極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最新の熱電変換素子工学

2014年11月30日 | デジタル革命渦論

 



 

 

【オールソーラーシステム完結論 37】
 
 


● 最新の熱電変換素子工学

先日、ヒートポンプ技術を応用した積水化学工業株式会社の下水熱利用システム「エ
スロヒート下水熱-管底設置型」を掲載したが(『温度差エネルギー変換工学』)、
今回はコンパクトにダウンサイジングでき、地熱発電に最適の熱電変換素子の最新技
術をネット検索する。まず、下図の新規考案は、高温側電極を加熱する加熱流体は、
上流側から下流側に向かうにしたがい熱交換が進むことで温度が低下し、上流側との
温度差が生じ→熱電変換モジュール内には加熱流体の上流側から下流側にわたり熱膨
張差が生じ、熱応力による割れや破損を招く場合があるため→加熱流体により発生す
る温度差に起因の熱膨張差を低減し熱応力による高温側電極の破損を効果的に抑える
――平面状に配列した熱電変換素子41の両側にそれぞれ複数の長方形状の低温側電
極42aと高温側電極42bとが接合され、高温側電極42bが加熱流体Hで加熱さ
れる形式の熱電変換式発電装置の熱電変換モジュールに、全ての高温側電極42bを、
その長手方向が加熱流体Hの流れ方向と平行に配列された状態とし、加熱流体Hの上
流側と下流側との温度差で生じる熱膨張差を少なくする――熱電変換式発電装置の構
造が提案されている。

尚、熱電変換素子の熱電変換性能を評価する指標の1つとして、無次元性能指数ZT
(以下、単に性能指数ZTということがある)がある。この性能指数ZTは、下記式
(A)で示され、熱電変換性能の向上には、絶対温度1K当りの熱起電力(以下、熱
起電力ということがある)Sおよび導電率σの向上、熱伝導率κの低減が重要である。

性能指数ZT=S・σ・T/κ

(A) 式(A)において、S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック
係数) σ(S/m):導電率 κ(W/mK):熱伝導率 T(K):絶対温度

つぎに、熱電変換素子の一つとして、スピンゼーベック効果を用いたものが知られて
いるが、スピンゼーベック効果を用いた熱電変換素子は発電効率が低いという欠点を
をもつ。効率を上げるために、下図のように基板と非磁性金属層の間に、磁化を一方
向に固定した絶縁強磁性層と金属強磁性層とで構成し高い発電効率の熱電変換素子を
提供する新規考案。ただし、実施データの掲載がないく理論考察のみの開示となって
いる。

 
上/左上の図は、熱電変換素子100を示す図。熱電変換素子100は、基板10上
に絶縁強
磁性層20、金属強磁性層30、非磁性金属層40がこの順で設けられてい
る。これらを積層体と定義しても良い。更に非磁性金属層40上には端子50、60
が設けられている。熱電変換素子100の動作原理について説明する。熱電変換素子
100はスピンゼーベック効果を利用し発電する。基板と非磁性金属層との間で絶縁
強磁性層および金属強磁性層に温度勾配ΔTを付与すると、絶縁強磁性層と金属強磁
性層内のアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布に差が生じる。この現象
をスピンゼーベック効果といい、このとき生じるアップスピン電子の分布とダウンス
ピン電子の分布の差はスピン圧と呼ばれる。

ここで、金属強磁性に隣接して非磁性金属層が存在する。このため、絶縁強磁性層と
金属強磁性層内で生じたスピン圧がスピン流として金属強磁性層を介して非磁性金属
層に伝搬する。スピン流はアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布との差
によって生じる流れであり、電荷の流れではない。スピン流が非磁性金属層内に伝搬
すると、逆スピンホール効果によって、スピン流及び絶縁強磁性層の磁化と直交する
方向に電荷の流れである電流が流れ起電力が生じる。これにより、熱電変換素子は発
電する。絶縁強磁性層、金属強磁性層、及び非磁性金属層はそれぞれが接しているこ
とが好ましいが、それぞれの層が接していることで、スピン流を漏れなく非磁性金属
層に伝搬できる


● 有機熱電変換素子

熱電変換材料には良好な熱電変換性能が要求され、現在主に実用化されているのは無
機材
料であがし、無機材料は、熱電変換素子への加工工程が複雑であり、高価で、有
害物質を含む場合がある。
一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜
等の加工も容易であること等から、有機熱電変換材料やそれを用いた熱電変換素子が
報告されるに至
っている。熱電変換の性能指数ZTを高めるためには、ゼーベック係数と導
電率が高く、熱伝導率が低い有機素材が求められる。

下図はその1つの新規考案で、基材上に、第1の電極13、熱電変換層14と第2の
電極15を有する熱電変換素子1であって、熱電変換層14に、ナノ導電性材料と下
記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択され、1種の化合物を含有す
る熱電変換素子1と下記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択する1
種の化合物を含有する熱電変換材料で構成することで、高い熱電変換性能を備え、電
極との密着性に優れた熱電変換材料の熱電変換層をもつ熱電変換素子の提供である。

● 蛍光体による高変換効率光電変換素子

今回は1つだけ光電変換素子の最新技術動向事例を掲載しておこう。太陽電池は、一
般に
短波長領域において感度特性が低く、太陽光に含まれる紫外線などの短波長領域
の光を有効に利用できていない。この課題を解決する手
段として、従来からこの短波
長領域の光を吸収し、長波長領域の蛍光を発する蛍光体(
波長変換材料)を利用し、
感度特性の高い長波長領域の光量を増加させ、太陽電池の変換効率を向上させる取組
みが行われてきたが、一般に蛍光体を一つの層に多く配置しようとすると、層内で蛍
光体の濃度が高くなり、蛍光体同士の相互作用による濃度消光や、あるいは飽和濃度
を超え配合された蛍光体が透明樹脂表面に析出するなどして、入射光を遮り効率の低
下する問題があったが、蛍光体が配合された層を厚く塗布するには、スピンコートや
ダイコートなどの方法では均一に厚く、塗布することが難しく、厚みや表面形状が製
品ロットによってばらつくき安定しない。

このため、下図のように光電変換素子、電極極、第1の透明樹脂、樹脂の裏面に位置
するバックシート、第1の透明樹脂の表面に位置する保護ガラス、第1の透明樹脂が
位置する面と異なる、保護ガラスの面に密着して形成され蛍光体を有する第2の透明
樹脂とを備えた太陽電池モジュール(第2の透明樹脂が、複数の透明樹脂層の積層に
より形成し、複数の透明樹脂層中で、保護ガラスと最も近接した層の端面と保護ガラ
スの面との角度が、30度より大きく70度より小さいことを特徴する構造の太陽電
池モジュールを用いることで、太陽光の有効利用波長範囲が広い、変換効率に優れた
太陽電池モジュールとその製造方法を提案されている。

尚、この考案も具体的な実施データが添付されていない。







昼前、敏満寺のおかきやを探し、その足で、胡宮神社から多賀大社に立ち寄る。胡宮神社
では、偶然に
外海夫婦とお会いする。元気そうだった。ディープ・オータムには11
22がよく似合う。


 

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再エネが一番安い時代 Ⅱ

2014年11月29日 | デジタル革命渦論

 


  成長戦略『双頭の狗鷲』


● 景気条項とはなにか? 


 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うととも
 に、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定
 する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転に
 ついて、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前
 二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止
 を含め所要の措置を講ずる


上の景気条項とは、消費増税附則18条である。そこに書かれている「措置を講ずる」
というのは、政府としては新たな法案を国会に提出することだ。それが実効
性を持つ
ためには、国会で成立しなければいけない。この条項は増税阻止のきっかけ
になって
も、その決定打にはならないと、先日のブログ引用した高橋洋一が、現代ビ
ジネス
(2014.11.24)で指摘し(衆院解散「大義なし」批判は財務省からのアメを失った増
税派の遠吠えにすぎない!
ニュースの深層)、消費増税ストップ法案は国会で
否決さ
れるどころか、提出もできなかったのは、誰でも知っている事実だ。というの
は、財
務省が増税すれば予算措置のアメを与えると国会議員の大半を籠絡していたか
らだと、
自らの経験を交え「
そこで、安倍総理は、衆議院議員を全員クビにして、つまり、解散して、
総選挙で財務省ではなく国民から意見を聞いてこいといったわけだ」と警告している
が、
痛烈なのは、つぎの箇所だ。

  そもそも、今回の消費増税の根拠になっている消費増税法は、民主党政権の選挙
 公約
になかったのに、財務省が政権運営に不慣れな民主党幹部を籠絡して、同時
 に野党の
自民党も抱き込んで、国会で成立させたものだ。財務省は、国民ではな
 く国民に選ばれ
た議員による間接民主主義の弱点を知悉(ちしつ)している。国
 民すべてを騙すのは難し
いが、少数の国会議員なら騙しやすいのだ。(中略)消
 費増税については、財務省の国会議員、マスコミへの「ご説明」が行き届いた状
 態であった。「ご説明」だけではない。国会議員は、増税後の予算のアメ、地方
 議員や地方の首長も増税後のアメ、経済界は増税後の減税、マスコミは増税後の
 軽減税率、エコノミストは親金融機関への財務省の便宜供与、学者・有識者はそ
 れぞれ増税後のステータスなどで、増税支持を既に明確にしていた。


わたしをはじめ、多くの勤労国民は、公約になかった増税を提案したため、反民主で
なだれ込んだ(
?!)選挙の結果として安部内閣が誕生したのは当然だが、高橋洋一はこ
う結んでいる。


 確実に起こった影響は、安倍首相が解散を言ってから、少なくとも増税派(予算
 をばらまきたい財務省、そのおこぼれをもらおうとする国会議員、地方議員、首
 長、
経済界、マスコミ、有識者、学者など)から表立っての増税論はなくなった
 ことだ。
ただし、この増税派は反省してもらいたい。昨年夏から、増税しても景
 気は大丈
夫というウソをつき、その結果、増税後に景気は悪くなった。それを、
 天候不順、
なかには、エボラ熱、デング熱などが原因という「お笑い」までが官
 邸のホーム
ページに出てきた(→こちら)。いかに〝ポチ・エコノミスト〟がデタ
 ラメかとい
うことが誰にもわかる。

財務官僚組織から、えん罪という苛烈なバッシングを経験したことのある彼ならでは
の発言でもあるが、いつのまにか増税うんぬんの問題が、人権がいとも簡単に粗末に
扱われ良いものかと反省させられることになり、なんとも醜いものを覗くような仕儀
となった。


 

【オールソーラーシステム完結論 36】
 
 

● ドイツ・ヘリゴランド島発のエネルギー革命

先進諸国のなかで、ドイツほど地球温暖化ソリューションを真剣に模索し推進してき
た国は少ない。本土から60マイル(約百km)も離れた北海のただ中にあるドイツの風
力タービンは、およそ60階建てのビルの高さで立ち並んでおり、一基あたりの経費は
最高3千万ドルにものぼるというが、このドイツの野心的なプロジェクトは、驚くべ
き成果を上げ、電力の30パーセントが再生可能エネルギーで供給される。この数字を
超える小国も多くあるが、ドイツの達成率はこの水準に達した工業国のなかで突出し
米国の2倍以上となっている。(Sun and Wind Alter Global Landscape, Leaving Utilities
Behind - NYTimes.com  SEPT. 13, 2014

ドイツの事例は、電力システム再構築の新たな節目の出来事となり、再生可能エネルギーに
向けた徹底した取り組みの影響は、ドイツ沿岸をはるかに超えた地域にまで及び、風力ター
ビンや特にソーラーパネルの巨大な需要が生まれたことで、中国の大手製造業者の市場参
入が促され、それらの要因が相乗効果となって、コストがほんの数年前に可能だと考えてい
た以上の速さで逓減している。米国のワシントンの議会がスムースに対応しないこと
に業を煮やしたいくつかの州では、2020年までに、できるだけ早く20~30パーセント
の再生可能エネルギーを目指す独自目標を設定しているという。ドイツは、ソーラー
パネル、風力タービン、バイオガス工場、その他の再生可能なエネルギー源の設置を
望む農民や住宅所有者、企業、地域の共同組合などにリターンが保証されていること
をちらつかせながら、このプログラムに1400億ドル以上を投じたが、この計画の財源
は、ドイツ人家庭の年間約280ドルになる電気料金に課された追加料金で賄われている
がその一部は、再生可能なエネルギーが電力卸売価格を押し下げたことで相殺されて
いる。

 

● 電力会社への脅威

再生可能エネルギーのコストが低下するということは、電力供給会社にとっての潜在
的な災難となり、1日のうちで電力の需要が大きい、つまり電気料金が高い時間帯に
多くの金を儲けているが、太陽光発電は、たとえ少量であっても、それらピークの時
間帯の卸売価格を下げるため特に破壊的になりかねないというもの。太陽光発電は急
速に伸びているが、米国の発電量は1パーセントに満たないが、悪影響は大規模には
見られないが、異なる電力源の割合の変化に伴い、破綻を怖れる電力会社のなかには、
ソーラーパネルを促進する諸規則を攻撃しはじめているところもある一方、逆の路線
をとり、自らソーラー市場に飛び込んでいる電力会社も見られる。例えば、カリフォ
ルニア州では、2020年までに33パーセントの再生可能エネルギーを目指し、目標達成
の可能性が次第に高まっているという。太陽光発電が7パーセント、風力タービンが
約10パーセントを供給するドイツでは、収益性が高かった1日の時間帯における電力
卸売価格が値崩れし、大手電力会社は今春、年間38億ドルの損失を発表した際に、再
生可能エネルギーの市場への参入が遅かったことを認めている。


● 技術革新がさらに再エネを担保する

新しい技術により、多様なアプローチが可能になっている。例えばアップルやグーグ
ルは、住宅所有者がデジタル・サーモスタットのような機器を使って、自宅の電力管
理をおこなえるなどの新しい機会から利益を得るようなビジネスに何十億ドルという
投資をしている。また、
電気料金を月平均にするのではなく、希望する顧客に対し、
理論上はリアルタイムで変化させることも可能となる。電気料金が高くなれば節電が
促される。また、逆に皿洗い機や湯沸かし器などの家電に内蔵されたスマートチップ
で、電力が豊富で価格が安い時間帯にそれらを作動するようにもできる。さらに、別
方法――より高電圧の電線と離れた場所にある風力発電所と太陽光発電を接続し、変
動を抑制管理できというが、これらの多くは技術的に実現可能で後は、政府・行政の
制度設計・法整備だけということになる。
 

 

● 紅葉名所 胡宮神社

胡宮神社は、敏達天皇の勅願とも言われ、多賀二座の一とも伝えられ、古くは青龍山
頂の「磐座」崇拝にその起源をなしており、鎌倉時代には、天台宗敏満寺の鎮護の神
として栄えた。48伽藍120坊の規模があり、浅井長政・織田信長の焼き討ちにあって

衰退したが、1638年徳川家光により造営され復興を遂げた。三軒社流造りの県指定文
化財。山腹には無数の石仏谷(国指定文化財)があり、それを下ると広大な宿坊舎跡
が確認される。

 

青龍山の山頂に磐座(上/右)があり、山全体が神様という神体山である。磐座は磐
境とも言い奥宮をさす。胡宮神社には、国の名勝にも指定されている胡宮神社社務所
庭園がある。胡宮神社がある場所は、神社の神体山である青龍山の麓、かつては湖東
三山にも並び称せられたほどの名刹、敏満寺という天台宗の寺院があったところだ。
胡宮神社社務所庭園も、もとは敏満寺内の一院だった福寿院の庭園として作庭された。
のご神体は背後にそびえる青龍山そのものであり、頂上には結界となっている胡宮神
社の奥宮である磐座(いわくら)があることから、太古の昔から青龍山一帯は信仰の
地であったことが想像できる。このような由緒ある神社のなかにある庭園、胡宮神社
社務所庭園は、先に述べた福寿院の庭園として作庭されたが、明治期の神仏分離令に
よって福寿院がなくなり、胡宮神社社務所に隣接する庭園となった。庭園の作庭時期
は定かではないが、室町時代末期から江戸時代初期にかけてとみられており、書院か
ら眺めるように作られた観賞式林泉園となっている。

 

例年11月上旬から11月下旬にかけて、真っ赤になったモミジが境内を鮮やかに染め上
げ、秋の風情を楽しみながら散策できる。11月15日(土)から11月30日(日)の期間は、
聖徳太子が彫ったと言われる石造観世音立像の特別公開。また、日没から21:00頃まで
夜間ライトアップも行っている。名神高速道路多賀SAからは、神社に向かう遊歩道が
設けられている。


 ところで、随分前になるが敏満寺には、おかき・あられの専門店があり、山椒が
  効いた独特の風味をもつあられを買い付けていたが、いまはどうなっているのだ
  ろうか帰りに立ち寄ってみよう。
 

  ● 今夜の一曲

 

     帰り道/僕の足/白黒の真昼 

     呼吸はどうか/普通はどうか/手を当てた胸に

     記憶が揺れる/また手が触れる

     離さないで/離さないで/誰かそこにいるの

     途中のまま/止まったまま/時計に置いていかれる

     歩かなきや/走らなきや/昨日に食べられる

     どうしても見る/見たくない傷

     忘れないで/忘れないで/心だけが世界

     数秒後出会う/景色さえも

     想像できなくなってしまった

     鏡の中でこっちを見ている

     知らない人に/全て知られている

     まだ心臓が/まだ心臓が


          ・・・ 中略 ・・・


     パレードは続く/パレードは続く/パレードは続く/パレードは続く

     
心だけが世界

     僕はここにいるよ

     心だけが世界

     弱く燃える灯り



                       唄 BUMB CHICKEN『パレード』
                
                                            作詞/作曲 藤原基央



映画「寄生獣」のワールドプレミア舞台挨拶が本日10月30日に東京・TOHOシネマズ
六本木ヒルズで行われ、主題歌「パレード」を提供したBUMP OF CHエCKENが出席し
た。舞台挨拶にはキャストの染谷将太、深津絵里、橋本愛、東出東大、監督の山崎貴
も参加。BUMP OF CHICKENは中盤に斗人そろって登壇し、キャスト陣や監督とと
もにトークを繰り広けたという。PVでは壮絶な風景の中で演奏するメンバーがフォー
カスされる。さらにPVの中では藤原基央の右手にパラサイトが宿り寄生するシーンが
登場する。BUMP OF CHICKEN(バンプ・オブ・チキン)は、1994年に結成した和製
ロックバンド。略称としては『バンプ』『バンチキ』『BOC』が用いられる。トイズ
ファクトリー所属。バンド名『弱者の反撃』という意味を持って名付けられた。リリ
ース音源はほぼ全てハーフ・ダウン・チューニング(ギターとベースは、レギュラー
チューニングから全ての弦を半音下げた状態)で作られている。ユグドラシル収録の
asgard」「midgard」やCOSMONAUT収録の「三ツ星カルテット」「beautiful glider
等では変則チューニングを用いて作られている。尚、全員が1979年生まれ。メンバー
は皆平等、との考えから、バンド内でのリーダーは決めていない。

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再エネが一番安い時代

2014年11月28日 | デジタル革命渦論

 

 

●  デフレ基調に増税の愚

単年度会計主義と財務官僚の厭離(えんり)的権威主義や英米流金融資本主義(ある
いはネオ・リベラリズム)の蹉跌により、1997年以降、デフレ不況下に多くの日本国
民が凄惨な?状態に放置されてきた。なぜ放置され続けてきたのか?を高橋洋一は次
のように例示し解説している。



 財務省官僚は、「リカードの中立命題」といわれる考え方を都合良く使うのだ。
 例えば、財務省が国債発行で景気刺激を求められる場合、国債発行は将来の増税
 につなり消費を減少させるはずで、景気刺激効果はなくなるから、景気刺激は意
 味がないとい
う具合に使うのだ。このリカーディアンの前提には、人々は、経済
 合理性によって行動することがある。実際には、人々は必ずしも合理的に 行動
 するとは限らず、「リカー
ドの中立命題」は理論的な話で、実際には妥当しない
 という考え方が有力だ。ノーベ
ル賞経済学者であるクルーグマン・プリンストン
 大教授も、リカーディアンの考え方
に疑問を持っている。実証研究でも否定的な
 ものが多い。しかし、黒田日銀総裁は財務官僚のように都合よく、リカーディア
 ンの考え方を利用しているようだ。例えば、消費増税はいつかはやらなければな
 らないと国民も分かっているので、増税のタイミングは消費には影響しないと考
 えている。増税派は、消費増税の影響は軽微と言い切
ったが、その背景にはやは
 りリカーディアンの考え方がある。今回の消費増税は、前回、前々回と異なって
 緩和措置なしで行ったから、そのように判断せざるを得ない。

 かつては、財務省でさえ、リカーディアンの考え方には慎重だった。例えば、19
 89年の消費税創設では、同時に物品税を廃止したので、消費増税は物品税廃止と
 見合っており、消費増税の影響は中和されている。後日、こうした話は、「今日
 と明日の違いは、明日と明後日の違いより大きい」という行動経済学の双曲割引
 だと後で知ったが、実務では当たり前の話である。
ちなみに、先行所得税減税し
 ていると。ある程度消費向上効果が持続し、消費増税になってもすぐには消費減
 退せずに、半年くらい遅れて消費減退になる。このように、1997年の消費行動を
 説明することもできる。
たまたま、1997年秋にアジア危機があり、そのために景
 気が後退したというのが、財務省や経済学者の見解であるが、筆者はかねてより
 疑問を持っている。2012年4月19日付け本コラムに書いたように、アジア危機の
 震源地韓国より日本の経済パフォーマンスが悪いことが説明できない。消費増税
 が原因であろう。
今回の消費増税では、財務省や黒田日銀総裁のほか主流派経済
 学者がそろって増税の影響を見誤ったのは、みんな、リカーディアンだったから
 だ。しかし、97年も含めて、今回もリカーディアンの考え方は成立しなかったこ
 とが明白になった。


   
第107回 高橋洋一の俗論を撃つ!「『リカードの中立命題』が大好きな黒
   田総裁らの増税論者は否定された」ダイヤモンドオンライン 2014.11.27

   The Great Ricardian Equivalence Throwdown!


