとTiの界面にTiCからなる低抵抗
化層42を形成した(図8(c)、図11(c))。アニールの際の設定温度は、
650℃までおよそ31分で上昇させ、650℃で35分間保持した。
【0067】
4.ダイヤモンド表面の水素終端化とレジスト残渣の除去
上記のオーミック電極形成に引き続きMPCVD装置(セキテクノトロン製、A
X5200-S)内でダイヤモンドを10分間水素プラズマにさらし、表面の水
素終端化とレジスト残渣の除去を行って、ダイヤモンド基板31の露出面に水素
終端層32を形成した(図8(d)、図11(d))。


図8.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

水素プラズマの条件は、H2流量500sccm、圧力30Torr、ヒーター
設定温度600℃、マイクロ波出力300Wである。 さらに、真空搬送用チャン
バーと接続可能な別のMPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000)内
においてH2雰囲気(H2流量500sccm、圧力80Torr)で35分間ア
ニールを行った。
アニールの際の設定温度は、710℃までおよそ34分で上昇させ、710℃で
35分間保持した。 MPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000)内
でダイヤモンドを10分間水素プラズマにさらし、表面吸着物の除去を行った。
水素プラズマの条件はH2流量500sccm、圧力30Torr、ヒーター設
定温度670℃、マイクロ波出力300Wである。
【0068】 引き続き、水素プラズマ処理を行ったダイヤモンド基板31は、真空
に保たれた試料搬送路を介して大気暴露することなく、アルゴンガス雰囲気のグ
ローブボックスへ搬送した。その詳細を、断面で示した装置構成図である図14
および図15を用いながら以下に説明する。



図15.実施例1で使用した処理装置構成の概要図

【0069】 図14は、水素プラズマ処理を行うときの処理装置1001の概要を断
面図で示したものである。 処理装置1001は、水素終端処理チャンバー1011
と試料搬送・一時保管室1025を主要な構成要素としている。そして、水素終
端処理チャンバー1011を主体とした水素終端処理部E1と、試料搬送・一時
保管室1025を主体とした試料搬送部E2に大別され、ゲートバルブ1024
の先(ゲートバルブ1024と搬送中間室1027の接続部)で、E1部とE2
部は切り離せるようになっている。


図14.実施例1で使用した処理装置構成の概要図

【0070】 水素終端処理チャンバー1011は、2つのゲートバルブ1024と1
026および搬送中間室1027を介して試料搬送・一時保管室1025に接続
されていて、試料ロッド1029により、試料を水素終端処理チャンバー1011
から試料搬送・一時保管室1025に搬送できるようになっている。ここで、搬
送中間室1027には真空排気系を接続するためのフランジ1028が備えられ
ており、真空排気系が接続されていないときはフランジ(ブランクフランジ)
1028で閉じられている。 また、試料搬送・一時保管室1025には配管1
071、バルブ1072、フランジ1073およびベローズ配管1074を介して
ターボ排気セット1075が接続されている。ここで、ターボ排気セット107
5は、ターボ分子ポンプとダイヤフラムポンプからなるT-Station75
D(エドワーズ製)である。
【0071】 水素終端処理チャンバー1011は、ダイヤモンド基板31の第1主表
面(ダイヤモンド半導体層)の露出面を水素プラズマにより水素終端する処理室
であり、具体的には上述のMPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000
)の処理室である。 水素終端処理チャンバー1011は、ゲートバルブ1012
を介してターボポンプ(STP-iX455、エドワーズ製)1013に繋がれ、
ターボポンプ1013はバルブ1014および配管1015を介してスクロール
ポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1016に接続されている。このため、
いわゆるオイルフリーの真空ポンプ構成になっている。1011の真空度は、真
空計1063(電離真空計TG200、アンペール製)によって読み取ることが
できる。
【0072】 また、水素終端処理チャンバー1011は、真空粗引き目的で、バルブ
1017と配管1018を介してスクロールポンプ1016に接続された排気パ
スを備えている。また、水素終端処理制御用に、バルブ1019、1061およ
び配管1062が設けられ、それを介して水素終端処理チャンバー1011とス
クロールポンプ1016が接続されたパスも有する。 また、水素終端処理チャ
ンバー1011は、プロセスガス(H2ガス)1023がバルブ1022を介して
導入できるようになっている。なお、水素終端処理チャンバー1011には、水
素終端処理を行うときに1011内の圧力をモニターするためのバラトロン真空
計1020も取り付けられている。
【0073】 図15は、h-BNからなる絶縁膜33aを試料に貼り付ける作業に
用いる処理装置1002の概要を断面図で示したものである。 処理装置1002
は、貼り合わせ処理室(グローブボックス)1031と試料搬送・一時保管室
1025を主要な構成要素としている。試料搬送・一時保管室1025を主体と
した前記の試料搬送部E2は、ゲートバルブ1043を介して貼り合わせ処理部
E3が接続されて、試料が大気に晒されることなく、貼り合わせ処理室(グロー
ブボックス)1031に試料を搬送できるようになっている。
【0074】 ここで、試料を試料搬送・一時保管室1025から貼り合わせ処理室(
グローブボックス)1031に搬送する際に試料が搬送中間室1027で大気に
晒されないように、フランジ1028を介して、真空排気系E4が接続される。
真空排気系E4は、ベローズ配管1109、1111、バルブ1110、真空計
(クリスタル/コールドカソード コンビネーションゲージ CC-10、東京電
子製)1112が備えられたチャンバー1101、アングルバルブ1102、タ
ーボポンプ(nEXT300D、エドワーズ製)1103、バルブ1104、配
管1107およびスクロールポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1105
を有し、さらにチャンバー1101をスクロールポンプ1105で粗引きする配
管1107とバルブ1106も備えている。
【0075】 貼り合わせ処理室1031は、試料に絶縁膜33aとなるh-BN絶縁
膜を貼り合わせる処理室で、仕切り扉1032を介してパスボックス1034に
接続され、パスボックス1034はバルブ1035および配管1036を介して
スクロールポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1037に繋がれている。
なお、貼り合わせ処理室1031にはスクロールポンプ1037で直接排気でき
るようにするための配管とバルブ1038が備えられており、パスボックス10
34には圧力計1039が備えられている。
【0076】 貼り合わせ処理室1031は、大気圧の不活性ガス(Arガス)で満た
されている。 Arガスは、Arガスシリンダー1052から配管1053を介し
て貼り合わせ処理室1031およびパスボックス1034に供給されるようにな
っている。ここで、貼り合わせ処理室1031およびパスボックス1034に向
かう配管1053にはそれぞれバルブ1054および1055が設けられている。
また、このArガスは、配管1042,1045およびバルブ1041,1044
を介して貼り合わせ処理室1031に接続された不活性ガス循環精製機1040
によって常時精製され、酸素濃度0.5ppm以下、露点-79℃以下に保たれ
ている。さらに、この精製されたArガスは、バルブ1108を介して接続され
た真空排気系E4を介して、試料搬送部E2に導入できるようになっている。
貼り合わせ処理室1031は、いわゆるグローブボックスとなっており、雰囲気
を外部と隔離して貼り付け作業をするためのブチルゴム手袋が付随している。ま
た、貼り合わせ処理室1031は、バルブ1054を介してArガスシリンダー
1052に、またバルブ1038を介してスクロールポンプ1037につながっ
ており、手袋に手を入れたときなどに貼り合わせ処理室1031の内部の圧力を
調整できるようになっている。さらに顕微鏡が備えられていて(図示なし)、外
部と雰囲気(ガス)的に遮断された環境の下で、ミクロンオーダーの貼り付け作
業が可能になっている。顕微鏡の画像は、不活性ガス環境を害することなく、貼
り合わせ処理室1031の外部でモニターにより観察できるようになっている。
なお、貼り合わせ処理室1031の外壁は、ステンレスとガラスからなり、貼り
合わせ処理室1031の内容量は約310Lである。
------------------------------------------------------------------------
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶
縁膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:
絶縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその
電極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜
34G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電
膜 36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層
43:酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン
61:絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電
膜 62G:ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線
(ボンディングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配
線) 71:酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置
201:MIS型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:
水素終端処理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ
1014:バルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バ
ルブ 1018:配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:
バルブ 1023:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・
一時保管室 1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フラン
ジ 1029:試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス)
1032:仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配
管 1037:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:
不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配
管 1043:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Ar
ガスシリンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061
:排気量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 107
2:バルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気
セット 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポ
ンプ 1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 110
7:配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系
                                                          この項つづく

グラフェン層間に2層アルカリ金属の最密配列を発見
   電池容量を増大させる可能性を示唆
1月24日、産業技術総合研究所、東京工芸大学、九州大学、台湾国立清華大学らの
研究グループは、炭素原子が1個の厚さで六角形の格子状に並んだグラフェンの層
間に高密度でアルカリ金属を挿入する技術を開発し、原子の配置構造を直接観察
することに成功。
【要点】
1.グラフェン層間におけるアルカリ金属の2層構造を発見
2.グラフェン層間のアルカリ金属は、グラファイト表面の層間に特有の拡張性
 により最密充填される
3.電気自動車や通信機器に向けた2層〜少数層グラフェン電極による大容量二
 次電池の開発に期待
【概要】
電池の電極材料である黒鉛(グラファイト)は、グラフェンが層状に重なり、層
間に配置されたアルカリ金属が電子を受け渡すことで、充電・放電を行う。もし、
グラフェン層間に高密度でアルカリ金属を充填できれば、電気容量が向上する。
過去百年にわたり、X線や電子回折の測定を通じて、グラフェン層間には単層の
アルカリ金属しか充填できないと広く認識されており、各層が完全に充填された
状態が理論的な充電極限と考えられてきましたが、層間アルカリ金属の原子配置
を直接観察し、グラフェン層がアルカリ金属原子を単層でしか収容できないのか、
それとも他の技術によって、より高密度または複数層のアルカリ金属を収容でき
るのかを検証する研究報告はばかった。


図.アルカリ金属は2層グラフェンに挿入される際に六方最密充填の2重層を形成

同研究グループは、グラフェンの間にアルカリ金属を高密度に挿入する技術を開
発した。高性能電子顕微鏡により、層間のアルカリ金属原子の配置構造を直接観
察することにも成功する。電極として広く用いられてきたグラファイトには、1
層構造のみが形成される、グラフェン層間のアルカリ金属は、グラファイト表面
のグラフェン層間に特有な層間隔の柔軟な拡張性により、およそ2倍のアルカリ
金属を挿入できる2層構造で最密充填されることを発見。アルカリ金属を2層に
挿入したグラフェンを積層できれば、それを電極材料にしてアルカリイオン二次
電池の大容量化が期待されている。
【成果】
一般にグラファイト電極の作成では、電気化学法を用いて金属原子をグラフェン
層間に挿入。挿入される原子の種類や密度に応じて、グラファイトの電子・光学
特性は変化します。アルカリ金属が各層間を完全に埋め尽くすと、グラファイト
の色が黒から黄金に変わり、低温で超伝導特性が現れる。
多層グラフェンの上からグラフェン層を観察したとしても、原子同士が重なり合
うため、原子の正確な位置関係を解析することは困難です。最小単位となる2層
のグラフェンに挿入した金属であれば、重なり合う原子がないため、金属と炭素
原子の正確な位置関係を知ることが可能(図1a)。
グラフェン層と金属との位置関係を精密に解析するため、まず九州大学の吾郷研
究室で合成した2層グラフェンをTEM観察用グリッドに固定し、次に東京工芸大学
の松本研究室にてアルカリ金属を挿入(図1b)。最後に、低加速電圧STEMを用い
て、産総研の林主任研究員が構造解析を行う。
【展望】
リチウムやナトリウムは軽元素のため、低加速電圧STEMでの観察は困難。計測手
法を検討し、2層グラフェンおよび多層グラフェン中に挿入した軽いアルカリ金
属の原子配列の観察に挑戦。また、この実験ではバッテリーの電気化学法挿入メ
カニズムとは異なる気相挿入を使用しているので、実際のバッテリーの機能を模
倣し、STEMを用いて電気化学的なイオンの動きを明らかにすることでバッテリー
劣化の原因解明を行う。
【掲載論文】
------------------------------------------------------------------------
掲載誌:Nature Communications
論文タイトル:Alkali Metal Bilayer Intercalation in Graphene
DOI:doi.org/10.1038/s41467-023-44602-31038/s41467-023-44602-3
------------------------------------------------------------------------
※低加速電圧走査透過型電子顕微鏡(低加速電圧STEM)
加速電圧 15 kV~60 kVで動作する透過型電子顕微鏡の一つ。集束レンズによっ
て細く絞った電子線プローブを試料上で走査し、おのおのの点での透過電子を検
出することで像を得る装置。低加速電圧にすることで、炭素材料などの試料に与
える電子線損傷を抑えることができ、物質の内部構造や組成だけでなく、表面の
詳細な情報も得ることができる。                                                                            了





グラフェンメソスポンジとは
グラフェンは、熱伝導度、電気伝導度、機械的(引っ張り)強度に優れており、
エレクトロニクス、エネルギー材料など様々な分野で期待されている炭素材料で
ある。そのようなグラフェンの構造体として、グラフェンメソスポンジが知られ
ており、電池の電極活物質等としての利用が期待されている。グラフェンを含む
多孔質炭素材料、とりわけ、グラフェンメソスポンジの製造方法としては、鋳型
粒子の表面に炭素を被覆させた後、鋳型粒子を除去し、炭素材料を高温で焼成し
てグラフェンメソスポンジを製造する方法が知られている。鋳型粒子の表面に炭
素を被覆させる方法としては、化学気相蒸着(CVD)法が知られている。CV
D法において、原料ガスとしてメタン、鋳型としてアルミナナノ粒子を用いて、
鋳型粒子の表面に炭素を被覆させる方法が具体的に開示されているが、鋳型除去
の際にフッ酸による処理又はアルカリでのオートクレーブ処理が必要であり、コ
スト面で不利である。特に、フッ酸は、極めて強い腐食性を有することから取り
扱いが困難であり、工業的用途には適していない。 これに対し、塩酸などに可
溶なアルカリ土類金属であるMgOナノ粒子等を鋳型として用いてグラフェンメソ
スポンジを製造する方法が開発されている。

リチウム空気電池は、現在のリチウムイオン電池の数倍以上のエネルギー密度の
達成が見込まれる次世代蓄電池、カーボン正極や電解液などの劣化が激しく充放
電を繰り返し行えない点が大きな課題であった。今回の研究では、図1のスキー
ムでGMS自立膜を製造。この自立膜をリチウムイオン電池の正極材料に使用する
ことで、以下3点を踏まえた電極設計を可能にした。

•高容量を得るための豊富な細孔容積を確保
•電池を軽くするためにグラフェンの積層を排除
•サイクル寿命を得るためにエッジサイトを削除

本研究グループは、上記の電極設計により従来に無い超高容量とサイクル寿命の
両立に成功。この結果から、「GMSはカーボン正極の1つの理想形だと言える」
としている。via 株式会社3DC 2024.1.17


【掲載誌】
1.AdvancedEnergyMaterials
2.Hierarchically Porous and Minimally Stacked Graphene Cathodes
for High-Performance Lithium–Oxygen Batteries
3.Wei Yu,haohan Shen, Takeharu Yoshii, Shinichiroh Iwamura, Manai Ono, Shoichi
Matsuda, Makoto Aoki, Toshihiro Kondo, Shin R. Mukai, Shuji Nakanishi, Hirotomo
Nishihara
4.First published: 10 November 2023
5.https://doi.org/10.1002/aenm.202303055


特開2023-134066 多孔質炭素材料の製造方法/発明者:砂廣 昇吾 西原 洋知
【概要】
図4のごとく、多孔質炭素材料の製造方法であって、CVD法により、酸化カル
シウムのナノ粒子からなる鋳型の表面に、グラフェンを含む前駆体を形成する被
覆工程と、前記鋳型を酸で溶解して、前記鋳型と前記前駆体とを分離する除去分
離工程と、前記前駆体表面に存在する非グラフェン炭素含有物質を除去する除去
工程とを含む、多孔質炭素材料の製造方法で、ラフェンを含む多孔質炭素材料の
製造方法における不純物に起因すると考えられる、グラフェンを含む多孔質炭素
材料、とりわけ、グラフェンメソスポンジの品質低下を防止し、より高品質なグ
ラフェンメソスポンジの製造を可能とする方法を提供する。


図4.多孔質炭素材料の製造フローチャート(a)、鋳型の出発原料であり鋳型
ナノ粒子となる炭酸カルシウムのSEM画像(b)、炭酸カルシウムに対し85
0℃の熱処理を行い形成された鋳型ナノ粒子である酸化カルシウムのSEM画像
(c)、CVD処理後(C/CaO)のSEM画像(d)、鋳型除去後(CMS
(I))のSEM画像(e)、CMS(I)の熱処理により形成したグラフェン
メソスポンジ(GMS(I))のSEM画像(f)、CMS(I)を空気雰囲気
下350℃で処理した後(CMS(II))のSEM画像(g)、及びCMS(
II)の熱処理により形成したグラフェンメソスポンジ(GMS(II))のS
EM画像(h)である。
表4


【特許請求範囲】
【請求項1】 多孔質炭素材料の製造方法であって、 CVD法により、酸化カル
シウムのナノ粒子からなる鋳型の表面に、グラフェンを含む前駆体を形成する被
覆工程と、 前記鋳型を酸で溶解して、前記鋳型と前記前駆体とを分離する除去
分離工程と、 前記前駆体表面に存在する非グラフェン炭素含有物質を除去する
除去工程と を含む、多孔質炭素材料の製造方法。
【請求項2】 前記除去工程が、前記前駆体を酸化処理することを含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項3】 前記除去工程が、前記前駆体を280~450℃の温度において
酸化処理することを含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】 前記除去工程が、前記前駆体を280~400℃の温度において
酸化処理することを含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】 前記除去工程の後に、前記前駆体に熱処理を施す熱処理工程を更
に含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】 前記CVD法において、前記前駆体の原料である原料ガスとして
メタンガスを用いる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】 前記多孔質炭素材料の細孔が、前記グラフェンにより形成されて
いる細孔壁を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】 前記多孔質炭素材料が、メソ多孔質炭素材料である、請求項1乃
至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】 前記グラフェンが単層グラフェンである、請求項1乃至8のいず
れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】前記酸化カルシウムのナノ粒子からなる鋳型が、 炭酸カルシウ
ムから生成されたものである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法。

太陽集熱による炭酸ガス熱分解


図.1 熱分解プロセスの概要(左)と反応性フォームデバイス(右)

1月30日、現状では、太陽光を使った炭酸ガス利用は太陽光発電に基づく水電解
で水素を製造し、この水素を炭酸ガスと反応させてメタン合成をするメタネーシ
ョンが注目されているが、電気を使わず、太陽の熱によって安価に炭酸ガスを分
解して燃料を製造する方法を新潟大学らの日米の研究グループが、太陽集熱によ
る炭酸ガス分解に新反応性物質を使用する技術を開発。
今回,新潟大学とコロラド大学は,キセノンランプによる集光を用いた室内実験
と,米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が保有する太陽炉を用いた実験に
より,反応性物質として酸素を吸蔵・放出する特性を持つセリア(CeO2)および
新たにヘルシナイト(FeAl2O4)のフォームデバイス(多数の「空隙」を有する発
泡体)を利用し,炭酸ガスを酸素と一酸化炭素に分離に成功。

このシミュレーション技術を用いてプラントの解析を実施し,太陽光から合成
燃料までの総合変換効率をセリアについて10%以上に向上できる見通しと,ヘル
シナイトはセリアの2倍以上の反応活性を示すことを実験的に明らかにし,新し
い反応物質として将来性が高いことを確認。この技術により,高温域でセリアが
非常に良好な反応性が示され,セリアによる高効率プラントの概念設計を完成す
ることができた一方で,ヘルシナイトはより低温で高い反応性をもつ。ヘルシナ
イトは安価な鉄とアルミニウムから製造できるため製造コストを劇的に下げるこ
とができると考えられる。研究グループは,高効率な炭酸ガス分解のめどが立っ
たことから,ソーラー燃料製造の低コスト化への応用が期待されている。

※ 詳細な報告書が例示されていないので実用性の判断ができない(例えば、ア
  ルゴンの物質収支は?)。


造色インクで世界最軽量クラスの塗装を実現
ナノ粒子わずか1層分でカラフルな構造色
1月31日、神戸大学の研究グループは,独自に開発した構造色インクを用いるこ
とにより,世界最軽量クラスの構造色塗装が可能であることを実証。

【要点】
1.ナノ粒子をわずか一層塗るだけで、カラフルな構造色を実現。
2.環境・生体への負荷が小さいケイ素からなるナノ粒子を利用。
3.理論上、1平方メートルあたり0.5グラムで塗装できる (世界最軽量クラス)。
4.軽量且つ高耐久性が求められる航空機、船舶、レースカーなどの塗装への応
 用が期待される。

研究グループでは,屈折率が非常に高いケイ素ナノ構造が示すMie共鳴を利用し,
特定の波長の光を強く散乱させることで発色させる手法を開発してきた。特に,
ほぼ真球の結晶シリコンナノ粒子の作製,粒径制御と安定な溶液分散を実現し,
粒径によって発色が変化する構造色ナノ粒子インクを世界で初めて実現した。
今回の研究では,構造色ナノ粒子インクを用いてシリコンナノ粒子が一層だけ
配列した非常に薄い膜を形成し,その発色特性について詳細な調査を行なった。

はじめに,シリコンナノ粒子が六方格子状に配列した構造について,電磁場シ
ミュレーションにより反射率スペクトルを評価した。その結果,わずか1層のシ
リコンナノ粒子単層膜でも反射率が約50%に達し,明るい構造色が得られること
がわかった。また,粒子間の距離をあけて 粒子をまばらに配列すると反射率が
さらに増加した。例えば,粒子間距離を50nmにすると,最大で90%以上の反射率
が得られた。また,さらに間隔をあけて,粒子の体積充填率を10%まで減少させ
ても,反射率は70%を超えることを見出した。これは,個々のシリコンナノ粒子
が非常に高 い散乱効率を有していることに起因し,非常に少ない材料で明るい
構造色が得られることを示している。 この特性を実証するために,ラングミュ
ア-ブロジェット(LB)法により,ガラス基板上にシリコンナノ粒子の単層膜を
形成した。粒子膜は,粒径に依存して紫~橙色の構造色を示した。 この発色は,
斜め45度から観察してもほとんど変化せず,従来の構造色と異な り角度依存性
が非常に小さいことがわかった。全光線反射率測定により反射特 性を評価した
ところ,ピーク反射率は30~50%であり シリコンナノ粒子の単層 膜によって十
分に明るい構造色が実現できることが明らかになった。さらに, シリコンナノ
粒子単層膜を部分的に酸化して疑似的に粒子間の距離を大きくした 試料につい
ても研究を行なった。それにより,基材上にシリコンナノ粒子がまばらに散在
した状態においても,構造色によって着色できることを示した。研究グループ
は,この成果は,従来の塗料よりはるかに少ない量で着色塗装が可能であるこ
とを示しており,例えば,大型航空機の塗装を1/10以下に軽量化でき る可能性
があるとしている。
【掲載論文】
原 題:“Structural CoMonolayer of Mie-Resonant Silicon Nanospheres for loration
D O I : 10.1021/acsanm.3c04689
掲載誌: ACS Applied Nano Materials&





燃えろいい女   1979.4.5
ツイスト  作詞/積極:世田公則


今夜の寸評 :体調をリゲインしたなら、それなりに全力疾走!
昨日は学区町内会老人会で小学生一年生(3クラス)とお遊交流会に参加。そ
なりに学ぶものあり。世話役の永井さんとは長いつきあいだが彼の地域を盛り上
げようとする情熱を感得しそれなりに有意義であった。剣玉担当だったが。視力
の衰えがこんなところに顕れ、少し考えることに。



SCREEN,基板向けAI検査計測ソリューションを設立

 

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MIS型半導体装置の製造方法

2024年01月29日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



                               
     恋歌のひとつふたつを詠うべき 梅咲き薫る季節ときまてり 

 

     筑波峰つくばねの 峰より落つる男女川みなのかわ恋ぞつもりて淵となりにる
                                                      陽成院

※ 陽成院(ようぜいいん 868~949年)は清和天皇の第一皇子、十歳のときに
第五十七代天皇として即位さ、病気などで、わずか十五才(或いは十七才)で廃位
され、皇位を孝徳天皇に禅譲。百人一首・第20番を詠んだ元良親王(もとよしし
んのう)は陽成天皇の第一皇子、上皇の陽成院は、孝徳天皇の内親王に恋をしこ
の和歌は恋心を詠ったものと伝承され、筑波山ではなく、そこから流れ出るみな
の川を取り上げ、その情景から小さな恋心が、やがては大きく育っていく様をう
まく重ねた歌とされる。

※ 短歌、俳句を捻る余裕がなく、眼精疲労、胃腸不良を配慮し休養するように
している。恋歌をどうこうする様な年齢ではないかと反発してみる。

【能登半島地震:防災・医療用水製造システム】
特に公共施設向け(例:ホスピタル)で総合病院で手洗い洗浄作業などが出来な
かった旨の放送がされていた。下記のような空気の除塵・殺菌(除菌)処理し水
蒸気を冷却し常時長三商品が販売されている(日本製)。技術的アプローチの選
択は数多くあるが、セフティ。コスパ、コンパクト、ロバスト、コンビニエンス、
等生成速度の改良の課題はのこるるため。後日、調査結果を報告する。
事例:雑誌名:「Science」(オンライン版:5月12日)
論文タイトル:Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely fluorous
           interior surface.
DOI番号:10.1126/science.abd0966


 



第5産業勃興?!
イーロン・マスクの脳改造企業「Neuralink」が初のヒト臨床試験に成功
考えるだけでPCを操作
製品名は「テレパシー」!?




 
 黒の革命

世界一のダイヤモンド産出国へ ③

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0030】 なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層
22の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないこと
が好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。
【0031】 ゲート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造
では、ゲート絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層
22との界面にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため
、キャリア伝導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート
絶縁体層(ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、
より好ましくはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発
明の構造では、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。この
ため、キャリア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。
-----------------------------------------------------------------------
【参考】
MIS構造とは金属-絶縁体-半導体(metal-insulator-semiconductor)からな
る3層構造である。
MIS構造 (MIS structure)
【半導体工学】金属-絶縁体-半導体構造とは (MIS構造,MOS構造)


-----------------------------------------------------------------------
【0032】 ダイヤモンド基板21は、その上に形成するダイヤモンド半導体層22
が欠陥の少ない高品質な結晶になるように、結晶欠陥が少なく、清浄度が高く、
平坦、平滑な表面をもつことが好ましい。また、表面ラフネス散乱の影響を低減
するため、半導体層の表面も平坦、平滑であることが好ましい。
【0033】 ゲート電極24は、閾値電圧VTHが負電圧になるような仕事関数をも
つ導電材料からなる。具体的には、金属、グラファイト(C)またはドーパント
が添加されたポリシリコンなどの導電膜を挙げることができる。金属としては、
銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ク
ロム(Cr)およびタンタル(Ta)などを挙げることができる。また、AlCu、
CuNiFeおよびNiCrなどの合金、WSi、TiSiなどのシリサイドお
よびポリサイド、WN、TiN、CrNおよ びTaNなどの金属化合物も用い
ることができる。ゲート電極24は、このような材料の中から導電率、仕事関数、
加工性などを適宜勘案して適当な材料を選択すればよい。 なお、閾値電圧VTHは、
ゲート電極24の材料、ゲート絶縁体層23の材料とその膜厚、半導体チャネル
層の材料、不純物およびその密度などに左右される。 また、集積回路として本
発明のMIS半導体装置を用いる場合は、インテグレーションとしての各種熱処
理が加わることから、それらの熱処理も勘案した材料の拡散を考慮の上、材料を
選択する。

【0034】ソース電極とその配線28、ドレイン電極とその配線29およびゲート
電極配線27は、金属、グラファイト、あるいはドーパントが添加されたポリシ
リコンなどの導電膜からなる。金属としては、金(Au)、銀(Ag)、Cu、
白金(Pt)、パラジウム(Pd)、W、Ti、Al、CrおよびTaなどを挙
げることができる。また、AlCu、CuNiFeおよびNiCrなどの合金、
WやTiなどを用いたポリサイド、WN、TiN、CrNおよびTaNなどの金
属化合物も用いることができる。これらの導電膜は、ダイヤモンド半導体層22
と接する部分でオーミックコンタクトが取れることが好ましい。例えば、導電膜
として、金(Au)、パラジウム(Pd)などの高い仕事関数を有する金属を用
いることが好ましい。これらの高仕事関数の金属は直接接触でオーミックコンタ
クトがとれるという特徴がある。また、チタン(Ti)を用いることもできる。こ
こで、Tiは、アニールしてダイヤモンドと反応させてTiCを形成しておくこ
とが好ましい。一方で、Tiは酸化されやすいので、ダイヤモンド半導体層22
と電気的接触をとる場合は、ダイヤモンド半導体層22側からTi、その上にPt
やAuやWといった材料が積層された導電膜構造とすることが好ましい。
【0035】 また、ソース電極28およびドレイン電極29とのオーミックコンタ
クトを確実にとり、ダイヤモンド半導体層22のチャネル部以外の抵抗を下げる
ために、低抵抗化層26をダイヤモンド半導体層22とソース電極28やドレイ
ン電極29との界面に形成しておくことが好ましい。例えば、ソース電極28お
よびドレイン電極29がTiからなるときの低抵抗化層としてはアニール形成に
よるTiCを挙げることができる。
【0036】 あるいは 111のものを好んで用いることができる。 ここで、ダイヤモ
ンド基板21の表面は、平坦(平面)で原子レベルの平滑な面であることが好ま
しい。電界効果トランジスタの電気特性としては、ダイヤモンド半導体層22と
ゲート絶縁体層23との界面の平坦性、平滑性が重要であるが、その界面の平坦
性、平滑性を十分高いものにするためには、ダイヤモンド基板21表面の平坦度、
平滑度および清浄度を十分に高めておく必要がある。
【0038】 その後、図3(b)に示すように、ダイヤモンド基板21上に 終端が
水素になっているダイヤモンド半導体層をエピタキシャル成長させて、水素終端
されたダイヤモンド半導体層22を形成する(図5のS1)。水素終端されたダ
イヤモンド半導体層22は、例えば、CH4ガスとH2ガスを用いたマイクロ波プ
ラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により成
膜することができる。ダイヤモンド半 導体層22の厚さは10nm以上が好ま
しい。厚さが10nm以上である と、特にIb基板の場合に、基板からの不純
物の混入を抑制することがで きる。
【0039】 ダイヤモンド半導体層22には、ドーパントが添加されていて もよい。
ホール系のドーパントとしてはホウ素(B)を、また電子系の ドーパントとし
てはリン(P)を挙げることができる。ドーパントの添加 量としては、1016
/cm3以上1019/cm3以下が好ましい。1016/ cm3未満ではドーパント
添加の効果が小さく、1019/cm3を超えると キャリア散乱要因となって移動
度などの性能が低下する。
【0040】 次に、ダイヤモンド半導体層22の表面(少なくとも第1主表面)が
水素終端された直後から、試料の置かれている環境が真空、水素ガ ス、不活性ガ
スおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選 ばれる何れかの
1つになるように、排気または/および不活性ガス置換を 行う(図5のS2)。
不活性ガスとしては、Arガス、Krガス、Xeガ ス等の貴ガスおよびN2ガス
を挙げることができる。ここで、この真空、 水素ガス、不活性ガスおよび不活性
ガスが添加された水素ガスからなる群 より選ばれる何れかの1つの環境は、少
なくとも後述の絶縁膜23aを形 成する直前まで維持されるようにする。この
ようにすることにより、ダイ ヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の
荷電不純物は少なくなり、 高いホール移動度が得られるようになる。

【0041】 なお、次工程の絶縁膜23a形成がCVDなど、一旦真空環境 下にお
いてなされる処理の場合は、試料環境を真空に置いておくことが効 率的で好ま
しく、絶縁膜23a形成が貼り合わせなどの場合は、作業効率の観点から不活性
ガス環境に置くことが好ましい。なお、不活性ガスとしては、不活性度、純度の
確保およびコストを総合的に勘案して、Arガス が最も好ましい。絶縁膜25は、
電気的に絶縁するとともに水分や不純物の拡散を防止して、MIS半導体装置10
1の安定動作に一役を担うものである。その材料としては、酸化シリコン(Si
O2)膜、窒化シリコン(SiN)膜、酸化窒化シリコン(SiNO)膜、炭化
シリコン(SiC)膜、炭化窒化シリコン(SiCN)膜、炭化窒化酸化シリコ
ン(SiCNO)膜、アルミナ(Al2O3)膜、窒化ホウ素(BN)膜およびポ
リイミドなどの有機膜などを挙げることができる。


図5.MIS型半導体装置の製造工程を説明するフローチャート図
【0037】
<製造方法>

次に、このMIS型半導体装置101の製造方法を、断面構造を示した図3、4お
よびフローチャートで示した図5を用いて説明する。 まず、図3(a)に示すよ
うに、ダイヤモンド基板21を準備する。ダイヤ結晶面が100図5 MIS型半導
体装置の製造工程を説明するフローチャート


図3.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

ここで、ダイヤモンド基板21の表面は、平坦(平面)で原子レベルの平滑な面
であることが好ましい。電界効果トランジスタの電気特性としては、ダイヤモン
ド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面の平坦性、平滑性が重要であるが、
その界面の平坦性、平滑性を十分高いものにするためには、ダイヤモンド基板
21表面の平坦度、平滑度および清浄度を十分に高めておく必要がある。 その
後、図3(b)に示すように、ダイヤモンド基板21上に終端が水素になってい
るダイヤモンド半導体層をエピタキシャル成長させて、水素終端されたダイヤモ
ンド半導体層22を形成する(図5のS1)。 水素終端されたダイヤモンド半
導体層22は、例えば、CH4ガスとH2ガスを用いたマイクロ波プラズマCVD
(Chemical Vapor Deposition)により成膜することが
できる。 ダイヤモンド半導体層22の厚さは10nm以上が好ましい。厚さが1
0nm以上であると、特にIb基板の場合に、基板からの不純物の混入を抑制す
ることができる。
【0039】 ダイヤモンド半導体層22には、ドーパントが添加されていてもよい。
ホール系のドーパントとしてはホウ素(B)を、また電子系のドーパントとして
はリン(P)を挙げることができる。ドーパントの添加量としては、1016/
cm3以上1019/cm3以下が好ましい。1016/cm3未満ではドーパント添
加の効果が小さく、1019/cm3を超えるとキャリア散乱要因となって移動度
などの性能が低下する。
【0040】 次に、ダイヤモンド半導体層22の表面(少なくとも第1主表面)が水
素終端された直後から、試料の置かれている環境が真空、水素ガス、不活性ガス
および不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つに
なるように、排気または/および不活性ガス置換を行う(図5のS2)。不活性
ガスとしては、Arガス、Krガス、Xeガス等の貴ガスおよびN2ガスを挙げ
ることができる。ここで、この真空、水素ガス、不活性ガスおよび不活性ガスが
添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つの環境は、少なくとも
後述の絶縁膜23aを形成する直前まで維持されるようにする。このようにする
ことにより、ダイヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の荷電不純物は
少なくなり、高いホール移動度が得られるようになる。
【0041】 なお、次工程の絶縁膜23a形成がCVDなど、一旦真空環境下にお
いてなされる処理の場合は、試料環境を真空に置いておくことが効率的で好まし
く、絶縁膜23a形成が貼り合わせなどの場合は、作業効率の観点から不活性ガ
ス環境に置くことが好ましい。なお、不活性ガスとしては、不活性度、純度の確
保およびコストを総合的に勘案して、Arガスが最も好ましい。
【0042】 真空に置かれる場合は、その効果と設備負担を鑑みて真空度は1×1
0-5Pa程度が好ましい。 不活性ガスを使用する場合は、大気圧が取り扱いの
容易さから好ましい。ここで、大気圧とは、低気圧、高気圧、高所を含む大気環
境下での圧力、およびグローブボックス等で外気が混入しないように与圧にした
状態を含む圧力を指す。また、環境中の酸素ガス(O2ガス)の濃度は0.5pp
m以下、露点は-80℃以下が好ましい。 水素終端されたダイヤモンドの表面
は化学的に安定であり、このレベルの環境で荷電不純物が少なく、荷電不純物散
乱の少ない高いホール移動度を得るに好適な半導体層としての表面状態を得るこ
とができる。
【0043】 その後、図3(c)に示すように、水素などで終端処理されたダイヤ
モンド半導体層22上に、絶縁膜23aを形成する(図5のS3)。ここで、絶
縁膜23aとしては、窒化ホウ素が好ましく、窒化ホウ素の単結晶が特に好まし
く、h-BNがより一層好ましく、h-BNの単結晶がさらに一層好ましい。以
下、効果の高い、絶縁膜が窒化ホウ素の場合を例にして説明する。 絶縁膜23a
は、劈開して得られた窒化ホウ素薄膜の貼り合わせ法、熱CVDやプラズマCV
Dなどの化学的気相成長法、スパッタリングなどの物理的気相成長法、および物
理 化学的気相成長法などにより形成することができる。具体例としては、トリ
エチルボラン(TEB)とアンモニア(NH3)を原料ガスとし、キャリアガス
に水素(H2)を用いた有機金属気相成長法(MOCVD:Metal-Org
anic Chemical Vapor Deposition)、RFプラズ
マにより作 製した活性窒素と電子銃により加熱供給されたホウ素を用いた分子
線エピタキシ ー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)
などを挙げることができる。 なお、絶縁膜23aを劈開して得られた窒化ホウ
素薄膜の貼り合わせで形成する場合は、その貼り合わせ環境が、真空、水素ガス、
不活性ガスお よび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れ
かの1つであ ることが好ましい。すなわち、絶縁膜23aの形成工程の環境が、
真空、水素ガ ス、不活性ガスおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる
群より選ばれる 何れかの1つであることが好ましい。

【0044】 なお、ダイヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の吸着物の
除去と絶縁膜23a表面の清浄化のため、絶縁膜23aを形成した後に、不活性
ガスと水素(H2)ガスとの混合ガスを用いたアニールを行うことが好ましい。
ここで、不活性ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)を挙げることができる。
【0045】 その後、図3(d)に示すようにゲート電極24を形成する(図5の
S4)。 このゲート電極24の形成方法としては、ゲート電極24を構成する
導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法および貼り合わせ法などで絶縁
膜23a上に被着させた後、リソグラフィによってレジストパターンを形成し、
引き続きエッチングを行って形成する方法が挙げられる。このエッチングとして
は、微細加工性の観点からドライエッチングが好んで用いることができるが、ウ
ェットエッチングを用いることもできる。ウェットエッチングの場合は、作製さ
れるMIS型半導体装置101へのダメージを抑制しやすいという特徴がある。
また、リフトオフ用のレジストパターンを絶縁膜23a上に形成した後、ゲート
電極24を構成する導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法などで堆積
させ、リフトオフする方法も挙げることができる。

【0046】 ここで、スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFス
パッタリング法などを挙げることができるが、スループットの観点からはRFス
パッタリング法がより好ましい。蒸着法としては、加熱蒸着法や電子線蒸着法な
どを挙げることができる。ゲート電極24の材料としてポリシリコンを用いると
きは、ポリシリコンの成膜法としてCVD法を好んで用いることができる。この
際、リン(P)などのドーパントを添加して、低抵抗化しておくことが好ましい。
【0047】 その後、絶縁膜25aをスパッタリング法、ALD法、CVD法、貼
り合わせ法、またはSOG(Spin on Glass)などの塗布法によって
形成する(図4(a))。 ここで、成膜した絶縁膜25aには、電気特性の安
定化に妨げとなる空孔や所望ではない水が含まれることが多いので、アニールを
施しておくことが好ましい。

【0048】 引き続き、リソグラフィとエッチングによって絶縁膜25aおよびゲ
ート絶縁膜23aに所望の開口を形成して、それぞれ絶縁膜25およびゲート絶
縁体層(ゲート絶縁膜)23とする(図4(b))。
【0049】 その後、電極と半導体層とのオーミック接触をとり、かつ低抵抗とす
る低抵抗化層26を開口部のダイヤモンド半導体層22露出面に形成する(図4
(c))。低抵抗化層26は、TiやMoなどダイヤモンドと炭化物を形成する
金属を堆積させたのちに、アニールによって金属炭化物を形成することで得るこ
とができる。また、水素終端半導体層に対しては、堆積させたAu,Pd,Pt
などの高仕事関数金属を低抵抗化層とすることができる。
【0050】 しかる後、導電膜の堆積、リソグラフィおよびエッチングを行ってゲ
ート電極配線27、ソース電極およびその配線28、ドレイン電極およびその配
線29を形成する(図4(d))。 なお、前述の低抵抗化層26は、これらの
電極または/および配線を形成した後にアニールを施すなどして形成してもよい。
以上の工程により、ダイヤモンド半導体層22とh-BNからなるゲート絶縁体
層23を有するMIS型半導体装置101が作製される。
【0051】 本発明のMIS型半導体装置101は、キャリア移動度(ホール移動
度)が高く、ノーマリーオフ動作によりオフ時(待機時)の消費電力が少ないと
ともに、オン時も相互コンダクタンスgmが高く、オン抵抗も少ないので消費電
力が少ない省エネルギーに好適な半導体装置である。待機時は殆ど通電しないた
め、セキュリティ上も好ましい。 したがって、本発明により、移動度とキャリ
ア密度の両特性を高いレベルで兼ね備えた高性能MIS型半導体装置が提供され
る。
【0052】 上記では、単体のMIS型半導体装置101の作製方法を説明したが、
MIS型半導体装置101が複数載置されて集積化されたMIS型半導体装置も
同様にして作製することができる。この場合、各MIS型半導体装置101間に
絶縁層を設け、必要に応じて素子分離を行う。
【0053】 (実施の形態2) 実施の形態1では、水素終端ダイヤモンド半導体層
形成工程S1、すなわちダイヤモンド基板21上に終端が水素になっているダイ
ヤモンド半導体層22を形成する工程を経てMIS型半導体装置101を製造す
る方法を説明した。 実施の形態2では、水素終端ダイヤモンド半導体層形成工
程S1に代えて、図6に示すように、ダイヤモンド半導体露出部材準備工程S
11と水素終端処理工程S12とし、他の工程は実施の形態1と同様にしてMI
S型半導体装置を提供する。
【0054】 実施の形態2では、最初に、ダイヤモンド半導体が露出した部材を準
備する(工程S11)。ダイヤモンド半導体が露出した部材としては、ダイヤモ
ンド半導体基板、およびダイヤモンド半導体の第1主表面の一部が露出し、一部
に導電層または/および素子分離用などの絶縁層が形成された部材を挙げること
ができる。その後、露出したダイヤモンド半導体の少なくとも一部を水素終端処
理する(工程S12)。 水素終端処理の方法としては、水素ガス下でのプラズ
マ、または熱処理を挙げることができる。プラズマを用いた場合を例にとると、
MP-CVD装置を用い、H2流量500sccm、圧力4KPa、ヒーター設
定温度600℃およびマイクロ波出力300Wの条件で10分処理する方法を挙
げることができる。 以下、真空or不活性ガス環境処置(S13)は実施の形
態1の真空or不活性ガス環境処置(S2)、窒化ホウ素絶縁体層形成工程(
S14)は実施の形態1の窒化ホウ素絶縁体層形成工程(S3)、および導電体
層形成工程(S15)は実施の形態1の導電体層形成工程(S4)と同様とすれ
ばよい。 以上により、実施の形態1と同様の特性を有するMIS型半導体装置
を提供することができる。