難しい話はさておき、反対論者がいう副作用とは、財政ファイナンスになること、大
量の資産
購入での市場機能の低下、金利低下による金融機関への悪影響を心配するが、
財政ファイナンスという「禁じ手」を忌み嫌うが(条件反射的に)、英語でいえば、
マネーファイナンス
とかマネタイゼーション(貨幣化)といわれるもので、禁じ手でも何でもな
い。バーナンキ・前FRB議長は、デフレなら活用すればいいと主張していた(上図
クリック)ほ
どだが、それで悪性のインフレが起こる心配はなく、日銀を含め先進国
の中央銀
行ではインフレ目標が調整機能となり財政ファイナンスされない――現状は
物価の上昇せず
、インフレ目標を一気に超えて、財政ファイナンスに伴う悪性インフレ発生し
ないと主張する。また、金利が低いから短資会社の手数料収入が減るとか、国債とい
う資本市場の
コメのようなものを日銀が買いすぎて金融機関が商売できないという一
業界内の些細なこと
に注意をとられて、日本経済が見えないことが問題で、日銀は、
一業界のミクロ経済ではなく、もっと大きい(あるいは高い)立場からマクロ経済を
論ずるべきだという。量的緩和はリーマンショック以降、先進国で採用され、もはや

医薬品でいえばジェネリック薬品のようなもので、先例のある国では目立った副作用
報告されていないと結ぶ。それにしても、このような、馬鹿馬鹿しい心理戦を強い
るより、さっ
さと『未来国債(百年債)』を発行し国内需要を高揚させるべきだろう。 

  成長戦略『双頭の狗鷲』

 

 

【オールソーラーシステム完結論 35】
 
 

 

 

● 原油安でも再生エネの方が安いって本当?


再生可能エネルギー(以下再エネ)の発電コストの方が、石油や石炭よりも安いとい
う。これは、米国やヨーロッパ諸国でしきりに指摘され始め、発電分野での新常識に
なりつつあるという(日本ビジネスプレス「原油安でも再生エネの方が安い、が世界
の新常識 本来は先を行くべき日本が周回遅れになる危険性も」2014.11.28)。それじ
ゃということで目を通す。

 これまで、特に日本では、再エネは火力発電に比べると1キロワット時当たりのコ
 ストがほぼ2倍近いと言われてきた。だが時代は確実に動いている。複数の報告
 書や専門家にあたると、新しい時代に突入したと言わざるを得ない。米国に限る
 と、過去5年で再エネの発電コストは下がっている。福島第一原力発電所の事故
 以前から、再エネのコストは下落傾向を辿っているのだ。(中略)
米ニューヨー
 クに本社を置く投資銀行ラザードが11月に公表したエネルギーのコスト分析によ
 ると、太陽光発電は1キロワット時当たり5.6セント(約6.5円)という価格
 まで落ちている。風力に至っては1.4セント(約1.3円)である。
それに比べ
 て、これまで安いと言われていた天然ガスは6.1セント(約7.1円)、石炭は
 6.6セント(約7.7円)で、ラザードの数字だけを見る限り、コストの逆転現
 象が起きている(下図参照)。



この調査結果について、同社の分析担当者は、再エネの技術の進歩が目覚ましく市場
はすでに化石燃料によるエネルギーと競争できるレベル
になってきた、
競争力は本物
であり、今後はさらに価格が下がるだろうと推察しているが、ただ、太
陽光にしても
風力にしても自然が相手であるため、コスト低下が実現できても、曇天が多く、
風が
吹かない日が続くと発電はできない。そのため、再エネだけに頼ること困難だと話し
てる
。しかし、傍線の再エネ依存のポートフォリオに関しては思考停止している。つ
まり、「蓄電・供給電力最適化システム」が完備されれば問題は解決可能であり、そ
れは既知知財ですでに担保されている――勿論、革新的な蓄電システムの継続的な研
究開発なども含めて――ことを忘れているだけの話だろう。それは、そうだとして、
米国では、安定した電力を確保するためには火力や水力などとの併用が必要になる。
それでも米国の電力会社はすでに再エネを中心にした発電へと移行しはじめていると
次のようにレポートしている。


 風力発電のコストはすでに石油や石炭、原子力発電よりも安くなっていると指摘
 されている。コストの中には発電や送電の費用だけでなく、大気汚染や動植物へ
 の影響なども換算されており、総費用で風力がもっとも安いとの位置づけだ。

 上での風力発電はメガワット時当たり105ユーロ(約1万5000円)だが、天然ガス
 は164ユーロ(約2万4000円)、石炭に至っては233ユーロ(約3万4000円)という
 数字で、風力のほぼ2倍のコストである。

 同報告書によると、原子力と太陽光は1メガワット時当たり125ユーロ(約1万8千
 円)で同額。コストの上で差がないとしている。
こうした数字を見るときに注意
 しなくてはいけないのは、公表する政府機関や企業・団体によってバラツキがあ
 ることだ。算出方法も違う。今でも石炭が最も安価との数字を出しているところ
 もある。
例えば日本政府が2011年に公表した火力発電のコストは、石炭で1キロワ
 ット時当たりが9.5円、天然ガスは10.7円という数字だが、2014年度の再エネ固定
 価格買い取り価格を見ると、太陽光は1キロワット時当たり32円で、風力は22円。
 石炭が安いという数字である。


つまり、日本政府がこうした数字を出す限り、日本ではいまだに再エネはコスト高と
いう 古い常識が幅を利かせる。再エネの電力網の整備などにはコストがかかるが、
太陽電池メーカーが故意にコストを下落させない「よからぬ力」を使っているとの声
もあり、再エネへの抵抗も知っておく必要がある、ラザードの報告書の数字と EU
分析が、これからの世界的な再エネのコストであり流れと考えていいだろう。むしろ
技術革新が進み、再エネのコストがさらに下落していくと捉えておくべきである。と、
指摘質疑のように結ぶ。


 しかも世界での太陽光の市場規模は増え続けている。米コンサルティング会社フ
 ロスト&サリバンの調査によると、2013年は600億ドル(約7兆円)だったが、20
 年には1370億ドル(16兆円)市場へと、2倍以上に成長すると予測されている。

 陽光、風力を始めとする再エネ(水力を除く)が生み出す総電力は2013年、いま
 だに世界の総電力の8.5%に過ぎないが、シェアは確実に増えている。

 これが世界的な動きであるとすれば、日本も同じ道を辿るであろうし、本来なら
 ば辿るだけでなく、世界の一歩先に出て再エネ業界をリードしてもいいくらいで
 ある。
最後にエネルギーについて語る時の留意点を記したい。世界のエネルギー
 分野には、絶えず賛否両論が飛び交っている。再エネ推進の動きが半年後には反
 転したり、火力発電が原油価格の下落によって見直されたり、動きは活発である。

 原油価格は11月に入り、過去5年で最低レベルにまで落ちている。1バレル75ドル
 (約8700円)という価格は今夏と比較すると25%減だ。来年1月には70ドルを下回
 るとの予測もある。
理由はいくつもある。原油の世界的な需要が低迷していると
 同時に、生産量が上昇しているのだ。米国のシェール革命も大きな要因である。

 米国の原油生産量は6年前、1日500万バレルだったが、いまでは900万バレルに達
 している。それは再エネ分野への投資額の減少をもたらしている。
それでは世界
 の発電業者が再び火力や原子力に重心を移すかと言えば答えはノーである。
2013
 年、世界の太陽光による総発電量は前年比で26%増を記録した。紆余曲折を経な
 がらも、再エネが今後のエネルギー分野の支柱になっていく現実は見えている。
 すでに多くの国で再エネの方が安いのだから


このように、わたし(たち)が主張してきたように、太陽光発電を中心とした再生可
能エネルギー(再エネ)コストの逓減が、全量固定価格買取制などの政府産助がなく
ても価格下落し続けていることが欧米を中心として実証されてきている。そう、わた
し(たち)は間違っていなかった。

  

 


● 光合成の水分解反応機構解明で エネルギー・食糧・環境問題を解消

岡山大学大学らのグループは、光合成反応の中で水を分解する機構の一端を解明。X
線自由電子レーザー施設「SACLA」で構造を解析。光合成生物が持つたんぱく質
で、水を分解し酸素や電子を発生させる「光化学系Ⅱ(PSⅡ)」の構造を0.195
ナノメートルの解像度で明らかにしたことで、太陽光エネルギーを高効率で電気に変
える人工光合成の研究がまた一歩の進展したという。

それによると、藍藻から取り出したPSⅡの結晶を作り構造を解析し、0.01ピコ秒
だけ物質に照射できるパルスX線で回折写真を撮像し、放射線損傷が起き構造変化す
るX線照射後数ピコ秒より前に撮像することでPSⅡの正確な構造を決めた。
その中
でマンガンやカルシウムなどで構成される水分解触媒の構造で、触媒内の酸素原子付
近の空間で水を分解している可能性があることという。光エネルギーを利用できる触
媒のモデル化合物になるのではないかと期待しているとのこと。

 

● 見込まれる効果

光化学系IIの触媒中心である Mn4CaO5クラスターは 周りのアミノ酸が協調的に構造変
化することにより周期的な5つの中間状態を経て極めて効率の高い水分解反応が行わ
れているが、その動的メカニズムの詳細は不明だったが、光化学系IIの反応周期の第
一状態について反応性を維持したままの本来のMn4CaO5クラスターと周辺の構造を明
らかにできた。太陽の可視光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するた
めの触媒の構造基盤の提供に資す。この反応を模倣した「人工光合成」が実現すれば、
光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換でき、夢の「人工光
合成」は太陽からのクリーンで再生可能な、無尽蔵な光エネルギーを高効率で利用す
ることは可能となり、直面するエネルギー問題、環境問題、食糧問題の解決にもつな
がるものと期待されている。

 

 

図 研究結果から考えられる水分解の反応機構

 

● 「重ね塗り」で有機薄膜太陽電池を高性能化

奈良先端科学技術大学らのグループは、軽量で柔軟性などに優れた次世代の太陽電池と
して研究されている有機薄膜太陽電池の新しい材料を開発し、太陽電池として動作す
ることを実証。溶媒に溶かした材料を基板に塗布して薄膜を作製するタイプの半導体
で、光を当てる
と常温で不溶化して固まるため、材料を変えて重ね塗りしても混じら
ず、半導体の積層構造ができ、この方法で光から電気への変換効率を2倍以上に向上で
きた上、今後、材料の組み合わせを自由に変えて高効率の半導体を設計し、プラスチ
ックフィルム上に作製することも可能となるという。

 

従来の塗布型有機薄膜太陽電池では、バルクヘテロ構造と呼ばれるp型(電子を受け入
れる側)とn型(電子を供給する側)の半導体を混合した層を一層だけ成膜する方法が
主流。材料が溶媒に溶けるため、重ね塗りによる積層構造を作製することが困難。そ
こで
本研究グループでは、溶媒に溶かして基板上に塗布した後に、光を当てることで
不溶化する有機半導体材料を開発し、室温条件下、溶液プロセスでp-i-n層)
構造の太
陽電池を作製することに成功する。積層構造が可能なので、p層とi層(中間層)にそ
れぞれの役割に適した構造の化合物を使うことができるようになり、テイラーメイド
の化合物を利用することが可能となる。その結果、同一材料のバルクへテロ型太陽電
池に比べて、変換効率で2倍以上の向上
を確認。また、
本手法は光を使った不溶化で
あるため、室温または穏やかな条件で結晶性の薄膜を作製することが可能で、
また光
照射の条件や材料の構造をうまく調整することで薄膜の構造を制御でき、各層に適し
た異なる材料を組み合わせられることから、従来のバルクヘテロ構造よりもデバイス
の設計自由度が増し、将来的な高効率化が見込まれるとのこと。


よく考えてみると、有機合成工学の専門知識があれば、すぐに思いつく手法であるが
以外とそういった考案が、ブレークスルーに繋がっていくのだろうと感心した事例で
ある。参考までに下に関連新規考案事例を掲載する。

 

 

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寄生獣と実写化工学

2014年11月26日 | 時事書評

 

 

● 安倍より海江田の方がまだまし!? 増税やめて内需拡大を!! 



各政党の公約が出揃ったと三橋貴明という。ただし、わたしはまだ看ていないが、景
況や政況は、彼と似たり寄ったであることをネットで確認した。成長戦略『双頭の狗
鷲』で明らかにした政策信条
以上のものはない。
 

  成長戦略『双頭の狗鷲』


選挙と直接関係はないが、(1)黒人青年を射殺した白人警官が不起訴となったこと
を受け暴動が拡大していること――悲しき移民国家、(2)体外受精させた受精卵の
染色体を幅広く調べ、異常のないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」につい
て、日本産科婦人科学会の倫理委員会が、臨床研究として実施する計画案を了承した
こと――神の領域に踏み込む科学技術、(3)乳幼児を中心に感染するRSウイルス感
染症の患者報告数が首都圏で急増しているが、唾液誤嚥による誤嚥性肺炎――65歳以
上の約半数の方が夜眠っている間に唾液を誤嚥し、肺炎での死亡の92%に該当。要介
護度4・5の方は就寝前の口腔ケアが重要という超高齢者社会などのニュースが気を
惹く。

 

 

  

● 寄生獣の映画化 セイの格率ってなんだ ?! 

原作は、岩明均により1989年~1995年にかけて講談社「アフタヌーン」にて連載され、
累計1千百万部を誇る大人気コミック(アフタ
ヌーンKC10巻、完全版全8巻)の
『寄生獣』が今月末から全国で上映される――
平凡な高校生である泉新一は、ある日
突然地球に飛来してきた「バラサイト」の襲撃を受ける。
間一髪で脳への寄生は免れ
るが、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化しする。右手にちなんで「ミギー」と自
ら名乗るパラサイトと入閣の奇妙な共生
生活が始まる。周囲に真実を話すことができ
すに悩んでいた新一だが、やがて新一とミギーは友情に近いものを感じるが、
新一と
ミギーの前には他のバラサイトが現れ始め、次々に人を殺し、また人がパラサイトを
殺す事態に発展。新一の同級生・里美にも危険が迫る。
その中で、高校教師として目
の前に現れたパラサイトの田宮良子らパラサイトたちにもそれぞれの価値観が生まれ
始める。

「われわれはなぜ生まれてきたのか?」

地球を壊し続ける人間たちを淘汰するために生まれてきたというバラサイトたち。そ
のバラサイトを殺し、生き延びようとする人間たち。

「果たして生き残るべきはどちらなのか?」

それでも、地球を、そして愛する人を守らなければいけない。ゆらぐ価値観の中で、
新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく。謎の寄生生物と共生すること
になった。
凡な高校生・新一の数奇な運命が描かれる。物語の構図は人間の頭に寄生
して人間を食べる
「寄生生物」側、最初は捕食されるがままであったが後に反撃に転
ずる「人間」側、そしてそ
の中間者として存在する「新一とミギー」側という三者に
よって成立しているが、話の焦点は
新一に置かれている。表題の「寄生獣」とは、劇
中においては寄生生物の呼称ではなく、地
球環境に害をなす人間を意味する単語とし
て物語の終盤に登場する。人間がむごたらしく食
い殺されるなど、過激な描写もある
一方で、物語の軸には哲学的な主題があり、テーマ性の
高さや、意外性のある劇的な
展開、物語の世界観などが評価されて熱心なファンを獲得したという。




前後編の二部作による日本映画として2014年11月29日にPART1、2015年4月25日に完
結編を公開予定。監督は山崎貴、脚本を山崎貴と古沢良太が共同で手がけ、染谷将太、

深津絵里、橋本愛らが出演する。この日本映画版から遡ること約10年前の2005年には
米国の配給会社であるニュー・ライン・シネマが原作の排他的な映像化権を獲得し、
ハリウッド映画化が発表されていたものの、結局この時はその後の続報がないまま企
画が休止となり、そのまま2013年に入って映画化権の契約期間が終了している。しか
し原作漫画の人気は根強く、以前から映像化の機会をうかがっていた日本国内の数十
社によって争奪戦が繰り広げられ、最終的に東宝が映画化権を取得した。2013年11月
20日には日本での実写映画化およびテレビアニメ化が同時に正式発表され、実写映画
版のスタッフ・主要キャストが公開されている。



2014年のアニメ版「寄生獣」は、サブタイトルを含め正式なタイトルは『寄生獣 セイ
の格率』である。
キャラクターデザインが原作とは大幅に異なる他、残酷描写もかな
りマイルドになっている。
「アニメ版の寄生獣」を意味するタイトルとして、原作と
使い分ける際になど重宝するかもしれないが、
この副題を付けた意味は、プロデュー
サーの中谷敏夫によれば、
「サブタイトルの「格率」の意味は、哲学者カントの言葉
の訳語、
なんとなく当たり前のように守っている概念みたいな意味合いです。生態系
の頂点だった人間がそうではなくなり、殺す側の論理と殺される側の論理が交錯する
――「寄生獣」は価値観の根底を考えさせられる、哲学書だと思っていると語り、
イには「生」「性」「正」など、原作にちりばめられている様々なメッセージをもっ
てるという。なるほど、意味深いものだと感心しつつも、実写化工学の出来映えを知
りたくなった。この映画は見逃せない。


※格率とはイマヌエル・カントによって提唱された哲学用語。1785年に著されたGrun-
dlegung zur Metaphysik der Sitten
では「格率」とは自分の持つ行為規則と定義。この格
率の普遍化が可能であったならば自分は道徳的であるということになる。そして普遍
化可能な格率はそれが法則として成り立ち、それは全員がその法則に従うという形で
秩序が形成されると考えられるような行為規則である。 

※「実践理性の「自律」とそのふたつの位相」
http://kgur.kwansei.ac.jp/dspace/bitstream/10236/3657/1/20100331-4-9.pdf

 

ここ数日、胸に空いた洞が広がっていくようで、投げやりな気分を押さえなんとか作
業を続けているが、陰鬱な洞の拡大を食い止めることができるのかまったくといって
自信がないが、二人で気晴らしに食事に出かけたりしている。上の写真は、たねやの
美濠茶屋で頂いたあんかけオムライス(+近江牛)。美味しいものを少しだけでも戴
くだけでも気分が晴れ、自殺衝動は消える見たいだ。 それから、沢山城趾で琵琶湖一
周のろし駅伝が開催されたようだが、遠くから城山を眺め、湖岸を疾走らせ帰ってき
たが、今日は、プレミアシネマ『レッド・バロン』を観て気を晴らしている。そして
毎晩、眼精疲労で以前のように夜の作業ができず、時間を持て余し、ゆっくりと入浴
し就眠するようになった。毎日お風呂に入れるだけで幸せを感じるのに、妙なことに
胸に空いた洞やあるいは自殺衝動が消えることはない。

 
    ● 今夜の一曲

マッカートニー=レノンの作品。主にレノンの作った楽曲。リードヴォーカルはジョ
ン・レノン。ジョン・レノンが当時好きなアーティストだった米国の男性コーラスグ
ループ、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの曲作りを基に、自己流の作曲技
法を試行錯誤し作った。
ビートルズとしてデビューする前から、グループのオリジナ
ル曲として歌われ、1962年6月15日にはレノン=マッカートニーのオリジナル曲とし
ては始めてラジオ放送される――「アスク・ミー・ホワイ」("Ask Me Why")は、
1963年1月に発表した2枚目のオリジナル・シングル(「プリーズ・プリーズ・ミー
」)のB面曲。特にジョンが歌うさびのところ
"That I know That I, I, I, I Should 
never, never, never be blue
"
の繰り返しがお気に入りの部分

     I love you
     'Cause you tell me things I want to know
     And it's true
     That it really only goes to show

     That I know
     That I, I, I, I
     Should never, never, never be blue

     Now you're mine
     My happiness dear makes me cry
     And in time
     You'll understand the reason why

     If I cry
     It's not because I'm sad
     But you're the only love that I've ever had

     I can't believe, it's happened to me
     I can't conceive of any more misery .....


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温度差エネルギー変換工学

2014年11月25日 | 環境工学システム論

 

 

 

 

積水化学工業株式会社が、下水熱利用システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」
を12月1日より発売する。これは
下水道管路の底部に敷設した集熱管で下水熱を回収
し、地上に送るシステムで、あらゆる管形状に対応が可能。下水の温度は年間を通し
て外気温よりも安定しているので、冬場は温熱源として、夏場は冷熱源として活用で
き、空気熱源ヒートポンプシステムと比較して電力コストを約30%削減できる。管
底に敷設した集熱管を通し下水の熱を熱媒体(水・不凍液)に回収し、この熱媒体を
循環させて地上部へ熱を供給する。「エスロヒート下水熱-らせん型」(下図)と同
等の採熱性能を有し、高い省エネ性と二酸化炭素の排出削減効果が期待できる。

  

 

積水化学工業は樹脂パイプ生産のトップメーカでもあり、樹脂ライニングによる下水
道配管の
独自リフォーム技術を保有しているが、今回の温度差を利用したエネルギー
変換方式は、『脱ロスト・スコア論 Ⅶ』で掲載したエナジーハーベスト(環境発電)
で熱電変換素子方式ではなく、
少ない投入エネルギーで、空気中などから熱をかき集めて、
大きな熱エネルギーとして利用するヒートポンプ方式。身の回りにあるエアコンや冷
蔵庫、最
近ではエコキュートなどにも利用されている省エネ技術。ヒートポンプを利
用すると、使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得ることができるため、大切なエ
ネルギーを有効に使え、二酸化炭素
排出量も大幅に削減できるが、熱電変換素子と比
べ、システム容積が桁違いに大きくことがデメリットになる(下図クリック)。


ところで、このメーカから提案されている下図の新規考案では、太陽エネルギーを最
大限に利用可能なエネルギー供給システムで、電気などのライフラインから切り離さ
れてもエネルギー供給システムから安定しエネルギー供給され、自立型住宅や自立型
地域に提供できる太陽エネルギーを利用したエネルギー供給システムであり、太陽光
発電装置と熱生成装置、蓄電装置、電気式冷熱生成装置と、熱生成装置の熱から冷熱
を生成する吸収式冷熱生成装置と、生成された冷熱を蓄熱する蓄冷槽を備えている。
ここで、熱生成装置は、発電を同時におこなう太陽熱コジェネ装置でもよく、電気式
冷熱生成装置は、ヒートポンプ冷凍装置で構成されるシステムを踏まえ、下水熱利用
システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」が発売された。



つぎに、下水道は、通常地中に埋設されているから、下水道を流下する下水は外気の
影響
を受けにくく、年間を通してほぼ一定の水温に維持され、下水を熱源として降雪
地域の融雪等、各種用途に利用することが提案されている。
 例えば、下水道管の外周
面に沿って採熱管を配設し、採熱管をヒートポンプユニットの熱交換器に配管接続し、
熱交
換媒体を採熱管と熱交換器の間で循環させることで、下水熱を熱交換媒体に回収
し活用できる
ことも知られている。また、熱交換媒体の送り接続部と戻し接続部が設
け、その間に
アンダ状の経路を形成した熱吸収マットを下水道管の管底部に敷設し、
下水熱を熱交換媒体に回収することも提案されているが様々な問題をもつため、下図
のように、既設管または、新設管の内周面の管底部長手方向に熱交換媒体を流通可能
な複数本の採熱管を敷設し、既設管または、新設管やマンホールで折り返し、各採熱
管を流下する熱交換媒体が、通常管底部を流下する流体と直接接触する採熱管を介し
施工区間の2倍の長さにわたって継続して熱交換でき、各採熱管は折り返されてほぼ
同一長さに形成、配管抵抗が均一、熱交換媒体を均等に分配して循環でき――この結
果、道路等を開削することなく地中に埋設された管内を流下する流体熱を効率よく回
収することが提案されている。

 
さらに、下図新規考案によれば、管内設置型の熱交換システムにおいて、下水から大
量の熱を回収するため、(1)下水道管内の熱媒導入管と熱媒導出管の設置距離を長
くなれば、分岐する熱媒流路の数も増え、熱媒体を多数の採熱管に均等に分配するこ
とが困難
になり、(2)また、熱媒輸送管自体が長くなることと、これに分岐接続さ
れる採熱管の
が増え、熱媒輸送管の圧力損失が極めて大きくなりコスト逓増と効率低
下する。この問題解決法として、ヒートポンプユニット2と、複数の採熱管7と、ヒ
ートポンプユニット2と採熱管7との間で熱媒体を循環させる5組の熱媒輸送管3と、
を備える管内設置型の熱交換システム1で、5組の熱媒輸送管3はそれぞれ異なる長
さを有し、5組の熱媒輸送管3および複数の採熱管7は、1組の熱媒輸送管3とこの
熱媒輸送管3に分岐接続される1群の採熱管群8とを1つの配管系統とする、5つの
配管系統21,22,…に分かれ、5つの配管系統21,22,…における採熱管群
8が、下水道管16の延長方向に並ぶように配設することで、熱媒体を各採熱管に均
等に分配し、かつ、圧力損失の極端な増大を抑えるとともに、システム全体としての
高効率運転が可能となるという新規考案である。

 

以上、積水化学工業の水熱利用システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」の技術を俯瞰
してみたが、印象的なことは、"人体の血管網様態"の熱交換システムの応用展開であった。
地熱発電装置などにも使えそうだし、それは従来法の剛体ではなく柔軟体としての熱交換シ
ステムの進化の可能性である。これは面白い。

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電動モビリティ工学

2014年11月23日 | EMF安全保障

 

 


● 茅ヶ崎市民ソーラーシュアリング運動 初の収獲 

ソーラーシュアリングの市民運動が着々と実績をつくっているようである。 ソーラ
ーシュアリングとは、農機具メーカーに勤めていた川崎市の長島彬さん(71)が考
案し「ソーラーシェアリング」と命名した言葉であるが、エネルギー、食料の両方
の自給率に寄与し、神奈川県内にも多い都市部の農地保全の一助にもなるのではと
期待される。神奈川県内での実証実験の畑は10メートル四方。パネルは通常の太陽
光発電に用いられるものより細長く、地上2メートルの高さに間隔を置いて並ぶ。
日陰と日なたが太陽の動きとともにずれるので「半日陰」が続く。ここでは二種類
のイモ栽培、サツマイモは乾いた砂地でも育つ。里芋は水分が必要。半日陰がどう
影響するか比較試験するため。いずれもパネルがなかった前年と同様に育ち、サツ
マイモの収穫量はやや多いという。ただ、パネルから落ちる雨垂れで土に穴が開く
ことが分かり、葉ものは雨垂れが当たるとどうか同じ畑で違う野菜を育てる輪作の
可能性も重要でありソーラーシェアリング用の栽培技術(工学)も必要になる。

茅ケ崎市西久保では畑の上にパネルを並べ、太陽光を発電と農業で分け合う仕組み。
都市農業ではかさみがちな維持管理費に売電収入を充てられるのがメリットで、災
害時の非常用電力としても活用できるが、心配された農作物も順調に育っていた。
発電所があるのは、公有地を住民が管理して畑などに活用している公園「五郎兵衛
コミュニティー・パーク」。約10メートル四方の畑に高さ約2メートルの架台を
置き、縦158センチ、横29センチの太陽光パネルが72枚並べられている。自
然エネルギーの普及啓発に取り組むNPO法人「ちがさき自然エネルギーネットワ
ーク」が今年4月に設置。約130万円の設備費には寄付金などを充てた。発電を
開始した4月下旬から1カ月間の総発電量は、約640キロワット時。電力は畑に

併設された井戸水のくみ上げに使用する以外は東京電力に売電する。パネルは畑の
上部の3分の1ほどのため発電量は多いとはいえないが、年間収入は約16万円と
見込み、初期投資分は数年で回収できる。

※茅ケ崎市で、「市民立太陽光発電所」の拡大に取り組むNPO法人「ちがさき自
然エネルギーネットワーク」は、同市西久保の市所有地の畑に太陽光パネルを設置
し、地元住民グループ「駅と緑と絆の会」が作物を栽培し実験が四月に始まって半
年余り-。サツマイモと里芋が収穫。出来、収穫量とも上々で今後は日照量が減る
季節や他の野菜についても試したいという。

 

“Okinawans reject Abe’s base deal, but he won’t listen” 2011.11.23 The Japan Times ↑

● アベノミクス総選挙雑感 

各政党の討論をテレビで観て、経済政策で一番ストレートに耳に入ってきた順に、
生活の党」(二番目は「社民党」三番目は「次世代の党」の成長戦略)で決め手
は「内需拡大」。成長戦略では「次世代の党」、「維新の会」は新自由主義を踏襲。
自民党は麻生副総理に象徴される財政規律派と決別できず中途半端。公明党は軽減
税率派で、消費税解釈が曖昧――「薄く広く」から「重く広く」に変質し、「物品
税」に漸近。低所得者に配慮するなら「戻し税」の方が合理的、民主党は消費税「
凍結」だが具体的にどうしたいのか分からない。それ以外、自民党は沖縄の民意を
無視し
「ごり押し」、原発は「なし崩し」で話にならない。そんな感想だ。従って、
先回のコメント通り。

 

 

● 百メートル先のコンビニをあきらめない車椅子9月発売

日産自動車やソニーなど大手メーカー出身の若手技術者らが、デザインを一から手
がけた電動車椅子を製造するベンチャー企業WHILL(ウィル、東京都町田市)を
設立し、製品第1号のWHILL Type-Aを9月に発売。先行予約の限定50台は、
でに売約済みで、生産を委託している台湾メーカーに増産を依頼し、来年2月に

安定供給する。新商品の「Type−A」は、座った右手を置く部分にあるつまみを前

させ操作する。車椅子の内部構造を極力覆ってパッケージ内に収め、デザイン性

耐久性を高め、前輪にはロボット工学の分野で取り入れられているオムニホイー

を採用し、車輪を構成する24個のローラーが、真後ろへの動きや細やかな方向転

可能にしている。四輪駆動で連続20キロ走行、価格は95万円。2015年度までに300

台の生産を予定している。

開発のきっかけは、神奈川県総合リハビリテーションセンター研究部主任研究員の
紹介で
出会った車椅子ユーザーの20代男性に「百メートル先のコンビニを行くの
も諦めてしまう」
と言われたこのことが、2011年から新しいタイプの車椅子開発に
取り組むきっかけろなる。つまり、男性は、段差など物理的な要因のバリアーだけ
でなく、車椅子ユーザーとして周囲の関心を集めてしまう心理的な要因を負担に感
じて外出を控えてしまうということを聞き、イメージを払拭するようなものが作れ
ないかと考え、
メンバーの中には車椅子ユーザーはいないが、車椅子ユーザーから
聞き取りをしデザインしている。

開発資金は 広く賛同が得られるかを探ろうと、インターネット経由で資金調達す
クラウドファンディングを11年秋に実施し、目標の50万円を大きく上回る103
万円の支援を156人から受ける。今までの車椅子は、機能優先でデザイン的にい
まひとつのものが多かったが、WHILLにとても共感した、
先天的な疾病で車椅子生
活を余儀なくされているいとこと一緒に試乗会に参加したい。といった、支援金と
ともに寄せられた期待の声に力づけたと開発の経緯を話す。亡くなった母が車いす
生活でいやというほどお世話になったものだが、身障者に併せて様々のデザイン変
更要求が潜在的にあることを肌身で知る。細かな仕様変更も可能な電動車いすが開
発供給されることに期待したい(関連新規考案/下図↓)。
 

● 世界展開するスマートグラス 

グーグルが「Google Glass」を発表したときエプソンはすでに「MOVERIO BT-100
という同じような製品を発売していたが、販売の対象は大企業の人たちで、流行に
敏感なハイテク好きの人たちではなかった。
だが、Google Glassとともにウェアラブ
ル端末に対する関心が盛り上がるなか、エプソンはこの機会を利用して、自社の拡
張現実(AR)メガネをより多くの層にアピール。
エプソンが新しく発表した「MO
VERIO BT-200
」は、旧機種より60%軽くなったが、それでも重いメガネであること
は否定できない(ケーブルシェードを含まないヘッドセット部の重量は88g)。レン
ズは分厚いし、モトローラ・モビリティ製のスマートフォン「Moto X」をふたつ重
ね合わせたようなサイズのタッチパッドがケーブルで接続されているため、このメ
ガネを着用すれば目立つ。ただ、エプソンの狙いは、街を歩き回って珍しいハイテ
ク製品を見せびかすような人たちではなく、自宅でダラダラ過ごしながらゲームを
する人たちの市場。このエプソンの「BT-200」について「映像を楽しむ」「情報を
まとう」「仕
事が変わる」の3つがコンセプトだという。また、使用方法と市場展
開は、ユーザが決めていく可能性が大きく応用展開では大化けするかも知れないし、
期待ハズレになるかもしれない。

 


 

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深海未来都市構想

2014年11月22日 | 開発企画

 

 

● 深海未来都市「オーシャンスパイラル」 清水建設が構想 

波力発電に跨るGACKT』『キャメロン監督の海底採掘』など海洋開発を
ブログでもけいさいしてきたが、清水建設が深海未来都市構想「OCEAN
SPIRAL」を公開(上/下図クリック)。大津波対策があるのかどうか別にして、
これは”羊水の戻ろう!-Let's return of amniotic fluid
”というキャッチコピー
が咄嗟に頭に浮かぶ。この構想によると、(1)建設空間が水深3000~4000メー
トルの海底から海面まで、3つの部分からなる「都市」を作り上げる。(2)人口
5000人を維持するだけでなく、外部に電力や食料を送る機能も備える。(3)2030
年時点の予想技術レベルでは、3兆円と5年の工期で立ち上げる。(4)3Dプリン
タで都市建設するという特徴をもつ。

特に、3Dプリンタで都市を建設するってどんなものか?――超高層ビル
を施工するときのように部材をそろえて海中で組み立てるのでなく、施
工の機械化、自動化を前提として、プロジェクトチームは海面上に(巨
大な)3Dプリンタを用意し、
そこから下に向かって少しずつ構造物(立体印
刷物)を降ろしていく手法を考えているいう。

さて、OCEAN SPIRAL構想は、海洋(深海)が秘める5つの可能性に着目
した構想をコアとする。エネルギーに関係するものはそのうち、第1に

海洋温度差発電だ。海面と深海の温度差を利用して、電力を取り出す。
出力は百メガワットを想定―
-1000メートルの位置で発電用の海水を取
水、-1500メートルの位置で養殖冷水(海水温2~3度)を、-2500メ
ートルの位置で海水淡水化用の海水を取り込む。第2に二酸化炭素を貯
蔵するだけでなく、燃料に変える。海底メタン生成菌を利用して、地上
の二酸化炭素をメタンに転換できる。第3に海底の未利用資源(レアメ
タル、レアアース)の持続的な回収する。

海洋深海における技術的な課題だけでなく、建設時や稼働時に海洋深海
に与
える環境問題の課題も多そうだが、心配はさておき広壮な構想は面
白い。ミニ
マム深海都市を建設してビックデーターを収集解析すること
が一番だ。 


●  貼ると発電する皮膚パッチで薬剤の浸透を加速

東北大学のの西澤松彦教授の研究グループが、酵素によるバイオ発電の
技術を利用し、体に貼ると微弱な電流が発生し、皮膚を通した薬の浸透
が促進される「バイオ電流パッチ」を開発。生体・環境に優しい有機材
料のみで造られたバイオ電流パッチは、軽く・薄く・柔らかく、そして
使用後はそのままゴミ箱に捨てることができる。皮膚への薬剤浸透が電
流で加速される効果で、外部電源を不要にしたことで、家庭用の使い捨
てセルフケア用品として普及する可能性があるという。

※ 特開2014-207987 生体組織貼付用キット及び生体組織貼付用パッチ



 


 

● 食品の早すぎる廃棄

ナショナルジオグラフィック ニュースで「食品の早すぎる廃棄、原因は
賞味期限?」を特集している。周知の通り、農地から食料品店を経て食卓
に上るまでの過程で食糧の30%が失われている。食品の種類や保存状態
の良さ、あるいは悪さによるが、英国を拠点として食品廃棄問題に取り組
む団体「Love Food Hate Waste」(「食を愛し廃棄をなくそう」の意)を
率いるエマ・マーシュ(Emma Marsh)は英国の消費者について、私たち
が捨てている食品の半分以上は、問題なく食べられたかもしれない物だと
いうが、食品廃棄は世界的に深刻化している課題で、国連食糧農業機関
FAO)によると、毎年13億トンの食品が無駄となっている――全世界で
毎年生産される食品の3分の1に相当―金額にして7500億ドルを超える。
世界では推定8億人が毎晩空腹を抱えながら寝床についている一方で大量
の食品が捨てられているという倫理上の問題に加えて、経済・環境的側面
でも問題がある。世界中の農地のうち4分の1以上が、誰の口にも入らな
い食物の栽培に使われているのだが、こうしたアドバイスは食品業界にと
っても消費者にとっても賛同し難いかもしれないという矛盾を孕んでいる。

現在では一世代前よりも、はるかに「リスクを嫌う社会になっている」。
小売店や食品メーカーは訴訟を避けたがるし、わたしたち一般消費者もリ
ステリア菌や大腸菌といった健康上の脅威について耳にすることが多い。
食品が賞味期限を過ぎていれば、リスクを冒したりせず、何であれ捨てた
いと考える、食品廃棄の削減という取り組みのうち大きな部分を占める
のは、これらの違いについて消費者に知ってもらうという単純な啓発で、
行動経済学と教育の活用にかかっている。と、専門家は指摘する。



 

● 今夜のこのデザイン

 

良いデザインだが、でもね、水蒸気で透明感はなくなり、曇るし、底部の汚れは
培土や微生物の繁殖や死骸などにより発生するのでその対策はいるね~ぇ。

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ハイウェイからフリーウェイへ

2014年11月21日 | 時事書評

 

 

● 今夜も新しい科学技術がぞくぞく!?