【実施例】
【0055】 以下では実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例
はあくまで本発明の理解を助けるためここに挙げたものであり、本発明をこれに
限定するものではない。
【0056】 (実施例1)
<素子構造>
実施例1のMIS型半導体装置201の素子構造を要部断面構造図である図7を
参照しながら説明する。ここで、図7(a)は、上面から見た平面視図で、図7
(b)および図7(c)は、それぞれ図7(a)のAとA′およびBとB′を結
んだ線で断面をとったときの断面図を示す。また、図7では構成をわかりやすく
説明するために、その構成要素を矩形などで単純化して示している。このMIS
型半導体装置201は、ダイヤモンド基板31、水素終端層32、ゲート絶縁膜
33、ゲート電極34G、ソース電極37Sおよびドレイン電極37D、ゲート電
極配線62G、ソース電極配線62S、ドレイン電極配線62Dおよび絶縁膜61
からなる。 ここで、ソース電極37Sおよびドレイン電極37Dは、上から厚さ
5nmの白金(Pt)からなる導電膜36、厚さ5nmのTiからなる導電膜3
5、およびダイヤモンド基板31と導電膜35のTiとの界面に生成される炭化
チタン(TiC)からなる低抵抗化層42で構成される。 ゲート絶縁膜33は、
六方晶窒化ホウ素(h-BN)で、その膜厚は23nmである。
【0057】 ダイヤモンド基板31には、ゲート絶縁膜33の直下に位置するチャ
ネル部に水素終端層32、導電膜35の直下に位置するTiCからなる低抵抗化
層42、および残りの表層部に酸素終端層43の各領域が形成されている。
【0068】 ゲート電極34Gは、厚さ20nmのグラファイトからなる。そして、
そのゲート電極34Gに厚さ10nmのTiおよび厚さ100nmのAuが順次
積層されたゲート電極配線(ボンディングパッド配線)62Gが形成されている。
【0056】 ソースは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmの白金(Pt)からな
るオーミック接触用の導電膜(それぞれ図7中の35、36)とソース電極配線
(ボンディングパッド配線)62Sからなる。ここで、ソース電極配線62Sは厚
さ5nmのTi、厚さ5nmのPt、厚さ10nmのTiおよび厚さ100nm
のAuが順次積層された構造となっている。また、導電膜35とダイヤモンド基
板31の境界領域には、TiCからなる低抵抗化層42が形成されている。 同
様にドレインは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmのPtからなるオーミック
接触用の導電膜(それぞれ図7中の35、36)とドレイン電極配線(ボンディ
ングパッド配線)62Dからなる。ここで、ドレイン電極配線62Dは厚さ5nm
のTi、厚さ5nmのPt、厚さ10nmのTiおよび厚さ100nmのAuが
順次積層された構造となっており、導電膜35とダイヤモンド基板31の境界領
域には、TiCからなる低抵抗化層42が形成されている。
【0060】 また、チャネル層32がゲート電極配線(ボンディングパッド配線)
62Gと十分絶縁されるように、ゲート電極配線62Gが形成されるゲート絶縁膜
33の縁の部分(酸素終端と水素終端の領域の境界)71を覆うように素子分離
用の絶縁膜61が形成されている。絶縁膜61も六方晶窒化ホウ素(h-BN)
で、その膜厚は63nmである。
【0061】 <作製方法>
以下、素子作製工程を断面図である図8から図13を参照しながら説明する。こ
こで、図8-10は図7(a)のAとA′を結んだ線での断面図、および図11
-13は図7(a)のBとB′を結んだ線での断面図である。


図7.実施例1のMIS型半導体装置の構造を示す断面図。
(a)は上面から見た平面視図、(b)は(a)のAとA′を結ぶ線で断面をと
ったときの断面図、(c)は(a)のBとB′を結ぶ線で断面をとったときの断
面図
【0062】 1.基板の準備
ダイヤモンド基板31としてロシアTISNCM研究所製の高温高圧合成IIa
(111)ダイヤモンド単結晶基板を準備し、通常の方法で熱混酸および有機洗
浄により基板の清浄化を行った。ここで、用いたダイヤモンド基板31の大きさ
は2.5mm×2.5mm×0.3mmである。

【0063】 2.アライメントマークの作製
レーザーリソグラフィにより、アライメントマークをダイヤモンド基板31上に
形成した(図示なし)。 ここで、アライメントマークの形成工程を以下に示す。
最初に、ダイヤモンド基板31の表面に下層レジストPMGI-SF6S(Mi
crochem製)をスピンコートし、180℃で5分ベークした。その後、フ
ォトレジストAZ-5214E(メルクパフォーマンスマテリアルズ製)をスピ
ンコートし、110℃で2分ベークした。 次に、高速マスクレス露光装置(ナ
ノシステムソリューションズ製、DL-1000/NC2P)を用いて、アライ
メントマークパターンを描画した。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム
)2.38%で合計150秒現像した後、純水で合計120秒洗浄し、その後
窒素ブローを行った。
                             この項つづく

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 197 アフターコロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング 

ウイルス解体新書

変異株「JN.1」とは 新型コロナ第10波到来か?
2023年12月の時点で、それほど多くなかった新型コロナウイルスの感染者が、1月
に入り急激に増えてきた。11月下旬ごろから感染者が増え始めてきましたが、1医
療機関あたりの患者数は12月の最終週で5.79人でした。ところが、1月になると
感染が広がるスピードが上がり、直近の1月15~21日は、12.23人になっている。

理由は二つ。一つは、気温がぐっと下がってきたということです。呼吸器の感染
症は、気温が下がると感染が広がる傾向があります。室内に籠もりがちになり、
換気もしないということが要因の一つとして考えられる。もう一つは、ウイルス
がヒトに感染しやすく変異していることが挙げられる。12月に日本で多かったの
は、XBB系統の「EG.5」というタイプでしたが、1月に入ると、BA2.86系統の「
JN.1」が多くなる。1月25日に東京都が公表したデータによると、調査した検体
の55.6%がJN1だ。

JN1はどのような特徴か?
EG.5とJN.1は、感染したりワクチンを接種したりして獲得した免疫から逃れる
傾向にあると言われています。加えてJN.1は、EG.5よりも感染力がやや強いの
ではないかと考えられている。今のところ、重症者が増えたという報告はない。
高熱が出るインフルエンザの方が、症状が重くなる印象。

インフルエンザの感染も心配もあるが?
1医療機関あたりの患者が33.72人だった23年12月の初旬以降、感染者は減ってい
たが、年が明けると増加に転じ、1月15~21日の週は17.72人でした。「A香港型
」として知られるA(H3N2)型に加えて、09年に新型インフルエンザとして流行し
たA(H1N1)型、B型の感染者も目立つようになったことが影響していると考えら
る 学校の冬休みが終わり、授業が始まる。そうした状況もあり、今後も感染者
増え続けると予想される。 via 読売新聞 ヨミウリドクタ- 2024.1.30






釜山港へ帰れ/돌아와요 부산항에
チョー・ヨンピル 1972.02


今夜の寸評 :フリンジンに立つも、夢をあきらめない。



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夢をあきらめない ②

2024年01月29日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



胃腸・胸焼けでおかゆをつくり食べていたが、味の素の「おかゆシリーズ」がだ
されてびっくり・電子レンジ加熱は開封しないと腫れるするのでコンロ暖めてだ
される。悪くはない。尤も加熱なしでもいただける。之も世界へシリーズとして
販売できる(正味期限付き)。「饅頭シリーズ」に「おかゆシリーズ」ってか。
「カレーシリーズ」にエトセトラ。加工食品(冷凍・氷水・加圧・減圧)エトセ
トラ。

 

 
 黒の革命

世界一のダイヤモンド産出国へ ②
2008年度NEDO調査「2050年における省エネルギー社会の実現に向けた電気エネル
ギー有効利用に関わるグリーンエレクトロニクス技術」で「ダイヤモンドは次世
代パワーデバイスとして認知されている」と表記されているように、絶縁耐圧・
熱伝導率が最も高く、電力性能指数としては最高!パワーデバイスとして、非常
に大きなポテンシャルを持っている。性能指数として、Si, SiC, GaNを凌駕する
大きな値。パワー密度が大きくとれ、冷却系を含めた電力系の小型化・軽量化が
図れるというメリットがあるが、大面積・低コスト基板がない。基板が宝石であ
り、広く・安い基板がないという問題を抱えるものの新技術の開拓----超高耐圧
用パワーデバイス・ 新しい半導体真空スイッチ・高温・高出力対応殺菌用新原理
励起子LED ・高感度磁気センサ・新しい廃熱利用熱電子発電素子なのど開発が展
望できる。


出所:NEDO

そうして、新しい高圧高温(HPHT)ダイヤモンド基板製造技術のヘテロ薄膜上ダ
イヤモンドデバイスの特性が確認され、低コスト大面積基板製造が開拓されてき
た(特開2013-258407 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法)。
[関連特許]
1.JP2006216716A ダイヤモンド電界効果トランジスタ及びその製造方法
【要約】下図1ことく、ダイヤモンド基板1上に、夫々ソース領域及びドレイン
領域となる低抵抗ダイヤモンド層2a及び2bを局所的に形成し、これら間及び
相互に対向する端部上に、アンドープダイヤモンド又はBが低濃度でドープされ
たダイヤモンドからなる高抵抗ダイヤモンド層3を形成する。また、低抵抗ダイ
ヤモンド層2a及び2b上に、夫々ソース電極5及びドレイン電極6を形成し、
高抵抗ダイヤモンド層3上に、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極7を形成する。
このとき、ゲート絶縁膜4は、酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、アルミナ
層、ダイヤモンド状炭素層、窒化シリコン層、ジルコニア層、チタン酸ストロン
チウム層、チタン酸バリウム層及びサイアロン層からなる群から選択された2種
以上の層を積層した積層膜とする。

図1.ダイヤモンドFETの構造を模式的に示す断面図

2.特開2013-258407 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法
【概要】下図3のごとく、製造工程を簡素化するとともに、良好なpn接合界面
を備えるダイヤモンド半導体装置及びその製造方法を提供する。{100}面を
有するダイヤモンド基板10と基板上に形成したp型ダイヤモンド層20と基板に
形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状の底角50を起
点に成長したn型ダイヤモンド層30とを備えるダイヤモンド半導体素子と、ダ
イヤモンド素子間を分離するため、基板に形成した側面{100}、底面{10
0}面を有する段差形状の底角を起点に成長した分離領域とを備える。


図3 横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の構造 

【特許請求の範囲】
【請求項1】 {100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp
型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有
する段差形状の底角を起点に<111>方向へ成長したn型ダイヤモンド層とを
有する横型pnダイヤモンド半導体素子を備えるダイヤモンド半導体装置。
【請求項2】 {100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp
型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{100}、底面が{100}面を有
する段差形状の底角を起点に<110>方向へ成長した絶縁分離領域を備えるダ
イヤモンド半導体装置。
【請求項3】 {100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形
成する工程と、底面が{100}面、側面が{110}面の段差形状を選択的に
形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモン
ドを<111>方向へエピタキシャル成長させ不純物ドープダイヤモンド領域を
形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
【請求項4】 {100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を
形成する工程と、底面{100}、側面{100}面の段差形状を選択的に形成
する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを
<110>方向へエピタキシャル成長させ絶縁分離領域を形成させる工程とを含
むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
【請求項5】 前記不純物は、リンであることを特徴とする請求項3乃至4のい
ずれか1項に記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。

【効果/展望】 半導体領域の選択成長技術は、半導体装置を作製する際に必須で
あり、その有無によって、半導体装置応用の幅が大きく異なってくる。本発明の
ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法によれば、ダイヤモンド基板に形成し
た段差形状の底角を起点に、選択された領域に不純物ドープダイヤモンド半導体
を成長させることができる。このため製造工程を簡素化できるだけでなく、pn
接合界面がエピタキシャル成長により形成されるため、良好な界面が得られる。
また、例えば、横型pn接合素子を作製することで、光の取り出し方向を上方に
変えることができ、光取り出し効率の改善が期待できる。逆に、紫外線受光素子
の場合においても、受光面となるpn接合界面が金属電極などで妨害されないた
め、その受光効率改善が望める。 この他、横型接合を用いたJFETなどパワ
ーデバイスにおいても、電流経路に基板(厚さ500μm前後)を含まない構造
が作製できることから、オン抵抗の低減が望める。また、ダイヤモンド半導体
装置は、パワー半導体素子、高周波半導体素子などの半導体装置のみならず、紫
外発光デバイス、電子放出源、X線・粒子線センサー、X線・粒子位置センサな
ど、各種電子デバイスに応用することができる。

3.特開特開2018-6572 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法
【要約】下図1のごとく、 本発明のダイヤモンド半導体装置10は、ダイヤモ
ンド基板1上に配され、{111}面が形成される第1導電型ダイヤモンド半導
体層2と、第1導電型ダイヤモンド半導体層2の{111}面が形成される面上
に配される導電型が第1導電型ダイヤモンド半導体層2と異なる第2ダイヤモン
ド半導体層で形成されるソース領域3a及びドレイン領域3bと、全体又は一部
が第1導電型ダイヤモンド半導体層2の{111}面上に配され、かつ、上面視
で少なくともソース領域3aとドレイン領域3bとの間に配されるゲート絶縁膜
4と、ソース領域3a上に配されるソース電極5aと、ドレイン領域3b上に配
されるドレイン電極5bと、ゲート絶縁膜4上に配されるゲート電極5cと、を
有することを特徴とすることで、動作特性がノーマリーオフの平面型MOSFE
T動作が可能なダイヤモンド半導体装置を提供する。

図1.ダイヤモンド半導体装置の断面構造を示す説明図

【符号の説明】 1 ダイヤモンド基板 2 第1導電型ダイヤモンド半導体層 3
a ソース領域 3b ドレイン領域 4 ゲート絶縁膜 5a ソース電極 5b ド
レイン電極 5c ゲート電極 10 ダイヤモンド半導体装置 11 テラス面
12 ステップ

5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【要点】下図5のごとく、第1主表面が水素で終端された半導体層を形成するこ
とと、水素終端ダイヤモンド層に接して絶縁体層を形成することと、絶縁体層の
少なくとも一部の上に導電体層を形成することと、を含む。水素で終端された半
導体層を形成すること、絶縁体層を形成すること及びその両者の間の雰囲気は、
真空、水素ガス、不活性ガス及び不活性ガスが添加された水素ガスの何れかとす
ることで、ダイヤモンド半導体による移動度の高いMIS型半導体装置の製造方
法を提供する。


図5.MIS型半導体装置の製造工程を説明するフローチャート

図1.MIS型半導体装置の構造を示す断面図
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶
縁膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:
絶縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその
電極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜
34G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電
膜 36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層
43:酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン
61:絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電
膜 62G:ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線
(ボンディングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配
線) 71:酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置
201:MIS型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:
水素終端処理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ
1014:バルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バ
ルブ 1018:配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:
バルブ 1023:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・
一時保管室 1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フラン
ジ 1029:試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス)
1032:仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配
管 1037:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:
不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配
管 1043:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Ar
ガスシリンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061
:排気量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 107
2:バルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気
セット 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポ
ンプ 1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 110
7:配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系

(実施の形態1) 以下本発明を実施するための形態について図面を参照しなが
ら説明する。 
<コンセプト>
前述のように、これまでの水素終端ダイヤモンド半導体では、水素終端された半
導体表面近傍の電気伝導にはダイヤモンド半導体の表面に付着した、あるいはダ
イヤモンド半導体に接した絶縁膜中の負電荷が必要と考えられてきた。 それに
対し、発明者は、この負電荷は必ずしも必要ではなく、むしろ負電荷はクーロン
散乱によって電荷キャリアの移動度を低下させるとともに、ノーマリオン動作
(すなわち、正の閾値電圧VTH)を引き起こす要因になると考えた。そこで、水
素終端ダイヤモンド表面形成後大気に暴露することなく、水素終端されたダイヤ
モンド半導体に接した絶縁膜を形成することで、負電荷密度を低減し、高いキャ
リア移動度(ホール移動度)と負の閾値電圧VTHを両立して得られることを見出
した。 なお、本発明では、閾値電圧VTHは、MIS型半導体装置において、ソー
スに対してゲートに印加したゲート電圧VGに対するソースとドレイン間に流れ
るドレイン電流IDの絶対値の平方根(|ID|1/2)の特性曲線を直線近似し、
ID=0に外挿したときのゲート電圧VGの値のことをいう。
ここで、ゲート絶縁膜は、材料を限定されるものではなく、例えば、窒化ホウ素
、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化
チタン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタンア
ルミニウム、フッ化カルシウムからなる単層膜またはこれらの膜からなる複合膜
を挙げることができる。 この中で、ゲート絶縁膜は、窒化ホウ素が好ましく、単
結晶の窒化ホウ素がより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)がより一層好
ましい。また、絶縁膜を複合膜とするときは、水素終端ダイヤモンド層に接する
面の膜を窒化ホウ素からなる膜とすることが好ましく、単結晶の窒化ホウ素から
なる膜とすることがより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)からなる膜と
することがより一層好ましい。 ゲート絶縁膜として、窒化ホウ素、好ましくは
単結晶の窒化ホウ素、より一層好ましくは六方晶窒化ホウ素(h-BN)を用い
た場合は、よりホール移動度を高めることができ、また、閾値電圧VTHはより大
きな負電圧となって制御性も向上するという効果が得られる。

実験およびシミュレーションを駆使して詳細に検討した結果、本発明の方法では、
水素終端された半導体表面近傍の電気伝導にはダイヤモンド半導体の表面に付着し
た、およびダイヤモンド半導体に接した絶縁膜中の負電荷は少なく、ゲートに印
加した電圧で水素終端近傍のダイヤモンド半導体層の伝導が制御でき、しかも負
電荷による散乱が抑えられる。また、例えば、ゲート絶縁膜としてh-BNを用
いた場合、移動度は5×102cm2V-1s-1以上という高いものであった。

閾値電圧VTHが負電位であるp型のMIS半導体装置において、ゲート電圧VGが
0のときドレイン電流IDは必ずしも0になるとは限らない。ゲート電圧VGに対
するドレイン電流ID特性がVG=0近傍で裾を引くように変化している場合、す
なわち上記|ID|1/2の特性曲線が近似直線からID=0近傍で解離する場合は、
VG=0でドレイン電流IDが流れることがある。

しかしながら本発明の構成では、例えばゲート絶縁膜として六方晶窒化ホウ素(
h-BN)を用いた場合、|ID|1/2の近似直線は|ID|1/2の実測とよく一致
し、VG=0でドレイン電流IDは4×10-4mA・mm-1より少なくなった。す
なわち、本発明のMIS型半導体装置は、ノーマリーオフ、すなわちゲート電極
に電圧が印加されていない状態では電流が流れない省エネルギーに好適な特性を
有する。ゲート電極に電圧を印加しない待機状態では、ドレイン電流IDが流れな
いため、セーフティ上も優れる。また、上述のようにホール移動度が高いため、
オン抵抗を下げることができ、これによって導通損失を抑えることができるため、
動作時も省エネルギーになる。

また、発明者は、水素終端ダイヤモンド半導体層表面に接してゲート絶縁膜を形
成し、閾値電圧VTHを負電圧とする1つの方法として、水素終端半導体層形成工
程直後から絶縁体層形成工程直前までの間の雰囲気が真空、水素ガス、不活性ガ
スおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つ
とすればよいことを発見した。なお、水素終端半導体層形成工程と絶縁体層形成
工程の両工程間の工程としては、例えば、試料の搬送工程や試料の一時保管工程
を挙げることができる。ここで、絶縁膜としては、上記のように、窒化ホウ素が
好ましく、単結晶の窒化ホウ素がより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)
がより一層好ましい。


図1.MIS型半導体装置の構造を示す断面図

<構造と特徴>
本発明のMIS型半導体装置101は、図1に示すように、ダイヤモンド基板
21、ダイヤモンド半導体層22、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)23および
導電体層(ゲート電極)24を基本構成要素とし、他に、ソース電極およびその
配線28、ドレイン電極およびその配線29、ゲート電極配線27、絶縁膜25、
低抵抗化層26を有する構造をもつ。ここで、ダイヤモンド半導体層22の少な
くとも第1主表面は、後述のように水素終端処理されている。 ここで、基板が
ダイヤモンド以外であっても基板上にダイヤモンドからなる薄膜を形成し、それ
をダイヤモンド半導体層22としてもよい。また、ダイヤモンド基板21を半導
体層として利用し、ダイヤモンド基板21の表層部をダイヤモンド半導体層22
としてもよい。肝要なことは、ダイヤモンドからなる半導体層がゲート絶縁膜
23と接していることである。ここで、ダイヤモンドからなる半導体層(ダイヤ
モンド半導体層)22には、ドーパントが含まれていてもよい。

本発明は材料的に優れた電気的特性を有するダイヤモンドからなる半導体層を有
するMIS型半導体装置に関するものであるが、本発明のMIS型半導体装置の
構造で、よりその効果を高めるための特徴的なことの1つは、ゲート絶縁体層2
3が窒化ホウ素からなること、より好ましくは窒化ホウ素の単結晶からなること、
さらにより一層好ましくは六方晶窒化ホウ素(h-BN)からなることである。
窒化ホウ素の構造体としては、アモルファス構造のアモルファス窒化ホウ素(a
-BN)、c軸方向の積層構造の乱れた乱層窒化ホウ素(t-BN)、立方晶系
閃亜鉛鉱型の立方晶窒化ホウ素(c-BN)、六方晶系グラファイト構造の六方
晶窒化ホウ素(h-BN)および六方晶系ウルツ鉱型構造のウルツ鉱窒化ホウ素
(w-BN)が知られている。 これらの窒化ホウ素(BN)の中で、ゲート絶
縁体層23としては、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップを減らす観点から、
六方晶窒化ホウ素(h-BN)が一番好ましく、それが単結晶となっていること
がより好ましい。

これまでに報告されたダイヤモンド半導体を用いたMIS型半導体装置(ダイヤ
モンド電界効果トランジスタ)では、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)は、多く
は非晶質の膜で、主に蒸着法や原子層堆積法(ALD法)によって形成されてい
た。これらの方法によって形成されたゲート絶縁体層は、原子欠損等に起因する
電荷トラップ密度が比較的高く、ダイヤモンド半導体層との界面にも比較的高い
界面準位が形成される。このようなトラップ(準位)に捕獲された電荷は、キャ
リアの移動度を低下する要因となる。

ダイヤモンドは各炭素原子が周りの4つの原子と共有結合で結び付いた結晶から
なる。ダイヤモンドの表面では、結合手が余る。この未結合手は不安定で、表面
準位として振る舞う。 未結合手は水素と結合させ安定化することができる。こ
の状態を水素終端と呼ぶ。 例えば、化学気相合成したダイヤモンドの表面は、
合成中に水素プラズマに晒されるため水素終端となる。このような水素終端ダイ
ヤモンド表面を使えば、ダイヤモンド側の表面準位密度を低減できる。 一方、
h-BNの表面は構造上、未結合手をもたない。そのため、h-BNと水素終端
ダイヤモンドの接合界面の界面準位密度は低い。さらに、単結晶h-BNからな
る絶縁体層(絶縁膜)中のトラップ密度は小さい。これらのことから、絶縁体層
中のトラップや界面準位に捕獲された電荷によるキャリア散乱を低減できる。ま
た、h-BNの絶縁破壊電界(c軸平行)は約12MV/cmと大きいため、高
密度キャリアの誘起によって低オン抵抗も得られる。さらに、h-BNと水素終
端ダイヤモンド(111)表面との格子不整合は約0.7%であり、格子欠陥や
歪みの少ない界面形成に向いている。これも、MIS型半導体装置の特性向上に
利する。ここで、参考までに、h-BNと水素終端ダイヤモンド結晶(111)
の結晶構造鳥瞰模式図を図2に示す。


図2.h-BNと水素終端ダイヤモンド結晶(111)の結晶構造鳥瞰模式図

図2中の11は炭素、12は水素、13はホウ素そして14は窒素の各原子であ
る。 ゲート絶縁体層23は、ホウ素と窒素からなる1原子ペア層以上300nm
以下の厚さが好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。 1原子ペ
ア層以上の稠密な膜になるとリーク電流が抑えられ、ゲート絶縁体層として機能
しやすくなる。トンネル電流を含めたリーク電流を抑制するためには1nm以上
の厚さが好ましい。 また、ゲート絶縁体層23の厚さが300nm以下の場合、
MIS型半導体装置として十分な静電容量を得やすくなる。 ダイヤモンド半導
体層22は、結晶面が(100)または(111)の単結晶であることが好ましい。
ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面に存在する荷電不純物
の密度(界面の濃度)は、0cm-2以上5×1011cm-2以下、より好ましくは0
cm-2以上1×1011cm-2以下とすることが好ましい。荷電不純物の密度がこ
の範囲にあると、ダイヤモンド半導体層22の水素終端された表面近傍に形成さ
れるチャネル層を移動するホールの荷電不純物による散乱が抑制されて、高い移
動度を有するMIS型半導体装置101を供給することが可能となる。 ここで、
MIS型半導体装置101は、ゲート電極24に印加する負電位によって前記チ
ャネル層にホールを誘起する。
一方、ゲート電極24に電圧が印加されない場合は、シャットオフの状態になり
、MIS型半導体装置101はノーマリーオフ動作となる。荷電不純物の密度が
上記範囲に収まっている場合は、その荷電不純物によって誘起されるホールは極
少量のため、ゲート電極24に電圧が印加されないときのソースドレイン間のリ
ーク電流は大変小さい。 発明者は、水素終端後からゲート絶縁体層23によっ
て水素終端面が覆われるまでの間、試料を真空やArガスなどの不活性ガス環境
に置いておくという比較的簡単な処理により、荷電不純物の密度を0cm-2以上
5×1011cm-2以下の範囲に収めることが可能であることを見出した。洗浄、
クリーニング熱処理および表面処理を必要としないで荷電不純物の密度を上記範
囲に収めることが可能である。 ダイヤモンドおよびh-BNはどちらもワイドバ
ンドギャップ(5.47eVおよび5.97eV)をもつことから、高温動作に
向いている。h-BNが室温で4W/cm・Kという銅に匹敵する高い熱伝導率
をもつことも、ダイヤモンドの高い熱伝導率(室温で22W/cm・K)と合わ
せて、チャネル部分からの優れた放熱に寄与する。さらに、h-BNは1000
℃の高温において酸化を防ぐコーティング材として働くことが知られている。そ
のため、ダイヤモンド表面の水素終端を高温で保護する機能も果たす。一方、ダ
イヤモンドおよびh-BNの低い比誘電率(5.7および5.1(c軸平行))
は、高速・高周波動作に望ましい特性である。
【0030】なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層
22の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないこと
が好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。 ゲ
ート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造では、ゲート
絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層22との界面
にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため、キャリア伝
導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート絶縁体層(
ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、より好まし
くはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発明の構造で
は、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。このため、キャ
リア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。ダイヤモンド基板21
は、その上に形成するダイヤモンド半導体層22が欠陥の少ない高品質な結晶に
なるように、結晶欠陥が少なく、清浄度が高く、平坦、平滑な表面をもつことが
好ましい。また、表面ラフネス散乱の影響を低減するため、半導体層の表面も平
坦、平滑であることが好ましい。 ゲート電極24は、閾値電圧VTHが負電圧に
なるような仕事関数をもつ導電材料からなる。具体的には、金属、グラファイト
(C)またはドーパントが添加されたポリシリコンなどの導電膜を挙げることが
できる。金属としては、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ア
ルミニウム(Al)、クロム(Cr)およびタンタル(Ta)などを挙げること
ができる。また、AlCu、CuNiFeおよびNiCrなどの合金、WSi、
TiSiなどのシリサイドおよびポリサイド、WN、TiN、CrNおよ びTa
Nなどの金属化合物も用いることができる。ゲート電極24は、このような材料
の中から導電率、仕事関数、加工性などを適宜勘案して適当な材料を選択すれば
よい。 なお、閾値電圧VTHは、ゲート電極24の材料、ゲート絶縁体層23の
材料とその膜厚、半導体チャネル層の材料、不純物およびその密度などに左右さ
れる。 また、集積回路として本発明のMIS半導体装置を用いる場合は、イン
テグレーションとしての各種熱処理が加わることから、それらの熱処理も勘案し
た材料の拡散を考慮の上、材料を選択する。

--------------------------------------------------------------------------------

【効果/展望】 本発明によれば、セーフティ、省エネルギー、かつ移動度が高く
て高速動作に適するダイヤモンド半導体によるMIS型半導体装置の製造方法を
提供することが可能になり、
耐圧や耐熱性などの材料特性に優れるダイヤモンド
半導体を用いて、キャリア移動度(ホール移動度)が高く、かつ待機時の消費電
力が少なくて省エネルギーに資するMIS型半導体装置を製造する方法を提供す
ることで、高温環境で利用可能なロジック回路、高温環境で利用可能なインバー
ターなどのパワーデバイスを例とした大電力、高周波、高温対応の半導体装置の
道を切り開き、産業上大いに利用される。
-----------------------------------------------------------------------
                                                           この項つづく
 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 197 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 
エアロゾル支援溶媒処理: 
※ダイヤモンド半導体などの材料が生産拡大と共に増加されればされるほど。都
市鉱山としてのダイヤモンドも増加する考えている。


出所:環境ビジネス 2024 WN 
卒FIT産業用太陽光発電所の電力が市場に
※ 7.3GW(2012~2013年に運転を開始した太陽光発電所)
2012年に買取が始まった産業用太陽光発電。売電期間は20年間のため、2032年に
買取期間が満了するメガソーラーが出てくる。 2013年までに導入され運転を開始
した産業用太陽光発電設備(2012年6月末までの累積導大量含む)は約7.3GW。つま
り、2032年から2033年にかけて、原発7.3基分の電力が一気に市場に流入すること
になる。そのインパクトは2019年の比ではなく、電力・再エネビジネスを大きく
変えるものになるに違いない。膨大な電力を活用するため、VPP(バーチャルパワ
ープラント)の構築が不可欠と考えられており、現在VPPを活用した実証事業がい
ろいろなところで進められている。産業用太陽光発電の卒HT電力をどう利用す
るかなどの制度設計はこれから本格的に整備されくると思われるが、VPPはスマー
トシティや多くの産業にかかわってくることなので、今後の動向を注視していき
たい。  

電気(燃料電池)自動車ンの先端技術が再エネ電化時代の産業を支える 
都内1000か所に超皿嗅器を獅麿
全国でインフラ整備急ピッチで進む
------------------------------------------------------------------
日本の基幹産業である自動車産業を支えるサプライチェーン。その技術開発力、
供給体制は世界が認める。社会が電化していく中で、自動車もモビリティとして
の機能、役割を担う時代に突入。
------------------------------------------------------------------------
電化社会の源である再エネ発電産業を、自動車産業のサプライチェーンが担って
いく構図が垣間見えるという。
EV充電事業「テラチャージ」を展開するテラモーターズは昨年9月26日、従量課金
に対応した150kWの超急速充電器を1000か所限定で東京都内に無料設置すると発
表。テラチャージの発表によると、東京都に無料設置を推進する超急速充電器は
6分間の充電で100km程度の走行が可能。東京都を対象に1000か所の無料設置をする
のは、EV充電業界での初の試みとなる。テラモーターズでは今後、都内の自治体、
郵便局、商業施設、スーパー、コンビニ、ホテル、自動車ディーラー、ファミレ
ス、書店、オフィスビル、ガソリンスタンド、寺院などへ新プランを提案、その
後は全国政令指定都市へ対象を広げていくという。
既存の充電設備にテラの新設分を加えると給油所数の1.5倍になる。東京ガスは
新築分譲マンションを手がけるデベロッパーに対して、平置き駐車場へのEV充
電サービスを加速させている。東京都のマンションヘのEV充電設備実績は、令
和4年度実績で899基。 2030年までに6万基の設置を目指すとしている。
流通・小売業界N0.1の急速充電設置店舗数となる全国約600店舗を展開するファ
ミリーマートは、Teslaのスーパーチャージャーを、全国の店舗で順次設置して
いる。勧化率100%」という目標を掲げる政府は、これまでEV化への壁となって
いた急速充電器の普及に乗り出す方針を固めている。



現在、公共用の充電設備は、全国で約3万基(普通充電器20974基、急速充電器
8995基/経済産業省「充電インフラ整備促進に関する検討会」事務局資料(2023
年6月23目)より)整備されており、充電施設は全国に2万ヵ所強あり、ガソリン
給他所数に近づいている。国は、「充電インフラ整備促進に関する検討会」で、
2030年までに15万基の充電器を目指すとしている。

EVワイヤレス急速充電も出現
ダイヘンは、15kW出力のEV用ワイヤレス急速充電システムを国内で初めて開発
した。“停めるだげで充電が可能なワイヤレス充電の利便性はそのままに、従来
製品(普通充電器クラス)と比較し約5倍の充電速度を実現した。“停めるだけ充
電”により充電の手間を軽減できることは勿論、大型化する商用EVのバッテリー
に対しても短時間での充電が可能となる。さらに、トラックの荷積み・荷下ろし
の時間やバスの乗客が乗り降りする時間も充電に活用でき、利便性が格段に向上
する。
電気運搬船の開発や蓄電池事業を進めるパワーエックス社は、併設する蓄電池か
ら電気を供給するEV急速充電網の整備に着手し、2030年までに全国7000か所への
チャージステーション設置を掲げている。

自宅充電が今後のカギ
EVの普及率が高い北欧のEV所有者は、主に自宅で充電を行っている。ソーラーパ
ネルを設置しており、太陽光発電を自家消費するスマート充電が増大している。
我が国の現状も、「自宅や居住地での充電設備がない」ことがEV購入の障壁とし
て挙げられている。新築住宅に太陽光発電設置の義務化が始まったことで、国内
のEV需要も一気に加速するかもしれない。

出典:経済産業省「充電インフラ整備促進に関する検討会」(2023年10月18日)
充電インフラ整備促進に向けた指針より編集部作成
e-mobility powerの充電スポット一覧を基に作成。(2023年3月現在の急速充電器
約7,890基、普通充電器12,478基の設置場所の割合)


出所:環境ビジネス2024 WI
※ 電気自動車が普及すると、コンパクト、スマート、軽量化、部品点数逓減。製造時間
 短縮でき、脱ボーンが急速に進み、街角の給油スタンド、生産ラインのシュプリングが
 進む。あとは、タイヤからの発塵とタイヤ交換と。尤も。水素燃料車用のガス注入の問
 題だけになる。地震列島国での生産環境リスクの大きささが残るが、例えば、オースト
 ラリアの太陽光発電由来水素を海運するか、宇宙衛星を介しマイクロ波電送された電
 機エネルギーで給電すれば原発リスクを常時ゼロ状態にたもてるから「再生エネルギ
  100%」が実現する。想い返えせば、21世紀に入り「バイオエネルギー」「燃料電池」
 「ハイブリッド形フィルム太陽電池」を調査(開発)を開始し20数年このような状況を迎
 えたことに驚くと共にポジティブな展望遭遇し感謝している。



 
ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

今夜の寸評 :夢をあきらめない ②

  

 

 

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世界一のダイヤモンド産出国へ

2024年01月27日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。



 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 195 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 
エアロゾル支援溶媒処理: 
ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性
向上させる普遍的な方法
前回のつづき
【結果及び考察】
2. 結果と考察
2.5 エアロゾル処理効果の実証
これまでのところ、エアロゾル支援溶媒処理が単一の p-i-n 構造を備えた
MAPbI3 PSC の効率と再現性を向上させる効果的な技術であることを実証し
てきたが、高効率な電荷抽出層と代替構造が実証が報告されてきた。エア
ロゾル処理の普遍性の強調に、特に以下のような幅広いデバイス構成への
応用を調査し、1)最大 1300nm の活性層厚さで調製された MAPbI3デバイ
ス。2) 代替HTL を使用して準備されたデバイスおよび HTL フリー デバ
イス。3) メチルアンモニウムを含まない (ホルムアミジニウム-セシウム
) ダブルカチオン ペロブスカイト。4) n-i-p アーキテクチャでデバイス
を準備。

2.5.1 活性層の厚さの増加
高性能 PSC の一般的な活性層の厚さは 300 ~ 500 nm の範囲にある。ペ
ロブスカイト単結晶はこの長さをはるかに超える拡散長を示すが、GBとそ
の結果として生じるトラップ状態により、デバイスで使用される最適な厚
さが制限される。これにより、活性層が吸収できる光の最大量が制限され、
厚さの許容差が制限され、大規模な蒸着がより困難になるが、GB の減少と
膜特性の改善を考慮し、900および 1300 nmのより厚いペロブスカイト膜
に対するエアロゾル処理の効果を調査した。図 5aは、公称厚さ 500、900、
および 1300 nm の未処理およびエアロゾル処理された MAPbI3 フィルムの
断面 SEM 画像を示しています。未処理のフィルムでは、顕微鏡写真により、
粒子サイズがフィルムの厚さの影響をほとんど受けずに垂直に積み重なっ
た粒子が明らかになった。エアロゾル暴露後、MAPbI3 の粒子サイズと形状
に大きな変化があり、未処理膜の小さな粒子が膜厚全体に広がるモノリシ
ック粒子に置き換えられる。膜厚がかなり増加しているにもかかわらず、
エアロゾル処理後の水平粒界の証拠は見られない。 エアロゾル処理された
フィルムの粒子サイズはフィルムの厚さに依存し、より大きな粒子はより
厚いフィルムで形成されるが、図2に見られる重要な構造再構成と再結晶
化を反映し、厚さ 1300nm までの膜でも膜厚全体にわたってそれが発生す
ることを示す。


図5.厚さに依存する微細構造と光起電力特性 a) 異なる厚さの未処理ペロブス
カイト膜(左列)およびエアロゾル処理済みペロブスカイト膜(右列)の断面走
査型電子顕微鏡(SEM)画像(スケールバー = 1 µm)。 b) 500、900、および
1300 nm の MAPbI3 膜から調製されたデバイスの PCE 値の測定。 各厚さのチャ
ンピオン セルの単一デバイス データも示される。c) チャンピオンデバイスの
J-V データ、フォワードスキャン (FS) およびリバーススキャン (RS)、すべて
のデバイスパラメーターが挿入表に示されている。

図5bは、3つの活性層厚さの未処理膜とエアロゾル処理膜のp-i-n構造デバイスの
PCEを示しています。 未処理のフィルムでは、厚さが増加すると PCE が減少。
これらの厚さに依存する損失は、電荷輸送を妨げる水平粒界による短絡電流密度
(JSC) と曲線因子 (FF) (図 S11、サポート情報) の減少に起因。ただし、エアロ
ゾル処理されたデバイスではこれらの損失は最小限に抑えられる。エアロゾル処
理によりすべてのデバイス特性が大幅に改善され、現在最高のパフォーマンスを
発揮するデバイスは活性層の厚さが 900 nm のデバイスは、1300 nm のデバイス
は 500 nm のデバイスよりわずかに低い性能メトリクスしか示さず、図 5c のチ
ャンピオン 900 nm デバイスは、JSC = 22.8 mA cm−2、VOC = 1.11 V、FF = 0.81、
PCE = 20.77% で、ヒステリシスは最小限で、統合外部量子効率 (EQE) は 22.4
mA cm−2 です。 2 (測定された JSC と相関)、図 S12、サポート情報。イオン欠
陥および/または電子欠陥を媒介することにより、エアロゾル処理により厚い吸
収体層の使用が可能になり、集光性が向上する。これは、チャンピオンデバイス
のより高い PCEをもたらすだけでなく、ピンホールなどの関連欠陥を克服するた
めに通常より厚い吸収層が使用される印刷などの PSC の大規模製造にも有利
X 線回折を使用した厚い MAPbI3 膜の構造特性評価では、エアロゾル処理による
予想される変化、つまり結晶化度の増加、粒子サイズの増加、および優先 (110)
配向の発達が示されています。図 S13、 サポート情報。 (110) 回折ピークを詳
しく分析すると、エアロゾル処理後にピークがより高い 2θ 値にシフトしている
ことが明らかになり、その大きさは膜厚とともに増加します。 同様のシフトが
他の回折ピークにも見られ、格子サイズの減少を示す。
全体として、これらの結果は、膜厚のばらつきが大きいペロブスカイト膜にエア
ロゾル処理を容易に適用でき、その結果、膜品質が一貫して向上し、デバイスの
高性能化につながることを示す。

2.5.2 ホールトランスポート層 (HTL) のバリエーションと HTL フリーのデバイス
これまでのところ、製造された高性能デバイスにより、HTL として PolyTPD を使
用したエアロゾル処理の有効性を実証してきました。 ただし、PolyTPD は疎水性
であるため、加工に課題が生じます。[57] 代替 HTL として、親水性ポリ (3,4-
エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート) (PEDOT:PSS) を備
えた p-i-n デバイス、および HTL フリーのデバイスを検討します。 どちらの
アーキテクチャも、準備の容易さと材料コストの削減により魅力的であり、特に
大量生産に有利ですが、通常はデバイスの性能が低くなります 。 図6aは、異な
るHTLを備えたp-i-n PSCの概略的なエネルギー図を示し、図6bは、HTLが変化した
ときにPCEがどのように変化するかを示しています。 PolyTPD デバイスは、PEDOT

:PSS を使用して作成したデバイスよりも優れた性能を発揮するが、これは予想
通りです。 ただし、エアロゾル処理PCPCEの向上は PEDOT:PSS デバイスでは
はるかに大きく、平均 PCE は 13.5 ± 0.4%から 17.6 ± 0.4% に増加しました。
これに対し、PolyTPD デバイスでは 18.7 ± 0.4% から 19.7 ± 0.3% に増加し
ました。 HTL フリーのデバイスの PCE は、エアロゾル処理後に  さらに大きな
係数で増加し、9.6 ± 0.5% から 15.4± 0.4%に増加し、以前に報告された最高
のパフォーマンスを誇るドーパントフリー、HTLフリーのデバイスに 匹敵する。
J-V 曲線(図 6c)、および太陽光発電パラメータ(図 S14、サポート情報)は
、PCE の改善は、HTL フリー デバイスの場合は VOC と FF の大幅な改善によっ
て促進され、HTL フリー デバイスの場合は主に VOC の改善によって促進される
ことを示しています。 PEDOT:PSS デバイス。 ここで、膜の結晶化度の増加、イ
オン欠陥の減少、ペロブスカイトの p ドーピングの減少の組み合わせにより、
HTL/ペロブスカイトまたは ITO/ペロブスカイトの界面でより好ましいバンド曲
がりが形成され、正孔の抽出が促進され、表面再結合が減少する。


図6 代替のデバイス構成とアーキテクチャ。 パネルは左から右に示す。フラ
ットバンドエネルギー準位図、統計デバイス PCE データ、および a ~ c) 異な
る HTL を使用した p-i-n PSC、d ~ f) Cs0.1FA0.9Pb を使用した p-i-n PSC
の典型的な J-V 曲線の概略図。 (I0.95Br0.05)3 (CsFA) を活性層として、g–i)
n-i-p PSC (図 (i) の挿入図は定常状態の電力出力を示す)。 (c) では、J-V 曲
線の逆スキャンのみが示されています。 (f) と (i) では、J-V 曲線の順方向ス
キャン (FS) と逆方向スキャン (RS) の両方が示されている。 スキャン速度は
すべての場合で 50 mV s-1 。

2.5.3 メチルアンモニウムを含まないダブルカチオンペロブスカイト
エアロゾル処理の真の普遍性を実証するために、ホルムアミジニウム (FA) ベー
スのペロブスカイトの調査に移ります。これらのペロブスカイトは、その優れた
熱安定性により魅力的ですが、それらの PCE は通常、MA または A-FA ベースの
ペロブスカイトよりも低い。標準的な p-i-n アーキテクチャを使用して、公称
組成 Cs0.1FA0.9Pb(I0.95Br0.05) の FA ペロブスカイト膜を作製した (図 6d)。
FA と一緒にセシウム (Cs) を導入すると、ペロブスカイト構造が安定化するこ
とが報告されている。PCE の統計 (図 6e) は、エアロゾル処理後の平均 PCE が
18.6± 0.3% から 19.7± 0.3% に改善したことを示す。 図 S15a ~図 S15c の
サポート情報に示されている測定された太陽光発電パラメータは、そのような改
善が主に VOC と FF の増加によりって促進を示す。チャンピオンデバイスのJ-V
曲線(図6f)は、未処理デバイスのPCEが19.0%、エアロゾル処理デバイスのPCE
が20.1%を示し、両方のデバイスで最小限のJ-Vヒステリシスが見られる。 アロ
ゾル処理されたデバイスの統合外部量子効率 (EQE) は 23.0 mA cm-2 であり、測
定された JSC (図 S16、サポート情報) とよく相関。 Cs0.1FA0.9Pb(I0.95Br0.05)
膜の特性評価 (図 S17、裏付け情報) は、エアロゾル処理の実行後の結晶化度の
改善と組み合わせて、粒子サイズの増加とモノリシック粒子の形成を示す。これ
らの膜のトラップ状態の減少。これらはすべて、MAPbI3 フィルムで観察された
修飾と一致している。

2.5.4 n-i-p アーキテクチャ
結論として、ほとんどの最先端の PSC が採用している n-i-p 構成で準備された
デバイスを検討。図 6g は、デバイスのエネルギー レベル図の概略図を示す。
ナノ粒子 SnO2/PCBM 二重層が ETL として使用され、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,
4,6-トリメチルフェニル)アミン (PTAA)] が HTL として使用される。 PCE デー
タの分析 (図 6h)、およびその他のデバイス特性 (図 S15d ~ f、サポート情報
) は、エアロゾル処理によってデバイスが大幅に改善されることを示す。エアロ
ゾル処理後の平均 PCE 値が 18.2 ± 0.9% (チャンピオン 19.2%) から 20.2 ±
0.3% (チャンピオン 21.0%) に増加することに加えて、すべての特性の広がりも
減少。つまり、エアロゾル処理により、より優れた性能のデバイスが作製される。
統計的にパフォーマンスのばらつきが少なくなる。 n-i-p 構造の欠点の 1 つは、
一般に p-i-n 類似体よりもヒステリシスがより問題となることである。 図6iは
チャンピオン未処理デバイスとエアロゾル処理デバイスのJ-V曲線を示す。ここ
で、エアロゾル処理デバイスではヒステリシスが減少していることが明らかであ
り、イオン欠陥の減少を示す。エアロゾル処理後でも適度な J-V ヒステリシスが
あるにもかかわらず、デバイスが MPP (0.952 V) の近くに保持されている場合、
定常状態の電力出力測定 (図 6i の挿入図) は 20.5% の安定した PCE を示す。 
                              この項了
----------------------------------------------------------------------- 
【掲載論文】
原題:Aerosol Assisted Solvent Treatment: A Universal Method for Performance and
        Stability Enhancements in Perovskite Solar Cells
         11 July 2021 https://doi.org/10.1002/aenm.202101420   