 

● 史上最強のエレクトロニクス・ノーズ開発?!

このブログでも掲載した【歯周病からニオイ測定器開発まで】(『フェンネル薫る
五月
』)のニオイセンサ(あるいは呼起分析装置)の実用化競争が激化している。
その1事例として、ストーニーブルック校の材料工学部で教授とディレクタを兼任
するPerena Goumaらのグループが、千種類以上の化合物が極めて低い濃度で含まれ
ている人間の呼気を素早く測定する「呼気分析装置」を開発したという(EETimes
「呼気で病気を診断、米大学が開発」2014年11月18日 15時27分 )。呼気を収集し
特定の呼気ガスバイオマーカーを検出し、その濃度を数値化するもので今回、極小
サイズのナノワイヤーで被覆したセンサーチップで呼気中のごく微量の化合物を検
出できるようになったことを公表。

開発した結晶化学センサーで使われているナノワイヤーは、一酸化窒素や一酸化炭
素、二酸化炭素、アンモニア、アセトン、イソプレーン、ベンゼン、エタン、ペン
タンなどの特定の化学物質に対して反応し、ワイヤーに収集された粒子の量により
濃度を測定する。これらの粒子をデータ化することで、さまざまな疾病との相関関
係を示すことが可能、結晶性ナノワイヤーのアレイは、鼻の機能を模倣し、長さ百
マイクロメートルの1本の結晶性ナノワイヤーで、シリコンベースの多結晶膜に比
べて、表面積、ガス感度ともに百倍で実現できる。

また、この呼気分析装置は、新陳代謝率の測定装置としても用途が広がる。食事制
限が必要な患者に、呼気中のアセトン濃度を測定することで、糖尿病をモニタリン
グでき、糖尿病にかかっていない人の呼気中のアセトンの平均濃度は、0.8ppm未満
だが、1型糖尿病患者の場合は1.8ppmを超えるが、この
呼気分析装置が成功すれば、
糖尿病のモニタリングできる(アセトンとインスリンの相関性の方が、グルコース
とインスリンの相関性よりも高いため)。

※ 関連新規考案:Sensors including metal oxides selective for specific gases and methods
   for preparing same /
US 7017389 B2


● インフルエンザウイルスの増殖機構を解明 新薬開発に寄与!?


東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らのグループは、インフルエンザウイルスの
増殖
の仕組みの一端を解明。宿主となるヒトのたんぱく質のうち、ウイルスの増殖
に関わるたんぱく質を323個発見したという。これらの中の数種類のたんぱく質
で、機能を阻害する薬剤が抗ウイルス作用を示すこと解明。これは ヒト胎児腎細

胞由来の培養細胞を同ウイルスに感染させた実験を実施。11種類の同ウイルスた
んぱく質と結合する1292個のヒトのたんぱく質を同定した。さらに遺伝子の発
現を抑える「siRNA」を導入した細胞を作り、同ウイルスに感染させてウイル
スの増え方を調べた。ウイルス増殖効率に関わる323個のたんぱく質を同定。

なお、
インフルエンザ治療にはタミフルなどの抗ウイルス薬が使われている。だが、遺伝
子が変異した薬剤耐性ウイルスでは薬が効きにくくなる可能性がある。そのためウイルス
たんぱく質に作用せずウイルスの増殖を抑える薬の開発が期待されていた。

 

●  電子デバイスの製造技術向上

阪大と東京大学、理化学研究所の共同チームは、高エネルギー加速器研究機構(K
EK)
の放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)放射光を使い、ホログ
ラフィーの手法を用
いた特殊な解析法で、有機半導体の表面付近の分子の並び方が
結晶内部と大きく異なる
例を発見した。さらにこの変化により、電気伝導性も表面
と内部で差が出ることを理論計算し
確認した。

このことで、
有機半導体の表面が、自発的に構造を変えるていることが明らかになった
ことで、分子1層レベルで伝導性を制御する、精密かつ安定な微細デバイス製造技
術につ
ながる可能性が出てきた。これまで、有機半導体は安価、軽量なデバイス素
材として、有機ELディスプレイなどで既に実用化されている。通常のシリコンの代
わりに有機半導体を使ってトランジスタを作った場合、有機半導体の表面近傍数ナ
ノメートルを電気が流れるが、このような表面付近の狭い領域で分子がどのように
並んでいるかはしられていなかった。


 

Large surface relaxation in the organic semiconductor tetracene ,Nature Communications
  Volume:5,Article number:5400DOI:doi:10.1038/ncomms6400
   
  Supplementary Figures 1-2, Supplementary Notes 1-3 and Supplementary References

 

【オールソーラーシステム完結論 34】
 

● 純国産独自技術の水素液化システム

川崎重工は、産業用では初となる純国産独自技術の水素液化システムを開発し、水
素液化試験を開始することを公表。今回開発した水素液化システムは、播磨工場(
兵庫県加古郡播磨)内の水素技術実証センターに設置され、1日あたり約5トンの
水素を液化する能力を有す。本システムは、水素液化機、液化した水
素を貯蔵する
液化水素貯蔵タンクなどで構成されています。本システムは、純国産の独自
技術で
開発したもので、当社が保有する極低温物質のハンドリング技術や高速回転機械

開発で培ったタービン技術が活用されているという。




● アベノミクス総選挙雑感 

いよいよ、選挙だ。また、公明と自民が消費税10%引き上げ時に軽減税率導入に合
意している。ところで、煩瑣な自策に拘る公明は別として自民にはこれまでの経済
政策は縫合的できっちりと総括したものでないことの物足りなさを感じる。1つは、
英米流金融資本主義=新自由主義政策の悪癖是正と(2)中長期的な財政施策(土
木建設・医療・介護分野の公共事業)と(3)骨太の規制緩和(高速道路のフリー
ウェイ化など)の必要性、裏返せば、一貫した脱デフレ政策(時代遅れの財務規律
派との決別)の
 必要性である。内部抵抗が強いことは理解できるがここが弱い。

● ドイツで独自に豆腐料理が展開


ドイツで今、「TOFU(豆腐)」が大人気。食肉の生産への不信感から「肉食離れ」が進み肉
の代わりに良質のたんぱく質である豆腐を食べる習慣が広がっている。豆腐カレーソーセ
ージや豆腐ハンバーグなどの人気商品を生産する会社では、従業員を大幅に増やし、ヨー
ロッパ各国への輸出を手掛けるまでに。また環境保護に徹した生産の仕方で消費者の心
をつかむ豆腐会社も登場しているとNHKが取り上げ、イツでの豆腐ブームとその背景をリ
ポートしている。テレビを見てドイツのトーフ(豆腐)は固めでチーズ感覚のようだ。ところか
われば品変わるは、スシをみればわかる。どのように、世界中でアレンジされ普及していく
か楽しみである。

 
 

さて、ドイツの豆腐料理を1つ『ハーブと豆腐ライス』掲載してみよう(上図/下)。
材料は、(1)小さなタマネギ×1個、(2)オリーブオイル×1大さじ、(3)
野菜の煮汁×8dl、(4)インディカ米×280グラム(5)タマゴ×1個(6)メダ
ル形の豆腐×8個、(7)キャノーラ油、(8)へーデルナッツ×大さじ1、(9)
レーズン×大さじ2、(10)パセリ×1束、(11)ローズマリー×1枝、(12)レ
モン×0.5個――4人分、次に作り方、(1)タマネギをみじん切りし柔らかになる
オまでリーブオイルで炒め、ライスは弱火で煮る。(2)泡立て器でタマゴをかき
混ぜ、その中にメダル形の豆腐を入れ、粗挽きしたナッツとレーズンと一緒に鍋で 
2~3分キャノーラ油炒め暖め煮る。パセリとローズマリーをみじん切りにレモン
の皮をすり下ろし豆腐に振りかけ、ナッツとレーズン混ぜたライスを添える。

 


● 米国に大寒波 米北東部の大雪、死者10人に2日間で1年分の降雪

米北東部を米国に大寒波襲った異例の大雪による死者は、20日までに10人となった。
ニューヨーク州バファロー市周辺では180センチ以上の積雪が観測されり、数日間に
わたり交通がまひしている。このため米国立測候所(National Weather Service)は、
五大湖周辺で冷たい空気がより温かい湖面の上を移動することで発生する「湖効果」
により、20日の日中には60~90センチの積雪が予想されるとして、警戒を呼び掛け
ていた。NWSはまた、雷を伴う大雪と、雪により視界がゼロに近くなると予想。ニ
ューヨーク州西部では非常事態が宣言され、指定地域内での移動が禁止された。ニ
ューヨーク州当局によると、2日間で年間降雪量に匹敵する降雪が記録された同州
では、除雪作業などのため、州兵ら5000人以上が動員。なお 「ウィンター・ストー
ム・ナイフ(Winter Storm Knife)」と名付けられた今回の猛吹雪による死者は、同
州ナイアガラ郡とエリー郡ボストンで、寒さが原因で2人が死亡したことにより、
合計10名だという。これは、大規模気象変動劇のほんの序の口に過ぎないとわたし
(たち)は考えている。

 

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ナノポア工学

2014年11月19日 | ネオコンバーテック

 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 33】
 

● 極小のバッテリーの大きな革命

太さが人の毛髪の8万分の1というナノサイズのバッテリーの開発が進められてい
るという。実用化に成功すれば、現状では走行距離の制約がある電気自動車や、無
風のときあるいは日照がないときのための貯蔵場所を必要とする再生可能エネルギ
ーの利用が促進されるはずだ。そのブレークスルーに欠かせないのが“ナノポア”。
セラミック板に開けられた塩粒くらいの穴に、バッテリーが電流を生むのに必要な
すべての部品を――10億個のナノポアをハチの巣状に接続しても、切手ほどのスペ
ースに納まるという空間に詰め込こむが、その性能も確認している。メリーランド
大学の研究チームによれば、12分で充電が完了し、何千回も再充電できるという。 
それでは、このようなバッテリーは10年前は実現不可能で、今回の成果は最新のナ
ノテクノロジーの分野の発展が背景にある。

この成果が商用化できる価値は膨大だろう。不可逆的な気候変動がもたらすであろ
う決定的な破局から救い出せるのなら、電気自動
車や再生可能エネルギーの利用を
拡大するには安価で高性能なバッテリーが不可欠
。風や太陽といった間欠的なエネ
ルギー源で電力の大部分をまかなうには、バックア
ップのエネルギー貯蔵システム
は不可欠であるからだ。そのため、各国の大学や企業がこぞって、20年前開発され
たリチウムイオン電池を性能を向上させるバッテリーを開発しよう鎬を削ってきた。
そこで、研究者たちは素材や構造をナノ化することで、分子レベルでの最適な組み
合わせを突き止めることで、従来のグラファイトのアノードの代わりに多孔質シリ
コンのナノ粒子を使用し、新しいリチウムイオン電池を開発することで、グラファ
イトを使用した同等の電池の3倍に達し、10分で充電が完了する性能を有する事例
も報告されている。  

 



※  anodic aluminum oxide (AAO):
   http://www.engr.uky.edu/~zhichen/publication/AAO%20Review%20-Reprint.pdf

そうなのだ、高性能のバッテリーをつくるにはナノ化が不可欠で、ナノスケールの
バッテリーが実現すれば、バッテリーの製造法の選択肢も広がるだろう。ここから
大事なところでこの領域のサイズが、人の毛髪の8万分の1というナノサイズ
ッテリーというところにある。実用化に成功すれば、現状では走行距離の制約が

る電気自動車や、無風のときあるいは日照がないときのための貯蔵場所を必要と

る再生可能エネルギーの利用が促進されると期待される。

  ● 極小のバッテリーが大きな革命を起こす

ところで、今回実験された"ナノポア”の素材はレアメタルのルテニウムやバナジウ
ムで構成されいるため製造コストすなわち市場競争力で見劣りする点である。その
点では、(1)ナノレベルのネオコバーテックという半導体特有のダウンサイジン
グと(2)高効率化(高エネルギー密度)、(3)長寿命化が優れていれば、商用
化されれば、量産化効果が働き急速にコスト逓減できることとなる。今後の展開が
気になるところである。以上、様々な点で工学レベルで検討するには問題が残るた
め残件扱いとする。
 

 

● 安倍政権危うし! 第2の橋本龍太郎政権 ?

景気条項撤廃が命取り?!という。

   ● 今夜の一曲

 

          この街には不似合な

          時代あくれのこの酒場に

          今夜もやって来るのは

          ちょっと痩れた男たち

          風の寒さをしのばせた

          背広姿の男たち

          酔いがまわればそれそれに

          唄の一つも飛び出して

          唄を唄えば血がさわぐ

          せつなさに酔いとれて

          気がつけば窓のすきまに

          朝の気配がしのびこむ


          どこかに何かありそうなそんな気がして

          
          俺はこんな所についつまでもいるんじゃないと

          この街には住みあきて

          俺の女もとこかへ行った

          あいつ今頃とこでどうして

          どんな男といるんだろう

          夢のにがさを知りもせず

          夢をさがしているんだろう

                                    
                                         『時代遅れの酒場』

                                       作詞/作曲 加藤登紀子 

 

● 彷徨える男気
 

昨夜の続き。高倉健の強烈なキャラあるいはイメージは、仁義を重んじ、困ってい
たり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自
己犠牲的精神を秘めた寡黙な男性あるいは父性にある。これを仁俠、義俠心、俠気
男気などと言う。ところで、この男気のイメージは、(1)弱い者が苦しんでいる
のを見のがせない気性。(2)ここ一番のプレゼントにケチらない。(3)信頼を
大切にする。(4)小さい約束でも必ず守る男性。(5)無理して格好つけない男
性。(6)
困った人がいれば、率先して助ける男性。(7)自分の非を認め、素直
に謝る男性。(8)
友達や後輩の悪口を言わない男性。(9)部下(後輩)の責任
は自分が持つ」くらいの大きな心を持っている男性。(10)
信念を持ち、打ち込ん
でいる男性。(11)
苦しくても顔に出さずに支えてくれる男性・・・などという。
いま自分を内省すると、「自分にはないないよな~ぁ?!
」あるいは「歳と共になく
なっていくよな~ぁ?!」と、それもこの時代がそうさせるのであって、男気を必要
としない、小賢しく、小狡く、こじんまりとした男性(デフレ男?)を輩出させて
いるんじゃないかとも思うが、どうなんだろう。

「時代おくれの酒場」は、加藤登紀子が1977年10月21日にリリースした楽曲。この
曲が映画『居酒屋兆治』のイメージソングとして採用された。この映画は、山口瞳
の小説、またそれを原作にした1983年公開の日本映画、また1992年放送の三村晴彦

監督のテレビドラマ。筋書きは、函館で居酒屋「兆治」を営む藤野英治(高倉健)。
輝くような青春を送り、挫折と再生を経て現在に至っている。かつての恋人で、今
は資産家と一緒になった「さよ」(大原麗子)の転落を耳にするが、現在の妻との
生活の中で何もできない自分と、振り払えない思いに挟まれていく。周囲の人間は
そんな彼に同情し苛立ち、さざなみのような波紋が周囲に広がる。「煮えきらねえ
野郎だな。てめえんとこの煮込みと同じだ」と学校の先輩の河原(伊丹十三)に挑
発されても、頭を下げるだけの男。
そんな夫を見ながら茂子(加藤登紀子)は、人
が人を思うことは誰にも止められないと呟く――といったストーリー


そんな加藤が訃報に接し「60年代に青春を生きた私たち世代にとって、高倉健さ
んの生き様はバイブルでした。それはたった一人でも大きな力に立ち向かっていけ
る人であること、必死で生きる全ての人に心を寄せる熱い人間であること、そして
自分自身に厳しく、迷いながら生きるさすらいの心を持ち続けること。亡くなった
ことを知り、寂しさでいっぱいです。『居酒屋兆治』で妻の役をやらせていただい
た思い出、何より大切に、心からご冥福をお祈りします。」と感想を寄せている。

 

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スマートビーコン工学

2014年11月18日 | デジタル革命渦論

 

 

● 今夜もハイテクな話題がてんこ盛り 



● ナノ計測工学

 

ニコンが開発した独自の目盛読取り方式による誤差低減技術と、産総研が開発したレーザー干
渉を利用した正確な目盛の誤差の評価技術とを組み合わせることによって、このリニアエンコ
ーダでは、1ナノメートル以下の誤差を実現。今後、半導体素子や光学素子の加工精度の向上
への貢献が期待できると公表(上図クリック)。今回の研究開発成果は、地味なものではある
が、(1)目盛の誤差が1ナノメートル以下の「超高精度なものさし」を実現、(2)光の干
渉を利用し目盛の微小な誤差を評価、(3)精密・微細加工技術の精度を向上させ半導体素子
の高集積化などに貢献できるため、現代世界経済に多大な寄与し、革新のコアである『デジタ
ル革命渦論』の基盤的産助に貢献するものと期待している(下図、ニコンの参照新規考案)。

 

● 深紫外線防御工学

もう1つ、光学系技術開発のニュース。富士フイルム株式会社が、地上に届く紫外線UVAの
約50%を占める最長波領域「Deep UVA」(波長370~400nm)の肌内部への到達状況を、世界
初で可視化計測に成功(上図クリック)。