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 黒の革命

 世界初のn型導電性チャネルダイヤモンド電界効果トランジスタを開発
   ダイヤモンドCMOS 集積回路への
1月25日、NIMS は、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜
半導体電界効果トランジスタ(MOSFET )を開発。本成果は一般電子機器用IC に代表
されるモノリシック集積化(1つの半導体基板内に複数のデバイスを集積)に向けて耐環
境型の相補型金属酸化膜半導体(CMOS )集積回路の実現、および将来的に強く期待

されるダイヤモンドのパワーエレクトロニクス応用に対して重要な一歩となる。
【概要】
1.NIMS は、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜半導体電
界効果トランジスタ(MOSFET )を開発しました。本成果は一般電子機器用IC に代表さ
れるモノリシック集積化(1つの半導体基板内に複数のデバイスを集積)に向けて耐環境
型の相補型金属酸化膜半導体(CMOS )集積回路の実現、および将来的に強く期待さ
れるダイヤモンドのパワーエレクトロニクス応用に対して重要な一歩となる。
2.ダイヤモンド半導体では、高い絶縁耐圧や高速スイッチングなどの優れた特性を、高
温、高放射線被曝環境(原子力発電の炉心近傍等)などの極限環境で実現することが
原理的に可能です。その利点を生かして環境安定性に優れた制御系の集積回路に利
用するために、高機能化CMOS の実現が期待されています。CMOS 構造にはp型とn
型の双方の導電性チャネル形成が必須ですが、ダイヤモンドではn型チャネルを持つ
MOSFET が実現できていなかった。
3.今回、NIMS の研究チームは世界に先駆けて開発した高品質単結晶n型ダイヤモン
ド半導体成長技術をベースに、n型チャネルダイヤモンドMOSFET を開発しました。低
濃度のリンをドープした原子的に平坦なテラスを有する高品質n型ダイヤモンドの結晶
成長に成功しました(左図)。これをチャネル層に用いたMOSFET 構造(中図)において
、高濃度でリンをドープしたダイヤモンドをソースおよびドレインのコンタクト層として使
用することで接触抵抗を大幅に低減し、n型チャネルのトランジスタ特性を確認した。
トランジスタ性能の重要な指標である電界効果移動度は、300 ℃において約150 cm 2/
V・sec の高い値を示し、優れた高温動作特性(右図)が確認できた。


4.本成果は、省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、耐環境型の微小電気機械シ
ステム(MEMS )センサーの実現に向けたCMOS 集積回路に応用されることが期待で
きるす。
5.本研究は、NIMS 電子・光学材料研究センターの廖 梅勇、Huanying Sun 、小泉 聡に
よって行われた。
6.本研究成果は、Advanced Science 誌に202 4年1月20 日オンラインにて掲載された
(doi.org/10.1002/advs.202306013 202306013)。
【結果/成果】
n 型ダイヤモンドMOSFET の形成には、高結晶品質ダイヤモンドn―型チャネルエピタ
キシャル(以下エピと省略:用語解説4)層と高導電性n+コンタクトエピ層の成長が不可
欠。本研究チームは、高温高圧合成(HPHT)単結晶ダイヤモンド基板{111}結晶面に、
NIMS 独自開発のマイクロ波プラズマ化学気相成長(MPCVD:用語解説5)によって精
密にドーピング濃度を制御した高品質n 型ダイヤモンドエピ層を形成しました。デバイス
チャネル用に低濃度のリンをドープしたn-ダイヤモンドエピ層は、HPHT ダイヤモンド基
板表面に直接成長しました。その後、オーミックコンタクトの形成用に高濃度でリンをド
ープしたn+層をn-層表面に堆積しました。n-型ダイヤモンドのホモエピタキシャル成
長は、ステップフロー成長モードに従い原子的に平坦(平均粗さ約0.1 nm)なテラスを形
成することが原子間力顕微鏡(AFM)観察で確認されました(図1)。成長面内でのリン
濃度の均一な分布、またドナーを不活性化する水素含有量が測定限界以下に低いこと
も二次イオン質量分析(SIMS)で確認されている。ダイヤモンドエピ層の電子移動度(用
語解説6)はホール効果(用語解説7)によって測定され、300 ℃の高温において212 cm
2/V・sec の高い値が得られている。

図1 高品質の低リンドープn―型ダイヤモンドエピ層。(A)成長に用いた微傾斜ダイヤモ
ンド{111}基板表面の原子ステップ(上)とリンをドープしたエピ層(下)の概略図。(B)ダイ
ヤモンドエピ層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)像。
作製した金属酸化膜半導体電界効果トランジスタの動作を調べると、ソースとドレイン(n
+層)のコンタクト間のチャネルに流れる電流(ドレイン電流)をゲート電極にかける電圧
で制御でき、その極性から電子(n 型)伝導性を世界で初めて確認しました(図2)。ドレ
イン電流は、室温から300 ℃までほぼ4 桁増加し、300 ℃における電界効果電子移動度
は約150 cm2/V・sec の高い値を示しました。これは他のワイドギャップ半導体n チャネ
ルMOSFET の同一温度域での移動度と比較して十分に高い値です。また、高周波動
作に関しては、300 ℃の高温でマイクロ秒レベルのスイッチング速度が得られました。
ゲート振幅を広げればチャネルの導電率が増加するため、さらに高速のスイッチングが
期待できます。マイクロ秒レベルの速度、すなわちMHz レベルの素子動作は、過酷環
境下でのセンサー信号処理回路等への利用に十分な特性であり、高温、放射線環境等
で用いる各種センサーのプリアンプ等への応用が期待できる。

図2 n 型ダイヤモンドMOSFET 構造図とその電気特性および温度依存性。(A)MOSF
ET の概略図、(B)ダイヤモンドMOSFET の光学顕微像、(C)室温、150 ℃、および300
℃でのトランジスタ特性(黒線から黄線((i)では紫と重なっている)に向かってゲート電圧
(Vg)増大)
【展望】
本研究成果は省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、モノリシック(用語解説8
)集積した微小電気機械システム(MEMS)センサー等への応用に向け、低損失、軽量
な耐環境CMOS 集積回路の実現に繋がると期待されます。ダイヤモンドの究極性能を
最大限に活用するため、特に過酷な環境(高温および高い放射線暴露状態など)で動
作できるエレクトロニクスとしてCMOS の開発が必要です。将来、放射線検出器やMEM
S センサ用の混合信号集積回路の要件を満たすように、n 型MOSFET デバイス形状の
最適化を行い、現状のメガヘルツ(MHz)動作からより高周波のギガヘルツ(GHz)動作
に向けて高周波特性の向上を試みます。さらに、p 型、n 型ドーピング制御、薄膜形成技
術を高度化してダイヤモンドCMOS 回路実現に向けた研究を開始する。
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掲載論文
題目:High-temperature and high-electron mobility metal-oxide-semiconductor field-effect
transistors based on n-type diamond
著者:Meiyong Liao, Huangying Sun, Satoshi Koizumi
雑誌:Advanced Science (Wiley; doi.org/10.1002/advs.202306013)
掲載日時: 2024 年1 月20 日(オンライン掲載)
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【関係技術情報】
1.ノーマリ・オフ ダイヤモンドMOSFET開発 2024.01.19
2.超短パルスレーザーでNV中心を直接書込み  2023.12.26
3.ダイヤモンド触媒でCO2を可視光で還元 2023.12.12
4.高放熱性窒化ガリウムトランジスタを実現 2023.12.04
5.EDP,半導体用人工ダイヤモンド大型基板を発 2023.08.24

※日本でダイヤモンドをはじめとした人工合成時代のアップバージョンのトップランナと
  して世界貢献立国を目指そう。

銀ナノ粒子がペロブスカイト太陽電池の効率を向上
1月23日。シェフィールド大学の研究者らは、電子輸送層に銀ナノ粒子を添加す
ることで
ペロブスカイト太陽電池の効率を高め、記録破りの14.3%の電力変換効
率を達成。

【要約】
全固体環境では、リチウム (Li) とアノードの材料との間の界面反応はよく理解されてい
ない。 この論文では、そのような界面における材料の収縮感受性という新しい現象を明
らかにする。この現象を利用すると、大量の厚いリチウム金属層の迅速なめっきと剥離
をホストするアクティブな三次元足場の設計が容易になる。 ここでは、よく知られたアノ
ード材料であるシリコン (Si) に焦点を当て、従来の固液界面での強力な Li-Si 合金化で
はなく、マイクロメートルサイズの Si のリチウム化反応が固相界面で大幅に抑制される
可能性があることを実証する。 界面は、反応誘起の拡散制限プロセスにより、Si 粒子の
薄い表面部位でのみ発生。 制約付きアンサンブル計算アプローチによって予測され、
Si、銀 (Ag)、およびマグネシウム (Mg) の合金で表される、一連のアノード材料の表面

リチウム化と Li めっきの間の動的相互作用は、したがって、アノード材料の電流密度を
より均一に分布させることができる。 高面積容量でのリチウム金属の急速サイクル。こ
れは固体電池の用途に関して重要である。
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Fast cycling of lithium metal in solid-state batteries by constriction-susceptible
anode materials. Nat Mater.
2024 Jan 8. doi: 10.1038/s41563-023-01722-x. Epub ahead of print. PMID: 38191629.
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 マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
 斎藤幸平
/ 竹田真登
 講談社(2023/10発売)
 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
 Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

 目次
 第一部 マルクスの環境思想とその忘却
  第一章 マルクスの物質代謝論
  第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
  第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
 第二部 人新世の生産力批判
  第四章 一元論と自然の非同一性
  第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
 第三部 脱成長コミュニズムへ
  第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
  第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ

----------------------------------------------------------------------
   第一章 物質代謝論と環境危機 
      第二節 「マルクスのエコロジー」の再発見
  
人間の生産活動も「自然の普遍的な物質代謝」(『資本論草稿集』
 ④、98頁)の一部である。このことはまた、人間は無から生産するこ
 とはできず、常になんらかの素材から生産しなければならないことを
 意味する。労働は人間の介入なしに存在する「物質的な土台」のうえ
 で機能するものであり、人間の労働は「ただ素材の形態を変えること
 ができるだけである」(『資本論』第一巻、58頁)[09】。食料、衣
 服、住宅、そして経済を「脱物質化」するハイテクな財でさえ、例外
 なく千早ルギーーと自然資源を使用する。この意味で、人間と自然の
 物質代謝は、けっして中断することのできない「自然条件」なのであ
 る。
  さらに言えば、人間は自然に依存しているのだ。マルクスは、労働
 過程においては労働と自然の両方が本質的な役割を担っていることを
 強調している。「だから、労働は、それによって生産される使用価値
 の、素材的富の、ただ一つの源泉なのではない。ウィリアム・ペティ
 の言うように、労働は素材的富の父であり、土地はその母である」(
 『資本論』第一巻、同上)。だからこそ、人間が自然に働きかける際、
 労働は自然法則と自然の普遍的な物質代謝におけるさまざまな生物物
 理的過程によって制約される。メサーロシュによれば、このような視
 点から見た労働という行為は人間と自然の物質代謝という「第一階層
 First order」 における「一次的媒介 Primary mediation」を構成して
 いる。「第一階層」とは、要するに、「それなしには人類はもっとも
 理想的な社会形態においてもおそらく生存しえない」根源的な次元を
 指す(Meszaruse 1995:138)。
  より具体的に言えば、人間が外部環境に対して行う物質代謝の方法
 は、気候、場所、資源や千早ルギーの入手しやすさ、アクセスしやす
  さなど与えられた客観的な自然条件によって大きく異なるが、自然と
  の関わり自体はどこにも共通している。物質代謝の第一階層は、人類
 の生存における根源的な自然制約を構成しており、それは強制力をも
 って「歴史的絶対 historical absolute」として残りつづける。

  この自然的な土台は、歴史が「新しい欲求」を創造し、それに対応
  してその欲求を満たす条件を拡大していくなかで、人間の生産的発
  展の進行によってどれほど変容されようとも(実際のところ変容さ
  れなければならなぃのだが)、究極的にはいつも自然そのものによ
  ってしっかりと制限されているのだ。(Meszaros 2012:246

  同様のことを、イギリスの哲学者ケイト・ソーパーも次のように述
 べている。「物質的な構造や過程は人間の活動から独立しており(人
 間にょって作り出された生産物ではなぃとぃう意味言、その力と因果
 力はあらゆる人間の実践の必要条件であり、またその実践が取り得る
 形態を規定する」(Soper 1995:132)と。非人間的自然が人間から独
 立して客観的に存在するという前提は、唯物論の根本洞察なのである。
 もちろん、人間は与えられた環境に受動的に制約されるだけではない。
 なぜなら、他の動物と比較して、人間は環境との相互作用をより自由
 に反省することができるからだ。例えば、人間は、より効率的に生産
 するための道具を設計し、生産物の質を改善し、新しい原材料を発見
 し、さらには自分の欲求に応じてまったく新しい対象を発明すること
 ができる。この自由度の大きさこそが、他の動物にはない人間の労働
 の独特な特徴だと、マルクスは考える。人間が自然に意識的に働きか
 ける結果として、生産力は歴史的に発展していき、生産の客体的条件
 も大きく変容していく。だがここで重要なのは、それにもかかわらず、
 第一階層の物質的制限は残りつづけ、決して廃棄されることはないと
 いう事実だ。自然の可塑性は、労働の自然的な土台としての本源性を
 否定するものではない。もし人間がこの自然的な土台を無視するなら、
 自然法則の侵害は汚染、資源枯渇といった矛盾を必ずや引き起こす。
 一方で、マルクスは、このような労働過程の一般的な叙述が、人間は
 自然の一部であり、自然とともに生きる必要があるという凡庸な指摘
 になりかねないリスクにも注意を促している。絶え間ない人間と自然
 の物質代謝は、人間が生存するための歴史貫通的条件だが、このよう
 に「すべての生産の一般的諸条件が取り扱われる」にすぎないなら、
 「すべての生産の本質的諸契機をあげるだけ」の「平板な同義反復」
 (『資本論草稿集』①、29‐30頁)になってしまうというのである。
 実際、マルクスの独自性はむしろ、労働が常に一定の社会関係のもと
 で行われることを認識している点にこそあるのだ。
  メサーロシュはこの点を、人間と自然の物質代謝における社会的構
 造化の必然性という形でまとめている。「人類が生存しようとする限
 り、一次的媒介の決定的な機能が継続可能になるような根源的な構造
 的関係性を確立するという要請から逃れることはできない」(Meszaros
  1995: 1399) 
。この要請から、コミュニケーション、協業、規範、制度、
 法律を媒介とする社会的構造が歴史的に形成さ れるようになる。人
 間と自然の物質代謝の編成はこの観点からすれば、「第一階層」の自
 然的・生態学的過程と並んで、同時に社会的・歴史的過程でもある。
 後者の具体的な形態はそれぞれの時代や場所における社会関係によっ
 て大きく変化する。それらは、メサーロシュの表現を使えば、「歴史
 的に特殊な社会的再生産システムの第二階層の媒介(second order  me-
    diations」(Meszaros 1995: 139‐40)を構成するのだ。
                                         この項つづく



 
ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

今夜の寸評 :夢をあきらめない

  

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「マルクスのエコロジー」の再発見

2024年01月26日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

【今日の短歌】

    さびしさに堪へたる人の たもあれな 庵ならべむ冬の山里    西行

意  味:私のように寂しさに堪えている人が他にもいるといいなあ。そしたらそ
        の人と家を並べて住みたいものです、この山里で。
修辞法:三句切れ、体言止め

西行(さいぎょう;1118年-1190年3月23日)は、平安時代末期から鎌倉時代初期
にかけての日本の武士であり、僧侶、歌人。西行法師と呼ばれ、俗名は佐藤義清
(さとう のりきよ)。72歳とは龍作(実弟)の享年。
一昨夜からの雪の夫婦子で除雪を行うも、県道はいつもと変わらず車が行き交う。
夜をむかえ、大阪の実弟、吉野の叔父、伯母の家を想い、能登半島地震の被災地
を想う。



 

 黒の革命

2023年,CNT世界出荷量は10,000tを超える
1月24日,矢野経済研究所は,2023年のカーボンナノチューブ世界市場を調査し,
製品セグメント別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかに。
【概要】2023年のカーボンナノチューブ(CNT)世界市場規模は,メーカー出荷
量ベースで前年比150.4%の10,986tになる見込みだという。 自動車メーカー(
OEM)各社が電動化を加速させ,2021年にはxEV(EV,HEV,PHEV)の世界生産台
数は大幅な伸長率を示しており,CNT世界市場は車載用リチウムイオン電池(LiB)
の導電助剤用途の需要が拡大しているが。2022年には主要国の補助金政策の変更
などに伴い,xEVの市場成長に鈍化の兆しがみられ,2023年も減速感が強まって
いる。CNTの需要もxEV市場の好不調の影響を受け,概ね同様の傾向で推移してい
るものの,2023年は韓国LiBメーカーによる多層CNTの採用が拡大したことから,
前年比150.4%の成長率になると見込みだという。



今回の調査で注目した2023年における多層CNTの世界市場規模は,メーカー出荷
量ベースで前年比142.8%の10,940tになる見込みだという。多層CNTの地域別需要
構成比をみると,中国がおよそ75%を占める一大需要地となっている。 また,こ
こ数年は導電助剤として多層CNTを採用した韓国LiBメーカーが欧州向けの出荷を
拡大させていることなどから,需要地として欧州のシェアが高まる傾向にある。
足元では北米での需要も増えており,相対的に需要地としての日本のシェアが低
下している。その他の地域は,韓国や東南アジアなど。

【展望】今後も,車載用LiBの正極材におけるリン酸鉄リチウム(LFP)の復調と
三元系(NCM)のハイニッケル化が追い風となり,多層CNTの需要は高い成長率が
続く見通しだとしている。 また,単層CNTでもxEVの急速充電性能向上に向けた,
シリコン負極材への導電助剤適用の広がりとともに,車載用LiB向けの需要が本
格化する見込みだという。こうしたことから,CNTの世界市場規模は2028年には
5万tを超えるものと予測 。
※最新注意:「リスク・インパク・ゼロ化」の併行研究。



Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 194 アフターコロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング 



ホンダとGM 次世代燃料電池システム量産開始 生産コスト3分の1
1月26日。自動車メーカーのホンダとアメリカのGM=ゼネラル・モーターズは、
ことし日本とアメリカで発売する予定の燃料電池車に搭載する次世代の燃料電池
システムの量産を始めたと発表。生産コストを従来の3分の1におさえているのが
特徴で、ほかの企業にも販売していく方針。ホンダとGMは25日、アメリカ中西部
ミシガン州デトロイト近郊にある合弁会社の工場で次世代の燃料電池システムの
量産を始めたと発表した。新たな燃料電池システムは、材料の見直しなどで生産
コストを従来の3分の1まで大幅に削減したほか耐久性も2倍に高め、マイナス30
℃という寒さが厳しい地域でも稼働できるのが特徴。



ホンダは脱炭素に向けてEV=電気自動車とともに水素事業に力を入れている。ホ
ンダはこのシステムを搭載したSUV=多目的スポーツ車タイプの燃料電池車を、
ことし日本とアメリカで発売する予定。また、このシステムを車だけでなく電源
装置としてほかの企業にも販売していく方針。 ホンダとGMの合弁会社の鈴木哲
男副社長は「この燃料電池が信頼性があるものだということを理解してもらい、
販売を拡大していきたい。需要が増えれば価格も安くなるので多くの燃料電池を
早く世の中に普及させたい」と話す。

【関連特許技術】
1.特許第7313024号 燃料電池触媒用炭素担体および燃料電池用触媒 東洋炭
 素株式会社他
【要約】 耐久性と、触媒金属を担持させた際の触媒活性とに優れる、燃料電池
触媒用炭素担体および燃料電池用触媒を実現する。本発明の一実施形態に係る炭
素担体は、CuKα線によるX線回折スペクトルにて、(002)面の回折ピー
クが少なくとも2θ=22.5~25°、26°および26.5°に観測され、
2θ=26°のピークP1と2θ=26.5°のピークP2との強度比I(P1)
/I(P2)が1.4以上、BET比表面積が1000m2/g以上である。


図1 実施例において、ピーク強度比に対して触媒金属の結晶子サイズをプロッ
トしたグラフ

2.特開2023-150877 燃料電池スタックの製造方法及び接合セパレータの製造方
 法 本田技研工業株式会社
【要約】下図6のごとく、第1金属セパレータ30に形成された連通孔ビード部
53と外周ビード部54からなる第1ビード構造52、第2金属セパレータ32
に形成された連通孔ビード部63と外周ビード部64からなる第2ビード構造を、
第1ビード構造52と第2ビード構造が外側に突出するように厚さ方向に重ねて
接合して接合セパレータ33を形成し、その後、連通孔ビード部53、63と外
周ビード部54、64との2重ビード部の隙間の部分に変形を抑制する変形抑制
部材74を配置し、連通孔ビード部53、63及び外周ビード部54、64に上
型76と下型78とにより荷重を付与し、連通孔ビード部53、63と外周ビー
ド部54、64を塑性変形させ、高さを均一とする工程を有し、金属セパレータ
を有する、単電池を積層し優れた気密性を有する燃料電池スタックの製造方法を
提供する。


図6Aは、変形抑制部材の取付部位を示す平面図であり、図6Bは、予備押圧工
程の説明図である。
【符号の説明】10…燃料電池スタック 12…発電セル 30…第1金属セパレ
ータ 32…第2金属セパレータ 33…接合セパレータ 53…連通孔ビード部
54、64…外周ビード部 63…連通孔ビード部 64…外周ビード部 74…
変形抑制部材

3.特開2023-131819 燃料電池スタックの製造方法 本田技研工業株式会社
【要約】下図3のごとく、料電池スタック10の製造方法は、膜電極構造体30
と、膜電極構造体30を挟持する一対のセパレータプレート46、48と、シー
ル部材58とを含む発電セル14を複数積層する積層工程P5と、積層された複
数の発電セル14に圧縮荷重を付与する圧縮工程P6とを含む。圧縮工程P6は、
膜電極構造体30が塑性変形され、かつ、シール部材58が弾性限界を超えない
ように、圧縮荷重を付与する。

図3 発電セルの積層方向の断面を示す図

 【符号の説明】 10…燃料電池スタック 12…発電セル積層体 28…セパ
レータ 30…膜電極構造体 46…セパレータプレート(第1セパレータプレー
ト) 48…セパレータプレート(第2パレータプレート) 50…流体流路部(
酸化剤ガス流路部) 52a、52b…ビード部 54…流体流路部(燃料ガス流
路部) 58、58a、58b…シール部材 60…治具 62…第1プレス片
64…第2プレス片 66…制御装置



 マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
 斎藤幸平/ 竹田真登
 講談社(2023/10発売)
 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
 Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

 目次
 第一部 マルクスの環境思想とその忘却
  第一章 マルクスの物質代謝論
  第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
  第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
 第二部 人新世の生産力批判
  第四章 一元論と自然の非同一性
  第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
 第三部 脱成長コミュニズムへ
  第六章 マルクスと脱成長コミュニズム 
MEGAと1868年以降の大転換
  第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ

----------------------------------------------------------------------
   第一章 物質代謝論と環境危機 
 
  第二節 「マルクスのエコロジー」の再発見
  マルクスの物質代謝論を環境問題との関連で把握するために大きく貢献し
 たのは、ハンガリーのマルクス主義者メサーロシュ・イストヴアンである。
 物質代謝概念に注目していたメサーロシュが1970年代初頭にすでに資本主義
  のもとでの環境問題を論じていたことは、偶然の一致ではない。さらに、
 『資本を超えて』(Mezaros 1995)においてマルクスのエコロジカルな資本
  主義批判を前面に押し出した事実は、メサーロシュが長年にわたりマルクス
  の物質代謝論に取り組んできたことの理論的集大成とみなすべきなのである。
   1971年、メサーロシュは第1回ドイッチャー記念賞の受賞講演の冒頭で、
  「私たちの生物学的存在を脅かす」核戦争のリスクを警告したアイザック・
  ドイッチャーに言及している(Deutscher)。そのうえで、メサーロシュは
  ドイッチャーの警告を「全人類」に対するもうひとつの存亡の危機、すなわ
  ち資本主義の環境破壊にまで拡大したのである。当時、メサーロシュはまだ
  物質代謝概念を用いておらず、暫定的なものであったが、それでも1972年に
  ローマクラブが『成長の限界』を発表する前に、マルクス主義者が環境問題
  を深刻視している事実は注目に値する。
  講演のなかで、メサーロシュは環境問題を資本主義の「根本矛盾」として
 次のように定式化している。

    制御をめぐる資本主義システムの根本矛盾は、いかに破滅的な帰結を
    もたらすものであっても、そのシステムが「前進」を破壊から、また
    「進歩」をゴミから分離できないことである。生産性の力を解放する
    ほど破壊の力を解き放だなければならず、生産量を拡大するほどあら
    ゆるものを窒息させるようなゴミの山の下に埋没させなければならな
    いのだ。(Mearos[1972] 2014: 49‐50)
    
  メサーロシュによれば、無際限の資本蓄積の過程で膨大な廃棄物を産む破
 壊的な生産システムは、人間の解放をもたらすことはない。それどころか、
 長期的には社会の繁栄のための物質的条件を切り崩すことにならざるをえな
 いと警告したのだ。当時の多くのマルクス主義者たちが資本主義のもとでの
 生産力の発展を人類史の推進力として受け入れていたことを考えると、メサ
 ーロシュの発言はかなり踏み込んだものである。
  地球が有限である以上、資本蓄積に絶対的な生物物理学上の限界があるこ
 とは明らかなはずだ。けれども、資本は自らに制限を課すことはできない。
 むしろ、資本は絶えずこの制限を乗り越えようとして、社会と自然に対する
 破壊性を増していく。それゆえ、人間の生存と自然環境の保全のためには、
 資本主義的発展の破壊的な性格に終止符を打つことを目的とした「社会的制
 御の必要性」が生じるのである。しかし、そのような社会的生産の計画化は
 資本主義的生産の無政府性と相容れない。だからこそ、自由にアソシエート
 した生産者による質的に異なる生産の組織化----つまり、社会主義システム
 が必要だとメサーロシュは訴えたのだ。
  15年後、メサーロシュは『哲学・イデオロギー・社会科学』(1985年)に
  おいて、資本による自然の劣化と破壊の問題を物質代謝概念を用いて初めて
 定式化し、「すべての真剣なエコロジー論にとって」、物質代謝概念が重要
 だと強調するようになる。メサーロシュによれば、究極の問題は「資本が安
 全に乗り越えられるものと絶対的なものとのあいだに真の区別を決してつけ
 られないことである。というのも資本は、その結果がどうなるのであれ、自
 己増殖する交換価値の盲目的な命令に従って、自分の歴史的に特殊な要求を
 絶対的な要求として主張しなければならないからだ」(Meszaros 1986; 195)
 然性を「自然的必然性」として誤認してしまうために、資本が本当は決して
 乗り越えることのできない「自然的必然性」の存在を認識できないというの
 である。
  本来、「自然的必然性」をなすのは、自然の普遍的な物質代謝によって人
 間は例外なく制約を受けるという生産の根本条件であり、生物物理学的な事
 実だ。ところが、資本はその代わりに、自然の絶対的限界さえも乗り越えら
 れるかのようにふる舞うことを自らの歴史的必然性とみなす。たしかに、一
 部の自然の限界は、科学と技術の助けを借りて安全に乗り越えることができ
 るだろう。だが全ての限界を乗り越えることは明らかにできない。にもかか
 わらず無限の価値増殖のために自然を無理矢理に征服しようとするなら、「
 自然の劣化と究極的破壊」(Meszaros 1985.183)を引き起こしてしまうとい
  うのである。
  とはいえ、そのような指摘は、今日では比較的自明なことに思われるかも
 しれない。だが、メサーロシュはここで弁証法的に議論を転倒させる。資本
 は自然によって課される絶対的限界を認識できないという矛盾を抱えている。
 だからこそ、諸個人の普遍的発展の条件として「いまある障壁を意識的に認
 識する」ことこそが、革命的行為となるというのだ。「成長の限界」を突破
 するのではなく、受け入れることで資本主義に抗い、社会的制御によって、
 自由を構想する。この反プロメテウス的洞察は、環境主義と社会主義の融合
 に向けた重要な一歩となる。
  そして、この議論がより体系的に展開されるのが、大著『資本を超えて』
  (1995年)である。そして、この作品によって、メサーロシュは、「マルク
 スのエコロジーー」をめぐる言説的布置を大きく変え、フオスターやバーケ
 ットに大きな影響を与えたのだ[08」。その際、メサーロシュはマルクスの
 「社会的な物質代謝」概念に着目することで、資本主義生産様式が歴史貫通
 的な人間と自然の物質代謝を(再)組織化する歴史的に特殊な方法を分析し
 ていったのである。
  なぜこのアプローチが重要かといえば、伝統的なマルクス主義が剰余価値
 論を重視し、資本家による労働者階級の搾取の存在を暴露することに専念し
 たのに対して、メサーロシュはそのような狭い視点へのアンチテーゼとして、
 物質代謝概念の重要性を強調するからだ。つまりメサーロシュは、物質代謝
 論によって、資本主義批判の理論的射程を工場の外部にまで拡張しようとす
 る。実際、マルクスは「社会的物質代謝の過程」を商品と貨幣が流通するな
 かで「ある有用な労働様式の生産物が別の有用な労働様式の生産物と入れ換
 わる」(『資本論』第一巻、138頁)過程として特徽づけている。メサーロ
  シュの物質代謝論は、資本主義のもとでの社会的生産と再生産の歴史的ダイ
 ナミズムについての、包括的で統合的なアプローチを可能にしたのである。
  そもそも物質代謝概念の重要性は今日でもしばしば過小評価されているが、
 『資本論』を正しく理解するために、この概念は不可欠だ(佐々木2016)。
  というのも、マルクス主義のもっとも根底的なカテゴリーである「労働」を、
  マルクスは人間と自然の物質代謝に関連づけて定義しているからである。

      労働は、まず第一に人間と自然とのあいだの一過程である。この過程
       で人間は自分と自然との物質代謝を自分自身の行為によって媒介し、
       規制し、制御するのである。(『資本論』第一巻、234頁)
 
  人間と自然の物質代謝の過程はまずもって、自然的・生態学的過程であり、
  どの歴史的段階にも共通するものである。なぜならば、人間は労働を通じて
 自然に働きかけることなしには生きることができないからである。この点を
 強調しながら、マルクスは続けて次のように述べる。

    労働過程は、人間と自然とのあいだの物質代謝の普遍的な条件であり、
   人間生活の永久的な自然条件であり、したがって、この生活のどの形態
   にもかかわりなく、むしろ人間生活のあらゆる社会形態に等しく共通な
   ものである。(『資本論』第一巻、241頁)
                                                         この項つづく

 

 

 



 

ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

  

吉田拓郎 永遠の嘘をついてくれ
歌詞/作曲 中島みゆき 編曲:吉田拓郎
1995.06.21


 

コメント
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能登半島地震考 ②

2024年01月23日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。


2010.05.08                                   2024.01.11
画像 鹿磯漁港の地震前後の隆起状況比較空中写真

2024.1.1 能登半島地震とは
能登半島地震は、2024年1月1日16時10分(JST)に、日本の石川県能登半島にあ
る 鳳珠郡穴水町の北東 42kmを震央として発生した地震。地震の規模は、気象庁
マグニチュード(Mj)7.6、震源の深さは16 km(いずれも暫定値)]。観測された
最大震度は、石川県羽咋郡志賀町で観測された震度7で、震度7を記録した地震の
発生は2018年の北海道胆振東部地震以来、7回目。また気象庁によれば、この地
震 は石川県能登地方で観測した地震としては、記録が残る1885年以降で最大規
模。 地震発生を受け、気象庁は石川県能登に大津波警報を、日本海各地の沿岸
にも津 波警報・注意報を発表した。大津波警報の発表は、2011年3月11日に発生
した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災を引き起こした巨大地震)以来で、石
川県輪島市の輪島港では最大1.2m以上の津波が観測された。同日、気象庁はこの
地震並びに2020年12月以降の一連の地震活動を「令和6年能登半島地震」と命名
地震災害に対して気象庁が命名を行うのは、2018年9月の北海道胆振東部地震以
来。地元紙の『北國新聞』では1.1大震災、能登大地震、石川大震災という名称
も用いられた。 via jp.Wikipedia

2024.1.2 日本航空516便衝突炎上事故とは
2024年1月2日、日本の東京都大田区の東京国際空港(羽田空港)で着陸した日本
航空516便が海上保安庁の航空機と滑走路上で衝突・炎上した航空事故である。
516便には乗客367人と乗員12人の合わせて379人が搭乗しており、乗客14人が負
傷しながらも全員が脱出した。海保機には6人が搭乗しており5人が死亡、機長が
重傷を負った。

事故機
1.日本航空516便 

事故機のJA13XJは日本航空(以下JAL)にとって13機目のA350-900であり、2021
年11月18日に運用を開始した。本事故はエアバスA350における世界初の機体全損
事故であり、JAL所属の機体が起こした全損事故では1985年8月12日のJAL123便墜
落事故以来となる。この便は社内規定に基づく副操縦士の訓練を兼ねており、機
長と副操縦士に加えてセーフティパイロットの副操縦士が乗務していた。

2.海上保安庁所属みずなぎ1号
機長は総飛行時間3641時間のベテランで2017年2月に機長となってから1149時間
余りの経験があった。前日(1日)には中国公船警戒のため別の機体で沖ノ鳥島
周辺まで7時間の飛行を行っていたが、ある海保幹部は直前の勤務状況は過酷では
なく健康状態に問題はなかったとしている。事故機のJA722A「みずなぎ1号」は、
事故前24時間において。前日に発生した令和6年能登半島地震の対応のため2回飛
行していた。事故時は被災地向けの物資を中継場所となる新潟航空基地へ搬送す
る途上であった。当初の報道では「海上保安庁の固定翼機(MA722)」として言
及されていた。また、機種名として「ボンバルディアDHC8-300」とする報道機関
もある。当機は2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災
による津波仙台空港にて被災し、修復されて約1年後の2012年3月29日に復帰し
た。仙台空港で被災した航空機では唯一復帰した機体であった。なお、当機には
ADS-Bは非搭載であった。

事故原因
事故原因は現在も調査中だが、以下のことが判明している。海上保安庁側の機長
によれば離陸の許可を得た上で滑走路に進入したとのことであるが、事故翌日に
公表された両機と管制塔との交信記録によれば、事故前に海上保安庁側に滑走路
に入る直前の停止位置までの進行指示が発出され、海上保安庁側も復唱していた
ものの、滑走路への進入許可は発出されていなかったという。 
JAL機はこの際海保機を視認できておらず、海保機が停止位置を誤ったか「ナン
バー1」というJAL機着陸後の離陸順の指示を離陸の許可を得たものと勘違いした
可能性がある
。一方、JAL機は17時43分に滑走路への進入指示を受けていた。そ
の後、着陸許可も出された。(後略) via jp.Wikipedia



能登半島地震と原子力発電所
断層運動と震源周辺の活断層 宍倉正展らの研究によれば、能登半島には更新世
チバニアン以降の海成段丘が発達しており、完新世に形成された3段の低位段丘
面も認められていた。これは、過去数十万年からごく最近まで地盤が隆起してい
たことを示しており、この隆起は主に地震時の断層運動によって生じたという。
本地震では能登半島北部で最大約4 mの隆起が生じており(後述)、鹿磯漁港の
北では約3.6 mの隆起により波食棚が干上がった様子が確認された。宍倉らはこ
れを4段目の完新世低位段丘面が新たに生じたと解釈している。
東京大学地震研究所の石山らや産総研の宍倉によると、2024年の地震で大きな
隆起が観測された地域では、宍倉らの研究で報告された完新世低位段丘面も周
囲と比べて標高が高く、本地震による隆起量と低位段丘面の旧汀線高度が近似し
ているという。これはこの地域では本地震のようなマグニチュード7級の地震の
繰り返しで低位段丘面を形成していった可能性があるとしている。2007年能登半
島地震以降の沿岸海域調査によって、能登半島の北岸沿岸に沿って南東側隆起の
逆断層の海底活断層群が分布していることが知られていた。井上・岡村(2010)
では西から東に、門前沖・猿山沖・輪島沖・珠洲沖の4つのセグメントに区分し
ている(国交省ほか(2014)のF43に該当)。本地震は、これらの断層による活
動である可能性が指摘されている。また、珠洲沖セグメントの北東延長上には北
西傾斜の逆断層が分布しており、余震もこの断層に沿っても分布しているが本地
震とこの断層との対応関係は不明。本地震以前に提示されていた断層モデル資料
としては、日本海における大規模地震に関する調査検討会(2014)のF43日本海
地震・津波プロジェクト(2015)のNT4、石川県(2023)の津波浸水想定区域図
における能登半島北方沖[36]などが存在していた。一方で、石川県(2023)の想
定地震断層には含まれておらず、地震調査委員会も一連の群発地震活動の評価に
て能登半島北岸の活断層の存在を記述していたが、長期評価は行われていなかっ
た。各地の揺れ 地震観測地点の震度を示したマップ 石川県羽咋郡志賀町で震度
7、七尾市・輪島市・珠洲市・鳳珠郡穴水町で震度6強、鹿島郡中能登町・鳳珠郡
能登町(以上いずれも石川県)と新潟県長岡市で震度6弱をそれぞれ観測した。
また、震度5弱以上と 思われる震源付近の複数の観測所での観測値を気象庁は入
手できていない。 石川県では初めて震度7を観測した地震である。また富山県で
は震度観測が計測震度に移行した1996年以降初めて最大震度5強を観測し、これは
2007年の能登半島地震で観測した震度5弱を上回り、同県内で観測された震度とし
ては1996年以降最大である。

防災科学技術研究所が公表した面的推計震度によると、震度7を観測した志賀町の
ほか、いずれも石川県の輪島市、七尾市、珠洲市、能登町、穴水町において、震
度7相当の揺れであったと推定される地域がある。 強震観測網の観測結果による
と、志賀町のK-NET富来観測点において、本地震で最大の2,828 Galの地表加速度
を計測。気象庁によれば、同地点は2825.8ガルの加速度と計算された。今回震度
7と発表された志賀町香能(K-NET富来、計測震度6.69)の他に、気象庁の発表地
点ではないが、K-NET穴水(計測震度6.58)の観測点は震度7相当を計測した。し
かし、K-NET穴水周辺は木造建造物の全壊率が22.8%と被害が著しいのに対しK-NE
T富来周辺は0%(暫定)と被害が少ない。

京都大学防災研究所の研究グループによれば、非公式ながら、これはK-NET穴水
は建造物への影響が大きい周期1-2秒の弾性加速度応答スペクトルが大きいのに
対しK-NET富来は周期0.5秒以下の極短周期の弾性加速度応答スペクトルが卓越し
加速度が大きいものの、周期1-2秒の弾性加速度応答スペクトルが小さいためで
あると公表。
なお、K-NET穴水は2007年能登半島地震の時、やはり周期1-2秒の弾性加速度応答
スペクトルが大きく、周辺の家屋の全壊率19%と大きな被害となっている。
その後建て替えられたり、その時倒れずに残った家屋など建物群としてはより耐
震性が高くなっている状況下での今回の被害という点を考慮する必要があり、
今回の状況は同様に周期1-2秒の弾性加速度応答スペクトルが大きかった1995年
兵庫県南部地震の鷹取駅周辺や、2016年熊本地震の益城町並みの甚大な被害と
なったとしている。震度6強と発表された輪島市鳳至町(輪島特別地域気象観測
所に併設) および震度6強を計測したK-NET輪島の周辺も木造建物全壊率が30%
前後と、震度7の志賀町香能よりもはるかに甚大な被害とされている。これもK-N
ET輪島の周期1-2秒の弾性加速度応答スペクトルがK-NET富来(志賀町香能)より
大きいからとしている。



M7.6能登半島でもし志賀原発が再稼働していいたら
2024年1月1日の夕方、日本海側を襲った大地震はかつての福島第一原発事故の記
憶も呼び起こしたが、能登半島にある志賀原子力発電所は大丈夫だったのか。ち
ようど昨年3月、「敷地内に活断層はない」と判断され、両稼働に向かっていた
が、もし先に動いていたら?

安全上問題なしでも被害は出ている
東日本大震災に匹敵する最大震度を記録レ石川県を中心に広い範囲で深刻な被害
をもたらした能登半島地震。今なお頻繁に余震が続き、被害の全貌すら見えない
中で気になるのが、今回の震源に近く、震度7の揺れか観測された石川県の志賀
町に立地する志賀原子力発電所の状況。幸い、1号機、2号機とも運転停止中で、
再稼働に向けた原子力規制委員会による審査が進んでいる最中だった。そんな志
賀原発を保有する北陸電力は、地震発生時から一貫して「外部電源や必要な監視
設備、冷却設備等については機能を確保しており、安全上問題となる被害は確認
されておりません」という説明を続けてきた。
実際、原発周辺の自治体が設置したモニタリングポスト(空間の放前線量率をリ
アルタイムで測定する監視装置)でも、これまで異常を示す数値は示されていな
いことから、放射能漏れなどの深刻な事故が起きていないというのは事実だろう。
しかし、今回の地震で志賀原発がまったくの無傷だったかといえば、そうではな
い。むしろ、今回の地震で志賀原発の安全性に関する多くの懸念があらわになっ
たのではないか
。むしろ、今回の地震で志賀原発の安全性に関する多くの懸念が
あらわになったのではないかと思います」とそう指摘する原発問題に詳しいジャー
ナリストの青木美希氏(下画像)。志賀原発では今回の地震で 外部電源を受ける
ために必要な主変圧器が故障し、2万リットルもの油が流出。その影響で 複数
系統ある外部電源の1系統が使用できない状態になっているという(1月10日時点)。
また、使用済み燃料プールでは、1号機、2号機共に地震の揺れで冷却水力i建屋
内にあふれ出て,2号機ではプール内に異物が落下する事故も発生。原発の敷地
内で複数の地割れや段差ができているほか、津波対策のために造られた高さ4mの
防波堤においても基礎の沈降や傾きが確認されている。
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青木美希[アオキミキ] :ジャーナリスト、作家。札幌市出身。1997年、
北海タイムス入社。同紙の休刊にともない、1998年9月に北海道新聞入社
札幌での警察担当のときに北海道警裏金問題を手がける。2010年9月、全
国紙に入社。東日本大震災では翌日から現場で取材した。現在も個人として取
材活動を続けている。「道警裏金問題」取材班として菊池寛賞。同取材班と、
のちの原発事故検証企画「プロメテウスの罠」、「手抜き除染」報道の両取材
班で、新聞協会賞を3度受賞。初の単著『地図から消される街』(講談社現代
新書)は福島第一原発事故の実情を描き、貧困ジャーナリズム大賞、日本医学
ジャーナリスト協会賞特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞
した。2023年から日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長
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いずれも、北陸電力は『現時点で安全上の大きな問題はない』としているが、現
状、変圧器故障の原因はわかっておらす、相次ぐ余震で残る系統が壊れる可能性
も否定できない。2007年に発生した中越沖地震では、新潟県の柏崎刈羽原子力発
電所で今回のように変圧器から大量の油が漏れ、火災が発生するという事故も起
きている。いずれにせよ、今回の地震で志賀原発の設備に大きな被害が出ている
ことは否定できないが、幸い、今回は運転停止中でしたが、すでに志賀原発が再
稼働していたら……原発の緊急停止や、その後の冷却等で、より難しい対応を迫
られたかもしれない。もうひとつ、気になるのが原発周辺のモニタリングポスト
の故障だ。実は志賀原発周辺に設置された116ヵ所のモニタリングポストのうち
、18ヵ所が故障し、データが取得できなくなったという。
1月10日に行なわれた原子力規制委員会の記者会見で、この点について質問された
同会の山中仲介委員長は「原発周辺15・圏内のモニタリングポストは正常に機能
しており、故障した地域についても、可搬型(持ち運び型)の計測器やドローン
などが使用できるので、特に大きな問題ではないと考えている」との見解を示し
たが
、故障したモニタリングポストの多くは地震の被害が大きかった地域に設置
されていたもので、仮に深刻な放射能漏れが起きた場合に、そうした地域の放射
線扇を把握できないのは問題だろう。
「2011年の東日本大震災の際には、被害の大きかった地域のモニタリングポストが
使えなくなり、自治体の職員が放射線被曝リスクを覚悟して可搬型のモニタリング
装置を設置したと聞いています。地震で障害が出やすい有線通信や携帯の通信網に
加えて、衛星通信を利用するなどの対策が早急に必要だと青木氏は話す。

再稼働に向けて動いていた最中
このように、さまざまな問題点が浮き彫りになった志賀原発だが、実はもっと深
刻な問題がある。それは、ほかならぬ゛原発の立地4に関する不安だ。志貢原発の
再稼働に向けた安全性の審査では、ここ数年、「原発の敷地内にある活断層の評
価」が大きな論点になっていた。原子炉建屋やタービン建屋という重要な施設の
下にある断層が「活断層」(将来活動する可能性のある断層)であれば、新たな
原発の設置基準を満たせす、安全性審査を通過できない。これについては、2016
年4月の時点で『志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合』GA

『活断層にあたる』との結論を示したがこれに納得しない北陸電力との間で意見
が対立。昨年3月、原子力規tl』委員会が、自ら指名した有識者会合の結論を覆
して「活断層等ではない』との判断を下したことで、原発の再稼働に向けた最大
のハードルを越えたばかりである。だが、地図を見ればわかるように、そもそも
能登半島は多くの活断層が存在する密集地帯。しかも、今回の能登半島地震を引
き起こしたのは、能登半島の沿岸、全長約150キロメートルに及ぶ゛未知の活断
層であった可能性が高いといわれる。未知の活断層は日本列島に3万ヵ所以上
ると指摘する研究者もいる中、それらが引き起こす地震の可能性を完全に予見す
ることなど不可能だ、というのが今回の地震が改めて示した教訓ではないだろう
か。
また、北陸電力は昨年3月志賀原発を「最大1000ガル(1秒間の地震動の加速度を
示す単位)の地震にも発電所設備か耐えられるように、耐震補強を実施する」と
の方針を示していたが、今回の志賀町の揺れの最大加速度は2826ガルと、実にそ
の2.8倍以上だったというのも、東日本大震災の際に最大津波高を甘く見楠もっ
て、未曽有の原子力災害を生み出した、福島第一原発の々想定外4を思い起こさ
せる。当初の発表では、志賀原発で観測した揺れの加速度は想定の基準内に収ま
っているとしていたが、その後、1、2号機の原子炉建屋の基礎部分で設計上の想
定を上回ったことが明らかに。
原子力規制庁は「原子炉建屋などに異常はない」と説明しているが、それでも変
圧器が故障し、大畠の油漏れが発生したということになるわけで「想定すべき地
震の規模」も「それに対する備え」も、十分だったとはいえないだろう。

避難計画も破綻していた
想定の甘さは、仮に原子力事故が起きた場合の避難計画にもあったと話す。指摘
する。今回の能登半島地震の震源に近い珠洲市や輪島市などを中心に多くの家屋
が倒壊レ道路交通網が寸断されるなど、いまだに深刻な被害が続いているが、も
しこの状態で深刻な原子力災害が起きていたら、原子力規制委員会が定めた原子
力災害対策指針で示された近隣住民の屋内退避は不可能です。各自治体が整備す
ることになっている避難計画は間違いなく破綻する。
これは、志賀原発と同様に半島部分に位置し、住民の避難が困難だと指摘されて
いる鹿児島県の薩摩川内原発についても同様で、原発事故の際の現実的な避難計
画が策定できなければ、原発は再稼働しないというのが、本来、原子力規制委員
会の考え方だったはすで。これまでの北陸電力の発表や原子力規制委員会の会見
を見る限り、志賀原発に深刻な安全性の問題は起きていないという点ばかりを強
詞しているように感じられる。だが、多くの人命が奪われ、各地に大きな被害を
もたらした今回の能登半島地震で、深刻な原子力災害を免れたからといって、原
発の安全性が保証されたわけではないはす。むしろその過程で明らかになった安
全上の課題に真摯に向き合い、ほかの原発も含めた原子力規制委員会の安全性審
査や、今後の原発のあり方に関する幅広い議論に生かすべきだと言う。列島中を
活断層が走り、世界有数の地震大国の日本で本当に安全な原発は可能なのか。ま
ずは、今回の地震をきっかけに抜本的な議論の見直しが必要ではないだろうかと
結んでいる。
via 週プレNEW 2024.1.18
川喜田研 ジャーナリスト
1965年、神奈川県生まれ。92年、ニューズ出版入社。雑誌「F1速報」「レーシン
グオン」でF1担当編集者、スタッフライターとして勤務。99年に独立し、以後、
約10年にわたりF1の現場取材を続けながら、雑誌「F1速報」「レーシングオン」
「週刊オートスポーツ」「カーグラフィック」「週刊プレイボーイ」「スポルテ
ィーバ」などに執筆。著書に『さらば、ホンダF1 最強軍団はなぜ自壊したのか
?』(2009年、集英社)がある。 
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エアロゾル支援溶媒処理: 
ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性
向上させる普遍的な方法
前回のつづき
【結果及び考察】
2. 結果と考察
2.1 デバイスのパフォーマンスを最適化するためのエアロゾル処の調整
エアロゾル処理中、堆積したままの膜は固体のままである、つまり、ペロブスカ
イト膜の溶解および/または再結晶化が存在しないことに注意が重要。提案されて
いる粒子成長のメカニズムを図 1c に模式的に示す。 溶媒液滴を含むエアロ
ゾルはペロブスカイト膜の表面に輸送され、そこで液滴が蒸発して化学蒸気が形
成。 ここで、フィルム表面近くの DMF 蒸気の量は、フィルムを完全に溶解する
には不十分です。 その代わりに、蒸気は粒子間の物質輸送を促進し、その高い表
面エネルギーにより、より小さな粒子は除去され、より大きな粒子に物質が移動
して粒子の成長が促進される。 図1d〜gに、堆積したままのMAPbI3とおよび10分
間エアロゾル処理したMAPbI3典型的な表面走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示し、
図1hに横方向の粒径の統計データを示します。 結果は、エアロゾル暴露時間が
増加するにつれて、平均粒子サイズが継続的に増加することを示す。
2分のフィルムは通常、大きな粒子と共存する小さな粒子 (図 1e) を示すが、フ
ィルムは主に大きな粒子で構成され (図 1f)、粒子サイズ分布の減少を伴う (図
1h)。 これは、オストワルド熟成モデル、つまり、小さな粒子の消費によって大
きな粒子の成長が起こる粒子の粗大化と一致。エアロゾルが継続的に供給される
ため、処理を10分延長すると連続的な粒子の成長が生じ、その結果、ピンホール
ボイド (図 1g)、および表面粗さの増加 (図 S2a ~ c、サポート情報) などの
望ましくない形態が生じる。 これは、粒子の表面エネルギーを最小化する傾向
があり、最終的には基板からのディウェッティングを引き起こす、粒子の成長中
に起こる形態学的転移によるものであると考える。図1iは、正孔輸送層(HTL)と
してポリ(N,N”-ビス-4-ブチルフェニル-N,N”-ビスフェニル)ベンジジン(Po
lyTPD)を使用するp-i-nアーキテクチャで調製されたPSCの光起電力パラメータ
の統計データを示す。) および電子輸送層 (ETL) としてフェニル C61-酪酸メチ
ル エステル (PCBM) を使用する場合、デバイスの準備情報はサポート情報に記載
されている。 曲線因子 (FF) と開路電圧 (VOC) の増加に起因して、平均 PCEが
18.7% (未処理、 分) から、処理ありの 19.3% (2分) および 20.0% (5分) に増
加したことを観察しうる。)。 ただし、是正を10分に延長すると、PCEは16.6%
に低下。これを、潜在的な分路経路として機能するボイドまたはピンホールの出
現と、粗さが典型的な PCBM の厚さ (約40nm) に近づくか超えると、粗さの増加
が ETLの不均一な被覆率に関連している可能性が高いという事実に起因すると考
えている。 このような変化は、開回路での電荷再結合の強化や電荷抽出の妨げに
つながる可能性があるが、より大きな粒子を持ち、したがって粒界が少ない純粋
なMAPbI3膜は実際に、より長い処理後のPL収率と寿命の向上を示しています(図
S2d、eサポート情報)。したがって、粒子サイズの向上と膜の粗さの間の最適な
バランスは、5分間のエアロゾル暴露で発生する。最適化されたエアロゾル処理の
一貫性と均一性を強調に、溶媒蒸気アニーリング (SVA) を使用しデバイスを準
備したデバイスと比較。これは、加熱された表面と表面の間の体積に閉じ込めら
れた溶媒蒸気を使用する堆積後処理方法である。上部の境界 - 通常はひっくり
返ったペトリ皿。 どちらの方法でもデバイスの PCEが向上。 ただし、統計デー
タは、SVA デバイスの変動 (図 S3、サポート情報) が大幅に大きく、たとえば
PCE の変動が 4倍大きいことを示す。2.5 × 2.5 cm の基板全体の粒子サイズ分
布の分析により、エアロゾル処理されたフィルムは、SVAで処理されたフィルム
と比較して、はるかに狭い粒子サイズ分布を示すことが明らかにする (図 S4a、
サポート情報)。 これは、CFD シミュレーションが示すように、対流によって駆
動される SVA 中の溶媒の移動が原因であり、その結果、溶媒と膜の相互作用が一
貫性がなく制御されないことが原因であると考ええる (図 S4b、サポート情報)。

2.2 微細構造の特性評価
X 線回折を使用した構造分析 (図 2a) は、優先的な (110) 結晶配向の発達によ
り、エアロゾル処理されたフィルムの結晶化度が大幅に増加していることを示す。
14.1° 2θ での (110) 回折ピークの詳細な分析。 (図 2b) は、ピークの半値
全幅 (FWHM) が減少していることを示す。これは、微結晶サイズの増加を誘発す
るエアロゾル処理と一致する。




図2 ペロブスカイト膜の構造特性評価。
a) 未処理ペロブスカイト膜とエアロゾル処理ペロブスカイト膜の典型的な X 線
回折 (XRD) パターン。 b) (110) 回折ピークの拡大図。これらのデータは、ピー
ク位置と半値全幅の比較のために正規化されていることに注意。 c、d)完全な
太陽電池の断面走査型透過電子顕微鏡 - 高角度環状暗視野(STEM-HAADF)
画像(スケールバー = 200 nm)、e、f)エネルギー分散型 X 線分光法(EDX)マ
ッピング。 g、h) Pb/N 濃度の EDX マッピング (カラースケールは化学量論から
の偏差 1 に対応)。 すべての EDX マップのスケール バーは 200nmに対応。 重
要なことに、図 1d ~ g の SEM 解析の分解能では粒子内効果が明らかになって
いない。 走査透過型電子顕微鏡 (STEM) イメージングとエネルギー分散型 X 線
(EDX) 分光法を組み合わせて使用することで、化学組成のナノスケールの変化を
調べることができる。これらの信号は同時に取得されるため、画像と組成マップ
を直接関連付けることもできる。 未処理およびエアロゾル処理した MAPbI3 フ
ィルムの断面 STEM 高角度環状暗視野 (HAADF) 画像を図 2c、d に示します (未
処理フィルムの粒界が示されている図 S5 のサポート情報の高倍率画像も参照)
はっきりと見えます)。これらの画像は、エアロゾル処理によりペロブスカイト
層の粗さが増加したことを確認しており、AFM トポグラフィー マップとよく一致
する。 これらの領域の EDX マップを図 2e ~ h に示す。 ここでは、化学量論
的な 3:1 (I:Pb) および 1:1 (Pb:N) 比からの偏差を表すカラー スケールを使用
して、I:Pb および Pb:N 比の空間分布をマッピング。 これらのマップ、および
図 S6a、b、サポート情報に示されている比率ヒストグラムは、エアロゾル処理に
より MAPbI3 膜の組成均一性が改善されたことを示す。さらに、画像とEDXマップ
の相関分析により、I:Pb比が<3(図2e)およびPb:N比であるEDXマップの領域に対
応する、図2cの未処理フィルムの多くの領域が明らかになる。Pb:N比 は >1 (図
2g)、つまり Pb が豊富な領域です。 矢印で示されたこれらの領域は、数百ナノ
メートルのオーダーで分離されており、PbI2 が豊富な領域を示し、粒界または界
面での PbI2 の蓄積と一致しています [26]。 X線光電子分光法(XPS)を使用し
た表面分析(図S6c〜f、裏付け情報)でも、未処理膜の表面上の金属Pb濃度の増
加が示されており、これは以前はすでに存在するPbI2のビーム誘起還元に起因す
ると考えらました。画像の中で。残留 PbI2 は、膜の急速な結晶化とそれに続く
熱アニーリングでの MAI 成分の損失の間の前駆体の局所的な不完全な変換によ
るものであると推測。 興味深いことに、熱処理されている、つまり PbI2形成を
促進することが知られている条件にさらされているにもかかわらず、エアロゾル
処理されたフィルムでは、EDX によるバルクでも XPS による表面でも、Pb の濃
縮は観察されません。これは主に、より効率的な物質移動と粒子成長を可能にす
る DMF 蒸気による。 STEM と XRD のデータを組み合わせたところ、SEM 分析で
見られる粒子の成長に加えて、エアロゾル処理によって MAPbI3 膜のマイクロス
ケールの均一性も向上することが明らかになりました。 PbI2などの不純物相が減
少し、膜全体で組成の均一性が向上し、微結晶が成長して優先配向が増加。これ
らすべてが、観察されたデバイス性能の向上に貢献する。

2.5.2 ホールトランスポート層 (HTL) のバリエーションとHTLフリーデバイス
これまでのところ、製造された高性能デバイスにより、HTL として PolyTPD を
使用したエアロゾル処理の有効性を実証してきたが、PolyTPD はその疎水性によ
り処理に課題が生る代替HTLとして、親水性ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェ
ン)-ポリ(スチレンスルホン酸) (PEDOT:PSS) を備えた p-i-n デバイスと、HTL
フリーのデバイスを検討する。
どちらのアーキテクチャも準備の容易さと材料コストの削減により魅力的であり
特に大量生産に有利ですが、通常はデバイスの性能が低くなります] 図6aは、
異なるHTLを備えたp-i-n PSCの概略的なエネルギー図を示し、図6bは、HTLが変
化したときにPCEがどのように変化するかを示す。
PolyTPD デバイスは、PEDOT:PSS を使用して作成したデバイスよりも優れた性能
を発揮しますが、これは予想通り。 ただし、エアロゾル処理後の PCE の向上は
PEDOT:PSS デバイスでははるかに大きく、平均 PCE は 13.5 ± 0.4% から 17.6
± 0.4% に増加した。
これに対し、PolyTPD デバイスでは 18.7 ± 0.4% から 19.7 ± 0.3% に増加し
た。 HTL フリー デバイスの PCEは、エアロゾル処理後はさらに大きな係数で増
加し、9.6 ± 0.5% から 15.4 ± 0.4% に増加し、最も性能の高いドーパント フ
リー デバイスに匹敵します。 HTL フリー デバイスは以前に報告されている。
J-V 曲線、図 6c、および太陽光発電パラメータ、図S14、サポート情報は、HTL
フリー デバイスのVOCと FFの大幅な改善によって PCE の改善が促進されている
ことを示す。主に PEDOT:PSS デバイスの VOC の改善によるもの。 ここで、膜の
結晶性の向上、イオン欠陥の減少、ペロブスカイトの p ドーピングの減少の組
み合わせにより、HTL/ペロブスカイトまたは ITO/ペロブスカイトの界面でより
好ましいバンド曲がりが形成され、正孔の抽出が促進され表面再結合が減少する。

図6aは、異なるHTLを備えたp-i-n PSCの概略的なエネルギー図を示し、図6bは、
HTLが変化したときにPCEがどのように変化するかを示す。PolyTPD デバイスは、
PEDOT:PSS を使用して作成したデバイスよりも優れた性能を発揮するが、これは
予想通り。ただし、エアロゾル処理後の PCEの向上は PEDOT:PSS デバイスではは
るかに大きく、平均 PCEは 13.5 ± 0.4%から17.6 ± 0.4%に増加し。これに対し、
PolyTPD デバイスでは 18.7 ± 0.4% から 19.7 ± 0.3% に増加。HTLフリー デ
バイスの PCE は、エアロゾル処理後にさらに大きな係数で増加し、9.6 ± 0.5%
から 15.4 ± 0.4% に増加します。これは、以前に報告された最高のパフォーマ
ンスを誇るドーパントフリー、HTL フリー デバイスに匹敵。J-V 曲線、図6c お
よび太陽光発電パラメータ、図S14、サポート情報は、PCE の改善が HTL フリー
デバイスの VOC と FF の大幅な改善によって促進され、主に PEDOT:PSS デバイ
スの VOCの改善によって促進されていることを示す。ここで、膜の結晶性の向上
イオン欠陥の減少、ペロブスカイトの p ドーピングの減少の組み合わせにより、
HTL/ペロブスカイトまたは ITO/ペロブスカイトの界面でより好ましいバンド曲が
りが形成され、正孔の抽出が促進され、表面再結合が減少する。


図3.ペロブスカイト膜の光電子特性評価
a) MAPbI3 ペロブスカイト膜の定常状態の PL スペクトルと吸収スペクトル。
PL は、1.5 mW cm-2 の密度で 635 nm 励起を行う従来の分光計から収集される。
b、c)未処理ペロブスカイト膜(b)およびエアロゾル処理ペロブスカイト膜(c
)の時間分解PLスペクトル。635nm励起、強度0.15および1.5nJ cm-2で測定。 挿
入図は、エアロゾル処理されたフィルムのバンド間経路を介したより大きな再結
合を促進する電子トラップ状態の減少を示す。 HTL/ペロブスカイト界面における
バンドの曲がりの変化を強調する概略画像を、d) 未処理フィルムおよび e) エ
アロゾル処理フィルムについて示す。

電荷再結合メカニズムの変化は、励起強度を変化させた時間分解PL分光法を使用
して解明できます(図3b、c)。 低い励起強度(0.15 nJ cm-2)では、減衰ダイ
ナミクスは未処理膜とエアロゾル処理膜の双指数関数的であり、単分子の電荷ト
ラップに割り当てられた速い初期減衰段階(<10 ns)と、それに続く遅い減衰で
構成。 二分子組換えに起因すると考えられる成分。 このような低い励起密度の
下では、光励起電荷密度がバックグラウンド電荷密度よりもはるかに小さいため、
二分子再結合も擬似単分子の形態をとる。 しかし、これら 2 つのサンプルを
0.15 nJ cm-2 の下で比較すると、エアロゾル処理されたフィルムは高速位相の
大きさが 2 倍減少しており、電荷トラップが抑制されていることを示す。励起強
度を一桁増やして1.5 nJ cm-2 にすると、未処理膜の減衰ダイナミクスは双指数
関数的なままであり、一般にトラップ状態の部分的な充填に起因すると考えられ
る高速位相の大きさは適度に減少。 比較すると、エアロゾル処理されたフィルム
では高速相がほぼ完全に消失しており、光励起された電荷キャリアの大部分が二
分子再結合経路を通過していることを強く示す。 双指数フィットとフィッティン
グに使用されるパラメータは、それぞれ図 S8 と表 S1 のサポート情報に示す。
この欠陥構造の変化が膜のエネルギーに及ぼす影響を調査するために、走査型ケ
ルビンプローブ力顕微鏡を使用して 3 × 3 µm の領域にわたって接触電位差
(CPD) 測定値を取得した (図 S9、サポート情報)。 空間的に平均された接触電位
差 (CPD) データは、ITO 基準と比較して、未処理フィルムでは -76 meV、エアロ
ゾル処理フィルムでは -306 meV のシフトを示す。 これは、エアロゾル処理に
より、HTL/ペロブスカイト界面バンドの曲がりが正孔抽出に有利な方向に230meV
強化されることを示す(図3d、e)。 このデータは、エアロゾル処理後のエアロ
ゾル処理ペロブスカイトの仕事関数の減少も明らかにしており、エアロゾル処理
膜では p 型ドーパントとして機能するイオン欠陥、たとえば Pb 空孔が少ないこ
とを示唆しており、他のすべての分析と一致。 ただし、p ドーピングは基礎とな
る HTL の影響を受ける可能性もあることに注意。

2.4 デバイスの安定性と大面積デバイス
活性層の結晶化度とそのデバイスの安定性への影響に焦点を当てたいくつかの戦
略が報告されている。したがって、結晶化度の向上と欠陥密度の減少が動作安定
性にどのような影響を与えるかを検討することは興味深い。 図 4a は、N2 中で
25 °C での最大電力点 (MPP) トラッキングによって測定されたデバイスの PCE
が、未処理のデバイスとエアロゾル処理されたデバイスの間でどのように変化す
るかを示す。 エアロゾル処理されたデバイスの安定性は、特に最初の 200 ~
300 時間で大幅に向上し、700 時間後には PCE が 10% (t0.9) 減少。 顕著な対
照的に、未処理のデバイスは PCE の急速な低下を示し、最初の 20 時間で約 5%
になり、約 220 時間後に t0.9 に達す。興味深いことに、どちらのデバイスセッ
トでも、約 250 時間後の PCE 低下速度は同様であり、これはおそらく MA ベー
スのペロブスカイトの本質的な不安定性、またはバソキュプロイン (BCP) および
PCBM 層を介した Cu 電極の拡散によるものと考える。 安定性測定のプロトコル
が結果に影響を与える可能性があることを考慮して、図 4b は同じ環境下での
PCE の進化を比較していますが、デバイスを開回路に保持し、定期的に J-V デー
タを取得しています。 MPP 追跡データと一致して、特に最初の 200 時間でデバ
イスの安定性が顕著に向上。 これは相純度の向上と、分解生成物としての PbI2
の核形成と成長を防ぐ局所残留 PbI2 の除去の組み合わせによるものである考え
ている。周囲条件での安定性測定 (図 S10、サポート情報) は、結晶化度の向上
によるエアロゾル処理デバイスの改善も示す。粒径により O2/H2O の侵入が遅れ
る可能性がありますが、予想どおり、これらの条件では全体の動作寿命ははるか
に短くなる。

2.4 デバイスの安定性と大面積デバイス
活性層の結晶化度とそのデバイスの安定性への影響に焦点を当てたいくつかの戦
略が報告されています[14、15]。したがって、結晶化度の向上と欠陥密度の減少
が動作安定性にどのような影響を与えるかを検討することは興味深いことです。
図 4a は、N2 中で 25 °C での最大電力点 (MPP) トラッキングによって測定さ
れたデバイスの PCE が、未処理のデバイスとエアロゾル処理されたデバイスの
間でどのように変化するかを示しています。 エアロゾル処理されたデバイスの安
定性は、特に最初の 200 ~ 300 時間で大幅に向上し、700 時間後には PCE が
10% (t0.9) 減少。 顕著な対照的に、未処理のデバイスは PCE の急速な低下を示
し、最初の 20 時間で約 5% になり、約 220時間後に t0.9 に達す。興味深いこ
とに、どちらのデバイスセットでも、約 250時間後の PCE 低下速度は同様であり、
これはおそらく MA ベースのペロブスカイトの本質的な不安定性、またはバソキ
ュプロイン (BCP) および PCBM 層を介した Cu 電極の拡散によるものと考えられ
る。安定性測定のプロトコルが結果に影響を与える可能性があることを考慮して
図 4b は同じ環境下での PCE の進化を比較していますが、デバイスを開回路に保
持し、定期的に J-V データを取得しています。 MPP 追跡データと一致して、特
に最初の 200 時間でデバイスの安定性が顕著に向上している。これは相純度の向
上と、分解生成物としての PbI2の核形成と成長を防ぐ局所残留 PbI2 の除去の組
み合わせによるものであると我々は考えている。 周囲条件での安定性測定 (図
S10、サポート情報) は、結晶化度の向上によるエアロゾル処理デバイスの改善も
示す。 粒径により O2/H2O の侵入が遅れる可能性がありますが、予想どおり、こ
れらの条件では全体の動作寿命ははるかに短くなります。 2.4 デバイスの安定
性と大面積デバイス 活性層の結晶化度とそのデバイスの安定性への影響に焦点を
当てたいくつかの戦略が報告されている。したがって、結晶化度の向上と欠陥密
度の減少が動作安定性にどのような影響を与えるかを検討することは興味深いこ
と。 図 4a は、N2 中で 25℃での最大電力点 (MPP) トラッキングによって測定
されたデバイスの PCEが、未処理のデバイスとエアロゾル処理されたデバイスの
間でどのように変化するかを示す。エアロゾル処理されたデバイスの安定性は、
特に最初の 200 ~300 時間で大幅に向上し、700 時間後には PCE が 10% (t0.9
) 減少。 顕著な対照的に、未処理のデバイスは PCE の急速な低下を示し、最初
の 20時間で約 5%になり、約220時間後に t0.9 に達す。興味深いことに、どち
らのデバイスセットでも、約 250時間後PCE低下速度は同様であり、これはおそら
く MA ベースのペロブスカイトの本質的な不安定性、またはバソキュプロイン (
BCP) およびPCBM層を介したCu電極の拡散によるものと考えられます。安定性測定
のプロトコルが結果に影響を与える可能性があることを考慮し。図4b は同じ環境
下で PCEの進化を比較、デバイスを開回路に保持し、定期的に J-V データを取得
しています。MPP追跡データと一致して、特に最初の 200 時間でデバイスの安定
性が顕著に向上しています。 これは相純度の向上と、分解生成物としての PbI2
の核形成と成長を防ぐ局所残留 PbI2 の除去の組み合わせによるものであると考
えている。周囲条件での安定性測定 (図 S10、サポート情報) は、結晶化度の向
上によるエアロゾル処理デバイスの改善も示しています。粒径により O2/H2O の
侵入が遅れる可能性がありますが、予想どおり、これらの条件では全体の動作寿
命ははるかに短くなる。
                              この項つづく



  
森昌子 越冬ツバメ
1983.8.21
作詞/作曲:石原信/篠原 義彦(いずれも円広志)


今夜の寸評 年頭から地震・豪雪と気欝が晴れない日が続きます。
         こういう時こそポジティブ・シンキングに全力疾走!

Le Grisbi 現金に手を出すな


  

 

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能登半島地震考

2024年01月22日 | 能登半島地震



根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。


世界初「3Dプリントウナギ」
1月18日、イスラエルのフードテック企業であるステークホルダー・フーズは植
物由来原料の「3Dプリントウナギ」製品を開発(2023年12月27日に発売)。自社
開発の3Dプリンターによる精密な積層技術と独自の素材で「ウナギの複雑な食感
を正確に再現した」と同社。3Dプリントウナギは白身にたれがかかり、かば焼き
の風味を再現したもの。植物由来の代替ウナギとしては日清食品ホールディング
スが2023年5月にプラントベースうなぎを発売したが、3Dプリンターで作成した
ウナギ製品は世界初とみられる。同社は「独自の3Dプリンターと“インク”を提
供し、3Dプリントウナギを販売するパートナー、協力関係を模索している。競争
力のある価格帯での大量生産が可能。現在の世界的なウナギ価格によるコストの
課題に取り組める」と販売協力先を求めている。さらに同社が持つ細胞培養技術
を活用して今後は養殖ウナギの細胞から3Dプリントウナギ開発も進める計画。


エアロゾル支援溶媒処理: 
ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性
向上させる普遍的な方法
【要約】
メタルハライドペロブスカイト太陽電池 (PSC) は、10 年ほど前に初め
て実証されて以来、再生可能エネルギーの状況に変革的な影響を与えて
きた。デバイスの構造的、組成的、形態的制御によって性能が大幅に向
上することが実証されており、製品化が現実のものとなっている。ここ
で、PSC の性能と安定性を向上させるための普遍的な方法としてエアロ
ゾル支援溶媒処理を紹介し、PSC の便利で拡張性と再現性のある堆積後
処理としての方法論を実証結果は、電子欠陥とイオン欠陥の減少を促進
する根本的な物理的変化として、結晶性と粒子サイズの改善とそれに伴
う粒子サイズ分布の狭小化を特定。 これらの変化により、電荷キャリ
アの寿命が延長され、最終的にはデバイス効率が向上する。 このプロ
セスの多用途性は、厚い(>1 µm)活性層、大面積(>1 cm2)、さまざ
まなデバイスアーキテクチャと活性層組成を備えた PSC で実証されてい
る。 この単純な堆積後のプロセスはペロブスカイトの分野全体に広く
応用可能であり、これらの材料の将来の設計原則が改善され、大面積で
安定した効率的な PSC が開発される。

【概論】
メタルハライド ペロブスカイト材料は、さまざまな新興オプトエレク
トロニクス プラットフォームに大きな影響を与えており、太陽光発電
(PV) での初期の研究[1]を超えて、発光ダイオード、光検出器、薄膜ト
ランジスタの研究分野に混乱をもたらすまで広がっています[2-]。 4]
PV 分野では、ペロブスカイト太陽電池 (PSC) 開発の進歩は、薄膜堆積
[5、6]、組成変更[7-9]、電荷選択性中間層の変更、[ これらの戦略の多
くは、中間層の厚さだけでなく、添加剤やドーパントの濃度も正確に制
御する必要があります。[12] このような添加剤/ドーパントの濃度は信
じられないほど低いため[17、19]、したがって、これらの改善戦略は意
図せずして将来の大量生産に重大な制約を課す可能性があり、ほぼ確実
に実験室規模のデバイスの再現性に課題を引き起こす可能性を示す。
粒界 (GB) は溶液堆積 PSC では避けられませんが、望ましくない微細
造の特徴です。これらは潜在的に、空孔、格子間原子、アンチサイト

どの結晶欠陥をホストする可能性があり[20]、これらはすべて電子ト

ップとして機能するバンドギャップ内状態を作成します[21]。基板
に対
して垂直に配向した GB は、i) イオン輸送の高速チャネル [22、
23]、
したがってデバイスのヒステリシスに大きく寄与する [24]、ii)
酸素
の侵入経路 [25]、および iii) 酸素の影響を受けやすい領域であ
るとも
報告されている。不純物相の形成。[26] 一方、GBが基板に平
行であると、
電荷輸送に対してさらなる障壁が生じる。[6] 現在まで、
添加剤工学に
よる GB の不動態化 [27、28]、方向性のある結晶成長
[29、30]、より
大きな粒子形成の促進 [31、32]、および GB は完全に
単結晶から PSC
を製造することによって行われます。 [33, 34] しか
し、前述したよう
に、これらのアプローチの多くは大規模プロセスに移
行することが非常
に困難であり、添加量の正確な制御または長いプロセ
ス時間のいずれか
が必要であるか、または適用できるのは 狭い範囲の
ペロブスカイト組成
または加工ルート。


今回、ペロブスカイト薄膜の結晶性を大幅に改善する、つまり粒子サイ
ズを大幅に向上させたり、GB濃度を低減したりする技術として、新規か
つ迅速かつ
拡張性の高いエアロゾル処理法を紹介する。 得られた PSC は、調製し
たままのフィルムや別の方法で処理したフィルムと比較して、電力変換
効率 (PCE) が著しく向上し、安定性が向上し再現性が大幅に向上した。
重要なのは、活性層の厚さが 500 ~ 1300 nm の範囲の CH3NH3PbI3
(MAPbI3) PSC、大面積 (>1 cm2) デバイス、およびさまざまなデバイス
アーキテクチャにこの技術を適用することで、この技術の多用途性を実
証していることです。 治療の普遍性を十分に実証するために、Cs0.1FA
0.9Pb(I0.95Br0.05) デバイスの性能向上も示す。

【結果及び考察】
2. 結果と考察
2.1 デバイスのパフォーマンスを最適化するための
                     エアロゾル処の調整

エアロゾル処理は、加熱したグラファイトブロック上に基板を配置した
円筒形の石英反応器内で実行されます (図 S1、サポート情報)。溶媒エ
アロゾル、この場合は N,N-ジメチルホルムアミド (DMF) は、反応器の
外側で圧電ミスターを使用して生成され、N2 キャリア ガスによって反
応器内に運ばれます。 ガス/溶媒混合物は反応器を通って流れ、排気口
に送られる前に基板と相互作用する。
処理パラメータ、つまり温度、流量、処理時間は容易に制御でき、高度
に制御可能で再現性の高いプロセスを実現。 円筒型反応器内の流量の
3D 数値流体力学 (CFD) シミュレーションを実行し、流量分布の側面図
を図 1a に、断面図を図 1b に示す。 データは、ペロブスカイト膜上
に安定した層流が形成されていることを示している。重要なのは、この
流れの層流の性質により、エアロゾル流と基材の間に流量がゼロの静的
な空気力学的境界層が形成され、蒸気の凝縮などの望ましくない問題を
防ぎながら、境界層を通る蒸気の拡散のみ可能となる。 これにより、
溶媒とペロブスカイト膜のより均一な相互作用が可能となる。



図1.エアロゾル処理のメカニズム、膜形態および PSC 性能の調整。 a

) エアロゾル処理中のエアロゾル流 (0.5 L min-1での N2 流量) の3D
CFDシミュレーションの側面図。ガス流の速度分布を示しています。 基
板上に境界層が形成されていることに注目。 挿入図は、研究で使用され
た円筒形石英反応器の写真を示す。 b) CFD シミュレーションの断面図
。 c) 境界層を通る溶媒蒸気の拡散を示す概略図。その結果、小さな粒
子が優先的に消費され、その後大きな粒子が成長する一方、溶媒液滴の
凝縮は防止されます。 d – g)上のパネル:未処理のペロブスカイトフ
ィルム(0分)および2、5、および10分のエアロゾル処理後のペロブスカ
イトフィルムの表面走査SEM画像(スケールバー= 1μm)。 下のパネル
: 対応する断面 SEM 画像。 (スケールバー = 200 nm)。 h) SEM 画像か
ら測定された横方向の粒度分布の統計データ。 i)(d–g)に示されてい
るのと同じ時間間隔での典型的なPSCの太陽光発電パラメータ(JSC、VOC、
FF、およびPCE)。データは、1 太陽の強度でシミュレートされた AM1.5
照明下で、スキャン速度 50 mV s-1の逆スキャン J-V曲線から得られる。
                          以下、保留  
----------------------------------------------------------------
EV向け充電器、「差すだけ」で識別
東京大学生産技術研究所は、公衆エリアに設置された電気自動車(EV)
向け普通充電器の認証・決済を簡便化する基礎技術を、多様な事業者向
けに提供する方針だ。同研究所の馬場博幸特任准教授が手法を考案した。
交流200V充電器に固有の番号を割り振り、その情報を定格を超えな
い範囲で電流値(A)を変化させてEV側に伝える。これにより、電源
プラグを差し込むだけで認証が可能となる上、充電事業者の枠を超えた
一元的な充電サービスも可能となる。既存ハードのソフトウエア書き換
えなど小幅な改修で導入できる点も特長をも
つ。

図1.日本のある地域・時期の需要曲線

馬場氏の計算によると二酸化炭素(CO2)排出係数は、12時において0.2
kg/kWh、18時において0.5kg/kWhである。(出所:馬場氏の資料を基に
日経Automotiveが作成)

装備の追加不要でEVと充電器を識別
馬場氏が考案した技術では、充電器に流す電流値に指令を与え、実際に
流れた電流を充電器、EVで計測しそれらの波形からパターンの一致を確
認する。充電電流そのものに情報伝達の役割を担わせる。普通充電時の
最初の数分程度に、識別するための電流を流すことを想定している。

図2.EVと普通充電器を個体識別する仕組み

まず、充電器に指令を出し、特定の波形パターンになるように電流を変
調させる。充電器とEVの双方で実際の電流波形を確認し、パターンが一
致すれば両者が接続されていると判断する。(出所:馬場氏の資料を基
に日経Automotiveが作成) [画像のクリックで拡大表示]

波形のパターンも国内の充電器の数であればまかなえると試算している。
具体的なひも付けの処理方法は、数理処理を専門に扱う研究室とともに
開発したいとする。すでに相関係数や基本的な数式を用いて個体を判別
できることはわかっているという。同技術の利点は「追加の装備が不要
であること」(馬場氏)である。同氏によると、これまでにもQRコード
やカメラ、GPS(全地球測位システム)を使用して個体を識別する試みは
あった。しかし追加の投資が必要になったり、精度が低かったりすること
から普及には至っていない。充電器の電源プラグをEVに差すだけで個体
識別できるため、充電サービスの利用者が会員カードを充電器にかざす
といった手間も省ける。同技術の普及の壁として、馬場氏は「ビジネス
モデルの構築」と話す。特許はすでに出願したが「かなり基本的な部分
に絞っており、技術を独占するつもりはない」(同氏)という。充電器
メーカーやサービス事業者をはじめ各社が協力して取り組む必要がある
とし、連携を模索していく。                
                 



  

今夜の寸評 温故知新


  

 

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防災害処理工学 ①

2024年01月20日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

 

JAXA探査機「SLIM」、日本初の月面着陸に成功–世界でも5カ国目の快挙
1月20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は小型月着陸実証機「SLIM」の月面着
陸が成功したと発表した。日本初の快挙で、世界でも5カ国目の快挙となった。  
ただし、現時点で太陽電池が発電しておらず、バッテリーで駆動しているという。
今後データを集めて探査機の状況を確認する方針。SLIMは1月20日午前0時頃に
着陸降下を開始した。テレメトリ画面上では順調に降下を続け、午前0時20分に
予定通り月面に到達したが、着陸の成否はすぐにはわからなかった。  
プレス会場にいたJAXAの川勝康弘教授は「テレメトリ画面から読み取れること」
加速度の数値が月面の重力加速度と同じ値を示している点、SLIMからの時刻が
更新されている点を踏まえ「SLIMは月面に到達し、安定して通信していると思
われる」と述べた。  
なお、SLIMから放出された超小型探査機の1つである「LEV-1」はSLIMの着陸後
も運用を継続していると、LEV-1の公式X(旧Twitter)アカウントが投稿してい
た。1時間半が経過してもJAXAは成否を「確認中」とし、JAXA川勝氏は、もとも
と準備していた文章をそのまま使えない状況だと思うので、それを調べている
と述べる。

ソフトランディングに成功  
JAXAはその後、午前2時10時に会見を開き、宇宙科学研究所で所長を務める國中
均氏は、ソフトランディングに成功したと発表。通信も確立しており、地球から
のコマンドも正常に受信している。また、搭載する超小型探査機の「LEV-1」お
よび「LEV-2」の分離に成功したことも確認。今後、LEV-1とLEV-2が搭載するカ
メラで月面上のSLIMの撮影を目指す。  
なお、SLIMは現時点で太陽電池が発電しておらず、バッテリーで駆動。そのた
め、ヒーターをオフにするなど延命措置を図っているが、バッテリーが持つのは
「着陸してから数時間程度。太陽電池が駆動しなかった理由について國中氏は「
太陽光パネルが想定した方向を向いていない可能性がある。軌道上では太陽電池
パネルは正常に作動しており、着陸後に太陽電池パネルだけに損傷を受けること
は考えづらい。SLIMは軽自動車サイズで大変コンパクトな設計で、太陽電池だけ
を機能させないような壊し方は難しく、太陽電池のハードが壊れたとは考えてい
ないとはなす。今後の対処についてはバッテリーが枯渇して探査機の機能が失わ
れたとしても、太陽の向きが変わって、今の状況では当たらない方向から太陽電
池に光が戻ってくる可能性もあるし、そうした場合には探査機の機能を復旧でき
ると説明した。また、JAXA宇宙科学研究所で副所長を務める藤本正樹氏はバッテ
リーの終わりがミッションの終わりだとは思っていない。その先の手をはやく考
えたい」とも述べた。

SLIMとは  
SLIMSmart Lander for Investigating Moon)は、将来の月惑星探査に必要な高精
度着陸技術を実証する小型探査機だ。国産基幹ロケット「H-IIA」47号機によっ
て2023年9月7日に打ち上げられた。月面の狙った場所へのピンポイント着陸技術
の実証を目的としており、着陸誤差は100m以内を目指している。なお、ピンポイ
ント着陸の成否は今後1か月程度で評価するとしているが、「肌感覚として100m
精度のピンポイント着陸は成功した可能性が高い」と國中氏と話す。
❏ いつものことだが。「リスク インパクト マネイジメント」は想定の深度を
 深める作業とツール作りにつながるもの(「ディープ インパクト」)。

防災害処理工学 ① :備える時代。
能登半島地震を受けあれこれ考えて思うのは、全方位事象の形質アップサイクル
と個別事象のダウンサイクルを同時こなすのは非常にしんどい。つまりは、しん
どい(関西弁)と身体は互いに密接に関係し(心身相関)、外部からのストレスは、
自律神経系、内分泌系、免疫系に影響を及ぼし、そして不安、イライラなどの「
心理」やめまい、腹痛などの「身体」、攻撃的行動や依存症などの「行動」等々、
さまざまな形で現れる(ストレス反応だというのだが、老化によりそれが相対的に
大きく影響しているんだとあきらめた。
前回は、水回りの循環システムと防災用トイレと排泄物の回収などをアップサイ
クル/れさいくるの両面から考え、革命的な防災用品・設備の再設計の重要性を
考察してみた。今回は仮設的なテント設計を、①ドーム型qキャンパス布テント
で避難場所に即応できるものをを設計条件を考える。





40人で使用できる巨大なテン。内部は20個の個室に分かれており、1室2名で使用
。フライシートの重量が40kg、ペグの重量が110kgと携行には不向きですが
、災害
用大人数で宿泊する時に便利。


  

ドーム型仮設テント用材料は、①全て超撥水及び除菌・脱臭処理、防水処理し、
有人/無人飛行体で搬送を前提とし、②付属圧縮空気ボンベにてテントを形成さ
せ、撤去時は減圧し元通りに回収できる。また、避難民入居する前に、空調・照
明・電源は再エネ水素或いはメタネーション燃料ガスで温水(暖房用/入浴用)
及び燃料電池などで発電することを前提とする。また、脱臭及び殺菌/除菌はオ
ゾン・紫外光源・プラズマ(液中プラズマ)方式で行う。その他、照明・選択・
家電(電子レンジなど)電源を確保しているるので、通信なども完備。そべて
スマートで軽量化設計している。



 



  



  今夜の寸評 : "リスク インパクト マネイジメント" 関連の法整備を急げ。
         後日、掲載基本骨子を掲載する。


  



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ゴールド饅頭が世界を席巻

2024年01月18日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させ
たせて生まれたキャラクタ。

【牛すじの購入方法】
牛すじを販売していることが多いのは、業務スーパー(86円)、ハナマサ(158
円)、ライフ(168円)、コストコ。業務スーパーやコストコでは牛すじ肉が常
に販売されていることが多いが、ハナマサやライフは事前に電話で確認すると確
実。見出しに記載した値段は100gあたりの価格(2023.3.14 )。

【牛すじの下処理】







まとめるとだいたいやりたいことが見えたということで、後は試作実行するだけ。
➲圧力鍋の有無は1つのテーマとなる。

 鉄鍋の内回りに土手状に味噌を盛り、その中央でまず具材を焼き、熱により
溶け出した味噌で煮込んでゆくことからどて焼き(土手焼)、あるいはどて煮
(土手煮)と呼ばれるようになった。甘辛く濃厚な味わいで酒によく合う。 安
価に楽しめる大阪の下町グルメとして知られ、新世界エリアにはどて焼きを提供
する店が多数軒を連ねている。

  夜店の二銭のドテ焼(豚の皮身を味噌で煮つめたもの)が好きで、ドテ
  焼さんと渾名がついていたくらいだ。
                            織田作之助

広島では牡蛎が主役で、脇役(やっかいもの)で、食肉としては、畜産だけでな
く魚介類も含まれるようだかが「どて鍋」「どて焼き」が含まれ、普段なら祝さ
れることなく破棄されていた部位なのだが、牛すじ、メンブラン(隔膜・薄皮)
が味噌(発酵穀物・豆類を加えて煮込むことで、コラーゲン(皮膚や腱・軟骨な
どを構成する繊維状のたんぱく質)ブーム重なり価格上昇(付加価値上昇➲折
からのSDGsという環境リスク本位制 ➲世界的政治経済的的基軸(もったいない・
生物多様性思想)とシクロしわたしはオーバーキャパ。^^;
実は知らなかったコラーゲンの効能(大正製薬)


⮚ 作り方
1 牛すじ肉はアクと臭みを取るために熱湯で湯通しする。その後水にとり、ザル
 に上げておく。
2 青ねぎは青い部分と白い部分を分け、青い部分は小口切りにする。
3 鍋に湯通しした牛すじ肉、だし汁、しょうがの薄切り、青ねぎの白い部分を入
 れて煮立て、アクを取りながら40分~60分ゆでる。
4 ゆでた牛すじ肉をひと口大に切る。こんにゃくはひと口大にちぎり、下ゆです
 る。
5 鍋に牛すじ肉のゆで汁カップ1.5、残りの調味料を入れて、牛すじ肉を加えて
 煮る。煮汁が少なくなるまで煮詰める。
6 小口切りにした青ねぎを散らして 完成。
7 牛すじ肉はアクと臭みを取るために熱湯で湯通しする。その後水にとり、ザル
 に上げておく。





電子レンジ(マイクロ波2.45GHz)で手軽に食べられる、生地、具材がおいしい
ワンランク上?のゴールドシリーズの「肉まん」。リニューアルにより肉の旨味
とジューシー感がアップ。また、個包装された内袋のまま電子レンジ調理するこ
とができるため、ラップをかける手間もなく簡単に調理でき、また、環境負荷低
減を目的にトレイを無くし、シリーズ合計でプラスチック使用量は年間3t (CO2
15t相当)の削減を見込む。