2011年に、世界に先駆けて開発した富士フィルム独自の「Deep UVA」紫外線防御剤の「D-U
Vガ
ード」―― 紫外線防御剤には、紫外線吸収剤と散乱剤を組み合わせて配合することが一般
的だが単に両者を併用するだけのこれまでの技術では「Deep UVA」を防御でずできたが、紫外
線吸収剤と散乱剤を独自工程でハイブリット化し今まで防ぐことのできなかった「Deep UVA
を90%以上防御できる(下図参照)――を開発。

 

 

【オールソーラーシステム完結論 32】 

● 隅々に浸透する環境配慮発電デバイス スマートビーコン工学

大日本印刷は、位置情報を基にしたスマートフォン利用者向け自動情報配信で、エナジーハーベステ
ィング(環境配慮発電)技術を使った新システムを、米スパンションと共同で構築。利用者を検知する装
置「ビーコン」の電源に太陽光発電を採用し、電池を不要にしたことが特徴。同システムでエナジーハ
ーベスティング技術を活用するのは業界初。位置情報を基にしたスマホ利用者向け情報配信では、商
店の前を通った人にセール情報を送信したり、駅利用者に運行最新情報を送信したりするサービスな
ど想定している。実用化に向け、問題になるのがビーコンの電源確保。課題解決のため大日印は、ス
パンション社がエナジーハーベスティング技術を使って開発したビーコンを採用した。太陽光を効率よ
く電力に変換し、電池不要で搭載の通信モジュールを稼働できる。米アップルの近距離無線通信技術「
アイビーコン」に対応する。試験サービスは、イオンの「レイクタウン」(埼玉県越谷市)で行う。利用者の
スマホに現在地を表示するなどの機能を提供する。年末まで実施し、ビーコンの太陽光パネルの性能
などを確認する(下図クリック)。

「ビーコン」とは、無線(光)を常に発し、その無線が届く範囲の機器などに情報を伝えるも
ののことを指し、無線標識とも呼ばれる。ビーコンと聞いて、渋滞情報などの交通情報を自動
車に伝えるために道路上に設置されているビーコンを思い浮かべる人も多い。
そのビーコンが
現在、新たなマーケティングツール「Beacon」として、幅広い注目を集めている。
Beaconへの
注目が高まった最大の契機は、アップルが2013年9月にリリースしたスマートフォン/タブレ
ット端末など向けOS「iOS7」で、Bluetooth Low Energy(Bluetooth Smart)を使用したビー
コンから情報を受信する機能「iBeacon」をサポートしたことだ。なお、iOS7搭載端末だけで
なくAndroid OS搭載スマートフォンでもBluetooth Smart機能の搭載が標準化し、iBeacon同様
のBluetooth Smartによるビーコンに対応できるようになっている。そのため、より多くのス
マートフォンに、情報を伝達できる新手法として、Bluetooth Smartによるビーコンが注目を
集めている。

 

 


● GSユアサエネルギー量3倍のLiB放電に成功

GSユアサ、エネルギー量3倍のLiB放電に成功-多孔性カーボン均一穴に硫黄を充填。
ーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)は17日、硫黄(S)―多孔性カーボン複合体
の正極材シリコン(Si)系負極材を組み合わせたリチウムイオン二次電池(LiB)の放
電に成功したと発表した。ナノサイズの細孔を持つ多孔性カーボンの穴を均一に制御して、そ
の穴に硫黄を充填。既存のLiBの3倍のエネルギー量があるという。
硫黄は絶縁体であるた
めに、高いエネルギー容量を得にくい。GSユアサは、従来難しかった数ナノメートル程度の
多孔性カーボンの穴をそろえて整えられる条件を見いだし、そこに硫黄を充填して複合体を合
成できた。
LiBは酸化物系の正極材と炭素系の負極材で構成されるが、価格の安い硫黄は次
世代LiBの正極材として期待されている。現時点でシリコン系負極材の耐久性能がまだ低い
ため、実用化をにらんだ開発を進め、電気自動車(EV)への搭載につなげたいという(下図
クリック)。
 

 

 

  ● 今夜のこの一曲

 

 

   義理と人情を秤にかけりゃ
   義理が重たい男の世界
   幼なじみの観音様にゃ
   俺の心はお見通し
   背中で吠えてる唐獅子牡丹

 

   親の意見を承知ですねて
   曲がり<ねった六区の風よ
   つもり重ねた不幸のかずを
   なんと詫(わ)びよかおふくろに
   背中で泣いてる唐獅子牡丹

 

   おぼろ月でも隅田の水に
   昔ながらの濁らぬ光
   やがて夜明けの来るそれまでは
   維持でささえる夢ひとつ
   背中で乎んでる唐獅子牡丹

 


                   
                         『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』

                          作詞 : 矢野亮・水城一狼  
                          作曲 :       水城一狼

『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』は、1966年1月13日に公開された日本の任侠映画。監督は佐伯清
演は高倉健、製作は東映である。昭和残侠伝シリーズの第2作。主演の高倉健(1931年2月16
日 - 2014年11月10日)は、日本の俳優・歌手、愛称、健さん。福岡県中間市出身、身長180cm、
血液型B型。高倉プロモーション所属。戦後の日本を代表する映画スター。半世紀以上活躍。
代表作は映画『網走番外地』シリーズ、『日本侠客伝』シリーズ 『昭和残侠伝』シリーズ『新
幹線大爆破』『幸福の黄色いハンカチ』『八甲田山』『南極物語』『鉄道員(ぽっぽや)』な
どいずれも邦画史上に残るヒットを記録。2006年度文化功労者。2013年には文化勲章を受章し
ている。印象に残っている映画は、『唐獅子牡丹』『八甲田山』『君よ憤怒の河を渉れ』『野
生の証明』の四本。今月10日に他界、今日、テレビ報道で知る。


                                       合掌 

 

  


● 消費税先送り解散  
 

安倍晋三首相は、首相官邸で記者会見し、来年10月に予定していた消費税率10%への引き上げ
を2017
年4月に1年半先送りすることと、衆院を21日に解散し衆院選を断行すると表明。「
アベノミクス」
はよほどのことがなければ、世界的な垂範となろう。それ以外の基本政策は?
"縮原発派"で反対の立場だし、その他は甚だ懐疑的だ。どの党に
投票するか? 難しいね~ぇ。
 

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円弧動エンジン工学

2014年11月17日 | 時事書評

 

 

季節外れの向日葵が満開だと言うことで、車を走らせることに。目的地の東近江市妹町の
の駅「あいとうマーガレットステーション」の花畑は、季節外れのヒマワリが一面に咲き、
魅了。約5千平方メートルの畑に1万5千本のヒマワリが大輪の花を咲かせ秋風に揺れる。
紅葉の時季にも花をめでてもらおうと、同ステーションが12年前から取り組んでいる。9
月に種をまき、今月5日から咲き始めた。紅葉狩りの帰り客にも楽しんでもらえるよう、夜
にはライトアップもしている。明太子の押し寿司を二人で食べ、帰りは、湖東三山スマート
インターチェンジに入り彦根インターチェンジを経て爽快なドライブのひとときを楽しんだ。

 

 



● 円弧動エンジン工学

日本ソフトウェアアプローチは、「次世代自動車エンジン(円弧動エンジン)」を共同開発
する連携企業を募集。開発するエンジンは、排気量1080ccで重量13.9キログラム、2017年3
月の完成を目指す。
円弧動エンジンは、軽量でコンパクトな設計により、エンジンや車体の
軽量化で燃費が良くなり、車体コストも低減にもつながる。小型から超大型まで制作可能な
ので、用途はバイク、乗用車から小型船舶や飛行機など多様だという(環境ビジネス 2014.
11.14
)。それによると、同社は埼玉県産業労働部産業支援課の協力を受け、次世代自動車
支援センター(埼玉県)に同エンジンの動作試験機(排気量250ccで重量2キログラム)の常
設展示を開始した。同センターでは新エンジンに実際に触れ、その動作や軽量さ・コンパク
トさを体感することができるとのこと。

 

そんなにエネルギー効率や静粛性にすぐれているのなら、石油・天然ガスなどの地下化石燃
料だけ
でなく、水素の直燃やバイオマス由来燃料にも使えるのではないかとネット検索して
みることに。関連新規考案による2000年に公開されているものの、技術開発の追随がみられ
ないようだ。

ピストン機関の代表例として往復動内燃機関を例にとると、シリンダ内を直線的に往復動す
る円筒形ピストンとピストンピンを介して一端が円筒形ピストンに回動自在に取り付けられ
るコネクティングロッド(
コンロッド)と、コンロッドの他端に回動自在に取り付けられる
クランクシャフトにより、すべり子クランク機構として構成、コンロッドを介して伝わる円
筒形ピストンの直線的な往復運動を回転運動に変換する
従来のピストン機関(レシプロ)の
場合、円筒形ピストンを上下動させるに際しコンロッドが円筒形ピストンの往復直線運動方
向に対し傾斜するために、円筒形ピストンに加わる力により、円筒形ピストンとシリンダの
衝突ならびに摩擦(ピストンスラップ)が発生し、振動及び騒音と摩擦損失の大きな要因と
なる。

 

あるいは
、円筒形ピストン,ピストンピン,コンロッドといった往復運動部分からの不釣り
合い慣性力により、振動及び騒音が発生する。
そして、多気筒往復動内燃機関では、燃焼,
排気,吸入,圧縮の各行程による回転トルクの変動により、クランクシャフトのねじり振動
及び騒音が発生し、円筒形ピストン,ピストンピン,コンロッド,クランクシャフト等の慣
性偶力により、クランクシャフトの偶力振動及び騒音が発生する。
このような欠点は、往復
動内燃機関に限らず、往復動外燃機関、往復動圧縮機関、並びに、各種アクチュエータにつ
いても指摘されることである。振動及び騒音がほとんど発生せず、摩擦損失が少なくて機械
効率がよく、しかも小型、軽量に構成できる往復動ピストン機関に利用できるのが円弧状ピ
ストン機関である。

ただし、開発にあたっては高熱発生するため、摺動・回転部品が多く熱による膨張・収縮に
よる変動に対する構成部品材料の体積膨張率の抑制や堅牢性の設計が重要になり、その場合
のコスト積算が割高、あるいは、もっと基本的な燃焼条件の最適化などのハードルが待ち受
けている。革新を生み出す現場は、常にリスク満載!飛躍できるか?!。


● 消費増税政策は失敗それとも ?

消費税増税の大きな判断材料とされる数値が発表された。7月から9月のGDP(=国内総
生産)の成長率は、事前の予測を大きく下回り、年率で-1.6%となりチョットしたショッ
ク騒ぎとなっているが、これは、”ネット消費税ブレーキ”と予測通りの数値。それでも、
"
アベノミクスの第1の矢"効果を含めての話だから、浜田宏一東大・イェール大名誉教授の
アドバイス通り1%づつゆっくりと逐次増税にすればよかったのだから、「三党合意」は事
実上無用であったことを公に晒したことになる。



このことについて、嘉悦大学教授で株式会社政策工房 代表取締役会長の高橋洋一は 「せっ
かくアベノミクスの成果で上昇気流に乗り始めた日本経済。だが、平成26年(2014)4月
消費税増税で、あたかも離陸中の飛行機が急にエンジンを逆噴射して失速してしまうよ
うな
結果を招いてしまった。だがこの先、平成27年(2015)10月に8%から10%へ、さら
なる税
率Upが予定されている。はたして今、日本経済は「いかなる政策」を選択すべきな
のか。そ
れを妨げる「世迷言」を声高に主張するのは誰なのか。そして、その誤謬の核心
はどこにあ
るのか」という(『アベノミクスの逆襲』@上図クリック)。

因みに、アベノミクスは、第一の矢「大胆な金融政策――金融緩和で流通するお金の量を
やし、デフレマインドを払拭」、第二の矢「機動的な財政政策――約10兆円規模の経済
対策
予算によって、政府自ら率先して需要を創出、第三の矢「「民間投資を喚起する成長戦
略―
―規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ」の3つから構成さ
れる。

 

※ 参考『もう止められない! 「解散風」に大義はある またぞろ出て来た消費増税派の信
  じら れないロジック 』 2014.11.13 (高橋洋一の俗論を撃つ!「ダイヤモンドオンラ
   イン」)。


 

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柿と舗装の工学

2014年11月15日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

          御仏に供へあまりの柿十五  
                        
          御仏にそなへし柿のあまりつらん  我にぞたびし十あまりいつゝ 

                                                   
                                             正岡子規

 

● 最新の柿育種工学

古の万葉集に歌われることはなかった柿は渋柿だが、時を経て甘柿に育種され、いまでは、
甘くて上品な西吉野からの柿が届くようになっている。奈良と言えば柿と思っていた。いま
は岐阜県が生産量でトップだろいう。さて、農研機構は、良食味で、種なし果の生産が可能
な晩生の完全甘ガキ1)新品種「太豊」を育成に成功した(上図クリック)。「太豊」の果実
は「富有」並みかそれ以上に大きく、「富有」とほぼ同時期の11月中下旬頃収穫する。果肉
は柔軟で多汁、サクサクとした食感をもち、
雌花が多く、受粉樹2)を周囲に混植しなくても
早期落果が少なく、後期落果もしないため、種なし果の安定生産が可能。さらに、
「太豊」
は夏秋期の気温が高い地域に適応し、「富有」の栽培地域で栽培が可能だという優れた特徴
をもついう。
 

 

【オールバイオマスシステム完結論 Ⅲ】 

● バイオマス産業都市構想の推進

バイオマス活用推進を背景とした、バイオマス産業都市構想が動き出した。

バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とした「バ

イオマス活用推進基本法(2009年法律第52号)」が2009年9月12日に施行され、2010年12月17
日に同法20条に基づく「バイオマス活用推進基本計画」が閣議決定。この基本計画に基づき
関係7
府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省
)の連携の下、バイオマスの活用を推進されることになっていたが、今月10日、農林水産省
は、新たに6地域のバイオマスを活用した地域づくりを支援すると発表。 新たに6地域を
選定。今回バイオマス産業都市に選定されたのは、バイオマス産業都市構想を有する、富山
県射水市、兵庫県洲本市、島根県隠岐の島町、福岡県みやま市、佐賀県佐賀市、大分県佐伯
市の6地域。

 

このプロジェクトが成功に終わるかどうかわからないが、ブログで掲載している『オールバ
イオマスシス
テム完結論』の具体的な計画展開である以上、これらの動きを看ながら、先行
する『オールソーラーシステム完結論』の後追いを加速させていく方法を考え展開させてい
こう。





● 電気代を「60%削減」したローソンの省エネ工学

ローソンは2014年11月12日、愛知県に新店舗「ローソン豊橋明海工業団地店」を開店。最大
の特徴は電気使用量が2010年比で約60%削減できる。これは同社の店舗として最大の削減率
同社は最新の省エネルギー技術を導入した環境配慮型の実験店舗を2008年から各地で展開し
てきた
。今回は7店舗目(上図に新店舗内に配置したエネルギー関連技術の位置を示す―導
入した技術は大きく3種類に分かれ、3種類の技術を色分けし明示。建物の断熱・遮熱性能
向上(赤)、自然エネルギーの活用(緑)、機器性能の向上(青)。図では左上側が南。導
入した15種類の技術のうち、最も効果が高いものは2つ。『CO2冷媒冷蔵ケース』と『LED照
明』。CO2冷媒冷蔵ケースは冷媒にフロンではなく二酸化炭素を利用した機器。同社が2013年
に立ち上げた環境配慮型の実験店舗でも効果を発揮した技術だ。扉付きのショーケースとす
ることで冷気漏れを防ぐなど、効率向上策を講じている。

また、店舗の照明は一様であることが多いだろう。今回の新店舗ではセンサーを利用して(
直管型LEDを)調光するため、例えば日光が入りやすい店舗の入口側の明るさを抑えることが
たやすい。天候(日照)の変化に応じた制御もできる。上図で赤く示した建物の断熱・遮熱
性能向上に役立つ技術は5つあり、店舗前面ガラスの二重化(ダブルスキン)し、店舗入口
側にペアガラスフ
ロントサッシを設け、さらに2重。その間に店舗内で暖まった(または冷
やされた)空気を通し、
断熱性をより高める。テントによる外壁面の二重化は、店舗の南外
壁に施された工夫だ(下図)。外壁の外側に白色のテントを張ることで直射日光を遮り、店
舗内への熱の侵入を防ぐ効果がある。
この他、太陽電池モジュール設置し屋根の二重化や壁
面緑化、断熱性能の向上などを導入し実現した
。それにしても、60”削減とは恐れ入やの鬼子母
神ですねぇ~。

 

  地中熱利用空調システムの原理と仕組み


 

【オールソーラーシステム完結論 31】 




● 舗装工学 オランダが先行『サンロード』

無線給電舗装工学』で掲載していたことが、オランダ(SolaRoad)で実現され始めている。
そう、2014年11月12日、オランダで世界初の道路「SolaRoad」が完成、開通式が開催された。

太陽電池セルを組み込んだ部材を利用して作られたという意味で世界初である。アムステル
ダムの北西約15キロメートルに位置し、長さは百メートル。3年間の実証実験の形で運用さ
れることになっている。この実験では、実証実験の計画では、発電能力は道路の長さ百メー
トル当たり一般家庭3世帯分。実験開始時は発電した電力を系統にそのまま接続している。
設置前の見積もりによれば、寿命(20年)以内に投資を回収できるという。現在は投資回収
期間を15年以内に短縮する。

オランダは大都市における交通システムに革命を起こそうとしている。首都アムステルダム
市は2040年までに段階的に私有車を全て電気自動車化計画を打ち出し、その電力を生み出す
のに最も自然な方法として、車両の下に長く伸びる道路だ。道路を「無駄に」照らしている
太陽光を利用――この考え方は既に2009年以前に控訴していて社内提案もしていた――する。

SolaRoadにつながるアイデアを2009年に打ち出したのは、オランダ応用科学研究機関(TNO
である。オランダの年間総消費電力は約1200億キロワットアワー。発電に適した建物の屋根
全てに太陽電池を設置すると、総量だけを考えた議論ではあるものの、このうち4分の1が
を賄える。さらに太陽電池を増やそうとすると、道路が適切であるという。オランダの道路
総延長距離は約14キロメートル。面積に換算すると450平方メートルになる。これは屋根の
総面積よりも広い。


 

とことで、道路から取り出した電力を(無線で)電気自動車に送り込む。これはSolaRoad
とっての最終的な目標だ。そこに至る前の段階では、系統に接続する、道路照明に利用する
道路に隣接する家屋に供給するといったさまざまな用途がある。実証実験では一般道路では
なく、自転車専用道路を対象としている。自転車専用道路は一般道路と比較して加重負荷が
少ない他、路面を取り外して実証実験中に改良を加えやすいためだという。なお、オランダ
は自転車保有率が世界一(約110%)であり、自転車専用道路が約1万5000キロメートルも延
びている。一般道路に展開する前に、実証された技術を展開する場が広がる。

 

SolaRoladの基本単位は3.5m×2.5mのコンクリートパネルだ。厚さははっきりと公表されてい
ないものの、写真から20センチメートル前後だと分かる(上図)。コンクリートパネルの表
面は端面付近を除き、厚さ1センチメートルの強化ガラスで覆われている。その内部に結晶
シリコン太陽電池セルが配置されており、下面の強化ガラスとの間に挟まれている。つまり
一般的な太陽電池モジュールをコンクリートとガラスで作り上げた形だ。SolaRoadによれば、
現時点では道路用の特別な太陽電池セルを開発する必要はないという。上図では、中央の人
物の前後で表面の様子が違う。SolaRoadでは「2車線」のうち、図手前の1線のみに太陽電
池を組み込んでいる。同じ道路で従来と似た路面と、新しい路面の影響を比較しやすい。実
証実験のコストも低くなる。このような「モジュール」に求められる性能は何だろうか。

SolaRoadによれば4つある。(1)まずは光を通しやすいこと(光を反射しにくいこと)
(2)次に可能な限り汚れをはじくこと。(3)残る2つは道路用の部材としての性質であ
る。強度が高いことと、車両が横滑りを起こさないの4点。強度の高さとは、車両の重量は
もちろん、落下物の衝撃に耐えること、寒暖の差に耐えること、塩害を受けないことが前提
条件である。また、横滑りに対する対応策は、ガラス表面のコーティングだ。歩行者、車両
ともグリップが効くようなコーティング材料を用いる。SolaRoadによれば一般的な自転車用
道路と比較して、横滑り抵抗力は平均以上。
この他、モジュールを組み合わせたときに要求
される性質が1つあり、走り心地だ。モジュール同士に高低差があると、わずかな差であっ
ても車両内部に響く。そこで、モジュール同士が相互に連結して高低差が生じない構造を採
った(上図)。下地の土壌が完全に平たんでなくてもよい。さらに温度変化による収縮・膨
張の影響も受けにくいということであはある。

以上、今夜はてんこ盛りなってしまったが。『デジタル革命渦論』を理解する上にはこれほ
どわかりやすい事例はないと考える。実に面白く楽しいニュースだ。

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解散風に冬将軍 

2014年11月14日 | 時事書評

 




● 国会解散風 読むに読まれぬ錦旗

GDPが伸びず(予定通り?!)が12月14日投票という情報が入ってきたが、消費税を1年
半延期するというが、「凍結」「引き下げ」ではない。したがって、大義名分がなく、投票
率は50%より低くなる可能性もある。また、「4月1日の増税の意味は何だったのか?」が
問われるから「三党合意が間違っていた、だから、ごめんなさい」解散ならインパクトがあ
り、さらに「内需拡大のため切れ目なく投資します」となら堂々と解散できる・・・と三橋
貴明経済評論家がそうコメントしている(上・下図クリック)。


● 日本に謝ろう ポールクルーグマン
 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 30】 


● 東芝-川崎市 究極のエネルギーステーション

東芝は13日、水と再生可能エネルギーで無尽蔵に水素をつくり出す“究極のエネルギーステ
ーション”の実用化を目指した実証実験を川崎市と始めると発表。実証システムを市内臨海
部に設置し、2015年4月から運転。水素をガスや電力に頼らずに“二酸化炭素フリー”で作
る世界でも例のない取り組みだというが(下図参照)、国内的には本田技研工業などでも研
究開発されてきたが、やっと、目に見えるかたちになってきた。

 

なお、実証システムは太陽光パネル、水を電気分解して水素を製造する装置、燃料電池、蓄
電池で構成。太陽光パネルが発電すると電解装置が稼働して水素をつくり、タンクに貯蔵。
燃料電
池に水素を送って発電し、排熱で給湯もできる。計画では、川崎市臨海部の「港湾振
興会館(川崎マリエン)」に設置し、2020年までに実証を終える計画――太陽光パネルは出
25キロワット。タンクには 275ニュートン立方メートルの水素を貯蔵。燃料電池と蓄電池
は出力30キロワットで発電し、温水を毎時60リットル供給できる。太陽光パネルが発電しな
い雨天
や夜間は蓄電池から電力を供給する。 太陽光パネル以外の機器はすべてコンテナに収め、
災害時に必要な場所にトラック輸送――である。東芝の田中久雄社長によれば、今回はあく
まで災害時対応のシステム。理論的には大規模化して水素ステーションにできる、とのこと。
説明。実証を通して電気分解の効率化やコストダウンなどの技術課題を解決し、大規模化を
目指すという。

実証システムは(1)太陽光パネル、水を電気分解して水素を製造する装置(2)燃料電池
(3)蓄電池で構成。太陽光パネルが発電すると電解装置が稼働して水素をつくり、タンク
に貯蔵。燃料電池に水素を送って発電し、排熱で給湯もできる。再生エネの発電が増えて余
剰電力が発生したタイミングで水素製造を始めれば電力需給をバランスできる。再生エネの
発電が低下したら燃料電池から電力供給して需給を安定化することができる。実証システム
も技術的には系統安定化への貢献が可能だ。また、東芝は災害対応として実証システムを、
20
15年に製品化する予定という。



● 熱暴走のないリチウムイオン電池

それでは、いつものごとく関連新規考案をみてみよう。


※ 4a:電流遮断部

二酸化炭素の排出量が少ない電気自動車が注目を集めているが、高エネルギー密度を有する
リチウムイオン電池。特に電気自動車などの応用には、更なる高エネルギー密度と耐久性が
要求され、それに伴い安全性の確保が課題になっている。特に電池が曝される危険な状態の
1つが過充電で、この状態が進むと最悪の場合、電池は熱暴走し、破裂・発火を引き起こす。
そこで、対策に過充電の進行を阻止する方策がいくつかなされている。過充電時に起きる発
熱やセルの膨張等を利用した(1)CID(電流遮断装置)が、その差を検地するのは難し
く、誤作動を起こす可能性がある。(2)また、過充電防止に添加剤を電池の電解質に加え
過充電の防止法もあるが、過充電の進行を阻止する事は可能だが、添加剤によって電池性能
が低下し電池の充放電サイクル寿命が短くなるという問題がある。

上の東芝のリチウムイオン電池の新規考案は、第1の二次電池Aと、第2の二次電池Bと、
電流遮断装置とを含む電池パック1が提供される。第1の二次電池Aと第2の二次電池Bは、
並列接続されている。電流遮断装置は、第2の二次電池Bの過充電時の膨張により作動し、
過充電が防止され、かつ充放電サイクル寿命の長い電池パックの提供――第1の二次電池A
と、第2の二次電池Bと、電流遮断装置とを含む電池パック1が提供される。第1の二次電
池Aと第2の二次電池Bは、並列接続されている。電流遮断装置は、第2の二次電池Bの過
充電時の膨張により作動――である。

JP 2014-122399 A 2014.7.3

● 水素電力供給システム

上図の東芝の水素電力供給システムは、再生可能エネルギー発電ユニット13、蓄電ユニッ
ト14、水供給ユニット16、水電解ユニット15、水素貯蔵ユニット17、酸素貯蔵ユニ
ット18、水素発電ユニット19、水回収ユニット20、蓄熱ユニット21、電力供給ユニ
ット11、水素供給ユニット12、管理ユニット24を備える。管理ユニット24は各ユニ
ットにおける電力、水素、熱の需給状況を監視し、監視した需給状況に基づき今後の不足分
を補うよう各ユニットの運転を制御するシステムで、水素自動車および燃料電池自動車に対
し、再生可能エネルギーを利用して安定的にかつ高効率に自立してエネルギーを供給する方
法が提案されている。

● 水素電力貯蔵 

下図の新規考案(特開2014-095118 水素電力貯蔵システムおよび方法)は、今回取り上げた
システムではなく別の方法である。時間帯によって生成電力又は消費電力に変動があるので、
発電の際は、電力に余剰がある時に余剰電力を貯蔵し、電力の不足する時に放電する電力貯
蔵のシステムが求められているが、余剰電力で分解用水を電気分解して水素を生成し、電力
の不足時は生成した水素を酸化して電力を取り出す水素電力貯蔵システムとして、電気分解
とび発電を可逆的に実行する反応部の電解質に、固体酸化物を用いるものが知られているが、
この固体酸化物は、メタン燃料の燃料電池等と比べて電力の貯蔵効率が低く、よって、シス
テムには、発電の際の反応熱を蓄熱する蓄熱部が設けられるなどして、貯蔵効率を高める種
々の工夫がされているが、これはその1つである。





特開2014-095118

【要約】

水素電力貯蔵システム10は、発電所で得られる電力Ein(供給電力Ein)を用いて分解用
水を酸素および水素に電気分解する反応部11と、水素を貯蔵する水素貯蔵部12と反応部
11を接続して水素を送る貯蔵系統13と、反応部11に送られる分解用水を熱源28との
熱交換により昇温させる第1熱交換部14と、酸素を反応部11の外部へ排出する排出系統
15に接続されて酸素の余熱を第1熱交換部14に返還する返還系統16と、を備えること
で、エネルギ効率を向上させた水素電力貯蔵技術である。

 


● 満中陰と御霊供膳

機能は忌明け法要を滞りなく済ませた。会食は近くの日本料理の『水幸亭』で行った。慣行
上、御霊供膳(おりょうぐぜん)は店側で準備していただいたが、今日になって遺影写真を
忘れてしまったことに気付く。なにか1つや2つ手違いが起こってしまうのだと二人で話し
あう。

                                                                             合掌
                                  


 

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脱ロスト・スコア論 Ⅶ

2014年11月13日 | 時事書評

 

 



● ワイルドパワー

エナジーハーベスト(環境発電)は熱電変換素子とコントロールチップを経由し、再生可
能エネルギーを供給する。写真のデバイスは、オブジェクト間の温度差――例えば、自動
車のフェンダーやビルの壁と外気間)――を利用し発電・充電できるという優れもの。利
用シーンは野外や都市と無限にありそうだ。


 

   

【脱ロスト・スコア論 Ⅶ】

● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」』


                                                   第4章 成長できない国会 

              ■ 官も民も「身内の論理」――日本経済の先行きは暗い

  成長戦略(「日本再興戦略」改訂版)の副題には「未来への挑戦」とあるが、日銀
 にしろ財務省にしろ、霞が関官僚たちが「無謀性の神話」に支配されている限り、こ
 の国に明るい未来はない。

  話は飛ぶが、2014年6月20日、改正会社法が政府案どおり可決・成立した。2
 015年4月から施行される。報道では「社外取締役の選任を促す法律」や「社外取
 締役の起用を促進」などと持て囃されていたが、問題点がある。肝心の「社外取締役
 の義稗づけ」が見送られたのである。
  私は世界の情勢に鑑み、「独立した」社外取締役は当然と考えている。そのため法
 案成立前の段階から、政府案に歯がゆい思いをしていた。結局、経済界でも「身内の
 論理」に閉じこもる文化を打ち破れないのか、と残念で仕方がない。
  公務員制度改革法でも、公募をできるだけ排除しつつ、しっかり天下りは確保する
 という「身内の論理」で凝り固まっている。幹部公務員に外部者を入れにくいのは、
 先進国で日本だけだ。

  経済界でも官界でも、こうした「身内の論理」が横行したら、日本経済の先行きは
 危ないだろう。
  改正会社法公務員制度改革法、一見すると別物で無関係な事象であるが、その根
 っこには日本社会独特の「身内の論理」が横たわっている。「身内の論理」は家族の
 間だけで通用すればいい。経済・社会に持ち込むことはないだろう。「身内の論理」
 は、多様性の拒否であり、外部との競争もしたくないということにつながる。そうし
 た保身根性からは、ろくなものが生まれないと私は信じている。

  会社法改正議論の経緯を振り返ってみよう。ことの発端は民主党である。
  民主党に政権交代した直後の2010年、当時の千葉景子法務大臣が法制審議会に
 会社法改正を諮問し、《会社法制について、会社が社会的、経済的に重要な役割を果
 たしていることに照らして会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保
 する観点から、企業統治のあり方や親子会社に関する規律等を見直す必要があると思
 われるので、その要綱を示されたい》とした。
  この「幅広い利害関係者」とは、労働組合が念頭にあると思うが、「独立」した人
 にコーポレートガバナンスを任せるという世界の流れとは無縁だ。労働組合は企業に
 とって「身内」なのか、民主党も「身内の論理」から抜け出られそうにない。


  法制審議会会社法部会は2011年12月に「中間試案」を公表し「社外取締役の
 1人以上の義稗づけ」を盛り込んだ。しかしその後、民主党政権最後の2012年9
 月に出された答申からは「義務づけ」が除外された。
  もちろん、これには民主党の体質だけでなく、経済界の反対があったことは言うま
 でもない。
  ただし、義務づけを主張する声もあり、《社外取締役が存しない場合には、社外取
 締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とするものとする》という規定が
 盛り込まれた。また、導入を促すルールを証券取引所の規則に盛り込むよう要請する
 ものとされた。
  そして2012年末に自民党に政権交代すると、この問題は精力的に議論されるよ
 うになる。


             ■ なぜ「社外取締役選任の義務づけ」が見送られたのか

  自民党は野党時代の政策集で、社外取締役の導入促進、上場会社における複数独立
 取締役義務化を合む「企業統治改革の推進」を掲げている。
 2013年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」(改定前の「成長戦略」)に
 も、《会社法を改正し、外部の視点から、社内のしがらみや利害関係に縛られず監督
 できる社外取締役の導入を促進する(次期国会に提出)》と明記された。
  ところが、2014年4月の国会に提出された改正案(「会社法の一部を改正する
 法律案」)は、民主党時代の答申とほぼ同じ内容であった。社外取締役選任の義務づ
 けが見送られ、《社外取締役が存しない場合には、社外取締役を置くことが相当でな
 い理由を事業報告の内容とするものとする》という規定が残されたままである。
  政権交代しても、民主党と同じ内容とはどういうことなのか。
 「企業は労働組合を合めた関係者のもの」という位置づけの民主党と、「企業は経済
 成長のエンジン」という自民党では、思想がまったく違うはずなのに。
  こうした批判を想定してか、"言い訳”も用意されている

  ①社外取締役を置かない場合は、株主総会での理由説明を義務づける。これはヨー
   ロッパで採用されている“comply or explain"(従うか、さもなければ説明せよ) 
   ルールでもあるから問題ない
  ②監査役の代わりに「監査等委員会」を設置できる制度を新設した。委員会は3人
   以上の取締役で構成し、その過半数を社外取締役とするので、社外取締役選任の
   追い風になる
  ③社外取締役を置いても外国人投資家が増えるとは限らない
  ④日本では社外監査役が、諸外国における社外取締役の機能を一部果たしている


  他にもあるが、私にはどれも"付け焼刃”にしか見えない。いずれも一面の事実で
 はあるのだろう。それでも結局、日本企業の「身内の論理」を代弁したにすぎないか
 らである。

  ①の「社外取締役を置かない場合の説明」は、証券取引所ルールでなされる。だが
 取引所ルールは自主規制なので、厳格な意昧での「義務づけ」にはならない。会社法
 で少なくとも1名の社外取締役選任を義務づける。そのうえで、取引所ルールは会社
 法に加重し、複数の独立した社外取締役を求めることに使うべきだ。
  ヨーロッパ諸国よりも株式市場のウエイトの高いイギリスとアメリカでは、独立し
 た社外取締役がいるのは常識である。しかも、イギリスでは社外取締役の役員比率は
 50%、アメリカは70%、韓国でも30%という。
  日本取引所グループ(JPX。東京証券取引所グループと大阪証券取引所が合併し
 て発足)の調査では、日本でも社外取締役がいる会社のほうが、利益率が高くなって
 いる。

  また④「社外監査役が、諸外国における社外取締役の機能を一部果たしている」と
 いう理屈には、思わず吹き出してしまう。
  取締役と監査役はともに役員だが、役割が違うではないか。たしかに最近は、監査
 役の重要性が増してきたが、それでも限界がある。もちろん監査役にも取締役会への
 出席義務があるのだが、成立要件にはなっていない


                             ■ なぜ "みすほスキャンダル"は防げなかったのか

  こうした話は具体的に見ていったほうがよく分かる。 
  卑近な例として、みずほ銀行の暴力団融資問題を挙げよう。このスキャンダルは2
 013年9月27日、金融庁がみずほ銀行に対して業務改善命令を出したことで発覚し
 た。みずほ銀行はグループ傘下の信販会社オリコ(オリエントコーポレーション)を
 通じ、暴力団員ら反社会的勢力に総額約2億円を融資していたが、2年もの間、何の
 対策も講じずにいたというものである。
  業務改善命令を受けた当初、みずほ銀行は「問題の情報は担当役員止まりでトップ
 には届いていない」としていたが、10月8日に記者会見を開き、歴代頭取が知りなが
 ら放置していたことを認めた。取締役会にも何回にもわたって関係資料が提出されて
 いたという。
  結果として、みずほ銀行は業務の一部停止など行政処分を受けることになり、持ち
 株会社であるみずほフィナンシャルグループ(FG)の塚本隆史会長が引責辞任する
 に至った。
 
  この暴力団融資問題が露見した当時、みずほ銀行には2人の社外監査役がいた。1
 人は元最高裁判事で、もう1人は弁護士出身である。


  司法出身のその方々が、暴力団融資関係の資料が提出された取締役会に出席してい
 たのかどうか。資料は何回も取締役会に提出されていたというのだから、まさか「見
 なかった」というわけではないだろう。監査役であるがゆえ、経営には口出ししなか
 ったのかもしれない。
  なお余談だが、みずほ銀行は、みずほコーポレート銀行との合併後、元財務官僚を
 社外監査役として受け入れている。それは金融庁から出された業務改善命令への対応
 の一環だったのだろうが、期待された責務を全うできただろうか。
  いずれにしても、社外監査役が経営の歯止めになっていなかった例である。みずほ
 銀行の問題は、社外取締役の役割を再認識させてくれる。
  やはり問題発覚時点での比較だが、3大メガバンク(三菱東京UFJ銀行、三井住
 友銀行、みずほ銀行)のうち、社外取締役がいなかったのはみずほ銀行だけだ。

  ・三菱東京UFTJ銀行 社外3人(取締役17人)
  ・三井住友銀行     社外3人(取締役16人)
  ・みずほ銀行      社外0人(取締役8人)

                         ※いずれも2013年10月時点

  もっとも三井住友銀行の社外取締役3人は、それぞれ公認会計士、企業コンサル、
 弁護士出身だから、全員が「独立した社外取締役」と言ってもいいだろうが、三菱東
 京UFJ銀行のほうは、3人の出身が三菱信託銀行、東京海上火災、公認会計士。し
 たがって「独立」と言えるのはI人だけである(東京海上火災は三菱グループ)。
  念のため書き添えておくと、2014年6月25日現在で、みずほ銀行には取締役13
 人中、2人の社外取締役がいる。また監査役5人中、3人は社外監査役だ。


               ■ 大企業の「系列」は官僚の「庭先掃除」に通じる

   日本で「社外取締役」と言うと、おしなべてブ切成り名を遂げたし筒齢の方々ばか
  りだ。これは日本の大企業の特徴である。社外取締役は仕方なく置くが、外部者から
  は意見を求めない-やはり「身内の論理」が通っている。
   もし、みずほ銀行に「身内」ではない独立した社外取締役が複数いれば、暴力団融
  資についておそらく誰かが何らかの対応を促したであろう。
 社外取締役に期待される機能は2つある。
  まず、取締役会に外部の目が入ることで経営者らの不正を未然に防ぐ「ブレーキ役
  だ。もうひとつは、不採算事業の温存など経営判断の先送りを防ぎ、収益性を向上さ
  せる「アクセル役」である。