SDGs特集 井村屋グループ株式会社 食品ロス50%削減めざす、プラスチックの使
用削減も 2020.9.18 中部経済新聞
※ 速い、美味しい、衛生的で、健康と環境にやさしい(電源/電子レンジを贈与
 をしよう)。
                              
 

 



Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉘
 非対称な二次元シートを利用したナノサイズの巻物構造の実現
〜高性能な触媒や発電デバイスへの応用に期待~
1月18日、東京都立大学、産業技術総合研究所、筑波大学、東北大学、名古屋大
学、金沢大学、北陸先端科 学技術大学院大学らの研究チームは、次世代の半導
体材料として注目されている遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の単層シート
を利用し、最小内径 5 nm 程度のナノサイズの巻物(スクロール)状構造の作製
に成功。

【要約】
TMD は遷移金属原子がカルコゲン原子に挟まれた3原子厚のシート状物質であり、
その機能や応 用が近年注目を集めています。一般に、TMD は平坦な構造が安定
であり、円筒などの曲がった構 造は不安定な状態となる。本研究では、上部と
下部のカルコゲン原子の種類を変えたヤヌス構造と呼ばれる TMD を作製し、こ
の非対称な構造がスクロール化を促進することを見出した。 理論計算との比較
より、最小内径が 5 nm 程度まで安定な構造となることを確認。

また、スクロール構造に由来して軸に平行な偏光を持つ光を照射したときに発光
や光散乱の強度が増大すること、表面の電気的な特性がセレン側と硫黄側で異な
ること、及びスクロール構造が水素発生特性を有するなどの基礎的性質を明らか
にした。今回得られた研究成果は、平坦な二次元シート材料を円筒状の巻物構造
に変形する新たな手法を提案するものであり、ナノ構造と物性の相関関係の解明
そして TMD の触媒特性や光電変換特性 などの機能の高性能化に向けた基盤技術
となることが期待されている。

【成果】
長尺かつ微小な内径を持つスクロール構造の作製に向け、上部と下部のカルコゲ
ン原子の種類を変えたヤヌス構造と呼ばれる TMD に着目しました。このヤヌスTMD
では、上下の カルコゲン原子と遷移金属原子の距離が変わることで 曲がった構
造が安定化することが期待できる。このようなヤヌスTMD作製に 最初に化学気相
成長法(CVD 法)を利用し、二セレン化モリブデン(MoSe2)および二セレン化タ
ングステン(WSe2)の単結晶性の単層シートをシリコン基板上に合成した。この単
層シートに対し、水素雰囲気でのプラズマ処理により、単層TMD の上部のセレン
原子を硫黄原子に置換し、単層ヤヌス TMD を作製できます。 次に、有機溶媒を
この単層ヤヌス TMDに滴下することで、シートの端が基板から剥がれ、マイクロ
メートル長のスクロール構造を形成(図1)。

図1.単層ヤヌスMoSSeを利用したナノスクロールの作製手法。(a)単層MoSe2
の 構造モデル。(b)熱CVDシステムの概略図。(c)単層ヤヌスMoSSeの構造モ
デル。 (d)水素プラズマによる硫化プロセスの概略図。(e)ヤヌスナノスク
ロールの構 造モデル。(f)有機溶媒の滴下によるナノスクロールの作製方法の
概略図。
※原論文「Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides」の図引
 用・ 改変したものを使用。
この試料を電子顕微鏡で詳細に観察し、実際にスクロール構造を形成したこと(
図 2)、全ての 層が同一の方位を持つこと、そして最小内径で 5 nm 程度まで
細くなることなどを確認しました。観察された内径に関しては、ヤヌスTMD のナ
ノチューブでは最小で直径が 5nm 程度までは、フ ラットなシート構造よりも安
定化するという理論計算とも一致する。また、このスクロール構造に由来し、
に平行な偏光を持つ光を照射したときに発光や光散乱の強度が増大すること、表
面の電気的な特性がセレン原子側と硫黄原子側で異なること、およびスクロール
構造が水素発生特性を 有することも明らかにした。

【展望】
今回得られた研究成果は、平坦な二次元シート材料を円筒状のスクロール構造に
変形する新たな 手法を提案するものです。特に、非対称なヤヌス構造の利用は、
様々な二次元シート材料のスクロ ール化に適用することができます。また、単
結晶のTMDを原料に利用することで、スクロール内部 の層の結晶方位を光学顕微
鏡による観察で容易に同定すること、そして様々な巻き方を持つスクロ ールの
作製が可能になりました。今後、本研究成果より、様々な組成や構造を持つスク
ロールの実現、電気伝導や光学応答と巻き方の関係の解明、触媒やデバイス応用
など、幅広い分野での研究の展開が期待されてる

用語解説 (注1)遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD) タングステンやモリブ
デンなどの遷移金属原子と硫黄やセレンなどのカルコゲン原子で構成される層状
物質。遷移金属とカルコゲンが1:2の比率で含まれ、組成はMX2と表される。
単層は 図1aのように遷移金属とカルコゲン原子が共有結合で結ばれ、3原子厚
のシート構造を持つ。 近年、TMDが持つ優れた半導体特性により大きな注目を集
めている
【掲載論文】
原  題:
Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides
掲載誌:ACS Nano
(DOI)https://doi.org/10.1021/acsnano.3c05681  

 プリント向け厚膜導電性インク開発
1月15日、NIMS(物質・材料研究機構)と住友金属鉱山,エヌ・イー ケムキャッ
ト,NIMS
発ベンチャー企業のプリウェイズは,共同研究を通じて,フィルムな
どの基材の上に印
刷技術で電子回路やセンサーを形成する「プリンテッドエレク
トロニクス」向けの厚膜導
電性インクを開発。

プリンテッドエレクトロニクスは,金属膜から不要な部分を除去して電子回路を
形成する従来の技術(サブトラクティブ)と異なり,必要な部分にだけ電子回路
を印刷して形成できる(アディティブ)ため,金属材料の使用量,環境負荷,製
造コストなどの低減が期待されている技術。

今回の厚膜導電性インクは,NIMSとプリウェイズが開発した金属錯体インク(金
属イオンに帯電した分子を配位して安定化したインク)を元に,住友金属鉱山が
持つ金属粉末の合成技術やペースト技術を生かして開発された。このインクには,
プリンテッドエレクトロニクスで要求される膜厚制御と低温焼結性を実現するた
めに,住友金属鉱山が開発した微粒銅粉も添加されている。これにより耐熱性樹
脂フィルムにも応用可能な200 °C前後での厚膜の配線形成が可能となる。


【掲載論文】
1.題 目 : Printing flexible Cu-Ni traces with high conductivity and high thermal
          stability by in-situ formed multiscale core-shell structures in inks
2.掲載誌:: Applied Surface Science
3.DOI : 10.1016/j.apsusc.2023.158967 

 2次元ダイヤモンド状コロイド結晶を作製
1月15日、名古屋市立大学と東北大学は,新規手法(基板上での荷電コロイド粒
子の交互積層)により,ガラス基板上に,3層からなる2次元的なダイヤモンド格
子を作製。μmサイズのコロイド粒子が,ダイヤモンド格子状に配列した構造は,
光の閉じ込めが可能なフォトニック結晶として働くことが知られており,現在そ
の構築が世界で活発に検討されている。これまでに,複雑な表面構造を持つ粒子
を使ったいくつかの構築法が提案されているが,簡便な作成法は報告されていな
かった。このようなダイヤモンド格子の光制御能は自然界でも見られ,コンゴウ
インコの羽は,ケラチン線維のアモルファスダイヤモンド構造が特定波長の光を
反射するため,鮮やかに発色する。コロイド粒子は媒体中で自己集合して,コロ
イド結晶構造を作る。しかし,等方的な相互作用が働く1成分コロイド系では,
空間充填率が高くて安定な,BCC(体心立方格子),FCC(面心立方格子),HCP(
六方最密充填格子)構造のいずれしか生成しないことが分かっている。

会合体形成に関して,2020年に国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟で
宇宙実験を行なっている。これらの研究成果を組み合わせて,今回の研究では
次のようなダイヤモンド格子の構築法を考案2次元荷電コロイド結晶の作製では,
FCC格子の(111)面が基板に吸着する。この格子面と,ダイヤモンド格子の対応
する面が同じ粒子配置を取ることに着目した。

この2次元荷電コロイド結晶上に粒子を積層して正四面体型会合体を作製すれば,
単層ダイヤモンド格子が得られると考え,静電相互作用を利用した構築を検討し
た。 2層目の粒子は1層目粒子の作る正三角形の中央,3層目の粒子は2層目粒
子の直上に位置する必要があるが,粒子間静電相互作用の大きさを調節して,付
着位置を制御できた。粒子として,直径が1μm程度の正及び負に荷電したシリカ
粒子を用いた。
【成果/展望】
構築した構造の1辺は50μm。正負の粒子を交互に積層する簡便な手法で,2次元
ダイヤモンド格子構造を作製することができた。研究グループは,この研究成果
は,フォトニック結晶やコロイド粒子を利用したセンサとして,バイオや診断環
境の分野での活用が期待する。

用途に合わせMTJ素子特性をカスタマイズ
~1桁ナノメートル領域にてAIから⾞載まで利用可能に~
1月11日、東北大学は、スピン移行トルク磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)の記憶素
子である磁気トンネル接合(MTJ)素子の特性を、用途に合わせてカスタマイズ
できる材料・構造技術を確立した。記録層に用いる材料の膜厚や積層回数を変え
ると、「高温でのデータ保持」はもとより「データの高速書き込み」にも対応で
きる。

図1.本研究で提案した積層磁性層構造
【概要】
不揮発性メモリは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)機器から車
載システムまで、さまざまな用途で用いられている。特に、微細な先端プロセス
を用いたSTT-MRAMは、高温でも高いデータ保持性能があり、車載向け半導体への
採用が決まるなど、需要が拡大する。一方、AI/IoT機器では、高速のデータ書
き込み特性や高い書き換え耐性が求められており、用途に応じた特性を実現する
必要がある。
MTJ素子の記憶層は、酸化マグネシウム(MgO)層でコバルト鉄ホウ素(CoFeB)
層を挟んだ構造となっている。研究グループはこれまで、CoFeB/MgO界面由来の
垂直磁気異方性を用いた素子や二重界面構造の開発を行ってきた。また、MTJ素
子のさらなる微細化に対応できる技術を開発し、「高温での高いデータ保持」や
「数ナノ秒の高速動作」を実現してきた。今回、CoFeB/MgO材料系を用いた直径
数nmのMTJ素子で、用途に応じた特性を実現するための材料・構造技術を確立した。
具体的には、CoFeB/MgO積層磁性層構造において、「CoFeB層の膜厚」と「MgO挿
入層の数(積層回数)」を変えることで、界面異方性と形状異方性を独立に制御
した。

図2.研究で作製した積層磁性層構造を有するMTJ素子の透過型電子顕微鏡(TEM)
とその膜構造の模式図

【成果/展望】
今回、研究グループは、現在主流となっているCoFeB/MgO材料系を変えることな
く、直径一桁ナノメートルのMTJ素子を、幅広い用途で要求される性能に応じて
カスタマイズする材料・構造技術を体系的に明らかにしました。 本研究で提案
した構造が図1に示されいる。CoFeB/MgOからなる積層磁性層構造のCoFeB層の膜
厚とMgO挿入層の数(積層回数)を変化させることで、界面異方性と形状異方性
を独立に制御できる[図1]。CoFeB層膜厚を直径に対して厚くして形状磁気異方性
が支配的に作用するように設計された構造は、高温でのデータ保持特性に優れる
[図2(a), (b)]。一方、CoFeB層を薄くしつつ積層回数を増やし、界面磁気異方性
が支配的に作用するように設計された構造は高速書き込み性に優れる[図2(c)]。
図3には本研究で作製したMTJ素子でのデータ保持特性および書き込み特性の評価
結果が示されています。形状磁気異方性が支配的な構造ほど、データ保持特性の
温度依存性を特徴づけるスケーリング指数が小さくなっている[図3(a)]。これ
はデータ保持特性の温度依存性が小さくなっていることを示しており、形状磁気
異方性が支配的な構造が、高温での長期データ保持が求められる車載向けのアプ
リケーションに適していることを意味する。実際に作製した直径7.6ナノメート
ルの素子にて、150℃での十分に高いデータ保持特性が確認されました。一方、
書き込み速度は緩和時間と呼ばれる時定数で特徴づけられ、緩和時間が短いほど
高速での書き込みが可能。界面磁気異方性が支配的な構造ほど、短い緩和時間が
得られており[図3(b)]、高速な書き込みが可能、すなわちAI/IoTなどのアプリ
ケーションに適していることを意味する。実際に作製した直径4.5ナノメートル
の素子にて、比較的高いデータ保持特性を示しながら、1ボルト以下、10ナノ秒
の電圧パルスでデータ書き換えができることが確認された。また、材料・構造を
変えることにより、1ボルト以下、1ナノ秒の電圧パルスでのデータ書き換えが実
現可能であることを計算により予測した。

図3.研究で作製したMTJ素子に対して行った、(a) データ保持特性の温度依存
性を特徴づけるスケーリング指数、(b) 高速性を特徴づける緩和時間の測定結果。
(a)の破線は形状磁気異方性のみを考慮した場合のスケーリング指数の理論値。
(b)の曲線は理論式によるフィッティング結果。

【掲載論文】
原 題:“Single-nanometer CoFeB/MgO magnetic tunnel junctions with high-retention
      and high-speed capabilitie
s” (高い情報保持特性と高速動作を実現可能な
    一桁ナノメートルCoFeB/MgO磁気トンネル接合)
著 者:Junta Igarashi*, Butsurin Jinnai*,**, Kyota Watanabe, Takanobu Shinoda, Takuya
              Funatsu, Hideo Sato, Shunsuke Fukami**, and Hideo Ohno
掲載誌:npj Spintronics DOI番号:10.1038/s44306-023-00003-2



 ドローン空撮で橋梁のたわみを精密計測
老朽化したインフラ構造物の効率的な維持管理に貢献
【要点
•ドローン空撮で橋梁のミリメートルオーダーのたわみを高精度で計測する技術
 を開発
•ドローン空撮画像の位相解析により従来法の10倍以上の精度で画像ぶれ補正を
 実現
•画像変位計測によるインフラ構造物の効率的な健全性評価に貢献
【成果/展望】
産業技術総合研究所、株式会社 CORE技術研究所、京都大学らの共同研究グルー
プ、ドローン空撮による橋梁インフラのたわみ計測法を開発。ドローン空撮では
風などの影響によって機体が揺れ、画像ぶれが発生するため、撮影画像そのもの
を使用しても橋梁の微小なたわみを計測することはできない。そこで、画像ぶれ
を高精度で補正するために、概要図に示す通り、橋梁の中央側面に設置した測定
マーカー(Mk-C)に加えて、新たに二つの基準マーカー(Mk-AとMk-B)を導入。
橋脚上の不動点となる橋梁側面にこれらの基準マーカーを設置し、二つのマーカ
ーを結ぶ1本の基準線が橋梁の変形前後で一致するように100分の1画素(従来法
の10倍以上)の精度で画像ぶれ補正を行います。橋梁の変形前後の測定マーカー
の規則模様画像にぶれ補正を行った後に、サンプリングモアレ法を用いて画像か
ら生成されるモアレ縞の位相変化から微小変位を算出します。その結果、世界で
初めてドローン空撮でミリメートルオーダーの橋梁の微小なたわみ計測に成功。

それを可能にしたのは、人間の耳のバランス感覚をヒントにシンプルかつ高精度
な画像ぶれ補正技術を新たに開発した(図1参照)。人間の耳は蝸牛(聴覚)以
外に、前庭系システムとして、前庭と三半規管(平衡覚)を内耳に備える。この
システムは、3次元空間における平行移動や傾きの回転を感知するセンサの役割
を果す。そのおかげで人間は走りながら遠くにある看板の文字を読む。すなわち、
人間は耳で感知した平衡覚の情報に基づいて、無意識に素早く目の視点と向きを
常に調整。そこで、人間の優れたこのバランス感覚を今回のドローン空撮に応用
した。橋梁の両端の桁に固定された二つの基準マーカー(2次元規則模様)はまさ
に人間の耳の役割を果たす。この二つの基準マーカーを結ぶ基準線はバランス感
覚に相当し、ドローン空撮で得られた撮影画像に対して、常にぶれないように補
正することで、安定したたわみ計測ができるようになる。


図1 人間のバランス感覚をヒントに導入した画像ぶれ補正用の基準マーカ
出所:産総研(分かりやすい解説図です)

民間企業によって本技術を活用した橋梁点検サービスが既に事業化されており、
今後全国各地の橋梁に適用されることが期待されます。同技術をさらに発展させ
社会インフラの長期モニタリング技術の開発やクラウドシステムによる自動解析
の研究開発を実施していく予定。将来的にはドローンの自律飛行による計測
サービスの実現を目指す。
【掲載論文】
掲載誌:Nature Communications
原 題
:Drone-based displacement measurement of infrastructures utilizing phase information
著 者:Shien Ri, Jiaxing Ye, Nobuyuki Toyama, Norihiko Ogura

DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-023-44649-2

熊本に先端半導体材料の生産設備建設
イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産能力を増強
1月15日、富士フイルム株式会社は、電子材料事業をさらに拡大するため、熊本
拠点に約60億円の設備投資を行う。 今回、電子材料事業の中核会社である富士
フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社が、熊本県に立地する生産子会
社の富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング株式会社九州エリアに、イ
メージセンサ用カラーフィルタ材料の生産設備を導入。なお、本設備は、2025年
春の稼働を予定。 イメージセンサは、光を電気信号に変えて映像化する半導体で
、デジタルカメラやスマートフォンなどに搭載されています。近年、自動車やセ
キュリティ機器などへの用途がますます広がる中、イメージセンサ市場は年率約
7%※1で成長することが見込まれている。 富士フイルムは、イメージセンサ用カ
ラーフィルター材料を静岡と、台湾の新竹で生産している。また、韓国(平沢)
でも同製品の工場の建設を進めるなど、生産拠点を拡充している。さらに、高度
な機能性分子技術やナノ分散技術などを生かして、可視光領域にとどまらず、広
範囲な波長領域をターゲットとした製品の開発と市場導入を促進。Wave Control
Mosaic
(以下WCM)として製品展開を図り、ビジネス拡大を進める。 今回、FFEM
は、イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産能力拡大に向けて、FFMT九
州に最新鋭の生産設備を導入。また、クリーンルームを設置するとともに、最先
端の検査機器を導入し、品質保証体制を構築。静岡拠点と同様の生産・品質保証
体制とし、BCP対応をさらに強化することで、より安定的な供給を実現する。



※ 浮ついた観察力は所詮蟷螂の斧。それにしても、次から次へと課題噴出。面
 白い時代だね ^^; ?!




  


今夜の寸評:一人ひとつの積み重ね(人命は地球より重し)


  

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災害用トイレ考 ①

2024年01月15日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させ
たせて生まれたキャラクタ。

【今日のSDGs食事:牛筋煮込み編】

 完熟みそ牛すじ土手鍋

突然、思いつく。そうだ「すじ肉を安く手に入れおいしい土手鍋をつくろう」と。
しかし、仕入れ方法から調査しなければないらい。牛肉だけではない、鳥、豚も
そうだ。時間をかけてみよう。そういえば、石井さん(故人)が初めて教えてく
れ、仕事帰りにおいしく頂いたあの頃をなつかしく回想する。

【災害用トイレ考 ①】
トイレの備えがあなたの命と健康を守る。土木建設の現地トイレを利用した肩な
らわかってもらるが、管理が悪い事業者なら野糞状態で荒れ果て不衛生的でこの
上ないが。台風をはじめとする風水害では、河川の氾濫や雨水の逆流などで、街
が浸水することもあり。地震や停電被害にあったマンションも、配管の破裂など
で電気設備が水没で配電盤が故障・停電、断水する。私達が普段なにげなく使っ
ている水洗トイレは、「給水」「電気」「排水設備」が正常に機能してはじめて
気持ちよく使えるシステム。

仮設トイレのイメージ 
東日本大震災では、災害発生から3~6時間ほどで、半数以上の人がトイレに行き
たくなったと答えている
。しかしながら、仮設トイレが設置されるまでには4日
以上かかったところが半数以上。また災害時は、極度のストレスにより体調を崩
し下痢やおう吐もあり。そんなときにトイレが使えない状態だとよりストレスが
かかり悪化。「トイレに行かない」「我慢する」「トイレに行く回数を少なくす
る」ために水分や食事を控えてしまうと、脱水による体力低下(免疫力の低下)、
尿路感染症(膀胱炎等)、循環不全(肺塞栓等)のなどを引き起こす危険性が非
常に高くなる。脱水傾向となり血液粘度が上昇すれば、エコノミークラス症候群
を発症するリスクも高くなる。 

エコノミークラス症候群を発症するリスク


中越地震を例に挙げると、発生から14日までの調査では車中泊者に14件の肺塞栓
症での入院が確認され、そのうち7人つまり半数の死亡が確認された。東日本大
震災では、「エコノミークラス症候群」医療チームが避難所を巡回し、エコー検
査を1,000人超の被災者に対しスクリーニングしたところ、約10%に血栓ができて
いた(エコノミークラス症候群を発症する可能性があった)。また、熊本地震で
は死者263人のうち、エコノミークラス症候群を含む「震災関連死」はその5分の
4にあたる208人にのぼり、入院を必要とした「エコノミークラス症候群」患者数
は50人にも上った。

解決方法は?
災害によってトイレが使えなくなることや、トイレが使えないことによって、精
神的にも身体的にも大きな問題が出てくることがお分かりいただけたことと思う。
それではこの問題を解決は? あります!それこそが「携帯トイレ」や「簡易トイ
レ」。トイレの備えが、災害時のあなたの命と健康を守ってくれる!
------------------------------------------------------------------------
•簡易トイレと携帯トイレがある
•簡易トイレは便座あり
•携帯トイレは便座なし
•使う環境を想定し、品質の確かな製品を選ぶ
------------------------------------------------------------------------
可動型簡易トイレ


大便用携帯トイレ 






まだまだ改良の余地が残っている(➲革命的設計変更)。

   黒の革命

世界初|グラフェンから作られた機能性半導体
1月9日、グラフェンから作られた最初の機能性半導体がジョージア工科大学で作
製されました。これにより、電子デバイスの小型化と高速化が可能になり、量子
コンピューティングへの応用が期待されている。半導体は、特定の条件下で電気
を伝導する材料であり、コンピューター、ラップトップ、スマートフォンのチッ
プなどの電子機器の基礎コンポーネント。 何十年にもわたり、そのアーキテク
チャはますます小型化し、よりコンパクトになってきた。これはムーアの法則と
して知られる特長。一般的なコンピューティング速度やビデオ・ゲームのグラフ
ィックスから、医療スキャンの解像度や天文台の感度に至るまで、広範なテクノ
ロジーの大きな飛躍する。マイクロエレクトロニクスの主な素材であるシリコン
は、小型化の点で物理的限界に近づきある。 たとえば、台湾積体電子製造会社
TSMC)は、2028年までに1.4ナノメートル(nm)プロセスのノードをリリー
スすると予想されている。コンピューティングの高速化と小型化の進歩には、新
しい材料とチップ構造が必要。2004年に発見されたグラフェンは、単層の炭素か
ら作られるナノテクノロジーの一種。半導体分野における潜在的な変革をもたら
すことが喧伝され、その注目すべき並外れた導電性、柔軟性、強度が含まれる。
同研究者らは、原子1個の厚さの極薄構造を利用し、さらに小さく、より効率的
で、高速なチップ開発方法を模索。同研究者らは、グラフェンから作られた世界
初の完全に機能する半導体を実証し、この分野における重要なマイルストーンを
達成した。現在、シリコンの10倍の移動度を持ち、シリコンでは得られない独特
の特性を備えた非常に堅牢なグラフェン半導体を入手。言い換えれば、電子は非
常に低抵抗で移動し、より高速なコンピューティングにつながる。例えれば砂利
道を運転するのと高速道路を運転するようなもの(ウォルター・デ・ヒーア大学
教授)。コンピュータチップの標準材料であるシリコンでは、電子移動度は通常、
室温で約 500cm²V⁻¹s⁻¹ ➲ デ・ヒール教授のチームは、5,000 cm²V⁻¹s⁻¹の移
動度を達成。この画期的な成果は、10年前の特殊炉を使用し、炭化ケイ素ウェー
ハ上にグラフェン成長法を発見した研究の集大成であり、炭化ケイ素の結晶面上
に成長させたエピタキシャルグラフェン単層を生成。適切に製造すると、エピタ
キシャルグラフェンが炭化ケイ素に化学結合し、半導体特性を示し始めることを
発見。同社の製品は現在、ナノエレクトロニクスで必要な特性をすべて備えてい
る唯一の二次元半導体であり、その電気特性はトップデータ。
グラフェンエレクトロニクスにおける長年の問題は、グラフェンが適切なバンド
ギャップを持たず、正しい比率でオンとオフを切り替えることができないことに
あった
。この技術はバンドギャップを達成し、グラフェンベースのエレクトロニ
クスを実現めの重要なステップとなる。

グラフェンハニカム格子の原子分解能画像
 クレジット: De Heer et.al (Nature,2024

この材料により、たとえば、量子コンピューティングの要件である電子の量子力
学的波動特性がを利用できる。しかし、シリコンはエレクトロニクスの歴史にお
けるいくつかのステップの最新のものにすぎず、ある時点で新世代のエレクトロ
ニクスに代替される。将来的には別のパラダイムシフトが避けられず、グラフェ
ン置き換わるだろう。

【掲載論文】
・原 題:炭化ケイ素上への超高移動度半導体エピタキシャルグラフェン
        Ultrahigh-mobility semiconducting epitaxial graphene on silicon carbide
        PMD  38172363  DOI: 10.1038/s41586-023-06811-0
【要約】
エピグラフェンは、単結晶の炭化ケイ素(SiC)基板上にエピタキシャル成長した
グラフェン、ミレニアムの初めにムーアのロードマップをシリコンを超えてるた
めの道筋が提案されたが、グラフェンと基板上の段差バンドギャップがないこと
が障害となり続けた。本研究では、SiC表面に結合したグラフェンのような界面で
覆われたミリメートルスケールの段差のないテラス作製方法を紹介する。このバ
ッファ層は、0.6eVのバンドギャップと4000 cm²V⁻¹s⁻¹を超える室温移動度を持
つ2次元半導体エピグラフェン(SEG)、現在のすべての2次元単層半導体を10倍
も上回る。トップゲートSEG電界効果トランジスタは、デジタルエレクトロニク
スに適した10⁴のオン/オフ比を示す。さらに、水素インターカレーションにより
SEGがSEGとシームレスに統合できる高移動度の半金属エピグラフェン単分子膜
に変換することも判明。この準自立単分子膜のエピグラフェンエッジ状態では、
センチメートルスケールの平均自由行程が観察され、これは1000倍であり、あら
ゆる材料で観測された最大の室温電子平均自由行程となる。


図1.(a)CCS法(左)では、3.5mm×4.5mmのSiCチップを、リーク付きの閉じた円
筒形のグラファイトるつぼに入れる。るつぼは真空またはAr雰囲気で加熱され、
Siが蒸発し、最終的に漏れから脱出。炭素に富むSiC表面が結晶化してバッファ
層を形成。SE-CCS法(右)では、下チップのC面と上チップのSi面を向くように2チ
ップを積層する。底面チップのSi面はポリマーでコーティングされており、底面
チップを炭化して坩堝壁に効果的にはんだ付けするために、チップが高温で導通
したときに渦電流が通過します。2つのチップ間のわずかな温度差により、下部
チップから上部チップへの正味の質量流量が発生し、上部チップ上に大きなテラ
スが成長する。シリコンがゆっくりとエスケープすると、SEG層が形成される。
(b)真空中で昇華して緩衝層を生成の算出成長時間(青)。真空中でのCCS法(緑)。
10 mBar Ar(黒の破線)のCCS法。1Bar Ar(黒)のCCS法。また、SE-CCS法で高さ100
nm、幅100nm/tan(Q)の段丘を持つステップを生成に必要な時間も示す(Qは、基板
のミスカット角度)。(c)SEGは3段階で成長する。ステージ(I)では、真空中でチ
ップを900℃に加熱し、表面をきれいにし、ポリマーを炭化させます。ステージ
(Ⅱ)は、1300℃、1バールArで、2層SiCステップの規則的なアレイと≈0.2μm幅
のテラスを生成。ステージ(Ⅲ)は、1600℃、1バールArで、SEGでコーティングさ
れた最大1mm幅の原子レベルで平坦なマクロテラスを生成する。


図2.アルミナトップゲート450 μm x 80 μm QFSGリボンの輸送測定。
(a) 電子と正孔の電界効果移動度は、(b)の破線に対応する最大傾きdG(Vg)/dVg
から求める。裸のQFSGと比較して移動度が100倍に低下したのは、図5(g)はアル
ミナによる。(b)のG(Vg)の形状は短距離散乱と一致する。p-ドーピングは、温度
の上昇とともにわずかに減少する。ただし、最も顕著な効果は、非常に大きなコ
ンダクタンスプラトーで、示されるようにdG(Vg)/dVgタンジェントの交点により
定量化され、挿入図の温度によりソートされる。1 G0 プラトーは、コンダクタ
ンスの半分以上がエッジ状態からのものであることを示す。その(室温)平均自由
行程は1cmを超え、これは2Dグラフェン状態の平均自由行程(mfp)よりも5x10 6倍
大きく、このリボンのエッジの450μmの長さに沿った無秩序と温度に対して非常
に鈍感であることを示す。

【概要】


図 1 SEG の製造 (a) CCS 法 (左) では、3.5 mm x 4.5 mm の SiC チップが、
リークが供給された密閉円筒状グラファイトるつぼに配置。るつぼは真空または
Ar 雰囲気中で加熱され、Si が蒸発し、最終的にはリークから流出。炭素が豊富
な SiC 表面は結晶化してバッファ層を生成。
SE-CCS 法 (右) では、2つのチップが、下部チップの C 面が上部チップの Si
面に面するように積層。底部チップの Si 面はポリマーでコーティングされ、炭
化し底部チップをるつぼ壁に効果的にはんだ付けに、チップが高温で導通状態に
なったときに渦電流が通過でききる。2つのチップ間のわずかな温度差により、
底部のチップから上部のチップへの正味質量流が生じ、その結果、上部のチップ
に大きなテラスが成長する。
シリコンがゆっくりと逃げることで、SEG 層が形成される。 (b) 真空中での昇
華によってバッファ層を生成するための計算された成長時間 (青)。真空でのCCS
法 (緑色)。 10 mBarArでのCCSメソッド (黒の破線)。1BarAr(黒)のCCS方式。
また、SE-CCS 法で、幅 100 nm/tan(Q) のテラスを備えた高さ 100 nm のステッ
プを生成するのに必要な時間も示す。ここで、Qは基板のミスカット角度。 (c)
SEGは3段階で成長。 段階 (I) では、真空中でチップが 900℃ に加熱され、表
面が洗浄され、ポリマーが炭化される。1バールAr中、1300℃での段階
(Ⅱ)は、二層SiCステップの規則的な配列と約0.2μm幅のテラスを生成
する。1 Bar Ar中で1600℃のステージ(Ⅲ)では、SEGでコーティングされた最大
1mm幅の原子的に平坦なマクロテラス生成される。


図2.SEG コーティングされた SiC マクロテラスの特性
(a) 幅 300 μmのテラスを SEM で画像化し、濃い灰色のバッファ層と明るい灰
色の SiC表面の間に大きなコントラストが生じるように焦点を合わせる。テラス
は高さ 100nmの左ステップ (顕微鏡写真の赤線) から右ステップ (顕微鏡写真の
緑線) まで伸びています。AからBまでのラインをその全長に沿って AFMでプロー
ブし、5μm×4μm の領域 a、b、c を3回スキャンすることで、テラスが原子的
に平坦であることが確認されます。挿入図は、SiC 表面に共有結合したバッファ
層の概略断面図を示す。(b) 50μm x 50μm の領域にわたるラマン・マップの例
(2500 個の個別スペクトル)。各スペクトルはバッファ層と一致する。 A とマー
クされた赤い矢印は、高い I2D/IG 比 (0.109) を持つ赤いスキャンが行われた
場所を示しているが、スキャンでは分解された 2Dピークが示されていない。Bと
マークされた青色の矢印は、I2D/IG 比が低い (0.01) 青色のスキャンが取得さ
れた場所を示す。どちらの場合も、表面には検出可能なグラフェンはない


図3.SEGの特性評価
(a) バッファ層の低温原子分解能 STM 画像は、下にある SiC基板の規則的な (6
x6) SiC 超周期構造 (赤い菱形、紫色の六角形) によって空間的に変調されたグ
ラフェン ハニカム格子 (緑色) を示す。 高さの変調は、エピタキシャルバッフ
ァ層と基板の共有結合によるもの。 (b) バッファ層 (青) の STS は、0.6 eV
の明確なエネルギーギャップを示す。 垂直 20倍ズーム (緑色の線) では、ギャ
ップ内の状態の証拠は示されていない。 赤い破線は計算された状態密度。(過小
評価された計算ギャップは、STSスペクトルに適合するように 50%拡大する)。
計算された特徴は観測結果とよく一致する。


図4.QFSG の特性評価
(a) 水素インターカレーションによって生成された QFSG の 20 μm × 20 μm
領域の低温 STM は、欠陥がないことを示す。 (b) 25 μm x 25 μm 領域のラマ
ン マップは、裸の SiC やバッファーがなく、グラフェンで完全に覆われている
ことを示す。 A とラベル付けされた矢印は、I2D/IG=3.73 (赤スキャン) の領域
を指し、B とラベル付けされた矢印は、I2D/IG=1.75 (赤スキャン) の領域を指
す。グラフェンではこのサイズのばらつきが普通である。 



図5.裸の SEG (a ~ d) と裸の QFSG (e ~ h) を比較したトランスポートと
ホールの測定。 (a) SEG1 の抵抗率は 190 K での 70 kW から 305 K での 319W
に減少するが、SEG2 では 180 K での 300 W から 300 K で 130 W に減少。
サンプル間の差は電荷の違いを反映。加工による濃さ。 (b) SEG1 の電荷密度は、
190 K での 1.0 x 1012 cm-2 から 300 K での 3.7 x 1012 cm-2 に増加。(c)は、1
90 K での 93 から 305 K での 4525 cm2V-1s-1 への移動度の増加を示す。
これは、低温ではバンド端付近でトラッピングが発生することを示す。 SEG1の
平均自由行程は190Kで2.1nmであり、これは(6x6)SiC超周期格子の格子定数(図
3a)に近いため、関連するトラップメカニズムを示唆しています(本文を参照)。
平均自由行程は 305 Kで 219 nmに増加し、QFSG の平均自由行程に近づく (青い
破線)。 (e-h) から明らかなように、QFSG の特性は、フォノン散乱が弱いため、
グラフェン一般の場合と同様に、基本的に 1.8 K から 300 K までの温度の影響
を受けません。これも SEGを他の 2D半導体とは区別する。

図6.アルミナトップゲートの 450 µm x 80 µm QFSG リボンの輸送測定
(a) 電子および正孔の電界効果移動度は、(b) の破線に対応する最大傾き dG(Vg)
/dVg から決定されます。 裸の QFSG と比較して移動度が100分の1に減少 (図5(
g)) のは、アルミナによるもの。 (b) の G(Vg) の形状は短距離散乱と一致。
p型ドーピングは、温度が上昇してもわずかに減少するだけである。ただし、最
も顕著な効果は非常に大きなコンダクタンス・プラトーであり、示されているよ
うに dG(Vg)/dVg 接線の交差点によって定量化され、挿入図では温度により分類
されている。 1 G0 プラトーは、コンダクタンスの半分以上がエッジ状態からの
ものであることを示す。 その(室温)平均自由行程は 1 cmより大きくなり。こ
れは 2D グラフェン状態の平均自由行程(mfp)よりも 5x106倍大きく、これはリ
ボン端の450μmの長さに沿った温度の乱れに対し極めて鈍感であることを示す。

【関係技術情報】
・エピタキシャルグラフェンの構造と物性
 特集 電子線で何が観測できるか 名古屋大学大学院工学研究科 乗松 航 
 日本結晶学会誌 61,35-42(2019)

      この項了





 

 

  

今夜の寸評:日本海



冬の演歌と言えば、ジェロが唄う『海雪』

  

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武器よさらば ①

2024年01月15日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させ
たせて生まれたキャラクタ。

【SDGs小鉢・小皿料理:黒ごまもち】



先回小鉢(小皿)料理にヒントをえて、シリーズの「鍋料理」を止め、小鉢料理
で「黒ごま」「鮭」で冬料理でビタミンD摂取と考えた正月でもあり「黒ごまも
ち」をキューピー株式会社のホームページレシピを参照する。それにしても質の
高い動画をまじえたコンテッであったのでクリック願参照。食べ終わったら暖っ
たかいお湯を注ぎきれいに飲み干すことをお忘れ無く。下に関連書籍を掲載。
尚、小鉢(小皿)料理は日本料理だけでなく次のようなものがある。
・フレンチ
・ビストロ
・イタリアン
・スペイン料理
・中国料理
冬の季節は「雑炊・おかゆ・リゾット」「おせち」「輪切りゆずの鶏塩鍋」「お
もちのチーズグラタン」「牛すじ煮込み
」「レタス豚しゃぶ」「スンドゥブチゲ」
など。




健康維持の智恵:胃腸薬「大正漢方胃腸薬」
猛暑で九月頃から胃腸薬を食後服用することが多くなったが、服用するものは
ほとんど食後服用のものばかり。高齢化によるものだが、眼精脳疲労による眼底
の鈍痛が続き、苛烈なデスクワークを控え、目薬や内服薬を続けたが、胃腸の不
調は収まらず年末より、「神経疲労対策」として漢方胃腸薬を1日3回服用。効
き目はあるようだが、数ヶ月試験的に服用を続ける。


出所|大正製薬

メーカの説明によると、心配事や悩み事があると、胃の調子がイマイチ……なん
てことも。胃の消化活動である「ぜん動運動」は自律神経の働きに影響を受ける
自律神経には、緊張時に優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに
優位になる「副交感神経」があり、通常はこの2つがバランスよく働いている。と
ころが、強いストレスを感じると自律神経の働きが乱れ、胃の働きを鈍らせる。
さらに、自律神経の働きの乱れにより、胃酸が分泌されすぎることで、胃の粘膜
がダメージを受け、胃に痛みを感じやすく
なる 胃の不快感は日常生活を送る上
でさらにストレスの種になるという悪循環にも陥りかねない。胃をいたわる食生
活に加え、しっかりした休息をとる、趣味を持つなどして、自分なりのストレス
解消法を持つことが大切だと。

【製造方法】
「大正漢方胃腸薬」は、「安中散あんちゅうさん」と「芍薬甘草湯しゃくやくか
んぞうとう」の2つの漢方処方を組み合わせた胃腸薬として1978年に誕生。生薬
の精油成分等をより多く残す「凍結粉砕法」の採用、やわらかい顆粒をつくるこ
とができる「バーチカル造粒法」の導入等を重ね、ザラつきが少なく口の中でス
ーッと溶ける口当たりの良い<微粒>と小粒で飲みやすい<錠剤>の2剤形を製
造。胃腸症状にした。微粒の1包あたりの容量を1.2gから1.02gと少量化し 錠剤
の直径も9mmから8mmとさらに小型化して飲みやすくしました。また、パッケージ
も、従来から親しまれた黄色と茶色のデザインを基調とし、グラデーションの配
色を現代的にリニューアル。

【関係論文】
・飛行時間型二次イオン質量分析法による湿式攪拌造粒. 顆粒表面における結合
 剤の定量 2016.03.16 https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/TD32454112
・  バーチカル造粒法

顆粒タイプは飲みやすいのでおすすめ。

  自己免疫疾患

【今日の医学知識:膠原病】

歌手八代亜紀の死因病を知り驚く。新型コロナウイル感染症と同じような自己免
疫疾患であるというので二度驚き書き留めることに。
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膠原病(こうげんびょう、en: connective tissue disease [disorder])とは、全身の複数
の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす一連の疾患群の総称。この名
称は1942年に米国の病理学者ポール・クレンペラーが提唱した名称。クレンペラ
ーは全身性エリテマトーデス、全身性硬化症(なんらかの原因により種々の自己
抗体を産生し、それによる全身性の炎症性臓器障害を起こす自己免疫疾患で膠原
病の一つ)。全身性紅斑性狼瘡(ぜんしんせいこうはんせいろうそう)、単に狼
瘡(ろうそう)とも呼ばれる。
生される自己抗体の中でも、抗DNA抗体は特異的病態の主座結合組織
にあると考え、collagen-vascular disease と命名。これが膠原病と翻訳された。
類似疾患概念に、自己免疫疾患、リウマチ性疾患、結合組織疾患があるが、膠原
病はこの3つが重なった位置にあるとされる。
典型的な症状として発熱・皮疹・倦怠感・関節痛・関節炎・筋肉痛・内臓病変・
レイノー現象などがあげられ、女性に多いのも特徴である。遺伝的要因と環境要
因が発症に関与
するとされる。慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返しながら進行
することがある。多くの場合に自己免疫疾患としての機序が関与していると考え
られており、完全な病態の解明は、未だ成されていない。現代での治療の主体
副腎皮質ステロイドを中心とする免疫抑制剤
である。近年ではTNFα(腫瘍壊死因
子)
阻害薬
を中心とする生物学的製剤の導入により 治療概念が大きく変化し、寛
解導入率が飛躍的に向上している。 via wikipedia,他

要注目!