  ともに「身内の論理」の排除が求められる

  社外取締役の設置義務は、アベノミクス「第3の矢」のシンボルのひとつとして見
 る向きもあったので、改正会社法で見送られたことは残念である。「第3の矢」は
 「身内の論理」ではなく「オープン」がカギだからだ。
  171ぺージで「庭先掃除」という霞が関用語を挙げ、官僚の "内向き" ぶりを指
 摘した。これが「身内の論理」に通底する。すなわちクローズドであり、ドメスティ
 ックであって、まるでグローバルでもオープンでもないのである。組織の保全が第一
 義となるから、外部から"異物"を入れない。
  日本の官僚制に接して外国人が驚くのは、事務次官になる人物がすべて生え抜きで
 あるということだ。普通の先進国ではありえない。たとえばアメリカでは政権が替わ
 れば公務員の顔ぶれも替わるし、企業でも社外取締役どころか、CEOなどトップで
 さえ外部から連れてくる。他の先進国でも、事務次官の半分くらいは外部登用が当た
 り前である。

  官と民(財界)、双方に「身内の論理」という文化がある日本では、公務員の公募
 制度や社外取締役など、とんでもない話になるのだろう。そして「身内の論理」は、
 官と民の利害を一致させる機能さえある。それが天下りだ。
  関連会社を従えた大企業は、「系列」という企業グループを形成し、取締役も系列
 から選任する。そこに外部が入り込む余地はない。霞が関の "生え抜き人事" と同じ
  である。自分たちの価値観と方法論を守るから、知らない人に来てもらいたくない。
 何か文句を言われそうで嫌なのだ。
  霞が関からの天下りが取締役にいる会社なら、そうした傾向はますます強まるに違
 いない。もし純然たる社外取締役がやって来て、取締役会などで天下りと顔を合わせ
 でもすれば、「なんであんな人(天下りのこと)がこの会社にいるの?」と必ず言わ
 れる。 

  それはそうだろう。天下り(の取締役)は、その会社の業務について専門的な知見
 があるわけではなく、役所とのパイプ役に過ぎない。そのうえ、さしたる勤務実態も
 ない(週に2日の出勤など)のに高給を食み、専用単に乗っている……。「なぜ、こ
 こにいるのですか」の世界だ。
  ところが改正会社法により、「義務づけ」は見送られはしたものの、社外取締役設
 置の "圧力" だけは生まれた。ここで、ある企業がひねり出した苦肉の策がすごい。

  天下りを社外取締役にしてしまう――。
   本来は "異物 "で、経営にズケズケ物言う存在であるはずの社外取締役に、「身内
 の論理」でつながる元官僚を据えつけてしまえば、ひとつも文句は言わない。社外取
 締役と天下りの合体とは、よく考えたものだ。
  日本では公務員改革が停滞するとともに、「身内の論理」がまだ蔓延っている。そ
 れがこの国の「成長」を阻害する。成長戦略を声高に唱えても、その成長には期待し
  にくい。



                       ■ STAP細胞論文騒動と官僚制

  天下りに言及したついでに、今なお沈静化しない "
騒動" を振り返ってみることに
 する。小保方晴子氏(研究ユニットリーダー)のSTAP細胞論文と、理化学研究所
 (理研)にまつわる一連の騒動だ。
  そもそも理研とはどのようなところか。理研は、長岡半太郎、鈴木梅太郎、本多光
 太郎、寺田寅彦、仁科芳雄、朝永振一郎、湯川秀樹などを輩出した日本屈指の研究機
 
関である。
  設立は1917年と歴史も古く、1966年まで文京区駒込に研究所があり、その
 後、埼玉県和光市に移転した。実は、私の出身校である都立小石川高校の隣だったの
 で、理研研究所の移転跡を毎日見ており、理研の立派さを何度も聞かされた。
  戦前、研究の商業化に成功して理研コンツェルンを形成し、大きな収益を上げ、そ
 こから潤沢な研究資金を捻出できた。このため理研は「科学者たちの楽園」とも呼ば
 れたのだ。戦後、一時は民間株式会社化もされたが、1958年に特殊法人化され、
 2003年に独立行政法人になっている。

  総務省の『特殊法人総覧』(平成24年度版)によれば、予算900僚円、職員数4
 663人(常勤職員3409人、非常勤職員1254人)である。
  2009年の民主党政権当時、理研はスパコンで問題視された。蓮筋氏の「一番で
 なければダメですか」で有名になった事件だ。その当時、役員8人のうち4人が天下
 り官僚であった。具体的には理事2人が科学技術庁、監事2人が農本省と財務省の出
 身である。

  今では、監事2人は民間出身者になったが、常勤理事2人は相変わらず科学技術庁
 (現文部科学省)の官僚OBである。うち1人は、今回の騒動に対する理研の対応で
 相当な役割を担ったと見られるコンプライアンス担当だ。
  しかも、2人の官僚OBは「役員出向」と書かれている。これは国家公務員の「退
 職管理基本方針
」によって行なわれた「現役出向」のことで、別名「ウラ下り」と呼
 ばれる。民主党の菅直人政権下で閣議決定された制度だ。官僚が退職して再就職する
 とき、役所の斡旋がつくと「天下り」となって規制の対象になるが、「退職せずに現
 役で出向」ならばお咎めなしという抜け穴である。
 
  
理研の官僚OBは、形式的には役所をいったん退職している。プロフィールを載せ
 た理研のホームページに(退職(役員出向)》と書かれている。しかし、本当に退職
 して退職金をもらうときには、「出向」している期間も通算されるのだ。だから形式
 的な退職には意味がない。
  理研の役員は、形式的には「天下り」ゼロである。しかし「現役出向」が2人いる
 わけだ。役員に官僚の天下りがある場合、課長クラスにも同じように天下りや出向者
 がいることが多い。私の知る限り、理研には文部科学省だけで三十数名の出向者がい
 たはずだ
  官僚の世界では "上"を天下りポストにできると、その組織の中に官僚OBだけの
 ミニ組織ができる。これが組織内でがん細胞のように増殖し、しばしば組織を内側か
 ら蝕むのだ。

                            ■ 「第4の矢」があった?!

   さて「日本再興戦略」改訂版の閣議決定で「3本の矢」が出そろったはずのアベノ
 
ミクスだが、もう1本の矢があることをご存じだろうか。

  閣議決定の直前、2014年5月28日の経済財政諮問会議でのことだ。甘利明経
 済財政・再生相が「第3の矢」である成長戦略に続き、財政健全化を「第4の矢」と
 位置づけたのである。私はこのことを知ったとき、とんでもない「矢」を放ってしま
 ったものだと思った。
  成長戦略は甘利経済財政相の分野だが、経産省の政策は「あまり」海外の評判がよ
 ろしくない。
  海外では「成長戦略」となると、デレギュレーション(規制緩和・撤廃)、プライ
 バタイゼーション(民営化)、フリートレード(自由貿易)という英語にもある概念
 で説明される。
  しかし経産省お得意の「産業政策」=「産業ターゲティング・ポリシー」は「産業
 選別」という意味で、なかなか海外では通用しにくい。このことは繰り返し述べてき
 た。
  特定産業の選別は依怯聶叙になるし、そもそも政府に成長産業を選び出す能力がな
 いからである。英語で説明する際には、頭にわざわざ「ジャパニーズ」と形容詞をつ
 ける。つまり揶揄されているのだ。
 
  そこで出てきたのが「第4の矢」――財政健全化というわけである。
  この裏側には、もちろん財務省がいる。財政制度等審議会がまとめる報告書の原案
 について、各メディアが先行して報じた。財務官僚によるリスクである。 
 財政健全化の達成手法は、大別すると3つある。

  ①経済成長
  ②歳出カット
  ③増税

  以上だが、財務省の言う「財政健全化」は、明らかに増税である。
  まず財務官僚には、予算査定において官僚特有の「無謬性」があるので、歳出に無
 駄があるとは認めない。このため、②の歳出カットはできないというのが基本的立場
 である。

  となると、①の経済成長か、③の増税のどちらかが選択肢だ。しかし以下の理由に
 より、財政健全化の達成手法として、③増税になる。
  ①経済成長では、結果として増収になるのは分かっているはずだ。しかし予算をつ
 くる過程では歳入増を見込みにくいので、まずは②歳出カットが求められる。それが
 できないと財務官僚の責任になるが、回避したいのだ。
  その点、③増税は、その是非と責任について、選挙があれば政治家に取らせること
 ができるので、官僚としてはOKだ。しかも、予算の裁量粋が広がり、財務官僚の権
 益が拡大する。

  ここで注意すべきは、あくまで予算上の歳入が増えるだけで、実際の税収が増える
 わけでないという点である。増税は経済活動を抑制し、その結果、税収は減少するこ
 とが多い。直近のデータが物語っている。
  しかし増税すれば、予算上の歳入は増える。マクロ経済の動きとは別に、形式計算
 によって、増税(税率アップ)がそのまま歳入の税収増になっているからだ。
 というわけで、財務省の財政健全化は増税になるしかない

  一応、経済財政諮問会議では、財政健全化を「第4の矢」としてぶち上げておきつ
 つ、財政客報告書で「財政の健全化は増税」となる路線を敷いたわけである。この意
 味で、経済財政諮問会議は、財務省の増税路線の走狗になっている。もっとも、財務
 省の150年間の歴史を見ると、「財政の健全化は増税」という主張はほとんどない
 多くのときには「財政の健全化は経済成長」という、まともな主張をしている。
 今の執行部が、歴史的に見ておかしな主張をしていることを指摘しておきたい。


                      ■ なぜ「4本目の矢」は不要なのか

  財政健全化を、わざわざ「第4の矢」として掲げるのは、まったくおかしい。首相
 官邸を筆頭に「アベノミクスの3本の矢」と連呼しているのに、もう1本加わったら
 国民も混乱するだろう。
  「オッカムの剃刀」という言葉をご存じだろうか。「前提や仮定は、なるべく少な
  くする」という考え方である。私は数学科出身なので、前提や仮定は相互に矛盾せず
 最少にすることが当たり前だ。しかし経済財政諮問会議の議員は、経済の相互関係を
 よく知らずに余計な「矢」を放っている。


 
  どういうことか説明しよう。

  実は「第4の矢」とされる財政健全化は、「第1の矢」である金融政策から導かれ
 るのだ。この意味で、4本目は不要な「矢」である。また、財務省の目論む「増税」
 なら、「オッカムの剃刀」によれば矛盾するものとして排除されなければいけない。
  まず財政健全化を定義してみる。これは「債務残高対GDP比が、将来において発
 散しないこと」と考えていい。その条件は前ページ上段の式のとおりである。
  条件式の意味をおおざっぱに言うと――『基礎的財政収支について、成長率が金利
 (国債金利)より高ければ多少の赤字でもよく、成長率と金利が等しければ均衡して
 いること、成長率が金利より低ければ一定の黒字が必要になる。

  そこで、成長率と金利の関係であるが、理論的にどちらが大きいとは言えない。2
 000年以降のOECD35カ国のデータを見ると、平均はほぼゼロであり、プラスで
 もマイナスでもほとんどがゼロの近辺になっている(上グラフ1)。
  要するに、データから見れば成長率と金利が等しいと考えてよい。であれば、財政
 の健全化のためには基礎的財政収支を均衡させればいいのだ




   バブル後の1991年からのデータを見ると、基礎的財政収支対GDP比は、1年
  前の名目GDP成長率でほとんど決まってくる(上のグラフ2)。ちなみに両者の相
 関係数は0.92と高い。1年のズレがあることから、因果関係と考えていいだろう。

                               ■  「成長」への道

  ところが、増税は明らかに経済成長にマイナスである。消費税率3%の増税で経済

 成長率は1%程度低下する。消費税は予算上の増収になるかもしれないが、所得税や
 法人税が減少するのだ。その結果、税全体で増収になるのか減収になるのか分からな
 い。
  他方、金融緩和は名目GDPを伸ばす。2年前のマネーストック増加率は名目GD
 P成長率と強い相関がある。ということは、金融緩和すると2年後の名目GDPは高
 まるのだ。
  この実証データは、2年間金融緩和して、その間には増税を行なわないほうが、名
 目GDPを伸ばし、結果として財政再建の近道になることを示している。
  ちなみに、財政健全化を達成するためには、8%程度のマネーストック増加率を維
 持するように金融政策を行なえばよい、となる
  もちろん、個々の状況ではいろいろとファインチューニングが必要なこともあるが、
 基本的には適切な金融政策によって安定成長路線を目指したほうがよいのである。

  イギリスは財政再建のために、2011年から消費税を増税した。だが、景気は低
 迷している世界的に緊縮財政が見直されているが、日本の財務省だけは増税に固執
 している。

 「第1の矢」を放った日銀は、まともな金融政策をしたと世界から評価された。今度
 は財務省の番だ。しかし「第4の矢」などとぶち上げないでもらいたい。10%へのさ
 らなる消費税増税のアナウンスが流れるなか、私はあえて言う。急がは回れ、と。財
 政健全化のためには増税ではなく経済成長が先だ

  なお、読者の中には「財政再建すら不要だ」という人もいるかもしれない。日頃の
 財務省の増税主義を見ていると、そういった極論も発してみたくなるのかもしれない。
  しかし、私は財政再建という目標は悪くないと思っている。いつものように世界各
 国を見ても、財政再建は英語で説明可能で’“fiscal consolidation”と言う。しばしば
 “No growth,no fiscal consolidation.”(成長なくして、財政再建なし)とも言われる。

  日本では、財政再建=増税と思い込んでいるのが間違いなのだ。
  もっとはっきり言えば、財政再建のためには、消費税増税をやめるのがいい。その
 うえで法人税を減税するのがいい。このときのロジックは、前にも指摘したが、今の
 政府の「国際競争力」のためではなく二重課税の排除」だ。
  これは税の理論にも合致している。そのために行なうべきことは、国民番号制と歳
 入庁であるそれらをきちんと整備すれば、負担を公平にしたうえで、実は税と社会
 保険料で10兆円以上の歳入増があると試算されているのだ。そうであれば、今の法人
 税を20%台、すなわち29%へ6%程度の減税などというシャビーな改正ではなく、10
 %台にまで引き下げられる。

  これは超バラマキだが、そうすれば必ずどこかの業界が伸びてくる。成長戦略でも
 そうだ。あらかじめ特定の産業を選別するのではなく、バラマキの結果、伸びてきた
 芽を見つける。その芽は、すでに「成長力」を持っていることになる
  成長のための「選択と集中」を断行できるのは、民間の企業経営者である。しかし
 それでも失敗することが多い。まして僚には、「選択と集中」をする能力など備わ
 っていない。何か成長するのか、誰にも分からないのだ。
  誰にも分からないものを、官僚に分かるはずなどない。官僚が賢くて全知全能とい
 うのは嘘である。
  国民にとって、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略最大の陥介は、その嘘を
 見破れないことだろう。

      高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

さて、今夜で上がりとなるが、高橋の "成長論”は――これは超バラマキだが、そうすれ
ば必ずどこかの業界が伸びてくる。成長戦略でも そうだ。あらかじめ特定の産業を選別
するのではなく、バラマキの結果、伸びてきた芽を見つける。その芽は、すでに「成長力」
を持っていることになる――という。これはブログでも取り上げた『僕なら言うぞ』の
吉本隆明と同じだ。これはわたしなりに補足すれば、政府は、官制介入をできる限り抑制
し、民間に開放しつつ、インフレーターゲットなどの主要な指標を基準に市場調整を行い
ながら、新産業・事業育成で必要なものは積極的に支援すべしと言うことになるだろう。
 


                                   
この項了

                   

           

 

 

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脱ロスト・スコア論 Ⅵ

2014年11月12日 | 時事書評

 

 

   

【脱ロスト・スコア論 Ⅵ】

● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」』


ここでは「失われた20年」の原因をズバリと言い切る。それでは読み進めていこう。
 

                          第3章 この国を蝕む「官愚」

                   ■ 法制局の幹部は他省からの出向者ばかり

  このような「霞が関文化」の中で、法律面で頂点に立つのが内閣法制局である。

  "官庁中の官庁"を自認する財務省でも、内閣法制局にはなかなか頭が上がらない。
 予算案のほうは完全に自前でコントロールできるが、法律案はそうもいかない。閣法
 を出す場合、内閣法制局審査を受けなければいけないのである(「内閣法制局設脱法」
 第3条)。

  係長、課長補佐クラスの若手が実際に審査を受けるのだが、課長クラスの内閣法制
 局の参事官が彼らを猛烈にしごく。その審査も10時間、徹夜などざらのことだ。財務
 省の幹部も、内閣法制局の参事官や部長へ挨拶に出向く。私の官僚時代、場合によっ
 ては「接待」まであった。これはどの省庁も同じだろう。何しろ内閣法制局の審査を
 パスしなければ開法が提出できず、官僚が権限を振るう前に入り口で頓挫してしまう
 からだ。

  そのうえ内閣法制局が憲法解釈する「法の番人」ということに祭り上げられれば、
 各省官僚が日常行なっている「有権解釈」もそれなりの権威が出てくる。
  こうしてご罹威づけ〃のメカニズムを見てくると、内閣法制局のプロパー職員が最 
 高権威者になると思うだろう。しかし内閣法制局には、プロパーの幹部職員はまず存
 在しない。参事官クラスは各省庁からの出向者である。部長などの幹部になるのは、
 原則として法務、財務、総務、経産、農水の5省出身者に限られ、そのうち長官にな
 るのは農水省を除く4省庁という不文律がある。 
  
  安倍政権で任命された故小松一郎長官は外務省出身であり、きわめて異例の人事だ
 った。言ってみれば官僚の不文律を打ち破ったわけである。こうなると官僚の結束力
 が高まり、安倍政権批判が霞が閣内部から出てきても不思議ではない。実際、私が官
 邸にいた第一次安倍政権では、公務員制度改革を行なうときに、官僚サイドから「倒
 閣運動」が出てきたくらいである

  集団的自衛権の容認について、政策論としていろいろな議論があるのは当然だ。し
 かしその一方で、小松氏就任以前の内閣法制局が「集団的自衛権の行使は違憲」のス
 タンスを墨守し、「一切の解釈変更は許さない」とするのは行き過ぎだろう。なぜな
 ら官僚主導を全面的に肯定することとなってしまうからである。安倍政権による7月
 の閣議決定以後、大森政輔氏(元法務省参事官)、阪田雅裕氏(元大蔵省審議官)ら
 歴代の内閣法制局長官が批判の声を上げている。
  では集団的自衛権は、国際法でどのように位置づけられているのか。予備知識を簡
 単に記しておこう。
 
  多少なりとも国際法を勉強した者なら、集団的自衛権が国連憲章51条に規定されて
 いることを知っている。

   《この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合
   には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの
   間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない》(原文ママ)
 
  つまり「安保理が行動するまでの間、個別的自衛権と集団的自衛権で凌げ」という
 わけだ。
  さらに個別的自衛権も集団的自衛権も、ともに個人の正当防衛を想定すると理解し
 やすい。欧米ではしばしば、そうしたアナロジー(類比、比論)で個別的・集団的自
 衛権が語られるが、日本でも正当防衛について、刑法36条1項で(急迫不正の侵害に
 対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない》
 (原文ママ。傍線は引用者)とされている。

  もちろん、何でも正当防衛に該当するわけではない。侵害に「急迫性」があり、そ
 の防衛行為がやむを得ないものと言えるために、「必要性」と同時に、限度内の行為
 である「相当性」が求められている。
  ここでのポイントは、正当防衛は自分だけでなく、右記傍線部分にあるように「他
 人」を防衛するためにも許されていることだ。たとえば、自分の家族を助けるための
 正当防衛もある。これを国家に置き換えると、どうなるか。

  個別的・集団的自衛権は国家の正当防衛に近いものとされる。正当防衛と同様に、
 相手国の攻撃が差し迫った「急迫性」があり、防衛そのものが「必要性」と限度内の
 ものである「相当性」(「均衡性」ともいう)がなければならないとされている。
  集団的自衛権は、他の国家を防衛するために許されるものなのだ。もちろん「他の
 国家」といっても、同盟関係のように近い関係であることは言うまでもない。そして
 「急迫性」「必要性」「相当性」に加え、他の国家は武力攻撃を受けている旨を表明
 し、第三国に援助要請することが必要とされている。


                        ■ お役所の「庭先掃除」とは?