 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉗
 
太陽光発電のコスト動向公表
FITに「ペロブスカイト区分」創設新案も
1月12日、FITやFIP制度における買取価格などの検討を行う調達価格等算定委員会
(第91回)で、国内の太陽光発電のコスト動向が報告された。また今後、ペロブ
スカイトなどの新たな太陽電池の普及促進を念頭に、新たな発電設備区分の創設
を検討する方針が明かされた(スマートジャパン)。
それによると、2022年度の事業用太陽光発電の認定容量は約430MWであり、認定取
得期限に達していない2022年度下半期における事業用太陽光の第14回・第15回の
落札容量を合計しても、約610MWに留まる見込みである。なお、FIT/FIP制度の外
で、500MW程度の導入量があると推計する。



資源エネルギー庁の「調達価格等算定委員会」では、再エネ電力のFIT調達価格・
FIP基準価格の設定に向けた検討を行っており、その第91回会合では、 1.2025年
度の事業用太陽光(入札対象外)の調達価格・基準価格 2.2025年度の住宅用太陽
光の調達価格 などが議論され、太陽光発電の最新のコスト動向などが報告された。
また、ペロブスカイト太陽電池など、次世代型太陽電池の需要創出のため、新た
な発電設備区分の創設に向けた検討に着手することを
決定。

事業用太陽光のシステム費用のトップランナー分析
事業用・地上設置のシステム費用については、表2のとおり、2023年設置の中央値
(16.65万円/kW)と同程度であるのは、2018年設置では上位15%、2019年設置で
は上位23%、2020年設置では上位38%における、3年後の中央値であることが分か
ったが、もしこれら3カ年の平均値25%を2025年度向けのトップランナー水準と
する場合、2024年度単価の想定値を上回る(結果として、調達価格・基準価格が
2024年度よりも上昇する)こととなってしまう。  
ただし、2020年実績値については、モジュール価格の一時的な上昇が含まれてお
り、足元ではモジュール価格が再び低下傾向にあることに留意が必要である。  
このため、委員会では、2025年度の地上設置太陽光の想定値については、2024年
の想定値(50kW以上:11.3万円/kW、10-50kW:17.8万円/kW)を据え置くことと
した。屋根設置太陽光のシステム費用についても同様に、2024年度想定値を据え
置く。
また、土地造成費は、地上設置では2025年度の想定値を0.9万円/kWとして、2024
年度の想定値1.2万円/kWから引き下げることとした。屋根設置では0万円/kWがそ
のまま据え置かれる。さらに、事業用太陽光の設備利用率は表4のとおりであり、
トップランナー分析を行った場合、2024年度の想定値とほぼ同水準であることが
確認された。これを踏まえ、設備利用率に関する2025年度の想定値については、
2024年度の想定値である、地上設置(10-50kW)21.3%、地上設置(50kW以上)
18.3%、屋根設置14.5%を据え置くこととした。

事業用太陽光におけるその他2025年度単価の想定値接続費  
2023年設置案件の定期報告データによると、「接続費」の実績は、2024年度の想定
値(地上設置:1.35万円/kW、屋根設置:0.3万円/kW)とほぼ同水準であったため、
これを据え置く。 運転維持費  2023年設置案件の定期報告データでは、「運転
維持費」の実績は、地上設置/屋根設置のいずれも、中央値は2024年度の想定値
を下回るが、平均値は2024年度の想定値とほぼ同水準であるため、2024年度の想
定値(0.5万円/kW/年)を据え置くこととした。 運転年数  2024年度の想定値
を据え置き、地上設置は25年間、屋根設置は20年間とする。 調達期間終了後の売
電価格  電力小売が全面自由化された2016年度から2022年度までのJEPXスポット
市場のシステムプライス平均値を採用し、11.6円/kWhを想定値とする。  
以上より、2025年度の事業用太陽光発電(入札対象範囲外)の調達価格・基準価
格を設定するための想定値は、下表5のとおり。


表5.2025年度事業用太陽光 想定値 出典:調達価格等算定委員会

尚、効率的な事業実施を促す観点から、調達価格を設定するための想定値を引き
上げず、事業用太陽光の考え方と同様に、2024年度の想定値(25.5万円/kW)を2
025年度も据え置く。運転維持費の2025年度の想定値についても、2024年度想定値
(3,000円/kW/年)を据え置くこととする。 また設備利用率については、2024年
度の想定値13.7%に対して、2023年平均値は14.1%、過去4年間の平均値は13.9%
と上回っているが、2024年度の想定値を据え置く。余剰売電比率も、2024年度
の想定値(70.0%)を据え置く。

ペロブスカイトなど新たな発電設備区分を創設
太陽光発電をさらに導入拡大には、従来設置が困難であった、耐荷重の小さい屋
根やビル壁面等を活用することが求められ、ペロブスカイト太陽電池などの次世
代型太陽電池は、軽量・柔軟等の特徴があるほか、将来的には変換効率や耐久性
等の性能でも、既存太陽電池に匹敵すると期待する。
また、ペロブスカイト等については2025年からの事業化を見据え、2020年代中頃に
年間100MW規模、2020年代後半にはGW級の量産体制を構築することを前提として、
グリーンイノベーション基金等により、研究開発から社会実装まで切れ目なく支
援が行われている。こうした状況を踏まえ、ペロブスカイト太陽電池の需要創出
を促すため、FIT/FIP制度のあり方についても、政府全体の政策の方向性と整合性
を取りながら、検討を進めることが求められている。

調達価格等算定委員会では今年度以降、次世代型太陽電池を念頭に置いた新たな
発電設備区分の創設の検討に着手する。 なおペロブスカイトについては、将来
的には既存の太陽電池と同等のコストを目指しつつ、2030年までに14円/kWh以下
中間目標として2025年度までに20円/kWhを見通せる技術の実現を目指すが、調達
価格等算定員会では、実証事業等のコストデータの収集・分析を行い、区分設定
や将来の自立化を見据えた価格設定のあり方について、来年度以降も議論を継続
する。ペロブスカイト等を対象とした新たな区分を創設するに際し、FIT/FIPに
よる支援総額の見込みをあらかじめ試算しておくことが望ましいと考えられる。
ごく単純な仮定として、合計100MW(設備利用率14%、全量売電と仮定)のペロブ
スカイトを20年間、通常型太陽電池より1円/kWh「上乗せ」した調達価格・基準価
格とする場合、24億円程度の追加的費用が生じる。軽量・柔軟なペロブスカイト
は屋根や壁面に設置され、自家消費率はより高いと想定される一方、「上乗せ」
金額の水準や認定量等の変数は、今後の検討次第で大きく変化する。
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2次元半導体の単層を基板上へ単離
1月10日、東京大学の研究グループは,溶媒内超音波処理によるサブナノ厚の2次元半
導体単層を選択的に単離する手法を発見。
【要点】
・溶媒内で超音波処理を行うことで、わずか1分という短時間でサブナノスケー
 ル厚である2次元半導体の単層を基板上に単離させることに成功。
・単層と同時に基板上に転写されてしまう99%の不要なバルク結晶群を除去する
 メカニズムを解明。
・孤立単層の実現により、デバイス作製時のレイアウトの自由度が向上するため、
 複雑なデバイス設計が可能となる。

【成果】
従来、剥離法で転写されたバルク結晶は基板と強く相互作用し、選択的に取り除
くことは難し。そのため、単層を用いた研究では、不要なバルク結晶により、生
産性や拡張性に大きな制限状となっていた。本研究では、溶媒内で超音波処理を
用いることで、わずか1分という短時間で、単層の結晶を単離する手法を提示。
この手法を用いると、MoS2をはじめとした種々の遷移金属カルコゲナイドの結晶
に対して、基板上に単離することが可能であることを示しました。なお、なぜバ
ルク結晶が優先的に基板から除かれるのか、という疑問に対して、単層とバルク
結晶における面内断裂強度の違いにより説明できることを提案。また、単離した
単層を用いて、全方向から多数の電極を有するデバイスの作製を行った(図2左
下と右下)。この実験結果は、剥離法によって調製された単層であっても複雑な
電極デザインの作成が可能となることを示している。


図2.孤立化単層を用いた多数電極を有するデバイス

【展望】
2D半導体単層を選択的に単離させることに成功。本手法を用いることで、従来で
は困
難であった多数電極を有したデババイスを効率良く作製することを可能とし、
高度なデバ
イスの試作や2D半導体物性の開拓に役立つ。
【掲載論文】
雑誌:ACS NANO
題名:Selective isolation of mono to quad layered 2D materials via sonication-assisted
          micromechanical exfoliation

著者:Tatsuya Nakamoto, Keigo Matsuyama, Masahiro Saka, Chieh-Ting Chen, Yu-lun
Cheuch, Shinichiro Mouri, Takeshi Yoshimura, Norifumi Fujimura, Daisuke Kiriya*.

DOI:10.1021/acsnano.3c11099




ハワイ最後の石炭火力発電所がテスラ製蓄電池施設に
2022年9月1日、米国のハワイ州はハワイ州で最後の石炭火力発電所であるAES
力発電所を閉鎖。そして、このAES火力発電所の跡地に巨大なバッテリー施設「
Kapolei Energy Storage(KES)」が建設され、2024年1月に稼働を開始 。AES火力発電所
はオアフ島のカポレイ市にあった石炭火力発電所で、30年にわたってオアフ島全域に
電力を供給してきた。しかし、ハワイ州議会が「2045年までに再生可能エネルギー発電
の割合を100%に到達させる」という法案を2015年に可決。これにより、AES火力発電所
を稼働停止してバッテリー施設を建設するプロジェクトが2020年に発表ことをわたし(た
ち)は感動し、ブログ掲載したことを記憶している。

ハワイ電力工業によって運営されるKES(Kapolei Energy Storage)は、7エーカー(約2万
8000平方メートル)の敷地内にテスラのMegaPack158台を設置した施設。バッテリーの
応答速度は250ミリ秒、KES全体の蓄電量は565メガワット時、瞬間放電容量は185メガ
ワット。


  
 

八代亜紀 雨の慕情 1980.4.25
阿久悠/浜圭介

浜圭介は、演歌のコブシを付けると暗くなりやすいため、リズムは16分音符を使
って軽やかに、フォークっぽい分かりやすいメロディで作ったと語っている。




  Part 1 Chapter 14

   ようやく熱が引いて外を歩けるようになり、久方ぶりに図書館の入り目の
 扉を押し
回けたとき、建物の中の空気は前よりもったりと淀んでいるように
 感じられた。湿気のある曇った夕方だ。奥の部屋に人の気配はなく、ストー
 ブの火も消えていた。明かりもついておらず、霜った淡い夕闇 が、目に見
 えない隙間から部屋の中に音もなく忍び込んでいた。  
  「誰もいないのですか?」と私は声を上げた。反応はない。静寂がいっそ
 う深まっただけだ。声は硬く乾いて残響を欠き、自分の声には聞こえなかっ
 た。ストーブの上に置かれた薬綴に手を触 れてみた。冷え切っている。長
 いあいだストーブの火は落とされていたらしい。あたりを見回し、もう一度
 もっと大きな声で「誰もいないのですか?」と叫んでみた。やはり反応はな
 い。

  部屋に変化は見当たらない。見たところ何もかも最後に来たときと同じだ。
  しかしそこにあるすべての 事物が前よりもどこか寒々しく、荒涼とした色
 合いを帯びているようだった。  
  ベンチに腰を下ろし、君がやって来るのを待つことにする。あるいはほか
 の誰かが姿を見せるのを。しかししばらく待っても、誰も現れなかった。誰
 かが現れそうな気配もみえなかった。私はマッチを見つけ、貸し出しカウン
 ターの上にあった小さなランプに火を点した。それで部屋が少し明るくなっ
 た。ストーブにも火を入れようかと思ったが(中にはすぐに火がつけられる
 ように薪が用意されていた)、それが許された行為であるのかどうかわから
 ないし、部屋の中はそれほど冷え込んでいるわけでもなかった。だからスト
 ーブの火はつけないことにした。コーートの襟を合わせ、マフラーを首に巻
 き直し、ポケットに手を突っ込んでひとまとめの時間をやり過ごした。
  やはり物音ひとつ聞こえない。
  私が高熱を出して自宅で寝込んでいるあいだに、何かしら異変が起きたの
 だろうか? 図書館の運営システムに変更がなされたのだろうか? 私が〈
 夢読み〉として不適格であることがあらためて明らかになり、その結果私は
 もう君に会うことができなくなったのだろうか? いくつかの不穏な可能性
 が私の頭を去来する。しかし考えをまとめることができない。何かを考えよ
 うとすると、意識は垂い布袋となって、底も知れぬ深みに沈んでいった。
  まだ身体にいくらか熱が残っていたのかもしれない。私はベンチの上で、
 壁に背をもたせかけたまま、いつの間にか眠り込んでしまった。どれくらい
 眠っていたのだろう。でも、そんな不自然な姿勢にもかかわらず、深い眠り
 だった。何かの物ていた。君は最初に会ったときと同じセーターを着て、胸
 の前ではっと気がつくと、私の前に君が立って胸の前で腕を組み、心配そう
 に私を見おろしていた。眠っているあいだに君が火をつけてくれたのだろう。
 ストーブの中に赤い炎がちらちらと揺れているのが見えた。薬綴が白い湯気
 を上げていた(とすれば、私は思いのほか長く深く眠っていたことになる)。
 そしてランプはより大きく明るいものに取り替えられていた。その熱と明る
 さによって、そして君がそこにいることによって、部屋はすっかり以前の図
 書館に戻っ「やあ」と私は言った。
 「こんちは」と影は私を見て、力なく返事をした。私の影は最後に見たとき
 よりひとまわり小さく見えた。
 「元気にしている?」と私は尋ねた。
 「おかげさまで」、その言葉にはいくぶん皮肉が混じっているように聞こえ
 た。
  影の隣に腰を下ろそうかと思ったが、何かの拍子に再びひとつにくっつい
 てしまうことを恐れ、立ったまま話をすることにした。門衛が言うとおり「
 引き剥がし」は簡単な作業ではないのだ。
 「一日ずっとこの『囲い場』にいるのかい?」
 「いや、ときどきは壁の外に出てますよ」
 「何か運動でもしているの?」
 「運動ねえ……」、影は眉をひそめ、門衛の方を顎で指した。「あいつが壁
 の外で獣を焼くのを手伝わされるくらいのものかな。シヤベルでせっせと地
 面に穴を掘るんですよ。そこそこの運動にはなりますが」
 「獣を焼く煙は、うちの窓からもよく見えるよ」
 「かわいそうに。毎日のようにあいつらは死んでいく。蝿みたいにばたばた
 とね」と影は言った。
 「その死体をひきずって運んで、穴に放り込み、なたね油をかけて焼くんで
 す」
 「いやな仕事だね」
 T心愉しい仕事とは言えませんね。焼いても臭いがほとんどしないことだけ
 がまだ款いですが」
 「影は他にもここにいるのかな? 君の他にも」
 「いや、他に影はいませんよ。最初からずっと、おれしかここにはいない」
  私は黙っていた。
 「おれだって、いつまでこうしていられるか、わかりませんよ」と影は低い
 声で言った。「本体から力尽くで引き剥がされた影は、長くは生きられませ
 ん。おれの前にいた影たちはみんな、この『囲い場』の中で次々に息を引き
 取っていったようです。冬の獣たちと同じようにね」
  私はそこに立ったまま、コートのポケットに両手を入れ、言葉もなく自分
 の影を見おろしていた。楡の木の枝の間を吹き過ぎる北風が、頭上でときお
 り鋭い音を立てた。
  影は言った。「あんたが人生に何を求めるか、そいつはあんたの決めるこ
 とです。なんといってもあんたの人生ですからね。おれはただの付属物に過
 ぎません。立派な知恵があるわけでもないし、現実の役にもほとんど立ちま
 せん。でもね、おれがすっかりいなくなると、それなりの不便は出てくるは
 ずですよ。偉そうなことは言いたかありませんが、おれだって今まで何の理
 由もなく、あんたとずっと行動を共にしてきたわけじゃない」
 「でもこうしないわけにはいかなかったんだ」と私は言った。「自分なりに
 よくよく考えた末のことだ」
  本当にそうだろうか、私はふとそう思う。私は本当によくよく考えたのだ
 ろうか? ただ何かの力に引かれ、木ぎれが潮流に運ばれるようにここに行
 き着いただけではないのか?
  影は小さく肩をすくめた。「それは結局のところ、あんたが決めることで
 すからね、おれには何とも言えない。しかし、もしもうI度もとの世界に戻
 りたいのであれば、そういう気持ちがまだあるのなら、なるべく早く心を決
 めた方がいいですよ。今のうちならなんとかなります。でもおれが死んじま
 ってからでは間に合いません。そいつだけはよく覚えておいてください」
 「覚えておくよ」
 「あんたの方はどうです? うまく暮らせてますか?」
  私は首を傾げた。「まだはっきりしたことは言えない。覚えなくてはなら
 ないことがたくさんある。外の世界とはまるで違うところだから」
  影はしばらく黙っていた。それから顔を上げて私を見た。「それで……思
 っていた相手には会えたのですか?」
  私は黙って肯いた。
 「それはよかった」と影は言った。
  風が楡の抜の間を音を立てて吹き抜けていった。
 「いずれにせよ、わざわざ会に来てくれてありがとう。会えてよかったで
 すよ」、そして厚い手袋をはめた片手をほんの少しだけ持ち上げた。

  私と門衛は裏木戸をくぐって門衛の小屋に向かった。
 「今夜もまた雪が降るだろう」と門衛は歩きながら私に言った。「雪が降る
 前には決まって手のひらが痒くなる。この痒さじゃ、たぶんこれくらいは積
 もることだろう」、彼は十センチほど指を広げた。「そしてまた獣がたくさ
 ん死ぬだろう」
  門衛は小屋に入ると、作業台の上の詑をひとつ選んで取り上げ、細めた目
 でその刃先を検分した。それから砥石を使って、慣れた手つきで刃を研ぎ始
 めた。しゃきっしゃきっという鋭い 音が威嚇するように部屋に響いた。
 「肉体は魂の体む神殿だと言うものもいる」と門衛は言った。「あるいはそ
 うかもしれん。しかし俺のようにこうして毎日、哀れな獣の死骸ばかり扱っ
 ていると、肉体なんぞ神殿どころか、ただの汚らしいあばら屋としか思えな
 くなる。そしてそんな貧相な容れ物に詰め込まれた魂そのものが、だんだん
 信用できなくなってくる。そんなもの、死体と一緒になたね油をかけて、ぱ
 っと燃やしちまえばいいんじゃないかと思うときもある。どうせ生きて苦し
 む以外に能のない代物なんだ。なあ、俺のそんな考え方は間違っているだろ
 うか?」
 どう返答すればいいのか。魂と肉体についての問いかけは、私をただ混乱さ
 せるだけだ。とりわけこの街にあっては。
 「いずれにせよ、影の言うことなんぞ真に受けない方が賢いぜ」と門衛は別
 の詑を取り上げながら言った。「あんたに何を言ったかは知らんが、達中は
 なにしろ口が達者だからな。自分が助かりたい一心で、思いつく限りの理屈
 を並べたてる。じゅうぶん気をつけた方がよかろう」
  私は門衛小屋をあとにして西の丘を上り、住まいに引き返した。振り返る
 と、北の空は雪をはらんだ分厚い暗雲に覆われていた。門衛の予言したよう
 に、おそらく夜半には雪が降り始めることだろう。積もりゆく雪の中で、よ
 り多くの獣たちが夜のうちに息を引き取っていくだろう。そして魂を失って
 ただの貧相な「あばら屋」となり、私の影が掘った穴に放り込まれ、なたね
 油をかけられて焼かれるのだ。
                             この項つづく



動翼レス?実験用ジェット機X-65 が2025年夏初飛行
X-65はアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)とボーイングの子会社・Aurora
Flight Sciencesが取り組んでいる「CRANE」プロジェクトの実験用ジェット機。 航空機は
通常、方向舵や昇降舵などの一次操縦翼面(舵面)と、フラップやスポイラーなどの二次
操縦翼面をあわせた「動翼」で動きを制御するが、、「アクティブ・フロー・コントロール(AF
C)」と呼ばれる加圧ジェットを用いるジェット機。簡単に言うと、新しい操縦法「アクテ
イブ・フロー・コントロール(AFC=Active Flow Control/吹出しコントロール)を、
無尾翼無人攻撃機(UCAV=tailless unmanned combat air vehicle)のフライト・コント
ロールに使う研究を進めている。“フルイデイック・フライト・コントロール(
fluidic flight control/ジェット吹出し操縦システム)”とも呼ぶこの方法は、操縦舵
面を使わずに空気流方向を変える「コアンダ効果(Coanda Circulation Control)装置を
使う方式。事故で海中に落下した米軍機機を中国軍が血眼で回収しようとしたこ
とがあった。



今夜の寸評: 武器よさらば ①
A Farewell to Armsは第一次世界大戦のイタリアを舞台に、米国人のイタリア兵フ
レデリック・ヘンリーとイギリス人看護婦キャサリン・バークレイとの恋を描く
ヘミングウェイ自身が、イタリア戦線の従軍記者時の体験をもとにした1929年に
発表した長編小説。 蓋し、混沌が拡大する現実をみて、人類の精神年齢の退化
を嘆くばかりであり、この「タイトル」を掲載する。


  

コメント
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能登とガザとウクライナ

2024年01月10日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

      内風呂に癒されて知るウクライナ能登ガザ覆う寒き激流
                                                         


吾が家SDGs


食事前後の小鉢・小皿料理の食べ残しと仕舞洗いをなくすために、ふと、服用し
ている胃腸薬をお湯を使っているのだがそのお残りで洗い飲み干すことで、フー
ドロスと食器洗い負荷をなくすことに気付き、今朝から習慣づけることに。




【ナトリウムイオン固体二次電池】
2.特開2024-485 全固体二次電池
【発明を実施するための形態】
(封止層7
封止層7は、全固体二次電池1内部の内部空間8の真空を維持するために設けら
れる層である。封止層7に用いるガラスは、ガラスの熱的安定性や化学的安定性
を有し、真空を維持することができ、かつ粉体状態又はペーストとして扱いやす
くする観点から、軟化点が500℃以下であることが好ましく、470℃以下で
あることがより好ましく、450℃以下であることが更に好ましい。例えば、Bi
2O3-B2O3系ガラス等を用いるこ とができる。 
ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi2O3 25~60%、
B2O3 10~35%、CuO+MnO 1~40%を含有することが好ましい
が、この組成に限定されるものではない。 
以下、一例として、封止層7の形成方法について説明する。 封止層7形成方法
; まず、所望のガラス組成となるように調合した原料粉末を700~1000
℃で1~2時間、均質なガラスが得られるまで溶融する。次いで、得られた溶融
ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級することにより、ガラス粉末
を作製する。なお、ガラス粉末の平均粒子径D50は1~20μm程度であるこ
とが好ましい。第1及び第2の集電体層(5,6)との熱膨張係数を整合させた
り、封止層7の機械的強度を向上させたりする目的で、ガラス粉末に各種耐火性
フィラー粉末を添加、混合して、封止材料としてもよい。


図1 本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図


図2.図1のA-A部の模式的平面断面図

【符号の説明】1…全固体二次電池 2…固体電解質層 3…正極層 4…負極層
5,6…第1,第2の集電体層 7…封止層 8…内部空間

耐火性フィラー粉末の添加量は、ガラス粉末の流動性を阻害しない範囲で添加す
ることが可能で、40体積%まで添加することができる。 
耐火性フィラーとしては、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β-スポジュ
メン、コーディエライト、ウイレマイト、ムライト、石英ガラス、β-ユークリ
プタイト、β-石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム
、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO4)3等の[AB2(MO4)
3]の基本構造をもつ化合物(AはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、
Zn、Cu、Ni、Mn等であり、BはZr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、
Y等であり、MはP、Si、W、Mo等である)若しくはこれらの固溶体が使用
可能である。特に、リン酸ジルコニウム、コーディエライト、ウイレマイト、リ
ン酸タングステン酸ジルコニウムが好ましい。これらの耐火性フィラーは、熱膨
張係数が低く、機械的強度が高い性質を有し、Bi2O3-B2O3系ガラス粉
末との適合性が良好である。

次いで、封止材料にビークルを添加して混練することにより封止材料ペーストを
調製する。ビークルは、主に有機溶剤と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性
を調整する目的で添加される。封止材料の軟化点が低く、脱脂処理に問題が生じ
る場合は、樹脂を含有しない高粘度の有機溶剤を使用することもできる。また、
必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。なお、ガラス粉
末や耐火性フィラー粉末の表面に付着した微量の水分や有機物を予め除去する目
的で、ガラス粉末や耐火性フィラー粉末をビークルと混練する前に、ガラス粉末
や耐火性フィラー粉末をガラス粉末のガラス転移点付近で一定時間真空処理を施
してもよい。 

有機溶剤は、沸点が低く(例えば、沸点が300℃以下)、且つ焼成後の残渣が
少ないことに加えて、ガラスを変質させないものが好ましく、その含有量は10
~40質量%であることが好ましい。有機溶剤としては、プロピレンカーボネー
ト、トルエン、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3-ジメチル
-2-イミダゾリジノン(DMI)、炭酸ジメチル、ブチルカルビトールアセテ
ート(BCA)、酢酸イソアミル、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエ
チルケトン等を使用することが好ましい。また、有機溶剤として、高級アルコー
ルを使用することが更に好ましい。高級アルコールは、それ自身が粘性を有して
いるために、ビークルに樹脂を添加しなくても、ペースト化することができる。
また、ペンタンジオールとその誘導体、具体的にはジエチルペンタンジオール
(C9H20O2)も粘性に優れるため、溶剤に使用することができる。 

樹脂は、分解温度が低く、焼成後の残渣が少ないことに加えて、ガラスを変質さ
せ難い ものが好ましく、その含有量は0.1~20質量%であることが好ましい。
樹脂として、 ニトロセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ポリエチレン
カーボネート、アクリ ル酸エステル(アクリル樹脂)等を使用することが好まし
い。続いて、封止材料ペーストを第1の集電体層5及び第2の集電体層6の外周
縁(5a、6a)の封止箇所にディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を
用いて塗布し、有機溶剤が揮発する温度で乾燥させ、脱脂および封止材料を軟化
流動させ、集電体材料と接着させるために、封止材料に含有するガラスの軟化点
以上の温度でグレーズ処理する。なお、脱脂を十分に行う目的で、封止材料に含
有するガラスの軟化点以上に上げる前に、樹脂が分解する温度で一定時間保持し
てもよい。その後、別の被封止物を接触させて、再び封止材料に含有するガラス
の軟化点以上で真空中での熱処理することにより、ガラス粉末が軟化流動して両
者が封止される。なお、封止材料ペーストは、第1の集電体層5及び第2の集電
体層6のいずれかの外周縁の封止箇所にのみ塗布した後、別の被封止物を接触さ
せて、封止材料に含有するガラスの軟化点以上で真空中での熱処理することによ
り、ガラス粉末が軟化流動して両者が封止されてもよい。また、真空中での熱処
理の際に、ガラス内部の溶存ガスや粉末ガラス同士の界面に残存する空気層が原
因で発生した気泡を清澄して除去する目的で、軟化点付近にてN2等の不活性ガ
スを一定量導入することで、大気圧まで復圧処理をしても良い。

【実施例】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本
発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範
囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(a)固体電解質層2の作製
固体電解質のβ”-アルミナの組成となるように、原料を1200℃で仮焼して
粉砕し、β-アルミナ粉末を作製した。β-アルミナ粉末をボールミルで粉砕し
バインダーと溶剤と混合しペーストを作製した。このペーストからグリーンシー
トを形成し、1550℃で30分焼成を行い、36mm□、厚み0.1mmの固
体電解質層2を形成した。
(b)正極ペーストの作製
ガラス組成として、モル比で40Na2O-20Fe2O3-40P2O5とな
るように調合した原料を、1200℃で1時間大気中にて溶融し、ツインローラ
ーで冷却することでガラスフィルムを作製した。得られたガラスフィルムに対し、
エタノール中でφ5mmのZrO2玉石、φ3mmのZrO2玉石、φ1mmの
ZrO2玉石を混合して使用したボールミル粉砕を60時間行うことにより、比
表面積が11.1m2/gのガラス粉末を得た。得られたガラス粉末に対し、さ
らにエタノール中でφ0.3mmのZrO2玉石とともに、遊星ボールミルで
300rpmで5時間の粉砕を行うことにより、比表面積が32.1m2/gの
ガラス粉末を得た。  得られたガラス粉末83質量%と、固体電解質としてのβ
”-アルミナ(比表面積は45.2m2/g)13質量%と、導電助剤としての
アセチレンブラック(AB)4質量%とを混合し、正極合材粉末を作製した。得
られた正極合材粉末100質量%に対して、バインダーとしてのポリプロピレン
カーボネート(PPC)15質量%を加え、正極合材粉末の濃度が50質量%と
なるように、溶媒としてN-メチル-2ーピロリドンを加えた。これを自公転ミキ
サーで混合することで、正極ペーストを作製した。

(c)負極ペーストの作製
組成比がNa3Zr2Si2PO12のNASICON型結晶が得られるように
、水ガラス(ケイ酸ナトリウム:Na2O・3SiO2)、炭酸ジルコニウムア
ンモニウム水溶液((NH4)2Zr(OH)2(CO3)2)、トリポリリン
酸ナトリウム(Na5P3O10)を合計25g秤量した。これらを、150g
の純水に加え、ホットスターラにより、50℃において24時間撹拌した。これ
により、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液(pH=9.7)を得た。
次に、この溶液を、5℃の恒温槽内において一晩静置することにより、ゲル化さ
せた。以上により、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体を調製した。
炭素電極材料前駆体である、ハードカーボン源のスクロース(ショ糖)と、ナト
リウムイオン伝導性固体電解質前駆体とを、重量比で4:1となるように、スタ
ーラ中で1時間混合することにより、混合物を得た。次に、上記混合物を、60
℃の恒温槽において12時間乾燥させ、その後、100℃において6時間真空乾
燥させることにより、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材
料前駆体の混合物の粉末を得た。次に、上記混合物の粉末をメノウ乳鉢で粉砕し
て粉末状とした。 

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材料前駆体の混合物の粉
末と導電助剤(アセチレンブラック)とを、重量比で19:1となるように秤量し、
混合して混合粉末を得た。この混合粉末60質量部に対し、ハードカーボン粉末
(平均粒径D50は1μm)を40質量部混合し、負極合材粉末を得た。さらに
負極合材粉末100質量%に対して、バインダーとしてのポリプロピレンカーボ
ネート(PPC)を15質量%加え、負極合材粉末の濃度が50質量%となるよ
うに、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンを加えた。これを自公転ミキサー
で混合することで、負極ペーストを作製した。 【0088】 (d)負極層4の
形成 36mm□、厚み0.1mmの固体電解質層2の一方側主面中央に、厚み
が50μm、34mm□になるように負極ペーストを塗工した。60℃の恒温槽
で1時間乾燥を行った。その後、N2(99.99%)雰囲気中において、800
℃、2時間の条件で焼成を行い負極層4を形成した。
負極層4の担持重量は、
(負極形成後の積層体の重量)-(固体電解質層の重量)
から求めた。
求めた担持重量に、このうちの活物質の比率0.8をかけてハードカーボン活物
質重量を算出した。また、ハードカーボンの容量をg当たり、300mAh/g
として、負極層4の容量を算出した。その結果、負極層4の容量は、0.49m
Ahであった。

(e)正極層3の形成
固体電解質層2の負極層4とは反対側の主面中央に、厚みが400μm、34m
m□になるように正極ペーストを塗工した。60℃の恒温槽で2時間乾燥後、N
2/H2(96/4 体積%)雰囲気中において、500℃、30分間保持の条件
で焼成を行い正極層3を形成した。正極層3の担持重量は、(正極形成後の積層
体の重量)-(正極形成前の積層体の重量)から求めた。求めた担持重量に、こ
のうちの活物質の比率0.83をかけてNa2FeP2O7活物質の重量を算出
した。Na2FeP2O7結晶化ガラス(Na2FeP2O7活物質)の容量を
g当たり、理論容量の97mAh/gとして、正極層3の容量を算出した。その結
果、正極層3の容量は、1.4mAhであった。

(f)封止材料ペーストの作製
まず、モル%で、Bi2O3 43%、B2O3 22%、ZnO 23%、Ba
O 5%、CuO 6%、Fe2O3 1%のガラス組成となるように調合した原料
粉末を1100℃で2時間、均質なガラスが得られるまで溶融した。次いで、得
られた溶融ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級することにより、
平均粒子径D50が10μmのBi2O3-B2O3系ガラス粉末を作製した。
作製したガラス粉末の軟化点は410℃、熱膨張係数は110×10-7/℃
(30-300℃)であった。また作製したガラス粉末の体積抵抗値:Logρ
(Ω・cm)は10であり、良好な絶縁特性を示していた。作製したガラス粉末
にアクリル樹脂からなる樹脂とα-ターピネオールからなる有機溶剤をスクリー
ン印刷やディスペンサー塗布に適した粘度に調整するよう添加して混練すること
により封止材料ペーストを調製した。 

なお、熱膨張係数は、TMA装置を用いて、30~300℃の温度範囲で測定し
た値である。なお、熱膨張係数の測定試料として、その軟化点+20℃の温度で
緻密に焼結させたものを使用した。軟化点は、マクロ型DTAにより求めた値で
ある。DTAにおいて、測定雰囲気は大気、昇温速度は10℃/分とし、室温か
ら測定を開始した。

g)封止層7の形成
続いて、それぞれ50mm□、厚み100μmのSUS430(熱膨張係数:
107×10-7℃(30-300℃))からなる第1の集電体層5の外周縁5
a及び第2の集電体層6の外周縁6aの封止箇所に封止材料ペーストを、44m
m□のサイズで幅2mm、高さ1mmとなるようにディスペンサーやスクリーン
印刷機等の塗布機を用いて塗布し、120℃で15分間乾燥させ、大気中430
℃で10分保持しグレーズ処理を行った。その後、第1の集電体層5の封止材料
で囲まれた箇所に正極層3と負極層4が形成された固体電解質層2を載置し、第
2の集電体層6を互いの封止材料が接触するように載置して、2~3Paの真空
中で450℃、20分間熱処理することにより、封止層7を形成し、全固体二次
電池1を作製した。 

(h)充放電試験
正極容量を基準とし0.02Cレート(50時間充放電)の電流値で定電流充電
試験を60℃中の恒温槽内で、0.02Cレート(50時間充放電)の電流値で
定電流放電試験を60℃及び150℃中の恒温槽内で、試験した。

[評価結果] 図4は、実施例1の充放電試験の結果を示す図である。 図4に示
すように、150℃で放電を行っても60℃の時と同様に安定した出力特性が得
られた。また、150℃の場合と同様の方法で200℃、250℃、300℃の
それぞれの充放電試験を行ったところ、150℃の場合と同等の出力特性を示す
ことを確認した。

図4.実施例1の充放電試験の結果を示す図
                                                                    了
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画像 超短パルスベッセルビームによるデジタルPCRチップの高速作製

次世代のデジタルPCRチップをガラスで作製
超短パルスベッセルビームによる「高速穴開け」
1月10日、理化学研究所は、超短パルスベッセルビームによる微細可溶部形成と
その後の選択化学エッチングを用いてガラス製デジタルPCRチップの高速作製に
成功したことを公表。
集光点が長距離持続する超短パルスベッセルビームを用いて、ガラス基板に多数
の微細貫通穴(直径0.07mm、深さ0.4mm)を高速で開ける技術を開発。シングル
ショットのベッセルビームで1個の微細可溶部を形成し、1秒間に100個の微細可
溶部を作ることができます。高速のステージを用い、レーザーの繰り返し周波数
(1秒間に発するパルスの数)を増加させれば、1秒間に数千個以上の微細可溶部
の作製も可能。スライドガラスに20,000個の微細貫通穴を開けたチップを、核酸
増幅技術(NAAT)
の一つであるリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)に応用
した結果、デジタルPCRに適用できることを実証。次世代の高感度・高精度医療
検査法として期待されるデジタルPCR検査を実現するチップを高速・安価に製造技
術となる。



【概要】
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)は、標的DNA領域を選択
的に短時間で10万倍以上に増幅する方法で、新型コロナウイルス感染検査などの
臨床診断、環境病原体モニタリング、遺伝子工学、DNA配列決定などに広く利用。
一般的なPCRでは、1本の試験管に複数の標的DNAを含む試料を導入し増幅する方
式が用いる。一方、デジタルPCRでは、標的DNAを含む試料を限界希釈して、各ユ
ニットに0個か1個の標的DNAが入るように、試料を多数の微小な独立したユニッ
トに分割。それぞれのユニットに対してPCRを行い、標的DNAが存在するユニッ
トの数をカウントすることにより標的DNAを定量。デジタルPCRを行うことにより、
感度および精度の向上、標的DNA分子の絶対定量、まれな変異の検出、阻害物質の
影響の受けにくさなど、従来のPCRをはるかに超える性能の検査が可能。
デジタルPCRで使用するチップには、直径数十マイクロメートル、深さ数百μmの
微細貫通穴構造の独立したユニットが1万個以上開けられる。これまでシリコン
やポリマーを基板としたデジタルPCRチップの開発が進められていたが、シリコ
ン基板の場合、光リソグラフィープロセス[4]を用いて微小なユニットを多数形
成するので、多くの工程が必要となる。また、ポリマー基板の場合、金型加工[5
]で多量のチップを安価かつ高速に作製できるが、疎水性のため溶液を微小なユ
ニットに導入することが困難であるとともに、熱伝導率が低いためPCRには不向
きであった。

今回、デジタルPCRチップの基板として、親水性があり、比較的熱伝導率の高い
ホウケイ酸ガラスを用いました。ホウケイ酸ガラスは、透明であり、蛍光をほと
んど発せず、耐圧性・耐熱性に優れ、しかも安価といった特長を持ち、デジタル
PCRチップの基板に適しています。研究チームが開発した超短パルスレーザー誘
起選択エッチング法[6]に、集光点が長距離持続する超短パルスベッセルビームを
利用することにより、ガラス基板に10,000個以上のユニットとなる微細貫通穴を
高速で開けることを試みました。さらに、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RP
A)に応用し、その性能を実証。 従来のガウシアンビームでは焦点深度は数~数
十μmであり、基板の厚さ数百μmの領域を加工するためには、集光点を基板の厚
さ方向に沿って走査させる必要がある。一方、ベッセルビームの焦点深度(集光
点が持続する距離)は通常数mm以上あるため、基板の厚さ数百μmの領域で集光
点を一度に形成できるので、ビームを基板の厚さ方向に走査することなく加工で
きるが、ベッセルビームの焦点深度が基板の厚さよりはるかに長いため、多くの
エネルギーが加工に使われず無駄になることが課題。

ベッセルビームは、レーザー光源から出射されたレーザー光をコリメータレンズ
などにより平行光として空間伝播させ、これを円すい形のアキシコンレンズに入
射させて生成させる。 アキシコンレンズで生成された波長1,030ナノメートル
(nm、1nmは10億分の1メートル)、パルス幅2ピコ秒(ps、1psは1兆分の1秒)の
ベッセルビームを2枚のレンズと20倍の対物レンズを用いて縮小投影することに
より、焦点深度が基板の厚さとほぼ同じになるよう、ベッセルビームを成形しま
した(図1(a))。成形されたベッセルビームのシングルショットを繰り返し周
波数100Hz(1秒間に100発のレーザーパルスを出射)で、XYZステージ上に保持さ
れた厚さ500μmのガラスに照射しつつ、XYZステージを1.2cm/秒で移動させるこ
とで、120μmの間隔で1秒間に100個の微細可溶部を形成しました(図1(b))。
より高速なステージを用いて、繰り返し周波数を速くすれば、数千個/秒以上の
加工速度を達成することも可能。


図1.超短パルスベッセルビームの加工装置の概略図とレーザー光照射の様子
a)超短パルスレーザーから発振されたレーザー光を、1/2波長板と偏光ビームス
プリッターを用いて調整した後、アキシコンレンズを用いてベッセルビームを生
成。生成されたベッセルビームを二つのレンズ(レンズ1、レンズ2)と対物レン
ズを通して成形し、ガラス基板に照射する。(b)ベッセルビームを1ショットず
つガラスに高速に照射する。

レーザー照射後、全域にわたって直径1μmの円形の微細可溶部が複数形成された
厚さ500μmのガラス基板(図2(a))に対し、10%のフッ酸溶液を用いて選択化
学エッチングを行う。微細可溶部は、レーザー光が照射されていない領域と比較
して、フッ酸に対して約4倍速い速度でエッチングが進む。その結果選択化学エ
ッチングを30分行うことにより、直径が約70μmで、深さが400μmの微細貫通穴
が形成される(図2(b))。形成された微細貫通穴の寸法は、デジタルPCRを使
うには適す。微細可溶部と未照射領域のエッチング速度の比が比較的小さく、微
細貫通穴の形成過程で側壁もエッチングするため、直径1μmの微細可溶部にもか
かわらず直径が約70μmの微細貫通穴を作製できた。また、ガラスの親水性の特
性と毛細管現象の作用により、容易に微細貫通穴に水溶液を充填できる(図2(
b)右下)。

図2.微細可溶部、形成された微細貫通穴、作製されたチップの光学顕微鏡写真

レーザーを高速で走査することにより、1枚のガラス基板に20,000個の微細貫通
穴を形成に成功する。微細可溶部の形成に要したレーザー照射時間はわずか300
未満(図2(c))。前述のように、より高速なステージと速いレーザー繰り返
し周波数を用いれば、さらに微細可溶部の形成時間を短縮することが可能です。
一方、エッチングには数十分の時間を要すが、エッチングは一度に多数のガラス
基板を処理でき、デジタルPCRチップの大量生産には問題ない。
デジタルPCRへの応用の可能性を実証に、微細貫通穴アレイが形成されたガラス
チップを使って、核酸増幅技術(NAAT)の一つであるRPAを行う。 まずガラスチ
ップに形成された微細貫通穴のうち約10,000個の微細貫通穴に染色したDNA分子
を含む試薬を充填し、鉱油で被覆(図3(a))。ガラスチップに充填された試薬
を40ºCで25分間増幅を行った後、5倍および10倍の対物レンズを使って任意の複
数箇所を蛍光顕微鏡で観察した(図3(b)~(e))。 その結果、いくつかの微
細貫通穴からは強い蛍光が観察されたが、それ以外の微細貫通穴からは蛍光はほ
とんど観察されなかった。蛍光が観察された微細貫通穴には標的DNA分子が存在し、
蛍光を発しない微細貫通穴には標的DNA分子がないことを意味する。観察結果よ
り、各微細貫通穴から観察された蛍光強度の散布図を求めました(図3(f))。
微細貫通穴からの蛍光強度は、80程度(任意単位)か20程度の二つにほぼ分類さ
れ、各微細貫通穴には最初0個か1個の標的DNA分子が導入され、それが増幅され
ていることを確認。この結果は、作製したガラスチップがデジタルPCRにも適用で
きることを示した。

図3.作製したチップのデジタルRPAへの応用
(a)微細貫通穴に試薬を導入し鉱油で被覆したガラスチップの全景。(b)~
(e)2種類の対物レンズを用いて任意の複数箇所を測定した蛍光顕微鏡像。(f)
試薬を充填した各微細貫通穴からの蛍光強度の散布図。

デジタルPCRチップ作製には、微細可溶部と未照射領域のエッチング選択比が比
較的小さい(4倍程度)フッ酸を仕様。水酸化カリウム溶液を用いると改質領域
を未改質領域より高い選択比でエッチングすることができ、微細かつ高アスペク
ト比の微細貫通穴をガラスに形成できる(図4(a))。このような微細で高アス
ペクト比の貫通穴は、次世代3次元集積回路で必要とされるガラス貫通穴電極(
Through Glass Via:TGV
形成への応用が期待できる。また、ベッセルビームを連
続的に走査すると、比較的大きな寸法の任意の形状の微細貫通穴を形成すること
もできる。例えば、正方形の形状の微細貫通穴アレイが形成されたガラスチップ
は、ショウジョウバエを用いた高速運動制御機構の研究にも用いることができる
(図4(b))。本加工技術では、クラックやバリのない微細貫通穴を形成できる
ので、特にショウジョウバエの高速運動制御機構の研究では本加工技術で作製し
た微細貫通穴アレイガラスチップは最適である。(図4割愛)

掲載論文】
Jiawei Zhang, Kotaro Obata, Kazunari Ozasa, Takanori Uzawa, Yoshihiro Ito, Koji Sugioka,
"Rapid Manufacturing of Glass-Based Digital Nucleic Acid Amplification Chips by Ultrafast
  Bessel Pulses", Small Science, 10.1002/smsc.202300166新規タブで開きます
 

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図1.エチオプラストに発達するプロラメラボディの構造(左)と膜脂質組成
(右)
プロラメラボディとチラコイド膜の構造は大きく異なるが、膜の脂質組成はよく
似ており、全体の約2 割を酸性脂質(負電荷を もつ脂質)であるSQDG とPG が占
める。SQDG は硫黄を含む糖脂質。PG はリン脂質。MGDG;モノガラクトシルジア
シルグ リセロール、DGDG;ジガラクトシルジアシルグリセロール、SQDG;スルホ
キノボシルジアシルグリセロール、PG;ホスファチ ジルグリセロール。

光合成にかかわる脂質の機能解明が大きく前進! 
モヤシが葉緑体をつくるためのカギは「酸性リン脂質」
1月11日、大阪公立大学,日本女子大学,弘前大学,東京大学は,シロイヌナズナ
の変異体を用いた解析から,ホスファチジルグリセロール(PG)がプロラメラボ
ディの格子構造の形成やクロロフィル中間体の合成に必要であること,またスル
ホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)がPGの役割を一部補うことを解明。

光合成には葉緑体が必要であることはよく知られているが,暗所で発芽した被子
植物(モヤシ)には葉緑体がない。しかし,モヤシは光を浴びる前から葉緑体を
作る準備をしている。モヤシの先端には黄白色の小さな葉(子葉)があり,その
子葉の細胞内にエチオプラストと呼ばれる器官,さらにその内部にはプロラメラ
ボディと呼ばれる構造体がある。 プロラメラボディにはクロロフィルになる前の
物質(クロロフィル中間体)が蓄えられており,モヤシに光が当たると,直ちに
クロロフィルに変えられる。それに伴い,プロラメラボディはチラコイド膜に,
エチオプラストは葉緑体になって,光合成が可能となる。

この変化や関連物質について,さまざまな研究が行なわれてきた。これまでに、
プロラメラボディを作る膜脂4のうち,ガラクト脂質(MGDG,DGDG)の重要性は
示されたが,残りの2つの脂質,PGとSQDGの役割は不明であった。

そこで研究グループは,プロラメラボディの足場を構成する膜脂質に着目し,こ
れらの酸性脂質がエチオプラストの発達や機能にどのように関わるかを,PGや
SQDGの合成が異常になったシロイヌナズナの変異体を用いて調べたの結果,プロ
ラメラボディを構成する4種類の脂質の重要性が判明し,中でもPGがエチオプラ
ストの発達に特別な役割を担うことが明らかになった。 研究グループは,これ
までのガラクト脂質の研究と合わせ,プロラメラボディを構成する4種類の膜脂
質すべての重要性を明らかにした。これは,植物がどのように効率的に葉緑体を
形成し光合成を開始するかという仕組みを解明する上で極めて重要な知見となる。

【掲載論文】
雑誌名: Plant Physiology
論文名: Anionic lipids facilitate membrane development and protochlorophyllide
  biosynthesis in etioplasts

著者: Akiko Yoshihara, Keiko Kobayashi, Noriko Nagata, Sho Fujii, Hajime Wada and
  Koichi Kobayashi
載URL
  https://academic.oup.com/plphys/advance-article/doi/10.1093/plphys/kiad604/7420153


炭素繊維を一方向に配向した圧電プラスチックセンサ
繊維方向の機械的特性は約20倍に
昨年12月19日、東北大学と大阪工業大学の研究グループは、「一方向炭素繊維強
化圧電プラスチックセンサー」を開発。機械的強度に優れたモーションセンシグ
システムを実現することが可能となる。

2枚の圧電ナノコンポジットシート界面に炭素繊維を一方向に配向  
共同研究グループは2023年12月、「一方向炭素繊維強化圧電プラスチックセンサ」
を開発。機械的強度に優れたモーションセンシングシステムを実現することが可能
となる。圧電プラスチックは、振動発電機能やセンシング機能を備えている。こ
のため人体モーションセンサ用素材として期待されている。しかし、機械的強度
が低く応用範囲は限られていた。そこで研究グループは、超軽量で優れた機械的
安定性を有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を補強材と電極に用いること
とした。今回開発した一方向炭素繊維強化圧電複合材料は プラスチック(エポ
キシ樹脂)に圧電ナノ粒子(ニオブ酸カリウムナトリウム:KNNを分散した2枚の
圧電ナノコンポジットシート界面に、炭素繊維を一方向に配向させて接合し一体
化した。この結果、繊維方向には優れた縦弾性係数と引張強度を実現した。繊維
の垂直方向にはよく伸びてセンサの性能が向上することを確認した。研究グルー
プは、実験結果に基づきマルチスケール・マルチフィジックス有限要素モデルを
開発。開発したモデルを適用し、圧電CFRPユニットセルの異方性電気力学特性を
求めた。また、得られた値を3層サンドイッチ構造に適用して解析すれば、炭素
繊維強化圧電複合材料の応力状態や変形挙動に加え、出力電圧も予測できるとの
こと。  

図1.分極プロセスの構成と内向き直列バイモルフ型構造の模式図

さらに、作製した一方向炭素繊維強化圧電複合材料の引張試験結果と有限要素解
析結果を比較。この結果はよく一致しており、配向させた繊維方向(x方向)に
は伸びにくく、繊維に垂直方向(y方向)には伸びやすいことが実証された。実
験では、試料のx方向とy方向に50Nの荷重を繰り返し与え、出力電圧を測定した。
この結果、伸びやすい(柔らかい)方向の出力電圧は、強度が高い繊維方向に比
べ20倍以上となった。研究グループは、作製した一方向炭素繊維強化圧電複合材
料を「野球グローブ」や「靴」に取り付け、動き検出を行った。野球グローブで
ボールをキャッチングした時には約2Vの電圧を出力した。キャッチングのタイミ
ングも、信号の振幅スペクトログラムを用いて正確に認識できるという。  
また、右足用の靴にだけ圧電複合材料を取り付けた。右足を踏み出すとその重み
で電圧が出力される。歩行中は人体の重心が移動するため、1個のセンサーのみ
で両足の動きを感知できる。歩き始めると約3Vの電圧が出力される。さらに、振
幅スペクトログラムから、脚の歩行パターンも分かる。

【掲載論文】
タイトル:Fabrication, Evaluation , and Multiscale Simulation of Piezoelectric Composites
 Reinforced Using Unidirectional Carbon Fibers for Flexible Motion Sensor
s
著者:Yaonan Yu*, Chao Luo, Takayuki Suto, Yasutomo Uetsuji, Fumio Narita*
*責任著者:東北大学大学院環境科学研究科 大学院生 余 瑶楠,教授 成田 史生
掲載誌: Small DOI:doi.org/10.1002/smll.202307689 URL:https://onlinelibrary.wiley.
 com/doi/10.1002/smll.202307689


  
 
Limelight    1952


夜の寸評:  縄をすてまじ!

12年前にブログアップしているが、現在も着工されず、政府が直接計画する有様
である。「多目的メガフロート」(滑走路として建造する案)を掲載したが、生
物多様性が配慮されずい埋め立て方式で強行するのだろうか。


 
Click Here!



1月10日、アメリカの証券取引委員会(SEC) がに、ビットコインに直接投資する 上場投
資信託(ETF)
についての11件の申請を承認た。仮想通貨ウォレットや取引所を利用しな
くても、従来の株式取引と同じ枠組みでビットコインに投資できるようになったことで、仮
想通貨市場の活況に一層の弾みがつくという。 「リスクインパクト」評価」 
はされている
のだろうか? 興味はわかないが以下暫く考察をつづける。


 

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全固体電池 vs 全樹脂電池

2024年01月10日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。


出所:Seizo Trend

全樹脂電池と全固体電池の違い
全固体電池は、電解液が固体状、集電体には金属部品を使用。全樹脂電池の方が
より安全性が高く、製造が容易で低コストが特徴。実用化は、全固体電池がリー
ドする。TDKや村田製作所は、電装部品用などの小容量分野で実用化を進めており、
トヨタなどは全固体電池搭載の試作車を開発して試験走行を行っている。
これに対し、全樹脂電池とは、主要な材料に樹脂を使用した新しいリチウムイオ
ン電池のこと。三洋化成工業による支援の下、2018年10月に設立したスタートア
ップ企業のAPBが開発。

特集|全樹脂電池/全固体二次電

1.特開2023-178272 リチウムイオン電池用集電体、リチウムイオン電池用電
 極
及びリチウムイオン
【要約】
高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電体基板と、上
記樹脂集電体基板の表面の少なくとも一方に設けられた撥水層と、を有すること
を特徴とするリチウムイオン電池用集電体で、電解液の液滲みを防止することが
できるリチウムイオン電池用集電体の提供。
【特許請求項目】 
【請求項1】 高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電
体基板と、 前記樹脂集電体基板の表面の少なくとも一方に設けられた撥水層と、
を有することを特徴とするリチウムイオン電池用集電体。
【請求項2】 前記撥水層の電解液に対する接触角が80°以上である請求項1に
記載のリチウムイオン電池用集電体。
【請求項3】 前記撥水層がフッ素樹脂からなる請求項1に記載のリチウムイオ
ン電池用集電体。
【請求項4】 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン重合体、フルオロエチ
レン・ビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン・(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体及びエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選択
される1種以上である請求項3に記載のリチウムイオン電池用集電体。
【請求項5】 前記導電性フィラーの含有量の割合が、前記樹脂集電体基板の総重
量に対して10~50重量%である、請求項1又は3に記載のリチウムイオン電
池用集電体。
【請求項6】 請求項1又は3に記載のリチウムイオン電池用集電体と、前記リチ
ウムイオン電池用集電体の一方の表面に配置された電極組成物層とを有し、前記
撥水層が、前記電極組成物層と隣接していることを特徴とするリチウムイオン電
池用電極。
【請求項7】 高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電
体基板の表面の少なくとも 一方に樹脂溶液を塗布する塗布工程と、前記樹脂集電
体基板の前記表面に塗布された前記樹脂溶液を脱溶剤して撥水層を形成する撥水
層形成工程とを有することを特徴とするリチウムイオン電池用集電体の製造方法。
【請求項8】 前記樹脂溶液が、フッ素樹脂と、ハイドロフルオロエーテル及び/
又はハイドロフルオロオレフィンとを含む請求項7に記載のリチウムイオン電池
用集電体の製造方法。



ところで、リチウム電池でない全固体型ナトリウムの魅力とは。①オール酸化物
のため、発火や有毒ガス発生のおそれがない、②低温(-40℃)から高温(200℃
)まで 安定して作動する 、③付帯設備が不要で、電池パックの構造を簡素化で
きる。わたし(たち)は。ハイブリット薄膜太陽電池とナトリウム蓄電池を合体
させた道路や窓硝子や塀や壁面を覆い尽くせる魅力である。



【ナトリウムイオン固体二次電池】
2.特開2024-485 全固体二次電池
【要約】
下図1のごとく固体電解質層2と正極層3と負極層4とを有する全固体二次電池
1であって正極層3の固体電解質層2が配置された側の反対側の主面上に設けら
れた第1の集電体層5と、負極層4の固体電解質層2が配置された側の反対側の
主面上に設けられた第2の集電体層6と、第1の集電体層5の外周縁5aと第2
の集電体層6の外周縁6aとの間に設けられ、かつ正極層3及び負極層4を封止
する封止層7と、を有し、第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲
まれた内部空間8は真空であることを特徴とする、150℃以上の高温で一定期
間使用される場合にも、良好なサイクル特性を実現できる全固体二次電池を
提供。


図1 本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図


図2.図1のA-A部の模式的平面断面図

【符号の説明】1…全固体二次電池 2…固体電解質層 3…正極層 4…負極層
5,6…第1,第2の集電体層 7…封止層 8…内部空間

【特許請求範囲】
【請求項1】 固体電解質層と正極層と負極層とを有する全固体二次電池であって、
前記正極層の前記固体電解質層が配置された側の反対側の主面上に設けられた第
1の集電体層と、 前記負極層の前記固体電解質層が配置された側の反対側の主面
上に設けられた第2の集電体層と、前記第1の集電体層の外周縁と前記第2の集
電体層の外周縁との間に設けられ、かつ前記正極層及び前記負極層を封止する封
止層と、を有し、前記第1の集電体層と前記第2の集電体層と前記封止層に囲ま
れた内部空間は真空であることを特徴とする全固体二次電池。
【請求項2】前記封止層が、軟化点500℃以下の低融点ガラスを含有すること
を特徴とする請求項1に記載の全固体二次電池
【請求項3】前記封止層が、Bi2O3-B2O3系ガラスを含有することを特
徴とする請求項2に記載の全固体二次電池。
【請求項4】 前記正極層が、一般式NaxMP2O7(1≦x≦2、MはFe、
Ni、Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表さ
れる結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質を含む、請求項1~3のい
ずれかに記載の全固体二次電池。
【請求項5】前記負極層が、ハードカーボンからなる負極活物質を含む、請求項
1~3のいずれかに記載の全固体二次電池。
【請求項6】前記固体電解質層が、β-アルミナ、β”-アルミナ、及びNAS
ICON結晶からなる群から選択される少なくとも1種である、固体電解質を含
む、請求項1~3のいずれかに記載の全固体二次電池。

【概要】
リチウムイオン二次電池は、モバイル機器や電気自動車等に不可欠な、高容量で
軽量な電源としての地位を確立している。しかし、現行のリチウムイオン二次電
池には、電解質として可燃性の有機系電解液が主に用いられているため、発火等
の危険性が懸念されている。この問題を解決する方法として、有機系電解液に代
えて固体電解質を使用した全固体リチウムイオン電池などの全固体電池の開発が
進められているが、全固体電池においては、電極端子と集電体の接合部や電池の
外装体において樹脂等の有機材料が使用されている。また、全固体電池要素を封
入したラミネート外装体の内部には空気等の気体が含まれている(例えば特開
2015-79719参照)。全固体電池を例えば150℃以上の高温環境下で使用した場
合、電極端子と集電体の接合部や電池の外装体に使用されている樹脂等の有機材
料が劣化したり、全固体電池要素を封入したラミネート外装体の内部に残存する
気体が膨張したりして、全固体電池の各構成部品間(例えば、電極端子と集電体
との間)の接合部が剥がれ、全固体電池の内部抵抗が高まり、充放電可能な放電
容量が大幅に低下してしまう恐れがあり、本発明の目的は、150℃以上の高温
で一定期間使用される場合にも、良好な出力特性及びサイクル特性を実現できる
全固体二次電池を提供する。

【発明を実施するための形態】
(全固体二次電池)
図1は、本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的断面図。図2は、
図1のA-A部の模式的平面断面図である。図1、2に示すように、全固体二次
電池1は、固体電解質層2と、正極層3と、負極層4と、第1の集電体層5と、
第2の集電体層6と、封止層7を備える。全固体二次電池1としては、全固体リ
チウムイオン二次電池、全固体ナトリウムイオン二次電池、全固体マグネシウム
イオン二次電池等が挙げられる。以下、全固体ナトリウムイオン二次電池を例と
して説明するが、以下の実施形態は全固体二次電池一般に適用可能である。 
本実施形態において、固体電解質層2は、ナトリウムイオン伝導性酸化物により
構成されている。また、固体電解質層2は、対向している第1の主面2a及び第
2の主面2bを有する。  固体電解質層2の第1の主面2a上には、正極層3が
設けられている。正極層3は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な正極活物質を含ん
でいる。また、正極層3の固体電解質層2が設けられた側とは反対側の主面3a
上には、第1の集電体層5が設けられている。なお、正極層3と第1の集電体層
5との界面での電子伝導性を高めるために、予め正極層3の表面に金属アルミニ
ウム等の薄膜をスパッタリング法や真空蒸着法等により形成することが好ましい。
また、薄膜は、スパッタリング法により形成されたスパッタ膜であることが、正
極層3との密着性に優れるため好ましい。 

固体電解質層2の第2の主面2b上には、負極層4が設けられている。負極層4
は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を含んでいる。また、負極層4の
固体電解質層2が設けられた側とは反対側の主面4a上には、第2の集電体層6
が設けられている。なお、負極層4と第2の集電体層6との界面での電子伝導性
を高めるために、予め負極層4の表面に金属アルミニウム等の薄膜をスパッタリ
ング法や真空蒸着法等により形成することが好ましい。また、薄膜は、スパッタ
リング法により形成されたスパッタ膜であることが、負極層4との密着性に優れ
るため好ましい。
第1の集電体層5の外周縁5aと第2の集電体層6の外周縁6aとの間は封止層
7が設けられている。第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲まれ
た内部空間8に、固体電解質層2と、正極層3と、負極層4とが配置。
また、第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲まれた内部空間8は
真空である。そのため、150℃以上の高温で一定期間使用される場合にも、電池
の内部空間8が膨張せず、良好な出力特性及びサイクル特性を実現できる全固体
二次電池1を提供することができる。なお、ここでいう真空とは、1000Pa
以下の圧力状態を示し、電池の内部空間8の真空度が高い程、良好な電池特性を
有する。電池の内部空間8の真空度は、500Pa以下にすることが好ましく、
100Pa以下にすることがより好ましい。また、電池の内部空間8を真空にす
ることで、常に大気圧力で両集電体層が外部より加圧されている状態となり、正
極層3と第1の集電体層5、及び、負極層4と第2の集電体層6の接触状態が長
期間安定に保たれる。図1の実施形態では、封止層7は、第1の集電体層5の外
周縁5aの下面と第2の集電体層6の外周縁6aの上面の間に配置されているが、
第1の集電体層5の外周縁5aの側面と第2の集電体層6の外周縁6aの側面に
接するように封止層7を配置してもよく、第1の集電体層5の外周縁5aの側面
と第2の集電体層6の外周縁6aの上面に接するように封止層7を配置してもよ
く、第1の集電体層5の外周縁5aの下面と第2の集電体層6の外周縁6aの側
面に接するように封止層7を配置してもよい。


図3.本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図

上記の構成以外に、図3に示すように、正極層3と負極層4が形成された固体電
解質層2の端部と第1の集電体層5または第2の集電体層6との接触による短絡
を抑制する目的で、絶縁部材9を電池の内部空間8に設置してもよい。絶縁部材
9は、薄片状であることが好ましい。絶縁部材9の厚みは、50μm以下が好ま
しく、30μm以下がより好ましく、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が
より好ましい。絶縁部材9は、150℃以上の耐熱性を有していることが好まし
い。絶縁部材9は、セラミック、ガラス等の無機物から構成されていることが好
ましいが、150℃以上の耐熱性を有していれば、樹脂を用いてもよい。セラミ
ック、ガラス等の無機物から構成されている絶縁部材9としては、アルミナ、ジ
ルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素、ガラスの粉末や繊維から形成される、セラ
ミックスシート、ガラスシート、セラミック繊維不織布、ガラス繊維不織布、セ
ラミックウール、ガラスウール等用いることができ、樹脂から構成されている絶
縁部材9としては、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素、ガラスの
粉末や繊維から形成される セラミックスシート、ガラスシート、セラミック繊維
不織布、ガラス繊維不織布、セラミックウール、ガラスウール等が挙げられ、ポ
リフェニレンスルファイド、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リアミドイミド、シリコン樹脂、アリル樹脂、等が挙げられる。
なお、図3においては、絶縁部材9を固体電解質層2と第1の集電体層5との間
の内部空間8と固体電解質層2と第2の集電体層6との間の内部空間8の両方に
設けているが、片方のみに設けてもよい

本実施形態において、全固体二次電池1を構成する固体電解質層2と、正極層3
と、負極層4と、第1の集電体層5と、第2の集電体層6と、封止層7のすべて
が、無機物からなることがより好ましく、全固体二次電池1を構成するすべての
部材が、無機物からなることがより好ましい。「無機物からなる」とは、樹脂等
の有機物を不純物以外は含有せず(例えば、0.1wt%以下)、金属、セラミ
ック、ガラス等の無機物から構成されていることを意味する。 
上記実施形態においては、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層
)は、1.10以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ま
しく、0.60以下であることがさらに好ましい。正極層3に対する負極層4の
容量比(負極層/正極層)が上記上限値以下である場合、全固体二次電池1の充
放電効率をより一層向上させ、より一層の高エネルギー密度化を図ることができ
る。また、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層)は、0.10
以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.40
以上であることがさらに好ましい。正極層3に対する負極層4の容量比(負極層
/正極層)が上記下限値以上である場合、負極層4での金属ナトリウムの過剰な
析出を抑制することができ、より短絡しにくくなる。

なお、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層)は、例えば、正極
層3及び負極層4を構成する材料の種類や、正極活物質や負極活物質の割合、正
極層3に対する負極層4の厚みにより調整することができる。例えば、上記実施
形態が、正極層3が、一般式NaxMP2O7(1≦x≦2、MはFe、Ni、
Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表される結
晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質を含み、負極層4が、ハードカー
ボンからなる負極活物質を含む場合、正極層3に対する負極層4の厚み比(負極
層/正極層)は、0.50以下であることが好ましく、0.35以下であること
がより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましい。
正極層3に対する負極層4の厚み比(負極層/正極層)が上記上限値以下である
場合、全固体ナトリウムイオン二次電池の充放電効率をより一層向上させ、より
一層の高エネルギー密度化を図ることができる。 また、正極層3に対する負極
層4の厚み比(負極層/正極層)は、0.025以上であることが好ましく、
0.050以上であることがより好ましく、0.150以上であることがさらに
好ましい。正極層3に対する負極層4の厚み比(負極層/正極層)が上記下限値
以上である場合、負極層4での金属ナトリウムの析出をより一層抑制することが
でき、より短絡しにくくなる。また、サイクル特性をより一層向上させることが
できる。 【0027】 なお、正極層3の厚みは、好ましくは50μm以上、よ
り好ましくは200μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは
600μm以下である。また、負極層4の厚みは、好ましくは10μm以上、よ
り好ましくは40μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは150
μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
また、本発明においては、上述したように、充電完了時に、金属ナトリウムが負
極層4の内部に析出することが好ましい。この場合、全固体ナトリウムイオン二
次電池の安全性 をより一層向上させることができる。 

なお、本発明において、正極層3及び負極層4の各容量は、正極層3及び負極層
4に担持されている活物質の重量に、その活物質の理論容量を掛けることで算出
することができる。あるいは、正極層3と負極層4についてそれぞれハーフセル
(対極に金属Naを使用)を作製し、各ハーフセルについて充放電を行うことに
より、正極層3と負極層4の各容量を測定することも可能である。また、全固体
ナトリウムイオン二次電池(完成品)について正極層3と負極層4の各容量を測
定する場合は、全固体ナトリウムイオン二次電池を分解して正極層3と負極層4
を分離し、それぞれについてハーフセルを作製した後、各ハーフセルについて充
放電を行うことにより、正極層3と負極層4の各容量を測定することができる。 

(固体電解質層2)
固体電解質層2を構成する固体電解質は、ナトリウムイオン伝導性酸化物等のイ
オン伝導性材料から形成されていることが好ましい。ナトリウムイオン伝導性酸
化物としては、Al、Y、Zr、Si及びPから選ばれる少なくとも1種、Na
、並びにOを含有する化合物が挙げられる。その具体例としては、ナトリウムイ
オン伝導性に優れるベータアルミナまたはNASICON結晶が挙げられる。好
ましくは、ナトリウムイオン伝導性酸化物が、β-アルミナ又はβ”-アルミナ
である。これらは、ナトリウムイオン伝導性により一層優れている。

ベータアルミナには、β-アルミナ(理論組成式:Na2O・11Al23)とβ”
-アルミナ(理論組成式:Na2O・5.3Al23)の2種類の結晶型が存在する。
β”-アルミナは、準安定物質であるため、通常、LiAl23OやMgOを安
定化剤として添加したものが用いられる。β-アルミナよりもβ”-アルミナの
方がナトリウムイオン伝導度が高いため、β”-アルミナ単独、またはβ”-ア
ルミナとβ-アルミナの混合物を用いることが好ましく、Li2O安定化β”-
アルミナ(Na1.7Li0.3Al10.717)またはMgO安定化β”-アルミ
ナ((Al10.32Mg0.6816)(Na1.68O))を用いることがより好ま
しい。 NASICON結晶としては、NaZrSiPO12、Na3.2Zr
1.3Si2.20.710.5、NaZr1.6Ti0.4SiPO12、NaHf
SiPO12、Na3.4Zr0.9Hf1.4l0.6Si1.21.812、Na
Zr1.7Nb0.24SiPO12、Na3.6Ti0.20.7i2.8、Na
Zr1.880.12SiPO12、Na3.12Zr1.880.12i2PO12
Na3.6Zr0.13Yb1.67Si0.112.912等が挙げられる。NASI
CON結晶としては、特にNa3.12Zr1.880.12SiPO12 がナトリ
ウムイオン伝導性に優れるため好ましい。 

固体電解質層2は、原料粉末を混合し、混合した原料粉末を成形した後、焼成す
ることにより製造することができる。例えば、原料粉末をスラリー化してグリー
ンシートを作製した後、グリーンシートを焼成することにより製造することが
できる。また、ゾルゲル法により製造してもよい。固体電解質層2の厚みは、5
μm~1000μmの範囲であることが好ましく、10μm~200μmの範囲
であることがより好ましく、20μm~100μmの範囲であることが特に好ま
しい。固体電解質層2の厚みが薄すぎると、機械的強度が低下して破損しやすく
なるため、内部短絡が起こりやすくなる。固体電解質層2の厚みが厚すぎると、
充放電に伴うナトリウムイオン伝導距離が長くなるため内部抵抗が高くなり、放
電容量及び作動電圧が低下しやすくなる。また、全固体ナトリウムイオン二次電
池の単位体積当たりのエネルギー密度も低下しやすくなる。

(正極層3)
正極層3に含まれる正極活物質としては、特に限定されないが、一般式NaxMy
P2Oz(1≦x≦2.8、0.95≦y≦1.6、6.5≦z≦8、MはFe、
Ni、Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表さ
れる結晶を含む結晶化ガラスからなる正極活物質であることが好ましい。なかで
も、一般式NaxMP27(1≦x≦2、MはFe、Ni、Co、Mn、及び
Crからなる群から選択される少なくとも1種)で表される結晶を含む結晶化ガ
ラスからなる正極活物質であることがより好ましい。このような正極活物質結晶
としては、例えば、Na2FeP27、Na2CoP27、Na2NiP27等を用い
ることができる。
なお、本開示において、結晶化ガラスとは、非晶質相を含有する前駆体ガラスを
加熱(焼成)し、結晶を析出(結晶化)させたものを意味する。非晶質相のすべ
てが結晶相に転移していてもよいし、非晶質相が残存していてもよい。また1種
類の結晶を析出させても良いし、2種類以上の結晶を析出してもよい。例えば、
結晶化ガラスは粉末X線回折(XRD)により示されるピーク角度で結晶化ガラ
スか否かを判別することが可能である。 また、正極層3は、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質や、導電助剤を含んでいてもよい。正極層3における各材料の
比率は、例えば、質量%で、正極活物質 60%~99.9%、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質 0%~30%、及び導電助剤 0.1%~10%とすることが
できる。
なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、例えば、固体電解質層2の欄で説
明したものを用いることができる。ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、粉末
状で使用することが好ましい。ナトリウムイオン伝導性固体電解質の粉末の平均
粒子径は、0.05μm以上、3μm以下であることが好ましく、0.05μm
以上、1.8μm未満であることがより好ましく、0.05μm以上、1.5μ
m以下であることがさらに好ましく、0.1μm以上、1.2μm以下であるこ
とが特に好ましく、0.1μm以上、0.7μm以下であることが最も好ましい。

また、導電助剤としては、例えば、導電性炭素を用いることができる。導電性炭
素としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラ
ック、気相法炭素繊維炭素導電助剤(VGCF)、カーボンナノチューブ等を挙
げることができる。導電助剤は、上記のような材料からなる、炭素系導電助剤で
あることが好ましい。
正極層3は、例えば、固体電解質層2の第1の主面2aに、正極活物質前駆体と
必要に応じてナトリウムイオン伝導性固体電解質粉末及び導電助剤を含んだ電極
材料層を形成し、該電極材料層を焼成することにより形成することができる。電
極材料層は、例えば、正極活物質前駆体に必要に応じて固体電解質粉末及び導電
助剤を含んだペーストを塗布し、乾燥することにより得ることができる。なお、
ペーストには、必要に応じて、バインダー、可塑剤、又は溶剤等が含まれていて
もよい。なお、電極材料層は、圧粉体であってもよい。
ペーストの乾燥温度としては特に限定されないが、例えば、30℃以上、150
℃以下とすることができる。また、ペーストの乾燥時間としては、特に限定され
ないが、例えば、5分以上、600分以下とすることができる。 また、焼成時
の雰囲気は還元雰囲気であることが好ましい。焼成温度(最高温度)は、例えば、
400℃~600℃とすることができ、その温度での保持時間は、例えば、5分
~3時間未満とすることができる。 

正極活物質前駆体
正極活物質前駆体(正極活物質前駆体粉末)は、焼成により活物質結晶を生成す
る非晶質酸化物材料からなることが好ましい。正極活物質前駆体粉末が非晶質酸
化物材料からなる場合、焼成時に活物質結晶が生成するとともに、軟化流動して
緻密な正極層3を形成することが可能となる。また、正極層3が固体電解質を含
む場合、正極活物質と固体電解質の一体化も図ることができる。あるいは、正極
層3が固体電解質層2と接触する場合、両者の一体化を図ることができる。その
結果、イオン伝導パスがより良好に形成されるため好ましい。また、本発明にお
いて、「非晶質酸化物材料」は完全に非晶質の酸化物材料に限定されず、一部結
晶を含有しているもの(例えば結晶化度10%以下)も含むものとする。 
正極活物質前駆体粉末は、下記酸化物換算のモル%で、Na2O 25%~55
%、Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiO 10%~30%、及び
P2O5 25%~55%を含有することが好ましい。組成をこのように限定し
た理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、
特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。

Na2Oは、一般式NaxMyP2Oz(MはCr、Fe、Mn、Co及びNi
から選択される少なくとも1種の遷移金属元素、1≦x≦2.8、0.95≦
y≦1.6、6.5≦z≦8)で表される活物質結晶の主成分である。Na2
Oの含有量は、25%~55%であることが好ましく、30%~50%であるこ
とがより好ましい。Na2Oの含有量が上記範囲内にある場合、充放電容量をよ
り一層大きくすることができる。
Fe2O3、Cr2O3、MnO、CoO及びNiOも、一般式NaxMyP2
Ozで表される活物質結晶の主成分である。Fe2O3+Cr2O3+MnO+
CoO+NiOの含有量は10%~30%であることが好ましく、15%~25
%であることがより好ましい。Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiO
の含有量が上記下限値以上である場合、充放電容量をより一層大きくすることがで
きる。一方、Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiOの含有量が上記
上限値以下である場合、望まないFe2O3、Cr2O3、MnO、CoOまた
はNiO等の結晶を析出し難くすることができる。なお、サイクル特性をより向
上させるためには、Fe2O3を積極的に含有させることが好ましい。Fe2O3
の含有量は、1%~30%であることが好ましく、5%~30%であることがよ
り好ましく、10%~30%であることがさらに好ましく、15%~25%であ
ることが特に好ましい。Cr2O3、MnO、CoO及びNiOの各成分の含有
量は、それぞれ、0%~30%であることが好ましく、10%~30%であるこ
とがより好ましく、15%~25%であることがさらに好ましい。また、Fe2
O3、Cr2O3、MnO、CoO及びNiOから選択される少なくとも2種以
上の成分を含有させる場合、その合量は10%~30%であることが好ましく、
15%~25%であることがより好ましい。

P2O5も一般式NaxMyP2Ozで表される活物質結晶の主成分である。
P2O5の含有量は25%~55%であることが好ましく、30%~50%であ
ることがより好ましい。P2O5の含有量が上記範囲内にある場合、充放電容量
をより一層大きくすることができる。正極活物質前駆体粉末は、上記成分以外に
も、V2O5、Nb2O5、MgO、Al2O3、TiO2、ZrO2、又はSc
2O3を含有させてもよい。これらの成分は導電性(電子伝導性)を高める効果
があり、高速充放電特性が向上しやすくなる。上記成分の含有量は合量で0%~
25%であることが好ましく、0.2%~10%であることがより好ましい。
上記成分の含有量が上記上限値以下である場合、電池特性に寄与しない異種結晶
生じ難く、充放電容量をより一層大きくすることができる。
また、正極活物質前駆体粉末は、上記成分以外にも、SiO2、B2O3、Ge
O2、Ga2O3、Sb2O3、又はBi2O3を含有していてもよい。これら
成分を含有させることにより、ガラス形成能がより向上し、より均質な正極活物
質前駆体粉末を得やすくなる。上記成分の含有量は合量で、0%~25%である
ことが好ましく、0.2%~10%であることがより好ましい。これらの成分は
電池特性に寄与しないため、その含有量が多すぎると、充放電容量が低下する傾
向にある。正極活物質前駆体粉末は、原料バッチを溶融、成形することにより作
製することが好ましい。当該方法によれば、均質性に優れた非晶質の正極活物質
前駆体粉末を得やすくなるため好ましい。具体的には、正極活物質前駆体粉末は
以下のようにして製造することができる。

まず、所望の組成となるように原料を調製して原料バッチを得る。次に、得らた
原料バッチを溶融する。溶融温度は、原料バッチが均質に溶融されるよう適宜調
整すればよい。例えば、溶融温度は800℃以上であることが好ましく、900
℃以上であることがより好ましい。溶融温度の上限は、特に限定されないが、溶
融温度が高すぎるとエネルギーロスや、ナトリウム成分等の蒸発につながること
から、1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることがより
好ましい。 次に、得られた溶融物を成形する。成形方法としては特に限定され
ず、例えば、溶融物を一対の冷却ロール間に流し込み、急冷しながらフィルム状
に成形してもよいし、あるいは、溶融物を鋳型に流し出し、インゴット状に成形
してもよい。 続いて、得られた成形体を粉砕することにより正極活物質前駆体
粉末を得る。正極活物質前駆体粉末の平均粒子径は、0.01μm以上、0.7
μm未満であることが好ましく、0.03μm以上、0.6μm以下であること
がより好ましく、0.05μm以上、0.6μm以下であることがさらに好まし
く、0.1μm以上、0.5μm以下であることが特に好ましい。 
バインダー; バインダーは、原料(原料粉末)同士を一体化させるための材料
である。バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体ま
たはポリビニルアルコール等の水溶性高分子;熱硬化性ポリイミド、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン等の熱硬化性樹脂;ポリプロピレンカーボネート等のポリカーボネー
ト系樹脂;ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。

(負極層4)
負極層4に含まれる負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、ハード
カーボンやソフトカーボン等の炭素電極材料を用いることができる。炭素電極材
料は、ハードカーボンであることが好ましい。もっとも、負極活物質は、スズや
ビスマス、鉛、リン等のナトリウムを吸蔵できる合金系負極活物質や金属ナトリ
ウムを含んでいてもよい。なお、負極層4は、金属ナトリウム単相からなる負極
層ではないことが好ましい。
負極層4は、さらにナトリウムイオン伝導性固体電解質や導電助剤を含んでいて
もよい。負極層4における各材料の比率は、例えば、質量%で、負極活物質 60
%~95%、ナトリウムイオン伝導性固体電解質 5%~35%、及び導電助剤
0%~5%とすることができる。なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、
例えば、固体電解質層の欄で説明したものを用いることができる。導電助剤は、
例えば、正極層3の欄で説明したものを用いることができる。
以下、一例として、負極活物質である炭素電極材料及びナトリウムイオン伝導性
固体電解質を含む負極層4の形成方法について説明する。負極層4形成方法;
まず、炭素電極材料前駆体と、ナトリウムイオン伝導性固体電解質とを含むペー
ストを作製する。ペーストの作製に際しては、まず、ナトリウムイオン伝導性固
体電解質前駆体を用意する。なお、この段階では、ナトリウムイオン伝導性固体
電解質前駆体溶液を用意することが好ましい。ナトリウムイオン伝導性固体電
解質前駆体及びその溶液の具体例については後述する。

炭素電極材料前駆体(ハードカーボンからなる炭素電極材料の前駆体)を用意
する。炭素電極材料前駆体には、適宜の糖、バイオマスまたはポリマー等を用い
ることができる。 次に、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液及び炭
素電極材料前駆体を混合し、その後乾燥させる。これにより、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材料前駆体の混合物の粉末を得る。次に、
上記混合物の粉末を粉砕し、さらに、有機溶媒中において、導電助剤及びバイン
ダーと混合する。有機溶媒には、例えばN-メチル-2-ピロリドン等を用いる
ことができる。これにより、ペーストを得る。 
次に、固体電解質層2の第2の主面2bにペーストを塗布する。このように、固
体電解質層2及び電極材料層としてのペーストを積層する、積層工程を行う。次
に、固体電解質層2及びペーストの積層体を、例えば、N2雰囲気下で、600
℃超、1300℃以下において焼成する。なお、上記焼成は、不活性雰囲気下で
行えばよい。例えば、上記焼成をAr、Ne又はHe雰囲気下において行っても
よく、あるいは真空中において行ってもよい。また、焼成はH2を含む還元雰囲
気で行ってもよい。不活性雰囲気または還元雰囲気での焼成を行う場合、負極活
物質の初回の充放電効率をより一層向上できるため好ましい。なお、焼成中に炭
素電極が酸化、あるいは酸化分解しなければ、雰囲気中には少量の酸素を含んで
いてもよい。酸素濃度は、例えば、1000ppm以下とすることができるが、
これに限定されるものではない。以上のようにして、負極層4を作製することが
できる。 【0062】 炭素電極材料前駆体; 炭素電極材料前駆体に糖を用い
る場合、例えば、ショ糖、セルロース、D-グルコース、スクロース等を挙げる
ことができる。炭素電極材料前駆体にバイオマスを用いる場合、例えば、コーン
の茎、ソルガムの茎、松かさ、マンゴスチン、アルガン殻、籾殻、タンポポ、穀
物藁の芯、ラミーの繊維、コットン、昆布、ココナッツの内果皮等を挙げること
ができる。炭素電極材料前駆体にポリマーを用いる場合、例えば、PAN(ポリ
アクリロニトリル)、ピッチ、PVC(ポリ塩化ビニル)ナノファイバー、ポリ
アニリン、ポリアクリル酸ナトリウム、タイヤ(タイヤ用ポリマー)、リンドー
プPAN等を挙げることができる。

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及びその溶液;
ナトリウム伝導性固体電解質がベータアルミナである場合、ナトリウム伝導性固
体電解質前駆体は、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム
を混合することによって得ることができる。このとき、上記各材料の比率を、目
的とするナトリウムイオン伝導性固体電解質の組成比となるように調整する。
ナトリウムイオン伝導性固体電解質がNASICON型結晶やNa5XSi4O
12型結晶(Xは第3族遷移金属元素、好ましくは希土類元素から選択される少
なくとも1種)である場合、ナトリウム伝導性固体電解質前駆体溶液としては、
ナトリウム伝導性固体電解質を構成するナトリウム元素及び遷移金属元素と、炭
酸イオンとを含む溶液が挙げられる。なお、当該溶液中において、ナトリウム元
素はナトリウムイオンの状態で含まれており、遷移金属元素は遷移金属イオンの
状態で含まれている。

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体は、例えば、ナトリウムイオン伝導性
固体電解質前駆体溶液のゲル化物または乾燥物からなる。そして、上記ナトリウ
ムイオン伝導性固体電解質は、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体の焼成
物からなる。なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液には、炭酸イ
オンの代わりに硝酸イオンを含む溶液も使用することが可能である。また、ナト
リウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液中において、炭酸イオンが遷移金属元
素に対して二座配位していることが好ましい。この場合、遷移金属元素が溶液中
で安定して存在しやすくなる。また、ナトリウムイオンの対イオンとして、NR
4+(式中、各Rは互いに独立してH、CH3、C2H5及びCH2CH2OH
からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の置換基である)を含むことが好ま
しい。このようにすれば、遷移金属元素が溶液中で安定して存在しやすくなる。
ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液は、例えば、水ガラス(ケイ酸ナ
トリウム)、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ジルコニウムアンモニア水溶液を
混合することによって得ることができる。 バインダーは、正極層3の欄で説明し
たものを用いることができる。

(第1の集電体層5及び第2の集電体層6)
第1の集電体層5及び第2の集電体層6の材料としては、特に限定されないが、
それぞれ、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金など
の金属材料を用いることができる。上記金属材料は、単独で用いてもよく、複数
を併用してもよい。なお、これらの合金とは、少なくとも1種の上記金属を含む
合金である。第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みは、特に限定されな
いが、それぞれ、10μm~1000μmの範囲とすることができる。第1の集
電体層5及び第2の集電体層6は、外周縁5a及び外周縁6aが形成されるよう
に固体電解質層2、正極層3、負極層4よりも一回り大きいことが好ましい。図
1において、第1の集電体層5及び第2の集電体層6の固体電解質層2からの食
み出し幅は、0.2mm~20mmであることが好ましく、0.5mm~10m
mであることがより好ましい。
                             この項つづく



  
 

 Charlie Chaplin - Eternally (From ''Limelight'') (1952)
ジャパンサーチ · TWL(2016年8月) 「エターナリー」(Eternally)は、チャー
ルズ・チャップリン監督・主演による1952年公開の映画『ライムライト』の主題
歌。チャップリンの自作曲で、作詞はジェフリー・パーソンズ、ジョン・ターナ
ー。第45回アカデミー作曲賞を受賞した。「テリーのテーマ」(Terry's Theme
の別称もある。チャップリンはニューヨーク・シティ・バレエ団のスターのアン
ドレ・エグレフスキーとメリッサ・ヘイドンにこの曲がバレエに合うかを相談し
たところ、2人は曲に惚れ込んで、映画でのバレエの振り付けや出演に加わった。
1975年にチャップリンがナイトに叙された時にも流される。 

    

 
作詞/作曲:阿久悠/浜圭介 1979.5.25

12月30日、「雨の慕情」や「舟唄」などのヒット曲で知られる歌手の八代亜紀が
死去。享年73歳。
                                                          南無阿弥陀仏

夜の寸評: なんと、時代のカオス感と素晴らしい人たちの喪失感で
        気鬱に沈むことか。、

 

 

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非常用生活用排水循環システム考

2024年01月07日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

     母の住む国から降ってくる雪のような淋しさ東京にいる 

                           俵 万智

      雪降らず空振り疲れ今夜こそ風に吹かれて塩カル蒔く夜

                            


【非常用生活用排水循環システム考】
能登半島地震災害の情報を受け、コンパクトな非常用生活用排水循環システム関
連の情報を昨日ネットサーフを始める。まず、WOTA株式会社の「小規模分散型
水循環システムで、世界の水危機を解消する」に着目し①コンパクトン、②水洗
トイレ、③生物×オゾン処理方式、④処理水循環(セミクローズド)の最新技術
技術動向と、①完全膜処理(ミリ・マイクロ・ナノ三段濾過)、③有機物のマイ
クロオゾ水分解及びン水中(液体)プラズマ分解の最新技術動向の調査を行う。
後者の該当技術は皆無、コンパクト化の満足する該当技術も皆無という結果とな
った(24時間の調査時間のために調査欠落も含め)。従って、今後も調査継続し
特集していく。



【オゾン試験】廃水をオゾン処理によって脱色・脱臭する(動画あり)
 エコデザインの素

1.WO 2017/19927 A1 オゾンナノバブルを含む水溶液とその製造方法及び
 オ
ゾンナノバブルを含む水溶液の使用

【要約】オゾンによる高い殺菌力又は抗菌力が安定的に持続できるだけでなく、
生体組織内の細胞等への侵襲性を大幅に低減できるオゾンナノバブルを含む水溶
液とその製造方法及び前記オゾンナノバブルを含む水溶液の使用を提供する。本
発明のオゾンナノバブルを含む水溶液は、氷包埋法によってクライオ透過型電子
顕微鏡で測定したときのオゾンナノバブルの平均粒径及び密度がそれぞれ30n
m以下及び1mlあたり1016個以上、好ましくは1~10nm及び1mlあた
り1017以上である。本発明のオゾンナノバブルを含む水溶液は、溶存オゾンを
含む水溶液を、2以上の貫通小穴を周方向に有する筒の外部から該貫通小穴を通
して大気圧以上の圧力で噴射させ、前記筒の径方向断面と平行な同一平面上で前
記筒の中心に水撃が集中するように衝突させて発生させたオゾンナノバブルを含
む。

図1.本発明のオゾンナノバブルを含む水溶液を製造するためのオゾンナノバブ
ル発生装置を示す正面図及び斜視図

【符号の説明】 1・・・酸素ナノバブル発生装置、2・・・べローズシリンダ
ポンプ、3・・・気液混合槽、4・・・ポンプコントローラ、5・・・圧力セン
サ、6・・・マイクロ・ナノバブル用ノズル取付部、7・・・液吸引缶、8・・
気体吸引口、9・・・気体吸引調整バルブ
【概要】/【効果】
本発明のオゾンナノバブルを含む水溶液は、従来よりも小さな平均粒径を有する
オゾンナノバブルが大量に含まれることにより、オゾンによる高い殺菌力又は抗
菌力が安定的に持続できるだけでなく、オゾンを含んでも生体内組織の細胞等へ
の侵襲性を著しく低くし、細胞等の損傷又は障害を大幅に低減できる。
また、本発明によるオゾンナノバブルを含む水溶液の製造方法は、従来のナノバ
ブル発生装置と比べて、30nm以下の平均粒径を有するオゾンナノバブルを大
量に、且つ、安定的に発生することができるため、高い殺菌力又は抗菌力が安定
して持続的に得られ、且つ、生体内組織の細胞等への低侵襲性を図ることができ
る、オゾンナノバブルを含む水溶液を容易に製造することができる。そのような
効果を有するオゾンナノバブルを含む水溶液は、従来技術では製造することが困
難であり、本発明の製造方法によって初めて得ることができる。 
さらに、本発明によるオゾンナノバブルを含む水溶液を有する細胞培養液、生理
食塩水、輸液及び点眼薬は、生体内組織の細胞等のウイルスや細菌による感染の
治療やその予防に適用することができる。
さらに、本発明のオゾンナノバブルを含む水溶液は、癌の治療及び予防において
薬剤の一つとして適用される可能性が高い。それにより、オゾンナノバブルを含
む水溶液の医療分野への適用範囲を大きく広げることが可能になる。

2.特開2023-53995 水処理システム、水処理方法

【概要】
下図2のごとく本発明は、汚水の発生源を有する第1ユニット100と、水の浄
化を目的とした、浄化槽、個液分離槽、油分分離槽の少なくともいずれかを有し、
受け入れた汚水の1次的処理を行う第2ユニット200と、汚水受入口と、一次
受水槽、中間処理槽、備蓄処理槽、循環処理槽、濃縮排水不純物備蓄槽、無菌排
水槽を有する第3ユニット300とを有し、第1乃至第3ユニットには、センサ
、バルブが配設されており、第3ユニットには、更にポンプと、滅菌装置、殺菌
装置、及び消毒器の少なくともいずれかと、制御装置と、が配設されている水処
理システム50である、浄化槽や個液分離装置を実装したユニット、各種処理装
置を実装したユニット等を、トイレや手洗いの規模、或いは設置場所の環境に応
じて、自由に拡充、縮小ができ、排水に対して好適に処理を施す技術を提供する。


図1.本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成図2

【符号の説明】 1…水処理システム、2…第1ユニット、3…第2ユニット、
4…第3ユニット、11…トイレ、12…粉砕機、13…浄化槽、固液分離装置
14…循環水槽、15…ポンプ、16…フィルタ装置群、17…中間処理槽、
18…濃縮排水不純物備蓄槽、19…滅菌殺菌装置、20…滅菌殺菌装置、21
…制御装置、22…外部通信装置、23…データベース、24a~24h…バル
ブ、25a~25e…センサ、26…備蓄槽、固液分離装置、蒸散装置、2…地
中浸透升、河川放流、蒸散処理、50…水処理システム、100…第1ユニット
200…第2ユニット、300…第3ユニット、400…第4ユニット、500
…第5ユニット。

   
● 
DIY日誌:アコ-ディオンカーテン・マグネット・シャッタ調整



※ 平田家具のアコーディオンマグネット磁力の強すぎを調節にセロテープを接
 着面に貼り付ける方法を我が家の2箇所に実行。壺に嵌り?騒音の緩和に成功
 する。新年早々有り難う!