  つまり、自己の防衛のための権利が個別的自衛権であり、他人のための権利が集団
 的自衛権――これだけのシンプルな話なのだ。もし集団的自衛権を否定すれば、正当
 防衛を否定することになる。それではノーマルな考え方とは言えない。
  国際標準のコモンセンスに照らせば、「集団的自衛権の行使は制約されている」な
 どと言ったとたん、驚かれる。そして非常にセルフィッシュ(利己的、自分勝手)だ
 と思われてしまう。
  防衛行動としての武力行使は正当防衛と同義だ。前述のとおり正当防衛は「自己ま
 たは他人」を守るための行為なのだから、同盟関係にある他国が攻撃を受けた際、敵
 国に武力行使=正当防衛をしないのは、家族が襲われたときに放っておくのと同じと
 見なされる。それは国際常識からかけ離れた感覚なのだ


※ここでは、国家間の関係を家族関係と喩えているが、そのような喩えが「正当性」をも
 つものか注意深く精査していかなければならないと、わたしは考えている。


  実はこうした利己的な考え方が、霞が関官僚の仕事ぶりと瓜二つなのである。
  よく日本の役所は「縦割り行政」と呼ばれ、管轄外の仕事を一切しないことで批判
 にさらされてきた。これを霞が関文学の世界では、別名「庭先掃除」と言う。読んで
 字のごとく、自分の家の庭だけ掃除すればよい、それ以外は知ったことではない、と
 する考え方だ。官僚たちは平気で「庭先掃除」という霞が関用語を使う。
  庭先掃除が仕事上の命題であるがゆえに、国内では「案件のたらい回し」や「省益
 (だけ)追求」がまかり通り、世界に対しては「集団的自衛権は行使しない」とする
 内向きなロジックを打ち立ててしまうことになる。
  
  自宅の庭はせっせと掃除する。ところが、仲良しのお隣さん宅に不審者が侵入して
 庭を荒らそうとしても、「ダメ」とさえ言わずに知らん顔。それでは本来的な正当防 
 衛と言えないし、世界諸国から「なんて利己的なのだ」と非難されるだけなのだが、
 日本の官僚は「庭先掃除」が大好きなのだ。いや、庭先掃除以外できないのである。
  内閣法制局が集団的自衛権の行使を違憲とし、解釈変更を許さないのは、やはり庭
 先掃除にしか興味がない官僚の悪弊によるものと私は推測する。
  繰り返すが、官僚は行政・立法・司法の三権をすべて支配したがっている。そのた
 めに "権限" と "権威" を掌中に収めようとする。内閣法制局が「法の番人」という
 箔づけを施し、集団的自衛権についての憲法解釈で最高裁を超越するかのように振る
 舞うのは、その一例だ。

  ここは三権分立の原点に戻るべきである。合理的な範囲で行政府が憲法解釈するの
 はいいが、それには当然、政治の責任が伴う。もし国民が、そうした行為を憲法に違
 反すると思うのなら、選挙で政治家に審判を下すとともに、選挙における「一票の格
 差問題」のように裁判で訴えればよい。違憲立法審査権は憲法81条により、最高裁に
 あるからだ。

※ここで著者は重要なことを述べている。「三権分立の原点に戻るべきである」と。原点
 回帰できないものそのものが「官制」の”悪しき伝統的な業”であると―そう指摘して
 いるのだろうと。

    
                           第4章 成長できない国会     

                  ■  「失われた20年」を産み出したのは日銀だ

  日本経済を指して「失われた20年」と呼んだのは、2010年ごろのことだったと
 記憶する。それから4年あまりが経過し、もはや「20年」どころではなくなった。
  アベノミクスの「第1の矢」効果で2013年度(2013年4月~2014年3
 月)は改善状況を示したものの、消費税増税という愚作がマイナス効果をもたらすこ
 とは1章で述べたとおりである。「失われた20年」が、さらに30年、40年と "アディ
 ショナル・タイム"(あるいは "延長戦"を重ねないとも限らない。
  なぜ、1990年以降の20年が「失われた」のか。それを検証するためには、「失
 われる」前のバブル期まで遡らなければならない。
  1980年代後半のバブル景気については、地価高騰やバブル紳士の暗躍など、負
 の歴史のように振り返られることが多い。現在でも市況が過熱気味になると「バブル
 再来」という言葉が批判的に使われ、反経済成長的な心理が広がる要因にもなってい
 るようだ。

  バブル期とは、一般的には1987年から1990年までを言う。

  この期間、株価は上昇を続けた。1万5000円台だった日経平均は、1989年
 12月29日(大納会の日)に3万8915円にまで上昇した。
  マクロ経済を見てみると、名目経済成長率が5%~8%、実質経済成長率が4%~
 5%。失業率が2%~2・7%程度、インフレ率がO・5%~3・3%と、今からは
 想像できないほどの好調ぶりである。
  ただし多くの人は、バブル期の対応で致命的な間違いがあったことを知らない。私
 はここで「政策失敗でバブルの後遺症が大きくなった」ということを述べたい。
  そもそも、バブルは金融緩和が原因で、 "バブル潰し" のために日銀の金融引き締
 めは正しかったとされている。だが、はたしてそうだろうか。

  私は当時、大蔵省証券局にいてバブルを目の当たりにした。バブル是正のために証
 券規制を実施した担当官だった。現場感覚から言えば、バブルは証券・土地規制の抜
 け穴によって、証券・土地のみで起こったことであり、その是正には証券・土地規制
 の適正化で十分だった。金融引き締めは余計なことだったのだ。  
  私は当時、大蔵省証券局にいてバブルを目の当たりにした。バブル是正のために証

 券規制を実施した担当官だった。現場感覚から言えば、バブルは証券・土地規制の抜
 け穴によって、証券・土地のみで起こったことであり、その是正には証券・土地規制
 の適正化で十分だった。金融引き締めは余計なことだったのだ。
  バブル期、株や土地の価格は上がっていたが、一般物価(普通の財とサービスの価
 格)はそうではなかった。

  通達の効果は抜群だった。1989年末に史上最高値をつけた日経平均株価は、そ
 の直後に急落した。
  ただし、株式規制だけを適正化してもバブルの是正にはつながらない。株式投資と
 いう行方を失った資金が土地(不動産)に流れ込む。それを抑止するために、199
 0年3月には大蔵省銀行局長通達《土地関連融資の抑制について》を出し、不動産向
 け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える措置をとった。これで株式と土地のバ
 ブルは消えた。


  検査などで私が見た光景――それはほとんど違法と言えるような、証券会社の営業
 である。客に対して損失補填を約束しながら株式の購入を勧めていた。その購入資
 金を顧客の自己資金で賄うのではなく、銀行が融資するというパターンも横行してい
 た。これは何も株式に限らず、土地の購入でもよく見られたケースだ。
  そこで大蔵省内で検討した結果、大蔵省証券局通達《証券会社の営業姿勢の適正化
 及び証券事故の未然防止について》を出し、証券会社が損失補償する。"財テク"を営
 業自粛、事実上禁止した。1989年12月26日のことだが、この通達の起案者は私で
 ある。  


※この当時、1990年3月当時「総量規制」が大蔵省から金融機関に対し行政指導が行われ
 れている―1991年12月に解除されるまで、1年9ヶ月続いた。バブル崩壊後に金融機関
 の破綻処理を行った、元大蔵省銀行局長西村吉正によると、総量規制が出された当時は、
 なぜもっと早く実施しなかったとの批判はあっても、なぜ実施したとの批判は、あのこ
 ろの状況を知るものからすると理解しがたいとしている。新聞論調でも「景気に配慮、
 尻抜けも」(日経)、「地価抑制の効果は疑問」(東京)など、手ぬるいとの批判はあ
 ったが、厳しすぎるとの批判は無かったと思う、発言している。


  一方、日銀も動いていた。当時の日銀の金融政策は、公定歩合(日銀から民間銀行
 への貸出基準金利。2006年8月から、この呼称は使われていない)の操作であ
 る。公定歩合を上げることを、日銀官僚は「勝ち」と言い、下げると「負け」という
 言い方をしていた。すなわち金融引き締めが「勝ち」で、緩和が「負け」である。
  この表現を使えば、1980年8月に公定歩合を9%から8.25%に引き下げて以
 来、1987年2月に3%から2・5%に引き下げるまで、日銀は「10連敗」を記録
 していた。これをバブルがピークを迎える1989年5月、2・5%から3・25%に
 引き上げて、11連敗するのを食い止めたのである。
 
  その年の12月、それまで副総裁だった三重野康氏が第26代日銀総裁に就任した。彼
 は「勝ち」を続けたかったのかもしれない。就任直後の1989年12月、そして19
 90年3月、8月と「勝ち」が続き5連勝、公定歩合は6%にまで上昇した。このと
 き三重野氏はマスコミなどから「平成の鬼平」と称賛された。

  私は大蔵省から日銀を見ていて、この金融引き締めには奇妙な違和感を覚えた。日
 銀は「物価の番人」と言うが、その「物価」には株や土地の価格は含まれていない。
 であれば、株や土地の値上がりは、大蔵省や国土庁がまず対応すべきだろう――こう
 した思いが違和感の正体である。
  
  そんな疑問を抱いたまま、私は客員研究員としてプリンストン大学へ留学した(1
 998年~2001年)のだが、プリンストンで当時、経済学部長だったベン・バー
 ナンキ(前FRB議長)と会って話したとき、私の疑問は氷解した。「インフレ目標
 の "物価" には株や土地の資産価格が含まれるのか」と問いたところ、バーナンキは
 言下に「含まれない」と答えたのだ。
  
  そこで、ひとつの思考実験をしてみよう。それは「もし、バブル時にアベノミクス
 のようなインフレ目標2%があったら」というものである。
  インフレ目標2%では、上下1%の誤差は許される。ということは、バブル時には
 物価は安定していた(インフレ率0・5%~3・3%)のだから、特に金融政策での
 対応は不要となる。この意味で日銀の金融引き締めは間違いである

  たしかに金融緩和は資産価格に影響を与えるが、バブルになった場合には、その要
 因を見きわめる必要がある。1980年代後半の日本のバブルについて、政策担当者
 としての私の現場感覚では、前述したように証券会社や金融機関の違法まがいの取引
 が発生要因であった。金融緩和ではない。それを勘違いした日銀が金融引き締めを行
 なったとしか思えない。


2010.11.12 日本経済新聞



 
  そして日本のバブルは崩壊した。

  黒田東彦氏が総裁に就任するまで、日銀はインフレ目標の導入を毛嫌いしてきたわ
 けだが、それはバブル時のミスを糊塗するためだったのかもしれない
  日銀の失敗は、その後の日本経済にとって大きかった。バブル崩壊の損失を大きく
 しただけでなく、「バブル潰しは正しかった」と言い張り、その後の金融引き締めを
 すべて正当化してきたからである。1990年代以降の20年を「失われた時代」にし
 た張本人は、日銀であると私は考えている。
  日銀に限らず、官僚は自らのミスを認めない。「私が間違っていました」とは、口
 が裂けても言わない習性を持っている。そう、私が繰り返し指摘してきた「官僚の無
 謀性」だ。間違いを犯さない人間などいないのに、官僚は自己正当化を図る。これは
 一度間違えると、無謬性にこだわるあまり、その後はずっと間違えつづけるというこ
 とを意味している。国民はたまったものではない。
  金融引き締め下で、「お金の量をちょっと増やしてみなさい」と日銀に提言しても、
 「いや、引き締めは正しかったし、今も正しい。お金(の量)を増やすなんて、とん
 でもない」と反論する。その間違った反論が20年(以上)、続いてきてしまった。上
 のグラフで一目瞭然だが、お金の量(マネーストック)の伸び率は1990年を境に
 急降下したままである。
  官僚の間違いを正すのは政治家の役目だ。ようやく安倍総理が正したのが、アベノ
  ミクスの「第1の矢」だったというわけである。バブル崩壊以降、是認されてきた日
  銀の金融引き締めを、安倍総理は「そうではないだろう」と言って否定した。すなわ
  ちアベノミクスとは、官僚制との戦いという側面を持ち合わせているのだ。

                                                  ■ 「絶対確実」しか求めない

   官僚が自分の間違いを認めない(百歩譲って「認めたがらない」)のは、裏返すと、
 つねに100%の確実性を求めるということでもある。

  成長戦略の"キバセン"(基盤技術研究促進センターノ2章)でも「まだ成果は出
 いないが、こうすれば大丈夫」と大見得を切った官僚のことを紹介した。しかし、

 の「大丈夫」は当人が思い込んでいるだけで、実際のところは分からない。

  特に基盤技術のような科学の分野では、科学的な発見などを工業化してビジネスに
 生かすのが目的だが、それには長い期間がかかるし、産業化できるかどうかは未知数
 だ。「100%大丈夫」という判定などできるはずがない。ただし、そこに誠実さと
 合理性を求めるなら、100%は論外だが「パーセンテージ」、すなわち確率を持ち
 込めばよいのではないか。
  
  私は財務官僚時代、正確を期すために、よく確率的な話をした。しかし、である。
 私が数字としての確率を織り込んでしゃべると「高橋はいい加減だ」「曖昧だ」と返
 されてしまうのだ。
  ひとつの事例を紹介しよう。財務省は地方公共団体に財政融資として貸付を行なっ
 ていた。その貸付金(地方公共団体にとっては借入金)の返済にあたり、旧大蔵省の
 省令で[繰上償還」(投資信託などで言う繰上償還とは異なる)という制度があるの
 だが、ここで確率が重要な意味を持つ。
  一般の住宅ローンに置き換えると分かりやすいだろう。住宅ローンを金融機関から
 借りて住宅を購入(新築も)するとき、その金利は変動型と固定型に大別できるが、 
 固定を希望する人のほうが多い。

  現在の実勢状況は措いて、たとえば景気のよいときに4%の固定金利で住宅ローン
 を組んだAさんがいたとする。その後、不景気で金利が下がると、目先の利くAさん
 は他の銀行から2%で借りて一括返済しようと考えた。金利負担が楽になる。これが
  ローンの元金返済分を前倒しする「繰上返済」(繰上弁済とも言う)で、財政融資に
 おける繰上償還も本質は同じだ。
 もちろん、ローーンの利用者がそのように考えるのは普通のことだから、金融機関の 
 ほうも工夫を怠らない。かつては繰上返済を認めないようなパターンも見られた。だ
 が、それでは利用者も離れるので、ローン契約時の金利をちょっと高く設定するよう
 にしたのだ。本来は4%のところを、繰上返済を想定して5%とか6%にする。なぜ
 なら、そうしておかないと、繰上返済を受けるときに金融機関が損失を被ってしまう
 からである。
 
  このとき、金融機関は確率で考える。景況による金利の動向を予測し、金利の変動
 に応じた繰上返済の規模を想定する。「金利が何%になったら、どれくらいの繰上返
 済が来るか」と確率を織り込み、そのうえで最初の貸付金利を決めるのだ。そうすれ
 ば利用者からの繰上返済を受けても、金融機関としては初めに高い金利を頂戴して
 いるから、懐は痛まない。これが合理的かつ世界的な手法なのだ。
  ただし、いくら合理的だと言っても確率の世界であるから、金融機関が取りっぱぐ
 れてしまう確率もある。いくら最初に高い金利を設定していても、繰上返済のほうが
 多くて金融機関が損をするという確率は「ゼロ」ではない。
  それでも確率的にはそこそこになるような金利をつけて、顧客満足度との均衡を図
 るのである。「繰上返済、オッケーでーす」とセールスするほうが、金融ビジネスと
 して成立しやすいのは当然だ。ちなみに金利の計算には「オプション理論」という数
 理ファイナンスを用いる

※ブラック・ショールズ・モデル:ブラックショールズモデルとは、金融工学におけるオ
 プションの価格決定の際に必要な計算モデルのこと。 




                  ■ 「リスク」と「不確実性」を嫌う文系思考

  財務省による地方公共団体への財政融資に戻ると、繰上償還(繰上返済)の要望は
 やはり多い。私が財務省にいた当時もそうだった。そのとき私は省内でこう話した。
 「要望があるのだから、繰上償還を認めないわけにはいかない。計算式に基づいて金
 利を設定し、最初から高めの金利(割増金利)をつければ損得はない」

  しかし賛同を得るのは難しかった。数学的な話が難解だったせいかもしれないが、
 前述のように確率論だから、「ひょっとしたら財務省が損をするケースもあるのか」
 と聞かれる。当然、私は「少しはその可能性もあります」と答えた。すると「そんな
 曖昧な話じゃダメだ」「100%確実でなければいけない」などと、非難言々である。
  役人はリスクを冒さない。つねに「絶対確実」を要求する。すると、先はどの住宅
 ローン金利(繰上返済可)で言えば、4%を6%にするのではなく、8%程度にまで
 高くしなければならないことになる。過剰を通り越して無謀な金利だ。
  いくら私が「オプション理論で算出した金利は、95%の確率で大丈夫です」と主張
 しても、聞く耳を持だない。「なぜ995でよしとするんだ。100になるまでやれ」
 
とこうである。
 
  彼ら官僚にとっては「確率」も「リスク」も「不確実性」も、すべていい加減なも
 のに映るのだろう。理系出身の私としては、こうした思考は東大法学部に象徴される
 文系由来だと思えてならない。失敗を極度に恐れ、責任を負わない習性が、官僚には
 染みついている。
  ところが、絶対確実な高金利でなければ繰上償還を実施しないとする一方で、低金
 利でも繰上償還を受けてしまうという財務省の驚くべき現実があったのだ。それには
 「政治」が絡んでいる。お察しのとおり、政治家の「口利き」によって、低い金利で
 の繰上償還を認められる地方公共団体がけっこう存在したのである。 

  有力な政治家が「よろしく頼むよ」とばかりに介在してきたとき、財務省は「今回
 はあの先生に貸しをつくれるから」と言ってオーケーサインを出した。「先生」を担
 ぎ出した地方公共団体は、低金利だから大喜びしただろうが、財務省の行為はきわめ
 て選別的かつ恣意的、依怯聶叙の塊で、とんでもないことである。
  民間金融機関にたとえるなら、有力顧客だけは繰上返済を認め、他の客は門前払い
 ということだ。そんな商売が発覚すれば、その金融機関は潰れるだろう。しかし財務
 省の場合、すべて役所の中で完結してしまうから、国民には知らされない。本書で初
 めて公然化するのだ。
  私は、そうした非合理きわまりない政治的案件を非難して、しょっちゅう「もっと
 合理的にやったらどうですか」と担当課長に進言していたのだが、彼は私に怒るだけ
 だった。まあ、その課は後年、結果的に "お取り潰し" になったのだが。

                               高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

 

                                               この項つづく

 

 

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