 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era


図1.RbMnFeCoプルシアンブルーの結晶構造と電荷移動相転移

世界最高の冷却性能を示す固体冷媒
昨年12月27日、東京大学らの共同研究グループは、圧力印加による断熱冷却(お
よび断熱加熱温度)が世界最高の固体冷媒の開発に成功。現在,発電所で発電さ
れる電力の20%は,エアコンや冷蔵庫における冷却に使用されている。ほとんど
の冷却技術はガス冷媒の膨張圧縮を利用しているが,ガス冷媒は地球温暖化の原
因となるなど環境に悪影響を与えうることが知られている。持続可能な開発目標
SDGsやグリーントランスフォーメーション(GX)の観点から,代替材料として,
熱量効果を示す固体冷媒が注目されている。中でも,圧力を印加したり開放した
りすることで熱量効果を発揮する圧力熱量(バロカロリック)効果材料が注目さ
れている。研究グループは,新しい無機固体冷媒であるルビジウムシアノ架橋マン
ガン-鉄-コバルト無機化合物(RbMnFeCoプルシアンブルー)が,圧力を印加した
り開放したりすることで,温度が上昇および下降する効果(バロカロリック効果
)を示し,340MPaで74K(57℃から−17℃),560MPaで85K(88℃から3℃)という
大きな可逆的断熱温度変化(|∆Tad,rev|)を示すことを見出した。 固相-固相転
移冷媒の熱量効果の中でこの|∆Tad,rev|値は世界最大。可逆冷媒容量(RCrev)は
26000J kg−1,温度窓(Tspan,rev)は142Kだった。この物質は低圧でもバロカロ
リック効果を示し,例えば90MPaでも|∆Tad,rev|=21Kという値を示す。さらに,熱
電対を用いた実測装置を用いて,圧力印加することで+44Kという大きな温度変化
を観測した。 この方法は,冷却と加熱は1ステップで大きな温度差を発生させる
ことができ,冷媒を段階的に組み合わせた複雑なシステムを要するカスケード法
などを用いる必要がない。具体的には,例えば,100℃から25℃への瞬間冷却や,
25℃から−50℃への瞬間凍結を実現することができる。 RbMnFeCoプルシアンブル
ーは大量生産のための材料コストもリーズナブル。新しい応用例としては,圧電
基板にこの材料を貼り付けることで,コンパクトな固体冷媒を実現でき,デバイ
スの過熱を防止できる可能性もあるとする。 研究グループは,この研究は,バ
ロカロリック効果材料の分野における新たな可能性を開くものであり,新しい固
体冷媒の開発に貢献。

【要点】
1.圧力印加と開放による断熱冷却温度(および断熱加熱温度)が史上最高の無
 機固体冷媒の開発に成功した。
2. 開発したルビジウムシアノ架橋マンガン-鉄-コバルト化合物は、圧力によ
 る断熱温度変化が、74 度(340 MPa)と 85 度(560MPa)という巨大なバロカロリ
 ック効果を示した。直接観測された温度変化は+ 44 K(440 MPa)で、100 回以
 上繰り返しても性能が劣化しなかった。
3.
地球温暖化の原因となるなど環境に悪影響を与えうるガス冷媒に替わる、グ
 リーントランスフォーメーションおよびSDGsに貢献する高性能な固体冷媒の
 実現が期待される。

【掲載論文】
・掲載誌;Nature Communications
・原 題;Giant adiabatic temperature change and its direct measurement of a barocaloric
       effect in a charge-transfer solid

・DOI:10.1038 s41467-023-44350



  
 

雪が降る 1963.
作詞/作曲:サルヴァトール・アダモ 

Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige
Et mon cœur s'habille de noir
Ce soyeux cortège T
out en larmes blanches
L'oiseau sur la branche
Pleure le sortilège

Tu ne viendras pas ce soir
Me crie mon désespoir
Mais tombe la neige
Impassible manège

Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige



夜の寸評: 格安で買えるの?信じられない!


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新成長経済理論考 ㉖

2024年01月05日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。



    ろうばいのほのかなかほりここちよく 伊吹かがやく湖岸をわた
                               

   かくとだにえやは伊吹のさしもぐさ さしも知らじな燃ゆる思ひを 
                    藤原中将実方 『後拾遺集』

【訳】せめて、こんなに私がお慕いしているとだけでもあなたに言いたいが、言
えない。伊吹山のさしも草ではないけれど、それほどまでとはご存知ないでしょ
う。燃えるわたしの想いを。

※『後拾遺和歌集』(ごしゅういわかしゅう)は、八代集の第四番目の歌集、『
拾遺集』の後継として編まれた勅撰和歌集。20巻で、総歌数は1218首(新編国歌
大観本)。 勅命は白河天皇、撰者は藤原通俊。承保2年(1075年)奉勅、応徳3年
(1086年)9月16日完成、同年10月奏覧された。その後、更に改訂を加えて、応徳
4年(1087年)2月に再奏、寛治元年8月に目録と序が奉献される。

【2024.1.1 能登半島地震からの教訓】

持続可能社会構築のコンパクトでレジデンスを備えた仮設・本設両用にして、
DXGな生活排水循環システム急遽を考案に取り掛かることに。
キーワード:逆浸透膜 濾過膜 生活排水 小規模分散型水循環システム
尚、わたしたち(地域生協及び住民運動として)は1978年に研究を始めている。

 

【関連特許】
1.循環型排水処理ユニット、および循環型排水処理システム
※ WOTA株式会社特許

【概要】 自立循環型のトイレが提案されている(特許文献1参照)。特許文献
特開2004-132037で記載されるトイレの循環型排水処理ユニットでは、排水を、
微生物を利用して処理する生物処理槽を備え、生物処理槽で得られた処理水を、
オゾン処理槽においてオゾンガスを用いた酸化・脱色処理をし、その後処理水タ
ンクで貯留している。 従来技術では、オゾンガスによる処理を行うオゾン処理
槽が処理水タンクとは別に必要になる。一方、小規模な水循環システムにおいて
は、循環型排水処理ユニットを極力コンパクトにしたいという要請があった。本
下図1のごとく、実施形態の循環型排水処理ユニットは、需要家からの排水を貯
留する排水調整槽と、排水調整槽から供給される排水に対して生物処理を行う生
物処理槽と、生物処理されて得られた処理水を貯留する処理水貯留槽と、処理水
貯留槽の液相にオゾンを供給する手段と、処理水貯留槽内の気体を、排水調整槽
を介して生物処理槽へ供給する手段とを備えることで、コンパクトな循環型排水
処理ユニットを提供する。


図1 本実施形態の循環型排水処理ユニットの一例の全体の構成図

【符号の説明】1…循環型排水処理ユニット 10…排水調整槽 20…生物処理
槽 30…処理水貯留槽 40…オゾン発生器 50…排気管路 90…供給部
100…循環式トイレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 需要家からの排水を貯留する排水調整槽と、前記排水調整槽から
供給される排水に対して生物処理を行う生物処理槽と、 前記生物処理されて得
られた処理水を貯留する処理水貯留槽と、 紫外線法によりオゾンを発生させ、
発生させた前記オゾンを前記処理水貯留槽の液相に供給する手段と、 前記処理
水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物処理槽へ供給する手段と
を備える循環型排水処理ユニット。
【請求項2】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽及び前記生物処理槽の液
相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項3】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽及び前記生物処理槽の気
相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項4】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽の液相へ供給し、前記生
物処理槽の気相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項5】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物処
理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽の気相へ供給し、前記生物
処理槽の液相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに係る発明が備える構成を備え
るシステム。

【発明を実施するための形態】 
(第1実施形態) 以下、第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明。
なお、実施形態を説明するための図面において 同一の構成要素には原則として
同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。

  <1.概要>
本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1は、例えば、水循環システムにお
いて、需要家から排出される排水(以下、単に排水という)を再生させるため
の装置である。再生した水は、例えば、トイレ洗浄、お風呂、シャワー、洗濯、
食器洗い等の生活用水として使用可能である。また、再生した水は、飲用水と
して用いてもよい。 水循環システムは、例えば、需要家から出される排水(生
活排水、汚水等)を処理して浄化する、調整槽、生物処理槽、貯水槽がコンパ
クトにまとめられた処理槽モジュールを含む。また、水循環システムは、例えば、
逆浸透膜、ナノろ過膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜等の物理ろ過の他、生物ろ過、
活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂等の化学ろ過等を有するろ過ユニットを含
む。ろ過ユニットは、例えば、所定の水源から取水した水をろ過する。
また、ろ過ユニットは、例えば、処理槽モジュールで処理された水をろ過する。
また、水循環システムは、例えば、提供する水を殺菌するUV殺菌ユニットを含む
。また、水循環システムは、例えば、オゾン発生器を含む。オゾン発生器は、例
えば、処理槽モジュールの消臭、処理槽モジュール内の水の殺菌、処理槽モジュ
ール内の水の脱色等を行うためのオゾンガスを発生させる。また、水循環システ
ムは、例えば、処理槽モジュール内における種々の物性を検出するためのセンサ
ユニットを含む。

<2.全体構成>
本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1の全体構成について説明する。図1
は循環型排水処理ユニット1の一例の全体の構成図である。図1では、循環型排
水処理ユニット1が循環式トイレ100で利用される場合を例に示している。本
実施形態に係る循環式トイレ100は、例えば、上水・下水設備が行き届かない
山間部等に建設される住居、別荘、山小屋、仮設住宅、又は移動型住宅などのト
イレとして用いられる。また、循環式トイレ100は、例えば、野外のイベント
会場、工事現場、又は災害時の避難所などに一時的に仮設されるトイレとして用
いられる。循環式トイレ100を用いることで、排水が処理されて循環水として
再利用することが可能となるため、上水・下水設備が整備されていなくとも、ト
イレを使用することができる。 なお、本実施形態に係る循環型排水処理ユニッ
ト1は、循環式トイレ100以外でも利用可能である。循環型排水処理ユニット
1は、例えば、台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水の再生
に使用されてもよい。このとき、例えば、水循環システムにおいて、最終段の水
槽から需要家による実際の水の使用までの間に、ろ過ユニット、及びUV殺菌ユ
ニット等が設置されてもよい。また、水循環システムにおいて、トイレ排水と、
台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水とが異なる処理系統で
処理されるようにしてもよい。 1に示すように、循環型排水処理ユニット1は
、トイレの便器2と複数の排水管により連結されている。循環型排水処理ユニッ
ト1は、排水調整槽10と、生物処理槽20と、処理水貯留槽30と、オゾン発
生器40と、排気管路50(図2参照)とを備える。排水調整槽10、生物処理
槽20、および処理水貯留槽30は、所定の槽間で水を送出可能なように、複数
の排水管により連結されている。複数の排水管それぞれにはポンプが設けられ、
ポンプの送り先となる槽における水位が所定の範囲内となるように、かつ可能な
限り、定量連続運転となるように、それぞれのポンプの駆動が制御される。なお
図1はあくまで一例であり、循環型排水処理ユニット1は他の構成であってもよ
い。例えば、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30は、一連のプ
ロセスを実施する一つのモジュールに含まれていてもよい。



図2 第1実施形態の排気管路の構成を示す

<3.排水調整槽10>
排水調整槽10は、便器2の下流に配置され、便器2から排出された排水を一時
的に貯留する。便器2には、例えば、粉砕圧送ポンプが設置されてもよい。粉砕
圧送ポンプは、排水に含まれる汚物等を粉砕し、粉砕した汚物を排水と共に排水
調整槽10へ送出する。排水調整槽10には、ブロワ11が設けられている。ブ
ロワ11は、連続的又は間欠的に空気を排水調整槽10の内部に送出する。ブロ
ワ11から送出される空気により、排水調整槽10の内部に貯留される排水が攪
拌される。排水調整槽10と、生物処理槽20との間には、ポンプ66が設置さ
れている。ポンプ66は、排水調整槽10に貯留される排水を生物処理槽20へ
送出する。

<4.生物処理槽20>
生物処理槽20の構成の一例について説明する。 生物処理槽20は、排水調整
槽10から排出された排水に含まれる有機化合物に対して、微生物を利用して
分解処理する。また、生物処理槽20では、微生物の働きで窒素化合物を除去
する生物脱窒を行う場合もある。生物脱窒では、好気性微生物と通性嫌気性細菌
とを組み合わせ、排水中の窒素化合物と炭素化合物とを分解する。この方法は主
に、好気環境下で行われる硝化工程と、無酸素環境下で行われる脱窒工程と、に
分割される。 硝化工程は、排水中のアンモニア(NH4)を亜硝酸(NO2)経由
で硝酸(NO3)まで酸化する反応である。この反応に関わる硝化細菌は、槽内
の十分な溶存酸素の存在が条件となる好気性細菌である。 

脱窒工程は亜硝酸、硝酸を窒素ガス(N2)に還元する反応である。すなわち
、溶存酸素の代わりに亜硝酸や硝酸分子の酸素を使って、有機物を炭酸ガスと
水に酸化分解し、その結果、亜硝酸や硝酸が窒素ガスに転換される。この工程に
は脱窒細菌と呼ばれる通性嫌気性細菌が関与し、溶存酸素のない無酸素状態で
脱窒活性を発揮する。 
生物処理槽20は、無酸素槽21と好気槽22とを備えている。無酸素槽21
は、好気槽22に対して上流側に配置されている。生物処理槽20には、槽内
の混合液を無酸素槽21と好気槽22と行き来させる不図示の排水路が設けら
れている。 無酸素槽21内の混合液には通性嫌気性細菌が存在している。無酸
素槽21では前述の脱窒工程が主に行われる。 無酸素槽21の内部には、攪拌
機23が配置される。攪拌機23は、例えば、攪拌羽根を有するミキサーによ
り実現される。攪拌機23は、無酸素槽21内で攪拌羽根を回転させることで
混合液を攪拌し、混合液に含まれる微生物が沈殿しないようにする。なお、無
酸素槽21内での攪拌は、攪拌機23によるものに限定されない。ポンプ、曝
気等により攪拌してもよい。 

好気槽22内の混合液には好気性細菌が存在している。好気槽22にはブロワ
27が設けられている。ブロワ27は、好気槽22内の混合液へ空気を供給す
る。ブロワ27から混合液内に空気が送出されることで、好気槽22内の好気
環境が維持される。好気槽22では前述の硝化工程が主に行われる。 

好気槽22には、膜ろ過ユニット25が設けられている。膜ろ過ユニット25
には、例えば、MF(精密ろ過膜)、UF(限外ろ過膜)、NF(ナノろ過膜)、
セラミックフィルタ、金属膜のうち少なくともいずれかが用いられる。膜ろ過
ユニット25は、例えば、ブロワ27から供給される空気の供給口の上方に配置
される。ブロワ27から供給される空気ブロワ27から供給される空気は、例
えば、膜ろ過ユニット25の洗浄に利用される。膜ろ過ユニット25は、生物
処理された水をろ過し、処理水とする。生物処理槽20と、処理水貯留槽30
との間には、ポンプ67が設置されている。ポンプ67は、膜ろ過ユニット25
によりろ過された処理水を処理水貯留槽30へ送出する。 なお、生物処理槽20
は、別の構成を備えてもよい。

<5.供給部90>
生物処理槽20には、生物処理槽20の内部に連続して有機物を供給する供給
部90が設けられている。供給部90は、生物処理槽20の無酸素槽21へ有
機物を供給する。有機物とは、生物処理槽20内の微生物の基質として供給さ
れる化合物である。循環式トイレ100が長期間不使用となった場合には、有
機物が含まれる排水の生物処理槽20への供給が滞るため、生物処理槽20内
の微生物は基質不足となり死滅するおそれがある。これを防ぐために 有機物を
生物処理槽20内に供給する必要がある。すなわち、無酸素槽21に有機物を
連続して供給することにより、無酸素槽21に存在する通性嫌気性細菌へ基質
を供給し続けることが可能となる。有機物は取扱性の観点から、流動体が望ま
しい。なお、流動体とは、液体に限られず、ジェル状態の物質も含まれる。ま
た、流動体としては低分子構造が好ましく、例えば炭素数が3以下の有機化合
物がより好ましい。炭素数が3以下の低分子構造を有する化合物の方が、生物
分解性が高いためである。た、有機物は水素供与体であってもよい。水素供与
体とは、生物処理槽20内の他物質に水素を与え還元させ、それ自体は脱水素
されて酸化される物質である。 例えば、使用頻度が高い状態において、無酸素
槽21における通性嫌気性細菌による脱窒反応を十分に進行させるためには、
溶存酸素のない無酸素性雰囲気と、亜硝酸、硝酸の酸素分子を還元させるのに
必要な水素供与体の存在とが不可欠である。無酸素槽21に水素供与体を供給
することにより、無酸素槽21内において、亜硝酸、硝酸の酸素分子の還元反
応が促進される。このように水素供与体としても振る舞う流動体である有機物
としては、例えばエタノールが挙げられる。

供給部90は例えば、定量吐出滴下装置を有する。定量吐出滴下装置は、複数
の間隔で継続して間欠的に無酸素槽21へ有機物を滴下することで供給する。
供給部90からの有機物の供給量は任意に設定することができる。この際、排
水の量を基準に有機物の毎月の供給量を設定してもよい。 供給部90が有する
ポンプは、定量吐出滴下装置に限定されない。供給部90は、常時所定の流量
の有機物を供給可能なポンプであってもよい。すなわち、供給部90は、滴下
量を任意の量に変動させ得る吐出滴下装置であってもよく、この場合は継続し
て無酸素槽21へ有機物を滴下することで供給する。なお、供給部90は、必
ずしも必要である訳ではない。

<6.処理水貯留槽30>
処理水貯留槽30は、排水が生物処理されて得られた処理水を貯留する槽であ
る。言い換えれば、処理水貯留槽30は、便器2に供給される処理水を貯留す
る槽である。すなわち、処理水貯留槽30は、排水が生物処理槽20で処理さ
れて得られた処理水を貯留する。 処理水貯留槽30には、便器2に繋がる第1
配管41が連結されている。
第1配管41に設けられた第3ポンプ63は、便器2を洗浄するための処理水
を、第1配管41を通して便器2に供給する。第3ポンプ63は、例えば、便
器2が利用された際に駆動される。第3ポンプ63の駆動は、ユーザからの指
示に応じてでもよいし、便器2の使用の検知に応じてでも構わない。或いは、
第3ポンプ63の駆動は、循環式トイレ100が長期間不使用となった場合に
は、所定の間隔で駆動してもよい。 

<7.オゾン発生器40>
オゾン発生器40は、オゾンを発生させる。オゾン発生器40は、生成したオ
ゾンガスを処理水貯留槽30に直接供給する。オゾン発生器40は、オゾンガ
スを、処理水貯留槽30内の処理水中、すなわち、処理水貯留槽30の液相に
供給する。なお、オゾンガスを、処理水貯留槽30の気相にも供給してもよい。
オゾン発生器40によるオゾンガスの発生方式は、例えば、放電法(無声放電
方式)、電気分解法(水電解セル方式)、紫外線法(水銀UVランプ方式・無
水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)等がある。このうち、紫外線法(無
水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)が好ましい。紫外線法(無水銀UV
ランプ(エキシマランプ)方式)は、オゾンガス生成時に大気中に存在する窒
素から有害な窒素酸化物を生成せず、不純物の少ないオゾンガスを生成するこ
とが可能である。そのため、特に、家庭等に設置される小型の水循環システム
に搭載するオゾン発生器で採用する方式として適している。不純物の少ないオ
ゾンガスを生成することで、オゾン発生器40の稼働時間を低減でき、電力消費
を抑えると共に、オゾン発生器40の長寿命化を図ることが可能である。不純
物の少ないオゾンガスを生成することで、水循環システム設備の小型化、劣化
・損傷箇所の削減が可能であるため、保守頻度低減にもつながる。このように
紫外線法(無水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)によるオゾン発生器4
0は、小規模分散型水再生において好適である。 処理水貯留槽30内において
オゾンガスは、強力な酸化力により、処理水を脱色、殺菌し、消臭(以下、オ
ゾン処理という)する。処理水に供給されたオゾンガスのうち、処理水中での
オゾン処理に使用されなかった余剰オゾンガス(槽内の気体)は、処理水貯留
槽30の上部に形成される空間に充満した後、排水調整槽10、又は/及び生
物処理槽20へ供給され再利用することが可能となる。

本実施形態において処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、例え
ば、既存の浄水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも
低くすることが可能である。既存の浄水設備では、脱色槽(オゾン処理槽)に
水が貯留される時間が短いため、短時間でオゾンガスと水とを接触させる必要
がある。一方で、本実施形態では、処理水は処理水貯留槽30に長時間貯留さ
るため、オゾンガスと処理水とは長時間接触することになる。このような貯留
時間の差から、処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、既存の浄
水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも低くてもよく
なる。

<8.排気管路50>
図2は、排気管路50の構成を示す図である。 排気管路50は、処理水貯留槽
30に供給されたオゾンガスの一部であって、処理水貯留槽30に充満した余
剰オゾンガスを他の槽に供給するための経路を形成する。 排気管路50は、処
理水貯留槽30と生物処理槽20とを繋ぐ第1排気管51と、処理水貯留槽3
0と排水調整槽10と、をつなぐ第2排気管52と、を備えている。 

第1排気管51の生物処理槽20における排気口は、例えば、生物処理槽20の
天井の端部に設けられる。第2排気管52の排水調整槽10における排気口は、
例えば、排水調整槽10の天井の端部に設けられる。 図示の例では、余剰オゾ
ンガスは、生物処理槽20および排水調整槽10それぞれの気相、すなわち、気
体が占める領域に供給される。なお、このような例に限られず、余剰オゾンガ
スを、生物処理槽20および排水調整槽10それぞれの液相、すなわち、液体が
占める領域に供給してもよい。両方の槽の液相へ余剰オゾンガスを供給しても
よい。また、一方の槽の液相へ供給し、他方の槽の気相へ供給してもよい。つ
まり、第1排気管51の生物処理槽20における排気口は、生物処理槽20の液
相中にあってもよい。また、第2排気管52の排水調整槽10における排気口
は、排水調整槽10の液相中にあってもよい。この場合には、ブロワを第1排
気管51および第2排気管52に設けることで、液体中に余剰オゾンガスを円
滑に送出することができる。 【

第1排気管51により、処理水貯留槽30から生物処理槽20に、例えば、常
時、余剰オゾンガスが供給される。生物処理槽20に供給された余剰オゾンガ
スは、生物処理槽20で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これに
より、生物処理槽20から生じる臭気が低減する。
生物処理槽20は、内部の排気を行う第1排気ユニット81を備えている。第
1排気ユニット81は、生物処理槽20内の空気を外部へ排出する。第1排気ユ
ニット81は、例えば、生物処理槽20の上部のうち、第1排気管51の排気
口から最も遠い位置に設置される。
第1排気ユニット81の内部には脱臭剤およびオゾン分解剤が配置されている。こ
のため、第1排気ユニット81から廃棄される残留ガスに含まれる残留オゾン
が分解される。また、脱臭剤が第1排気ユニット81の内部に配置されている
ことで、残留ガスの臭気がさらに低減される。

第2排気管52により、処理水貯留槽30から排水調整槽10に、例えば、常時
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは
排水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、
排水調整槽10から生じる臭気が低減する。
排水調整槽10は、内部の排気を行う第2排気ユニット82を備えている。第2
排気ユニット82は、排水調整槽10内の空気を外部へ排出する。第2排気ユ
ニット82は、例えば、排水調整槽10の上部のうち、第2排気管52の排気
口から最も遠い位置に設置される。
第2排気ユニット82の内部には、脱臭剤およびオゾン分解剤が配置されている
。このため、第2排気ユニット82から廃棄される残留ガスに含まれる残留オ
ゾンが分解される。また、脱臭剤が第2排気ユニット82の内部に配置されて
いることで、残留ガスの臭気がさらに低減される。

<9.小括>
以上説明したように、本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1によれば、
オゾン発生器40が、生成したオゾンガスを処理水貯留槽30に供給する。処
理水は、オゾンガスと共に処理水貯留槽30内で長時間貯留される。このため、
処理水貯留槽30の内部で処理水がオゾン処理されることになり、別途個別に
オゾン処理槽を設ける必要がない。これにより、排気ユニット全体をコンパク
トにすることができる。
また、既存の浄水設備では、オゾンの酸化力を懸念して密閉性を高めた小容量
のオゾン処理槽で、短時間でオゾン処理を行う必要があった。この場合には、
小容量の空間内で短時間に十分なオゾン処理を行うために、オゾンガスの濃度
を高くする必要があった。これに対して本実施形態の循環型排水処理ユニット
1では、処理水を長時間貯留する処理水貯留槽30の内部でオゾン処理を行う
ため、オゾンガスの濃度が低い場合であっても、オゾンガスと処理水とが長時
間接触することになり、充分なオゾン処理を行うことができる。 

また、第1排気管51を通して、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスを
生物処理槽20に供給することができるので、生物処理槽20で生じた臭気物
質(槽内の気体)に対してオゾン処理を行うことができる。これにより、生物
処理槽20から生じる臭気を低減することができる。 また、余剰オゾンガス
による有機物の酸化分解、および生物分解を促進し、生物処理槽20内での生
物処理サイクルの時間短縮と膜ろ過の負荷低減を図ることもできる。 また、臭
気物質の臭気を低減することで、第1排気ユニット81の内部に設けられた脱
臭剤の消費量を抑えることができる。

また、余剰オゾンガスの活性力を低減し、余剰オゾンガスのその後の処理の負
担を低減することができる。例えば、余剰オゾンガスの活性力が低減すること
で、第1排気ユニット81の内部に設けられたオゾン分解剤の消費量を抑える
ことができる。

また、第2排気管52を通して、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスを
排水調整槽10に供給することができるので、排水調整槽10で生じた臭気物質
に対してオゾン処理を行うことができる。これにより、排水調整槽10から生
じる臭気を低減することができるとともに、余剰オゾンガスの活性力を低減し、
余剰オゾンガスのその後の処理の負担を低減することができる。 また、処理水
貯留槽30から、排水調整槽10と、生物処理槽20とへ並列して余剰オゾン
ガスが供給されるため、排水調整槽10の臭気が生物処理槽20へ移動するこ
とがなくなる。ユーザは、例えば、生物処理槽20で生存する微生物を確認す
る場合がある。排水調整槽10と生物処理槽20とが繋がっていないため、生
物処理槽20を開いた場合であってもユーザは排水調整槽10の臭気を感じる
ことはない。
また、供給部90が生物処理槽20に連続して有機物を供給するので、使用頻
度が不定期であったり、長期間において不使用であったりする場合であっても
、生物処理槽内の生物活性を維持することができる。有機物を投入するタイミ
ングや量の調整が不要となり、使用頻度が著しく偏る循環式トイレ100にお
いても、簡便かつ適切に有機物を投入することができる。これにより、循環型
排水処理ユニット1のメンテナンスを簡易にし、メンテナンスコストを抑えるこ
とができる。

<10.変形例>
次に、第1実施形態の変形例として、図3を用いて、排気管路50の変形例を説
明する。図3は、図2に示す排気管路50の変形例を示す図である。なお、この
説明において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説
明を省略する。
この変形例に係る排気管路50では、余剰オゾンガスが各槽を順番に流れるよう
に構成されている。すなわち、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスは、生
物処理槽20に供給された後に、排水調整槽10に供給される。 排気管路50は、
第1排気管51と、生物処理槽20と排水調整槽10を繋ぐ第3排気管53と、
を備えている。第3排気管53の生物処理槽20における吸気口は、例えば、第
1排気管51の生物処理槽20における排気口から最も遠い位置に設置される。
これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触する機会を増やすことが可能に
なる。第3排気管53の排水調整槽10における排気口は、例えば、排水調整槽
10の天井の端部に設けられる。なお、このような例に限られず、生物処理槽
20で生じた余剰オゾンガスを、排水調整槽10の液相、すなわち、液体が占め
る領域に供給してもよい。つまり、第3排気管53の排水調整槽10における排
気口は、排水調整槽10の液相中にあってもよい。臭気ガスとオゾンガスを液中
接触することで余剰オゾンガスの発生、流出を低減することができる。 

第3排気管53により、生物処理槽20から排水調整槽10に、例えば、常時、
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは、
排水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、排
水調整槽10から生じる臭気が低減する。 
すなわち、第1排気管51および第3排気管53を介しては、処理水貯留槽30
で生じた余剰オゾンガスが、排水の下流から上流に向けて流れる。 この変形例で
は、生物処理槽20に第1排気ユニット81は設けられておらず、排水調整槽10
にのみ第2排気ユニット82が設けられている。この変形例では、第2排気ユニッ
ト82は、例えば、排水調整槽10の上部のうち、第3排気管53の排気口から
最も遠い位置に設置される。これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触す
る機会を増やすことが可能になる。 

以上説明したように、本変形例に係る循環型排水処理ユニット1によれば、処理
水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスが、排気管路50を通して、生物処理槽20、
及び排水調整槽10へ遡って送出される。このため、排水の処理工程に沿って、
互いに前後の工程にあたる槽同士に排気管路50を繋げば足りるので、排気管路
50の敷設を容易に行うことができる。また、余剰オゾンガスの流れに対して中
間に位置する生物処理槽20に換気ユニットを設ける必要がなく、より一層コン
パクトな構成とすることができる。また、生物処理槽20で活用される余剰オゾ
ンガスの量は、排水調整槽10で活用される余剰オゾンガスの量よりも少ない。
生物処理槽20に先に余剰オゾンガスを供給することで、次に供給される排水調
整槽10において、余剰オゾンガスを最大限活用することが可能となる。このた
め、臭気を効率的に低減することが可能となる。

次に、第1実施形態のその他の変形例として、図4を用いて、排気管路50の変
形例を説明する。図4は、図2に示す排気管路50のその他の変形例を示す図で
ある。なお、この説明において、第1実施形態と同一の構成については同一の符
号を付し、その説明を省略する。この変形例に係る排気管路50では、余剰オゾ
ンガスが各槽を順番に流れるように構成されている。すなわち、処理水貯留槽30
で生じた余剰オゾンガスは、排水調整槽10に供給された後に、生物処理槽20
に供給される。 排気管路50は、第2排気管52と、第3排気管53とを備え
ている。第2排気管52の排水調整槽10における排気口は、例えば、第3排気
管53の排水調整槽10における吸気口から最も遠い位置に設置される。これに
より、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触する機会を増やすことが可能になる。
なお、このような例に限られず、排水調整槽10で生じた余剰オゾンガスを、生
物処理槽20の液相に供給してもよい。つまり、第3排気管53の生物処理槽20
における排気口は、生物処理槽20の液相中にあってもよい。 

第2排気管52により、処理水貯留槽30から排水調整槽10に、例えば、常時、
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは、排
水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、排水
調整槽10から生じる臭気が低減する。 

第3排気管53により、排水調整槽10から生物処理槽20に、例えば、常時余
剰オゾンガスが供給される。生物処理槽20に供給された余剰オゾンガスは、生
物処理槽20で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、生物
処理槽20から生じる臭気が低減する。 【0049】 すなわち、第2排気管52
および第3排気管53を介しては、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスが、
臭気がより強い排水調整槽10から生物処理槽20に向けて流れる。 この変形例
では、排水調整槽10に第2排気ユニット82は設けられておらず、生物処理槽
20にのみ第1排気ユニット81が設けられている。この変形例では、第1排気
ユニット81は、例えば、生物処理槽20の上部のうち、第3排気管53の排気
口から最も遠い位置に設置される。これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが
接触する機会を増やすことが可能になる。 50          

                                           この項つづく

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2.特開2023-150985 水処理システムの水質予測システム及び水質予測方法
【概要】 半導体装置製造などの分野において洗浄用途に純水や超純水が使用さ
れている。原水から純水あるいは超純水を製造するときは、原水に含まれるイオ
ン性不純物あるいは有機性不純物(TOC(全有機炭素:Total Organic Carbon
成分))は、イオン交換装置や逆浸透膜装置、紫外線照射装置などによって構成
された純水製造システムあるいは超純水製造システムにおいて、原水から除去さ
れる。以下の説明において「純水」というときは超純水も含まれ、「純水製造シ
ステム」というときは超純水製造システムも含まれるものとする。 純水製造に用
いる原水としては、これまで、河川水、井水、表層水などが用いられてきた。し
かしながら昨今の水資源の枯渇化傾向に対応するため、工場排水や生活排水など
を処理して得られる回収水が原水として用いられる場合も増えてきている。回収
水中のイオン、TOCなどの濃度、成分組成、比率は、河川水などと大きく異な
っていることが知られている。例えば、回収水中には難分解性TOC成分が含ま
れている可能性がある。難分解性TOC成分とは、逆浸透膜処理やイオン交換処
理、紫外線照射による紫外線酸化処理などでは除去しにくい有機成分のことであ
る。原水に難分解性TOCが含まれていると、既存の純水製造システムを用いて
その原水から純水を生成するときに、得られる純水の水質の低下、具体的には得
られる純水でのTOC濃度の増加が起こることがある。原水の水質に応じて、原
水の受け入れ可否や純水製造システムの運転条件を変化させることが求められてい
る。処理能力の大きい純水製造システムの場合、そのシステムに供給される原水
での水質の変化の影響が出口に及ぶまでに時間がかかるので、出口から得られる
処理水の水質における変化を検知してから原水の水質変化に対応することは適切
ではない。このため、ユースポイントに供給する純水を製造する純水製造システ
ム(メインの純水製造システム)とは別に、原水の水質評価のための小型の純水
製造システムすなわち評価用システムを設け、評価用システムで生成した純水の
水質を測定して原水の水質を評価することが提案されている。

下図1のごとく、少なくとも逆浸透膜装置52を備える純水製造システム50に
未知のTOC成分を含む原水を供給して純水を製造したときの水質を予測する水
質予測システム10は、少なくとも逆浸透膜装置22を備えて同じ原水が供給さ
れる評価用システム20と、原水のTOC濃度と評価用システムでのTOC濃度
とを測定する計測器25と、評価演算部26を備える。評価演算部26は、計測
器25で測定された各TOC濃度と、純水製造システム50の運転パラメータと、
評価用システム20の運転パラメータとに基づいて、純水製造システム50での
TOC濃度を算出することで、対象とする純水製造システムによって得られる純
水の水質を、より小型の純水製造システムである評価用システムを用いて予測す
る。

【符号の説明】10 水質予測システム 20 評価用システム 22,52 逆浸透
膜装置(RO) 23,53 紫外線照射装置(UV) 24,54 イオン交換装置
(IER) 25 計測器 26 評価演算部 50 純水製造システム 51 原水タン


3.特開2023-17487 水浄化システムおよび水浄化方法
【概要】海水、河川水、湖水、生活排水または工業排水等のように、不純物また
は汚染物質を含む水(以下「被処理水」)から浄化された水を得る方法として、
逆浸透膜を用いる方法がある。逆浸透膜を用いて被処理水の浄化処理を進めると、
逆浸透膜の表面に被処理水に含まれる有機物が堆積してファウリングが発生する。
逆浸透膜にファウリングが発生すると被処理水の浄化処理速度が低下するため、
浄化処理速度を維持するには被処理水に加える圧力を増加させる必要がある。こ
の場合、浄化処理のエネルギー消費量が増加することとなる。さらに、有機物の
堆積量が増加すると、逆浸透膜の洗浄等を行う必要が生じるため、浄化処理を停
止することとなる。
このような逆浸透膜のファウリングに伴う浄化処理の効率低下を抑制するため例
えば特許文献1には、図6に示す構成の水浄化システム101が開示されている。
水浄化システム101は、正浸透膜装置102と逆浸透膜装置103とを有し正
浸透膜装置102の二次側102cと逆浸透膜装置103の一次側103bとが、
循環水を循環させる環状水路104で接続されている。水浄化システム101で
は、正浸透膜装置102の一次側102bで受け入れた被処理水105から正浸
透膜102aによって水分を二次側102cの循環水に透過させる。そして、循
環水をポンプ107で加圧して逆浸透膜装置103の一次側103bに導入し、
逆浸透膜103aによって水分を二次側103cに透過させ、浄化水106を得
る。逆浸透膜装置103の一次側103bから排出された循環水は、環状水路1
04を通じて再び正浸透膜装置102の二次側102cに導入される。環状水路
104を循環する循環水は、溶質を含み、かつ有機物が排除されている。特許文
献1には、以上の構成の水浄化システムにより、逆浸透膜に有機物等のファウリ
ング原因物質が直接触れることがないため、逆浸透膜のファウリングの防止が可
能であることが記載されている。


図1 本実施形態に係る水浄化システムの全体構成を示す模式図 【符号の説明】

図6 従来の水浄化システムの全体構成を示す模式図

上図1のごとく被処理水から浄化水を得る水浄化システムは、循環水を循環させ
る環状水路と、環状水路に対して並列に設けられ、被処理水から循環水に水分
を透過させる第1の正浸透膜装置および第2の正浸透膜装置と、第1の正浸透膜
装置および第2の正浸透膜装置の下流に配置され、循環水を収容する第1の貯水
槽と、第1の貯水槽の下流に配置され、循環水から水分を透過させて浄化水を得
る逆浸透膜装置と、循環水を逆浸透膜装置に向けて加圧するポンプと、第1の正
浸透膜装置および第2の正浸透膜装置のいずれかへ循環水および被処理水を導入
する状態を切り替える切り替え機構とを備えることで、逆浸透膜装置におけるフ
ァウリングの発生を抑制するとともに、正浸透膜装置においてファウリングまた
は故障が発生した場合でも、水の浄化処理を停止する必要がなく、安定して水の
浄化処理を行うことができる水浄化システムを提供する。、

【符号の説明】 1 水浄化システム 12 環状水路 13a 第1の正浸透膜装置
13a1 正浸透膜 13b 第2の正浸透膜装置 13b1 正浸透膜 14 第1の
貯水槽 15 ポンプ 16 逆浸透膜装置 16a 逆浸透膜 17 第2の貯水槽
18 切り替え機構 20 制御装置 21 第1の測定装置 22 第2の測定装置
23 第1の調整装置 24 第2の調整装置 W1 被処理水 W2 循環水 W3
浄化水

(作用、効果)  本実施形態に係る水浄化システム1では、被処理水W1よりも
有機物濃度の低い循環水W2が逆浸透膜装置16に導入されるため、逆浸透膜装
置16に被処理水W1が導入される場合に比べて逆浸透膜装置16におけるファウ
リングの発生を抑制することができる。 また、水浄化システム1では、切り替え
機構18を用いて、第1の正浸透膜装置13aおよび第2の正浸透膜装置13b
への循環水W2および被処理水W1の導入状態を、第1の状態と第2の状態との
間で切り替えることができる。これにより、第1の状態で作動している水浄化シス
テム1において、使用中の第1の正浸透膜装置13aにファウリングが発生した
場合には、切り替え機構18によって第1の状態から第2の状態に切り替えるこ
とで、第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに、停止中の第2の正浸透膜装
置13bの使用を開始することができる。また、切り替え機構18による切り替
えが行われるまでの間、第1の貯水槽14から循環水W2を逆浸透膜装置16に
供給することができる。

したがって、第1の正浸透膜装置13aにおいてファウリングが発生した場合で
も,
水の浄化処理を停止する必要がなく、安定して水の浄化処理を行うことができ
る。また、ファウリングが発生した第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を、水の
浄化処理を停止することなく行うことができる。第2の正浸透膜装置13bでフ
ァウリングが発生した場合でも、切り替え機構18によって第2の状態から第1
の状態に切り替えることで、同様に安定して水の浄化処理を行うことができる。

また、使用中の第1の正浸透膜装置13aにファウリングが発生した場合であって
も、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度
が第1の範囲を若干外れた程度で、第2の範囲内であり、第1の正浸透膜装置13a
の洗浄等を行う必要がない場合には、第1の調整装置23を用いて循環水W2の
溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことによって、適切な電気伝導
率および懸濁物質濃度の循環水W2を逆浸透膜装置に供給することができる。こ
れにより、安定して水の浄化処理を行うことができる。

また、第1の調整装置23を用いても循環水W2の電気伝導率および懸濁物質濃
度を第1の範囲内に調整することができず、例えば、第1の測定装置21で測定
された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第2の範囲を外れ、第1の
正浸透膜装置13aの洗浄等を行う必要が生じた場合には、切り替え機構18に
よって、使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに、停止中の第2
の正浸透膜装置13bの使用を開始することができる。 【

さらに、逆浸透膜装置16にファウリングが発生する等の理由で、第2の測定装
置22で測定された循環水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、循環水W
2と被処理水W1との溶質濃度差が適切な範囲から外れ、第1の正浸透膜装置13a
および第2の正浸透膜装置13bによる被処理水W1から循環水W2への水の透
過量が減少する可能性がある。 
しかし、水浄化システム1では、第2の測定装置22で測定された循環水W2の
電気伝導率が第3の範囲を外れたとしても、第2の調整装置24を用いて、第2
の測定装置22で測定される電気伝導率が所定の範囲内となるように循環水W2の
溶質濃度を調整することができる。したがって、第1の正浸透膜装置13aおよ
び第2の正浸透膜装置13bに適切な溶質濃度の循環水W2を供給することがで
き、より安定して水の浄化処理を行うことができる。
水浄化システム1では、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導
率または懸濁物質濃度が第1の範囲を外れてはいるものの第2の範囲内である場
合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリングの程度が低い傾向にあるため、
第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行わなくても第1の調整装置23の補助によ
り、循環水の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことができる。

また、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質
濃度が第2の範囲を外れる場合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリング
の程度が高い傾向にあるため、第1の調整装置23で補助しても十分に循環水W2
の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことができない。そのため、
第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行う必要があることから、切り替え機構18
によって使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに停止中の第2の
正浸透膜装置13bの使用を開始する。したがって、第1の正浸透膜装置13aを
十分に使用することができるとともに、安定して水の浄化処理を行うことができ
る。第2の正浸透膜装置13bについても同様である。 

切り替え機構18によって、第2の状態に切り替えた後は、そのままの状態で使
用を継続してもよく、第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行った後、第1の状
態に切り替えて使用してもよい。切り替え機構18の操作は、制御装置20によっ
ても行うことができ、手動でも行うことができる。また、水浄化システム1では、
第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度に
基づいて、第1の調整装置23および切り替え機構18の制御を行うことができ
るだけでなく、第2の測定装置22で測定された循環水W2の電気伝導率または
懸濁物質濃度に基づいて、第2の調整装置24の制御を行うことができる。第2
の測定装置22で測定された循環水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、
第2の調整装置を用いて、電気伝導率が第3の範囲内となるように循環水W2の
溶質濃度を調整することができる。

そのため、第1の正浸透膜装置13aおよび第2の正浸透膜装置13bに適切な
溶質濃度の循環水W2を供給することができ、より安定して水の浄化処理を行う
ことができる。本実施形態に係る水浄化方法では、第1の測定装置21で測定さ
れた循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第1の範囲を外れてはいるも
のの第2の範囲内である場合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリングの
程度が低い傾向にあるため、第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行わなくても
第1の調整装置23の補助により、循環水W2の溶質濃度の調整または懸濁物質
濃度の低減を行うことができる。また、第1の測定装置21で測定された循環水
W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第2の範囲を外れる場合には、第1の正
浸透膜装置13aのファウリングの程度が高い傾向にあるため、第1の調整装置
23で補助しても十分に循環水W2の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減
を行うことができないおそれがある。そのため、第1の正浸透膜装置13aの洗
浄等を行う必要があることから、使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止する
とともに停止中の第2の正浸透膜装置13bの使用を開始する。 


そのため、第1の正浸透膜装置13aを十分に使用することができるとともに、
安定して水の浄化処理を行うことができる。第2の正浸透膜装置13bについて
も同様である。 本実施形態に係る水浄化方法では、逆浸透膜装置1
6にファウリングが発生する等の理由で、第2の測定装置22で測定された循環
水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、第2の調整装置24を用いて、
電気伝導率が第3の範囲内となるように第2の貯水槽17に収容された循環水W
2の溶質濃度を調整することができる。これにより、第1の正浸透膜装置13a
および第2の正浸透膜装置13bに適切な溶質濃度の循環水を供給することができ
、より安定して水の浄化処理を行うことができる。




  

さだまさし 1991.06.25
奇跡〜大きな愛のように
          



「ムーラン・ルージュの歌」(The song from Moulin Rouge)は、1953年にフェリ
シア・サンダースのヴォーカルをフューチュアしたパーシー・フェイスの演奏盤
が全米第1位を獲得した。映画「赤い風車」(1952)の主題歌でジョルジュ・オー
リックの作品に当初はフランスのジャック・ラリューのフランス語の歌詞がつい
たが映画ではウィリアム・エンヴィックの英詩が使用され"Where is your heart"と
題された。レコードはパーシー・フェイスの他,マントヴァーニ, ヘンリ・レネ
盤がチャートにはいる。
「赤い風車」はホセ・ファーラー,コレット・マルシャン,ザ・ザ・ガボール主演
のイギリス映画でフランスの画家ロートレックの生涯を描いた作品でテーマ曲の
オリジナル・タイトルは "Le long de la Seine"。 パーシー・フェイスは この後。
ステレオで再録音して「夏の日の恋」とともにムード音楽の代表作となっている。
マントヴァーニの録音もゴールド・ディスクを獲得している。

夜の寸評: 一人ひとつの積み重ね
                            Do what you can now, and build on that one by one.

    

 

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